out side

 さて、時間は夜となり、博麗神社の境内では宴会が行われていた。
「見ろ、チャチャゼロ、茶々丸。人と妖怪、妖精に神……それらが本当に一緒になって宴会をしているぞ」
「確かに……普通じゃまず考えられないよね」
 杯を向けながら話すエヴァに、高畑は苦笑混じりに同意していた。
見た目こそほぼ全員少女や女性だが、その手の力を感じられる者には彼女達の多くが人間で無いのはすぐにわかる。
全てでは無いが妖怪は人を襲い、人はそんな妖怪を退治する。
そういった関係を考えると、この光景がにわかに信じられなかったのだ。
「この幻想郷は基本的にあらゆるものを受け入れる。
といっても、このようなことが行われるようになったのはここ数年のことなのだけどね」
 そんあことを言いつつ、紫は藍を引き連れてエヴァの元へと来ていた。ちなみに藍の後ろには橙の姿があったりするが。
「そうなのか?」
「ええ……霊夢が今代の博麗の巫女を勤めてからよ。もっとも、集めてるのは魔理沙の方だけれども」
 微笑む紫の話を聞いて、問い掛けたエヴァは魔理沙のことを思い出していた。
『弾幕はパワーだ』を自で実戦している自称『普通の魔法使い』――
まさしくその通りと言える弾幕をエヴァは気に入っていた。
ネギま!の魔法使いはある意味では砲台である……と、エヴァは考えている故に。
「そうか……ふむ、じっくりと話してみるかな?」
「ところで……エヴァはこれからどうするんだい? 呪いは解けたんだろ?」
 そんなことを考えているエヴァに、高畑はそんなことを問い掛ける。
今、彼女を縛っていた呪いはすでに解かれている。文字通りの自由を得たエヴァ。
そんな彼女が今後どうするのか……高畑はそれが気になったのである。
「そうだな……とりあえず、坊やが一人前になるまでは麻帆良にいるさ。
一応、色々と教えている手前、ほったらかしにも出来んからな」
 月を眺めながら、エヴァは笑みを浮かべながら答える。
今のネギはまだ未熟だ。力も技も……そして、考え方も。だからこそ、教えていかねばならないと考えていた。
「その後は……まぁ、世界中を回ってみるさ。そのついでにナギの馬鹿を捜すのもいいな。
それが終わったら……この幻想郷に永住するのも良いかもしれん」
「ここに……かい?」
 立ち上がり、杯を月に向けながら語るエヴァ。その言葉に高畑が首を傾げるが――
「ここに来た時にも言っていたであろう? 懐かしさを感じると……
ここには現代には無い……失われた物があるんだよ……私はそれを求めているのかもしれんな」
 話してから杯を傾けるエヴァを見て、高畑はキョトンとするが……少しして微笑みを見せていた。
それもいいのかもしれない。今までの彼女はあまりにも過酷な運命を強いられていた。
だからこそ、静かに暮らしていくのも良いのかもしれない。高畑はそう考えたのである。
「なら、その時は私の屋敷に来ないかしら?」
「良いのか?」
「あら、盟友を迎え入れるのは当然じゃないかしら?」
 やってきたレミリアの言葉にエヴァは訝しむが、帰ってきた返事に呆然としてしまう。
「盟友……ふ、盟友か……良いのかな? 今はお前の方が強いのだぞ?」
「今は……よ。この先、あなたは今よりもずっと強くなるわ。だからこそ、私はあなたを盟友として迎え入れるのよ」
 少しして、その意味を理解したエヴァが問い掛けると、レミリアはエヴァを見据えながら答えていた。
レミリアの言葉は能力を使ったから……ではない。確信があったのだ。エヴァは幻想郷に来たことで強くなると。
ネギま!の世界には無い弾幕や魔法の数々。それを手にすれば、確実に――
しかし、ただ強くなっただけではレミリアはエヴァを盟友とはしなかっただろう。
だが、エヴァは決して力に溺れない。そんな確信もあった。だからこそ、レミリアはエヴァを認めたのである。
 そんな考えを察したのだろう。エヴァの顔に笑みが浮かび――
「盟友か……600年生きて、よもやそのような者を得ることになるとはな」
「運命はそんなものよ」
 エヴァのそんな言葉に、レミリアは笑みを浮かべながら答えていた。
それと共に咲夜が真っ赤なワインが注がれた2つのワイングラスを銀のおぼんに乗せて持ってきた。
エヴァとレミリアはそれぞれがワイングラスを持つと――
「今日という運命の日に――」
「乾杯」
 互いのワイングラスを軽く打ち鳴らしてから、レミリアとエヴァはワインを飲み干す。
今日という日をエヴァは本当に嬉しく思いながら――


 一方、凜は目を閉じ、こめかみに人差し指を当てていた。というのも――
「私……何をやってるのかしら?」
 なんていうことを自問していたからである。
色んな覚悟をして聖杯戦争に参加したと思ったら、異世界に来てこうして宴会をしている。
まぁ、その前にとんでもない戦いをしてきてはいるが……それでも考えてしまうのだ。
「あら、悩み事かしら?」
「そんな所よ……」
 パチュリーの問い掛けに凜はため息混じりに答える。
なぜ、パチュリーが一緒にいるかというと、凜が使う魔術に興味があったので、その話を聞こうとしていたのである。
「けど、不思議な世界よね。本来なら存在しない者が存在するなんて」
「そうですよね」
 イリヤのつぶやきに桜がうなずく。見た目こそ人ではあるが、その多くが妖怪。中には妖精や神までいる。
普通では考えられず、また見た目もあって最初こそ半信半疑であった。
しかし、霊夢を助けに行く際に見た幻想郷の者達の実力を見て、顔を引きつらせる羽目になったが。
ちなみに凜に言わせると非常識もいい所らしい。
「それで……そいつはいつまでひっついてるわけ?」
「さ、さぁ……」
 凜に睨まれてか、士郎は困った顔をしながら頬を指で掻いていた。
何があったかと言えば、あのヒーローっぽいフロストが士郎から離れないのである。
士郎も無碍にすることが出来ず、どうしたらいいかと悩んでいたのだが――
「決めたホ! オイラ、お前の仲魔になるホ!」
「え? 仲魔って……」
 そのフロストがいきなりそんなことを言い出すものだから、士郎は戸惑ってしまう。
確かにGUMPには余裕があるので、仲魔にすることは出来るが――
かといって、なぜいきなりそんなことを言い出すかがわからずに戸惑っていたが。
「どうしていきなり――」
「オイラにはわかるホ! 君にはオイラと同じヒーローのにおいがするホ!」
「ヒ、ヒーローって……」
 フロストの返事に士郎は顔を引きつらせた。確かに正義の味方という夢はまだ諦めてはいない。
今回の事、その道が困難であることも思い知らされた。それでも目指してみたかったのだ。
まぁ、だからといってフロストを仲魔にしていいかは悩むのだが――
「ど、どうしたらいいんでしょうか?」
「いいじゃねぇの?」
 思わず問い掛ける士郎に、翔太は興味なさげに答える。
これに困ったのは士郎である。士郎は別にサマナーというわけではない。
GUMPは持っているが、それはセイバーの現界の為に使っているにすぎないのだ。
「ん〜……本当にいいのかな?」
「大丈夫だホ!」
 悩む士郎だが、フロストは胸を叩いてうなずいていた。
それを見て、士郎は思わず翔太に顔を向けてしまうが、翔太は肩をすくめるだけである。
「じゃあ、お願いするよ」
「ありがとうだホ! 幻魔フロストエースだホ!これからよろしくお願いするホ!」
 で、苦笑しながらGUMPを取り出して操作する士郎。
そんな士郎にお礼を言いながら、フロストエースはGUMPに吸い込まれるのだった。
「本当によろしいのですか?」
「え? ん〜……まぁ、悪い奴じゃなさそうだしな」
 それを見ていたセイバーに、士郎は後頭部を掻きつつ苦笑混じりに答えていた。
このことにセイバーはため息を吐くが、内心はそれが士郎なのだと微笑ましく思う。
それがいつまでも続けばいいのだが……エミヤ……アーチャーのことを考えるとそう思わずにはいられなかった。


 その頃、アーチャーは酒が満たされたコップを持ちながら、1人立っていた。
あの話の後、凜には色んなことを聞かれ、アーチャーは答えないわけにはいかなかった。
自身の宝具とも言えることに関しても……そのことに凜は渋そうな顔をしていた。
これにアーチャーは何も言えなかった。きっと凜のことだから、士郎を自分のようにはすまいと考えていたのだろう。
それがいいとアーチャーは考える。自分のような者は、自分だけでいいと……あの話で思うのだ。
だが、士郎が目指す道も険しいと思った。実際、シンジに聞いてみると――
「確かに私達が今ここで話したことも絶対ではありません。人の心というのはうつろいやすいですからね。
何がどうなるのか……そういうのはレミリアさんでもなければ、わかることではありませんよ」
 と、肩をすくめつつ話し、聞いたアーチャーもそうなのだろうと思っていた。
何がどうなるかなんて、普通は誰にもわからない。アーチャーもそういった経験は何度もある。
被害を抑えるつもりが、大きな被害を出してしまった……なんてこともあったのだし。
「結局の所、こういうのは経験ですからね。そういうことをあるのだと覚えなければなりませんよ。
ま、経験すれば大丈夫というものでもないですがね」
 などとシンジは続けて話していたが……そのことを思い出して苦笑するアーチャーだが、ふとあるものが目に止まる。
それはシャークティの姿なのだが……どこか落ち込んだように座り込んでいる。
「どうかしたのかな?」
「え? あ、あなたでしたか……」
 気になったアーチャーが声を掛けると、シャークティは顔を向けるのだが……すぐに落ち込んだようにため息を吐いた。
「落ち込んでいるようだが?」
「落ち込んでいる……ですか……そうなのかもしれませんね」
 アーチャーの問い掛けにシャークティは自嘲気味な笑みを浮かべていた。
あの話の後、シャークティは自分が何をしてきたのかと考えていた。
でも、出てくるのは自問ばかり。先程の話を聞いていると、自分がしてきたことに疑問を感じてしまう。
「私達の言葉は軽すぎる……確かにそうなのかもしれません。自分がしてきたことが正義だと思って……
正義とはなんなのかを考えたこともありませんでしたから……美空がやる気を出さないのも当然でしょうね」
「いや、あれはそれ以前の話だと思うが」
 うつむきながら話すシャークティにアーチャーは苦笑する。
ちなみにその美空はといえば、ハルナと一緒にぬえと小傘と話し合っている。
どうやら気があったようである。悪戯好きとかそういうので……
余談となるが、ココネはフランドールと楽しそうに話し込んでいるようである。
これを見てか、シャークティは自嘲気味な笑みをまた浮かべていた。
「私の考えは……間違っていたのでしょうか?」
「さてな……だが、私達は正義という物を一般大衆と同じ形で考えてしまったのかもしれん。
それが失敗の元だったのかも……しれないな」
 その様子を見て、シャークティはそう考えてしまう。
見た目こそ人であれど、その中身は異質の存在。それを美空もココネもわかっているはずだ。
だが、恐れる様子を見せない。まぁ、美空の場合は良くわかってないだけかもしれないが……
 そんなシャークティにアーチャーは遠い目をしながら答えていた。
良く考えれば、自分は正義という物を良く理解せずにいたのかもしれない。
だから、一を切り捨てるという行為をなんの躊躇いもなく出来るようになってしまっただろう。そう考えてしまうのだ。
「例え、種族が違えど……相手が悪であろうとも……話し合えば、道が開けることもある……なのかもしれないな」
 だから、今回のことや美空達を見てアーチャーはそう考えるようになった。
確かにそうするまでの道は険しいだろう。だが、そうすることで道が開けることもあるのだと、それを垣間見たような気がしたのだ。
だからだろうか? アーチャーの顔に笑みが浮かぶ。その笑みを見てか、シャークティは不思議そうな顔をする。
「あなたは……悔やまないのですか?」
「悔やまない……といえば、嘘になるさ。だが、悔やんだ所で過去が変わるわけではない。
ならば、次へと活かす……といっても、この身に次という物は無いがな」
「次が無い……とは?」
 笑みを浮かべながら答えるアーチャーだが、問い掛けたシャークティは首を傾げる。
次は無い。その意味がわからなかったために――
「そうだな。私がどんな者なのかを話しておこう。私は――」
 そのことに笑いそうになるアーチャーだが、それをこらえて話し始めた。
その話にシャークティは最初は驚き……しばらくして、悲しそうな顔になる。
それに対し、アーチャーは気にするなと声を掛けるが……シャークティの顔を見て、それ以上が言えなくなってしまった。
なぜなら、シャークティには慈愛の表情があったのだから――
これを見た美空は「あんなシスターシャークティは初めて見た」と、後に語る。

 これからしばらくして、シスターシャークティは麻帆良で聖母と呼ばれるようになる。
大切なものは何なのかを説いていくことで……そんな彼女にこんな噂があった。
その傍らには錬鉄の騎士がいると――


 in side

 さて、宴会も賑やかに行われているが……ここではちと困ったことが起きていた。
というのも――
「どうか、お願い出来ないだろうか?」
「そうは言われましてもねぇ……」
 真剣な顔をする美希とは対照的に、シンジが珍しく困った顔をしている。
で、なんで困っているかというと――
「いきなり強くしてくれと言われましてもね」
 そう、美希は何を思ったのか、シンジに自分を強くしてくれとお願いしてきたのである。
うん、突然すぎてなんでそんなことになったのかわからないんだけど?
「ダメなのか?」
「出来ないわけじゃないのですが……それにしても、なんで突然?」
 不安そうな顔をする美希にシンジが問い掛けるが、俺もそれにはうなずく。
美希は弱いわけじゃないと思うんだが? でも、なんか焦っているようにも見えるような――
「今回の話を聞いて、自分が何も出来ていないことがわかってしまったのだ。
翔太の手助けをするためにこの世界に来たのに……逆に足手まといになってしまっている」
「そんなことは無いと思うけど?」
 なんか、うつむいてる美希に右手を振りつつそう言うのだが……いや、だって刹那と真名が一緒にいた時にも世話になったしな。
「ダメなのだ……今までの戦いを考えると……私は……」
「いや、あれは普通は無理だと思うぞ」
 ついには涙を流し始める美希だが……キングジャアクフロストとかケルベロスとかアスラとか……
ああいうのと戦うのは普通は無理だって……あ、なんか悲しくなってきたのはなぜだろうか?
ああ、俺はすでに普通じゃないのか、そうか……うん、泣きたくなってきたよ。
「翔太さんの言うとおりですね。それに無理に力を手に入れようとしたらどうなるか、翔太さんを見ればわかるでしょ?」
「わかっている! わかっているからこそ……どうにかしたいのだ……
せめて……せめて、翔太の負担を少しでも少なくしたいんだ……」
 シンジに言われても、美希は涙を浮かべながら、そう返していたけど……
ええと、俺としてはどうしたらいいんでしょうか? なんか、こっぱずかしいのですけど。
「やれやれ……わかりました。用意しておきましょう」
「出来るの!?」
「流石にすぐに今の翔太さんと肩を並べてというのは無理ですがね。
理華さん用のアーマーももう少しで完成するので、そのついでに造っておきますよ」
「私の?」
 それを聞いて驚くが、答えたシンジは指を立てて説明していた。理華は首を傾げてたけど。
でも、そうだよな。俺のは色々と助かってるけど、理華にも必要なのか?
「ええ、理華さんのは魔力の運用効率を上げることで全体的な能力を高める物ですが……
それを流用すれば美希さんの能力を高める物も造れると思いますよ」
 なんて、シンジは指を立てつつ答えてるんだが……今更なんだけど、こいつって何者なんだろうか?
なんか、変に強かったり俺のアーマーとか造ったり……前に魔に属する者とか言ってたような気はするけど……
「すまない……感謝する」
「いえいえ……それにその方が色々と都合がいいでしょうしね」
 頭を下げる美希にシンジは苦笑しながらそう言うんだが……都合がいいって……なにさ?
なんだろ? もの凄く不安になってくるんだけど?
 ん? 高音がこっちを見てため息吐いてら。良く見るとネギも羨ましそうな顔してやがるし。
良く見ると明日菜も元気が無いし、愛衣も心配そうに高音を見てるし……
「どうかしたのか?」
「あ、その……凄いなぁ〜と思いまして……」
「凄いって……俺がか?」
で、聞いてみたら、ネギにそんなことを言われました。いや、そんなことは無いとは思うんだけど?
「だって、翔太さんはあんなに強いじゃないですか……どうしたら、そんなに強くなれるんですか?」
「いや、そんなこと言われてもな……気が付いたら感じだったし……ていうか、本当にどうしてこうなったんだろうか……」
 羨ましそうな顔をしながら聞いてくるネギだが、なんと言えばいいかわからずにいて……
そのことに気付いて、思わず落ち込む。いや、今更だけどさ……なんで、こんなことになってるんだろうね?
俺、一般人のはずだよね? それがなんで世界を股に掛けた冒険する羽目になってるのさ?
「どういう……ことですの?」
「どういうことって……俺は普通の人なの。
それがゴスロリボクっ娘に目を付けられたばかりにこんなことするはめになってさ……
でなきゃ、こんなことしてねぇっての……」
 高音が驚いた顔をしながら聞いてきたので答えるけど……気分的には落ち込んでいた。
うん、本当にあの野郎のせいでとんでもない目にあってるよね。世界の危機とかさ……殴れるなら、本当に殴ってやりてぇよ。
「目的とか……理由があって戦っていたのではないのですか?」
「目的と言われてもな。俺には別に無いし……まぁ、強いて言うなら、このままだと俺も知り合いも死ぬかもしれないしな。
そんなの嫌だから、なんとかしようと思ってるくらいかね?」
「そ、そんな理由で……」
 頬を指で掻きつつ答えたら、聞いてきた高音は目を丸くして驚いてました。
けどさ、本当に俺は巻き込まれただけだしな。だから、理由なんて無いようなもんだし――
「ま、人それぞれという物ですよ。中には大した理由でもないのに、大それたことをする人だっていますしね。
ついでに言っておきますが、理由にこだわるあまりに大事なことを見落とす人もいますからね。気を付けた方がいいですよ」
 なんて、シンジは言ってたが……あ、高音は悩んでるみたいだな。
しかし、理由にこだわるね……確かに高音はそういうのをこだわりそうな気がするな。
ていうか、こだわりすぎて失敗してたりするのは……俺の気のせいだろうか?
「楽しんでるかしら?」
「ま、それなりにな」
 なんてことを考えていたら、スキマが笑顔でこっちに来ていた。
ま、高音とかは別にしたら、確かに楽しくはあるな。料理も美味しいし。
「そう、それは良かったわ。それと……あなたにはお礼を言っておくわね。
あなたのおかげで霊夢が助けられただけでなく、この幻想郷が崩壊の危機から救われたんですもの」
「どっちも俺じゃなくてもなんとか出来たと思うのは気のせいか?」
 スキマの言葉に思わずそんなことを言ってしまうが……いや、本当にそうだと思うんだけど。
キングジャアクフロストは萃香と勇儀さんで簡単に倒せそうだったし……
あの死神みたいな格好をした4人もレミリアやフランドール、神奈子さんか諏訪子でも倒せそうだったしな。
「あら、謙遜しなくてもいいのよ。あなたはこの幻想郷を救った。それは間違いないもの。
だから、このお礼は必ずさせてもらうわ」
「お礼ね……」
 笑顔のスキマの言葉に俺はジト目になる。いや、だって前の時は死にそうになったんだけど?
だから、思わず疑ったとしても……うん、俺は悪くないよね?
「そうね……霊夢の婿になるというのはどう?」
「なんでさ!?」
 ニッコリとしながらスキマから出た言葉にツッコミを入れるが……いや、マジでなんでさ!?
「あら、あなたは幻想郷を救ったのよ? その者を婿に出来るなら、博麗は安泰だわ」
「いや、当然みたいに言わないでくれる!? おい、霊夢もなんか言って――」
 なんて、笑顔で言ってくれるスキマ。いや、だからってなんで婿になるのさ!?
こういうことは霊夢も反論するだろうと顔を向けてみたら……あの、霊夢さん? なんで、顔が赤いのさ?
しかも、なんかもじもじしてるし……いや、マジになられても困るんですけど!?
「待ちな! 翔太は早苗の婿になってもらうんだよ!」
「そうだ、そうだ!」
「まだその話続いてたの!?」
「あ、あの、神奈子様も諏訪子様もそんなことをおっしゃられても……ほら、翔太さんも困ってるじゃないですか……」
 神奈子さんと諏訪子もそんなことを言い出したんで思わず突っ込むが……悪くないよね、俺は?
それと早苗さん? 言葉ではそう言ってるけど、顔が赤いのはなぜですか?
「そんなのダメェ!」
「そうよ!」
「てぇ!? 理華もミュウもなんで抱きつくの!? 美希もなんでさ!?」
 で、なぜか理華とミュウが抱きついて、そんなこと言うし。後、美希もなぜか無言で俺の腕に抱きついている。
しかも、顔を真っ赤にして……あの、なんですかこの状況?
スカアハとクー・フーリンや仲魔達も羨ましそうな顔してるし……なんで、刹那や真名までそんな顔するの?
こら、スキマ。面白そうに笑ってんじゃねぇ!? なんなんだ、この状況は!?
俺、なんかしましたか〜!?
「鈍感……というよりは、状況に飲まれてますねぇ〜」
 おい、シンジ。それはどういう意味だ? と、激しく揺り動かされて声が出せない俺であった。
あのみなさん、面白い物を見たって顔しないで助けてくださいよ!?



 あとがき
そんなわけで幻想郷は崩壊の運命から逃れられ、平和を取り戻しました。
しかし、まだ全てが終わったわけではありません。翔太達はこの後どうしていくか……
次回はエヴァの別荘でようやく休暇を得られた翔太達。
そこでの出来事は別れと……新たな冒険への始まりとなる。
そんなお話です。お楽しみに〜



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