貧しい国「波の国」。おっさんの話と原作からの知識があっても、ここまで廃れた町を俺は見たことがなかった。ペンキが剥がれ落ち霧のせいで腐り掛けた木板が、風が吹く度に耳障りな音を鳴らしている。
白と桃地を助けて友達になってから今日で五日。俺はサスケ達と合流する為、サスケ達の所にいた影分身を解き、影分身が記憶していたおっさんの家へと向かっている。
白と桃地とは一度解散する事にして、ガトーのところに戻ってもらった。それが今朝の事なんだけど……その際に一騒動あり、その時の事を思い出して溜め息が自然と出てくる。
この後の作戦も練ったし後二日は各自で行動しないか?と、俺が二人に言うと白が「嫌です」の一点張りで桃地を困らせ、俺が二時間程説明してやっと聞いてくれた。あの時に見せた白の顔が、上目づかいに涙目という女の武器だった事をここに記しておきたい。……男には興味がない筈なのにィ〜!!!!
俺が頭の中でそう叫んでいると桃地が俺の肩をポンポンと叩いて、あれには俺も敵わんという同種の悩みを持つ者同士の顔をしていたのも記しておく。なんか、桃地に対する印象がどんどんと変わっていく俺がいる。えっと……本当にこの人あの桃地?と思ったのはこの五日間の中で何回だったか……数え切れないな。
と、まぁそんな事が今朝にあったんだわ。白って桃地が好きな筈なんだけどなぁ……桃地も原作じゃ白の事、道具扱いしてた筈なのに(結局最後は、道具じゃないと分かり泣いていたけど)……はぁ………溜息を吐きながら、もうお昼の時間帯の町を練り歩く。
お昼を回っているのでサスケは木登りの行をしている所なのだと思う。何でサスケが木登りの行をやっているのか。それは、カカシが『再不斬はまだ生きている……タズナさんの護衛は続ける』と言ったからだったりする。そして、その護衛にはカカシとサクラが行っている。
サクラは原作同様、簡単に木登りの行をクリアし、サスケが躓いた。俺はもちろん簡単にクリアしたみたい。影分身とは言っても俺だから、そこはきちんとオリジナルの考えを持っていたんだと思う。
その際に、俺もそれが出来るという事が分かると、影分身の俺にカカシがサスケの修行を頼むと言って丸投げして下さいました。そうして、影分身はここ数日サスケの修行を見学していたんだが……影分身の俺が急に姿を眩ませた事で、サスケがイライラしている姿が目に浮かぶ。だって影分身解かないとおっさんの家分かんなかったし…。
いや、まずはそれはいい事にしよう。今思うのは、あのプライドの塊であるサスケが、俺の言う事を素直に聞いていた事だ。影分身が俺の言う事をこいつが聞く訳ないじゃんって思ってたみたいだけど、サスケはそれを良い方向で裏切り、素直に修行していたみたいなんだわ。あれ?こいつホントにあのサスケか?と、数分前の俺が思ったとしてもおかしくないよな。
だから、今からサスケに会うのが少しだけ怖かったり……そんな事を思ってても行かなくちゃ始まらないんだけど。
歩くこと数分。着きましたよ、おっさんの家に。そして、俺の目に入ってくるのは家の前で仁王立ちしているサスケ君の姿。うわぁ……朝帰りしてきた夫を今か今かと待ち構えている妻っていうのが頭に浮かんできたけど、間違いなくあれは怒っているな。
「今まで、どこに行ってやがったんだ」
「えっと、ちょっとそこまで?」
サスケの頬がピクピクしている。これは相当キレてるな……。
「疑問形なのは何故だ?」
「それは……」
「お前はカカシに俺の修行を見ているように言われたな?」
「そう(みたい)だな……」
「分かっているみたいだな。なら俺は、それを守らなかったお前に罰を与えてもいい訳だ」
え、何だよその罰って。てか、ホントに恐いんですけど。この五日間、白の笑顔ばっかりみてたから余計にそう思うわ……。
「いやぁ、罰ってのは言い過ぎじゃないか?」
「いいや駄目だ。俺はお前が消えてから家の周りを探した。そして、お前がここに来るまでの時間、俺は修行の時間を削られた。なら、それ相応の罰を与えなければ俺の気が済まん!」
サスケってこんなに喋るキャラだっけか?この五日で変わったんだなお前。
「…相応の罰ってなんだよ」
「今日明日の飯抜き、あの女の言う事を一日中聞く事、里に帰るまでカカシの言う事を聞く事、さぁどれがいい?」
「おい!そんなん選べねぇよ!!」
冗談じゃないっての!高々、一時間弱サスケから離れたってだけで何でそんな理不尽な要求聞かなくちゃならねぇんだ!やっぱこいつサスケだ。それも原作より一回りくらい性格が悪いサスケだ。
「ほぅ……選べないか。ならどうする?この状況も俺の修行の時間を削っている事に変わりないんだぞ?」
な!?こ、こいつ……仕方ない、サクラの言う事とか死んでも嫌だし、カカシの言う事もなぁ、なら飯抜きかな。うん、飯抜きが一番程度が軽いな。
「悪かった。なら飯n「仕方ない、お前がそこまで嫌だと言うなら、これで勘弁してやる」……」
「…忍術でも幻術でも何でもいい、俺に術を教えろ。……お前は俺より強い。それが五日前の戦いで、悔しいが分かった。……俺は強くなりてぇんだ」
……あのプライドの塊のサスケが俺に術を教わる?何だこの新手の冗談は。というか、前の三つってこれが言いたいがための布石だった?
ホント、原作のサスケからどんどん遠ざかって行ってる気がする。まぁ、強くなりたいってのは本当の事だもんなぁサスケの場合。例えそれが人からの…それも大蛇丸の力であっても……。なら、俺が術を教えて強くしてやれば原作崩壊一気に速まるんじゃね?
大蛇丸をただフルぼっこにすればいいと思ってたけど、サスケ自身がレベル上げればいい訳だもんな。よし!
「分かったよ。教えてやる」
「ふん。なら「ただし、教えるからには基礎からみっちり行く。なぁに、お前は天才なんだ。それもうちはの血を引く、な。そして、一度始めたらお前には拒否も、リタイアもない。それでもやるか?」……そんなもの願ったり叶ったりだ。俺は強くならなくちゃならない。それもあいつに勝てるくらいになッ!」
イタチへの復讐、か。ま、その考えもおいおい、変えてやるかね。
「OKだ。それじゃ、まずは今の木登りの行からかな」
「おいそれj「これは、術を教える前に必要な事なんだ。修行には段階がある。今のお前には術なんてとてもじゃないが教えられるもんじゃないっての」……」
「分かったら着いて来い。なぁに、俺の修行は優しいから安心しろ」
くくく。サスケ、この修行に耐え抜いたらお前も俺みたいに強くなるぞ。九尾がいる時点で俺には勝てないけど、お前にはそのチートの目がある。だから、俺と一緒に大蛇丸をフルぼっこにしような!
そうして始まったサスケ改造計画だったが、木登りの行でチャクラコントロールが下手って言う事が分かり、それから夜まで無理やりやらせた。途中「何が優しい、だ」とか聞こえたけど無視無視。さぁ、これが終わったら水面歩行の行か。この修行をサスケより真面目に考えて、そして楽しんでいる俺がそこにはいました。
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「あなたは、ナルト君の何なんですか?」
「あ、あなたこそ、ナルト君の何なのかな?」
いつもは結っている黒髪を下ろしてどこぞのお姉さんという風貌をした白と、日向の紋がついた服を着て引き攣った笑みを浮かべるヒナタが俺の目の前にいる。
今俺達がいるここは、原作でナルトと白が薬草を一緒に取っていた場所だ。木々が周りを囲むようにして立ちながら切り抜かれたここには、多くの薬草や野苺といった野生のモノがあり、隠された庭という表現が正しい場所だ。
「僕はナルト君の『大事な』お友達です」
「わ、私だってナルト君の『大切な』お友達だよ」
大事な、大切な、言葉は違うが同じ意味を持つ言葉。
「「ナルト君、彼女は一体誰なんですか、なの?」」
はぁ…………何だってこんな事に………………。
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白とヒナタが対峙する事になる数時間前……。サスケから術を教えてくれと言われ修行という拷問を掛けてから一日経っていた。俺は今、おっさんの家で朝飯を食べている途中。なぜ、途中になっているかというと…。
「合流場所に来ないで、呑気に朝食を食べているなんて……いい御身分ね、カカシ?」
「よ、よう紅。お前が来たのか。…ん?下忍も連れてきたのか?」
「私は連れて来る気は無かったけど、この子たちが自分の意思で行きたいと言ったのよ?なら、私に止める事はできないわ」
「……ま、そうだな。タズナさん、悪いですがこいつらの分もご飯用意出来ますか?お金はお支払いしますから」
「おお、いいぞいいぞ。ツナミ、用意してやれ」
「すみません。急にお邪魔してしまいまして。私は夕日紅、この第八班を担当する上忍です。ここにいるカカシからの応援要請により木の葉から来ました」
紅さんってカッコいいなぁ。アカデミーん時もそうだったけど、綺麗でカッコいいって事から生徒だけでなく大人の人達からも人気の人。そして、未来のアスマの妻。今はまだ付き合ってもないみたいだけど、何時付き合う事になるかは分からない。
そして、そんな紅さんの後ろにいるのは……。
「よ!久しぶりだなナルトぉ!」
「……」
「な、ナルト君、おはよう」
キバ、シノ、ヒナタの三人だった。こいつらも、変わってないなぁ……。
それから軽く自己紹介をする俺以外の下忍達。自己紹介とは名ばかりのカオスっぷりを発揮してくれたがな。キバがサクラにウザいって言われてキレたり、サスケとシノが無言で威圧してたり、ヒナタが俺に何か話しかけようとモジモジしていたり………。おい、そこの上忍二人。呆れてないでこの状況を止めてくれ。俺だけじゃ収拾がつかないって……。
朝食を食べる際に人数が多いという事で俺が席を立ち外で食べて来ると言うと、下忍全員が付いて来るという意味分からんこともあったが今はそれも多少落ちつき、庭でおっさんを含めた七班、八班の計九人が集まっている。
「今日もタズナさんの護衛に行く訳だが、紅達が応援に来てくれたから護衛に割く人数を増やす事にする。まずはサクラ、お前は昨日同様タズナさんの護衛だ」
「はぁ〜い」
(五月蠅いキバとか、何も話さない無表情なシノと一緒は『絶対に嫌よ』カカシ先生。お願いだからサスケ君を!)
内なる声でそう言ってるんだろうなサクラの奴。昨日までもサスケと一緒に護衛出来ない事を愚痴ってたから、そんな事を考えてるだろう事は俺じゃなくても分かる。
「そして、サスケ。お前も木登りの行を昨日終えたみたいだからな。今日からはお前も護衛に回れ」
「ことw「サスケ、上官命令は絶対だ。拒否は受け付けない」チッ……」
あはは……そんな目で見るなってサスケ。ちゃんと修行は付けてやるからよ。昨日ので懲りたかなって思ったけど、そんなことはないみたいだ。流石は「うちはサスケ」って事か。
「次に、八班からはキバ君かな。んで、上忍からは俺が護衛に回るからその心算で」
「わかったよ。サクラ手前ぇ、俺の足引っ張ったらただじゃおかねぇぞ!」
「はいはい、吠えてなさいよバカ犬」
お前ら喧嘩すんなって。なんか知らねぇけど恥ずかしいぞ俺は。子どもが喧嘩してるのを見ている親の心境って言うのか?そんな気分を味わってんだよ俺は。
「紅、残りはお前とツナミさん達の護衛だ。こっちに敵が来るかも知れないからな」
「わかったわ。それより、このメンバー編成でいいの?」
「はぁ……俺も不安だ…」
まぁまぁ。でもこの編成もいいんじゃねぇの?カカシと同じくらい(カカシが思っているには)の力量の俺をカカシと分けて、後は虫と白眼で警戒してればここは大丈夫。おっさんの方も……まぁ何とかなるだろ。
それに昨日はサスケに付き合ってたせいで、寝不足気味だからもう少し寝たいしな。
「それじゃ、今日はこの編成で行くからな。タズナさんそれでは行きましょう」
「超護衛してくれ。ガハハハハ!」
おっさんの馬鹿笑いに皆は苦笑を浮かべる。喧嘩していたキバとサクラも止める位だから相当だな。
それからカカシ達はおっさんと橋に向かって行った。残った俺達はそれを見届けると紅さんが指示を出した。
「私たちはここを守る事になったけど、ナルト君だったわよね?」
「はい。うずまきナルトです。よろしくお願いします紅先生」
「あら、礼儀正しい子ね。あなた達がここで昨日まで修行していた内容をカカシに教えてもらったわ。それで、この二人はまだ木登りの行をやっていないから、私が教えるけどあなたはどうする?」
「そうですね。なら、俺もそこで見てますよ。アドバイスとか出来たら言いますし」
ま、木陰でお昼寝と洒落込むんだけどな。というか、気付いたか?俺は年上の女性には敬語で話すのだ。なぜかって?それは、可愛がってもらえる可能性が増えるから!だって、アスマに紅さん取られるのって、なんかしゃくじゃね?
「ナルト君……」
「ナルトも男だったという事だな」
シノ、お前だって紅さんの事綺麗だって思ってんだろ?俺知ってんだからな、お前が隠れて紅さんの写真持ってるの。それから、ヒナタそんな顔すんなよ。そんな顔で見られたら何も出来なくなっちまうよ…。
「分かったわ。ならナルト君はそこで見ていて何か駄目なところがあったらアドバイスしてあげて。私も教える人が増えたら楽だしね」
紅さんの言葉に笑顔で返し、木登りの行の修行に入った。流石はアカデミー時代サスケに次ぐ成績だったシノは初めてなのにも関わらず、半分まで登った。だが、半分まで行ったところでチャクラコントロールを崩し、弾かれてしまった。
ヒナタはゆっくりとだが、一歩一歩確実に登っていく。そして、シノの登ったところを超え、遂に木の天辺まで登り切った。へぇ……頑張ってんだなヒナタ。こりゃ約束もすぐに果たせそうだな。
「凄いじゃねぇかヒナタ。チャクラコントロールがアカデミーん時より断然上手くなってるし、ウチのサクラに勝てるんじゃないか?」
「え、い、いや、そ、そんな事ないよ……」
天辺から飛び降りたヒナタに言葉を掛けると、顔を真っ赤にしていき仕舞にはプシュ〜っという音を頭から出していく。あはは……変わってない事もあるな。
んで、向こうではシノが紅さんからアドバイスを貰ってるみたいだ。シノの事だ、直ぐにチャクラコントロールなんてマスターすんだろうな。実際、今はサスケとシノは同じくらいの実力なんだ。でも、それも一時的なもの。写輪眼を開眼したサスケがグンと突き放す事になるからだ。
「……ヒナタは初っ端(しょっぱな)でクリアしたけど、これからどうする?俺は木陰で昼寝でもしようかなって考えてるけど」
「あ、そ、それじゃあ、先生に出来たって言ってくるね」
「わかった。それじゃ、俺そこらにいるから何かあったら言えよ」
「うん!」
赤い顔で笑い、そのまま紅さんの所に走っていくヒナタ。あぁあ、あんなふらふら走ったら…「あぅ!」ほら、言わんこっちゃない。こけた事にも恥ずかしくなったのか更に真っ赤になったヒナタは、へへへという照れた笑みを向けてきて、それからまた走っていった。
ヤバいだろ、今の……。キバとか見てたら鼻血出して倒れるくらいの破壊力だったな。って言う俺も危なく出すとこだったんだけどな。
はぁ……寝よ。ゴロンっと横になり目を瞑る。朝の匂いを含む風が頬を撫でて行くのを感じながら、眠りについていく。
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「…ト君……ナル…起き……ナルト君起きて」
ん……ヒナタの声がする。閉じていた目をゆっくりと開けていき、声が聞こえた方に顔を向ける。
「ふぁああ………おはよう、ヒナタ」
「フフ、おはようナルト君。気持ちよく寝てたみたいだけど、先生がお昼にしようって言ってるからあっちに行こう」
ヒナタがクスクス笑いながら、俺の頬についた葉っぱを取る。ヒナタって、少し天然入ってるよなぁ。こんな事、普通の時にしたら顔を真っ赤にするだけじゃなく、悪けりゃ気絶するもんな。
今は無意識にやってんだろうけど、気絶させたくないから俺は何も言わない。
「分かった」
「うん。あ、あのね、お、お昼はサンドイッチだよ。私が作ったんだ」
「お、そうなのか?なら、早く行って食べよう。ヒナタの料理も久々だから楽しみだってばよ」
そう言うと、ヒナタは照れたような顔で先に紅さんのところに走っていく。どうせ、行くなら一緒に行けばいいのに。ヒナタのあの恥ずかしがりようは何時治るんだろうな。
そして、ヒナタを追い俺も紅さんとシノがいる場所に向かう。着いてみたら、綺麗に並べられたサンドイッチがあり、シノと紅さんは先に何個か食べているみたいだ。
言葉もそこそこに、俺もヒナタの力作を食べる。久々だけどやっぱり美味いなぁ。手料理が上手い人ってそれだけで彼女にしたくならない?俺はなる。そしてあっという間に完食し、午後の修行に移るといった時に……。
「ねぇナルト君、お願いがあるんだけどいいかしら?」
と紅さんからの言葉がそれを止めた。
「お願いですか?」
「そう。ここに来る前に買っておこうと思っていた医療キットが売り切れで、ここで売ってる物を買おうと思ってたんだけど、ここには売ってないみたいで」
「医療キットの代わりになる薬草を取ってくればいいんですか?」
「話が早くて助かるわ。野生の薬草を取って来て欲しいの。私は今シノの修行に付き合ってるから、お願いできるかしら?」
もちろん。綺麗な女性にお願いされて男なら嫌とは言えませんよ。
「良いですよ。それじゃ、行ってきますね」
「あ、わ、私も行っていいですか先生!」
俺が立ち上がって行こうとしたら、ヒナタが紅さんに詰め寄っていた。紅さんはそんなヒナタに吃驚していたみたいだけど、シノは久しぶりにこのヒナタを見た。という顔をしていた。
そして、許可を得たヒナタは俺と並んで、薬草がある場所に向かった。まさか、そこであんな事になろうとは露ほども思わずに……。
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ちょっと歩いたところにそこがある事を、俺は知っていた。なぜなら、白と三日前くらいに来ていたからだ。だから、白がいる事に吃驚はしなかったし、ヒナタに白を見せたらどうなるかなんてのも考えなかった。
そうなのだ。俺とヒナタが向かったそこには、髪を下ろした白がいた。俺を見た白が笑顔で手を振って来たから俺も手を振り返して、白なら薬草に詳しいよなって考えて、白に近寄ったのがいけなかった。
白が俺の横のヒナタを見ると、それまで浮かべていた笑顔を引っ込め、無表情でヒナタを見ると、ヒナタもヒナタで白に引き攣った笑みを浮かべて見ていた。
そして、話はこの話の中盤?くらいに戻る。
「「ナルト君、彼女は一体誰なんですか、なの?」」
「白、ヒナタ、まずは落ちつけ。それから、ヒナタ。白は『男』だぞ」
「!?」
俺の言葉にびっくりして白の顔を凝視するヒナタ。そらそうだわな、こんな顔をした男がいる方が不思議だよな……白を見てみると失礼なって顔で…ておい、何でそんな顔してんだよ。いや、まさか、そんな…白、冗談はやめろって。
「やっぱり…僕は『女』ですよ、ナルト君。はじめて会った時からですけど、ナルト君は僕の事男の子だと思ってたんですね」
「!?」
今度は俺が白を凝視する番になった。恐れていた事が……一番起こって欲しくない事が起こってしまった。……白が…白が……。
「女?」
俺が震える指で白を指さしそう聞くと…。
「はい」
満面の、ヒナタに負けないくらいの可愛い笑顔をしてくる白。あぁ神よ………俺は白とは友達になりたかっただけなのに……。
「ナルト君、説明してくれるよね?」
そして、ヒナタさんそんな恐い笑顔で見ないでください。俺も混乱してるんだからっ!!!
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