第12話『紛糾する会議室』
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次元空間へと飛ばされたマルセフ司令指揮下(現在コレムが司令代行)の地球連邦防衛軍は、時空管理局と接触し、そこでSUSと称する戦闘国家の軍隊との遭遇戦に見舞われながらも本局へ入港を果たした。そして、司令代行コレム大佐、並びに第五艦隊副司令東郷少将が、地球連邦代表として初会談に臨んだ。
コレムと東郷の2人は、自分らの地球が辿って来た過去を一通り説明をしていってから本題へと迫った。今、地球に迫りくるカスケード・ブラックホールの存在と、それに伴う大移民計画である。
「ディンギル戦役終結より、凡そ14年後のことです。銀河交差も予想よりも早く収まり、再び活気づいている最中でした」
時空管理局高官らの目前に投影される映像には、銀河交差現象が不自然にも早期の収まりを見せ、平穏を取り戻しつつある様子が記録されている。同時に、地球連邦科学局が観測した観測データも投影され、一同の重い空気に沈めた。
「地球連邦科学局の天文学研究所から、巨大な質量を持つカスケード・ブラックホール――即ち移動性ブラックホールが観測されたと発表されたのです」
(ブラックホール!? 入り込んだら二度と出ることも出来ない、悪魔の様な天体……)
東郷の口から出たブラックホールの存在を耳にした時、高官らは皆して騒めき、隣同士で思わず言葉を交わしている。
その中で、今まで広大な次元空間を飛び回って来た経験を持つリンディ・ハラオウン少将も、ブラックホールが如何に恐ろしいものかは知っている。他の時空管理局の人間も、カスケード・ブラックホールという名を知らない訳ではない。ただ、陸の人間には馴染みの薄い天体の名前であったかもしれないが。
そもそもブラックホールは、太陽が重力崩壊――即ち
超新星
(
スーパー・ノヴァ
)
爆発を起こすことで発生すると言われている天体だ。その超重力は、光さえ通すことを許さない程に強力であり、特に中心部の“特異点”という部分は密度と重力が無限大であると言われている。また、地球で提示されている全ての法則が崩れ去ると言われていた。
ブラックホールに吸い込まれる前には、“事象の平面”と呼ばれる無形かつ透明の壁の様なものが存在し、その壁を超えたら……その吸い込まれた先はどうなるかは、予測するのも困難である。何故なら、ブラックホールに飛び込んで生きて帰って来れないからだ。
そんなブラックホールが、何と銀河中心から地球へ一直線に向かって来ているのだというのだから、恐ろしくもなろう。以前は自然に発生したと思われていた白色彗星があったが、今度は彗星とは比べ物にはならない超重力の自然天体である。
刻一刻と迫りくるカスケード・ブラックホールに対して、地球連邦は連日して対策会議を行い様々な案を繰り出して来たが、どれもこれも地球の科学力では実現不可能と判断されてしまった。真面目な話として、地球を丸ごと移動させる方法をも考えたのだが、実現は程遠かった。
ただし、これはガルマン・ガミラス帝国の科学力を持ってすれば、地球を移動させることは難しい話ではない――地球の損害を無視すれば。星を動かすことはできても、軌道に乗せるのは不可能だからだ。現に、惑星イスカンダルはマイクロ・ブラックホールで牽引され、恒星サンザーへの落下を防止こそできたが、周回軌道上に乗せることは叶わなかった。まして、惑星に必要不可欠な自転を、人工的なもので元通りにするのは至難の業であり、下手をすればマイクロ・ブラックホールの過度な潮汐力によって惑星そのものが大きく歪み、表層どころか地殻やマントルをも砕いてしまいかねない可能性があったからだ。
移動するだけなら良いが、それを現状の状態に戻すのは不可能だった。
「我ら地球に残された選択肢は1つ。移民のみ」
そこで最後に残された希望――他惑星への大移民であった。地球連邦政府は、地球の全総力を上げて民間企業と軍需企業の双方をフル稼働させ、巨大移民船を多量に建造し移民に備えて来たのだ。この時ほど、あの時間断層があったら、と呟く者も少なくは無かったが、こればかりは自然の驚異であり逆らうこともままならない。
ただ、ガルマン帝国からも支援はあり、大量の物資支援を受けたり、一部艦船建造の委託を請け負ってくれるなどの協力をしてくれたのだ。
「計画が実行されたのは、それから3年後の西暦2220年です。地球連邦は、2万7000光年先にあるサイラム恒星系の首都星アマールの月へと移民を開始させます」
「第一次移民船団は、移民船3000隻の他、防衛軍の第一艦隊、第二艦隊、第三艦隊の凡そ210隻を護衛に付けて出発させました」
(何と……。これ程の巨大な宇宙船を、3年間で建造したというのか)
3000隻にも昇る大移民船団が、大地から足を離して飛び立つ姿が映し出されている。大勢の市民が見送っており、次には彼らが運び込まれることとなるのだ。
この出発時の映像を見たジョセフ・レーニッツ大将は、3年と言う短期間で、巨大な移民船を1万2000隻も造り上げた地球連邦の底力というものを思い知った。無論、それもガルマン・ガミラス帝国の支援あってこそだ。かの大国からの物資・技術の援助が無ければ、到底成功しえない一大プロジェクトであったのは容易に想像できよう。
加えて、衛星軌道上にある衛星からの映像も含まれている。そこには、月面基地より発進した、地球防衛艦隊の姿があった。艦隊の中には〈シヴァ〉の姉妹艦でありネームシップでもある〈ブルーノア〉の姿が確認できる。蒼き巨体を宇宙に晒し、移民船団の指導者として飛び立って行く。
(あれは……〈シヴァ〉と同じ型の艦の様ね、レティ)
(えぇ、どうやらその様だわ。〈シヴァ〉と同型艦は、やはりいたみたいね)
リンディとレティ・ロウランは、映像中の総旗艦〈ブルーノア〉を確認すると、ディンギル戦役以降の地球の復興力と軍備の再建力の力強さを改めて感じていた。先の移民船団建造時の諸事情があったように、地球防衛軍も時間断層というアドバンテージが失われている以上、迅速な戦力強化は叶わなかったが、幸いにして外部勢力からの大きいな侵略行為が無かったのが幸いであった。大国との大きな戦闘も無い中で、1隻で十数隻を相手取れるような戦闘艦を、ブルーノア級のみならず、ドレッドノート級主力戦艦といった艦船群をも多数建造して揃えていたのだ。
そして、出発する移民船を見送る大勢の市民達の映像が映された後、大船団は護衛艦隊に護られつつ航行を開始、最初のワープ航行に突入して宙域から姿を一斉に消したのであった。
問題はここからだ。一旦言葉を切ったコレムは、小さく深呼吸するとその後の説明を再開する。
「第一次移民船団の出発より凡そ7日後が経過したところで、我々が直接に護衛を担当した第二次移民船団が出発します」
すると、先ほどの第一次船団と変わらぬ規模の船団が、地球を進発する様子が映し出される。
「そこから17日が経過した頃です。我々第二次移民船団は、先に進発した第一次船団との定期交信が途絶えたことに気づきます」
当事者たる彼らは、第一次船団の事情を防衛軍司令部から送られてきた通信内容から得ている。それを話す前に、コレムは自分ら第二次船団に起きた事を話し始めた。
「第一次船団の安否が心配される中で、地球の防衛軍司令部より緊急通信を受信しましたが、それとほぼ同時に襲撃を受けることとなりました。我が船団の前方と左右より、国籍不明の大艦隊が出現したのです」
そう説明する中、3種類の艦隊が映し出されている。エトス艦隊、フリーデ艦隊、ベルデル艦隊の三ヶ国連合艦隊であった。
「我々は、国籍不明艦隊の身元を明らかにすべく連絡を取りますが無視され、逆に攻撃を受ける事態となりました」
記録映像にも、三ヶ国艦隊に所属確認の通信を送る様子が声で記録されていた。ひたすら声を掛け続けたものの、それを関係なしと言わんばかりに先手を打ったフリーデ艦隊の猛攻が、画面一杯に広がっている。奇襲を受け、護衛艦隊に降り注ぐ大量のビームとミサイルに、護衛艦隊全艦は遅まきながら迎撃戦を展開する。
ビームとミサイルの流れ弾が、後方にいた移民船団にも着弾してしまう。移民船団には、軍艦の様な強力なシールドは存在せず、着実に船体へのダメージを追うこととなる。外壁に面するエリアに居れば、被弾した際に亀裂が入って民間人が宇宙空間へ吸い出されていくのだ。
(移民船をも攻撃!?)
(何と……市民も平気で巻き込むとは、ディンギルの様な連中か)
これより以前に見たディンギル帝国も、移民船団を容赦なく攻撃して撃滅していた。一般人の犠牲を何とも思わないディンギル帝国とかなり酷似していたようだ。
地球艦隊の目の前に現れた大ウルップ星間国家連合軍艦隊は、見境なくして移民船と護衛艦隊への攻撃をワープアウトと同時に開始したことで、不意打ちには十分な効果があった。先手を打たれた地球艦隊は、次々と被弾し戦列を離れて行く戦艦群が映し出されている。先頭集団が真っ先に損害を受け、陣形が大きく乱れていくものの、そこをマルセフが秩序を回復させ、辛うじて戦線を維持した。
戦闘の様子を見ていたキールなどは、国籍不明艦隊の見境ない攻撃に、明らかな嫌悪感を示す。
(惨い事を……)
時空管理局の高官らの目から見ても、この様な野蛮極まる思考を持つ生命体がいる世界は、理解し難いものだった。同時に、この世界へ足を踏み入れたら最期、余所者として問答無用で攻撃されるのがオチであろうか。海の勢力拡大方針に対して、否定的な姿勢であった陸は勿論のこと、海の穏健派であるリンディやレティ、クロノといった者達も、これを見て強い危機感で感じざるを得ない。
この世界において、地球という惑星国家の存在は稀であると言える。もしも、ガトランティス帝国やデザリアム帝国、ディンギル帝国の様な連中にあったら、まず生かして帰してはくれないだろう。残骸となって初めて解放されるのだ。
そして、この戦闘で驚くべきは地球艦隊と国籍不明艦隊の戦力差であろう。地球艦隊210隻に対して、相手は630余隻――凡そ3倍もの戦力を有していた。他者が見れば、これほどの戦力差を知れば、長時間に渡り戦線を持ち堪えるのは、誰が見ても到底不可能だと直感するだろう。まして、それが単一の軍隊ではなく、複合された連合軍なら尚更のことだ。
だが、地球艦隊の戦闘艦艇における性能に関しては、他国を抜くものだった。三倍程度であれば、概ね拮抗するか、やや優位に立てるくらいであったろう。それが、地球防衛軍の劣勢に立たされた理由として、三ヶ国連合艦隊が未知の勢力圏のものであった事が挙げられる。最初から所属や敵対関係が明らかであれば、現れたその時から攻撃に映っていたに違いない。残念ながら認識していない未知の勢力圏の艦隊故に、先手を打てず、逆に先手を受けて大損害を被った次第である。無論、この時の三ヶ国艦隊の迅速なる戦術も起因していると言っても過言ではないが。
「この時襲って来た艦隊は、予想ではありますが、3つの国家が寄り集まっていると思われます」
(三ヶ国だと! 一度に三ヶ国の艦隊が襲い掛かって来たのか!?)
今までは一国ごとに相手をして来た地球であるが、今回に限り三ヶ国もの連合艦隊を相手に対応していたと考えると、高官一同は衝撃を受けてしまう。時空管理局とて、反攻勢力が全く存在しない訳ではない。大小様々な犯罪組織はいるものである。
だが、管理下に置いている世界そのものが、複数の国家同士で連携し、同時に反旗を翻されたりすれば、時空管理局とて困難な対応に追われるだろう。
組織的、国家的なレベルで複数を同時に相手取る――如何に苦しい戦いであるかは、時空管理局にはやや想像しにくい話であろう。その苦しさを嫌というほど経験して来た地球防衛軍艦隊は、どんな相手であろうとも、自分の身を捧げる思いで移民船団の前に立ちはだかり、退路を確保せんと徹底抗戦を続けた。
やがて損傷の酷い戦艦から放たれた拡散波動砲が炸裂し、正面の赤い艦隊ことフリーデ艦隊を突破して行く移民船団。それを最後まで護ろうとする護衛艦隊は、死力を尽くして退路を確保し続けた。
「我が方は全力で応戦しました。結果として生き残れた移民船は……500隻あるかどうかでした」
「移民船が脱出した後、護衛艦隊も離脱を開始しました」
(3億人もいた市民が、5000万人にまで減らされたとは……)
壮絶な交戦を記録映像で眺めやるキール。ディンギル戦役の時の被害よりも多くの人命を奪った戦闘について、これは現実的なのかと疑ってしまうが、これが虚偽であるとは到底思えない。
そして、何故ここまでして一般の市民が巻き添えを食わねばならないのか。地球という星は、管理局員らも記憶する中ではとてつもなく不幸な星だと感じざるを得なかった。ガミラス戦役から始まった宇宙を舞台とする戦争が、今尚終わる気配がないのである。
(いや、まてよ。第一次船団はどうなった?)
ふと気付いたのは、第一次移民船団の方は一体どうなったのであろうか、というものだ。
そのキールの疑問に対して答えが出たのは、地球艦隊が次元空間へ落ちる原因と思しき事柄を、東郷が述べ終わる頃だった。
「――そして、この次元空間に落ち込んだ我が艦隊を、貴方がた管理局に助けられ、更にはSUSと称する敵艦隊と交戦をし終えた後のことでした……」
SUS艦隊との戦闘を経て、情勢が落ち着いた所で確認したものがあったという。それが、地球の防衛軍司令部からの緊急連絡であり、その内容と添付されていたデータを開示して確認したのだ。ここに、第一次移民船団との通信が途絶えた最大の理由があった。
緊急通信に添付されていたという映像ファイルが、管理局高官らに表示された途端、一同の騒めきはより一層大きくなった。
「なんと……!」
それを見た高官達は思わず声を上げてしまう。地球から送られて来た緊急通信に添付されていた映像ファイルには、移民船と護衛艦を問答無用で攻撃するSUSの姿があったからだ。これはどういう事なのか。彼ら地球防衛軍は、既にSUSと接触していたのではないか。それを、先の戦闘では全く注意喚起を次元航行部隊に対して行っていなかったことになるではないか。
不信感を募らせる高官らを前にして、一先ずの説明を一通り終えたコレムは、ヒシヒシと批難の目を向けられていることに気付いてはいたが、今は相手の出方を見てみようと判断していた。
「これが、我々地球艦隊が迷い込んだ全貌となります」
「……貴官らに問いたいことがある!」
コレムが言い終えた瞬間に、喰らい付いて来たのはキンガーだ。外見的にも内面的にも、彼が相当に不機嫌なのは丸分かりだ。普段からして温厚とはかけ離れた人物だけに、その気迫は凄みを加味していた。
激怒しているキンガーの質問について、コレムらにしてみれば予想済みのことである。予想済みの問いであるものの、コレムとしては返答に困るのであった。自分らの言い分が、時空管理局らに伝わってくれるのだろうか……やはり、なんらかの強引な手が出るだろう。
そうも思いながらもコレムはキンガーの問いを聞き入れた。
「貴官らは、先に襲われた第一次移民船団の原因を、既にキャッチしていたのではないか。それなのに、どうして奴らが現れた時に注意を即さなかったのかね!」
「……先程も申し上げました通り、我が方は司令官の負傷と、艦隊の混乱を収拾させる事に全力を注いでいました。故に、確認を後にしたのです」
「本当にそうだと言いたいのか、貴官らは?」
睨み付ける威圧的な目線が、目の前にいるコレムと東郷に向けられるが、両者は全く動じてはいなかった。偽りを述べていたとしたら、それこそもっと挙動不審になるだろう。確かに、地球からの緊急通信を早急に確認出来なかったのは痛いものだった。先に確認が出来さえしていれば、次元航行部隊への被害は最小限に抑えられたかもしれない。
キンガーや強硬派の人間は、さらに弾圧的な言葉を浴びせかけてくる。犠牲になった次元航行艦の乗組員の遺族達への対応、時空管理局自体への被害への対応、SUSとの戦闘で被った被害に対する、半ば損害賠償に近い話を吹っかけられる始末だ。
「やめないか、キンガー提督」
「フーバー中将……!」
そこへ歯止めを掛けたのはフーバーであった。そりが合わない陸の者に追及を止められたキンガーは、なおさら不機嫌さを露わにして相手を睨む。
「コレム大佐や東郷少将の判断は、事故によって転移して来たばかりだ。状況も掴めない未知の空間に落ちたともなれば、現状把握と事態の収集を優先させるのは当然のこと。未知なる空間に飛ばされてしまえば、緊急通信よりも現状把握を優先するべきであろうが……違うかな?」
「そうだとしても、結果として我々は多大な被害を受けたのだ。いったいどうするというのかね、局員の遺族に対する対応は勿論、次元管理世界への情報漏れを防ぐことは不可能だ。既に地球艦隊の存在が噂となって社会へと飛び出し、浮足立っているのだぞ?」
高官同士での激論が交わされる中にあって、半ば取り残されたようなコレム。彼は、彼ら管理局高官らの会話を聞いていて、ふつふつと怒りを沸き起こらせていた。それは、キンガーの言う遺族への対応であったり、殉職した局員の被害についてだ。確かに、被害をもっと抑えられたに違いないだろう。
しかし、だからといって被害者の中に幼少の少年少女が幾人か入っていた事実には、さすがに怒りを禁じえないのである。幼い年少の局員を同席させておいて、何が責任か! 責任は、幼子とも言える局員を任務に派遣させていた方ではないか。しかも、貴重な人材というならば尚更のことである。年端のいかない少年少女を最前線に送り込むなど、狂気の沙汰ではない。
そんな事はつゆ知らず、高官らの論議は些かヒートアップしている。リンディやレティは、地球艦隊に対する援護射撃をしているようで、その様子はコレムと東郷の2人を安堵させた。
「犠牲が出てしまったのは、事実です。しかし、彼らは局員を助けようと、傷付いた状態で援護してくれました。そんな彼らに、責任を全てを擦り付けるが如き発言は、ご自重なさるべきです」
「彼ら防衛軍は、いわば恩人のようなもの。彼ら防衛軍と無用な軋轢を作って、どうするのです?」
「軋轢だと? リンディ提督とロウラン提督は、よほど外世界の無法者と手を繋ぎたいようだ」
1人の高官が放った言葉は、余りにも辛辣なものだ。レティも思わず、目線を鋭くさせる。
「先も言ったように、魔導師の損失は、我が管理局としても大きなダメージとなり得る。それに、こういった事に鼻の鋭い
連中
(
メディア
)
を黙らせることだって、簡単な話ではないぞ!」
高官の言う様に、議論の最中に社会的問題が刻々と浸透しつつある。それは先程の市民メディア関係への情報漏れだった。何処からかは分からないが、謎の艦隊の襲撃が早くも噂となって社会の間を掛け巡っているのだ。次元航行艦8隻程が撃沈してしまった事実は、隠すこともままならず、“管理局に反抗するテロリストの大規模襲撃”という苦しい公表を、時空管理局広報局はしていたのである。
どの道、この報道は市民の間に不安と恐怖を増長させるに至り、犯行テロ組織にしてみれば濡れ衣に近い報道に見えた筈だ。それでも、これ以上の報道余地はない。同時に、この事件で犠牲となった局員の遺族に対する対応も苦労が絶えなかった。
メディアに対して、遺族に対しての記者会見は慎重に事が運ばれてはいたが、批難先を避けるための苦肉の策でもある。
やがては、地球艦隊の存在も確実なものとして、社会へと浸透するのも時間の問題だ。明るみになれば、時空管理局へ真相を迫ってくるだろう。その時、時空管理局は腹を割って事実を公表するしかない。まして、JS事件で不名誉な裏の事実関係がある以上は、下手に隠し通すことはマイナスイメージにしかならないのだ。
「SUSの襲撃で被害に遭った局員達に対する責任は、免れることはない。中には優秀な若手も幾人か――」
U
「失礼ながら、“優秀な若手”ですか?」
不意に会話に割り込んだのはコレムだった。彼の心内にて、辛うじて保たれていた理性の均衡が、堪忍袋の尾という形で切れた瞬間だ。会話の最中で、静かだが怒りに震えるコレムの声が、会議室一帯を通り抜けたのに気付いた管理局高官らの視線が、一気にコレムに集中する。
横にいた東郷も、思わずコレムの暴発間近の様子を見てハッとなった。実を言えば、東郷もまた時空管理局高官らの発言が気に入らなかったのだが、長年の経験からか、コレムよりも大分我慢は出来ていたのだ。
しかし、コレムはそれが足りていないようだった。
怒りを禁じない雰囲気を、目に見えるオーラとして発しているコレムに、リンディは彼の言わんとする事を察した。そして、嫌な予感さえも的中していたのである。
それを知らずに反論したのは、強硬派の高官だった。
「そうだ、貴官ら防衛軍の対応がもう少し早ければ、こちらの優秀な局員を失わずに済んだのだぞ」
瞬間、コレムの怒りの撃鉄が音を鳴らした。
「歳端もいかない子供を、危険を承知で戦場へ送り出しておいて良く言えますな!」
「なっ……貴様っ!」
強硬派の人間は、コレムの言う言葉に反発しようとした。
だが、それを制するが如く発言したのは、コレムの怒りを即座に援護すべく察した東郷であった。
「救助する為に艦内を捜索しました。それがどうですかな、歳端の行かぬ少年少女が乗っていたとは、実に信じ難い話ですぞ」
(やはり、見られていたのね。とすれば、魔法の事も……)
コレムに続き東郷も時空管理局に対する批難の声を浴びせかけた。
だが、各世界によっては、非常識と思われることが常識であることも珍しい話ではない。これには、時空管理局なりの決まりがあるものだろう。防衛軍が横やりをさせるような立場にはない筈だ。それでも、人間としての情がそれを放ってはおけなかったのである。時空管理局の大まかな実態を知っているだけに、怒りは次々と噴き上がるばかりであった。
「そんな幼少の子達が、どのような方面で優秀であるのか、是非ともお聞かせ願いたいものですな!」
「なッ……言わせておけば、何だ貴官らは! その様な事を言える立場だと思っているのか!?」
戸惑いながらのも強い怒声を吐き出し、反撃を行ったのはキンガーだ。地球艦隊は、今一度自分の置かれた立場というものを知っておくべきだ――あからさまに相手を下に見た言いようと剣幕であったが、それをものともしない2人。時空管理局の面々からしてみれば、この質問に答えることは避けたいものである。あくまでも魔法の存在を知られてはいけない世界の人間に対し、“幼い子供たちは魔法において優秀で貴重な人材である”と、どうして説明できようか。それこそ、自分らから教えてしまうようなものなのだ。
だが、彼らはまだ知らない。コレム達が管理局のデータを入手し、内部事情を大まかな点ではあるが把握されていることを……。
今まで、時空管理局の内情が漏えいしているのではないか、と危惧しているリンディやレティは別であろうが、それを予期しえていない局員も少なからず存在するものである。
どの様に優秀なのか、という質問に答えない高官らにコレムもいよいよ口を開いた。
「小官の質問をはぐらかすおつもりなら、小官から申し上げましょう」
「何様のつもりだ、貴官らはっ! 何をはぐらかしていると――」
「救助時に不思議に思いました。何故、局員の中でバラバラの服装をしているのかと」
「「!?」」
まさか、地球艦隊の乗組員にバリアジャケットを見られたというのか!
この瞬間にして、高官らの背筋に一斉に戦慄が走った。もはや此処まで来てしまえば、一番に危惧していた問題は現実化しているも同然であったのだ。
クロノも予期していたとはいえ、地球艦隊の面々が魔法の存在を知ってしまったとなれば、彼らに対する対応はさらに難しいものと化したと考えている。強硬派の人間が、独断で行動する事も十分にあり得る話だ。そうなってしまえば、時空管理局に抵抗しようと地球艦隊は死に物狂いで反撃して来るだろう。
一方のコレムは、時空管理局の強硬派との口論が、さらに発展しかかっている状況だった。最初は単なる情報を提供する筈であったのに、何故このような事態に発展しているのか。案の定、時空管理局が食いついてきてからというもの、コレムと東郷は批難だけに終わらせることなく、犠牲となった局員とその遺族への責任をも追及して来る始末だった。
確かに犠牲を出したのは悔やむべき話ではあるのだが、その犠牲となった被害者の中に子供がいたとなっては、地球の人間として看過しえるような話ではない。それに対して、管理局高官らは、必死になって魔法の存在をひた隠そうとしているのが丸分かりだった。
次なる一撃を発しようとした時、別の声によって制止させられる。
「そこまでにしておいたらどうかね、諸君。そして、地球の方々」
「キール元帥!」
歯止めをかけたのは、それまで沈黙を保っていた栄誉元帥キールであった。この会談の方向性は、あくまで情報交換であった筈だと主張する。何も、ここまで議論することは予定に無かったのだ。
だが、分ってしまった以上、隠し通すことは無意味だ。コレムが言わんとしていたことを、キールは皆に代わって説明した。
「コレム大佐、東郷少将。時空管理局の内容を知ったらしいが……本当のようですな」
「……元帥閣下の仰る通り、我々は、時空管理局の内面を大まかではありますが、把握しております」
コレムの答えに、一同の騒めきは一段と大きくなった。この地球人達は、時空管理局の魔法に関することだけでなく、組織内部も大凡であるが知ってしまったらしい。こうなったら、事態はただでは済まされない。以前は1つの世界で魔法を知った者でも、有力な者であれば責任を問わずして引き入れることが多かった。
だが、今回は違う。魔法の有力者でもない地球人だ。しかも推測ではあるが、3600名余りの地球人兵士が、魔法という存在を認知したのである。こうなれば、時空管理局の取れる選択は狭まれ、地球防衛軍への待遇も大きく違ってくる。
とは言うものの、魔法を知った相手を問答無用で処罰させるような真似は出来ない。そんなことをすれば、時空管理局への不満は不信は一気に増大するだろう。こうなったら、彼ら地球艦隊を時空管理局の基へ組み込んでしまうか。それとも、条件なり付きつけて共存の様な形を取るか――解決は難航を見せる。
さらにコレムと東郷は、揃って己の処遇をどうするつもりなのかと問いだす。
「それで、我々が魔法を知ったことに対して、どう御判断をなされるのか?」
「もし危害を加えてまで管理局の秘密を守ろうとするならば……我等も身の護る為、戦闘を開始する用意もあります」
まるで、いつでも来いと言わんばかりの言動に聞こえるのも、無理はない話である。強硬派の高官強らは噴気し、生意気な態度を取る彼らを逮捕してやろうか、と口に出かける。
しかし、コレム達の言わんとすることも正しい。彼らは時空管理局の指定を受けている世界でもない、完全な部外者なのだ。時空管理局の命令に従う義務もない。
とはいえ、事故と言う形成れど他人の領域に踏み入れてしまったのだ。その時は忠告に従わざるを得なかったが、今は違う。機密保持の為、と防衛軍の兵士達が逮捕されて永遠に幽閉されようものなら、彼ら防衛軍だって黙ってはいないのである。
「貴官らは、時空管理局を相手に戦う意思があるというのかね!?」
(いや……彼らは本気だ。こちらが手を出さなければ何もしないだろうが、もしも手を出したら……)
この先に起こって欲しくない展開を、クロノは心内で強く否定した。今ここで彼らを捕えたりすれば、管理港にいる地球防衛艦隊は、その場で砲撃してくるかもしれない。
そして、キンガーを始めとした強硬派は、交戦意思(防衛的な意味でだが)を持つ彼ら防衛軍に対して、反発の声を上げて抗議する。そういやって、だんだんにエスカレートしそうな会議室の内部は、今に戦闘が勃発寸前だ。
だが、それはキールの声が響き渡ることで、中断を余儀なくされる。
「今、我々は交渉をする為に集っているのではないじゃろう。先も言ったが、これは情報を提供する為の会談じゃ」
「しかし閣下、これは由々しき問題ですぞ!」
横から言葉を発したキンガーであるが、それは物静かではあるがキールの片手で遮られてしまった。これ以上の会談はいらぬ亀裂を深くしていくだけである、と促した。これ以上も反発するのは、キンガー自身にも良くない為に、止むを得ず発言は自重された。
一旦静かになると、再び口を開いたのはフィルスであった。
「今回は、ここまでにしよう。コレム大佐と東郷少将からの情報も、十分に貰ったのだ。会談は、また後日にした方が良い」
「そうですね。御二人も、私たちの実情を知ったのです。お互いの事を知り合って、五分五分ということでよろしいでしょう。詳しい会談は、そちらの司令官が回復なさった時にまた……」
クローベルも続き、キールもそれに賛同した。強硬派の高官達は何か言いたいようではあったが、慎重派の者も次々と賛同して行くのを前にして、やむなく賛同するに至った。
「コレム大佐。そちらの司令官殿は、いつ頃完治されるかご存知ですか? こちらも、それに合わせて会議の場を用意します」
そう言ったのはクローベルである。会議はいつでも開けると言うものではない。緊急事態は別として、皆にも予定はあるのだ。
回復の頃合いを聞かれたコレムは、ケネス軍医からの話を思い起こして、感知する頃合いを口にした。
「早くとも1ヶ月前後となる見込みです」
「1ヶ月後ですね。こちらも、それに合わせましょう。皆も、よろしいですね」
「「ハッ」」
1ヶ月後に延ばされる会談であるが、それまでにSUSの襲撃があるかもしれないという恐怖感が、彼ら時空管理局にはあった。とりわけ、慎重的な者、保守的な者であるが。いまだに強硬派の中には、次元航行艦でSUSの艦艇を撃退できると信じて疑わないのだった。それが無力であると思い知った時、彼らはどれ程に落胆するか、想像するのは簡単だ。
二度目の会談まで、相当な時間が開くことになる。そこで、時空管理局側としても、ある程度の配慮を施す必要がある。
それについては、この会談が行われる1日前には決定されており、これを口頭で伝えるのはリンディの役目だ。
「コレム大佐、東郷少将。これからしばらくの間、こちらに滞在されることとなります。その間、局内部における防衛軍将兵一同の行動の制限、さらに各伝達事項をお伝えします」
「わかりました。お聞きいたしましょう」
軽く会釈しながらも、コレムと東郷はリンディからの説明を受ける。
「管理局内における行動範囲ですが、係留している港の周辺から、医療区と居住区の一部までとなります。本当なら、地上に脚をつけられればいいのですが、事が事ですのでご理解ください」
地球防衛軍の艦艇の内部設備は、概ね完備されているとはいえ、何時までも艦内に留まり続けるのは精神面で負荷をかける結果となる。そこで時空管理局は、一応の身分証と許可証を配布し、それを付けさせたうえで、局内部の居住区(主に飲食店エリア、バーチャルエリア等)や、医療区への移動を許可することにしたのだ。
とはいえ、いきなり局内部を歩き回る者はいないだろう。
次に地球艦隊で負傷した将兵への配慮だ。重症度の高い防衛軍兵士を、時空管理局の医療区へと搬送し、治療を受けさせるという。同時に医薬品の供給と、食糧の供給を手配すると告げられた他、防衛軍将兵への身の安全も保障することを約束する。
「……ただ、防衛軍将兵の方々には、次の事を守って頂かねばなりませんので、よく、お伝えください」
それは大方予想の付いたものであった。局内を移動する際、銃の所持は控えてもらいたいと言うものであった。当然と言えば、当然のことである。この世界では魔法以外の兵器の所持を禁止されているのだ。それに、自分らの艦自体も接収されてもおかしくない存在。そういった行動に出てこないだけ、有り難い話であると思わねばならないだろう。何せ、食糧や医薬品の供給、さらには重症者の受け入れも行ってくれると言うのだから。
そして、これら公約の期限は、ひとまず“彼らの住む地球”が発見されるまでになっていた。早い時期に見つかれば良いが、いつになる事か見当もつかない。
「分かりました。管理局の方々からは、多大な援助を受ける身。なればこそ、その約束は、守らせていただきます」
その後、手短ながら、局内移動の際に送られる許可証や身分証の発行、供給品や負傷者の受け入れに関して細かい調整を済ませる。
「では、詳しい物は纏めて、こちらから再度、提出いたします」
「その際は、こちらのレティ・ロウランか、私――リンディ・ハラオウンが承りますので、よろしくお願いします」
「わかりました。これまでの援助に改めて感謝しますと共に、先ほどの非礼の数々、失礼いたしました」
深々と頭を下げるコレムと、それに続く東郷。それをもって、本会談は終了を見ることとなった。
2人が退出した後、時空管理局高官一同――主に強硬派主体とした彼らは、地球艦隊に対する今後の対応を考えるべく、その場で議論が交わされる。
「どうするのだ、奴らは我々のことを知ってしまっている」
「知られてしまった以上、彼らには相応の条件を呑んでもらわねばなるまい」
「一体何をするつもりかね? キンガー提督」
実を言えば、地球の座標が判明するまでの間、もしくは見つからないでいた場合、無償で食料供給等を続ける訳にはいかない。
ならば相応の要求を突き付けてもいいのではないか、というのがキンガーの意見。地球艦隊をここに滞在させる代わりに、指揮系統を時空管理局へ移させるという話だった。或いは、防衛軍の技術を譲与させるという案もあったが、これは対価としては大きすぎるのは目に見える。技術供与を差し出せば、地球艦隊側もそれに同等とされる条件を逆に突き付けてくる可能性があるのだ。
もしそうだとして、何を提言してくるのか……。
「しかし、技術を供与せよとおっしゃいますが、彼らの技術――波動エンジンは私達の法に触れる代物でしょう。それを自らが無視なさると?」
「一途にそうとも言えんだろう。原子レベルで見れば確かにタキオン粒子は、質量兵器かもしれん。しかしだ、そこから変換されるのはエネルギー兵器なのだ」
レティが波動エンジンのタキオン粒子の注意点を述べる一方で、それを和らげて否定する者も幾人かいたが、その質量兵器禁止法に適用させるべきだろうかという疑問は簡単に見えてそうでもなかった。地球防衛軍が標準装備している主砲は、陽電子衝撃砲ことショックカノンだ。実弾兵器ではないが、陽電子を用いた、ある意味では質量兵器に準じる兵器でもある。
それを受け入れた時、時空管理局はどの様な変質を遂げるのであろうか。自らが法を曲げることになるかもしれない、技術導入は市民の間にも亀裂を生じさせかねない。しばし、技術供与においては時間を掛けて話し合わねばならないだろう。
だが、そうしている時間も正直な話、全くないと言って良い。
SUSの今後の動向が極めて不確実であり、近日中には大攻勢に出て来るのではないかと予想もされている。技術供与が出来なければ、地球艦隊を何としても時空管理局と共に行動出来るよう、計らわねばならないだろう。そうでもしなければ、SUSに立ち向かうことさえ叶わないのだ。
他の管理宙域にも厳重な警戒態勢を巡らせる必要もある。艦隊の強化も出来る限りしておくべきだろう。
波動エンジンの技術を導入したとして、それが直ぐに実現可能とはいえない。ならば、今持てる最大の技術で何とか補う他ないのだ。そして戦力強化は海に限った話ではない。陸でも大幅な防衛機能の改善を求める声が多かったのだ。先日以来にフーバーが提示したように、魔導師だけでなく無人機による防衛網の強化も視野に入れているのである。
「我が地上部隊においても、自動防衛システム、アインヘリアルU型の増産配備を進めて行きたいのです」
地上幕僚長のマッカーシーは、かのレジアスが唱えたアインヘリアルによる都市防衛機能の再配備を訴えた。このアインヘリアルとは一体何か……?
簡単に言うなれば、魔砲を放つ事が出来る巨大な三連装砲塔の事である。これをミッドチルダの主要都市の辺境付近に、囲うようにして配備する事で上空からの侵入を許さず、もしも都市上空へ侵入すれば
十字砲火
(
クロスファイヤー
)
を形成して撃ち落としてしまおうというものだ。
勿論都市へ侵入する遥か手前にて撃ち落とすことも可能であるのだが、実を言えば、このアインヘリアルは、実用化にこぎつけて運用を始めたものの実績は全くない。JS事件時には3基程のアインヘリアルが、ミッドチルダ防衛の為に配備を終えていた。当のレジアス中将も、この防衛兵器には期待を寄せていたところ大であったのだ。
だが、それは活躍する間もなくして、廃棄物へと化してしまった。スカリエッティが生み出したという戦闘機人達の破壊工作によるものである。戦闘機人……これも簡単に言えばサイボーグ的な人工体であり、彼の場合は何故か女性体の戦闘機人12名ばかりで構成されたナンバーズという戦闘部隊を持っていた。
戦闘機人という存在自体が本来はタブーなものだったのだが、それをスカリエッティは研究を積み重ねて開発に成功させたという。この人体実験に等しい過程により生み出されて来た戦闘機人達であるが、一途に彼らに罪があるとは言い難い。何せ人間的感情を持ち合わせているのだから。
これを知った地球艦隊も、複雑な心境を持っていた。勝手に生み出され、危険だからといって処罰するなど、人間の傲慢も甚だしい。生み出されて来たならば、その彼らにも生きる権利は十分にある筈だ。実を言えば、かのフェイトも人造人間に近い存在であるが、殆ど人間と変わらない素体の持ち主でもある。
この様に、何らかの諸事情で人造として生み出された者も、決して少なくはなく、きちんとした教育を受けてさえいれば人間と同等の生活も出来るのだ。
視点は、会議に再び戻るも、その自動防空システムの導入に加えた自動兵器の導入、さらには海による艦隊増強案については、何かと進んでいく様である。
だが、この1週間後に至って、彼らの努力を軽く踏みにじる様な戦闘が待ち受けていようとは、この時はまだ想像だにしていなかった。
〜〜あとがき〜〜
どうも、皆さん。更新が遅れて申し訳ない限りです。
さて、今回は地球の歴史の後半と、双方の激しい(激しい?)議論が中心でしたが、如何でしたでしょうか?
まだまだ会話体が続いて行きそうです。なんとか戦闘編へ持ち込みたい所ではありますが……。
では皆さま、次回もお楽しみにしていただければ幸いです!
〜拍手リンクより〜
[13]投稿日:2011年02月04日14:47:22 [拍手元リンク]
> 改修するためには手段を選ばない事も少なくないもので
回収だと思いますので誤字報告。
今のところ地球側の説明で続いていますが、管理局がこの後どう反応してくるかで今後の展開が決まってきそうですね。
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>>早速の誤字報告、ありがとうございます(汗)。
この後の地球艦隊への対応……相当に厳しいものとなるは目に見えるでしょうねw
・2020年2月24日改訂
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