「間もなく目的ポイントに到着します。クルーの人達は、それぞれの部署で待機していてください」
火星の極冠を目の前にしたカムイ。ブリッジではメイリンが全クルーに放送で指示を出す。
「目的ポイントの拡大映像出すぞ〜」
キャナルが、アークエンジェルの行方が分からなくなったポイントを拡大して映すと、巨大な空洞があり、そこをバリアーらしきものがドーム状になって覆っ
ていた。
「これがエリスさんの見つけた謎の人工物ですね」
「みたいッスね。で、レン。これ何なんスか?」
ロビンに尋ねられ、艦長席の横に立っているレンは「う〜む」と目を細める。
「確かウチのバカ親父が昔、超古代太陽系文明があって、その事を研究してたんだけど、その中に大昔、火星には今の技術じゃ考えられない文明があったと仮説
を立てていたね」
「何でまた……」
「きっと自分達の居場所を創る為に利用したかったんじゃない?」
そんな大昔のあるかどうか不明確なモノに頼るほど、追い詰められてたのかと思うとレンは、つい苦笑いを浮かべた。
「キースも似たようなこと考えたみたいだけど、時間かかるから無理だと思ったようだね。けど、これがどんなものか、ある程度、掴んでたみたいだよ」
「で、兄さん? これからどうするんです?」
「とりあえず調査だね〜。あのフィールドを抜けて最下層まで行く。さて、この危険な任務に打ってつけなのは……」
皆の視線がある一人の青年に集中する。
「俺!?」
アスランは、何で自分がと言うように視線で訴える。
「この中で一番、苦労性で貧乏くじ引いたと思う人、だ〜れだ?」
全員、ビシッとアスランを指差す。
「(キラ、お前まで……)」
幼馴染の親友にまでそう思われていると思うと、無性に悲しくなるアスラン。
「アスラン……オーブの行政府の前に、『優柔不断でヘタレで、カガリちゃんに無断で浮気ばっかしてるアスラン・ザラ』を讃える銅像を造るのと、調査する
の、どっちが良い?」
「何です、そのどっちを選んでもバッドエンドっぽい二択!?」
しかも、わざわざオーブの行政府の前に造る意味が分からない。っていうか、それでは国民的に笑い者になってしまう。アスランは、深く項垂れた。
「分かりました……行きますよ」
「安心したまえ、アスラン……骨は拾ってやる」
「安心出来ませんよ!」
最後までツッコミを忘れず、アスランはブリッジから出て行った。
「ああいう辺りが貧乏くじ引かされる体質なんだろうな〜」
何だか自分より老け込んでいた背中をしていたアスランに、ムウがそう呟く。
「気のせいか、アスラン……レンさんと関わるようになってから、前以上に老け込みましたよね」
「「「「(憐れな……)」」」」
アスランにとってレンは、尊敬に値する先輩なのだろうが、周りから見れば、レンの良い玩具にしか見えない。リサ、アルフレッド、キャナル、ロビンとレン
を良く知るメンバーは、アスランに深く同情するのであった。
機動戦士ガンダムSEED Destiny〜Anothe Story〜 IN ナデシコ
PHASE−12 合流
格納庫では五体のMSが静かに発進の時を待っている。その内の一機に、アスランは乗り込んでいた。
ZGMF−X19AC“インフィニットジャスティス・カスタム”。エリスの残した設計図を基にレンが開発した、新たな相転移エンジン。核分裂エンジンか
ら、核融合エンジンに切り替え、戦艦並の機動力を得られた。
「先輩、核融合炉をMSに積むなんて、学会で発表したら表彰ものですよ……」
現在、核融合のエンジンは、余りに大き過ぎて戦艦サイズにしか積み込めない。が、レンはこの一年の間に、レイの治療の研究を進めながらも、キースの研究
所で彼が残し、途中で止めた実験を引き継いでいた。その中の一つに、『核融合エンジンをMSに搭載』するというものもあった。核融合炉の小型化から、その
強大なエネルギーに堪えれる全く新しい装甲の開発方法まで、あらゆる方面からキースは研究していた。
戦艦クラスにしか積めない核融合エンジンをMSに搭載する。最も単純に、MSも戦艦のように巨大化しようという考えから生まれたデストロイは、その先駆
けになる筈だった。しかし、キースも強化人間や、ノヴァガーデンの事もあり研究は断念したらしい。
この事が公になり、知れ渡れば現在のMS開発技術が根底から覆る事になるかもしれない。が、レンはその事を公表するつもりは無かった。
<それの設計図は私の頭の中に留めて墓まで持って行くよ。君達なら、力を正しい事に使えると信じてるから、それを与えたんだよ>
尚、小型・軽量化された新しい相転移エンジンは、武装のエネルギーだけに回す事により、操縦する際の暴走と機体への負担を激減させた。
<慣らし運転してないですけど、大丈夫ですか?>
メイリンがそう尋ねて来ると、アスランはフッと笑みを浮かべて答える。
「戦闘する訳じゃないんだ。調査に行って戻って来るだけだよ」
<何かあったら僕とムウさんとステラも行くから>
「ああ、分かった」
恐らく現在、地球で最強と思われるMSパイロット達が火星にいる。どんな敵がいようと負ける気がしないアスラン。
<ZGMF−X19ACインフィニットジャスティス・カスタム、発進シークエンスを開始します>
カタパルトに運ばれるジャスティス。そして、目の前のハッチが開き、火星の荒野が視界に広がる。
<進路クリアー、システムオールグリーン。ジャスティス、発進どうぞ!>
「アスラン・ザラ、ジャスティス、出る!」
スラスターが火を噴き、ジャスティスは火星の大地へと飛び出す。灰色のボディがダークレッドへと変化する。すると、背中に搭載されているファトゥム02
が切り離され、ジャスティス本体は水平になり、足が回転して折りたたまれると、ファトゥム02が頭部に融合し、大型の戦闘機になった。
インフィニットジャスティス・カスタムは、アスランが以前、乗っていたセイバーのMA変形能力を組み合わせ、ファトゥム02を頭部及び肩アーマーとドッ
キングする事で、大型のMA形態へと変形する事が出来、機動性がアップする。また、そこに他のMSを乗せて航空する事も可能である。
やがて、氷の大地へと到達し、問題のクレーターまで来る。エリスの残した理論通りなら、今のジャスティスなら、あのフィールドを突破できる筈である。
ファトゥム02には、相転移エンジンが搭載されているので、前方にフィールドを発生させると、アスランはそのままクレーターへと突っ込んでいった。
バチィっと、フィールド同士が触れ合い、ジャスティスの動きが止まる。アスランは、歯を噛み締めながら操縦桿に力を入れると、ジャスティスはドーム状の
フィールドを突破して、クレーターの中へと入って行った。
「何だ、これは?」
クレーターの中は、明らかに人工的な建造物で出来ており、それがどれだけ昔のものかは分からないが、これだけ保存状態が良いと逆に不気味だった。やがて
最下層に辿り着くと、アスランはレンに見せられた幾何学模様の箱のような物体を見つけた。
ジャスティスから降りて、それに近付こうとすると何かが足を弾いた。ふと、足元を見ると、あちこちに石ころらしきものが転がっている。
「何だ、これ?」
明らかに地球の岩石とは材質が違うソレを拾ってアスランを眉を顰める。その時、通信機が鳴り、カムイから通信が入る。
<アスランさん、どうです?>
リサが尋ねて来た。
「今、クレーターの最下層にいる。そこで、キース・レヴィナスの残した資料にあった転移装置らしきものを発見した」
<今、動いてますか?>
「いや、特に変わった様子は無い。映像を送るから、先輩の意見を聞かせてくれ」
言って、アスランはジャスティスに乗り込み、モノアイで見た映像をカムイへと送った。
「ふむ……」
「これが、キース・レヴィナスの研究していた転移装置か? もっとこう、カプセルとか想像してたけどな」
アスランの送って来た建造物の映像を見て、ムウが呟く。
「…………大きなピンク色のドア。どこでも行ける」
敢えて、ステラが何を想像しているのかは誰も深く追求しようとしない。
「そうか! 今の時代、空は自由に飛べるから、今度は何処にでも行けるドアを作れという神のお告げぶっ!」
下らない事を力説するレンの後頭部にリサの投げた硬球が直撃する。
「兄さん、一応、私のお兄ちゃんの命も関わってるんで真面目にやって下さい。やらなかったら艦長命令で素っ裸にして宇宙に放り出しますよ?」
「ふぁい……」
ドクドクと血を流しながら、立ち上がり、レンは映像を見る。
「ん? アスラン、その周りに転がってる石は?」
<ああ、何かあちこちに落ちてますよ>
「ふむ……アスラン、それ一個、持って帰って……!?」
来て、と言いかけた所でレンは目を見開いて頭を押さえた。
「痛っ!」
「! レンさん!」
慌ててキラが、膝を突いて苦しそうなレンに駆け寄る。皆も、何事かと驚いている。が、レンは「大丈夫」と答えると、立ち上がって、映像を見つめる。
「アスラン、戻って来て」
<は?>
「何となく……分かる気がする、ソレ」
珍しく歯切れの悪いレンだったが、彼の言葉に皆は眉を顰めるのだった。
やがてアスランが戻って来ると、カムイはフィールドを突破してクレーター内部に入る。皆、クレーターの中の建造物に驚きを隠せなかったが、突如、レンの
体に異変が起こった。
「に、兄さん! どうしたんです!?」
「レン!」
「静かに!」
レンの体に突然、幾つもの光の線が浮かび上がった。皆、何事かと思い、彼を見据えた。
「何で忘れてたんだ……そうだ……私もエリス姉さんもキースもゴウも、この現象を知ってるんだ……そう……知ってるんだ」
自分の手を見て、薄っすらと笑みを浮かべるレン。
「皆、今からアークエンジェルを追う。覚悟を決めてよ」
ニヤッと笑うレンに、皆はゴクッと唾を呑み込んだ。
ナデシコのブリッジでは、ムネタケとユリカの口喧嘩が行われていた。
「というわけで! いきなりで悪いけど命令よ」
「提督!」
「な〜に?」
相変わらず高圧的なムネタケの態度に、ユリカがキッパリと言い返す。
「ネルガルと連合軍が協定を結んだとは言え、命令如何によっては拒否権が私達には認められています」
「ま、一応はね」
「本艦クルーの総意に反する命令に対しては、このミスマル ユリカが艦長として拒否しますのでご了解下さい」
「戦うだけの手駒にはならないって事?」
不敵な笑みを浮かべて返すムネタケに、ユリカは力強く頷いた。
「お生憎様、あなた達への命令は戦う事じゃないわ」
「へ?」
すると、ムネタケは扇を広げて言い放った。
「敵の目を掻い潜って、救出作戦を成功させる事よ」
「「「「救出作戦!?」」」」
余りにも意外な任務に、皆が驚きの表情を浮かべる。
ムネタケの説明では、某国の親善大使が北極海のベーリング海峡を視察中、木星蜥蜴に襲われてウチャツラワトツクス島で遭難したそうだ。
現在、地球にあるチューリップの数は2637個。北極海にも当然、チューリップがあり、ナデシコに課せられた任務は、そこで遭難した大使の救出であっ
た。
「しつも〜ん」
「何?」
「何で、こんな所に取り残されたんですか?」
ユリカの質問に、ムネタケは芝居くさそうに答える。
「大使は好奇心旺盛な方でね〜。北極海の気象データ、漁場諸々の調査をしていたら、バッタに襲われさぁ大変」
「はぁ……」
ペチャクチャと悦の入って説明を続けるムネタケだったが、既にユリカの耳には届かず、彼女はアキトに視線をやる。が、二人とも視線を合わそうとせず、目
を逸らす。
「あ〜、駄目だねこりゃ」
「幼馴染の仲もこれまでか」
「とは言え、新しき恋人との仲も進展しない彼」
「二人とも何の話してんですか?」
「だからぁ〜……って、シン君も似たようなもんじゃん! この修羅場メイカー!」
バンバン、とヒカルに背中を叩かれてシンは咳込む。
「ラブラブ話しはもういい良いわね!! 何はともあれ、この作戦を成功させることが出来るのはナデシコしかないの! いいこと艦長!?」
「は、はい!! やりましょう!!」
ムネタケの勢いに圧されて了承してしまうユリカだった。
「そういえば、あの生意気な小娘……じゃなくて、あの賢いお嬢ちゃんは何処に行った……じゃなくて、行かれたのかしら?」
妙に静かで、話がスムーズに進んでいると思えば、あのトラブルメーカーのエリスの姿が見えなかった。が、何故、ムネタケは彼女に対して卑屈になってるの
だろうか?
「ああ、エリスさんでしたら、地球に降りてすぐ三日ほど有休を取られましたよ。何やら独自で調べたい事があるようでして」
「あら、そうなの」
何故かホッと安堵の溜息を吐くムネタケ。
「エリスさん、どうしたんだろ?」
「さぁ……」
シンの問いに、ルナマリアはフッと両肩を竦めた。
<そっち、どうシン〜?>
「ん〜……もうちょっと」
格納庫では、シンとルナマリアがエリスによって改良されたデスティニーとグリードの調整を行っていた。デスティニーは全体的に武装が強化され、翼型のス
ラスターは、より大型になっている。一方のグリードは背中の円盤が増え、両肩のシールドが取り外され、逆に肩のアーマーが腕全体を覆っているものになっ
た。
共に、この世界の技術を応用し、核融合動力にし、また相転移エンジンを小型化し、武装のエネルギーにだけ回す事に成功した。
<案外エリスさん、この技術を軍に知られるのが嫌で何処か行ったのかもね>
恐らく、この世界で此処まで相転移エンジンの事を知り尽くし、応用できる技術と頭脳を持っているのは彼女ぐらいだろう。軍からすれば、かなり欲しい人材
に違いない。
「けど、この機体、没収されたら終わりじゃないのか?」
<そこはホラ……脱走、とか?>
「…………俺、アスランが脱走した時、物凄い偉そうに言ったから、かなり心苦しいんだけど?」
<あはは>
ルナマリアもルナマリアで、妹が軍を脱走した時、随分、精神的にキツかったので、余りイイ気分じゃなかった。その時、突如、警報が鳴り響いた。
「ほんと!! 信じられません!! 何もわざわざ敵を呼び寄せるようなことしなくてもイイじゃないですか!?」
何があったのか分からないが、ユリカが自動迎撃システムを発動させてしまい、グビティブラストが発射され、敵に気付かれてしまった。現在、ナデシコは
ディストーションフィールドを張って後退し、氷の影に隠れている。
現在、ブリッジでは主要メンバーが集まり、エリナがユリカを言及している。
「ま〜ま〜、済んじゃった事はいいんじゃないの?」
「貴方ね!!」
「人生前向き前向き」
怒りのエリナをサラッと受け流すアカツキ。
「責任を問われるなら持ち場を離れた私の責任です。プログラムは私の職分です、ごめんなさい」
ペコッとエリナに頭を下げて謝るルリ。
「うひょひょ〜! ルリルリ、ひょっとして艦長を庇ってたりして〜!?」
「馬鹿ばっかも卒業か〜!?」
「馬鹿」
冷やかすウリバタケとヒカルに、冷静にツッコミを入れるルリ。と、そこでイネスがこれからの状況を説明する。
「まず、この先、敵に察知された西側の水道を避けた場合、東の群島部を縫って行くしかない。低空飛行時の座礁確率は72%。ま、シビアと言えばシビアな状
況ね」
「ナデシコは10分後に発進。針路は東側の水道を通る。エステバリス隊とシン、ルナマリアは待機。以上だ」
不在のユリカに代わって、ゴートが指示を出した。
で、東側の水道を通っていたナデシコだったが、結局、敵襲に遭ってしまう。シンとルナマリアは、新たな自分達の機体に乗り込み、発進準備を進める。
ZGMF−XX42A“フェイトデスティニー”、WLMF−XX88A“グレイスグリード”。共にカタパルトから氷の海へと発進する。
<さ〜て、新型機のお披露目よ!>
「アキトさんは、大使の救出を! 他は俺とルナマリアが撃ち漏らした敵からナデシコを守って下さい!」
<おやおや? リーダー気取りかい、シン君?>
アカツキの言葉に、シンはムッとなって答える。
「新型機の性能を試したいだけです」
<そうかそうか。僕も彼女の置き土産の実力が知りたいから、従うとしよう>
そう言い、アカツキは通信を切った。デスティニーの翼を広げると、前以上の赤い光が発生し、両脚に装備されたビームソードを抜いて、バッタの群れに斬り
かかる。
一方、ルナマリアのグリードは、両肩のアーマーが伸びて、バッタを突き刺して行き、更に背中の幾つもある円盤の中心にある砲口からビームが洟垂れ、撃ち
落としていった。
核融合炉を動作に、相転移エンジンを武装に回す事で、機動性は前の核と相転移エンジンのハイブリットエンジンに多少、劣るが、それぞれ独立させる事で、
極力、機体への負担を減らしている。そして、武装に消費するエネルギーに相転移エンジンから送る事で、彼らが撃っているのは小型のグラビティブラストのよ
うなものだ。
バッタも、デスティニーとグリードに集中攻撃を仕掛けるが、突如、海の中からバッタとは違う、兵器が飛び出して来た。
「この……!」
咄嗟に反応が遅れ、ビームライフルで迎撃しようとしたシンだったが、突如、アラートが鳴り響き、海から出て来た兵器を撃ち抜いて破壊した。
「え?」
<これって……!?>
「熱源接近!」
ナデシコのブリッジでもルリが報告した。
「何? 蜥蜴の増援か!?」
「いえ、違います……これは……シンさんとルナマリアさんと同じ……」
ルリは僅かに声を震わせながら、上空から飛んで来るソレに目を見開いた。
上空から降りて来たソレは、シンとルナマリアが良く知るものだった。黒、白、赤のボディをし、六枚の翼を持った機体。それに続いてダークレッドの機体、
暗灰色の機体、白銀の機体が舞い降り、デスティニーとグリードの前で停まる。
<ようやく見つけたぞ、シン、ルナマリア>
「<アスラン!?>」
通信機越しに聞こえた懐かしい声に、シンとルナマリアは声を上げる。
<やっと会えた……>
「ステラまで……でも、どうして此処に!?」
ZGD−X999SC“ラスト・カスタム”に乗るステラの声を聞いて、シンは一瞬、表情を和らげたが、此処に彼らが来た事に驚きを隠せないでいた。
<話は後だ。坊主、状況を説明しろ!>
「フラガ一佐……その機体に」
ZGMF−X666SC“レジェンド・カスタム”に乗るムウに、自分の親友の姿を重ねながらも、シンは状況を説明する。
「あの虫みたいな機体、無人機で当面の敵です! 今、此処での俺達の仲間が、この辺で遭難してる奴を助けに行ってるんで、余り派手な攻撃はしないで下さ
い!」
<おい、シン! こいつ等、何なんだ!? お前らの知り合い……>
「悪い! 後で話す!」
説明を求めて来るリョーコからの通信を切ると、ZGMF−X20AC“ストライクフリーダム・カスタム”に乗るキラが言った。
<じゃあ、僕とアスランに任せて! カムイ!>
すると、雲の間を切るかのようにシンとルナマリアも見た事のない戦艦が出て来た。
<分かりました。ミーティア、リフトオフ!>
「(マユ!?)」
あの戦艦に妹からの声がしたので、彼女が乗っている事に目を見開くシン。すると、エターナルにも搭載されているミーティアが、カムイの先端から射出さ
れ、フリーダムとジャスティスとドッキングする。そして、一斉に全砲門発射し、バッタの群れを一瞬で殲滅させた。
「な、何……アレ?」
目の前で行われた一瞬のバッタ群の殲滅。ユリカは呆然とした表情で呟いた。エリスが改良したという二機のMSは予想以上の実力で、バッタを撃破して言っ
た。が、新たに現れたMS――と、思われる機体――の四機の内、二機は正に正確無比とも思える強さでバッタを殲滅させた。
「あんな力……信じられない」
エリナも声を震わせながら目の前の光景が信じられず、呟く。
「あんな……奴らが」
ギリッと親指の爪を噛んで、忌々しそうに睨み付けるムネタケ。
「とりあえず言える事はさ〜……」
冷や汗を垂らしながら、ミナトが言った。
「アレが敵だったら、アタシ達どころか地球もやられちゃうんじゃない?」
〜後書き〜
ルリ「ようやく合流、SEED組」
リサ「さぁ? また、良からぬ事でも企んでるんじゃないですか」
ルリ「圧倒的な力を持ってバッタ部隊を壊滅。何かシンさんとルナマリアさんの新型機の活躍の筈が、キラさんとアスランさんに持っていかれました」
リサ「うん、やっぱお兄ちゃんはこうでなくちゃ♪」
ルリ「SEED組も登場で次回からは大波乱の予感?」
リサ「まずは私とユリカさんの艦長対決ですか!?」
ルリ「さぁ?」
押して頂けると作者の励みになりますm(__)m
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