光の一切入らない部屋の中で、一人の少女と数人の影がなにやら話をしている
「『黒の姫』よ、この報告書に書いてあることは本当なのだろうな?」
影のうちの一人がそう言うと他の影からも同様の声が聞こえてくる
「残念ながらそこに書かれていることは事実です。『万華鏡』が他の世界で見てきた事を元に調べ上げた結果、このままでは巴里どころか確実に世界が壊滅する
でしょう。」
ざわざわざわ
その言葉に影たちは慌てだす。
そんな影の中で一人だけ、落ち着き払っている影が少女に尋ねる
「我々をこんな所に呼んだんだ、壊滅するという話だけではなく何か解決の手段があるのではないかね?」
影が少女に効くと我が意を得たりとばかりの笑顔で影たちに語りかける
「その通りよ。そこに書かれている世は壊滅したわ。しかし、我々にはまだ希望があります。向こうにいなかった、イレギュラーたる『彼』が魔眼の力を
100%発揮する事ができるのであれば、この災害は未然に防ぐ事が可能なはずです。そこで・・・・・・・」
パンパ
ン
少女が手を叩くと、部屋の中に数人のメイドが入り、影たちに紙を渡していく
影たちに紙がいきわたったところで少女は
「皆様方にはその計画書に書いてある事に協力して欲しいのです。」
と言い放った
影たちは、そこに書いてある内容を食い入るように見つめている
その計画書にはそれぞれの立場によって書いてあることが違うようだ
そこに書かれていることを一部抜粋してみると
曰く『人類最強の請負人『赤き征裁』(オーバーキルドレッド)と連絡を取り、イレギュラーの肉親や友人の警護を頼む事。』
曰く『日本経済の鬼札(ジョーカー)である『玖渚機関』(くなぎさきかん)と日本の裏警察ともいえる退魔四家である『両義、巫条、浅神、七夜』(りょう
ぎ、ふじょう、あさがみ、ななや)との協力体制を取れるように尽力を尽くす事』
曰く『イレギュラーの魔眼を封印指定にして先の無い状態にするのではなく、逆に魔術的知識を教えるための教官を派遣し、魔眼の更なる能力の発露に尽力を尽
くす事。尚派遣される教官はできる限り日本人、又はイレギュラーと面識のあるものを送る事』
曰く『敵の生態を調べ対策を立てるために『七愚人』(ななぐじん)の派遣を認めてもらう事』
曰く『敵対組織の妨害工作の可能性もあるので集められるだけの遊撃要員として集められるだけの『殺し名』(ころしな)を全員集める事』
などといった、この場の一存では決めかねる事がこれの他にも沢山記されていた
「この内容について協力していただけるのならば、すぐにでも返事が欲しいところですが一週間の会議期間を設けますので、一週間以内にそれぞれの組織での意
見をまとめ、協力していただけるのであれば連絡を下さいますようお願いします。」
少女がそう言うと影たちは我先にと、自分の所属する組織へと戻っていく
部屋の中に残っているのは少女と先ほどの一人だけ落ち着いていた影のみが残っていた
「あら、貴女は戻らないでいいの?教会に相談しないでいいのかしら?」
少女はどこかトゲのある口調で影に語りかけた。
「ふんっ。あそこが私の決定で全てが決まるぐらい知っているだろう?私は君に真実を語ってほしいんだよ。ここに書かれている(バタン)の能力は『お嬢様、
大変でございます』・・・・・・・・・・・・・・・・君は侍女の教育ぐらいしっかりできないのかね?」
話の大事なところで邪魔をされ気分を害した様子の影は、乱入してきたメイドを睨みつつ少女にイヤミを言った
しかし次の瞬間、メイドの口から出た言葉に少女と影は、その表情を驚愕へと変えるのであった
「北大路様が意識不明の重体でブリュンスタッド城に担ぎこまれました。」
その言葉を聞いた少女と影は、我先にと城へ駆け出していくのであった
その場に残ったのはメイドと影の残していった紙が一枚残っているだけであった
紙にはこう書かれている
世界規
模の都市防衛特務機関の設立と『イレギュラー』の覚醒に関する案件
ここから世界は大きく揺れ動いていくのであった・・・・・・・・・
サクラ大戦二次創作
サクラ大戦異聞録 巴里に咲く黒髪の狩人
第三話前編 決意の根底 「俺はこの日を忘れない」
時間は少し戻って会議が始まった頃
周囲を森に囲まれた地図上には存在しないはずの城
その城門の前にヴァン=フェムと龍真は突如として現れた
「ここに来るのも久しぶりだな。」
龍真が感慨深く呟くと、その言葉に反応したかのように城門がゆっくりと開いていく
人一人が通れる隙間が開くと、城の中から殺気を纏った人影が目にも留まらぬ速さで飛び出し龍真に向かって異形の剣を振り下ろすのであった
(おいおい、やばいぞやばいぞ〜。五体満足な状態でも避けれるか解らないのに蒸気獣との戦闘で怪我をしてるこんな状態じゃ、腕一本犠牲にしても避けられる
かどうか解らねえぞ。グリシーヌ姉さんを守る為に日常生活を捨てる覚悟で封印を解いたのに、こんな所で死んじまってたまるか。こうなりゃ腕の一本や二本ぐ
らいくれてやらぁ。)
龍真は剣が振り下ろされる間に左手を剣に向けてかざした
どうやら左腕を犠牲にし、左腕が切り裂かれるている間に避ける事を選択したようだ
龍真は来るべき衝撃に備え身構えていると、何時までたっても衝撃どころか手に金属の当たる感触すらしてこないではないか
不審に思い、謎の襲撃者をじっくりと見てみると、異形の剣を振り下ろそうとしている男装の麗人と振り下ろそうとしている腕を掴んでいる貴族風の男が立って
いた
「何故邪魔をするのだ、フィナよ。この男の目から発散されている魔力は明らか人間の魔眼とは異質の波動。姫様がおられないのをを狙った水魔側の刺客やも知
れんのだぞ。」
女性はそう呟きながらも、敵意を込めた瞳で龍真を睨んでいる
すると男性の方はあきれた表情で、諭すように女性に語りかけた
「おいおい、何を言ってるんだい?確かに異質の波動の目を持っているが、彼は龍真君じゃないか。恐らくブルーのかけた封印を解いたんだろう。アルトルー
ジュ様の仰っていた『例の魔眼』の能力から考えると異質の波動が出ているのも肯けるね。リィゾもアルトルージュ様に留守を任されて張り切るのもいいけど少
しはゆとりを持たないと、いつかもっと酷いミスを犯しちゃうかもしれないよ。」
それを聞くと、女性はしげしげと龍真を眺めると自分の勘違いに気がついたのか、殺気を消し慌てて剣を引いた
「すっ、すまなかった。いつも掛けているサングラスを掛けてて素顔が解らなかったから敵だと思ってつい。お前の素顔ってカッコいいんだ
な・・・・・・・・ってそうじゃなくて、え〜っと、その〜・・・・・・・と、っとにかくすまなかった。謝って許してもらえるかどうか解らないけど謝らせて
くれ。」
さっきまでの凛とした姿が嘘であったかのように、顔を真っ赤にしてあたふたと慌て後半の方では半泣きになりながら謝る女性の頭を苦笑しながらなでる龍真
頭をなでられるんが恥ずかしいのか、さらに顔を赤くして顔を伏せている女性
そして、女性の慌てざまを笑いながらからかっているフィナ
そして隅っこでは「私っていらない存在なんでしょうかね〜。」と言いつつ体育座りでのの字を書いているヴァン=フェム
(ははっ。リィゾもおっちょこちょいな所は変わってないみたいだしフィナさんも相変わらずだなぁ。)
龍真がそんな事を考えていると、いきなり視界がゆがみ始めた
(しまった。血を流しすぎたか。しかし姫さんに会うまでま倒れるわけにはいか・・・・・な・・い・・・・・・・)
龍真は糸の切れた操り人形のように豪快に仰向けに倒れていった
いきなり倒れた龍真に三人は、一体何事かと龍真の顔を覗き込んでみると、龍真は顔全体に油汗を流し荒い息を吐いているのであった
いきなりの事に、二人の男は慌てふためき女性・・・・・・リィゾはベッドに運ぼうと、龍真の体を抱き上げようとした瞬間
「そのものに触れるでない。」
聞くもの全てに畏怖を与える声があたりに響く
三人が声の聞こえた方を向くとそこには白い大きな犬のような生物が佇んでいた
「その者は倒れた際に頭部を強く打った可能性がある。それに今までは脳内麻薬のお陰で痛みをこらえていた様だが、腹から血の匂いがかなりする。運ぶ前にこ
の場で応急手当をする必要があろう」
そう言うと犬は龍真のすぐ傍まで来ると自らの牙を使い龍真の服を破った
すると、今まではタキシードに隠れて見えなかったが、腹部に大きな裂傷があり、手持ちの糸で表面の肉と皮だけを強引に縫合してあった
それを見た犬は顔をしかめた
「むぅ、これはまずいぞ。この傷の深さは内臓に損傷があるかもしれん。しかもこの縫合をするとき消毒もなしにやったのであれば傷口から雑菌が体内に進入し
ている可能性があるぞ。早く清潔な場所で手当てをせねば死ぬかもしれん。」
犬の発言にその場にいた三人は、すぐさま龍真の体を持ち、揺らさないように慎重に運んでいくのだった。
再び現在に戻ってみると
傷の治療が終わったのか、安らかな寝顔を見せている龍真の横では会議から戻った少女とカソックを着たが妙齢の女性が何やら言い争いをしているようだ
「ちょっと、ナルバレック。本当に治したの?何時までたっても起きてこないじゃない。」
少女はカソックを着た女性・・・・・・ナルバレックを殺気を込めた視線で睨みながら言った
「ふんっ、私がした治療魔術はほぼ完璧だ。起きない理由は恐らく、魔眼の封印を解いた際に脳に負担がかかったのだろう。」
その言葉に安心したのか少女は殺気を解き、安堵の表情を見せたが、次の言葉にその顔を真っ青にさせるのだった
「しかし、このままだとまずいな。適当な縫合のまま戦ったせいで体内に雑菌が入りすぎている。このままだと今夜が峠だな。」
その言葉を聞き、少女は震える声でナルバレックに質問をする
「い、生きていられる可能性はどれぐらいあるのかしら?」
ナルバレックはしばらく考え込むと、ゆっくりと口を開いた
「こればかりは、まさに『神のみぞ知る』と言ったところだな。」
その言葉を聞き少女は、震える手で龍真の手を握り締めるのだった
(龍真、あなたにはまだやるべき事が沢山あるんだから、ここで死ぬなんて許さないわ。)
一方、龍真は夜の草原にぷかぷかと浮いていた
(俺って確かアルトルージュの城に行ってたはずだよな?それなのにここは、『あの時』の場所じゃねぇか。もしここがあの日だとしたらそろそ
ろ・・・・・・・・・・・)
ドゴォォォォォン
龍真が考え事をしていると遠くの方から爆発音が聞こえてきた
(やっぱり今日だったか。って事は昔の俺は今あの爆発の現場か。)
龍真は急いで爆発音の下方向に文字通り飛んで行く
龍真が爆心地の近づいていくとそこには気絶している少年と少年を起こそうとしている少女、そして赤い髪の男が立っていた
(あそこにいるのが昔の俺と『小夜』(さよ)って事はあれがあの時の悪魔か)
男は少女に近づくと、少女を片手で自分の目の高さまで持ち上げ、何かを少女に聞いているようだった
少女は震えながら何かを言うと、男は聞き出せたことに満足したのか少女を少年の上に投げ捨てた
その衝撃で少年は目を覚ましたようだが、男は上に乗っている少女もろとも少年を串刺しにしようと手を突き出してきた
少年は迫り来る手に恐怖し、目をつぶった
ドシュッ
肉を突き破る生々しい音が聞こえてくる
一向にこない衝撃に少年は目を開けるとそこには腹から手を生やしている少女がいた
少年はその光景に我を失ったかのように我武者羅に突っ込んでいった
男は空いているほうの手で突っ込んできた少年の腹を突き破った
男は少年と少女を投げ捨てると、少年に何事か呟くと立ち去っていった
その場に残された少女は少年に何かを話しそして力尽きたようだ
少年は泣き叫びながら拳を空にむかって突き上げ叫びそして意識を失ったようだ
(そうだ、俺はこの時誓ったんだ。もう二度とこんな悲劇は起こさないと。彼女のような人間を二度と出さないように『奴』を殺すと。そして俺の大切な人を守
るために強くなると。俺は小夜にもう一度誓う!姉さん達の幸せを守り、仏蘭西(フランス)にいるはずの『奴』を必ず殺しお前の墓前に捧げると。)
龍真が新たなる決意を誓うと周囲は光に溢れ龍真の意識は覚醒していくのであった・・・・・
次回予告
覚醒する龍真の意識
目を覚ます龍真は黒き姫に助力を求める
黒き姫は龍真の力を測るためにある条件を出すのであった
次回サクラ大戦異聞録 第三話後編 迷宮の中で 「俺は奴を殺すための力が欲しい」
あとがきなのかな?
作:あ〜点滴を受けに病院にいったらそのまま病院の受付終了時間まで寝ていた白隠です
?:ふんっ、軟弱者が。
作:貴女様は作者が一番性格に悩んだリィゾさんではないですか
リィゾ(以下リ:何故私が女性にならねばならんのだ!私は姫様に仕える誇り高き騎士なのだぞ
作:まぁまぁ、落ち着いて。だって姫さんに仕える騎士が白騎士、黒騎士って書いてあるのを知った時から男女ペアにすんのが面白いかなって思ったんだよ。
リ:面白いで性別を弄くられる私の立場にもなってみろ。大体何故プライミッツ・マーダーが普通に話しているのだ?
作:だって普通に『ワン』とか言われても会話が成立しそうに無いからこの作品では話ができるって事にしてみました
リ:まぁ、それは解らなくもないが。では、一番最初に書いてあった『世界規模の都市防衛特務機関』とか謎の単語が一杯出てきたがこれはどういうことなん
だ?
作:『赤き征裁』とか『玖渚機関』、『七愚人』や『殺し名』は全て作者の愛読書である、西尾維新先生作の『戯言シリーズ』に出て来る人物や機関の名前だ
リ:これに関しての説明などはどうするつもりなのだ?
作:これに関しましてはどこかで解説だけの話を設けまして、その中で説明するか、実際に登場した時にあとがきで紹介いたします
リ:これで今回話す予定は全て終わったのか?
作:はい、終わりです。では今回の27祖紹介はリィゾさんのみで行きましょう〜
死徒27祖データベース
ファイルNO2 『黒騎士』 リィゾ=バール・シュトラウト
死徒の中でも最古参の一人
アルトルージュに忠誠を誓っていてアルトルージュの命令を遂行するためには手段を選ばない
本作においては女性化をさせたのだが原作は男性のようである
作中では龍真君と微ラブコメ空間を発動させたが、今後ヒロインに食い込むのであろうか?
それは作者にもわからない(マテ
最初に龍真に斬りかかろうとした剣は真性悪魔ニアダークと言い剣自体が本体の悪魔である
それでは最後に一言「私を女にして辱めたのだ。死ぬ覚悟はできているだろうな?」
ソノテニモッテイル、ニアダークハナンノタメニツカウノデショウカ
「全てを切り裂け、ニアダークよ」
ザシュザシュザシュザシュザシュ
「ふんっ、つまらぬ血を吸わせてしまったな」
立ち去るリィゾ
その場にはぴくぴくと動くモザイクのかかった物体が落ちているのであった
感想
…白隠さん大丈夫だろうか(汗)
SSを書いているよゆうがあるんですから、命に係るとかいう問題ではないと思いますが…点滴を受けなければならないというのは意外に重いのではと思わせま
すね。
出来れば早く元気になってもらいたい所だね。
ハァ、病人にSSを書かせるのかと
言われそうです(汗)
通院できるレベルなら心配するほどの事も無いのかも知れないけど…やっぱり心配だね。
お早い回復をお待ちしています。
で、内容の方はどうなんですか?
プライミーツマーダーと白騎士、黒騎士については最近知ったので何とか分る。
黒き姫、アルト・ルージュの側近達で、中でもプライミーツマーダーは案外怖い。
見た目はただの犬、アルト・ルージュのペットなんだけど、
絶対殺戮圏だったか名前は良く分からないけど…人に対しては殆ど無敵らしいんだよね…(汗)
はぁ、危ない人たちですね…吸血鬼
の人たちは身体能力からして人間とは全然違うらしいですしね。
まあそういうわけ…それに、真祖の姫の二人は地球意思の体現らしいから…無敵も良い所と言うことになるね。
士貴さんはよくそんなの相手にして
こられましたね…(汗)
味方も多かったし、本人もある意味反則行為を行えるからだろうけどね。
では、これから相手にしなければい
けない龍真君にご愁傷様ですと言っておきましょう。
案外酷いねその台詞も(汗)
押して頂けると作者の励みになりますm(__)m
白隠さん
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