キラ達は一夏達と共にトーナメントに向けての訓練を開始していた。
「ソレは良いのだが……」
箒は腕組をしながら目を瞑り、不機嫌そうに言う。
「何でソイツがいるのよ?」
鈴もまた不機嫌そうにある人物を見ながら言う。
鈴の視線の先にはラウラが涼しい顔をしながら立っていた。
「ああ、ラウラは俺と組む事になった。だから訓練にも参加する」
その言葉にセシリアが疑問を投げかける。
「アスランと貴女が?」
アスランはその言葉に頷きながら答える。
「ああ、俺は接近戦で前衛、ラウラが後方で砲撃戦と言った具合だ」
キラは、話は終わりと訓練の内容を説明する。
「今回のトーナメントはツーマンセルの1小隊としたチームでの戦闘が基本。勝敗はチームのIS2機ともシールドエネルギーがエンプティーになるか降伏宣言をした時点で敗北となるね」
ソレを引き継ぐようにアスランが説明する。
「今回のトーナメントの勝利の鍵はチームワークだ。そこで、それぞれチームに分かれての模擬戦を戦い、チームの配置、陣形、お互いの兵装、連続戦闘稼働時間、癖や戦闘での特徴を把握するのが今回の訓練の目的だ。質問は?」
アスランは周囲を見回し、質問が無い様なので話を続ける。
「それでは、チームに分かれて30分間お互いの兵装の確認や連続戦闘稼働時間、得意分野を話し合い、陣形を決めろ」
そう言い、アスランは一時解散を命じた。
一夏と箒のチームではお互いの兵装を話し合った後、陣形の割り振りを決めかねていた。
「如何すんだ? 正直、俺も箒も接近戦主体だろ?」
「ああ、前衛も後衛も無いからな……」
一夏と箒は頭を抱えながら話し合った。
鈴とセシリアのチームではややテンションが低い。
陣形やお互いの兵装、稼働時間は把握できたが、ジャンケンで破れ、一夏と組む事が出来ずテンションは低かった。
「全く……最悪ですわ……一夏さんと組みたかったのに……」
「全くよ。セシリア、アンタ、私の足だけは引っ張らないでね?」
その言葉にセシリアも憎まれ口を叩く。
「それは此方の台詞ですわ。鈴さん」
その頃、キラとシャルはお互いの兵装や能力について話し合う。
「キラの場合はリミッターのオンパレードだけど、兵装は豊富だね。ビームライフルが2挺、腹部のプラズマビームに腰部レール砲が2挺、背中のドラグーンって言う誘導兵器が8機に頭部バルカン砲、そして、ビームサーベル。距離も選ばないし」
その言葉にキラもシャルのラファールリヴァイヴカスタムUの機体能力についても触れる。
「ラファールリヴァイヴカスタムUもいい機体だよ。高速切替の大容量の拡張領域を活用し、事前に武装の呼び出しをせずに戦闘を同時進行で武装を呼び出す事で目まぐるしく変わる戦闘に即時対応が出来るんだから。それに灰色の鱗殻も面白い装備だね」
その言葉にシャルは落ち込む。
「キラには全然通用しないけどね。それに第2世代型だし」
その言葉にキラがある事をシャルに提案する。
「じゃあ、シャル。訓練が終わったら僕の所に来てくれる? ISの強化をしてあげるから」
その提案に流石のシャルも驚く。
「え!? でも、ISは国家や企業が管理しているんだよ? ソレを勝手に弄るのは良くないよ! バレたら捕まるよ!?」
シャルの言葉にキラは素敵な微笑を浮かべながら言い放つ。
「バレなければ問題ないよ」
と。
アスランとラウラはお互いの兵装と陣形の確認が終わり話し合っていた。
「アスラン、ヤマトとデュノアのチームと当たった場合の対策は考えているのか?」
その言葉にアスランは頷く。
「ああ、キラとマトモに戦えるのは俺くらいなものだ。言い方は悪いがハッキリ言ってラウラが出てきても意味が無い。多分、キラは俺と当たった時、俺を押さえる為に前に出るだろう。そこで、ラウラ、君にはシャルルに当たってもらう」
アスランの言葉に内心憤慨しながらもアスランと対等のキラとマトモに戦える訳が無いとその身をもって理解したラウラはアスランの言葉に頷く。
「了解した」
そこで、アスランはラウラに提案を持ちかけた。
「ラウラ、君のISを改良したい」
その言葉にラウラは質問する。
「国家や企業が管理しているISをどうやって改良する気だ? パーツにしても国家や企業が厳重な管理を行っているし、OSもロックが何重にも成されている」
その質問にアスランはハッキリと答えた。
「IS学園の名でパーツや部品は取り寄せる。OSはキラ程の技量が無くてもロックの解除は可能だった」
その言葉にラウラは尚も反論する。
「我が国がそんな事を許す訳が無いだろう?」
その言葉にアスランはキッパリと答える。
「VTシステムを搭載した事をネタに脅迫して黙らせる」
ソレを聞いた瞬間、ラウラはアスランと組んだ事をちょっと後悔した。
訓練も終わり、キラとシャルはキラの車に乗り、キラが学園郊外に用意した工房にいた。
「キラってこんな工房を持ってたの?」
シャルの質問に作業をしながら答えた。
「僕が開発したOSを国家や企業に匿名で売りさばいて稼いだお金で用意したんだ」
ソレを聞いた瞬間、シャルは驚きを露にする。
「ISのOSを開発できるの!?」
「うん、まあ、一夏のOSを組んだのも僕だし、織斑先生の依頼で打鉄のOSを改良して学園からお金も大分貰ったし」
キラは思い出す様に言いながらシャルのラファールリヴァイヴカスタムUのOSを改良していく。
「ところでどんな改良をするの?」
シャルの疑問にキラは作業をしながら答える。
「OSの要領の向上による操縦者のイメージインターフェイスを『ストライカーパックシステム』に適合させる様にOSをグレードアップ。その為のメモリーの拡張と『ストライカーパックシステム』のOSの作成。考え方は第3世代と第2世代を融合させた考え方かな?」
キラの言葉に聞きなれない言葉を質問するシャル。
「『ストライカーパックシステム』?」
その言葉にキラは頷きながら答える。
「特定のコンセプトに沿った武器やスラスターなどの装備を複合した換装型バックパックで、機体背面に専用のプラグを持つISに、状況に見合ったストライカーパックを装備する事で、どの様な用途、状況に対しても能力の高い機体として臨む事が可能なシステムなんだ。また、シールドエネルギーバッテリーも内蔵されてて、ISの稼働時間を延長する役割を果たしているのが特徴だね。つまりIS本体とストライカーパックの2つのシールドエネルギーバッテリーがあるから長時間の戦闘を可能にしているんだ」
ソレを聞いたシャルは驚く。
「そんな事が可能なの!?」
シャルの驚きにキラは作業を完了させこう言った。
「可能だよ」
そう言うとキラは次にストライカーパックの作成に取り掛かった。
「ありがとう!! キラ!!」
そう言いながらシャルはキラの背中に抱きついた。
「しゃ、シャル!? 抱きつかないで!! 今作業中だから!! それに当たってる!! 僕の背中に当たってる!!」
その言葉にシャルは頬を赤らめながらキラの耳元で語りかける。
キラの耳元にシャルの甘い吐息が当たりキラの耳を擽った。
「2人だけの時はシャルロットって呼んでよキラ……」
シャルは暫くキラの背中に抱きついたまま耳元で甘い吐息を吐いてキラの反応を楽しむのだった。
「シャル!? 止めて! 手元が狂うか!?」
そのキラの抗議にシャルは意地の悪い笑みを浮かべこう言った。
「シャルロットって呼んでくれないキラが悪いんだからね? シャルロットって呼んでくれたら止めてあげる」
この時、キラは心で絶叫した。
(シャルロット!! 何て恐ろしい娘!!)
同じ頃、アスランとラウラはアスランの工房にいた。
「どのような改良を加える気だ?」
ラウラの問いかけにアスランは答える。
「破壊したVTシステムの余剰スペースを利用して追加のパワーエクステンダーを搭載、肩部装甲内に3連装ビーム砲と連装砲を搭載、背部にはバラエーナ改2連装ビームを搭載した。後、レールカノンの省電力化と威力向上の為の改良をした」
その言葉にラウラが疑問を投げかけた。
「ビーム兵器か? シールドエネルギーの消費が早いと思うのだが?」
その言葉にアスランは説明をする。
「エネルギー変換効率の改善を行い、火力を落とす事無く大出力ビーム兵装の使用が可能になった。前のシュヴァルツェアレーゲンのレールカノンよりバラエーナ改2連装ビームの方が消費エネルギーは少ないくらいだ」
その説明にラウラはアスランを驚きながら見る。
「そんな事が可能なのか?」
「可能さ」
その言葉を聞き、ラウラは誇らしくこう言った。
「流石は私の“嫁”だ!」
その言葉にアスランは苦笑しながら言う。
「ソレを言うなら“婿”だろ? ソレと俺は何時から君の伴侶になったんだ?」
「私がそう決めたからだ!!」
胸を張りながらそう言うラウラにアスランはため息を吐きながら言う。
「俺はそう言う冗談は嫌いだが?」
その言葉にラウラはムスッとしながらアスランに近づき、アスランの唇を奪う。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」
突然の不意打ちにアスランは反応出来ないままラウラにキスをされてしまった。
ラウラは唇を離しながら頬を赤らめ、してやったりと言わんばかりにアスランに言い放った。
「コレが証拠だ。因みに私のファーストキスだ。責任は取ってくれるのだろうな? アスラン。婚姻届でいいからな?」
その言葉にアスランは頭を抱えて心の中でこう言った。
(ラウラ!! 何て恐ろしい娘!!)
と。
あとがき
今回はシャルとラウラの機体魔改造です。
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