外伝その227『勇壮14』


――ノーブルウィッチーズの瓦解は事実上、ガリアにこれ以上ない政治的打撃となった。また、リベリオンの分裂でB部隊の隊員が遊兵化してしまった事もあって、そのまま真501に全員が取り込まれた。ペリーヌが辞退したら、世界情勢の急変が起こったのは予想外だし、ウィッチの平均能力値は対戦闘機・爆撃機戦では、武器の小口径化が進んでいた時代である事も重なり、戦闘機と大差ないとされる。いくら初速を上げたところで、日本軍の20ミリ機銃で落ちにくいとされる世代の米軍機相手では苦戦は免れずとされ、日本の介入により、半ば強引に20ミリ砲以上の機銃が作られていく。特に扶桑は史実の戦訓を振りかざしてのまくし立てに反論できず、かつて、坂本がいったように、ラインは維持されていたため、日本が軍の輸送体制を米軍の協力で改善したために99式機銃の13ミリモデルは原則、『B29対策』を理由に回収される事になってしまった。日本の仮想敵は怪異ではなく、高度11000mを飛ぶ『B29』や『B36』であったための齟齬だが、元々が怪異専門兵科だったウィッチは発達した通常兵器にも遅れをとる危険が増えていた。その表れがビーム対策で現場で防弾装備を外していたため、ミサイルの破片すら防げずに、ストライカーが損傷で停止して戦死したという事例で、ダイ・アナザー・デイでは頻発し、その有効性が疑問視されていた。Gウィッチ達はその風評を払拭するため、『見敵必殺』を合言葉に、あちらこちらで獅子奮迅の活躍をせざるを得なかった。あらゆる手段で。――








――エディータ・ロスマンは、日本でのアニメで雁斑ひかりに厳しく接したことを責められ、その反論もままならずであり、精神的に追い詰められつつあった。(バルクホルンいわく、ノイローゼの入口)状況を危惧していた黒江と圭子により、『紫電改のマキ』の世界に送り込まれた。その世界で矢島風子というスケバンに扮していた彼女は癖がついたか、元の姿に戻っても、石神女子高校の制服の上から学ランを羽織るバンカラファッションを維持し、口調もスケバンのままにしていた。そのほうが気が楽になるとの事で、元々の享楽的な側面がデフォルメされて表に出ているのが矢島風子としての性格と言えた――

「先生、どうして、アニメの事を気にする?」

「それはじゃな。あっしが選び得る可能性の一つになることには変わりはないし、前線に来た若いのが使えないジャクだったら、そりゃ追い返そうとするじゃろ、トゥルーデ。しかし、今はSNSとかがすぐ炎上して、ちょっとした事で自分の首が飛ぶようなご時世じゃ。若い連中を下手にしごいたら損害賠償じゃ。だから、育てる事に疲れてのぅ」

「なんと言おうか、その、お疲れ様…」

ロスマンはクレーマーが増え、ひかりのことを言われても、自分は出会ってもいないのでどうしようもないという理不尽さに翻弄された。そのため、黒江達が手を打ったのだ。ロスマンは育成に喜びを見出せなくなったというが、クレームに打ちのめされた事で、自分も当初、不採用にされた際に父親に『役立たずめが!』と罵倒され、その悲しみで記憶を封印していたほどのトラウマが蘇ってしまった。その事も教育から一時的に遠ざかった理由であり、矢島風子としての性格になった理由だが、この場合はネガティブ要素が強い。

「ウチの親父は、一次大戦で戦功を挙げたガチの帝室信仰者でのぅ。それであっしが採用基準に満たないと知ったら罵詈雑言を浴びさせられた…。ひかりって子とは別次元では会う運命だというのはわかったけど、初心に帰って見方を変えてみれば、若い頃のあっしにそっくりなんじゃよ。だから、教えて下さいと頭下げて来たらしごくがそれ以外は座学のレクチャー以上はやらん、逆恨みされてもツマラン!」

ひかりは若かりし頃のロスマン自身によく似ていた。それに気づいたからこそ、批判を甘んじて受け、矢島風子になったのだ。

「先生…」

「その呼び名は返上すべきかもしれんよ。雁斑、この世界では『雁渕』か…ひかりの潜在能力を見抜けなかったのだからな」

どこか自虐的だが、ノイローゼをマキのおかげでどうにか克服した証でもある。

「向こうに行ってた時のあっしの友達は言った。『言うことがあるなら、翼で語れ』ってな」

翼で語れ。羽衣マキのみならず、現地の飛行少女の間で使われる『空の不文律』を示す言葉だ。ロスマンのノイローゼが快方に向かったのは、マキを筆頭にする『石神新選組』の面々とのふれあいのおかげだ。奇しくも、ロスマンはケイを圭さんというが、古嵐蛍の配下であったため、その事を面白がったケイの指揮下に収まったからだ。

「しかし、古嵐蛍の配下だからって、そのまま加東さんの配下になるか?」

「名前を言い慣れてるし、飛び方も似てる。それに同じ飛燕乗りだしのぉ」

同名かつ、同じ飛燕の搭乗経験者。その事もあり、ロスマンは帰還後、圭子の三番機の任に就いている。なお、川内もそのまま『北島雷奈』として圭子の中隊に属していたりする。なお、ロスマンは自分が平行世界のドイツ軍の士官である事は帰還する時に告白しており、甘粕みやびからは『プロだなんて反則だぞ、反則!』と抗議されたとか。みやびも小学生時代から『賭け空戦』で鳴らしていたのだが、戦争の空で生き残ってきたロスマンには及ばない。また、みやびの零戦は初期型の21型であり、明確な弱点があること、鍾馗は陸軍機であるからして、比較対象じゃないと言った。

「プロだなんて反則だぞ、風神!!」

空戦機動(ACM)打ってる時点で、プロもアマもないぜよ、みやびん。それにみやびんのは21型じゃろ。機体特性が違いすぎじゃい」

「っていうか、メッサーシュミット乗りなら、それをレストアするなり使えば…」

「あれは実戦経験者からの目線で言うと、足が短くて、短時間しか飛べんのじゃ。その点鍾馗は雷電と同等くらいの航続距離はある」

「そうだったか?」

「確か、K-4型はますます足が短くなってるから、空戦可能時間は短いはずよね、風神」

「蛍さん、ご明答」

「貴方の本当の姿がドイツ軍人なら、なぜ日本機を?ドイツ軍人は自国製品に自信あるというけど」

「メッサーは乗り慣れてる分、限界を知り抜いてるからです。部隊でもメッサーを充てられてるし、フォッケウルフは部下に回してるしのぉ」

「特性がまるで違う日本機に、よく慣れたわね?」

「割合、似てるのは選んでます。こっちだと、疾風が遅延したんで、鍾馗の2000馬力級エンジンのサブタイプが作られてたし、パーツは揃えやすいし」

「そっちだと鍾馗が多いのか?」

「43じゃ無理な飛行機が出てきた頃の量産だったから。飛燕より多く作られるぜよ」

「風ちゃん、紫電改を見慣れてるってどういう事?」

「ああ、紫電改があっしの世界だともう1500機超えの生産数なんだ…」

「1500機!?」

「零戦の後継に充てられたから、艦上機にもなったからじゃ。それにあっしの世界だとハ43エンジンだけど」

――烈風のエンジンを俺様が使ったわけか?――

「烈風が色々な理由でやっぱり遅れたから増産じゃ、紫電改のあんちゃん」

――烈風は戦に間に合わなかったからな。俺様は遅すぎたとか言われてるぜ――

「お主の量産が1944年じゃからだろう。烈風はでかいし、ロールが遅くてのぉ。それに空冷じゃけ、大してパワー差以外問題はありゃせん。ほんの200HPじゃろ」

――突っ込みは俺のほうが奴よりいいからな――

「お主の次兄の紫電なんて微妙じゃろ」

――兄ちゃんが微妙なのは、中島の怠慢だっつーの――

「それ以前に川西航空機じゃろうに」

マキの紫電改は自我があるので、前型機を兄と認識しており、兄の紫電を微妙というのに不満を見せるという珍しい場面だ。

「いいじゃろ、お主は烈風のポジション分捕ってたんやで。兄の強風に感謝するんやぞ」

――強風兄ちゃんは紫電兄ちゃんよりできが良いんだぞ――

「下駄履きだから、限界もあるけど」

強風は多くの世界では必要な時に間に合わなかったが、紫電改の礎というポジションになった。ウィッチ世界では日本が生産中止させるまでにそれなりの数が完成しており、戦艦から使用する案もあったというが、水上戦闘機という存在が陳腐化したため、多くは博物館送りにされている。使い所はあるため、この時でも、60機ほどは前線に残っている。

「それにお主、その紫電の改造だろう?」

――俺様はほとんど新規だよ――

マキの紫電改は俺様キャラである割に、強風を兄ちゃんと呼ぶ可愛いところがある。そのためロスマンは笑った。

「あっしの世界は烈風が辛うじて間に合ったんじゃが、ロール速度の問題で制空戦闘機からは外れたんですわ、マキちゃん」

強風のロールアウト数は史実の95機前後よりは多い100機超えで、当時としては水上戦闘機が戦力と見なされていた証である。最も、扶桑は太平洋や地中海の島諸部での緊急展開に備えて、でもあり、強風は120機前後が製造され、その内の80機が外地に展開済みだった。また、部隊配備が1943年からと年数が経っていない装備であり、前線部隊は回収に反対している。最も、扶桑は紫電改の成果を反映した強風改を生産しようとしており、日本によるストップがかかる段階では、試作1機と生産機が12機、パーツは60機分が完成していたという。そのため日本が垂直離着陸機を導入させる事で水上戦闘機を代替しようとしたのだ。しかし、全てのラインを止めると、前線部隊への補給が不可能となるとの指摘が出たため、保守サービス用は維持された。しかし、『ヘルキャットやコルセアが出ている空に強風はいらない』という意見も多く、扶桑は対応に困っていた。しかし、21世紀の垂直離着陸機は前線飛行場では運用が難しいという事情もある。そのため、より未来の技術で構成されており、ガウォーク形態での離陸もできるVFシリーズが黒江からのルートで使われたのだ。

「だから、紫電改の機種分類変える暇もない内に艦上機にもなったし、ジェットが出てきてもしばらくは使われるじゃろう」

――ジェット?日本軍式空母には乗んねーぞ、あんなデカブツ連中――

「翔鶴や大鳳を魔改造してギリギリセーフじゃからの」

紫電改の言う通り、日本式空母は格納庫の天井の低さなどの問題で、ジェット戦闘機は載らないという難点がある。扶桑の海軍航空本部や空技廠の技術陣は『だから、橘花を小さくして、RATOと油圧カタパルトで…』と恨み節だが、零戦よりは重い橘花は雲龍型程度では発着艦も無理というコンピュータシミュレーションの結果が出ていたのも事実だ。『従って、旧式の赤城型空母の愛鷹と天城は退役、代替は65000トン級新造空母で行う』というのが評議会での決定だ。

「実は今、あっしのいる世界はアメリカ相当と戦争中でして、戻ったらドイツ軍の将校として洋上戦闘にでないといけないんですわ、蛍さん」

「まさか、Bf109Tで出るの?」

「あれ、ウチの世界でも量産されていないっす。だから、日本系の機体で出ますよ」

「でも、日本海軍の操縦系は特殊よ?」

「あっしの世界じゃ、陸軍と操縦系が統一されてるんで、マキちゃんがしてるみたいなスロットル式じゃないんですよ」

そのタイミングで、服装は同じだが、肉体の容貌を素の容姿に戻すロスマン。銀髪のロリ系美少女の容姿に、石神女子の面々は唖然とする。

「風ちゃん、その姿は?」

「この姿があっしの本当の姿だよ、マキちゃん。あっしの本当の名前は『エディータ・ロスマン』。この世界でのエドムント・ロスマンに当たる存在さ」

「ドイツ軍の誇るエースパイロット、騎士十字章叙勲者……貴方は彼の平行世界での姿なの?」

「そういうことになりまっせ、お蛍さん」

ロスマンは身の上を明かし、騎士十字章叙勲経験者である事も肯定した。ただの実戦経験者どころか、ルフトバッフェの撃墜王である。そうなると、みやびどころか、この世界の西東京の四天王と呼ばれし手練を圧倒できるポテンシャルを有することになる。

「なら、どうして、私達のレベルに合わせてたの?」

「航空兵には間違いないんですが、別の方法で飛んでたもんで、戦闘機は経験浅いんですわ、本当に。もっと体でというか直感的というか…

「まさか、箒…とか」

「当たらずも遠からず。魔法と機械で動く、戦闘機のミニサイズの胴体を履くような形の箒で飛んでたんだ。だから、戦闘機に関しては一から訓練したよ、マキちゃん。」

ロスマンの言う通り、航空力学などが前提の航空機と違い、ストライカーは直感的に動かせるため、戦闘機を動かすには、別個に訓練の必要がある。黒江やシャーリーの例は特殊だ。

「まぁ、魔女だからこういう飛び方の方が解りやすいかも」

デッキブラシのブラシに足をかけてポールダンスの如く片足を広げてクルクル空中で回転する。ストライカーの操縦はそういう直感的な動作であるため、練度上昇が容易であるが、個人差により、大火力化が難しいのが難点である。

「箒があれば、すいっと飛べちゃうんだけどなぁ」

「敵の戦闘機とそれで?」

「うーん。怪獣映画の怪獣みたいな、イン○ーダーゲームみたいな敵が想定されてた兵科でして、武器は平均で小銃レベルですよ。それが重装甲の米軍機相手じゃねぇ」

ロスマンはMG42やフリーガーハマーを使っていたが、人が乗る戦闘機は機敏に動くので、弾速の遅いフリーガーハマーは当たらないし、MG42では、ヘルキャットには無力であった。いくら貫通力を強化しても、99式20ミリを弾く装甲を持つヘルキャット(操縦室周りは特に頑丈)に致命打とはなりえない。陸軍機のサンダーボルトに至っては、たとえ20ミリが300発当たろうとも平然と逃走できるため、7.92ミリから15ミリでは350発当てろうが墜落どころか、炎上すら起こさない。その経験があるので、帰還後は日本が空路などで補給を改善させたおかげで使用可能になった『MG151/20と薄殻榴弾』をバンバン使い、スコアを伸ばしている。 古参が20ミリを選んでいるのは『敵を確実に仕留めるため』であり、ウィッチの運用効果を見せるための道具でもあった。


――話は戻って――

「ノーブルウィッチーズが瓦解したのも、ミラノ公は名ばかり、帝位、王位継承権持ちと言っても、所詮は下から数えたほうが速い順位だからという事で、日本とアメリカが疑問を呈し、部隊の存在意義が『貴族の威厳を示すための道具』と見なされたことじゃ。だから、各国は我ら『Gウィッチ』に期待しておるんじゃ。一騎当千を」

ロスマンの言う通り、Gウィッチは一騎当千を期待されている。通常ウィッチが成しえない『無敵ぶり』を。そのため、覚醒したロスマンも戦闘機乗りとしての一騎当千を期待されている。日本人のかってな物言いが連合軍全体を振り回し、ヒスパニアはフランコ将軍を奪われ、ガリアはノーブルウィッチーズを壊された。日本への反感も高まっていたが、日本の科学は連合軍の70年分先を行っており、その科学力を餌に、各国が資源、避難地確保のために持つ植民地を分離独立させられる事を恐れ、表立っては反対意見が言えなくなっている。そのため、黒江が内部から日本をコントロールするしか手がないのだ。(もっとも、ウィッチ世界では大国の庇護下にいたほうが安全であるため、ウィッチを多く輩出する地域でないと独立は不可能である)

「一騎当千、か。確かに、かつての扶桑武士団にはそういう逸話が多いが…」

「仕方ない。ウィッチは特権を持つ割に、実働時間は個人差に左右される。今は若年ウィッチが雇えなくなる時代じゃ。我らのような古参が支えないと、今後の軍ウィッチ全体が危うくなる。それ故の一騎当千じゃよ」

ロスマンは普段着が石神女子の制服+学ラン+学帽のバンカラファッションなために、どう見ても『スケバン』にしか見えなくなっていたが、カールスラント空軍軍人の誇りも持ち合わせている。ドイツ機より日本機を乗機に選ぶのは、ひとえに似た特性の機体よりも、異なる飛行特性で当たったほうが組みやすいという実戦経験者のカン、さらに言えば航続距離が日本機は長く、燃料切れを心配する必要が低いからだ。

「中途半端に誇りだの、伝統などにしがみついとる連中には我らの気持ちはわかるまいさ。伝統は変える時には変えるものだし、誇りなどは我らが前史で揶揄されたように、過剰になれば傲慢と取られる。我らは謙虚になり、誇りを傲慢と取られない程度に持って生きていかなければならぬ。そして、今回はウィッチを2つの組織で生きてゆけるように取り図らんとならん。その意味は分かるな、トゥルーデ」

「うむ…。扶桑は特に大変だというが……。あ、例の有志の子供だが、黒江さんと揉めたそうだ」

「それは聞いとるよ。例の…立花響とかいう青二才じゃろ?黒江さんも困ったお荷物を背負い込んだもんじゃ」

響は精神的に青いところが多い為もあり、Gウィッチ界隈では『青二才』で通っている。黒江が手を焼くのは、バダンやティターンズ残党が『人間』である事から、話し合いを試みようと進言したり、調が過去に古代ベルカで必要上、不満分子を粛清したり、敵の補給路を叩く過程で敵の兵士を殺して物資を奪う事をしていたことを責めるなど、色々と青臭いさを見せており、黒江も手を焼いている。基本的に、ノイズには本気になれても、人相手には本気で攻撃できない気質とも言えるので、古代ベルカで生か死かの戦争を生き抜いてきた調とは相反する気質であるため、揉めるのは当たり前である。黒江も未来に相談するなど、何気に小日向未来はGウィッチと装者達の緩衝材になっているのが分かる。(最も、響もバダンの怪人が獣性で動くだけのケモノだったり、ティターンズ残党が非人道的行為をしている事を知り、流石に調の心情を汲み取れたが、一歩遅かった感がある)。

「黒江さんからフォローを頼まれているので、のび太に連絡が取れ次第、向かいます。先生も来るか?」

「同行する。調がどのような気持ちで古代ベルカの戦乱と国家の最期を見届けたかを教えてやらなくてはな」

二人は時空管理局が内乱を経て、次元世界から質量兵器の根絶という題目を建前とし、質量兵器で再建をしなくては組織が成り立たなくなったというM動乱の経緯から、その時空管理局を持つ国家『ミッドチルダ』、それと過去に対立していた『ベルカ公国』(在りし日の国号)のことを調べていた。そして、時空管理局という組織を作ったのが地球人であり、元ナチス・ドイツ軍人だったというミッドチルダにとっては屈辱的な真実もあり、時空管理局を管理統制するミッドチルダ政府は、地球連邦政府へ事実上の恭順を示した。もはや権威が地に落ち、管理局の中枢部の者たちがナチス・ドイツの構成員だった事から、時空管理局は『組織の形は保たれたが、地球連邦軍の間接的支配を受ける身』に堕ち、敗戦国も同然の状況だった。なのは、フェイト、はやての三人が組織の中枢部に登りつめられた上、かなりの自由行動が許されるのは、なのはとはやてには、もはや『時空管理局組織への忠誠心』など無く、時空管理局が地球を敵と見做した場合は躊躇なく『離反する』と公言している事、フェイトもなのはに同調する意思を示しているので、三人の手綱を引くために、地球を直接の管理下に置く議論はタブー化された。(ゲッタードラゴンが進化して生まれる存在のゲッターエンペラーを異常に恐れたとも)また、聖闘士や英霊、スーパーロボット、超英雄など、普通に魔導師を超える所業を起こせる存在がゴロゴロしている事も時空管理局が地球連邦の軍門に下った最大の理由であり、M動乱でメンツ丸つぶれな上、自力で失地回復ができずじまいであるがゆえに衰退したミッドチルダに代わり、地球が次元世界の次代の覇者候補として台頭し始める。時空管理局の発祥に地球人が関わっていた事を考えれば当然であるが)それを以て、次元世界は地球が主導しての新秩序へと移行を始める。その過程での無限書庫の歴史書調査にバルクホルンとロスマンは駆り出され、調のことを知り、それを黒江に報告している。それで響に事を教えに行こうと言い出したのだ。ロスマンは同意し、時空管理局の無限書庫から電子データベース化したいくつかの資料を手に、二人は立花響との面会に赴くのだった。



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