午前の授業が終わり、昼休み。
一夏達は鈴と一緒に学食にいた。
「しっかし、驚いたぞ。鈴がIS学園に転入してきたなんて、しかも中国の代表候補生として」
その言葉に鈴も驚いた様に一夏に言う。
「コッチだってニュースみて驚いたわよ。行き成り、試験会場でIS動かして騒ぎになったんだって?」
その言葉に一夏は苦笑しながら箸を止め思い出すようにその時の様子を鈴に語る。
「あの時は私立の試験会場で試験が行われていたんだ。その時、迷っちまって……係の人に聞いても解らないって言うから廊下をウロウロしてたらISを見つけてな」
その時の事を一夏は今でも鮮明に覚えている。
薄暗い部屋に光を浴びながら鎮座するIS。
それに触れた瞬間、膨大な情報が頭に流れ込んでくる感覚。
触れたISが輝く瞬間。
今でも思い出せる。
「ふ〜ん」
鈴が返事を返した時だった。
箒とセシリアが勢いよく立ち上がり2人のテーブルまで歩み寄ってきた。
そして2人は勢いよく両手を机に押し当てた。
ドンと言う重たい音が2つ同時に響き渡る。
「一夏」
「一夏さん」
一旦、一夏の名を同時に呼んでこれまた同じタイミングで同じ内容を言う2人。
「ソイツは誰だ?」
「その人は誰ですの?」
その質問に一夏はたじろぎながらも答える。
「え、あ、ああ、凰 鈴音、箒が転校して入れ違いで転校してきたんだ。鈴とは中二の頃まで一緒だったぞ」
鈴は疑問に思いながらも一夏に質問した。
「この2人誰?」
その質問に一夏は答える。
「ああ、俺のファースト幼馴染の篠ノ之 箒、そしてコッチが同じクラスのセシリア・オルコット」
「よろしくな」
「よろしくですわ」
「よろしく、一夏の幼馴染の凰 鈴音よ。よろしく」
その言葉に2人は青筋を浮かべて言い放とうとした時、キラとアスランが立ち上がり話に加わる。
「一夏、今日の訓練内容と人数なんだけど、箒も加わる事になったんだ」
「それでお前の内容も変えてみる事にした。今回から接近戦主体の一夏と量産機で接近戦主体の打鉄には俺が訓練を行う。中距離戦の主体のセシリアはキラが担当する」
その言葉にセシリアが文句を言う。
「何でですの? 私も一夏さんと一緒に……」
そこにすかさずキラが理論的に反論する。
「ブルーティアーズは中距離戦特化型の兵装が大部分だからね。僕が教えた方が効率が良いんだ。基本的に僕もアスランも距離を選ばない万能型ISだけど、どちらかと言えばアスランは接近戦が得意で僕は中長距離戦が得意なんだ。その為にこんな配置になったんだ」
アスランは宥める様にセシリアに言う。
「すまないな、セシリア。俺も中長距離戦は教えられるが、キラの方が的確に教えられる」
「解りましたわ……」
セシリアは渋々ながら了承した。
キラ達の話が終わった時、鈴が質問してきた。
「ねえ、一夏、コイツ等だれ?」
その質問に一夏が答える。
「ああ、同じクラスの俺のダチでキラ・ヤマトとアスラン・ザラだ。俺にISの操縦技術や戦闘方法を教えてくれてるんだ」
「よろしく」
「よろしくな」
キラとアスランの挨拶に興味なさそうに答える。
「ふ〜ん、よろしく」
鈴は一夏に向き直り、提案してくる。
「私がISの操縦、教えてあげようか? 私の方が旨く教えられると思うんだけどな」
その提案に箒とセシリアが怒鳴ろうとした時、一夏がソレを否定した。
「いや、いいよ。正直、キラとアスランの訓練は凄い的確だし、最初は上達を実感できなかったけど最近じゃキラ達の言いたい事や教えたい事が理解できたんだ。だから上達してるって実感はあるんだ。それに、キラ達、千冬姉の全盛期と互角の実力だからな」
一夏の最後の言葉を聞いた瞬間、鈴は驚きを露にしながらキラ達を見ながら言う。
「全盛期の千冬さんって……モンド・グロッソでブリュンヒルデを取った時の頃の!?」
その驚きの言葉に一夏が肯定する。
「コレはマジだからな。あの千冬姉が自分の口から言った事だ。今だと勝率が4割にまで落ち込むんだと」
更なる爆弾を降下された鈴はキラ達をマジマジと見ながら絶句した。
そもそも、モンド・グロッソとは21の国と地域が参加して行われるIS同士での対戦の世界大会。格闘部門など様々な競技に分かれ、各国の代表が競うことになる。
各種目での優勝者をワルキューレと称え、全種目制覇者に与えられる称号をブリュンヒルデと称される。
このブリュンヒルデを取る為には全ての種目を漏れなく高得点を叩き出さなければならないとんでもない偉業なのだ。
ブリュンヒルデには射撃、接近戦、スピード、戦術や戦略、強靭な意志、高度な知識と理論、IS操縦の美しさまでもが要求される。
正にIS操縦者の頂点に相応しいか如何かが試される。
その初代ブリュンヒルデと互角と聞いてもウソ臭く感じるのは無理も無い。
ソレが自称なら鈴も鼻で笑い飛ばすが、千冬自らがそう言うなら事実なのだろう。
事実、千冬が論理的思考の持ち主である事は鈴も解っている。
その千冬をして互角と言わしめるキラとアスランに少なからぬ興味を鈴は示した。
「アンタ達、ドッチが代表なの?」
その質問にキラは苦笑しながら答える。
最初は興味が無かったのが何時の間にやら興味深々で聞いてくるのだ。
この変わり身の早さにキラとアスランは半分驚いて半分呆れていた。
「代表は一夏だよ。僕達は副代表」
そう言われ鈴は残念そうに言う。
「そうか……一度で良いから戦って見たかったな……」
その言葉と共に昼休み終了の予鈴が鳴り響く。
こうして、鈴との話は一旦、終わりを迎える。
放課後、訓練用の小さなアリーナを借りて、キラとアスランは一夏達を鍛える事にした。
アスランと一夏と箒はISを機動して対峙した。
「2人とも最初は軽く流すだけだ。箒は兎も角、一夏は基礎体力は殆ど無いからな」
アスランの言葉に一夏はムッスとしながらもソレが事実なため文句が言えない。
実際、アスランはザフトの士官学校をトップの成績で卒業している。
その為、基礎体力はかなりの物である。
そして、キラもザフト軍に入隊してからは一平卒として士官学校年長訓練校に入り直し、戦闘訓練を受け、トップの成績で卒業している。
コーディネーターと言うことを差し引いても同世代と比べてもトップクラスの身体能力をその体に秘めている。
そんな2人と比べたら一夏や箒も可哀想ではあるが。
兎に角、アスランは2人をシゴクことにした。
反対側ではキラとセシリアが向き合って射撃訓練をしていた。
「今回の訓練は、移動しながら距離50メートルすべて100ポイントの的に素早く当てる訓練だよ」
「解りましたわ」
セシリアはそう言いながら移動してスターライトmkVを構えた。
暫く撃っていると時々100ポイントの的を外す様になる。
「集中力が切れてるよ。ほらもっと集中して。実戦じゃないんだから」
「クッ、解っていますわ!!」
そうは言うが目に見えて集中力は切れかけていた。
訓練が終わり一夏、箒、セシリアはバテバテであった。
一夏は大の字になって地面に寝転がり、箒は両掌と両膝をついて荒い息を吐き、セシリアは尻餅をついた体制で荒い息をする。
「はい、今日はここまで。お疲れ様、3人とも」
「まあ、今日は初日だから軽く流しただけだが、次から厳しくしていくぞ」
そう言いながらキラとアスランはアリーナから退場した。
次の日、クラス対抗戦当日。
キラがカタパルトにいる一夏に言う。
「凰さんは第3世代型のISだよ」
その言葉にアスランも頷く。
「ああ、接近戦主体の機体で名は甲龍だ。セシリアの時とは違う戦術が要求される。油断せずに行け」
一夏は力強く頷く。
そして箒やセシリアも一夏に語りかけた。
「一夏、絶対に勝てよ」
「一夏さん、頑張ってくださいまし」
「おう、行ってくる」
一夏は正面に向き直り発進する。
「織斑 一夏、白式、行くぜ!!」
カタパルトに押し出され一夏はアリーナ中央で飛翔しながら腕組をして待っている鈴の所まで移動した。
「今の内に誤るならボコボコにする度合いを緩くしてあげるけど?」
「そんなのいらねえよ。全力で来い。
その鈴の提案に一夏が言い放つ。
その言葉にムスッとしながら鈴は更にいう。
「絶対防御も絶対じゃないのよ? 防御を破壊して直接ダメージを与える事も出来るんだからね? 覚悟しなさいよ!!」
そう言い放ち双天牙月を連結させる。
一夏も雪片弐型のビーム刃を展開した。
『クラス対抗戦、凰 鈴音対織斑 一夏の試合を開始します。ソレでは両者、始めてください』
その瞬間、お互いが動き出した。
モニター越しにキラとアスランは戦いの様子を見ながら語り合う。
「今の所、一夏がスピードで翻弄してるね。いいペースだ」
しかし、アスランは懸念を口にする。
「だが、向こうは戦いなれてるのか、一夏の戦術には乗ってこない。肩部の、多分空気が摩擦で揺れたから衝撃砲の類だろうな。それで一夏を牽制しつつシールドエネルギーを削っている。凰のヤツ口だけじゃないみたいだ」
その言葉に対しキラは対策を考える。
「対策は色々有るけど、一夏の場合は接近戦兵装しかない。一番有効なのは高速で接近して相手にも砲撃のダメージが来る所で砲撃を封じて剣技で相手を倒す事かな? コレはアスランの得意分野だね」
アスランは頷きながら言う。
「一夏がそれに気づくか如何かだな。問題は……」
一夏は見えない砲撃に焦っていた。
(クソ! 全然見えねえから砲撃のタイミングが解んねえ……そのせいか鈴に近づけねえ! クソ! あの二人なら如何する? キラなら砲撃で相手を牽制、誘導しながら自分のペースにしちまう。アスランの場合は確か、射撃を併用しながら牽制して相手との距離を一気に詰めて接近戦に持ち込んでたっけ……そうだ! アスランの戦闘スタイルだ! でも射撃兵装の無い俺じゃあ即座に距離を離される。仕方ない、シールド削られるの覚悟でいくぜ!!)
そう思い、一夏は作戦を変更、直線で鈴に迫る。
「アンタ、正気!?」
そう言いながら甲龍の龍咆を乱射する。
だが一夏は回避も防御も捨てて一気に駆け抜ける。
「クッ、行っけえええええええええええええ!!」
その時だった。
突如、アリーナの上空をふさいでいた。シールドが光で打ち抜かれ砕けると同時に地面に突き刺さり爆風と土煙を上げる。
「何だ!?」
「何!?」
一夏と鈴は同時に同じような言葉を発し、状況を確認しようとする。
上空には全身装甲のISがいた。
辺りは一時、騒然となる。
キラとアスランはモニター越しに見ながら冷静に分析する。
「アスラン、シールド外部からの攻撃だ。粒子の尾を引いていたから多分ビーム兵器だよ」
「ああ、ソレもカナリの出力のビームだった。PS装甲は貫通できないがエネルギーシールドは貫通可能なほどの」
PS装甲は従来の装甲より耐熱が優れている。
その為、大気圏の摩擦熱にも耐えうる強度と耐熱性は確保できるが戦艦やMSのビーム兵器の火力には対抗できない。
それはストライクフリーダムとインフィニットジャスティスが無装備で大気圏突入をした事からも実証済みである。
その為、ビームライフルの出力には耐えられなくともビームマシンガンの出力には耐えられる設計となっている。
PS装甲の電圧を上げればセシリアのスターライトmkVのゼロ距離射撃の直撃にすら耐えうる装甲なのだ。
正直、破砕できるのはC.E.世界のビームかレーザー砲位だろうか。
「一夏の救援に行くべきだね」
その言葉にアスランは返す。
「ああ。だが、問題は凰の方だ。正直、此方の指揮に従ってくれるかも解らない。更に彼女の戦闘連続機体稼働時間も把握できていない。更に悪い事に白式の稼動限界時間が迫っている。この場合、2人の救出を行いつつ敵勢力の把握と2人の退避時間を稼ぐ為に1人で敵勢力を抑え、もう一人が2人の護衛を行わなければならない」
その言葉にセシリアが急かす。
「何を悠長に話し合っていますの!? 2人が危険ですのよ!? 早く助けないと!!」
その言葉にキラは落ち着かせるように言う。
「闇雲に出て行くのは自殺行為だよ。セシリア。先ずは落ち着いて状況を把握し行動する事が2人を助ける最良の手段なんだ」
「ですが……」
尚も言いよどむセシリアにアスランが語りかける。
「心配するな。2人とも助けるさ」
そう言い、キラに作戦を伝える。
「キラ、敵勢力が開けた穴から強襲、敵勢力を抑えてくれ。俺は2人の護衛に入る」
「了解」
そう答えると、キラとアスランは走り出した。
セシリアはじっとしていられなくなりアリーナに通じる緊急用通路から外へと向かう。
そう、箒がそこから出て行った様に。
その頃、2人は少ないシールドエネルギーを遣り繰りしながら何とか戦っていた。
「一夏、如何するの!? このままじゃあ持たないよ!?」
「解ってる! でも、コイツのシールドが硬いんだよ!!」
そう言いながら鈴が龍咆を発射するがその悉くを回避した。
「ウソ!? 目に見えない衝撃波を回避した!? どんなセンサー積んでんのよ!?」
「コナクソ!!」
そう言いながら一夏が高速の突撃を開始した。
しかし一夏の渾身の袈裟懸けもこの全身装甲のISは鮮やかに回避して見せた。
「オイオイ、マジかよ……」
キラ達と同等の回避を見せる敵に一夏は冷や汗を流しながら愚痴る。
正直、あの2人も人間業じゃないが、このISも半端ではない。
そう踏んだ一夏は鈴に作戦を伝える。
「鈴、もう一度砲撃を!! 最大出力でだ!!」
その言葉に鈴が意見する。
「撃ってもかわされるわよ!! 意味無いじゃない!!」
その言葉に一夏は力強く答える。
「安心しろ! 俺を信じろ!! キラ達ほどじゃ無いけどうまくやれる!!」
その言葉に鈴は覚悟を決める。
「良いわ! やるわよ!!」
そう言いながら鈴は龍咆の出力を最大にし、チャージを開始する。
「チャージ、95%。撃つわよ!!」
そう言った瞬間、一夏が鈴の目の前に立つ。
「な!? 一夏、退きなさい!! それじゃあ撃てないわよ!!」
叫ぶ鈴に一夏は頼もしく言う。
「良いから撃て!!」
「ああ!! もう!! 知らないわよ!!」
そう叫びながら鈴は最大出力の龍咆を一夏の背に向けてぶっ放した。
「グッ!? オオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
獣じみた咆哮と共に一夏は衝撃波をその背に受ける。
その瞬間、一夏のISのシールドエネルギーが一気に回復する。
一夏はその瞬間、雪片弐型の出力を最大に切り替え、PICを最大に設定した。
細かった光の刀身は輝きを増しながら長くなる。
一夏はソレを腰だめにし最大出力で敵ISに向けて突撃を開始した。
一夏の耳から風の唸り声が届く。
目の前には敵のビームの弾幕が見える。
それでも一夏は恐れていなかった。
「行っけえええええええええええええええええええええええええ!!」
そう叫びながら敵ISに雪片を突き立てる一夏。
敵ISのシールドエネルギーは削られていく。
破壊される直前、敵ISは右手を突き出し、ビームをゼロ距離から一夏に撃ち込む。
辛うじてシールドに救われた一夏は地面に叩きつけられた。
迫る敵に慌てる鈴。
明らかにボロボロの一夏。
しかし、
一夏は笑っていた。
「遅せえぞ、セシリア」
その瞬間、5本のレーザーが敵ISに降り注ぐ。
敵ISは回避できずにシールドで防御した。
「あら? コレでも早く来ましたのよ?」
セシリアは優雅に言い放ちながらスターライトmkVを敵ISに乱射した。
正確無比な射撃が連続して発射される。
ブルーティアーズの一斉発射のオマケ付きでだ。
敵は一夏からジリジリと撤退する。
その瞬間、シールドが粉砕されレーザーが胸部を直撃、爆発した。
「やった!!」
「まだ!!」
一夏の喜びに鈴が叫ぶ。
その瞬間、爆煙から敵ISが出てきた。
「一夏!! 何をやっている!! その様な相手に負けるな!!」
声のする方を向くと箒が声を張り上げ叫んでいた。
その叫び声に反応する敵IS。
「!?」
「箒! 逃げろ!!」
敵ISは箒にビームを放とうとした瞬間、
上空から緑色のビームが一筋、敵ISに向けて舞い降りた。
超高熱量のビームに貫かれた敵ISの右部装甲は爆発で吹き飛ぶ。
シールドで自分を覆いながら後方へと下がる敵IS。
「何!?」
鈴の言葉に一夏、セシリア、箒はそれぞれ答える。
「正直、遅すぎる上に狙ったとしか思えない様なタイミングだな? オイ!」
「全くですわ。ヒヤヒヤ物ですわね」
「真打気取りか? キラ、アスラン」
その瞬間、蒼い翼の大天使と紅の最強騎士が舞い降りた。
「待たせたね?」
「もう大丈夫だ。3人共下がれ。後は……俺達がやる!!」
その声に鈴は聞き覚えがあるらしく鈴は考え込み、答えを導き出す。
「もしかして……ヤマトとザラ!?」
そう言った瞬間、一夏にお姫様抱っこをされる鈴。
「鈴、ここは引くぞ」
「どうしてよ!?」
その言葉に一夏は答える。
「あの2人が敗北する事なんてありえない」
そういい飛び立つ一夏達を背で感じながらキラは先制攻撃にクスィフィアス3レール砲を撃ち込む。
最大出力のレール砲の弾頭は黄色いラインを引きながら敵IS目掛けて突き進む。
音速を超えた速度で飛来する弾頭を回避困難とした敵ISは防御に入るが、その行動は間違いだった。
磁気を帯びた弾頭はシールドを貫通、装甲に着弾し爆発した。
よろめきながらも残った左のビーム兵装で反撃する。
しかし、キラは右手でビームサーベルを引き抜き、ビームを鮮やかなに回避しながら直進する。
ジグザグにビームとビームの隙間を縫うように回避するその機動は正に芸術的であった。
ソレを見た鈴は戦慄する。
(ウソ……亜光速で飛んでくるビームをシールドエネルギーを消費することなく純粋な回避で避けてる!?)
そんな鈴の内心を知ってか知らずかキラは超高速の速度を殺す事無く敵IS側の左方向へ突き進み、バレルロールしてすれ違った。
その瞬間、敵ISの左手は二の腕から下が無くなっていたのだ。
宙を舞う敵ISの腕。
そして腕が地に落ちた瞬間、一陣の赤い風が空から舞い降りる。
アスランは敵ISの真上から急降下し、ビームサーベル2本を同時に抜刀し、敵ISの肩口を切り裂く。
両肩から下を切り落とされる敵IS。
しかし、アスランの攻撃はそれだけに留まらない。
ビームサーベルを連結させアンビデクストラスハルバードモードにすると、ソレを逆手から上手に持ち替え、右に振るい、敵ISの首を跳ね飛ばす。
更に止まらず。胴体、足と切り刻む。
その姿はまるで鎌イタチを纏った赤い竜巻の様だった。
バラバラにされ崩れる瞬間、アスランはその場から飛びのく。
そして、コレを待っていたと言わんばかりに敵IS後方にいたキラがカリドゥス複相ビーム砲を最大出力で撃ち込んだ。
腹部から発せられるプラズマビームは赤い光を煌かせながら敵ISのコアに直撃、爆散した。
この間、僅か5秒。
自分達が苦戦した敵ISが僅か5秒で完全征圧した事に一夏達は恐怖すら覚えたのだった。
あとがき
乱入編終了です。
まあ、戦闘描写が相変わらずですがこんな小説でも読んでいただければ幸いです。
押して頂けると作者の励みになりますm(__)m