外伝その280『ガンダム開発計画の残光2』


――黒江の勧めで帰還した一同。夕食時であった事、敵が退いたからであった。ただし、のぞみは頑張って、錦の家族への偽装工作を海藤みなみ/キュアマーメイド(竹井醇子)の薦めで行うように言われていたので、食堂では食べられなかった。どうにかして、嘘も方便と言わんばかりの手紙を書く羽目になったからだ。今の彼女は中島錦ではないが、記憶は持つため、錦の長姉の小鷹を動揺させないように手紙を書くのには最初は書き出しに悩んだが、いざ書くのに苦労はしなかった。『黒江先輩の部隊に配属された。赤松大先輩から連絡があると思うから、姉貴は心配しないでくれ』とスラスラ書けたので、部屋で食事にありつけた。長姉を姉貴というのは錦の口癖であったものであるので、自然と出た。記憶がある恩恵で、いくら演劇部を三日でクビになったのぞみでも、錦には自然になりきれる証であった。それと似た状況のリネット・ビショップ/美遊・エーデルフェルトは、リネットの状況的に、ビショップ家のパニックを誘発させるため、ガランドの判断でリーネの美遊への変貌は作戦終了までは正式に伏せられる事になった。母親のミニー・ビショップが動くことが予想されたためでもあり、ビショップ家の家名よりも、芳佳とイリヤへの愛情を選んだのは、時代的に色々と不味いからだ(同性愛は1940年代では欧州を中心に忌避されていたため)。その兼ね合いで、リネットの消息は『極秘任務中』という体裁で通達される事となった。また、最後にリネット・ビショップとして飛行した時の写真が誤魔化し用の回答文書に記載され、ガランドの肝いりで送られたのだが、元・空軍大尉のミニーが訝しみ、ガランドは結局、ビショップ家へ菓子折りを持っていく羽目になった。その際にブリタニア軍の高官を若松の護衛つきで招聘し、荒れ狂うミニーを宥める事となった。(ミニーの気質は彼女の長子よりも荒々しかったため、モンティが最終的に仲裁したらしい)また、サーニャもオラーシャ軍を除隊扱いになったので、軍籍が新たに作られたイリヤの姿でいる事になった。その日の内にオラーシャの軍服は処分され、新たにカールスラントの軍服が新調された。(また、ユンカーであったアインツベルン家の名跡を継いだ体裁なので、伯爵位を得ている。ややこしいが、サーニャは二つの国で爵位を得るのだ)実質的にサーニャとしての足跡はここで途絶え、軍人としては、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンとしての足跡を歩むことになるのだ――







――黒江の私室――

「ああ、士か。魔法つかいプリキュアの蘇生はどうだ?」

「肉体の再構成が一段落した。あとは肉体の年齢調整と魂魄の定着だけだ。俺の見立てだが、思ったよりは早く済みそうだ」

「それは良かった。平成ライダーの方はどうだ?」

「一部のライダーから協力を引き出した。お前のことを覚えている奴らだ。ただ、その過程でブレイドと一戦交えたが」

「剣崎一真さんと?」

「ああ。奴は俺を警戒しててな。キングフォームで向かってきて、こっちも相応に負傷したが、鎧武の仲裁でどうにかなった」

電話をしている黒江と門矢士。接触した仮面ライダー剣/剣崎一真に警戒され、一戦を交える羽目になったらしく、士の声に張りがなかった。剣崎は剣のキングフォームでディケイドを倒そうとし、ディケイドもコンプリートフォームで対抗し、死闘が展開された。死闘は仮面ライダー鎧武の仲裁でどうにか収まったが、剣崎は死闘で顔に傷が残り、士も負傷している。剣崎一真は本来は心優しき青年であったが、戦いの結末を迎えてからは、どこか影のある性格に変化したとも取れるような振る舞いであり、冷徹な物言いが増えたものの、異世界に黒江のような『真に仮面ライダーを信じる者が存在する』ことを鎧武から教えられ、かつての優しさを取り戻し始めている。鎧武の説得に耳を貸したのも、そのためだろう。

「紘汰に感謝しろよ。剣崎さんの心に躊躇いが残ってなきゃ、お前は今頃、ロイヤルストレートフラッシュで涅槃行きだ」

「そうだな。しかし、これで剣の協力は得られた。555は既に動いている。カブトも動き出した。他の連中には俺の傷が治り次第、接触する」

仮面ライダー555/乾巧は18歳であった2003年から10年以内に『オルフェノク』としての寿命がやってくるが、門矢士がその世界の法則を破壊したことで、2010年代後半でも存命となっている。鳴滝が恐れたのは、本来の摂理をディケイドが捻じ曲げることでの悪影響であったが、乾巧は『仮面ライダー』という存在にカテゴライズされたことで彼の寿命は延長された。それは、彼が世界に平成ライダーの第4号と認識された事によるプレゼントのようなものだった。ディケイドが世界の破壊者と言われる所以は『ルールブレイカー』としての役割も担っているからだ。

「気に食わないルールが強いられる時はルールの及ばない所へ往くか、力をつけてルールの中でルールを変えるかだ。剣崎一真には鎧武と俺とで分からせた。それと、555から伝言だ。『子供の夢を守るってのも悪くない。本当なら、俺は死んでいるはずの人間だが、お前との約束を果たしてやる』と」

「サンキュー」

乾巧は子供に優しい面があるため、黒江の純真さに免じて、士と一種の盟約を結んだ事が分かる。士は黒江の持つ純真さをダシに使った形である。また、仮面ライダーカブト/天道総司は単純に、妹キャラの頼みは断らないからである。(いわく、『おばあちゃんが言っていた。子供には優しくしろ、と』らしいが)意外な人間性を見せている。士は出血を伴ったが、少しづつ平成ライダーをライダー大戦に参戦させていく。原初の仮面ライダーである、昭和ライダーの指揮下に入る形ではあるが、ライダー大戦には必要な存在だ。

「555とカブトは歴代ライダーでも有数の韋駄天だ。助かるぜ」

「また連絡する。555とカブトには俺から連絡させる」

「おう。養生しろよ」

電話が終わり、555とカブトが動いた事に嬉しさを見せる黒江。部屋を出て、廊下に出ると。

「どーした、のぞみ。走り込みか?」

「はーちゃんから電話があって、それで。みらいちゃん、リコちゃん、はーちゃんは私達と違って、すぐに日常に戻れるプリキュアだった。だけど、奴らは三人からその『日常』を奪った…。理不尽に…。そう思うと、胸の奥がかあっと燃えて…。あいつら、絶対に許さない!…って感じなんです」

「おいおい、メロディの決め台詞取るなって」

「他に表現のしようがないんですって!わたしの柄じゃないってのはわかってるけど、三人が戻るべき場所を奪う権利は誰にもないはずです!」

のぞみは本来、天然ボケで底抜けに明るい性格であるが、成人後に生じた『責任感の強さ』が錦の持っていた血気盛んさと融合したか、仮面ライダー鎧武/葛葉紘汰を思わせるような激情に駆られるところを見せ、黒江を驚かせた。

「確かにお前の柄じゃないが、落ち着け。今のお前はセブンセンシズに目覚めたばかりのヒヨッコだ。それを自覚しろ」

ヒートアップしたのぞみは錦と融合したことがわかるほどに血気盛んさを見せている。生前と人物像に差が出てきている証であり、魔法つかいプリキュアの壊滅に激しく怒っている表れであった。

「でも!」

「怒るのは簡単だ。だけどな、新しい力に自惚れて失敗するな。俺も昔に経験があるから、わかる。無理に強くなろうとして、制裁されるって例も枚挙に暇がないだろ?ほれ、きのこの山でも食って、落ち着け」

「先輩、きのこ党なんですか?」

「のび太の影響だよ。ほれ、俺の部屋に入れ」

部屋に入り、憮然とした顔をしつつ、黒江から差し出されたきのこの山を食べるのぞみ。服装は錦と同じ軍服姿である。黒江は翌日が非番なためか、タンクトップとホットパンツだった。容姿と声は調のもので固定しているので、一種のギャップ萌えも感じさせる。

「先輩って、多趣味なんですね?」

「なのはから預かってるプラモや、みゆきが置ききれないDVDとかも置いてる。俺個人は釣りやオートバイとかをやってるが、多趣味なのは自覚してるよ」

「ずいぶん、本格的なんですね」

「同位体が釣りで死んだっていうから、釣りを控えるようになってよ。その代わりを探す内にそうなった。オートバイはレースに出てるよ」

「そこまでやります?」

「そりゃ、それに費やせるだけの金は稼いでるからな。死人が出ることで有名なマン島レースにも出たよ」

「うえ、あの超危険な?」

「ま、バイクによほど自信がねぇと、あれは出られねえさ。俺も7年くらい鍛えてから、出たしな」

「モータースポーツにハマるタイプですね?」

「響もそうだろ?あいつは今度、ル・マンに出たいとか言ってるし、音楽家の才能を持っても、転生先での元々の稼業の関係で、入れ込んでる」

「そういえば…」

シャーリーとしての性分から、モータースポーツへ入れ込んでいる北条響。モータースポーツへ生前の音楽家としての姿に通じる情熱を持つのは、のぞみも知っている。(のぞみと響は生前、プリキュアとしての代が離れていたこともあり、交流はあまりなかったが、転生後は同僚かつ同格の関係であるため、関係が変化した)

「今度、ル・マンに出るとかで誘われてる。お前もサポートで出てみるか?」

「え、えぇ――っ!?

「一応、錦としてのエンジン整備の知識はあるだろ?それを鍛え直すためと思え。奴に話しておくから、考えておいてくれ」

「そこまで言われちゃ、女がすたる!やります!」

「だーかーら、それはお前の台詞じゃねぇだろ」

「いいじゃないですかー!言ってみたかったんです、これ!」

膨れるのぞみ。後日、彼女は本当に黒江や北条響と共に、圭子の持つフレデリカ・ポルシェ関連のコネで、2019年度のル・マン24時間レースに参加。のぞみはポルシェ社のサポートチームの一員として参加し、同社のプロモーションに一役買ったという。(ドライビングテクニックに優れる二人はレースドライバーとして参加した)それは置いといて、ライダー大戦が勃発し、プリキュアもそれに巻き込まれている時勢では、のぞみが焦るのも無理からぬことではある。偉大な初代への劣等感をなにかかしら懐き、実質的に自分がリーダーシップを取らなくてはならないというプレッシャーがのしかかっている上、魔法つかいプリキュアが倒されたという悲報である。ましてや、職業軍人に転生した身であれば、その道の玄人としての挟持も絡むためだ。

「お前、次の休暇で子供ののび太んとこへ行け。焦ってる状態で戦っても、ミスが出るだけだ。魔法つかいプリキュアの二人の蘇生が次の段階に入った事は教えておく。りんにも言っとくが、お前…。お粥すら料理出来ないってどういうこった」

「……今、それを言います?」

「図星だろ?皿洗いしたら、却って増やすわ、まともに料理の一つもできん。よく社会人でやってこれたな?」

「せんぱぁ〜い。今は出来ますよ、自炊くらい。疾風に食事作ってやってたし…」

のぞみの苦手事の一つは料理で、現役時代の頃はお粥を焦がすという国の天然記念物にされそうな勢いであった。それは転生後は錦が家と部隊で自炊していた経験値のおかげで多少なりとも改善されたため、黒江にジト目の視線を向ける。しかし、現役時代の頃はその通りであるので、反論できないのは変わりない。また、錦の妹の『中島疾風』を自分の妹としているため、以前は中島錦であった自覚も確かに残っているようだ。

「そこは残ってんのか。でも、お前。原隊にいた頃、自炊の機会あったか?」

「ありましたよ。わたし、お姉ちゃんが任務の時は疾風を食わせないといけなかったから、自炊の機会は多かったんです。以前は確かにその通りだったけど、転生してからは料理出来ますよ」

「りんに教えてやれよ。あいつ、昔のまんまって思ってるぞ?」

「言っても、昔の好で信じてくれなさそうだし、先輩から言ってくださいよぉ」

「お前、家事に信用ないんだな……DVDになってる話以外にも前科あるだろ」

「りんちゃんとは幼馴染だったから、あ、あはは…」

のぞみは成人後に多少なりとも改善されたものの、根本的に家事ができないという事は変わりなかったので、転生後も相変わらず、りんからはその分野では信用がない。

「やれやれ。声帯の妖精さん的には、お前らは某人気忍者漫画で親子だもんなぁ。あ、はーちゃんもか」

「りんちゃん、兄弟にそれ言われてたってんで、そのネタは勘弁してくれって言ってます」

「せっかくの美味しいネタなんだがなぁ。お前、鍛えれば忍術くらいはできるかもよ?」

「そっか、そういうこともあるかも……」

「いい忍術の先生を知ってるから、やってみるか?」

――この後、のぞみは黒江の紹介で戸隠流忍法を習う事となる。つまり、忍術で調の兄弟弟子となるのである。本人の努力もあり、数年後にはそれを応用しての戦闘法に開眼するのである。また、黒江から御庭番衆式小太刀二刀流も仕込まれていくため、基礎的戦闘力を高めることに成功するだった――









――ガンダムGPシリーズはアナハイム・エレクトロニクス社が本来、データ収集用に再建造の思惑を持っていたため、後年に複数のレプリカが制作されていた。ティターンズも自分らが封印しておきながらも、もっとも有用と見込んだGP02Aをかつての大陸間弾道ミサイルに代わる核攻撃の手段として複数を保有し、実際に使用した。それに対抗するため、正規軍は最強のGPシリーズを謳われるデンドロビウムを復活させたのである。その思惑通り、デンドロビウムは対怪異、対MS戦の双方で真価を発揮。機動弾薬庫の異名を確固たるものにしていた。機体の基礎設計はデラーズ紛争時のものだが、その化け物ぶりは変わらなかった――


――基地内の一室――

「あれがデンドロビウム、未来世界の誇るバケモンか…」

「あのようなものが作られているとはな…。プリキュアという存在といい、次元世界はどうなってるのです、テスタロッサ女史?」

「次元世界は広い、そう言っておこう。お前達が思うほど、自分達の信ずる法則は通じんということだ」

声質が似ている風鳴翼とフェイト・テスタロッサ・ハラオウンの二人だが、この時点ではフェイトのほうが、口調はより中性的であった。

「確かに、『神殺し』の力を宿らせた立花の力はこの世界では適応されはしない。が、あれはどういうことです」

「俺の友人の手落ちだ。それについては詫びておく。しかし、本質としては、あの子に宿るガングニールは『ロンギヌス』でも『グングニル』でもない力であることに変わりはない。真名を喪失し、別の何かとして遇されているというほうが正しいだろう。この世界においては、あの子が拠り所にしている『神に回避不能な傷と死を与える無慈悲な槍の穂先』とはなり得ないし、さらに言えば、ゼウスの加護を持つ我が師らには通じんよ」

「つまり、ばーちゃん達には哲学兵装は効かねーってことか?」

「ひいては立花のコトバノチカラも、ですか」

「概念兵装、とでも言うべき代物を持っているのだ。ガングニールの力は通じんよ」

「あいつがいたら、ヒステリー起こすところだぜ。あいつはキャロルが海底軍艦やGカイザー、それに本気を出したばーちゃんたちに倒された事を未だに不満に思ってるしよ」

「仕方あるまい。邪神エリスと一体化した以上は引き剥がせんし、依代ごと倒すしか方法はない。それに君らの世界の法則が通じない世界の神だ。ガングニールが万全な状態でぶつかったとしても、セブンセンシズもないあの子では、エリスの攻撃に返り討ちに遭うだけだ」

「セブンセンシズ、か。私達はどういう風に見られているのです?」

「普通の軍隊よりは強い程度の戦力だ。シンフォギアの基本ポテンシャルはおおよそ、仮面ライダーやスーパー戦隊よりは落ちるが、プリキュアと同水準と見られている。英霊もいるので、中程度の戦力とは見られている」

「戦闘用に改造された人間はともかく、戦闘用に普通の科学で造られた強化スーツを着てる人間の下かよ…。改造人間はまだいいけどよ、聖遺物も用いてねぇヒーロースーツが聖遺物媒介の力を超えるものなのか?」

「スーパー戦隊のスーツは宇宙人の技術や、超古代文明の遺産から技術を得て造られている。基本ポテンシャルは仮面ライダーに匹敵する。聖遺物と言っても、欠片に宿った残り滓のような力は完全な聖遺物には及ばないことは我が師の力で分かってるだろう?」

「完全聖遺物…。我々の世界のモノはそれを模した先史文明の遺物だと女史は言うが…」

「英霊の概念武装は哲学兵装の上位に位置する。エクスカリバーの概念はイガリマとガングニールを超えるし、エアは全ての剣を超える。それを考えれば、パワーバランスは微妙なものだ。ましてや、あの子の力は他の世界では『ロンギヌスとグングニルのどっちつかず』と解釈され、ポテンシャルを制限されている。可哀想だが、それを受け入れた上での身の振り方を考えさせるべきだ。ガングニールの超常性は別の世界では封印されるからな」

「立花もそうしようとはしています。ですが、割り切れないところがあるようでして…」

「この戦いは彼女が『主役』ではないからな。自分が拠り所にする力の完全上位互換が存在し、あまつさえ聖遺物でない未知の力で変身し、自分に匹敵、あるいは超える力を持つプリキュアの登場もあって、焦ってるんだろう。自分の居場所が無くなる気がするのだろうな。ましてや、オーバーテクノロジーで造られた海底軍艦は日本海軍最大最強の戦艦大和の流れを汲むものだ。それが自衛隊の兵器が通じない存在を倒すのに一役買ったとあれば、な。それにこの場には歴代のガンダムもいれば、スーパーロボットもいるのだか、当然のことだ」

立花響の焦りは、ラ號やプリキュアという未知の存在が、自分の居場所を侵すのではという恐怖心が由来であった。フェイトも翼から聞き、大凡を推理する。立花響の歪みはかつての家庭崩壊状態と自身へのいじめに起因するものであり、シンフォギアで得た居場所を守るため、また、ガングニールを『天羽奏から受け継いだ力』とし、別個体であっても高い執着心を見せるなどのものであり、なのはの荒療治で、ある程度の改善は見られているが、それでも自分の力が『特別』ではない事を認めたがない様子を垣間見せ、スーパーロボットやスーパーヒーロー達が自分たちの役目を奪うことに異常に怯えている。そこが彼女の弱さであった(自分達の力の根源たる力と異なる力への理解が中々出来ない、相互理解ができるはずのニュータイプ同士での殺し合いが起こっているのも衝撃だった)。



「自分の居場所か……。あいつはある意味じゃ可哀想かもな」

「自分の力はあくまで、数ある超常的な力の一つにすぎない。普通に考えればわかる事なんだが……」

フェイトと翼、クリスは同意した。立花響は色々な要因で歪みが生じてしまい、自分に与えられた力を絶対視し、上には上がある事を直視できない。それそのものはいい事なのだが、彼女の場合は法則が異なる別の世界でも、自分の世界の理屈が通じると希望的観測で考え、力が制限されていることを認めるのを怖がる事で、物事の本質を見失っていた事だろう。





――立花響は自分の存在意義に悩み、もがいていた。夢原のぞみは歴代プリキュアのピンクチームでは現状での最古参であるが故のプレッシャーと向き合おうとし、強くなろうと必死であった。門矢士がライダー大戦のために、平成ライダーを集結させようと動く。そんな情勢になりつつある。惑星エデンのニューエドワーズ基地の医務室では、肉体の培養カプセルの中で遺体から再構成された新たな肉体が培養され、3、4歳ほどの幼児の姿で眠る朝比奈みらいと十六夜リコの姿があった。魂魄が定着するまで数ヶ月ほどと見込まれており、それまでに肉体を14歳相当まで成長させる見込みである。既に魂魄は肉体へ入れられており、二人の魂は新たな肉体に入っていた。未来世界でも最高機密技術に属する蘇生手術の賜物であった。門矢士が見守る中、二人の新たな肉体は新たな鼓動を刻んでいた――



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