1組の生徒全員がISを装着する為のISスーツを来て整列していた。
キラやアスランもその例に埋もれず。ISスーツを着ている訳だ。
キラは青を主体とした白のラインの入ったスーツ。
アスランは赤を主体とした緑色のラインの入ったスーツを着ていた。
「これより、ISの基本実技訓練を開始する。オルコット、織斑、ISを起動しろ」
千冬は生徒達を見回しながらそう言う。
「はい!」
「は、はい!」
セシリアと一夏は千冬の言われた通りにISを機動、装着した。
「それでは2人共、飛行を開始しろ」
「「ハイ!!」」
そう言い2人は空へと舞い上がる。
2人は同時に飛び上がり、20メートルまで飛ぶとそこで停止した。
「よし、下りて来い」
千冬の指示でセシリアは素早く下り立ったが一夏が制御に失敗、急降下して地面に突き刺さる。
一夏は大きなクレーターをグラウンドにつくりその中心で顔を地面に埋めながらジタバタしていた。
「誰が地面に穴を開けろと言った」
千冬は軽くため息を吐きながらヤレヤレと言わんばかりに一夏を見やる。
何とか一夏は地面とのキスシーンを終了させる。
「す、すいません」
一夏は申し訳なさそうに千冬に謝罪した。
「一夏さん!! 大丈夫ですか!?」
セシリアはそう叫びながらISを解除し、一夏の所まで滑り下りる。
「ああ、大丈夫……一夏さん?」
セシリアが一夏の呼び方を変えている事に一夏は疑問の声をセシリアに投げかける。
セシリアはそれに構わず、一夏の怪我を確認する。
「お怪我はございませんか? もしあるなら保健室に……」
「無用だ。IS装着時には滅多な事では怪我はしない」
そう言いながらセシリアと一夏の間に割ってはいる箒。
「あら、篠ノ之さん? クラスメイトを心配するのは当たり前ではなくて?」
セシリアは箒に割って入られた事にムッスとしながら箒に噛み付く。
「フン、相変わらずの猫被りだな?」
「あら? 鬼の顔を被っているよりは遥かにマシですわ」
そう言いながらお互い目線は派手な火花を散らしていた。
(この2人ってこんなに仲が悪かったっけ?)
一夏はソレを見ながらある意味見当違いの事を考えていた。
「いい加減、戯れるのは止めろ。馬鹿者共!」
千冬は事実上授業を妨害している2人を黙らせると今度はキラとアスランを指名した。
「ヤマト、ザラ、コイツ等に手本を見せてやれ」
そう言われ、キラとアスランはISを機動させる。
2人がISを装着完了した瞬間、辺りからどよめきが聞こえてきた。
「アレがザラ君とヤマト君の専用IS?」
「まるで鎧を着てるみたい……」
その瞬間、キラ達の目の前に画面が表示される。
「G……UN……DAM……?」
「ガンダムって読むのかな? あれ?」
「ガンダム……強そうな名前だね……」
セシリアはソレを見ながら驚きの声を上げる。
「な!? 全身装甲!? でもあの様な機体、見た事がありませんわ!?」
そして2人はVPS装甲を展開させる。
「色が変わった!?」
「き、綺麗〜」
女子の感嘆を余所にキラとアスランはそれぞれ空へと舞い上がる。
「キラ・ヤマト、フリーダム、行きます!!」
「アスラン・ザラ、ジャスティス、出る!!」
素人でさえ解るくらい無駄の無い飛翔で空へ飛び上がり超高速のアクロバット飛行を披露するキラとアスラン。
「す、スゲ〜」
一夏は感動しながら言葉を呟くがセシリアは驚きで声が出ない。
(凄いですわ……あそこまで無駄の無い飛翔は見た事がございませんわ。飛び立つ時に足を少し折り曲げISの脚力を加速に転用していますわね。なるほど、そうする事により即時飛翔が可能になりますのね……地面を蹴ると同時にPICを機動タイムラグの無駄な時間のロスを極力控えていますわ。普通はPICを機動させてから飛び立ちますのに……)
そこでセシリアは一夏を見ながら考える。
(確か、一夏さんにIS操作を教えたのはあの2人でしたわね……よし、決めましたわ!!)
セシリアは決意を胸にキラ達を見つめた。
IS学園、寮食堂の一角では一夏のクラス代表決定の祝賀会を行っていた。
「では、1年1組代表は織斑君に、特例としてヤマト君とザラ君の3人に決まりました〜!」
その瞬間、拍手が巻き起こる。
「えっと、ありがとう」
「有難う。皆」
「有難う」
一夏はたどたどしく、キラは微笑みながら、アスランは完結的にそれぞれ答えた。
「まあ、当然ですわね。私に勝ったのですもの。潔く負けを認め、一夏さんに代表をお譲りいたしますわ」
セシリアはそう言いながら一夏に近づき、オレンジジュースを一夏のコップに注ぐ。
「あ、ありがとう。セシリア。でも、俺がなっても良いのかな? 代表。正直、キラやアスランがなった方が確実に優勝できると思うけど?」
一夏の戸惑いながらの疑問にアスランはキッパリと答える。
「一夏、勝負に勝ったのはお前だ。確かに一夏の実力は未熟だが、まだ伸び代は大きい」
その言葉にキラも頷きながら答える。
「自信を持って、一夏。一夏は確実に強くなってる。更に言えばオルコットさんも訓練と経験を積めばもっと伸びるよ」
そう言われ、一夏は嬉しそうに微笑みながら言う。
「サンキューなキラ、アスラン。お世辞でも嬉しいぜ」
セシリアはさも当然と言ったように胸を張る。
「当然ですわ。こんな所で躓く私ではありません。ソレとヤマトさん、ザラさん、私のことはセシリアとお呼びください」
その言葉にキラは質問する。
「いいの?」
「いいのか? 俺達まで?」
「ええ、よろしくてよ。私も一夏さんと同じように貴方達から技術を習わせていただきますわ」
その言葉にキラはアスランに問いかける。
「いいのかな? アスラン?」
アスランは考えながらもセシリアの言葉を肯定した。
「いいんじゃないか? 一夏にも言える事だが経験を積むのも良い事だろう」
キラはセシリアに向き直り、こう言った。
「それじゃあ、セシリア。頑張ろう」
「そう言う事だ。一夏、いいよな?」
アスランの問いかけに一夏は素直に答えた。
「良いも何も、アスラン達が講師だろ? 2人が良いなら俺は良いぜ」
キラはその言葉を聞き、セシリアに向き直り許可をだす。
「だそうだよ。一夏共々厳しく鍛えるからその積もりでね?」
セシリアは優雅な振る舞いでハッキリと答えて見せる。
「望む所と言わせて頂きますわ」
こうして、セシリアがキラ達の訓練に参加する事になる。
翌日、キラとアスランが登校すると何やら何時も以上に賑やかだった。
キラとアスランは一夏の席に行くと数人の女子に囲まれて一夏が何やら話していた。
「何の騒ぎ?」
キラの質問に一人の女子が答えた。
「何でも2組に転校生が来るんだって」
その言葉にアスランは考え込む。
「転校生? この時期に? 珍しいな」
それもその筈、この時期の転入試験の難易度はかなり高い。
それをパスするくらいの優秀な生徒なのだと言う事はアスランもキラも把握した。
他の女子はその話題と関連してクラス対抗戦の話をする。
「でも、専用機持ちは1組と4組だけでしょ? 楽勝だよ。何たってウチには専用機持ちが4人もいるもん」
その時だった、突如、黒板側の扉が勢いよく開き、活発な少女の声が響く。
「その情報、古いよ!」
クラス全員が扉の方へ振り向くとそこには少し背の小さいツインテールの女子が立っていた。
「残念だけど、2組の専用機持ちなの。そう簡単には優勝させたげないわよ!!」
その少女に見覚えがあるのか一夏が少女の名を言う。
「あ、鈴?」
「そ、中国代表候補生、鳳鈴音。今日はあんた達、1組に宣戦布告しに来たって訳」
その言葉と共に教室はざわつく。
そのざわめきの中でキラもアスランも何故彼女が最難関と言われるIS学園の編入試験をパス出来たのか納得した。
国家代表候補ならあの試験内容はパスして当然の内容なのだ。
一夏はそれにわき目をくれず鈴に語りかける。
「お前ソレ、似合わないぞ」
その言葉に鈴音は激昂する。
「な、何よ!? 折角格好よく登場したのにぶち壊しじゃない!!」
その時だった。
鈴は頭を叩かれ、上半身だけ前のめりになる。
「イッタ〜、誰よ!?」
そう言い後ろを振り返ると千冬が立っていた。
「いい加減、教室に戻れ。邪魔だ」
「ち、千冬さん……」
千冬の登場にたじろぐ鈴音。
どうやら彼女は千冬が苦手らしい事をキラとアスランは把握した。
しかし、久しぶりの再開にも関わらず千冬は容赦なく言い放つ。
「織斑先生だ。早く行け。馬鹿者」
「逃げないでよね! 一夏!」
その言葉にたじろぎながら鈴音は撤退した。
ソレを見ながらキラとアスランは一夏に語りかけた。
「何だか嵐みたいな娘だね……」
「知り合いか? 一夏?」
その言葉に一夏は説明しようとするが、出席簿の軽快な音3つがソレを遮断するのだった。
あとがき
ハイ、鈴登場です。
こう言った人物同士のカラミも難しいです。
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