機動戦艦ナデシコ

〜The alternative of dark prince〜








第四話 『嵐』来たりて











「かああぁぁぁぁぁぁんちょおぉぉぉぉぉぉっっ!!!!」


ドップラー効果。

……通り過ぎた?


「…………」

「…………」


何だったんだ? 新手のサイレンかな?


「くぁぁああああああぁぁぁぁぁぁぁんちよおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!」


……戻ってきた。


「…………」

「…………」


ルリちゃんの方を見てみると落ち着き払っていた。つまり、日常茶飯事ってことか。

軍って変なところだなぁ、と思っていると……。


「艦長艦長艦長艦長艦長艦長艦長艦長っかぁ〜んちょおぉ〜!! 開けて下さいよかああぁぁんちょおおおぉぉぉ〜!!」


どんどんどんどんどん、と何かかがこの部屋のドアを破壊せんばかりに叩いている。サイレンではなかった。

新手の押し売りだろうか?

泣き脅し商法。みたいな。


「ハーリーくん、開いてますよ」

「あっ、はいっ! 失礼しますっ!」


飛び込んできたのはルリちゃんよりもっと幼い、十歳くらいの少年だった。

髪をオールバックにして、連合軍のオレンジ色の制服を着ている。

ということは、この子も軍人なのか? それにしたって幼過ぎやしないか。


「どうかしましたか? ハーリーくん。そんなに慌てて」


そう言うルリちゃんは全然慌てたそぶりもない。

やっぱりこの子も軍の関係者ということなのだろう。

似てないけど、もしかして弟、だろうか。


「艦長っ! 無事ですか!? 何か変なことされてませんか!? ねえっ、艦長っ!」

「? ハーリーくん、落ち着いてください。私が何ですか?」


ハーリーと呼ばれた少年の言っていることは良く分からなかったが、何となく俺のことなんだろうなと思った。

しかし、変なことって……。そんな目で見られたのか? 俺って。


「お〜〜〜い、ハーリー。はぁ、やっと追いついた。ったくお前は一人で突っ走りやがって。追いかける方の身にもなれ」

「サブロウタさん。どういうことですか?」


続いて入ってきたのは、長身金髪ロン毛のいかにも軽そうな男性だった。この人も連合軍の制服を着ている。ハーリーくんのとは違って白色だ。

って、考えてみれば軍の基地なんだから軍人がいるのは当たり前じゃないか。

あ、そうだ。メガネメガネ。この眼はあまり人に見せたくはない。

念のため、目が3になったりはしないぞ。


「ええ艦長。それがですね、艦長が一般市民の男と連れ立って帰ってきたっていう話を聞いたんですよ。そしたらハーリーの奴、『艦長が危ない〜!』とか言っ て突然走り出しやがって」

「そそそ、そーなんですよ艦長! 本当なんですか!? 嘘ですよね。ね、艦長!」

「あー、ハーリー。ちょっとお前は黙ってろ。話が進まんだろ」

「そんなぁ」

「……はぁ」


ルリちゃんを艦長と呼ぶところを見ると、この二人、ナデシコとかいう戦艦のクルーなのだろう。

しかし、本当にここは軍なのか? やっぱり変な所だ。

漫才を見ているような気がしてきた。


「ハーリー、大体艦長が男なんて連れ込むわけ……お? おぉっ。おおおおぉっ!」

「どうしたんですか? サブロウタさん、って、ああああああああああああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!」


バレた。

思いっきり指をさされた。こう、びしいっ! って感じで。

いや、隠れてたわけじゃないのだが。


「あ、ども」


とりあえず挨拶してみた。


「おーおーおー。艦長も隅に置けないですねぇ」

「誰ですかあなたはっ! 民間人が入っていいと思ってるんですか!」

「言うな、ハーリー。艦長だって女の子なんだ」

「タカスギ大尉!」

「ははは、怒るな怒るな。お前、艦長のことだとす〜ぐムキになるよなぁ? 何でかな〜?」

「ななな、何言ってるんですか!? サブロウタさん! 僕はただ、艦長が心配だから。その……」

「分かった分かったって。で、どういうことなんです?」


真面目な顔になってルリちゃんに尋ねる長身金髪ロン毛さん。

サブロウタさん、だっけ。見た目と違って結構出来る人かもしれない。

でも、俺の挨拶はスルーだった。ちょっと悲しい。


「ええ、赤貧を洗うが如き有様なのでアルバイトしたいそうです」

「ちょっと待てぇっ!」


叫んだ。

ルリちゃん、難しい言葉を知ってるな。

じゃなくて、間違っちゃいないんだけどさぁ。露骨過ぎるよ。もっとほら、こう、違う言い方があるんじゃないかな?


「はい?」

「いや、『はい?』じゃなくて」

「何か間違ってますか?」

「ぐっ」


言い返せない。

俺は、ルリちゃんの本性を垣間見たような気がした。

そして、ハーリーくんの明らかに敵意のある視線とサブロウタさんのニヤついた顔を意識しないようにしつつ、事の顛末を説明した。

勿論、記憶喪失とかマシンチャイルドの話は除いて。















<あとがき……か? これ>

こんにちは、時量師です。

いきなりですが、なんとあの雪夜さんから感想を頂きました。初感想でした。感激です。

どれくらい感激かと言うと、武者震いが抑えきれずわけも分からないまま反復横とびをしてタンスの角に足の小指をぶつけても全然気がつかないくらいに感激し ております。

こほん。

次に、毎回感想のスペースでナデシコに関する授業をしてくださる黒い鳩さんにルリさん、本当に勉強になります。ありがとうございます。なんだか『なぜなに ナデシコ』を受けているような気分です。嬉しいです。

これからもよろしくご指導ご鞭撻のほど。時量師を出席番号1の生徒にして下さい。

どうしてそんなにも詳しいのでしょうか? 自分の無知を思い知らされます。

そのお話によるとルリちゃんの部屋は宿舎にあるとのことでしたが、こちらではナデシコの中ということになってしまいました。

間違ってますね、すみません。でも、直したりすると、のちのち面倒なのでオリジナルの設定ということにしちゃいますが、あしからず。

あ、それと、今回は文が短い。駄目駄目な作家ですね。切腹ものです。でも、痛いの嫌いだからやりません。

気を取り直して、第四話、ハーリーくんとサブロウタさんが登場しました。

この二人の掛け合いはとても好きです。でも、自分で書くのは難しいですね。

さて、彼らが今いる場所はナデシコが停泊している連合軍の基地らしいのですが、日本のどの辺なんでしょう? やっぱりサセボシティでしょうか。曖昧です。 「ここだあぁっ!」っていうのがあれば教えてほしいです。

次回は連合軍最強の三羽烏+1の漫才、もとい掛け合いがメインです。

感想もお待ちしております。よろしければ一言だけでも頂けると、僕は生きる気力が湧いてきますので。

では、また次回。






感想

本日二本目! 時量師さんやる気が違います! 

私の艦内事情を解した作品を持って 来てくれた作家さんは初めてですね… 駄作作家にはとても無理な芸当です。

確かに、ハーリー君生き生きしてるね。うん、良い感じだ。

ですが、私は弟と近親相姦する趣味 はありませんのであしからず。 彼が報われる事は永遠にありません。

厳しい子と言うな〜。でも、そういう作品はあるよ。

このサイトでやらなければ良いだけ のことです!

そういえば、いつの間にかこのサイト自体がアキト×ルリ推奨サイト見たくなっている感じが…(汗) あれ?

それこそが、私の魅力です。

まあ、それは兎も角、ハーリー&サブロウタの漫才は私も好きですよ♪ 今後に期待ですね!

そうですね、勝手に自己完結してく れるのでラクです。最後ははしって逃げてくれますから後腐れもありませんし。

うわ、きっつー

私とアキトさんの仲に入り込もうとするのがいけないんです。お笑 いキャラとしては引く手あまたなんですから。



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