第233話『GPM熊本戦編2 水煮活猫』
さて…時系列を暫し戻ってからの説明になるが、
カオルは地球軌道上に巨大輸送艦を浮かべ順次入れ替え作業の拠点として運用していた。
ただし…平均高度400kmの低軌道にある、全長73m全幅108mの人工天体でも肉眼で地上から見える…
そんな低軌道には出さずに静止衛星軌道付近の高度36000kmに出すが、
巨大輸送船は全長約2km、全輻約500mの巨大物体だ…肉眼では厳しいとおもうが…
望遠鏡等で天体観測しているかもしれない。
いきなりぽんと出されたら…すわ異星人の襲来か!?と歴史が変わってパラドックスが起きるだろう…
未来において…山口戦や青森戦の人物を救助したのだ、
慎重にしなければならなかった。
まずは銀河英雄伝説の世界に出てから、
虚数空間から巨大輸送船を出し、キャーティアステルスを組み込む作業し、ステルス作動状態から引き込み、
GPMの世界へと渡る。
勿論、宇宙空間からいきなり地上にひらく事などせず、
ルーロスでもって大気圏へと移動した。
GPM世界へとわたりルーロスで衛星軌道上へと、ステルス状態の巨大輸送船を出す。
巨大輸送船内は以前注文した通り、病員船に準じた階層構造で、
床には一面救助カプセルが敷き詰められていた。
世界扉をひらくまえに人海戦術で搬送され、動作をまつ形だ。
何しろ膨大な数であり、10万人とくぎっても、100分裂体に別れて一人頭1000人の交換である…日々作業に追われていく…
……
九州熊本要塞では、常に戦闘ではなく、
日常生活をとりながら幻獣が出現したら急行する火消し役割的の5121の様な打撃役割部隊や、
警戒ラインの陣地に1日中張り付き問題がなければ交替部隊が来て引き継ぐ等警戒初動的役割部隊がローテをとり、
消耗した部隊等は再編をとる等行われている。
戦場で日常生活おくれる、中世でいうと城塞都市とも言えよう。
一番重要なのは補給線、攻撃の圧力に耐える城壁=陣地であり、
補給線は北に伸び博多経由で本土へと…
陣地は至る所にあり、特に阿蘇は重要であった。
…人々が寝静まり、警戒任務に着いた部隊は神経を尖らす深夜…
カオルの活動時間であり、暗躍していた。
回収作業にあたる100体の分裂体のある1体は、
目の前の学兵女子寮へとスネークインする。
(え〜と…ここの寮で…21人か…)
寮の壁にとりつき…
ピンク色の壁紙で睡眠している女の子…
青森戦前で回収したリストによると…
高橋敬子16才東京都出身、第3523少隊戦車随伴歩兵。
5月8日時点でMIA、
戦後九州撤退戦で死亡と判断、認定がおりる。
精神にアルミサエルで干渉し、麻酔かかったと同様に落しながら、
心を審査…
(合格だな)
高橋敬子を虚数空間に引き込み…
暫くすると、遠隔擬体の高橋敬子を引き込んだと同様の状態でカオルに引っ張りだされた。
跡形もなくカオルは次に…
一方、巨大輸送船内のカオル分裂体は大忙し。
まだ使われてないカプセルに入れ、擬体を虚数空間に送る作業を3分裂体でこなしていた。
……
そして今現在…巨大輸送船内では…
カプセルに入っている人以外はT-850以外いない艦内に世界扉が開き、カオルがでてくる。
端末をチェックしに…
「今日は216人か…」
この世界で死者になったカプセルを回収しにまわり、
回収を終えると世界扉を形成し…
またT-850のみになる。
巨大輸送船艦内は多数のカプセル内にガンパレ第6世代の学兵がラフな格好で入っていた…
……
さて九州中部戦線、熊本県を要塞化した戦線だが、
宮崎県や大分県、鹿児島県、長崎県等はどうなってるかというと…
まずお隣りの大分県と宮崎県についてだが、
大分と宮崎の県境にある天然の要塞を利用した絶対防衛線にて幻獣の北上を防いでいた。
リアル話になるが日豊本線で大分県から青春18切符で宮崎県にいくとしよう…
佐伯から県を越えていくのは日に3本しかない。
他は特急が何往復して多くて10本未満だ。
バスは昔は県越えの特急バスが走ってたが廃止された。
そういった不憫な交通網である。
道はというとリアル2013年であげると…
海岸沿いから途中山にはいる通行困難な国道388号、
日豊線沿いの大動脈といえる国道10号、
北川ダム側通る改良化され10号のバイパスと言えるようになった国道326号、
県道6号7号、海岸沿いの県道122号、
そして最近開通し初めてる東九州自動車道しかない。
勿論1999年時には幻獣が通りやすいまっすぐな高速は開通してなく…リアルでは建設されてたが、
GPMの世界ではまだ着手されてない。
よって…熊本戦時の幻獣移動ルートとしては…
ミノタウルスが踏み外しおちる国道388号…リアルでも大型車両は通行制限があり、1車線状態のと、
旧日向街道状態のままで幻獣も崖から谷底へと落ちる国道326号…
リアルでは1998年に新道への移行工事が終えたが、
幻獣との戦争で工事の着手はされず、まさに徒歩道であった。
ゴブリン等人間サイズ以下や同等なら問題なかろうが、幅員2mあるかないかの道で、ガードレールもないので…
ジャンプして跳び跳ねているゴブリンが踏み外したり、酔ってる者が千鳥足で谷底に落ちるだろう。
おなじく1車線状態の県道6号及び7号…地元では険道6道とも揶揄されていて、おなじく中型幻獣が絶対に通行できない。
トンネルもありその先には…はって途中でつまるだろう…
海岸沿いの県道122号…一車線状態だがまぁ…中型幻獣が1列なら通行できるか…だろう。
そして唯一中型幻獣も安心してとおれる国道10号、
それと曲がりくねった日豊本線含め6つの道しかなく、中型幻獣の通行が大きく制限されるため、
人類側は大分県から門司への侵攻防ぐ為に山地を利用した県境の防衛ラインを引いていた。
九州東部戦線ともいえた。
熊本から大分への県境はアップダウンは激しい山々なものの、
要衝という程地形に恵まれてはない。
竹田市、九重、日田に自衛軍は駐留はしてるも、
阿蘇が陥落したら必然的に大分県も陥落するとは予想できる。
ただ大分県自体は海に逃げれる利点もあり比較的民間人もおおいい。
宮崎県での海路避難が意外にうまくいき、更に山々に囲まれてる為に幻獣侵攻までは時間が稼げる。
特に別府温泉は重要であり営業中だ。
竹田市南西の温泉は戦線に近い事もあり休業してるが、
大分県の自衛軍は別府温泉を営業させる為にあるっていっても過言ではない。
リアルでは九州の各県、福岡を除くがよりも海路での交流が多い。
大分県は46便ものフェリーを四国や本州と結んでいる。因みに最短は国道94フェリーで約70分で四国までいける。
GPMの大分県は鹿児島から沖縄へ、台湾等に就航していたマルエー、マリックス、有村産業らから外洋船舶を購入。
改造を行い瀬戸内海航路に就役させていた。
福岡県から熊本県にかけては福岡以南は、
動脈線を集中的に警戒をおこなっている。
そして熊本要塞にいたるわけであった。
一方、宮崎県や鹿児島県はというと…
九州中部戦線に学兵を集中的に投入し、九州東部戦線に砲兵隊及び学兵を投入してたが、
門より南側に広がる広大な平野を維持はできなかった。
阿蘇山系や霧島山系から幻獣は降りてくる。
機動攻撃で撃退はするが維持はできずとったり取られたりだ。
よって無人の平野が広がっている。
長崎県佐賀県はというと…
一応疎開は進んではいるが島原や有明海に面する箇所にはまだ生産者が住んでいる。
有明海産の海苔は日本の4割を生産している重要産業であり、福岡県の沿岸部の生産者も戦場から遠い佐賀県側に移動している。
また呼子…よぶこのイカも、またカキの生産者もまだいる。
長崎県はビワがやはり重要であった。
……
さて…Muv-Luvとガンパレ、似ているが決定的に違う点がある。
その点から話をいれておきたい…今回の話の重要な話題だったからだ…
それは人間の死体の扱いである。
Muv-Luvの世界では人間の死体は資源としてBETAの胃袋に消える…
ので戦場にのこるはBETAの肉体が殆どであり、回収できる戦死者はすくない。
耐えた陣地にて見つかるや、機体の中にあるか?であった。
また汚染物質になっているケースが多々の為、現地にて焼却処分が主になる。
そういった意味あいでは迅速に処理され衛生的でもある。
一方、ガンパレ世界では…幻獣の死体は消えるも、人間側は残され、幻獣が残ってた場合には弄ばれる。
戦場に残されたままである…汚染物質と化してはない。
その為戦場で出た死体は持ち帰る事になる。
だが…いつでも持ち替えれる環境下にあるとは限らないだろう。
激しい戦闘最中の陣地移動や、撤退戦、
または移動手段喪失で徒歩で移動等…
その場合、認識標だけを回収し遺体はその場に放置する事になる。
そういった決まりでもあった。
認識標が首や手首にあるのは、そういった場合容易に回収できる箇所に…と由来するからだ。
さて、その後だが…そうやって残されると…
感染症の発生源となったり、関係ない一般市民がみつけたり、
友軍がみつけたら士気ががた落ちになるのは間違いない。
いや確定的であろう。
戦場で戦っている最中に、隣に腐乱死体、くさりまくっている死体があったら?
自分がそうなるのを想像して耐えられるか?
耐えても士気が下がるのは確定だろう…
その為まだ人類側影響下にあり戦場になりえる場合、
軍は可能な限り回収する事となり、
必然的に埋葬勤務隊が発生する事となる。
埋葬勤務隊とは…?
リアルのアメリカ合衆国軍でも存在している、勿論欧米諸国でもだ。
通常は小規模ながら常設部隊がある。
死体の管理、記録、喪報等を行っている。
で作業段階になると臨時の作業隊が組まれ戦場跡地へと繰り出す。
臨時の作業隊は、不良兵…営倉に入れる変わりに集めるが、
人出が足らない場合においては民間にも頼む事もある。
また捕虜を使役したり、高額の給金を払い現地住民を雇う事もある。
敵地の占領下におかれた時には、
回収の為の特殊部隊がわざわざ派遣される事もある。
しかし、ここはガンパレの世界、
その埋葬勤務隊は軍隊が行わなくてはならないが、
ある特定の常備隊がではなく、学兵で持ち回りで行われていた。
民間は絡んでない。
軍のみである。
いざっという場合対応できるか、できないかが大きくかわる。
また民間人だから殺さないでくれの戦時協定すらない幻獣相手だ。
なので民間人には協力頼めない任務でもあった。
そして被害が少なく、稼動状況が良好な隊が選択され…
また基本的に幻獣が発生しにくい晴れの日に行われていた…
この持ち回りの任務は拒否できない。
拒否したら自分が戦死した場合回収を誰も行わないという、
不文律があるからであり、
そのため粛々と戦場のあった箇所で埋葬勤務隊は活動していた…
……
戦場跡の中、トラックがスピードを出さずに走行していた。
乗っている学兵達は全員が全員、双眼鏡を使い付近を捜索している。
そして、何かをみつけたらしくトラックが停車、
ウォードレス姿の学兵達が降りてきた。
だがいつもと違い手には武器をもっていない。
火ばさみ、シャベルやつるはし、黒い袋を各々もっていた。
「集合!」
整列し…
「それでは戦場に倒れた友に対し黙祷を捧げる……黙祷!!」
黙祷を捧げ…作業が開始された。
そう彼ら、彼女らは埋葬勤務隊である…
学兵達だった。
激戦区となった箇所では殊更廃墟と化した構造材も崩れ落ち、
二次遭難を起こすかもしれない、そういった危険性があったからこそ、
軍は民間にこの業務を委託できない事情もある。
「あっ!」
捜索していた一人が何かを発見したのだろう…
「衛生兵!」と叫びながらかけよっていった。
「大丈夫ですか?」
駆け寄った先は生き残った学兵がいたのだろう…
「すぐに衛生兵がきますからね……ヒッ!」
抱き起こそうとした時、お腹から下がなかった。
下の部分は…倒れてきた構造材に潰されていた…
「………え、ご、ごめん…衛生兵な…なし…死者1発見!死体袋もってきて!」
任務を思いだし、黙祷を捧げた。
黒い袋とは別のジッパー付き死体回収袋に丁寧に収納する。
形がとれている死体は物ではない、死体だ…ちゃんと回収すべき場合は回収する。
問題は潰されてると思われる下半身だが、
ちゃんと回収を行う…黒い袋行きだが…
黒い袋は死体とみなされない。物扱いになる。
リアルの身近では人身事故の際に鉄道職員が線路から回収する袋だ。
ちと脱線するが、これらの話に似ているので付け加えておく。
基本人身事故では原型を留めない。
とくに入ってくる瞬間にパーンと当たる場合はそうだ。
はねた肉体は粉々になり辺り一面に内容物を撒き散らす。
白い脳みそなどもだ。
そのはねた肉片等はどこにいくか?
運動エネルギー等によりホーム上で待っていた人にふりかかる。
ペチャ…
肌に当たる感触…拭ってみると…赤い肉が……
阿鼻叫喚のホーム…
さてその後だ…飛び散った死体を回収し列車を復旧させなければならない。
救急隊も一応くるがタンカに載せてもくれない。
物だからだ…
なので駅職員が回収しにまわる。保線区の職員もだ…
チリトリ、箒、火バサミ、雑巾…
飛び散った肉片を黒いゴミ袋に回収し、水で清掃し血の後をながしてブルーシートをのけ開通させる。
同様に、ここ戦場の跡では原型を留めていない部分は、物として回収される。
特にいまやっと持ち上がった構造材に潰された部分等に関してはだ…
肉と思われた部分が黒い袋の中に回収された。
戦場跡には死体だけでなく、武器や兵器も廃棄されて残されている。
いや廃棄は不適当だ、放置だろう。
しばらくすると…連絡を受けた独立整備隊の戦車回収車及び、トラックがくる。
かれらの目的は戦場に放置された人間側の武器の回収、キャリアの回収であり、
回収したキャリアは整備工事に送られたあと、レストアされ再び配給される事になる。
不謹慎だが事故車とか分別できず損失した分をまた1から作る余裕もない。
日々こういった回収任務は大切な事であった…
日本には無駄にできる余分な兵器はない。
鉄屑となっても再生する必要はある。
海外の人類側拠点からまだ輸入されてるものの、それ程在庫もない。
GPMの世界では、AL4の世界より状況悪く、人類に残っている側はアメリカ、南アフリカ、南アフリカの一部しかない。
特に鉄鋼石の生産数は合わせて2億tほど…
リアル2007年の算出数からみて10%程だ。
ブラジルの半分やオーストラリア、インド、ロシア等産出国2位〜6位が幻獣勢力下におちてるのが影響がでかい。
AL4の世界ではブラジルとオーストラリアの2位3位が人類側勢力のままであり、
最大産出国の中国は2001年時点ではBETA勢力下になってたが、
リアル2007年時点では中国からの輸出がほぼなく自国消費にとどまり、
また品位もかなりしたなので影響はないだろう。
GPMの世界では戦線がかなり限定されて何とかたもっているが、
鉄鋼石不足は深刻だ。
更に日本の財政も既に赤字状態。アメリカが大量発行される日本国積を大量に買い上げ、
それで日本の経済を支え、資源を輸入している状態であった。
まだ弾薬を作る分は自力で製造できよう。切り詰めては…
しかし兵器を作る分はほぼアメリカ$マークが入っているも同然だ。
更に輸出する相手もなく貿易で稼ぐ事すらできなく…お金は出るばかりであり、
また戦争によって消費するだけであった…
まだ他の海外が人類勢力圏にあれば事情は違っただろう…
国内需要以上に海外に供給する事ができた筈であった…
また…自衛軍の大量に失われた兵器群の再建もある。
とにかく現状日々の来襲に堪えるだけの兵器供給がおいついていないので、
現地再生はすごく大事だった。
歩兵が多かったのはこういった事情もある。
もちろん…自走可能なのは自力で帰っているので、ろくでもない状況の車両が多い。
「どうだったか?」
「ん〜、とりあえず牽引には問題ないね」
中から黒い袋を大きくした学兵が出てきた。
「これなら現地分解回収の必要もないし、
あとはこびりついたのは工場にて清掃してもらわなければならないけど、
内装交換って事で修理は早いかな」
「あ、頭ついてるぞ」
「ああ、ありがと」
既に死体を見慣れている学兵だろう…
とくにスカウトなら激戦区において、
耐えられるだけの精神をもっていなければ…生き延びる事はない。
とったピンク色の肉片を黒い袋にいれる。
「あとは…あの穴を塞げばかな」
「キメラにやられた穴だな」
「内部だけど、生きながら焼かれたようだよ。
シートに死体が座ってなかったから、ハッチから脱出しようとして焼かれて死んだんじゃ?」
「うわ…酷いな」
「一瞬で死ななくて、高熱にさらされてハッチまで辿り着けずに…肺の中も熱風で焼かれて…」
「我等スカウトでよかったよなぁ」
「だなぁ…キメラのレーザーあたったなら一瞬で死ねるし」
「ま、その前に身体でよけるか」
経験豊富なベテラン兵?というべき学兵が、物騒な話をすすめてる。
「おーい、こっちに廃弾が大量にあるぞ」
幻獣に当たらなかった不発弾や、
幻獣に命中し炸裂した弾の残骸も回収対象になる。
また徹甲弾も命中、非命中にも関わらず回収、リサイクル対象だ。
勿論一度溶かしなおしてから始まるが…
ただ対戦車榴弾の不発弾に関しては爆発の可能があり要注意だが…
……
牽引ウインチを接続させた兵から合図が出て、回収車のガスタービンが唸りをあげだす。
しかし、中々動きだそうとしない。
「何か引っかかってた?」
「いや…引っかかっては無いはずだが…」
突如として牽引車が動き出す。が、パワー入れすぎていたため弾けるように動いた為、
慌ててつんのめるようにブレーキをかける回収車。
牽引車に振り回されたら目もあてられない。
多少の時間差でもって牽引車もとまった。
「あれ?あんた?…危ないぞ」
牽引車から誰かがのぞくように顔をだしているのが気がつき声をかける。
「はやくおり……え……」
顔をだしている箇所はハッチではない…車体からだ…
つまり本来身体がある箇所に車体がある…つまりそういった事であった。
気がついてない回収車が再度引っ張ろうと車体をゆらす。
揺れた車体から切断され顎から上だけの顔がコロンコロンと転がる。
転がった顔は車体の下に落ちタイヤに、
ぷちゃ
踏まれ潰れた。
……
任務を終え、高校に戻ってきた時にはあまりの猟奇的惨状により、
二通りになっていた。
精も根も尽き果てていた者達…
ケロッとしている者達…
ケロッとしている者達はまさにベテラン勢、
尽き果てた者達は整備や補充で途中加入の者達だった。
つまりは…過酷な戦場を生き抜くには…
猟奇慣れが必要であった…
何しろゴブリンどもは人間の死体を見つけると、
生け花のように飾りたてる。
死体の部分だけを使い…
内臓から腸をだし、腕にくくりつけ立てたり、生首を並べたり、
胴体を上下逆さまに飾りたてたり…
……
4月初旬を迎えると、3月に熊本要塞でのの学兵男子平均1500kcalだったのが若干好転、
平均摂取2000kcalまで上昇していた。
全ては奇跡の5121小隊の活躍が影響していて、本土からの輸送の安定化がみられた。
5121小隊に限っては戦死者数0、
熊本県民の希望の星になっている。
その中でも、3号機の戦果が大きい。既に撃破数は150越えていた。
だが殆どの小隊においても、4月に入った1月間で戦死者を発生させていた。
何しろ学兵が明日には骸になる状況は変わらず、今日も新設の訓練もろくに受けてない小隊が、
書類上だけになるのは全体的にみてもごくごくあたり前だからだ。
戦況的熊本要塞では人類が若干有利であった。
だが若干好転した状況でも…戦力評価の低い小隊や中隊には戦力評価並の待遇しかない…
それは軍隊にとってはごくごく当たり前の事かもしれない。
その小隊の陳情書はかなりの頻度で却下されていた…
肉食いたい…小隊に所属している一員の願いであった。
陳情内容は配給に肉を!!…しかし却下され続ける。
しかし今日は…
「お〜い特配鍋あるねぇ〜今回は肉付きある」
「なにぃぃぃ!」
「にくぅぅぅ!」
「うまいもんだぁぁ」
広東で修業した日系中国人が中国撤退前に日本に逃げ込め、
この学校の食堂に雇われて、学兵達の味を楽しませていた。
彼によると少ない食料で満足させるのを生きがいとしている…
「うまいうまい」
「まいう〜」
「ねぇこれ、なんの肉?」
「マトンらしいぞ」
「マトンって羊のだよね?こんな味だったかなぁ?」
「合成肉だから変な味するんだろ」
「ん〜みょうな味だなぁ…」
「まぁ久々の肉だ、いつも食べれるように、
戦力評価あげなきゃならんだろ」
「だよね」
その小隊の属している学校では飼い猫がかわれていた。
しかし…その日から見たものはいない……
さて食堂の料理人が修業したのは広東料理。
広東人は伝統的に猫を食してきました。
猫食文化があります。
竜虎斗…これも有名な料理であり、虎に例えた猫肉と竜に例えた蛇肉を、
生姜、サトウキビで臭みをおさえてあえた料理だそうです。
つまり猫と広東人はきっても切れない関係であります。
そして名物でもある活猫水煮。
滋養強壮、消痰等効果があるそうです。
調理法はいたって簡単…少し時間を巻き戻しましょう。
……
「ほ〜らタマやタマおいでぇ〜」
「ミャ〜」
餌をくれると思ったのだろう…男性に近づく猫のタマ。
「ミ゛ャ?」
タマの首後ろを掴みあげ持ち上げ…
ぷら〜んと吊される。
「ミャ〜ミャ〜」
何すんの〜とばかりうるさく足をバダバタさせるタマ。
それに対しタマの様子をみて一言…
「ふむ。食べ頃ね〜」
厨房へと足を進める。
タマは、
「ミャ〜ミャ〜」
と離して〜とばかりに可愛くジタバタしている。
「ミ゛ャ?」
まな板の上に抑えつけられるタマ。
男性は右手に棒をもつとタマの頭に…
「ニ゛ャァァァァァ」
叩きつける。
「ニ゛ャァァ…ァ」
何度も何度も頭を叩く…
「こんなもんね」
「ミ……ミャァ…」
何度も頭や身体を叩かれかなりの出血で最早瀕死の状態、
タマは助けてとばかりに声をあげる。
タマを掴むと…グツグツと煮立った熱湯の中に…
「ニ゛ャァァァァァァァァァァァ」
生きたまま投入した。
「ニ゛ャァァ…ァ」
タマを叩いた棒先で何度も熱湯の中のタマを小突く。
タマは絶命したのかもう声をあげなくなるが何度も熱湯の中で小突かれてく…
タマだったのを熱湯から出すと、脱羽機にいれ、猫毛を機械によって脱毛してく。
鶏等の処理にもしようされてる一般的な機械である。
暫くして毛を処理された元タマを取り出し、
調理台で皮を剥ぎ取り、
タン!
勢い良く首を落とし、流れでる血を集めながら、
内臓を処理しぶつ切りにしていく…
中華包丁は骨も切断し、ぶつ切りにした肉や骨や頭を鍋へと投入し…
血をダシとして鍋へといれ…
……
リアルの世界では猫を食べないでのデモが、
真面目に広東で北京地方の人により起きています。
広東地方に旅行にいって、
もてなしに出てくる肉は猫肉と思っても…
猿の脳みそよりかはましでしょうか?
「何の肉なんだい?」
「日本はまだ天国ね。食材が探せばあるから」
「で、何の肉?」
「虎ね〜おいしかったかい?」
「へぇ〜…虎??…どこにいたのだろ?」
繰り返すが猫を尊厳させ虎と広東ではそういってます。
タマは彼らの生きる糧となりこの世から消え去った。
本来タマはプータに連なる守護者であったが、
流石に不意に抑えつけられた状態ではどうしようもなく…
日本でも古くは岡ふぐ…
陸の河豚肉、つまり猫の事で猫食文化はあった。
夏目漱石の吾輩は猫であるでも食べらる習慣の記述はあり、
猫の事をおしゃますともいい、おしゃます鍋…猫の肉をつかった鍋の事でその言葉が残っているのが。
江戸時代には一般的には犬猫は食わないものとして認識されてた記述がある。
天明の大飢饉で米の値段があがった時に犬猫の肉の値段を出せで暴動がおきたからだ。
だが昭和の戦後まもない困窮時に作家が食う記述もあり…
……
寸劇風後書き
作者「ガンパレ九州熊本戦編、水煮活猫をお送りしました〜」
ナギ大尉「……作者…何故こんな悲惨なのをいれるのよ〜」
作者「戦争は悲惨だからさ…」
ナギ大尉「……ネコ鍋もう見れない…可愛いのが実際に煮られるなんて…」
作者「だろうなぁ…Googleで水煮活猫検索した画像見ると更に悲惨な事に…」
PCで検索し…ナギ大尉に見せると…
ナギ大尉「ギャー!!……な、なによこれ…見せないでよ!」
作者「という反応になる次第です。
というか屠殺現場がのってるとは…
韓国は犬鍋が有名ですが、
生きながら熱湯でと、ここまで残虐には…
あ?ナギ大尉?」
トイレに向かった模様。
作者「え〜…次回ガンパレ九州熊本戦編、薄氷の撤退戦…お楽しみにぃ〜
完結まであと?」
H26年3月改稿
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