アスランは牽制にビームライフルを発砲。

ソレを回避し銀の鐘を撃ち鳴らす福音。

「当たらなければ如何と言う事はない!」

そう言いながらアスランは鮮やかな回避行動で福音のシルバーベルを全弾回避してみせる。

しかし、かわしたシルバーベルはアスランを執拗に追尾する。

「追尾機能つきのビーム。亜光速じゃないな……粒子を圧縮し加速して撃ち出してるのか。アスラン、シルバーベルを撃ち落してみて」

キラはデータを集めながらアスランに頼んだ。

「解った」

アスランは極超音速で動きながらバルカンでシルバーベルを撃ち落しにかかった。

バルカンを喰らったシルバーベルの1発が爆発。連鎖するように周囲のシルバーベルも爆散する。

しかし、福音はそれでも弾幕を張る。

アスランはそれを回避する。

「ヤッパリ……ある一定の衝撃を受けると圧縮した粒子が不安定化をおこし、粒子による粉塵爆発を引き起こすんだ。追尾機能は福音の翼の特殊電磁場フィールドで制御しているね。弾頭加速もあの翼のPICが制御しているのか。それに、今の砲撃は粒子の圧縮が低いけど速度は速い。連射向きだね。なるほど、爆撃タイプと砲撃タイプの2種類の圧縮粒砲の撃ち分けが可能か。アスラン、福音は翼が弱点だ。アレは機体の姿勢制御、加減速、兵装運用を一手に行っている。データを送るよ」

「解った。今から接近戦を試みる」

そう言うと、アスランはビームライフルを左手に持ち替え、ビームサーベルを引き抜くと目にも止まらぬ速さで福音に迫る。

左から右の横薙ぎの斬撃を福音に浴びせるアスラン。

しかし、福音は倒立反転しながら後方に下がりアスランに蹴りを入れようとする。

しかし、アスランはソレを素早く体を捻り回避する。

攻撃が外れた福音はアスランから距離を取り砲撃戦を仕掛ける。

そう、アスランは相手のインファイトアビリティーを見るためにわざと大降りにビームサーベルを振るったのだ。

キラはその様子を見ながら分析を開始する。

「接近戦能力は格闘のみか……しかし、並みのパイロットなら確実に喰らってる攻撃だ。あのIS……ソコソコ高性能だ」

そう言うとキラはアメリカ軍の衛星をハッキングし福音にアクセスしようとした。

しかし、エラーの文字が目の前のウィンドーに表示される。

「エラー……まさか……」

そう呟くとキラは高速でキーボードを叩く。

次々とウィンドーが開いては消えを繰り返す。

「ヤッパリ……外部アクセスを受け付けないように設定されてる。解除するには福音本体にプラグを繋いで解除するしかない。でも、ソレは事実上不可能だ。コレは、破壊するしか手は無いか……」

キラはそう言いながらデータを転送するとHQの千冬に通信を開始する。

「ブロークン2よりHQ。福音の詳細データを送る。即時、全隊員に送信されたし」

『少し待て……データを確認した。一夏達に送る。2人は引き続き、福音の足止めを継続しろ』

その命令にキラとアスランは答える。

「「了解!」」

千冬は全回線を開き、命令を送る。

「HQより各隊員に通達、作戦は第二段階、プランBに移行。繰り返す、作戦は第二段階、プランBに移行」

その通信に一夏達は答える。

『『『『『『了解!』』』』』』

その頃、一夏達はシールドエネルギーを節約する為、通常飛行で進軍していた。

「一夏、もっと速度は出せないのか?」

箒の言葉に一夏が反論する。

「これ以上、速度出したらシールドエネルギーの消費が早いだろ! 落ち着け、焦るな!」

一夏の言葉に箒は勇んで答える。

「キラ達とて長々足止めは出来ないんだぞ!? 悠長な事は言ってられない!!」

この時、一夏達は箒の様子が何時もと違う事に気づく。

その時だった、千冬が秘匿回線で通信をする。

秘匿回線(プライベートチャンネル)? 一体……)

『一夏、私だ。今の篠ノ之は浮かれている。まあ、気持ちは解らんでも無いが、今は任務中だ。一夏、お前が篠ノ之の手綱を握れ。今の篠ノ之はミスをする可能性が高い』

その言葉に一夏は頷きながら答える。

「解った。後、俺に秘匿回線を使わせてくれ」

『解った』

そう言うと千冬は一夏に秘匿回線の使用権限を与える。

「皆、俺だ。聞いてくれ」

その言葉に箒以外の全員が通信に出る。

「秘匿回線? 一夏如何したの?」

シャルの質問に一夏は険しい顔で答える。

「箒の事だ」

その言葉に全員が思う所があったらしく通信に出た全員の顔が険しくなる。

「今の箒は専用機に初めて乗って浮かれている。だから、全員で箒のフォローを頼みたい」

その言葉に鈴が毒づく。

「あの浮かれポンチ……まあ、良いわ。フォローするわ」

シャルも頷きながら答える。

「まあ、解らないでも無いからね……解った。やってみる」

セシリアも頷きながら答える。

「解りましたわ」

ラウラは別の事に対して懸念を述べる。

「アスラン達にこの事を報告しなくて良いのか?」

その問いかけに一夏は答える。

「アスランやキラだって俺達のフォローや作戦指揮で手一杯の筈だ。これ以上負担は掛けられない」

そう言うと一夏達は戦場へと急いだ。



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