2機のガンダムの乱入で会場は騒然となる。
一気に観客席の防御シャッターが強制的に観客の視界を遮り、アナウンスが会場中に響き渡る。
『試合中止、試合中の生徒は即時退避。警備担当の教員は即時対応。観客、来賓は非常口より非難してください!!』
そのアナウンスで来賓、観客は我先に逃げる。
「キラ!」
アスランの言葉にキラは頷きながら答える。
「解ってる。シャルとラウラを逃がす為に時間を稼ぐ。多分、“アレ”は先生達じゃ対処できない!」
そう言うとキラ達はディスプレータッチパネルキーボードを展開し、フリーダムとジャスティスのロックを解除しに掛かる。
アスランは作業しながら千冬と真耶に通信を開始する。
「織斑先生! 即時警備担当の教師を下がらせて下さい!! アレは“ガンダムタイプ”だ!!」
その言葉に千冬は質問する。
『ガンダムタイプ? お前達と同じ機種か?』
アスランは強い口調で尚も言う。
「質問は後です!! 早く!!」
その言葉に真耶は押されながら千冬に問いかける。
『織斑先生……』
千冬はため息を吐きながら問いかける。
『お前達なら止められる。と?』
その問いかけにアスランは自信に満ちた顔で答える。
「機体のロックを解除したら確実にと言う単語が頭に付くくらいには」
その言葉に千冬は決断を下す。
『良いだろう。ロックの解除を許可する。だが、ロック解除には時間が掛かるぞ?』
その言葉にアスランは頷きながら答える。
「最低でも後、3分時間が掛かります。ソレまで逃げながらOSのロックを此方で強制解除します」
その言葉に真耶は反論する。
『それじゃあ2人が的になります!! せめて護衛をつけるべきでは?』
その言葉にキラは反論する。
「相手が悪すぎます。護衛が護衛の意味を成さない相手ですから」
その時だった、上空からまた別の機体が複数下りてきた。
「ザク!?」
アスランの言葉にキラも頷く。
「12機……3個小隊規模……」
その時だった、菱形の陣形の後方にいるザクウォーリアがオルトロスを構える。
3機のオルトロスの銃口がキラとアスランに向けられる。
そして赤い3本の光がキラとアスランを襲う。
「クッ!?」
「チィ!!」
キラとアスランは慌てて回避する。
回避と同時に赤い光はキラ達がいた所を通り過ぎアリーナの壁に激突、アリーナの壁を吹き飛ばした。
上空に飛び上がった瞬間、先頭のスラッシュザクウォーリアがキラとアスランを襲う。
3機は連携しながらキラ達から見て左のザクが突撃を開始。そして、中央のザクがハイドラ ガトリングビームを撃ち込む。
ソレを回避するが左のザクがキラにファルクスG7ビームアックスを振り下ろす。
ソレを後ろに回避するキラ。
しかし、右側のザクが後方に待機していた。
横薙ぎにファルクスG7ビームアックスを振るうがキラは倒立反転で相手の後方に回避する。
「キラ!?」
アスランが叫ぶがそんな余裕はアスランには無い。
菱形の陣形の左側のブレイズザクウォーリア3機がビーム突撃銃を乱射する。
「チィ!!」
その内の1機がビームトマホークを引き抜き、アスランに白兵戦を仕掛ける。
振り下ろされるビームトマホークを最小限の動きで回避するが、2機目のザクがビーム突撃銃でアスランに攻撃を仕掛ける。
「クソ!!」
ソレを横に回避するアスラン。
しかし、もう1機がファイヤビー誘導ミサイルを撃ち込む。
アスランはソレを高速機動で回避するがロックオンされている為、追いかけて来る。
アスランはジグザグにバレルロールでしてミサイル同士を衝突させその爆風の余波で別のミサイルを巻き込んだ。
(良い様に分断された!? クソッ!! こいつ等、統率が取れている。まるで軍隊の動きじゃないか!! 厄介だ)
コレではお互いOSの解除に集中できない。
シールドエネルギーも先ほどの高速機動で磨り減った。
「残りエネルギーが1000を割り込んだ!? 不味い!! せめてハイパーデュートリオンのロックだけでも!!」
その時だった。
ブレイズザクファントムが動き出し、アスランを襲撃した。
「しまった!?」
左と正面、更に下、理想的な十字砲火だ。
アスランが落とされる覚悟を決めた時、下のザクファントムに黄色の弾道が襲い掛かる。
ソレを回避するザクファントム。
「アスラン!!」
「ラウラ!? 逃げろと言った!!」
その言葉にラウラは全兵装を乱射しながらアスランに集っていたザクを追い散らす。
そして、アスランの近くに来るとアスランに反論する。
「今の状況は最悪だ。冷静なお前らしくない」
その言葉にアスランが反論する。
「相手は明らかに部隊運用を主眼に置いた動きをしている! お前達では無理だ!!」
アスランの反論にラウラ砲撃をしながら尚も反論する。
「悪いな、私とて戦闘のプロだ。見くびるなよ? アスラン・ザラ」
その言葉にアスランはため息を吐く。
「……良いだろう。俺達の護衛だ! 行けるな? ラウラ!」
その言葉にラウラは振り向きながら答える。
「無論だ。だが、ヤマトの護衛は不要だぞ?」
その言葉にアスランが質問する。
「何故だ?」
その言葉にラウラはニヒルに笑う。
「アチラにも頼もしい護衛が付いたからな」
キラは何とかこの囲いを脱する為に動き回る。
「クッ!?」
キラがビーム突撃銃を回避した時だった。
オルトロスのビーム3本が襲い掛かる。
(駄目だ! 回避しきれない!!)
直撃覚悟で回避行動を行おうとした時だった。
一陣のオレンジ色の風がキラの前に現れる。
シャルだ。
シャルはアンチビームコーティングシールドを正面に突き出し赤い3本のプラズマビームを防ぎきる。
「シャル!? どうして!?」
キラの驚きの言葉にシャルはケルベロスを装備し、アグニ2挺を脇に抱えながら発砲した。
赤い4本のビームが4体のザクに襲い掛かるがザクはアンチビームシールドで防ぐ。
「ごめん!! シールドエネルギーの充電に手間取って遅くなった!!」
キラはその言葉を遮るように言う。
「そうじゃないよ!! 逃げろって言ったろうが!! 何故逃げない!?」
その言葉にシャルはキラに言う。
「悪いけど、キラに守ってもらうほど僕は弱くないつもりだよ? 確かにキラ達から見たら僕は弱いけど。でも!! 今はキラの護衛くらいは出来る!!」
そう言いながらラビットスイッチでストライカーパックをエールに変換し、ビームサーベルを引き抜き、ビームトマホークで襲い掛かるザクと激しい鍔迫り合いを演じる。
シャルはザクの腹部を蹴り飛ばし、距離を強制的に取る。
「守って見せるよキラ!!」
その言葉にキラはため息を吐き出し、シャルにお願いをする。
「後2分、2分耐えてシャル」
シャルは嬉しそうに言う。
「了解、丁度、一夏達も着たしね」
その言葉どおり、一夏、セシリア、鈴の3人が乱入する。
「無事か!? キラ、アスラン!?」
その問いかけに驚きを露にする2人。
「如何して!?」
キラの問いかけに一夏は答える。
「ダチがピンチの時に指銜えて見てろって? 冗談じゃない!! 俺はそんな薄情者でも情けない訳でもない!! 時間稼ぎくらい出来るさ!!」
更にセシリアも付け加える様に言う。
「そうですわ! 相手は多数! なら、数は多い方に越した事ありませんわ!!」
鈴もまたキラ達に言う。
「そう言う事! アスラン、キラ!! チンタラしてないで、ロックをサッサと解除しちゃいなさいよ!!」
その言葉にアスランは礼を言う。
「すまない」
一夏はニヤリとしながらアスランに言う。
「そう言う時は『ありがとう』だぜ? アスラン」
「ありがとう」
「頼むよ。皆!!」
「おう!」
「ええ!」
「任せなさい!」
「解った!」
「了解!」
一夏達はそう答えて、ザクとの戦いを開始した。
その時、箒はモニターを見つめながら悔しさで胸が一杯だった。
(私にも……専用機があれば……私は……悔しい……情け無い……一夏が、キラ達が戦っているのに見ていることしか出来ないなんて……)
体をワナワナ震わせながら箒はモニターを見つめた。
あとがき
さて、一夏達は時間稼ぎが出来るのか?
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