第033話 惑星ドル編02 惑星ドルへと…


ハイパースペースにルーロス改は突入した。
約2時間ほどの無敵超光速航行時間とも位ってよいだろう。
その間に…

「でだ、惑星ドルの調査の進展は?」

『今のところ…』

向かっている最中にレポートをしてもらう。
翻訳に関しては惑星コムネスでの反省点から上空偵察から集められるシステムを構築、
うまく収集できてるらしい。


『食料に関してはどうしてもわからないんだよね〜』

「沢山の人口を養える食料生産方法がか…」

惑星を観察しているかぎり水田が見当たらないという。

勿論、陸稲という手段もあるので播種率が低いからという理由は成り立たないが…

ただし陸稲は畑で作られるために連作障害を起こす。
水田は灌漑水による土地成分の入れ換えの為に連作障害が起きない。
因みに古代のエジプトは、ナイル川の氾濫により上流から新しい土が毎年運んで入れ替わっていたので連作障害が起きなかった。
だが水没しなかった畑は起こる可能性はあったが…

メリットがある水田だが、水田耕作するには条件もある。
年間降水量が600mmが灌漑米作と麦作の境界線になり、世界平均で見てみると807mm…
カナダは507mmで米が作れない国になり、日本は1,718mmと水資源が豊かで、
アメリカは国全体でみると715mmとかなりギリギリのラインになる。

惑星ドルは条件を満たしながら水田もなく、畑だけであるため連作障害の可能性がある麦畑がメインでと考えられる。

麦は生産限界は年間降水量500mmであるが、
灌漑設備が整っている場合は、さらに乾燥した地域でも栽培できる。

さて麦畑として農家1家が管理できる広さは…
機械化されてない状態で、0.2ha=2,000平方m、
脱穀技術が上昇で1ha=10,000平方mまで広がる。

昔は脱穀作業が非常に辛い。1穂ずつ手でほぐして麦の実を穂から落とす。
1穂程度ならまだ文句はないが…
1穂に今現代なら36粒程なって、1粒は0.03〜0.04…
つまり、1.08gから1.44g、1haが300kgとして、5分の1、60kgから約6万穂を手揉みで脱穀しなければならない計算だ。
今の品種で36粒であり…昔だと1穂あたりの実る粒が少なく、更に重量が下がろう。
……つまり手揉み脱穀の穂数は更に増えよう。

古代日本では1穂に実る粒数が多く、手揉み脱穀では追い付かずに、
脱穀作業はつき臼、こきばし等で穂から実を落とす作業が行われた。

一方ヨーロッパでは1穂に実る粒が少なく手揉み脱穀が長らく続き、
選別作業に脱穀用フォークが導入され、
更に脱穀用バスケット…日本名では箕が導入され、
やっと1農家あたり1haの広さが管理できる状態になったと言えた。
箕は長らくヨーロッパでは1800年代まで使われていた。


麦の必要量は、農業従事者として1日3000kcal、小麦粉換算で1日約0.9kgになる。年間328.5kgの消費だ。

日本人の20歳以上平均が1日1900kcal位で、更に1100kcal消費しなければ成らなく、
いかに農業は苛酷というのがわかろう。

…パンだけで必要カロリーを補うのは結構大変で、
3食、毎回食パンを1斤摂取しなければならない。結構大変だ。
常識的に考えて無理ともいえよう。
日本人ならご飯に味噌汁ぶっかけてだけでいけるぞ!と言う人がいるかもしれんが、
それでも味噌汁からカロリーを摂取している。

なので、約5割5分の年間180kgの消費と考えよう。


惑星ドルの人口は調べた結果推定約4億5千万人、
年間180kgでかけると、
年間8100万tの小麦を必要としていて、
1haあたり年間1t+種籾0.1tとすると、
必要農地面積は8910万ha=89.1万平方kmの値が出される。
フランス本土面積が543,965平方kmだから約2倍以下と、まだ非現実的ではない。

世界の小麦作付面積は2014年度で22,290万ha=222.9万平方kmだ。
勿論今の平和な面積と比べると約半分の面積あたりになる推定だろう。

だが、播種率が0.7や0.3になってくると更に面積が要るようになってくる。

更にはだ…その面積での必要農業人口を考えてみると…
1農家は5人で管理しているので、

コバッタから告げられた耕地は柵内が多く、合計して約1万平方km…
過剰な農業人口をだし、とてもでないが生産して養えないという上空からの調査結果となっていた。

更には…先の計算から削った分…おかず部分のエネルギー、先の味噌汁ご飯でならば味噌汁をつくる耕地も必要となる。

先の惑星コムネスでは肉が主食だ!肉を大量にとっているんだ!
小麦なんか栽培してないんだ!!

さて…先程の残り分、1400kcalを肉で補ってと仮定しよう。
約4億5千万人分、6300億kcalの値が算出され、更に年間229.95兆kcalの値がでる。


最近農家の作物を狙ってくる本州野生のニホンジカ…
鹿肉を狩って肉をえる…で考えてみよう。
残虐だとはいえなく、最近では深刻な被害をもたらす害獣といえる存在になりつつある。

適正個体数であるなら益獣ではあるが…

1989年にはニホンジカは約35万頭だったのが、増えすぎて推定数とせざるえないが2012年には推定約249万頭、
実に約7〜8倍、深刻な自然破壊を引き起こしている。

例えば観光地の天然記念物群生群、世界遺産・京都市北区の上賀茂神社の摂社の大田神社、
国の天然記念物・カキツバタ群落も鹿の被害で今年は2割以下しか花を咲かせなかった。
南側は市街地であるもすぐ北側が山であり、鹿が身を隠せる環境下にあるのも理由の1つだ。
農作物がないから美味しそうな花のつぼみを狙ったわけだ…

1960年あたりでは狩猟ブームで確かに大激減して、いつかは全滅するのでは?と危惧され、
保護政策がとられて全面禁猟を始め、猟期の短縮、保護区の拡張、または銃所持許可の規制強化等、
野性動物を保護するために徹底した狩猟の緊縮が行た。

そうすると…増加数を見誤ったばかりか天敵たる本州の狼が全滅したばかりに…
元々捕食者たる狼に対抗するために高い妊娠率を誇るニホンジカ。
1年たてば妊娠可能で2年以降毎年のごとくポンポン産んでしまう。

狩猟資格者も規制前最大の1970年に約52万人だったのが、
1985年約31万人に減り、かつ20歳代〜30歳が1万人以下になり…
農業被害が表面化した2000年には、
狩猟資格者が約21万人かつ、高齢化により60歳以上が70%を占めるようになっていた。

温暖化により越冬が容易になり、天然林の伐採で下草は増え、
林道は牧草をもちいて保護し、山間地の牧場やゴルフ場開発で餌がふえた。
また狼の全滅、狩猟人口減ばかりか山間部の人口減で全面的な狩猟圧減で鹿は増える一方だ。

現状では狩猟銃資格は10万人を切って、
罠資格者が8.7万人だが、大抵は重複登録なので、実質上14万人以下であろう…

なおかつ平成21年度の銃刀法改正で、猟銃所持更新の度に精神鑑定が必要になってしまい…
更新をしない宣言している銃狩猟者もかなりいる。

さて肝心のニホンジカの肉のカロリーになるが…100gあたり109kcalなので、
そこに先の必要カロリー、229.95兆kcalを換算すると、
210.96兆g=2109.6億kgの値がでる。

27月齢の体重66.0sの雄の鹿からは…
肉量は肩肉6.9s、ロース2.5s、ヒレ0.5s、
モモ肉10.0s、バラ肉5.1s、その他1.3sがとれる。

モツに関しては新鮮なうちに調理や冷凍処理しなければならず…まぁ…すてざるえないだろう。

さて、鹿で26.3kg計算でいくと、
年間80.21億頭仕留めなければならない。
……地球人口以上の数値となった…
現在のニホンジカ推定数、249万頭以上だ。

なぜと思うが…純粋に可食部のカロリーが足らないからとしかいいようがない。
健康すぎる、低カロリーすぎる、ヘルシーすぎるからだ。

牛や豚、鶏等にすればかなり頭数はへるだろう。
参考までに2004年の世界の数値が、牛が1億4700万頭、豚が13億2200万頭、
鶏が376億羽にはなる。

惑星ドルの住民は4億5千だから単純に10分の1以下の計算になるはずだ。

牛が意外に少ないじゃないかと思うかもしれんが、牛1頭毎食調味料つけないで食べ続けて約半年超のカロリーをおぎなう。

牛は重量800kgから200kgの可食部がとれる。
牛1頭の総カロリーは71万3432kcalになる。ざっと100gあたり355kcalで、237日という計算だ。
1470万頭で、10兆4370億kcalにはなる。


豚の場合…120kgから72kgの可食部がとれ、208,800kcalになる。
ざっと100gあたり290kcalで、69日という計算だ。
1億3220万頭で、26兆4400億kcalになる。


鶏は部位によってちがう。が一番高いのが皮の部分でまるごとローストチキン、2kgの場合およそ3,000kcalという数値がだされる。
ざっと100gあたり150kcalで、1食で1羽の計算だ。
ササミなら100gあたりのカロリー105kcalだぞ!と…けどまぁざっとまるごと計算なので、ご了承を。

37億6千万羽で、11兆2800億kcalになる。


約47兆kcal…あれ?約160兆kcal足らない…計算になってしまった…
約5分の1の量だ。

肉だけで243kcal、
足りないカロリーは野菜や魚やラードや調味油からとすると…
調味油が大さじ1、12gで111kcal。
トンカツやらが小さじ4なので油分だけで148kcal、
チャーハンやかき揚げが小さじ5なので、185kcalつかう。
なので年間鹿だけで、16億頭計算だ。

牛、豚、鶏で計算しろよと思うかもしれんが、大量に餌を必要としている。
大量に屠殺できるには大量に飼えるシステムが必要で、広大な用地または養鶏所の用な工場型畜産でつくらざるえないだろう。


大量生産可能な工場型畜産に関しては膨大なカロリーを牧草ではなく、穀物等も餌として与える必要があり、

まず牛は10kcal分のとうもろこしを食べて、1kcalの身体を作り出す。
肉1kgを作るのに、10kgの穀物を余分にひつようとするわけだ。
1日に十数kg食べて、大体30ヶ月で出荷される。
乳牛の場合は更に増え、牛乳1日20kg出すのに餌は30kg必要とする。

豚は4kgの餌を摂取して肉1kgを作り出す。
大体1日2〜3kg食べて、6ヶ月110kgで出荷される。

鶏は2kgから肉1kgを作り出す。
1日あたり115gの餌、280kcalをひつようとする。
作り出した穀物を餌にするには非常にコストが悪いのがわかろう。

牛は草食、豚と鶏は雑食なので自然放牧でと考えよう。

肉牛の完全放牧に必要とするのは1頭につき1haの草地を必要とする。
冬季の分も牧草と考えると、1.3haの草地を必要とする。
ほぼ甲子園球場の広さとおもってよいだろう。
これにより穀物は必要としない。

ただし…和牛は500万頭近く飼育されているが、日本には草地は80万ha分しかない。
穀物飼料に頼らざるえなくなる。
さっきの数値より少ないと思うが、和牛屠殺数は年間で127万頭、500万頭以下になる。


それ以外に豚、鶏分の土地も必要とする。
図体のでかい牛と違い、豚と鶏は草地でなくともよい。森林でも可能だがその場合は野犬対策が必要になる。

豚の場合…日本では放牧しても餌も必要とする為…安い配合飼料に頼ってしまう。

有機豚認定が少ない理由の1つでもある。

有機畜産肉は、
野外に自由に出入りさせる事、もしくは週2日以上野外に放牧する事。
飼育中に遺伝子組み換え飼料を与える事は禁ずる。
基本的に成長促進や予防接種等の抗生物質を使用することも禁じられている。…疫病発生時や病気治療の為は可。
といった厳しい認定ですくないのがわかろう。

残飯やおからくず等配合飼料に頼らない放し飼いならばうんちも匂わず自然に帰っていく…
面積は山林3ha、休耕畑2haで90頭といったところらしい。
1頭あたり山林3a、休耕畑2aと残飯といったところだ。

完全林間放牧、自然食のみだとイベリコ豚の規定が参考になろう。

イベリコ豚の最高品質ベジョータが、ドングリの森での放牧肥育で1haあたり2頭以下、生育期間14ヶ月以上、枝肉重量117kg以上、規定栄養素以上と法律できまっている。
かつ放牧期間中の餌やり禁止だ。

餌を与えたりすると1つ下の階級のレセボ・デ・カンポ、
上記条件満たさない場合や、
放牧面積1haあたり15頭以下、餌に天然穀物、生育期間12ヶ月以上、

更に緩いのがセボで、生育期間10ヶ月以上、天然穀物飼料が最低条件となる。

これから考えると1頭あたり0.5haは必要といえる。


鶏は自然地鶏が1羽あたり10平方mで美味いとうたっている。
ただ、自然餌ではないため、14ha内に牛30頭と300羽では鶏もまだ餌が必要だ。

惑星ドルには街や村の柵の内部にはその様な広大な面積もなく、林間放牧となると天敵たる狼等もいよう。狐や野犬もいよう。すぐに全滅してしまう。
いや、逃げ出してイノブタになるケースもあるが、殆どは死滅するから安全な柵内にかわれている。

結局のところ豚の多くは、雪の降る厳しい冬の前に屠殺された。
これは冬の間は残飯たる飼料が不足して家畜は生き残れない為に、
冬に向けて燻製や塩漬けにして保存する為だ。
だがそれでは永遠に家畜の数は増えず、結局は不安定な肉の供給循環となる。

広大な牧場もなく、餌を供給する能力もないと思え、
家畜たる牛や豚、鶏が食肉として大量流通するとは考えられはしない。


他に狩れる猪、野うさぎ、熊、野鳥等は?になるが…
野うさぎ、野鳥は身体がちいさいので、

猪も先の本州鹿同様、農家の作物を狙ってはくる。
罠によくかかっていて…

因みに罠と思い付くのがトラバサミだが、現在基本的に使用禁止で、
自治体により許可されてる場合に限りゴムによる緩衝材付きならば使用ができる。
ノコギリ歯使用は日本では使用禁止の法律違反になっている。

で、トラバサミの代わりに罠猟ではくくり罠、あとは別の方法の箱罠で捕獲し締めて解体し肉にする流れだ。

締める際には様々だが最近はスタンガンで気絶してから切るのが主流だ。

締めたら直ぐに血抜きはしなければならなく、血抜きせずだと獣臭さが残って、更には内蔵の膀胱などを破いてしまうとだいなしになってしまう。

猪は100gあたり268kcal、成体で50〜150kg、その体重の内1割近くが内蔵、
5割近くが肉となる為…
平均100kgとして、約50kgの肉がとれ1頭あたり13万4千kcalとなる。
47兆kcalだと3億5千万頭になる。
1回の出産で5頭〜12頭を産み…1才になるまでに死亡する頭数が多いらしい。


猪100頭狩れる間に1頭の熊が狩れるという大型種の熊。
日本では本州以南にニホンツキノワグマと北海道エゾヒグマがいる。
ツキノワグマとヒグマじゃないの?だが、大陸のと遺伝的に別の種として進化している。

まずニホンツキノワグマだが平均個体がオス80kgメス50kg、最大で130kg、記録上は220kgもあったが、
大陸のツキノワグマ、別名アジアクロクマに比べて小柄だ。

エゾヒグマは150kg〜250kg、記録上は400kgのもある。

双方とも雑食性で主に植物を食べるが硬くて繊維質のあるのはさける。

エゾヒグマは現在2000頭以下で絶滅危惧種だが有害駆除許可で年間400〜600頭が殺処分されている。
冬眠時に1〜3頭が産まれ、狼がいない現代、野犬が居ない限りすくすくと育つ。
市街地にエゾヒグマが出没する現在…その個体数が限度と言えよう。
熊の天敵は狼が居ない今、人間と他の熊。
特に他の個体雄子熊は自分以外の子孫を残すので邪魔な対象といえ、
母熊は他の熊に近寄よらず子熊をそだてる。

熊は100kgの場合60kgの肉がとれる。
ニホンツキノワグマの場合は平均個体雄48kg、
熊肉はなんと100gあたり38kcalとヘルシーすぎるので…
1頭あたり1万8240kcal計算になる。
…47兆kcalとるのには猪よりも増える計算なので…

肉の味は生前なにを食ってたかによりかなり味が違い、特に美味いのが通称穴熊、
冬眠に入った直後及び直前といわれる。
ドングリを食べて脂肪を蓄え、さぞかし美味しいだろう…
今度栃木に食いにいきたい…

「野生の肉を狩ってるのかな…」

『足りない分はそうとしか思えないね。どっかで摂取しているはずだし…
それも調べてね。マスター』

「あっ、そうだ…SPGはそのまま惑星ドルに?」

『それなんだけど…』

前もあげていたが、銀河鉄道車両が使うワープは対消滅の危険がある短時間型方法で、
別空間航法というべきフォールドやハイパースペースとは危険度は計り知れない。

緊急的に急行するB1の原型、銀河鉄道世界のSPD車両は、
銀河鉄道運行監理局の管理のもとデブリ監視されて安全な長距離ワープを行っている。

だが、AL4世界においてはデブリ監視網はまだまだだ。
前回急行できた理由はB1の通った経路通りにいったため時限的に安全が確認されたから急行できた次第であった。

惑星ドルに常駐はできないが、監視衛星投入で経路を確保したい意向で、
SPGは1度帰還、再導入投入できるのが、2日以降は経路確保見込みの2週間以後の話になる。

「あっ、攻略されたハイヴについてなんかわかった事は?」

『それなんだけど…』

映像がうかびあがり…

『こんなのがいて…』

「ナニコレ…?」

ひとことでいってしまえば、四本の腕を持つケンタウロス。

下半身は馬のような四足、馬の首の部分に人間型の胴体、
腕は肩の部分からと人間で言えば肋骨部分から腕がはえている。
上腕下腕といった方がよいだろう。

兜を被り、胸もとから馬の背中にかけては、革鎧を着込み、
上腕に弓と矢を持ち、下腕で剣と盾を装備している。

『攻略済ハイヴにBETA師団群が来ていて、気がついたらこれらがいた』

「惑星ドルの監視網まだ完全でないからな…でも弓だろ?」

弓の射程は数百メートル、基本的に55mあたりが動いている目標に対しての数値であり、
突撃級からすると1.1秒程度で駆け抜ける距離だ。

師団規模中約4,200体の突撃級が接近、常識的なら突破し蹂躙されるだろう…

何故コバッタがわざわざ報告してきたのか…と思ってると、
四腕馬兵が弓に矢をつがえ構えると…矢が炎を吹き上げる。

「ん?…油でも塗ってる?」

矢が放たれると、炎の矢は一直線にBETA群へと吸い込まれていく。
突撃級の甲殻を楽に貫き大地に突き刺さると、
ワンタイミング遅れて突撃級群の中で巨大な爆発が起こる。

「あっ?」

爆発に巻き込まれた突撃級が吹き飛び、巨大な煙があがり、雲になる。

「魔法系の爆炎矢か…」

跡地はクレーターとなり、爆心地近くは四散した。突撃級の対比で50mクラスのクレーターができてるのがわかった。

「爆弾以上の爆炎矢かよ…しかも10km以上の射程?」

縮尺で戦場全体になった為に距離はわかり…
カオルもチートで使徒ラミエルの加粒子砲を射つことができ、
それよりかは威力が劣るが侮れない攻撃手段といえた。

『推定全高6m強』

「あの四腕馬兵が?」

それが戦場に100体近くいる。
装備している弓は身体にあわせた強度があると思われ、その為に10km以上という距離を放たれるのだろう。

次々にはなたれる爆炎矢、矢は矢筒から次々手にとり放たれ、
矢筒になくなったら傍らに置いてある矢筒を交換するとは思える。

10秒に1投射間隔ではなたれその都度、数匹巻き込み爆発する…

突撃級は四腕馬兵に到達する前に全滅してしまった…

「……この星の人類侮れないな…」

『いや、人類勢力ではないかなと…』

「ん?…第三勢力?人類と敵対」

『敵対かは判断つかないけど、だと思うね。傍らには動物や人類外としか思えないのしかいないし』

四腕馬兵の側には…狼、そして…二足歩行だが、
人とは明らかに違う顔つき、牙をはやし、角がついている鬼がいる。
鬼は武装姿で鎧を着込んでいた。

中衛が接近…
四腕馬兵が爆炎矢をはなつ。

『あっ…重光線級いた…』

「えっ?…マジ?」

『うん』

光線級からはなたれたレーザーが四腕馬兵に到達したが…
下左腕の盾で防いだ。

防がれたのを気が付いた光線級は若干射角をずらすが、
追従して四腕馬兵は盾をずらす。

光線級からのレーザーを契機に四腕馬兵が駆け出した。

「速い…なんなの?あの生物は…」

時速約300km以上を陸上を四足で走って出している…

光線級のレーザーを防ぎながらまた爆炎矢をはなち、
更には…下右腕に装備している大剣を構えて薙ぎ払った。

「かぁ……」

大剣の範囲だけでなく、その剣から放たれた真空波というべきか…
遠距離広範囲剣撃で、周辺BETAが一掃される。
大地にあたった箇所も1m以上もの黒い溝がうまれる。

「無双状態かよ…生身で…」

四腕馬兵が切り開いた傍らに、
狼がかなりの速度でかけていく。
こちらも時速400km以上出しているのだろう。
体格のでかい戦車級にその速度で突っ込み、戦車級が負けていた。

重光線級からのレーザーが放たれ、四腕馬兵は盾で防ぐ…
盾は赤熱化することなく防ぎきって…

ほぼ戦場推移は決まったような状態になっていた。

「四腕馬兵、生け捕って研究してみたいな…」

少なくとも強化前の戦術機ならば一蹴されるであろう。

異世界軍の戦術機では…捕縛は難しすぎると思え、特機にて捕縛できるクラスと思える。

『マスター、頑張ってね』

「ああ」

まもなく惑星ドルへと…

…………


≪本来であれば現地通貨や単位が有りますが、日本通貨、単位になおしています≫


ハライドのダンジョンの入口は中心部にある。
ダンジョン農法後にダンジョンが発見されてから街がつくられた形だ。

まず街の中心部にダンジョン入口があり、街壁で囲まれ、住居区画や商業区画がある。

外街壁の外は魔物が生息するフィールドとなる。


「よし、出発するぞ」

「サモンゴーレム」

平荷車に乗りながら、召喚したゴーレムを荷車を引かせながらダンジョンストリートへと…

荷車は移動手段の他に、倒した魔物素材を運搬するのに必要だ。
生物系魔物は極上の肉になり、無生物系魔物は資源になる。
流石にゴブリンは人種に近く、筋肉も旨くないと知れわたり食べる気はしない。
豚の魔人種ブータは美味しい味がする。
最初は皆も人型に抵抗あったようだが、食ってみたら美味いが伝わり、今では普通に食べられる肉であった。

別に担いで運ぶのもできるが、体液がたれたり、また身体より大きいのを持ち上げようにも引きずって傷つけてしまう。
4人で四隅持ち上げればだが、4名が運搬に拘束されよう。
なので面積拡張できる平荷台がひつようでもあった。

行きは夜営やメンテに必要な器材、食料以外は空いてるため長距離移動てがら皆が乗っていく。
25階層突破パーティで召喚魔法を取得してれば大抵の者がその様な形をとる。
襲ってくる魔物がいるが低階層のゴブリン程度ならば、襲ってきた時に対応しても寝てなければ充分間に合う。

サモンゴーレム、土のゴーレムを召喚する魔法で、一般的な力使役によく使われる。
ダンジョンパーティでは主に荷車を引く要員として使われ、
これによりパーティメンバー全てが即戦闘態勢へと移行できる。

ダンジョンストリートは荷車で混雑している。
この街及び他の街の人口の食料、資材等がダンジョンからほぼ出荷される。

小麦を始め、キャベツ等の野菜類、魔物肉、魔物魚や通常の魚類、大豆などの豆類、卵、乳、果実類、塩等の食品類、

石、鉄や銀、金、ミスリル、宝石等の鉱物資源、
木材、皮、鱗等様々な資源を乗せた荷車がダンジョンから出荷され、大口市へと流れていく。

ダンジョンへとつづく下り坂道をくだって、地面の下のハライドダンジョンへと入っていく…

といってもまだ1階層はのどかな開拓された麦畑風景だ。

馬にひかれた乗合馬車にのり、街からダンジョン内農地に向かう農民たち。
時期をずらし収穫されている小麦が大量につまれて脱穀作業場へと運ばれていく。

常に騎士団やギルドから依頼された者らが巡回し駆逐している第1階層だ。
だがダンジョン産魔物は魔素から発生するので、いつ何処で出現するのかがわからない。

農家の者もそれなりに魔物と戦う事もある危険な職業ともいえるが、
戦う事によりそれなりの強さを手に入れて耕地の低階層ならば自衛ができる話になっている。

建物はあるが、脱穀作業場や道具倉庫や穀物庫等であり、住居ではない。

ダンジョン産魔物はなかで育った作物や中の資材でてきた建物は襲わないが人種やダンジョン外生物は襲う。
なので就寝に関しては都市にてが基本でもあり、
ギルド出張所兼宿屋みたく魔素避け薬を使い、強固な造りの建材を使い、
屋外を不寝番により警備警戒されて居なければ、
とてもでないが安心して寝る事はできない話だ。
魔物は基本建物は襲わないが、生物の気配したら壊す知能はある。

ダンジョンが別の世界、別の場所にあると言われてるのがわかるのが、視線の先までず〜っと先まで麦畑が見え、視線をおってくと首がいたくなる真上に…
真上も麦畑風景がある。いや、天地逆さまに麦が育っている。
どういった理でそうなっているか不明だが、落下することなく麦が育ち、人が天井にたっている。

そのまま麦畑をまっすぐ追うと自分のところに来てしまう…

第1階層は球体内部にある。

そして後ろを振り向くと自分等が歩いてきた坂道は階層門から出てきているが、
出口への階層門の後は岩山になっている。
少し遠いが次階層への階層門も見えていて同様の作りであった。

1から5階層は、全体の広さ的には一周約60kmの球体内側に存在し、
1つ1つが別の球体にある。
そして雨も降り、昼と夜も存在する。
日の光もさし、月の光もさす。

荷車のスピードがアップする。

舗装路の為に時速20kmというスピードがゴーレムによってだされる。
街の法律で決まっていて、その速度をだせなければ6階層入口まで1時間半ではつけない広さがダンジョンにはある。

開拓済みの1〜5階層だが、階層門の直接移動は当たり前にできず、
2階層門へは8km、2から3階層門間は4km、3から4階層門間は7km、
4から5階層門間は3km、5から6階層門間
8kmとかなりの距離が離れている。

中央の高速道の脇に歩いて荷車と進む低速道があり、この階層あたりは荷車の往来が多い。

2階層門へとつく。

1階層から5階層までは魔物は素手ゴブリン、
動物はザパースネークや虫類がわく。
素手ゴブリンは素手といってもそこら辺の石を拾ってや棒などを武器にはする知能はある。

また牧場もある。21階層以降の動物をテイムして家畜化してる為に、
素手ゴブリン程度ならば返り討ちしてしまう。

そんなのどかな光景が五階層迄続き…
6階層への階層門を塞いで造られた砦が見えてきた。

万が一のダンジョンハザードに備えての騎士団による最終防衛拠点で、
普段はさほどはつめてはない。
巡回による警戒警護の方の人数が多い位だ。

その先から魔物の遭遇率が高くなる階層になる。

砦の大門を潜って、6階層進んでいくと…
景色は20mは有りそうな高い天然石の壁で迷路状になっている光景に変わった。
石の森だ。
天然のと違うのは谷たる道の広さ。
ゆうに20mはあり荷車のスレ違いも余裕な広さが続く。

先程までの階層とダンジョンの理が違い、真上をみても大空はみえるが大地はみえてない。

といってもかなりの広さがある。
以前ドラゴンライダーが調べたところ、
端から端まで南北約72km、東西が約108km、ほぼ四隅までその広さで、
高さは10km程の高さがある。

かなり広い空間の洞窟内といってよく、こちらも昼もあり夜もあり、空もありといった理だ。
気温は夜15℃昼20℃、
雨もふり、その際は若干気温が下がる。
季節の移り変わりは見えない。

階層門から出た荷車は速度を維持したまま正面の壁に開いた大穴へと進む。
通称大穴道といわれる。

この大穴は先達が次の階層へ一直線へと開いたものであり、
高価な薬剤によりダンジョン壁が再生不可欠処理されていて、
各階層での移動に使う時間の短縮化されている。

この階層から壁が存在するのは、
誰もいない時間にゴブリンが次々わいて、
階層に入った見習いが大量のゴブリンに虐殺されるのを防ぐためでもあり、
また薬剤のコスト代節約の為でもある。

すべての壁を崩したら理論上は10万体のゴブリンが一斉に襲ってくる話だ。
強者ならば余裕だが見習いレベルでは押し潰されてしまう。
この階層の洞窟内の傾斜はなく、地平線も存在しない。
全てが視線に晒される話になる。

大穴道周囲は上位職も頻繁に通る為、殆ど襲撃されない。
強者の気配を魔物達も感じているのだろう…

魔物は素手ゴブリンと武器持ち亜種ゴブリンの他に、ノール、スカベンジクロウラー、
動物にザパースネーク、野ネズミ、鳥等がわく。


見習い者は魔物を狩って経験をつけて、
動物を狩って食料としている。

また一部でだが石材の採掘を行っている。
ただしあまり採掘スピードをあげると高さ20mの壁の倒壊の危険もある為に、
この階層では小規模で採掘されている。

以前6階層の開拓をチャレンジしたらしいが、落とし穴の問題が解決できなく、諦めた話らしいので、
穀倉地帯は5階層までの話だ。

この環境が7階層まで続き…

8階層は1面砂漠になっている階層であった。
砂漠型の魔物はでなく、砂漠型動物がわく。

砂漠階層がこの先にも何回かあるため環境になれるキャンプがよくこの階層ではおこなわれる。
8階層の理は夏の砂漠…
平均最高気温47度、平均最低気温27度の雨が極めて少ない砂漠型気候で、
この階層は南北約120km、東西51kmと細長い。
階層門間は直線で8km。徒歩では非常に厳しい。
ダンジョン突入当初は階層門が見えた為にまだなんとかなったが、見えてなかったら死者が続出してただろうといわれる。

荷車で移動の際、
この階層に入る前に鎧等は脱ぎ姿、幌を荷車にかけ、影の中に入るのが推奨されている。
鉄鎧等は火傷してしまう程熱せられる。
鉄等は魔石による冷却効果の付いた砂漠対応装備でない限り危険といえよう。

8階層では木材の乾燥場が街によってつくられこの先の森林から切り取られた木材や、
乾燥が必要な資源の乾燥が騎士団の管理のもとおこなわれる。

9から10階層は森林階層となる。

この階層の理は春から初夏にかけての迷路の森。
南北121km、東西107km。
大穴道がなく、徒歩で地図もなければ半年は突破にかかったらしい。
今では地図があるが、大穴道を使用しなく徒歩ならば1週間かかる。
平均最高気温は22度、平均最低気温が15度で過ごしやすい理だ。


この階層では樵達が騎士達に警戒護衛されながら伐採している。
ダンジョンの壁の修復速度は外と比べ物にならないほど早く、
切り倒しても2週間程で元の高さへと成長する。
大穴道周辺で行っててもほぼ無限に再生するダンジョン壁の木々…
そして樵達の仮眠休憩所等が点在している。
石材による強固な造りの為、例え襲われても救援が来るまではもつ設計でつくられてはいる。

出現する魔物は6階層のに加えてゴブリンアーチャーが加わる。

大穴道通行者は9階層入った時点で脱いでいた装備をきて通行をするのが常識だ。

また10階層では階層主部屋がある。

11階層以降に向かう為の階層主討伐の標取得の順番待ちを横目に、
開通してあるバイパスを通って、そのまま11階層門へと進み…

11階層門出口を塞ぐように建っている宿屋兼関所の大門へと入り、小休憩てがらに一回降車してギルドカードを通し手続きをする。

此処まで時速20kmで約2時間強のり続けていた。
距離にして約45km…階層移動だけでも膨大な距離を移動する。

テパクチャによる絶滅に対抗する為に、冒険者らは強化して階層主部屋突破を勧められている。
10階層主はエリートゴブリン1と、武器持ちゴブリン4、、ゴブリンアーチャー2、の編成で固定されている。
エリートゴブリンはこのダンジョンでは28階層以上に出る雑魚だが、この階層レベルでは一際強い。

一般村民は木製棒場合…といっても長さ60cm以下、直径3cm以下、重さ320g以下の円棒の樫の木棒で殴る場合だが、
無防備状態で横腹の部分を横殴りされると一撃で10m位は吹っ飛び、その木製棒は中折れし、
一般村民は大抵一撃で死亡する腕力がエリートゴブリンにはある。
勿論樫の木棒等は装備せず、10階層部屋のは錆びたブロードソード…切れ味悪いので鈍器状態といえるが装備してる。

武器ありゴブリンで樫の木棒の場合は十数発一般村民を殴らないと死亡はしないだろう。

もし仮に31階層以上装備の鉄製の大斧をエリートゴブリンが装備してたら、
石材をうつと派手に飛び散らす事ができるだろう。
風圧で転ばすこともできるかもしれない。
その位の力の差がノーマルとエリートには差がある。

10階層のは腕試しにちょうどよく、その位突破しなければ11階層以上は早い話だ。


手続き終わり大穴道で先へと進む。

11階層から13階層までは巨大洞窟階層になる。

出現する魔物は、各種ゴブリン、各種ノームの他、
オウルベア、ガルガンチュアン、暴れ毛長牛、スカベンジクロウラー等がいる。
見習い卒業した者達の階層ともいえるがそれでも俺達にとってはただの雑魚扱いになるだけともいえる。
動物はコウモリ、アナツバメ、アナネズミ等がいる。

アナネズミと暴れ毛長牛、オウルベア、が肉にはなる。
ゴブリンらもアナネズミと暴れ毛長牛を食している。

ガルガンチュアンは誰かがチャレンジしたらしいが………略。

暴れ毛長牛は柔らかい肉とは違う。

血抜き処理がうまくいっても肉質は硬くて筋張っていて獣臭い肉としか表現できないだろう。
香辛料で誤魔化しても匂いは消せない。
とりあえず肉を摂取で食べられる程度だ。
毛に関しては寒冷地においてはかなり人気だったのでだが最近は相場が落ち、
最近ではこの階層、見習い卒業レベルでの食材ともいえる。

この階層では再生する壁の性質と天井がしっかりしている為、
倒壊や崩落の危険性が無いので鉱山師達が騎士に護衛されながら採掘を行っている。
石材の他に低品質ながら鉄鉱石、鉛鉱石、銅鉱石、銀鉱石が大穴道周辺で採掘され、
奥にいけばわずかながら金鉱石が採掘される。
13階層までの金銀鉱石採掘場所は街によって禁じられ、
また大穴道周辺の採掘場所は街によって管理されている。

それ以外の箇所では採掘は可能といえたが…この階層で採掘するよりかは純度の高いのを求めて深階層へと行くのが冒険者たちであろう。

作業する一般人を騎士が護衛できるのがやはりこの階層近辺までといえる。

広さに関してだが他の階層と違い飛行出来ないために正確な広さはわからないが、
南北約100km、東西約100kmといわれる。
徒歩での探索は約3ヶ月かかるといわれる。

気温は平均最高気温18度、平均最低気温14度と過ごしやすい。
雨は降らないが水脈と水路が流れていて、ある程度の湿気がある環境だ。

大穴道通行者は大抵ギルド前あたりで装備の下に少し着込む。この後の階層が厳しくなるからで…


14、15階層は一転、厳しい気温の雪山階層になる。
氷点下の雪景色。吹雪もあれば霧もでる。

突入当初は砂漠の暑さを経験して軽装のグループが多く、
多数の死者が続出した死の階層と言われた。
今でこそ大穴道が開通し、魔物が湧かないために豪雪階層のキャンプ訓練地や、
天然の氷室といえこの先の階層でとれた素材の保管施設がつくられている。

吹雪で大穴道が埋まるんじゃない?のだが、
魔石により積雪凍結防止措置がとられていて通行できる状態、および霧の際の道をはずさない目印となっている。

階層門間は14階層が直線約22km、15階層が直線6km…
この階層の正確な広さは空を飛ぶのも厳しい為、
およそ南北300km、東西300kmといわれる。

14階層の階層門は山二つ向こう側、その為に発見がかなりかかった話だ。

魔物は低階層のここでは湧かず、雪山の動物しか湧かない。
オコジョ、リス、キツネ、クロテン、タヌキ、シカ、雪ウサギ、イタチなもんであろう。

ただ、それらを積極的に狩り食料とするのはワカンを履いて、雪山耐寒装備をして、
罠を張り巡らしてでないと難しいといえよう。

ワカンとは、通常新雪を脚で踏むとずぼっと入り込むのを防ぐ雪上補助歩行で、
小麦の藁と木で作られている。

そのワカン履かなければ脚が1m〜2mはまりこむ可能性もある。
フライの魔法で脱出可能だが、横殴りの風で一気に叩きつけられる可能性もあるので空中系魔法はやらない方がよい。

シカならば体格もでかいので命中率は高いが、雪ウサギ等を矢で当てるのは至難の技だ。

魔法にて狩るのは…下手したら雪崩もおきかねない話だ。

奥の方へといくとアイゼンが必要な箇所がある。
アイゼンは靴部分に装着する刺付外付けスパイクな様なもので、
氷面や雪斜面にて滑らずに登る事ができる。
ワカンは雪に沈まない浮力を重視している為に斜面では滑り、付け替える必要はあろう。

この階層突入前に、荷車に幌を被せ、耐寒を着込んで耐寒の魔法をかけるのが、
一般的常識となる。
でなければマイナス20度の世界を1時間と少し通行の為に過ごさなければならない…
鎧は冷たくなり凍傷の元となるだろう。


16階層から18階層は穏やかな海岸および海の階層になる。

大穴道は海上を短絡した橋でつくられている。
階層門間は直線10km、8km、4kmという距離だ。

また陸地では塩の生産、それに中型船による漁業が営まれていて、
塩作りや漁業を警護するための騎士団の駐留砦もある。

11階層から13階層では防衛設備なく横や周辺にて警戒警備の形をとっていたが、
この階層ではその形では幾人もの職人が死亡してるため、
現在、塩田は厳重な警備下のもとある意味砦化している形で生産されている。

漁業にかんしては、港、建造場は塩田同様厳重な警備態勢で、
中型船を壊す威力の魔物は出ない。

この階層あたりの海の理は表球体…
1階層の理が内球体とすると逆の考えであった。
1周は約600kmとダンジョンにしては広大で、当初幽霊船が居るのでは?とも言われていた。

16階層が秋、17階層が夏、18階層が冬になる。

大穴道通行者は、
16階層に入った時点で耐寒装備を脱ぎ、18階層に入った時点で再び着る形にはなる。

19階層、20階層は秋の森林階層になる。

この階層の魔物は魔狼と暴れ猪。
動物はハイエナ、ヘビ、蛙や虫類がわく。

広さは南北43km東西74kmと少し小さい階層になる。
階層門間は19階層が4km、20階層が6km。

冒険者らはここで鍛えて野営するなら木の実や、暴れ猪やヘビ、蛙を食すことになるだろう。
キノコは毒キノコもあり初心者には難しい。

ただ暴れ猪は血抜きをしなければかなり不味い…が、血抜きをしていると魔狼の集団に襲われる事になる。
なので入手する肉は基本は野ウサギとなるだろう。

暴れ猪を気絶させる程度に手加減できる技量あるなら、
もしくは血抜きの際に襲いかかる魔狼を蹴散らす強者ならば暴れ猪はかなり美味い肉となる。

気絶させて捕縛して18階層や川にて締めて血抜きをして解体、
ギルドにおろすのも良い収入になる。

ヘビは種類によりけりだが血抜き皮剥ぎが必要だが、
暴れ猪とは量も違い、魔狼が匂いによってくる頃には終了している話になる。
この階層のヘビは35cm、毒はない。

ヘビの解体はいたって簡単。
開く必要もないので、まず首の周りの皮を一周切る。
次にその皮を強引に剥がす。
ちょっとだけ最初にナイフで切れ目を入れると楽にはがれる。
すると本来切らなければならない内臓まで皮についていってしまう。
あとは、首は切り落として、残りを水や布で血をぬぐい取れば終了。

骨は柔らかい為にそのまま焼いて食うのがこの階層流。
35cm程なので1食に付き3匹程度getすれば肉に関しては満たすことができる。

別の階層では8mを超す馬食い大蛇や5mを超す人食大蛙もいるが、
この階層は35cmの蛇、4cm程の蛙の大きさ。
その位の量はひつようといえよう。

または前の階層で魚をえて野営という選択しもある。

大穴道通行者は19階層で再び耐寒装備を脱ぐはめにはなるだろう。

20階層の階層主はスルーしたが、
エリートオーク、オークシャーマン、オークアーチャー2のバランスが良い組み合わせだ。

エリートオークは31階層からの敵で、
一般村民では強武装しても歯が立たない強さをもつ。
10階層ボスのエリートゴブリンは生身、未装備の村民服での状態で、
無防備状態、棒立ちの状態で一撃を受けたら10m位ぶっ飛ぶと話したが、
徒歩戦闘用の装備…
鉄冑、板金鎧、小手、鎖下衣、板金靴の装備で約21kg、
更に大盾で6kgといった装備して、
受け態勢をとれば飛ばされるも一撃死はない。
しっかり鎧、大盾で威力を防ぎ、また飛ばされても身体に対しての衝撃を防ぎ骨が折れることを防いでいる。

基本対人で相手を殺すや傷つけるには、突きにより隙間に挿入して刺すのが基本と言えた。

だが、同装備で一般村民が受け態勢をとりエリートオークの一撃をうけると…
20m位ふっ飛ばされ、瀕死の重症か、運が悪ければ死亡するだろう。

因みにその装備でも150万円は軽くする。
一般的食事が1食400円〜800円の世界だ。
遭遇するかもわからないエリートオークに対して一般村民が揃える余裕はない。

エリートオークの威力は1階建ての家屋などは軽く破壊され、
5階建ての1階部分が石材で作られた家屋でも危ういかもしれない。

そんな武器が耐えられるわけがないと思うかもしれんが、
エリートオークの棍棒は木製だが結構丈夫で重量もある。強化されてるらしく、耐久性もあるわけだ。

最低でも兵士の技量は必要でもある。

そしてダメージを冒険者らが与えてるといやらしい事に、
オークシャーマンがダメージを回復させてくる。
更に嫌がらせにオークアーチャーが遠距離から一撃を与えてくるわけだ…

こんな強敵が階層主だからスルーしてというと…
次の階層あたりで立ち回り間違えて死んでしまうだろう。
もっともっと強い敵もいるので、通過儀式とも言えていた。

21階層入口を横にギルド支部兼宿屋がある。
塞ぐ様に関所が無いのはもう自己責任の世界だからだ。
11階層から21階層荷車移動で、4時間程かかり、
休憩てがら昼食をはさむ。


そして…21から23階層は初春の丘陵草原エリア。

各種ゴブリンに加え、ナイトゴブリン、
、ゴブリンシャーマン、オーク、ブータが出現する。

動物は羊、野ウサギ、各種虫、そしてスカベンジャースライム…本来は魔物になるが生きている者は襲わない迷宮の掃除魔物だ。

オークとゴブリンは相性が悪いのかよく争う習慣があるらしい。

この階層の羊はメリノ種だが、
オーク、ゴブリンらによって頻繁に狩られ、魔物にとっての貴重な食料でなかなかみつからない。

なので食料としては野ウサギ…毛皮は剥ぐのが容易で1匹1kgの肉となる。
肉質の特徴として、脂身がほとんどなく、肉質は細かく繊細で柔らかい、草の香りがする。
ただし調理失敗すると脂がとび、
パサパサですごく堅いお肉になってしまう。

階層の理は少し寒い気温で、広さは南北111km東西97kmだ。

24階層から27階層は初夏の広大な森林階層、極夜の理で、
魔物のトレントが嫌らしいエリアだ。
壁たる木に擬装していきなり襲ってくる魔物で、
通路を通ってたら袋小路に突き当たり、周囲がトレント50体以上というケースも報告されてるという。

魔物はトレントが主で上魔狼もいる。
動物は豊富ではある。

24から27階層の広さは平均南北421km、東西621kmと広大。
大穴道で階層門間を直結してるが安全とは言いがたい程トレントが襲ってくる。

24階層は15km、25階層は23km、26階層は25km、27階層は39kmとかなりの距離が離れて、
襲撃で度々時間がとられてしまう階層になる。

28階層から30階層は春の石壁丘陵階層、白夜の理になる。
エリートゴブリンがこの階層から出現する。
オークでは歯が立たなく、冒険者らは大体がエリートゴブリンの相手となろう。

更にはだ…通常敵らしいので下手したら10体や20体のエリートゴブリンに囲まれる可能性がある。
勿論それ以上も…

エリートゴブリン4体程度のグループを狩りメインにしていて一気に100体に囲まれたら瓦解するのはわかろう。
この階層で狩りは立ち回りが重要とも言えていた。

ここの階層主はチャンプオーク1、エリートオークシャーマン1、エリートオークアーチャー1の組み合わせ。

チャンプオークは41階層以降の敵で、
棍棒装備で40cm厚の石材の壁程度ならばぶち砕く腕力を持つ。

つまり一般村民が未強化の騎乗兵が試合で着る安全性のある鎧…100kgにも達する試合用フルプレートアーマーで大盾装備で受け態勢とってても、
一撃で20mは吹っ飛び、うちつけられた衝撃で鎧がひしゃげて圧死する。
更に同装備ならば10人程度はひとまとめで吹っ飛ばされるといえよう。

試合用フルプレートアーマーは騎乗しながらランスで突くために非常に堅牢な作りをとっていて、
かつ落馬が前提の為に衝撃にも耐えられる作りだ。

エリートオークで比較すると一般村民が100kgの試合用フルプレートアーマーを大盾装備で受け態勢で一撃を受けると、
5m程吹っ飛ばされるが、まだ一撃で死にはしない。倒れこんで更に数回殴打で試合用フルプレートアーマーでもへこみ死ぬ。

またその位の強さをもつと、親指で弾く小石も凶器となる。
一般村民が小石をうけると文字通り部分喪失…回りごとぶち抜かれるということだ。
20階層で話した鎧を着込んでても当たった箇所が切断されるだろう。
試合用フルプレートならば切断はないが、かなりへこむと言え、気絶するであろう。
もっとも騎乗ならば下の動物がひとたまりなく倒され、
転倒した状態でおきる間にもう一撃小石が…とはいえていた。

遠距離も近距離もこなすチャンプオークは、
もはや一般村民が手出しできない強さの世界だ。

更にはエリートオークシャーマンと、エリートオークアーチャー…

オークアーチャーとオークシャーマンの上位種というべき存在で、
頭もよくなり、
更にチャンプオークを呪文にて強化してくる。

前、倒すのに苦労はしたが、今回はバイパスでスルーして…

目的地の31階層に来た…
エリートオークがこの階層から出現する。

朝5時に街から出発し、移動だけで16時間、
特に21階層から31階層が約9時間ちょっと、158kmの道程だ。
朝早くでても既に夜の闇の中、28階層から30階層は白夜の理で、
明るい夜なので闇の奇襲はなりたたない。
だが31階層からの次の理の夜は、通常通り暗くなる。
大抵の荷車組がここで1泊して出発するために宿屋の規模はでかい。

1泊して明日から狩りだ。

この先はチャンプゴブリン、オーガやミノタウルス、チャンプオークやジェネラルオーク、レジェンドオーク等、
更にジァイアント、ティラノ、デベログロス…四腕馬兵等の中型魔物、
またドラゴン、ヘビモス、タイタン、タイマイ等大型魔物が出現する。

まさに強者の世界だ。

まだそこまで踏みいる力がない。鍛えて鍛えて力を付けなければテパクチャには対抗できないだろう…



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