外伝その243『連合軍内部の勢力図』
――ダイ・アナザー・デイでのGウィッチの公表は相当に議論を呼んだが、結局、一度は引退した者が出戻れる環境にウィッチ界隈は無いことから、Gウィッチの特異性を前面に押し出すしかなかった。特にレイブンズは一度、体制側が自分の都合で冷遇した経緯がある事から、扱いが腫れ物に触るようになった。予備役の再雇用もウィッチ界隈では特異なケースであるため、レイブンズはその全員の人事書類を書き換え、『一貫して現役扱い』ということで落ち着かせようとした。これは予備役というと、ウィッチ界隈では、昔の名前で売っているエクスウィッチという認識なので、現役当時の神通力を維持しているという点で、『現役』に書類を書き換えたほうが適当とされたからである。引き換えに、64からの異動がない事になったが、転生者など、どの部隊も扱いあぐねるため、書類上の異動もない(管理職になろうとも)のと引き換えに、自由奔放な勤務を許すというバーター的措置が取られた。また、機材や人材裁量権もいかなる部署の干渉も受けない最高のものが与えられた。これは赤ズボン隊ですらも持ち得なかった裁量権だ。つまり、『居場所づくりはしたから、一騎当千をどの戦場でも実現しろ』という軍部の決定だった。実際、『転生者を一つの部隊で運用し、一騎当千を実現させる』ことで、MATの台頭で確実に予算が削られるであろう軍ウィッチ組織の維持の大義名分を得る。扶桑では特にそれが重視された。転生者と判明した者が、当時の名うてのウィッチの七割を超えていた扶桑は表向き、『日本側の提言に従っての精鋭部隊を作った』としつつ、転生者の放り込み先としても64の人員配置を容認した。しかし、名うてのウィッチの7割を集中させた人事は全ての部隊から精鋭を根こそぎ引き抜く事も意味する。使用機材も当時に部隊配備がまだなされていない次世代型を優先的に使用できる事は、他部隊からの不公平感からの不満を噴出させた。志賀が黒江に反発したのも、『陸助のくせに源田司令と懇意にしおって』という、実にくだらないジェラシーが含まれている。その海軍士官たちの黒江達への蔑視はこの時点で『くだらない縄張り意識』と日本側に断罪されてもいる。これが陸海軍問わず、参謀級軍人達の大量追放、ウィッチであろうと厳罰がなされる理由付けに使われることになる。また、過去の黒江のいじめ問題がほじくり返され、天下りしていた海援隊から過去の加害者達が追放される流れも、この時には決定づけられていた。日本左派により、問題が却って拡大する事は、ダイ・アナザー・デイ中はしょっちゅうであり、東二号作戦の頓挫、金鵄勲章問題、華族問題などが代表的なものである。黒江のいじめ問題のほじくり返しもその内に入る。また、スオムスの心胆を寒からしめる『扶桑海の巴御前問題』も同時期にフィンランドとスオムスでどういう風の吹き回しか、外交問題になってしまった。この一連の流れで、レイブンズを粗雑に扱うと、同位国による制裁を受けると認識されるようになった。智子の問題は『部隊の戦果と実績を組織ぐるみで隠蔽した』ことも問題視された。その決定に深く関与したとされるモントゴメリーが二階級降格された事も、スオムスには恐怖であった。また、有色人権への差別と見なされ、国際問題化され、報復措置として、日本連邦に兵を引き上げられる事を何よりも恐れたスオムス。智子への白バラ勲章の等級を無理に引き上げたりする場当たり的対応に終始する。(もっとも、その白バラ勲章がナチスの鉄十字勲章と勘違いされるハプニングも起こったが)聡明で知られたマンネルヘイムにしては些かパニック気味の対応であったが、スオムスは続々とエースがあがりを迎える時代に入り、兵力の弱体化が懸念されているからこそだろう。実際、人間相手の戦争では、『多少の地の利を機械力が押しつぶす』という結論も出ており、スオムスは人同士の戦争では弱者でしかない事を自覚している。それ故、強者になりつつある日本連邦に打ちのめされ、植民地支配される事を恐れるあまり、顔色を伺うような外交になったのだ。(当時のスオムスは寄せ集めの機甲兵器しか持たないため、MBT時代を迎えた扶桑に比して、あまりにも脆弱であった)――
――1945年 ダイ・アナザー・デイ中の連合軍統合参謀本部――
「平にご容赦を…山本大臣」
「日本側を納得させられる自信は小官にはありませんな、マンネルヘイム閣下」
山本五十六の顔色を伺うような発言のマンネルヘイム。一国の大統領を兼ねる元帥の態度ではないが、当時の追い詰められたマンネルヘイムの立場の表れであった。マンネルヘイムに残された道は『智子を東洋人ということで、差別する意図はなく、情報管理の観点からの決定であり、ブリタニア連邦の了解を得ていたことで…』と日本向けの声明を出すことだけだ。東洋人への差別の意図はないと前置きしないと、日本人の怒りが手に負えなくなると警告されていたからである。実際、モントゴメリーに乗せられたのだから、嘘ではない。事実上、ブリタニアを巻き込んでの言い訳であったが、最高の勲章を与えたのに、差別と言われると立つ瀬がないのも事実だ。実際、日本は激情のスイッチが入ると、米国すら本土決戦の損害を避けるほどのバーサーカーとなった歴史を持つため、スオムスはとにかく賠償金を避けるため、事を穏便に済ませようとし、エイラを日本連邦の駐在武官にするなどの手を尽くした。それが功を奏し、智子への公的な授与式典の開催、スオムスの東京と札幌五輪への参加を条件にしての手打ちが成立する。それが日本連邦としてのスオムスへの『大事にしない』上での交換条件だった。
「私はどうすればいいのです?」
「日本側を納得させるために、穴拭君を差別する意図は無いこと、東洋人を蔑視していないことを誠心誠意、説明しなければ、貴方は失脚コースまっしぐらでしょう。同位体がソ連に不本意ながら与した経緯も持つ貴方は特にね。日本は裏切り者には情け容赦ないですからな」
「日本はどうしてそこまで苛烈なのです」
「我々のように、資源を得られなかったこと、遅れた植民地帝国になろうとし、その思惑を米国に誇りごと木っ端微塵にされた後、科学と経済でデトロイトを荒廃させた。根本的に戦闘民族なのです。我々以上に怒らせたら一族郎党を飲み込んでしまうほどの激情を秘めている」
「い、一族郎党…」
「中華文明の影響でしょう。『戦犯』をひ孫の代になっても白眼視するねちっこさもある。舵取りを間違えれば、貴方の子孫は未来永劫、日本に後ろ指をさされることになる。私にできるのは『忠告』だけです。この私も『1945年8月15日に健在なら、A級戦犯』とそしられる身でしてね」
山本五十六は、同位体が終戦まで健在なら、A級戦犯の容疑がかけられ、一方的に裁かれたという憶測を引き合いに出し、忠告した。実際、同位体の罪を広められ、居場所を奪われた近衛文麿、松岡洋右、東條英機がいるため、山本も強く警戒していることがわかる。また、当時に扶桑陸軍エースとして鳴らしていた『来栖良子』の父親『来栖三郎』も親独かつ、三国同盟推進派だった同位体の事を責められ、病を得てしまうなどの弊害も生じた。親カールスラント派外交官が次々と左遷、あるいは事実上の失脚を余儀なくされた事はカールスラントにとっては次々と外交パイプが使い物にならなくされていく理不尽な出来事であり、ガランドとレイブンズが持つラインだけでも維持しようと躍起になったという。(親米派相当の派閥が大手を振って跋扈するようになったため、アメリカ/自由リベリオンには福音であり、アメリカはカールスラントが兵器を出し渋っていた事を利用し、一気にF-14/F-15/F-16/F/A-18E/Fまでのライセンスを扶桑に与え、確固たる航空兵器市場を得る)カールスラントの不幸はもう一つある。ヘルマン・ゲーリング以下の一派が兵器ライセンスを出し渋り、扶桑海軍にメッサーシュミットMe262の初期設計しか与えなかった事が米国に利用されたことだ。アメリカは格安でF-86のライセンスを与えるにあたり、『カールスラントは貴方方を馬鹿にしている』と謳い、メッサーシュミットより高性能のF-86の存在を日本を使って教えた。カールスラントはガランド派がゲーリング派に警告した通り、扶桑に築きかけた市場を米国に掠め取られたのである。しかも、メッサーシュミットが本国で配備が進んできた頃には、その次世代のF-104Jまでも生産され始めたというオチがついていた。カールスラントがメッサーシュミットMe262/HG3を試作し、亜音速に差し掛かる頃には、超音速機の時代に扶桑は入っていたのだ。ダイ・アナザー・デイ時には、既に栄光も元空自OB義勇兵らの手で旭光共々、実戦テストに入っている。それはカールスラントの『技術立国』のプライドを木っ端微塵に打ち砕く光景であった。
「カールスラントのように、外交パイプをいくつも使い物にならなくされ、自国産航空兵器を売り込む芽を完全に摘まれるよりは幸せと考えるべきですな。先方など、時速900キロの壁に悩んでたところに、米国の超音速機だ。しかもここ10年以内で造られるはずの機体をね」
「先方の高官達が大いに愚痴っておりましたぞ。『元は我々が確立させようとしていた技術なのに』と」
「出し渋って、値段をぼったくった罰ですよ、閣下」
「カールスラントは廉価なジェット戦闘機として、He162を提案してきましたが、断るべきですかな」
「黒江くんによれば、事故りまくるので、米国に物乞いしたほうがいいそうです」
カールスラントは当時、廉価に揃えられるジェット戦闘機として、He162を提案していたが、扶桑が既にF-86を得ていたことで大口注文が見込めなくなっていた。この頃には、扶桑が各国向けにF-86を提供すると提言しており、カールスラント航空業界はピンチであった。扶桑は来る太平洋戦争に備え、ジェット戦闘機の工場を大拡充しており、その関係で提案したのである。また、64を初めとする精鋭部隊はF-4EJ改以降の高性能機を公然と保有していたので、カールスラントはプライドを打ち砕かれたことになる。
「良いのですか?貴方方が空母向けの次期主力として、F-14単座型とF/A-18E/Fを既にテストしている事を先方に教えず」
「愛鷹の一件の報復措置とお考えくだされば幸いです」
扶桑はプロメテウス級で二代後の主力と見込む機種のテストを既に行っている。ダイ・アナザー・デイで航空戦が優位とされる要因の一つだ。皮肉なことだが、バルクホルンやマルセイユがそのテストに深く関わっており、史実であったエンジンパワーと機体構造強度のネガがなくなり、アビオニクスがグラスコックピット化されたF-14改を絶賛したのである。米軍はそれらの運用ノウハウを与える都合で知っていたが、カールスラントには通達していない。その米軍に知らされていないことは『百数十年後、米国は統合戦争で敗戦する』の一点だけだ。負けても、軍需産業で世界を牛耳っている事実は揺るがなかったし、文化的影響は残ったからだ。
「米国にも知らせていないことは一件のみです。統合戦争のことですよ」
「あ、ああ――」
「統合戦争でまさか、20世紀後半から21世紀に絶対の覇権を握っていた自分達が超大国から滑り落ちる日が来るなど、とても言えませんからな。彼らの兵器は21世紀を超えても、兵器市場に影響を残しとるのでね。我々も先方との関係は壊したくありませんからな。日本連邦とキングス・ユニオンの後身こそが地球連邦という事は知らせないほうが幸せですから」
なんとも言えないが、日本連邦は自らの後身が地球連邦にあたる事を悟っていたが、米国の影響がアナハイム・エレクトロニクス社を見る限り、絶えたわけではない事を前向きに捉え、米国に『分かっていて』兵器市場を彼らへ提供したという裏事情がある。アナハイム・エレクトロニクス社の発祥は、元はシリコンバレーで興ったメーカーであり、コロニー建設に携わることで規模を拡大していき、23世紀には地球圏で五本の指に入る軍需産業として不動の地位に成長している。山本五十六は米国は20世紀後半以降、人々の生活スタイルを変えたという点で大きな役目を担ったとマンネルヘイムに説明し、それを前向きに考えることで、米国に兵器市場を提供している事は『同位国を戦災から復興させてくれたお礼代わり』であると示唆した。
「やりますな。これで私もなんとか、日本に行く自信がつきました」
「そう取って頂いて幸いです、閣下」
山本五十六とマンネルヘイムが交わした会話は表には絶対に出ないことであるが、ある意味ではマンネルヘイムに自信を持たせるものかつ、アメリカに気づかれずに『アメリカをどう利用するか』という扶桑皇国の思惑の反映である。キングス・ユニオンはイギリスが『大英帝国の夢よもう一度…。』なほどの衰退ぶりであり、ブリタニアが逆に援助する状況であるのとは対照的である。これはブリタニアの外交術を色濃く扶桑が受け継いでいる証拠であり、日本が外交下手であるのとは正反対であり、外交面では、扶桑は日本を一枚も二枚も上回っていたのだ。
――ダイ・アナザー・デイで比較的に上層部が方針を統一させていたのに対し、現場のウィッチはマンネルヘイムや山本五十六が認識しているように、世代間対立が次第に表面化。レイブンズを本当に知る古参世代と、それ以降の世代との対立は連携に支障を来すレベルに達してしまった。ミーナは覚醒が遅れたことで、黒江達に迷惑をかけた事を恥じ、そのけじめもあって、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケとしての振る舞いを殆ど捨てて、西住まほとして振る舞った――
「エーリカ、状況を報告しろ」
「ヒスパニアに主戦場は移行しつつあるよ。今は主力が戦車の空輸を進めてるとこ。連邦軍は陸上戦艦を出してきた」
「トーチカ代わりにはなるだろう。敵は幸いにして、この時期には能力不足を露呈したシャーマンと、時代遅れの戦車駆逐車が主力だ。こちらも車両がチグハグだが、世代はこちらのほうが新しい。それと対戦車ミサイル、対戦車ロケット弾、対戦車擲弾発射器を自走榴弾砲などと共に駆使すれば、シャーマンと戦車駆逐車は抑えられる。奴らはM26系統の配備にすら手間取っている。それが最大の攻めどころだ」
「すっかり、陸戦のプロだねぇ」
「前世で英才教育を施されたしな…。家が営む武道の流派を最強たらしめるため、お母様(西住しほ)に厳しくしつけられた。だが、それは妹にプレッシャーを与えるだけだった。私が家を継ぐことで楽にしようとしたが、母様はみほにも私に施したのと同等の水準の教育を課した。今となっては、大洗女子学園に行かなければ、あの子は家の重圧に潰されていただろう」
「シスコンだねぇ」
「う、うるさいっ」
「トゥルーデの気持ち、わかったでしょ」
「今、ならな。しかしだ。MSなどの勉強は向こうですることになるなぁ。『妹』も専門外だからな、あの類のは」
「陸なら、MSの運用は戦車とそんなに変わらないさ。戦車にはない展開力はあるけどね」
「確かにな。そうだ、日本が送って来てる現用の74式だが、あれはやはり待ち伏せ主体だよな?」
「装甲の厚さ自体は薄いのを避弾経始で誤魔化してるのが第二世代だよ。61式と同じ、待ち伏せ主体の使い方だな。21世紀の10式ならまともな機動戦闘に使える。まぁ、あーや曰く、『74も第二次大戦世代相手なら、避弾経始を上手く使えれば機動戦闘に耐えられる』らしいけど」
「あの方、陸自じゃないよな?」
「空自だけど、防大同期に陸自の戦車部隊に配属された人がいるんだってさ。曰く、『そいつ、防大時代の悪友でよ、オレに戦車の事を教えてくれたんだ』だそうな」
「プロから聞いたのか」
「そうらしーよ。しかも、その人、派遣部隊の上の方らしくて、いろいろ陸自の便宜を図ってるんだって」
「うぅ、糞、羨ま…いや、なんでもない」
「そっちだって陸自にパイプあったんでしょうに」
「家がな!私個人のものではないし、母様の同級生が多数、陸自に入っていたからこそのものだったんだ。確かに、子供の頃、体験搭乗とか家の特権でやらせてもらった事あるが…」
ミーナ(精神は殆ど西住まほ)は西住家の柵が転生で無くなったためか、西住まほとして在りし日の頃に表向き見せていた超然とした振る舞いを完全にかなぐり捨て、バルクホルンと似たような妹思い(シスコンと揶揄されているが)の素を完全に表に出しており、まほとして生きた前世とはうって変わって、かなりフランクな物言いであった。坂本が前史から愚痴っている『倫理観のタガが一度、外れてしまうと、感情的になって、周囲を怯えさせるほどにヒステリックな物言いになってしまう』ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケとしての悪癖は、まほとしての自我意識の覚醒で無くなったのが示唆されている。そのため、温厚さを取り繕っていた『以前』よりも精神的に大人になったと言えるだろう。
「今度、閣下に頼んで、10式に乗せてもらおうかな…」
「あーや、統括官になったから、陸自もパシれるから、できると思うよ。休暇の時に頼みな。あ、ティーガーストライカーをこの間に使ってたろ?グデーリアンやロンメルがめっちゃ喜んでたよ〜」
「あれは機動力に難点がある。パンターUを支給できんか問い合わせてくれ」
「あれは本国で評価試験中だったような?」
「グデーリアンとロンメルに、私のパンツァージャケットのブロマイド送ってやるといえ!ティーガーは大型過ぎて、敵のヤーボ(戦闘爆撃機のこと)の良い的になる」
「なんとか打診してみる」
連合軍内部の日本連邦の立場が次第に強大化していき、勢力図は次第に書き換えられていく。そんな最中にGウィッチとして最も遅くに覚醒したうちの一人となったミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ。いや、実質的にはミーナ・ディートリンデ・ヴィルケの肉体を持つ西住まほというべきか。彼女は西住流戦車道で培われた知識と軍人としての知識を駆使し、自分に与えられた任務をこなしつつ、陸戦に一家言ある事をハルトマンに示す。そんなハルトマンは、覚醒後は比較的に人格の変化が穏やかである事から、『Gウィッチのスポークスマン』を自認し、各方面の折衝にも活躍している。アクの強い面々の思いの代弁者としての役目を果たす事に面白さを感じたのか、最近は裏方仕事も多く、そういった側面での功労賞が確実視されている。特に、当時は扶桑軍の内部で、レイブンズと彼女達の現役時代を知る古参世代、それ以降の世代との世代間対立が顕現しつつあり、一騎当千、政治的にも影響力を持つレイブンズが円滑に現場で活動できるように環境を整える事もエーリカの仕事の内で、覚醒前に失態を犯し、人事評価が悪くなっているミーナ・ディートリンデ・ヴィルケにとっても、自身の覚醒で状況が変わった事を上層部に穏やかな形で報告できるという点で重宝する親友である。エーリカの人徳の為せる業だ。裏方仕事でも才能を発揮し、Gウィッチのスポークスマンぶりが板についたエーリカ・ハルトマン。作戦中、立場的に微妙かつ、周囲から奇異の目で見られて(裏で)いたGウィッチのスポークスマンとしての働きが評価され、扶桑軍から勲章を授与される。その理由は同期から不思議そうに見られるが、エーリカは前史の軍生活の後半期は歯に衣着せぬ言動が原因で持て余されていたために少なからず損した事があり、その反省で、スポークスマンの役目を進んで引き受けた。元々、ミーナのヒステリックな側面を抑えるストッパーであったのが高じたとも言える。前史で坂本が黒江と仲違いしたのを気にしていた一人かつ、黒江の親友の一人になっていた立場をそのまま転生して持ち込んだ事を示唆する言動も多い。エーリカはそうした立場もあり、黒江達の真意を周囲に説明するスポークスマンとしての活動を初めたのだろう。
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