「ミズキが…なぁ……」
水晶玉を見てみれば、ナルトがイルカに肩を貸しながら歩いておる。ミズキが霧隠れの者と通じていたと聞いておったが……まぁ、ミズキの奴は暗部の者に任せるとして、霧隠れの忍び達(遺体)をどうするかじゃが…。
「まさかナルトがのぉ…」
血は争えないという事かのぉ。あの動き…術を行使する速さ…一瞬ミナトが生き返ったのかとも思ったわい。
「全く…お前という奴は、わしにまで隠しておったとはのぉ…フフ、そういう所はクシナに似ておる」
再び水晶玉を覗いてみれば、何やらイルカがナルトを怒っているようじゃな。この姿だけ見ておれば、先程までの出来事全てが嘘のようじゃ。
「本当に面白い子に育ったものじゃ……。さて、後始末くらいはわしらがやらねばの」
そして、わしは水晶玉から視線を外し、暗部へと鷹を飛ばすべく報告書をしたためる。その際、水晶玉に見えるナルトがこちらにピースサインを送っている事にはついぞ気付けなかった。
▼ ▼ ▼ ▼
俺は今忍者アカデミーの教室、自分の席だった場所に座っている。それと言うのも昨日は卒業試験だけで、今日は下忍として初の班を決める日なんだ。ちらっと教室を見回してみると、昨日もらったばかりの額当てを付けて、陽気になって騒いでる奴らが目につく。
んで、そんな奴らに負けないくらいうるさくしてるのは…キバじゃないぞ?
「なんで、落ちこぼれがここにいるんだ?」
「試験に合格した奴だけが来るって、知らねぇんじゃねぇの?」
「お〜いドベ、そんな偽物の額当て付けてねぇで家に帰れよ」
「あははははっ!お前酷いな」
俺にいつも暴言を吐いている奴らだ。こいつらはずっと俺を馬鹿にしてきた奴らだから、絶対何か言ってくると思っていたが……はいはい、そうですねぇ……。早くあいつら来ねぇかなぁ……。
あいつらってのはシカマル達四人の事だ。何でか知らねぇけど、あいつらってば今日遅いんだよなぁ……。全員で寝坊とか?シカマルとかキバなら可能性は無きにしも非ずだが、シノがする訳ねぇしなぁ……。本当、早く来ねぇかなぁ…。
それから十数分。頬杖を付きながら罵詈雑言を無視していると、黒板側のドアの方がうるさくなってきた。数えるのも嫌になるくらいの罵詈雑言を聞いていたのもあり、ムカついているところにこれだ……。うるせぇなぁと一度舌打ちしてそこに顔を向けると……お前ら何やってんだよ…。
「っさいわね!あんたのせいでこんな遅くなったんでしょうがッ!」
「はぁ!?あんたのせいでしょうがッ。私が最初に見つけたのに、あんたが横から来たんじゃないのよデコサクラぁッ!」
「お前らもういい加減止めろ。もう教室だっての…」
「ヒャハハハハハッ。シカマル、こいつらお前の言う事聞いてねぇって」
「僕のお菓子が…お菓子が…僕の…うう……」
「あわわ…ふ、二人とも止めた方が……し、シノ君どうしようっ!?」
「………お前も落ち着けヒナタ」
待ってた奴らが揃って登校してくるのはいいけど……って、何でお前ら一緒に来てんだよ!!皆で来るんなら俺も誘えよっ!まぁ、それは後で言うことにして……いのの奴、サクラと喧嘩してるし。てか、ホントにデコ広かったんだなサクラの奴。
「この、いのブタぁ………あんたが横から出てきたからに決まってんじゃないッ!せっかくサスケ君にあげるプレゼントだったのにッ!」
「はぁッ!?巫山戯んじゃないわよ!あれは私が先に見つけたのよ!それをアンタが……」
そんな事を延々と言い合い続ける二人。……って、いのとサクラがドアの前で罵り合ってるせいで、その後ろにいるシカマル達が入って来れないで困ってるみたいだな。まぁ、あいつらだけが入る訳じゃねぇし止めさせるか。
「お〜い、そんなとこで言い合ってないでこっちに来いよ〜」
俺の声にいち早く反応したいのが、サクラとの罵り合いを一方的に終わらせて俺のところに歩いて来る。それに続くようにして、後ろから五人も歩いて来る。サクラは一人だけ残されてカッカしているみたいだが、そんなの俺の知った事じゃないから放っておく。
その時サクラと目があったが汚物を見るような目で俺を見てきたので、こっちから視線を切ってやった。
これで気付いたと思うが、俺はサクラと仲が良くない。てか、話した事もないし、話そうとも思わない。理由を挙げるとしたら…さっきのあいつの目だ。あいつは、親が一般の里人なので俺の事をどういう奴なのか、他の同期の奴らと同じように教えられて育ったんだと思う。
だから、俺に向ける目はそこらにいる同期の奴らと同じで、俺を汚い物でも見るかのように見て来る。
原作でも好きじゃないキャラだったが、実際にあの目で見られたら話す気も失せるってもんだ。原作のナルトが何でサクラを好きになったのか不思議でならねぇし、あんな女こっちから願い下げだっての。
俺が最後に読んだ原作だと母さんが出てきたところだった。まぁ、単行本ではサスケにナルトが「サスケとは俺がやる」って言ったところだったけど。んで、そのちょっと前にサクラがナルトにいきなり告白する場面があったんだけど……俺は「はぁ??」って思ったのを覚えている。
いやよ……こいつってばナルトの事馬鹿にすんのもいい加減にしろよってガチで思った。サクラを本気で嫌いになったのって、あのせいだったなぁとか前世の記憶を思い出していたら、いのが俺に話しかけているのに気付いた。やば……半分も聞いてなかった…。
「もぅ!ちゃんと聞きなさいよナルト!」
「悪い悪い。考え事してたってばよ」
「っっ〜〜〜〜!!………はぁ…もういいわよ」
めちゃくちゃ怒った顔してたと思ったら、次の瞬間には何か諦めた様な顔に変わる。女ってコロコロ顔変わるから面白いよなぁ。って、そんな事口にでもしたら血を見る事になりそうだ……。
「…お前は人の話をちゃんと聞くようにするべきだ。苦労するのはナルト、お前なのだから」
「…分かったってばよ、シノ」
シノに諭されちまったけど、一応俺も分かってるんだぞ?まぁ、シノ達が来たお陰で周りのウザい奴らの事を気にしないでいられるから、小言くらいは我慢してやるか。本当は聞こえてるけど、シカマル達の話に意識向けとけば頭に入ってこねぇし。
▼ ▼ ▼ ▼
それから少しの時間、皆で話をしていたらイルカ先生がやって来た。ん?サスケとブチュっとやるイベントしてねぇって?そんなの見て誰が喜ぶんだよ。ついでに教えとくとサスケは今サクラの他、多くの女子に席を囲まれている。
モテる奴は辛いってか?いや、あそこに俺がいたら耐えられねぇな。サスケ、それにだけはマジ尊敬するよ。
「昨日の卒業試験、お前達良く頑張ったなぁ。今日は連絡していたように三人一組の班を作るわけだが……既にそれはこっちの方で決めておいた。お前達には悪いが、これは決定事項だ」
「はぁ!?」
「聞いてたのと違うよ先生!」
「サスケ君となりたかったのに!!」
「あぁあぁ、静かにしろ!えぇ…これは三人一組の成績が均等になるようにこっちで調整したものだ。文句は言わないようにッ!」
「横暴だぁ!」
「何で俺らで決めちゃ駄目なんだよ!」
等々口々に文句を言うクラスの奴ら。こいつら忍者になる気ホントにあんのかねぇ?これがどんなに大切な事か理解してねぇとか……もう一回アカデミーやり直した方がいいんじゃねぇか?
「うるさぁああいッ!文句は受け付けんッ!それじゃあ、今から班を言っていくからちゃんと聞くように。あぁそれから、班には上忍が一人担当として付くからそのつもりでいるように」
原作だと成績トップのサクラ、実技トップで成績優秀なサスケ、ドベなナルト、この三人が一緒の班になった。でもなぁ…俺ってばドベって言われているけど、筆記試験は中間くらいの成績を出してんだよなぁ。
試験結果が張り出されないからそうしてたが……。通常の座学、実技では態とヘマしてたから皆には気付かれないだけなんだよな。ま、実技が酷かったからやっぱり落ちこぼれなんだろうけど。
だから、この班決めがどうなんのか気になっている。もし原作と違ってたら面白いし。
「次、第七班」
おっと、次だな。原作じゃナルト、サクラ、サスケ、カカシの班の番号だ。さぁ、どうなるか……。
「春野サクラ、うちはサスケ、うずまきナルト。お前達三人が一緒の班だ。それから班の担当上忍は、はたけカカシさんだ。仲良くしろよ」
ありゃ……成績だけで見たら、俺ってキバとチョウジには勝ってる筈なんだけど……まぁいいか、サスケと話しをする機会を得たと思えば。サクラは………どうでもいいな。勝手にサスケ君好き好き言ってなさい。
「やったぁっ!!」
(ナルトがいるけど、サスケ君と一緒になったから全然良いッ!寧ろOKよ!しゃ〜んなろぉ〜ッ!)
「……フンっ」
(ドベと隣にいるウザい女か。俺の脚を引っ張るようなら……)
横目で二人を見てみると、考えてる事が顔に出ているせいで分かってしまう。ちょっとは隠せよお前ら……忍者ならさ。特にサクラ、お前は酷過ぎる。
ちなみに、シカマル、チョウジ、いのが第十班。キバ、シノ、ヒナタが第八班。つまり結局班決めは、原作通りになったって事だ。
班決めをイルカ先生が全て言い終わり、最後に「担当上忍が来るまでここで待っているように」と言い残して、教室を出て行ってしまった。イルカ先生……昨日の怪我大丈夫かなぁ。服で見えないからクラスの奴らは気付いてないけど……後で傷薬持って行こっと。
イルカ先生が出て行ったドアの方を見ながらそんな事を考えていると、イルカ先生が居なくなったからか、再びクラスに喧騒が戻る。
決まった班で話す奴ら、一緒の班になれなくて悲しむ奴ら、一緒の班の奴じゃない違う班の奴と話す奴ら、等々思い思いに過ごしている。まじでうるせぇなこいつら……もうガキじゃねぇんだぞ?……いや、12歳って正真正銘ガキだったなそう言えば……。
「ナルト……お前大丈夫か?」
「ん?シカマルか。多分…きっと…おそらく……大丈夫だって」
「今回ばっかりは、お前に同情するぜ。って、事でヒナタの事は俺に任せとけッ!ヒャハハハ」
「キバ、あんたうっさい。ナルトぉ、イルカ先生に班を変えてくれるように言いに行こうよ!ね?」
「い、いのちゃん流石にそれは出来ないんじゃないかな………でも、ナルト君と一緒の班になりたかったな……」
「バクバク……」
「………」
って言いながらも、俺は集まって座っていたシカマル達と話している。こいつらとこうやってアカデミーで駄弁るのもこれで終わりだと思えば、さっきまでの考えが飛んで行くんだから不思議だ。俺もガキだねぇ……。
ヒナタの言った後半部分は俺以外には気付かれてないみたいだな。ぼそぼそってなってたし、当然って言えばそうだが……ここに本人がいるんだから、幾ら小声でも言わない方がいいぞヒナタ。…でもま、嬉しいけどな。俺と一緒の班になりたいと思ってくれるんだから。
シカマル達と駄弁りながら、後ろの方に座るサスケとサクラの会話に聞き耳を立てておくか。一緒の班になるんだから、少しでも二人の情報は知っておきたいし。まぁ話しを聞く限り、聞いておく程のもんじゃないみたいけどよ。
サクラがサスケに一方的に話してるだけだからな。会話のキャッチボールが出来てないのって普通は辛い筈だけど……恋する女は強いっていう事か?サクラ、可哀想な子だ……。
「いの、ヒナタの言う通りそれは無理だぞ。この班決めって一応ちゃんとした理由があるから」
「…何よ、その理由って」
「ナルトの言っている事は正論だ」
「シノ君?」
「あぁ…めんどくせぇけど、この組み合わせは俺達のバランスをちゃんと計算しているって事だ。……お前がナルトと一緒の班になりたいって我儘言っても無理なんだよ。めんどくせぇけど、俺とチョウジで我慢しとけ。俺達も我慢すっからよ」
「ちょっ!シカマル!!何言ってんのよ!!!」
顔を真っ赤にするいのと、それを見て肩を竦めるシカマル。ヒナタはいのと同じ事を思っていたからか、罰の悪そうな顔をして指と指を合わせている。
シノとシカマルが気付いてたのは当然だな。このクラスNo2のシノと、普段は「めんどくせぇ〜」が口癖のIQ200のシカマル。他の奴らは気付いてなさそうだが……ま、仲間に優しい俺はアカデミーに戻れとか酷い事は言わない。
「まぁいいじゃねぇか。これが今生の別れってわけじゃねぇし、会おうと思えば会えるんだぜ?」
キバもたまには良い事言うな。原作でも中忍試験の時に再会してたし、任務がない日とかにも会えるって考えるのが普通だしな。
「第十班、集まれ!」
俺らがそんな事を話していたら、渋くてちょっとカッコいいおっさんの声がした。声のした方を見てみると、髭を生やした中年くらいのおっさんがタバコを咥えながら、ドアに腕を片寄らせて教室の中にいる俺達を見ている姿が目に入った。
室内で…しかも学校の教室の前でタバコを咥えたままとか……流石だな、あの人は。
その声に、シカマルといのがめんどくさそうに、チョウジが……ポテチ6袋目突入か……立ちあがり、中年くらいの人のところに渋々歩いて行った。
「俺がお前達の担当になった猿飛アスマだ。場所を移動するから、何か荷物あんなら持ってこい」
生で見ると渋くてちょっとカッコいいな…俺がそう思っている間に三人はアスマにそう言われ、荷物がないにも関わらず俺達のところに戻って来た。
「担当が来たっぽいから先に行くわ。……ナルト、お前はやればやる奴だ。ま、お互い頑張ろうぜ。お前らもまたな」
「ナルト、後で良い物上げるから楽しみにしてなさい。あんた達もまたね」
「バクバク……行ってくるね」
三人はそんな事を言って、教室から出て行きやがった。友達っていいよな。こいつらといると常にそう感じる。しかし、いのが言ってた良い物って何だ?まぁ、くれるってんなら楽しみにしとくかねぇ。
「い、行っちゃったね、いのちゃん達…」
「だな。ま、あいつらはマジでやったら強いし、大丈夫だろ。連携もおじさん達みたいに上手いしな。てか、俺らの上忍はどんな奴なんだろうなぁ。シノはどんな奴が良い?」
「強い者ならば誰でも構わない。何故ならば、俺達がより強くなるためには強ければ強い程良いからだ」
「俺もそうだぜ!やっぱり強くなりてぇしよ!!よし、強い奴来い!!!」
ワンワンッ
原作を知ってるから誰が担当とか分かってるしなぁ……さっきイルカ先生が担当上忍の名前を言ってたから確実だろ。
でもまぁ、既に俺ってばカカシより強い筈だから、強い弱いはどうでもいいな。でも、そこに人格破綻ってのがあると変わってくる。大蛇丸とかが良い例だ。
あいつが担当だったっていうアンコさんが凄く可哀想に思えたし、アンコさんの苦しみを取り除ける奴がいたら、早くアンコさんを嫁にもらえっ!と前世で思ったのが今では懐かしい。
それから数分後。ヒナタ達の担当上忍、紅さんがやって来て三人を連れて行った。んで、三人もシカマル達と同様に言葉を残していく。
「へへっ、行ってくるぜ。ナルトぉ、俺は絶対お前より強くなってくる。だから、後で勝負だ!」
「……ナルト。シカマルも言っていたがお前は出来る奴だ。それも、本来なら俺などが勝てない程に…。だから、俺も強くなってくる。キバと同じ時でなくて構わない。俺もお前と勝負がしたい。……ではな」
おいおい……シノって何か不思議能力でも使えたのか?何で俺の実力知ってんだよ………まぁ、こっからは俺も徐々に実力を出していくつもりだし、いいかな〜。んでヒナタはというと、最後までモジモジしていたが、意を決した?のか分かんねぇけど、二人が行った後に小さく口を開いた。
「…ナルト君、私頑張るね。いのちゃんみたいに前に出れないけど…いのちゃんに負けないくらい強くなるから。そうしたら……私、私……」
最後の一言は、ヒナタにとってとても大事で、恥ずかしくて、勇気が必要な事なんだと思う。目は潤み、顔が今まで見たことがないくらい真っ赤になっているから分かる。だから俺は、その背を少しだけ押してやる事にした。
「…頑張れヒナタ。最後まで俺は聞いてるから」
「……うんッ!ナルト君に伝えたいことが…あるの。だから、私が自分で強くなったって思ったら…その時は……その時は、二人だけで会って欲しい、です…」
…ヒナタ。お前は自分じゃ気付いてないけど強くなってるよ。原作だとヒナタがそこまでナルトに言えたのって、もっと先だったからさ。原作よりもお前は絶対に強くなれる。それは俺が保障する。
「分かったってばよ。俺もヒナタに負けないくらい頑張るからな」
「うんッ!」
最後に嬉しさいっぱいの笑顔を見せて、ヒナタはキバ達と教室を出て行った。
はぁ……ヒナタの気持ち、すげぇ嬉しい。こんな俺を好きになってくれたんだ。大事にして上げたい。でも、いのの事も考えると直ぐには答えは出せない。……俺も強くなろう。そうだ、今はそれだけ考える事にしよう。答えは…それからだっ!
『ナルト、お前も色々大変なのだな』
九尾ぃ……俺もっと強くなるよ。
▼ ▼ ▼ ▼
で、数時間待ちっぱなしの俺を含めた第七班の二人。サスケは貧乏揺すりをしまくってる……正直止めて欲しい。
サクラはサスケが不機嫌なのを悟ったのか、不機嫌なオーラを出しつつ俺を睨んでくる。いや、俺何もしてねぇし。こっち向くなよお前。
俺は暇な時間を有効活用するために術の開発?みたいな事をさっきからやっている。いやな。ナルトが出来るだろう術は父さんと一緒に修行してる時に粗方出来るようになったんだわ。
俺っていうかナルトの性質が風、九尾が火ってことで俺は風と火の両方を使える。……というか、全部使えるようには一応はなったんだ。けど、やっぱり自分の性質は変えられないってことで、風と火以外の性質変化の術はまだ微妙。
ま、風と火に至っては九尾と父さんのお墨付きが出たから結構イケてると思う。父さんと組手をする時には風と火は使わずに、水か土、雷の性質変化の忍術、それから幻術とか体術を使って行う。
徐々にだけど水と土、雷の性質変化も強くなってきてると思うんだけどなぁ……。でも、父さんと九尾から言わせるとまだまだなんだってさ。最低でも尾獣にダメージを与えて、倒せるレベルくらいにしろって事らしい。
風と火の性質変化に限って言えば、尾獣って言うか九尾にダメージがいくみたいだからその二つに追いつけって言われるんだよなぁ。最近、父さんと九尾が容赦ないって影分身が嘆いてる。どんまい。お前達の経験はちゃんと俺の体で活きてるからさ。
んで、俺が今やってんのは水の性質変化に形態変化の螺旋丸を組み合わせたモノだ。それも手の平大ではなく、人差し指大。チャクラコントロールに至っては普通の螺旋丸より難しいのはもう分かりきっている事。
まぁ、俺にしたらめんどくさいなって思う程度だけどさ。火と風なら五本の指全部にコレ作れるし。ダ○の大○険って漫画に出てきた敵が使ってた技なんだけど、古いから分かんないか?
あれってメラゾーマ五発分を一気に放てる技で、終盤でも何気に使える技。だからあれを真似て使ってみたんだが、父さんに禁術認定されてしまった。
四代目火影が言うんだから、あれってめっさ危なかったんだなぁ。……まぁ、修行には都合がいいから使ってるけどねぇ。もちろん父さんには内緒。九尾は俺の相棒であり一心同体の共犯なので、もちろん俺の見方。
てか、そろそろ来ないかなカカシ〜。気付いたら中指、薬指にも同じモノを作っていた。慣れてきたから体が勝手に作ったんだと思う。もうちょいしたら水もクリアかな?次は土でやってみるか……。
「あぁ〜!遅いッ、遅すぎるッ!何やってんのよ私達の担当上忍は!もう他の班の子達はみ〜んな帰ったってのにぃ!」
うわぁ……サクラのヒステリーってウザ……。サスケも俺同様にサクラの事をウザいって目で見ているし、間違いなくあいつも俺と同じ事思ってる筈。
貧乏揺すりに合わせて、指をコツコツ机に叩きつけてるから分かる。あれって自分がやってる分には良いけど、他人がやってるとウザいよな?まさにその気持ちを俺は味わってる最中だったりする。
「ナルト!あんたちょっと探してきなさいよ!暇でしょ!」
おいおい、俺が暇ならお前は何だってんだ?はぁ……まぁいいか。この修行って修行方法としてはいいけど、新技思いつかねぇし…。お?親指に出来たな。後は小指だけか……。
席を立ってドアの方に向かう。そう言えば原作で、ナルトが黒板消しのトラップ作ってたような……まぁ、あんな馬鹿な事はしないでおくか。何より時間の無駄だし。
教室を出て廊下を歩いていると片手に本を持った、銀髪をツンツンに立たせ顔の半分を布で隠した遅刻魔上忍、俺らの担当、はたけカカシが歩いて来るのが見えた。
「んん?お前は俺の担当する班の下忍じゃないか。どうしてここにいるんだ?教室にいろって言われなかったか?」
こいつは………いや、こいつの後悔も分からなくないから何も言うまい。
「…あんたが遅いから探しに来たんだってばよ」
四本までできた水遁・螺旋丸指バージョンを解除し、カカシの後ろに付き従い教室に向かう。あいつら怒ってんだろうなぁ…。
そして、教室のドアの前に来た俺とカカシ。ん?ドアの上に黒板消しがある…と、俺が疑問に思っている間にカカシが教室のドアを開けた瞬間、黒板消しがカカシの頭に落ちてくる。
ボフっ………俺達の時間が一瞬止まったが、カカシの一言で時間が動き出した。
「う〜ん……お前たちの第一印象は……嫌いだ」
はぁ……サクラがやったんだと思うけど…。カカシ、あんたも遅刻しないで来い。
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