Summon Night

-The Tutelary of Darkness-

第五話
『自分のいられる場所』

 

 

 

アティはご機嫌だった。島の者達がゆっくりではあるが、確実に彼女たちを受け入れはじめたのだ。

それに時折遊びに行くアティたちを慕って、子供たちが積極的に遊ぼうと言ってくれるのも嬉しかった。

今日も今日とて集落へ遊びに行こうと、アティがドアに手をかけようとするよりも早くそれが開いた。

そこにいたのは無言で佇む生徒の二人。見るからに怒っているらしく、言葉に出来ない不気味な威圧感にアティが顔を強張らす。

「ど、どうしたの? 二人とも」

「「……授業」」

ぴったりと息のそろった言葉で納得のいったアティ。

彼女たちの言うとおり最近はまともに授業をした覚えがない。あるにはあるのだが、それでも内容はどうしても薄くなっていた。

「あう、ごめんなさい」

自分に非があることを認め、アティは素直に頭を下げた。

「別にそこまで責める気はありませんわ。私はミスミさまから、アリーゼはファリエルさんから色々と教わっていますもの。

でも貴女は私たちの先生なのよ。その本分を絶対に忘れないちょうだい」

「私も……もっと先生から色々と教わりたいです」

「ベルフラウちゃん……アリーゼちゃん……わかりました! 先生、今日ははりきって授業しますよ!!」

どこから取り出したのかわからないメガネをキラリーンと光らせるアティに、二人はちょっとだけ後悔をしたとかしなかったとか。

「でも二人は安定して召喚獣を呼べるようになったんですよね?」

「ええ、ミスミさまからある程度は教わって自分でも実践したから」

「私も……」

「それじゃ今日からは術の使い方だけじゃなくてその作り方である<誓約の儀式>について勉強しましょう」

本格的なことに入るというアティの言葉に、目を輝かせる生徒の二人。

ちなみに誓約の儀式というものは多大な労力と集中力を要するものだが、現在では召喚のシステムがある程度、解析されているので召喚師と一部の人間で あれば誰でも使うことが出来る。

だが失敗をすれば大爆発を起こしてしまうなど、ハイリスクを背負う面もあるのだ。

「最初は……そうね、まずは護衛獣との誓約をやってみよっか?」

「「護衛獣?」」

「召喚師の身の回りの世話や、護衛をする召喚獣のことよ。

それに護衛獣の契約は基本的に術者が死ぬまで有効です。ですから、ずっと召喚された状態でこの世界にとどまってもらう事も可能です。

けれどここで要注意。誓約できるのは一体だけです」

「だったら、この子で充分ですわ」

「私も、一体だけならキユピーがいいです」

ベルフラウもアリーゼも自分の胸に抱いた召喚獣たちをアティの前に出す。

護衛獣となるにはお互いの信頼関係が高いほどいい。

オニビもキユピーもよほど二人に懐いているのか、嫌がる素振りはまったくなく、それどころか喜んでいるようにも見える。

アティは確信する。これなら誓約もきっとうまくいく、と。

「よーし、それじゃあその子と誓約の儀式をしちゃいましょう。

この島の召喚獣たちは普通のはぐれと違って誓約に縛られていないようだし……貴女たちの努力次第でなんとかなるかも?」

「「古き英知の術と我が声によって、今汝へと、新たなる名を与えん……

新たなる誓約のもとにベルフラウが(アリーゼが)ここに望む……」」

力強さと穏やかさを感じさせる赤と紫の光が包みこむ。

けれどその光に不思議と眩しさはなく、どこか心落ち着くような感じさえ与えている。

「覚悟は良いかしら? オニビ」「いい? キユピー」

「ビービビッ!!」「キュピ!!」

「「今ここに護衛獣の誓約を交わさん!」」

力強く紡がれた誓約の言葉、それに反応するかのように強く光輝く陣と石。

その光は契約が完了したことを示すもの。目の前で予想外に強い光が放たれたせいで生徒二人はまだ目を開けていられない。

「二人とも、目を開けてごらん?」

アティに促されて二人はゆっくりと目を開く。

そこには……

「ビ〜ビッビビ〜ビ〜♪」

「キュ〜ピピッピ〜♪」

しっかりと現界している二匹の護衛獣の姿と、不思議な紋様が刻まれた二色のサモナイト石。

この紋様が刻まれたサモナイト石はいつものように召喚することは出来なくなるが、特定の召喚獣だけを喚ぶようになる。

アティはそのことを伝えると、二人は年相応の可愛い笑みを浮かべてもう一人の先生に伝えると走っていった。

「「先生、ありがとうございました!!」」

最後に感謝の言葉を伝えることも忘れず、きちんと礼儀正しく頭を下げて。

「……先生やってて、良かったです」

感銘を受けたアティは、それはそれは見ている方がこっ恥ずかしくなるほど幸せな笑みでルンルンという擬音が似合うような足取りで、ちょっとした趣味 となりつつある釣りに出かけようとしたが、

「あ、先生ここにいたんだ」

「ソノラ? 私に何か用ですか?」

「私は別に用はないんだけど、ミスミさまが先生に話があるから集落まで来てくれって」

はあ……と曖昧に頷いてアティは風雷の郷へと急ぐのだった。

その道中で遭難していた人を見つけ、アルディラの元まで届けていたので少し遅くなってしまったのは言わずもがな。

 

 

 

 

「おお、よう来てくれたの……時にそなた、どうしてずぶ濡れなのじゃ?」

「あ、あはは……これには海よりも浅くて山よりも低い理由がありまして……へ、へくち」

「そのままでは風邪をひいてしまうじゃろう。すぐに侍従の者に着替えを持ってこさせる故、一度そのずぶ濡れの体を洗ってくるとよい」

「あう、すいません」

恥ずかしさに顔を真っ赤にしているアティは小さく頭を下げ、ミスミに言われて来た侍従に連れられて行った大浴場の大きさに呆気に取られたのは余談で ある。

しばらくしてミスミと同じシルターン風の着物に袖を通したアティ。

濃紺を基調とした着物に淡い色使いの藤柄と黄色の帯が、彼女の燃えるような赤い髪が良く似合っている。

「ほんによう似合おうておる。どじゃ、なかなかの着心地であろう?」

「あ、はい。なんか風がよく通って涼しいのに体は冷えなくて……」

「それがシルターンの衣服の特徴よ。で、何故ずぶ濡れになっておったのじゃ?」

アティの言う理由、それは子供たちがおばけ水蓮で遊んでいた時に勝負を持ちかけられ、ついムキになって受けてしまい、もう少しでゴールに着くという 一瞬の油断のせいで池にはまったという。

最初はしっかりと聞いていたミスミも、段々とアティのドジっぷりが我慢出来ずついには声を上げて笑い出してしまった。

「そんなに笑わなくても……」

「いや、すまぬ。しかし……おぬしも意外とおっちょこちょい――というよりも人間臭い面があるのだな。正直安心したぞ」

「安心……ですか?」

どうして自分がおっちょこちょいだとミスミが安心するのか、その意味がわからずすぐに尋ねる。

「いやな、そなたは自分で気づいているのかどうかは知らぬが、常に自分を後回しに考えるきらいがあるのじゃよ。それこそ常に失態をせぬようにと体に 余計な力を入れて、の」

先程からは信じられないほど真面目な顔でミスミは言う。

何も彼女はリクトの嫁だったから、という理由で風雷の郷をまとめる立場にいるわけではない。白南風の鬼姫と呼ばれる戦闘力もさることながら、人の本 質をしっかりと見抜く洞察眼とそのカリスマ性によるところが大きい。

ミスミはベルフラウからアティの話を聞いている内に、いつしかそんな考えが生まれはじめ、こうしてしっかりと相対してその考えは確信へと変わった。

「何を気負っておるのかは知らぬが、自分一人で解決しようとしたり背負ったりしようと思うでないぞ? この島にはそなたよりも遥かに人生――人では ないからな何とも言えぬが――経験を積んでいる者もおる。

そういった者に悩みを打ち明けるか、簡単に愚痴を漏らすのもよかろう」

アティは何も言わない。ただ、静かにありがとうございますと頭を下げるだけだった。

そんなアティの態度に苦笑し、内心では思っていたよりも深い部分でそうしているのかもしれないと踏んだミスミは、その話題を忘れさせるように自分が アティをここに呼んだ理由を話す。

「さて、そなたを呼んだのは他でもない。実はそなたに学校の教師をしてもらえぬかと思うての」

「学校ですか!?」

「そんなに驚くこともあるまい。そなたは、先生なのであろう?」

「それはそうですけど……でも、それは家庭教師をやってるってことで、学校みたいに大勢を相手に勉強を教えた経験はありませんよ」

「大勢ではない。生徒になりたがっておるのは息子とその友達の二人じゃ。

二人とも、そなたが教えてくれるのならば勉強してもよいと言っておる。それに、教えてやってほしいのはな、この世界についての知識なのじゃ。故郷の 世界のことは郷の者から学べようじゃが、この世界のことは無理であろ?」

確かにとアティは頷く。

この島は長い間、外の世界との接触を絶っていたという話は聞いている。完全に外界からの干渉を遮断してきたため、外か今どういった状況でどうなって いるのかを知るようなことはまったくない。

そんな外の世界の常識を教えてくれと言っているのだ。

「それにの、アティ」

アティがそんなことを考えているとは露知らず、いまだ渋っていると思ってミスミは自分の思いを口にする。

「わらわな、ずっと思うておった。閉ざされた世界であるこの島も、いつまでもそのままではいられはしまい、とな。

それを証明するようにそなたたちが現れた。今はまだ、偶然だったとしても……いずれもっと多くの人間たちがこの島を訪れるであろう。その時、島を担 うのはあの子たちの役目じゃ。

そのためにも……子供たちにはもっとこの世界のことを知っておいてほしい。過去のような戦を繰り返すことのないように……」

それは人間と召還獣たちのわだかまりが起こした、あの悲しい戦争だけはもう見たくないという一人の女の純粋な願い。

「どうじゃ、引き受けてもらえぬか?」

「考えさせてくれませんか? ベルフラウちゃんやアリーゼちゃんの気持ちも聞かなくちゃ答えは出せないんです。あの子たちは、私にとって最初の生徒 なんです」

「そうか……まあベルフラウならばわかってくれるとは思うが、あの子の気持ちを考えてやるのも大切なことよの」

「すみません。だけど、やっぱり私はまずあの子たちの先生でいたいんです。ですから……」

「こんのォ……バカタレがァァッ!!」 唐突に後ろから雷のような怒号に驚いて目を白黒させるアティ。それはミスミも同様らしく、声の主を見て本当に驚いている。

「ご老体……いつ、こちらに!?」

「つい、さっきじゃよミスミ殿」

ご老体と呼ばれたおじいさん―?ゲンジはさっきの怒声からは想像も出来ないほど、優しい声でミスミに言う。

だがアティを見た時の顔は眼鏡越しからでも怒っているのがよくわかる。例えるなら悪戯した近所の悪ガキどもを叱る雷親父、といったところだろう。

あながち雷親父というのも間違っていないだろう。とはいうのもその怒り方一つをとっても実に堂に入っているからだ。

「こっちの世界の教師がやって来たと聞いて見にきてみれば……じつに、なっとらん!

言うに事欠いて一人のための先生でいたい、だとォ? 「子供たち」を導いてやれぬ者が「子供」を導けるはずなかろうがッ!!」

ゲンジの言葉に少なからず衝撃を受けるアティ。

彼の言う事は至極もっともなこと。そこに自分の経験で言っているのだから

「ついて来い! ワシが、貴様に教師のなんたるかを教えてやるわい!」

「は? ちょっと!? そんな、引っ張らないでくださいぃ!?」

首根っこを掴まれて猫のように引っ張れていくアティ。しばらくしてゲンジの説教をしているのか怒っているのかわからない声が屋敷中に響き渡ったとい う。

「結局、こうなってしまいましたわね」

「よかったのか? おぬしがここにおることを言わなんで」

「私がいたところで精々、少し相談して確認を取るだけ。最終的なあの人の答えは変わりませんわ。それにゲンジおじいさまが後押しをするでしょうし」

ふうとベルフラウはため息を吐く。

見た目よりもしっかりとしているベルフラウとどこか抜けているアティ。彼女の気苦労、推して知るべし。

「あっははは……違いない。それよりおぬしは良いのか?」

「本音を言えばよくないですけどこれも未来のため。でも、私をないがしろにするようなら許しませんわ。それではまた明日、ミスミさま」

「またな、ベルフラウ」

 

 

「……で、結局そのおじいさんに押し切られる形で受けちゃったの?」

「先生……」

「え、えーっと……あは、はははは……」

何やってんだかと呆れ果ててるベルフラウの容赦ない言葉、口にこそ出していないが明らかに呆れてるアリーゼの視線に茶を濁すアティ。

結局、ゲンジにお説教をされてそのまま学校の教師を引き受けたことを二人に話した結果がこれだった。

「でもね二人とも。今の私は、本当の先生らしいこと、ちっともできてなかったのかもしれないな、って思うの。

だからこれは私にとっても勉強。二人の先生として、胸を張って言えるようになるための、ね?」

二人は黙る。本当はアティが教師を引き受けたことは知っているため、少しだけからかって終わろうかと思っていた。けれどこんなことを考えていたなん て思いもしなかった。

「……そこまで言うのでしたら私は何も言いませんわ。ただし、貴女は私たちの先生であることを忘れないように」

「私もベル姉さんと同じです。きちんと、私の勉強も見てくださいね。先生の最初の生徒は私たちなんですから……」

「ええ、約束します。絶対にそんなことはしないって」

決意を込めた言葉。二人は一抹の不安を覚えながらもその言葉を信じてみようと思うのだった。

 

 

 

 

風雷の郷にあるそれなりに大きな木の下では、普段では絶対に見られない光景が広がっていた。

木に吊り下げられた一個の鐘、文字を書きこむための黒板、黒板の字が見えるように配置された簡易な机。

文字通り、青空教室が出来上がっていた。

「はーい、みんな席についてね!」

鐘を鳴らしながら新米教師のアティの言葉に従い、生徒たちが自分に割り当てられた席へと座る。

「えーっと……今日から、貴方たちにこの世界についての勉強を教えます、先生のアティです。みんなよろしくね」

おねがいまーす!! と元気に挨拶をするスバルとパナシェ、やっぱり心配そうなベルフラウとアリーゼ。

そんな二人に大丈夫だから、と目で言いつつアティは授業を進めていく。

二人で慣れていることもあって、彼女の授業は実にわかりやすい。

「うむ、なかなかさまになっておるではないか?」

「当たり前じゃい。なんせ、このワシがつきっきりで指導をしてやったんじゃ。ワシがこの世界の人間なら、あの若造に苦労はさせぬのだがな」

その姿を遠くから見ているミスミとゲンジ。

子供たちの真剣な顔つきは遠くからでもわかる。

「いやご老体には充分に感謝しておるとあの者は言うておった。先生の先生に出会えてよかった、とな」

「先生の先生、か……。ではミスミ殿、あとはあやつに任せるとしようかい」

遠くから見ていてもわかる子供たちの真剣な顔つきに、思わず顔をほころばせるミスミとゲンジ。

「いやご老体には充分に感謝しておるとあの者は言うておった。先生の先生に出会えてよかった、とな」

「先生の先生、か……」

照れたような嬉しいような顔のゲンジはアティを指導していた時のような厳しさはなく、孫を抱いている好々爺然としている。

「ではミスミ殿、あとはあやつに任せるとしようかい」

「ああ、そうじゃな」

そういって二人はその場を離れる。この判断が間違いだということに気づかないまま。

「それじゃ、この文章を10回ずつ書いたら持ってきてね。わからないところがあったら手を上げてね?」

それぞれに紙を課題を渡してやり始めたのを見つつ、アティは生徒たちの周りを回りながら言う。

初めこそ心配していたアティだったが、どの生徒たちも熱心に話を聞いてくれたり、わからないところは素直に質問をしてくれたりと実に順調に進んでい た。

特に最年長のベルフラウはアティを補佐するような役回りをしてくれいたため、彼女の負担はさらに少なくなっていた。

だが全てが順調にいかないのはこの世の道理。

「この部分の計算がちょっと……」

「どれどれ」

「やめろってばぁ!?」

アリーゼの指差すところを見ようとした時、パナシェの泣くような声がアティの耳に届く。それも初めてではないらしく、困ったような顔のアティはごめ んねとアリーゼに一言謝って彼らの元に走っていく。

「こら! ちゃんと真面目に書きとりしないとダメでしょ?」

「だって先生、スバルが横から邪魔してきて……」

「おいら、邪魔なんかしてないぞ? 勝手に決めつけるな!」

 「ほらほら、二人とももめてないでまずは手を動かしましょうね。それが終わらないと次の勉強に進めないから、ね」

うなるパナシェと睨みかえすスバルをどうにかなだめてアティは再びアリーゼのところへと戻っていく。

アティがスバルの相手をしていた間、ベルフラウに聞いていたのか二人とも教科書と睨めっこしている。

遅いですわ! と恨みがましい視線をしていることからベルフラウも同じところで行き詰まっていたようだ。

「お待たせっ! ここの計算式はね、こっちの応用なのよ」

「ここの、この部分?」

「うん、そうそう。具体的には」

きちんと言い当てたアリーゼになるほどと頷くベルフラウを嬉しく思いつつ、アティは解まで導く方法を言おうとするが、

「返してってば!?」

さすがのアティもかなり怒っているようで肩を怒らせながらまた問題を起こした二人の元へと歩いていく。

「スバルが、ボクの書いたのを……」

怒っているアティにびくびくしながらも何をされたのか説明するパナシェ。

自分が悪くないと思っているため、ちゃんと喋れているが生来の気の弱さのせいでどうしても言葉尻が小さくなってしまう。

「なに言ってんだよ? これは、おいらのだ」

一方のスバルも自分が悪くないと思っている、あるいは隠しているのか胸を張ってそう主張する。

「うそつきがどっちかなんて、字を見ればすぐにわかっちゃうんですからね。見れば……」

それは確かに正論であろう。ただしどちらも字が読めるということが前提だ。

彼らのようにあまり字を書かないものが書けば、それこそミミズが極度に曲がりくねってタップダンスとブレイクダンスでも踊っているような、何が書か れているのか判別不可能な字ではアティの言う方法はまったく役に立たない。

「先生、ウソつきはスバルだよね!?」

「なんだよっ弱虫のくせに、いい子ぶって!」

「ちょっと、二人とも! ケンカは……」

今まで溜まっていたものがついに爆発、堪忍袋の限界がきたアリーゼをどうにかなだめようとしているベルフラウだがアリーゼは一切聞く耳もたず、混沌 とした学校はさらに混沌の渦へと飲み込まれていく。

「先生さ〜ん」

「ま、マルルゥ」

「ひどいですよう! マルルゥだけ、のけ者にして遊ぶなんて。マルルゥも仲間に入れてくださいです!」

「あのね、マルルゥ? これは遊んでいるわけじゃないのよ…」

「そうだそうだ。マルルゥは帰れよ!」

「ヤンチャさん……どうしてイジワルをするですかー!?」

「ボク、ウソついてないのに……っ」

最早収拾のつかなくなった学校。スバルが叫び、パナシェが泣きそうで、マルルゥが不満を訴え、ベルフラウがアリーゼから後ずさる。

「いい加減にしてッ!」

あっちゃこっちゃでの喧噪を打ち破る怒りの一声。

「帰りますッ!!」

肩を怒らせてアリーゼは足早に去っていき、そこにいた全員が呆然とその後を見送る。

「何をぼけっと突っ立ているのですか!? 早く追いかけなさい!!」

突然の出来事に茫然自失としていたところをベルフラウに叱責されて、ようやく戻ってきた

「え、でも」

「デモもストライキもありません!! この子たちには私が聞かせておきますから、貴女は自分のすべきことを優先しなさい!!」

後ろで不満を漏らすスバルを一睨みで黙らせてベルフラウは叫ぶ。

彼女は怒っているのだ。完全に怒るまで放っていたアティを、そうなる原因を作ったスバルたちを、何より姉としてアリーゼを止められなかったことが。

だから彼女はアティに譲ったのだ。自分では止められなかったアリーゼを彼女なら止めてくれると信じて。アティもベルフラウの言わんとすることを即座 に理解し、自分よりも遥かに年下の少女に頭を下げてアリーゼの後を追って走る。

「待って! アリーゼちゃん」

「……ウソつき!! もういいんです!! 放っておいて!! ……無理だったんです。最初からこんなのは無理だったの」

「それは…」

「聞きたくないっ!! 私のことより先生はあの子たちのほうが大事なんですよね。だから……放っておいて……みんなのところに、戻って…! 私のこ とはもういいから……」

「そんなことないです! 貴方だって私の大切な生徒なんだもの。大事だとかいらないとかそんな区別、したりなんかしません!」

アリーゼの心に突き刺さる純粋な言葉。

磨き上げられた鏡が映す嘘偽りない言葉が、今の彼女にはどれだけ辛いことか。アリーゼを連れ戻すことに必死のアティは気づかない。

だから彼女は逃げた、少しでもアティから遠ざかるように。目尻に涙を浮かべたまま、鏡に映った醜い心を見たくないがために。

「わからない……私、どうしていいかわからないよぉ!? うう…っ、ぐすっ、ううっ、う……っ」

草の鳴る音に驚き、身をすくませるアリーゼ。

「あら? アリーゼちゃん……どうしたんですか、こんなところで」

「ファリ…エル……さん……ううっ、うわああぁぁぁぁん!!」

もしかしたらはぐれ召喚獣かもしれないという恐怖、もしかしたら帝国軍だったかもしれないという恐怖、けれど実際に現れたのは彼女のよく知る人だっ たため、それらの感情が一気に爆発したのだ。

「落ち着きました?」

「……はい。あの、ごめんなさい……」

顔を真っ赤にして謝るアリーゼ。ファリエルにしがみついて大泣きしていたせいで、彼女の服が涙でびしょびしょになってしまっていた。

「これぐらいならすぎに乾きますから。それよりも、あんなに泣くなんて何があったのですか?」

学校であったこと、アティと喧嘩してここまで逃げて来たこと、それら全てをアリーゼは一切包み隠さずに話した。

余程溜まっていたのだろう、まるでマシンガンのようにどんどんと言葉が出てくる。もっともファリエルがそれら全てにきちんと返事を返して話を聞いて いてくれるからというのもあるのだろうが。

「なるほど……つまりアリーゼちゃんはアティさんが他の子たちに構ってばかりだから嫉妬してるんですよ」

「わ、わたし!!」

「いいんですよ、私にだって誰かが羨ましいって想いはあります」

「ファリエルさんも……?」

ベルフラウにとってアルディラが理想像であるようにアリーゼにとってファリエルが理想像なのだ。強くて優しくて、非の打ち所のないその姿が。

だから彼女の口から他人を羨ましく思えると言われてもあまり信じられなかった。

「私はサレナさんが羨ましいの。同じ女性としてあの体はね? それだけじゃない。どこまで自分の気持ちを素直にさらけ出すことが出来て……だから私 は彼女が羨ましい」

いつしかファリエルの言葉を真剣に聞いて、頷いているアリーゼ。

彼女は自分よりも出来る姉といつも比べられていたせいで、自分が出来ない子なんだといつも思っていた。だから必死にがんばった、姉に負けないよう に、少しでも姉に追いつく為に。

けれどいくらがんばっても周りは認めくれず、いつしか自分の殻に閉じこもるように臆病な性格になってしまっていた。

そんな彼女を初めて認めてくれたのが、アティ。努力したら褒めてくれることがアリーゼには何よりも嬉しかった。そんなアティが自分を見なくなってし まうことが怖かったのだ。

「だからね? そういう時はきちんと話し合うんですよ。お互い黙っていたんじゃわからない、納得のいくまで話してみれば意外とつまらないことだった りするんです」

実際、私もそうでしたからとファリエルは笑う。それにうられるようにアリーゼも笑った。今までの暗かった気持ちが嘘のように霧散していくのを感じな がら。

一,二分ほど笑っていただろうか、唐突にファリエルの顔が引き締まる。

「ファリエル……さん?」

「静かに。決して私の傍を離れないように」

そういうファリエルの目は頼れるお姉さんではなく、超とはいかずとも一流の戦士のするそれ。

アキトとの特訓で人よりも研ぎ澄まされた五感が二人に近づいてくる気配を感じ、その方向をずっと注視している。後ろで怯えているアリーゼを護るよう に立ちながら。

(こんな時に剣を置いてくるなんて……!)

内心で自分の失態を恥じるファリエル。だが決して表に出すわけにはいかない。

「ファリエルさん……」

後ろで怯える少女をこれ以上怯えさせるわけにはいかないのだから。

数秒経っただろうか、ファリエルとアリーゼを取り囲むように気配の主たちがその姿を現した。決して島では見ることのない、その特徴的な服装をしてい る者たちをファリエルが忘れるはずがない。

「帝国……軍……」

「足音が聞こえたのでこうして来てみれば……子供に女とは、な」

「あ、ああ……っ」

「どうしますか、隊長?」

また問答無用で襲いかかってくるのかと思って身構えていたファリエルだったが、カイルと似た大柄な男の言葉と隊長と呼ばれた者の姿に一瞬だけ呆気に 取られた。

この間、集落を襲った男とはあまりにも違ったせいもあるが、体捌きからなかなかの実力者である大柄の男よりもより強い隊長と呼ばれたのが――女だっ たから。

短くざんばらに揃えられた黒髪に強い意志を宿す漆黒の瞳。軍人であることを誇りに思っているのだろう、誰よりも威厳というかリーダーとしてのオーラ が感じられる。そして……間違いなく強い。

「武器を下ろしてやれ。一人は違うようだが、子供がおびえていては話もまともにできまい」

「……どうして帝国軍がこんなところに」

「わかっているのなら説明は無用だな。話を聞かせてもらうぞ」

ファリエルは周囲を見渡す。人数こそそれほど多くはないがファリエルたちを中心に円を描く、逃げ出すことが厳しい陣形が引かれている。少ない人数 で、狩り において獲物が逃げないようにするにはこれほど効果的な陣形はなく、それと同時にこの隊長と呼ばれた女は場慣れしていることも悟り抵抗は難しいと判断す る。

「打つ手なし、といったところですか。ですが一つ、約束してください。私は構いませんがこの子には決して乱暴なことはしないと」

「……わかった。連れていけ」

 

 

 

 

ファリエルたちが連れて行かれている頃、アティは必死にアリーゼを探していた。

真っ先に島の安全を管理しているアルディラとサレナの元に行き、探すことは出来ないかと尋ねたのだが、偵察用召喚獣を扱うことの出来るサレナが体内 の免疫力を調整するために活動を停止していた。

そのため彼女は自分の足で探していた。今は鬼妖界の森の中。

(どこに行ったんですか、アリーゼちゃん)

焦る思いは時間を追うごとにひどくなっていく。はぐれ召喚獣に襲われたのかもしれない、そう思うと自然と足が速まっていく。

途中で合流した子供たちも同じ思いだろう。

「せ、せんせぇ!!」

「パナシェくん!? どうしたんですか!!」

「もしかして見つかったんですかー?」

ぜえぜえと辛そうにしているが、そんなことは構わないとばかりに首を縦に振る。

「う、うん……匂いを追いかけて見つけたんだけど、でも……武器をもったニンゲンたちに捕まってるんだよう!

それにファリエル姉ちゃんも捕まってて……」

「場所は?」

「あっての森の向こう……」

「わかりました。あとは先生に任せて。みんなは家に戻るのよ……いいですね?」

アティは走る。既に心臓は張り裂けそうなほど鼓動しているが、今のアティにはそのことを構っている暇はない。

ようやく見つけた彼女の手掛かり、言えなかった言葉もまだまだたくさんある、喧嘩したままの別れなんてしたくない。

辿り着いた先は断崖絶壁が連なり竜骨の断層。軍人に囲まれるようにして縛られているアリーゼとファリエルの姿がそこにあった。

泣きじゃくっているアリーゼはまだ無事なのはわかる。けれど、ぐったりとして規則的に小さく肩しか動いていないファリエルは無事ではないのかもしれ ない。

彼女はアズリアがいないのをいいことに、ファリエルに拷問まがいのことを行って色々と情報を聞き出そうとしていた。

勿論、ファリエルが喋るわけがなかった。

「アリーゼちゃん!! ファリエルさん!!」

「あいつだッ、隊長!」

「……まさか貴様が来るとは……こんなところで会うとはな……アティ?」

「アズリア!?」

過去を懐かしむような声の主の姿に驚くアティ。

軍学校で同期であり、アティをライバルとして幾度となく腕を競い合ってきた親友――

「久しいなアティ、お前にも部下が世話になったらしい」

アズリア・レヴィノス、その人であった。

「そんな顔をせずともわかっている。おおかた、こいつに非があったのだろうな。

……だが、元軍人である貴様が海賊に加担していた事実までは見過ごせん! おとなしく投降しろ、悪いようにはしない」

「それはできませんアズリア。私は、間違ったことはしていないから」

「そうか……ならば私の手で捕らえるのみだ!!」

武器を構える軍人たち。それに続くようにアティも杖を構えるが――

「おっとォ! こっちにゃあ人質がいるってことを忘れんじゃねェ!!」

「いやあぁぁっ!!」

剣を突きつけられて悲鳴を上げるアリーゼ。苦しそうな顔を僅かに上げて同じように突きつけられている剣を見るファリエル。

人質を取られ、彼我戦力差はあまりにも大きすぎる状況はアティでなくとも正に最悪と呼べるもの。

「さあ、武器を捨てろ!」

「わかりました……」

故に相手の言葉に従わなければならない。例えそれが最善でなくとも。

「やめて!? 私のことなんて気にしないで……っ」

「黙ってろッ!!」

勝手に喋ったことが気に食わず力任せに殴る。けれどその狂気の拳から護るようにファリエルが立ちふさがり、身代わりとなってその拳を受ける。

「あぐっ!」

「やめなさい! あなたが恨んでいるのはその子たちじゃないでしょ!!」

「イヒヒヒ……ッ、言われなくてもてめェにもやってやらぁ!」

狂気に染まった瞳のままで召喚術を使うビジュ。矛先は武器を失って丸腰となっているアティただ一人。

「んあぁぁっ!?」

「どうして……っ!?」

「だって、私、貴方と約束……したよね? 絶対に、貴方のことは守ってみせるって?」

「んじゃ、その約束を律儀に守って……死ねええェェッ!!」

「せ……っ、先生ええぇぇぇっ!!」

アリーゼの持っていたサモナイト石が光ってキユピーが現れ、今まさに召喚獣を放とうとしていたビジュへと突撃をかます。突然の闖入者によって召喚術 を崩されたビジュは術が暴走して攻撃を自分で受けるはめになって吹っ飛んだ。

「ひぎゃァ!?」

キユピーを召喚した時に縛っていた縄が解けたのか、泣きそうな顔をさらに歪めたままアリーゼはアティの元へと走りよる。その後ろではキユピーがファ リエルの縄を解こうと必死に引っ張っている。

「先生っ!? しっかりしてよ!? せんせえ……っ!!」

「アリーゼちゃん……」

「ごめんなさいっ! 私のせいで、こんなっ、うっ、うう……っ」

「私なら、平気だよ。だから、ほら……もう、泣かないで?」

どれだけ傷つこうとも、自分が護ろうと決意した相手の泣き顔なんて見たくないから、アティはぽろぽろとこぼれ落ちてくる涙を手で拭う。

「よくもッ!? よくも、よくもッ!! まとめてェ……ブチ殺して……ッ」

召喚術のダメージが多少なりとも癒えたことで復活したビジュ。

その顔は先程よりもはるかに狂気に染まり、本当に殺ることを決していとわないだろう。故に使う召喚術は最大出力。

「死ぬのは……貴様だ」

「ごはァ!?」

それを放とうと構えていたビジュの腕を取り、驚いて無防備となった腹を人外の膂力で思い切り蹴り上げる人影があった。

人影は吹っ飛ばしたビジュに構うことなく、ふらついていたアティをその腕の中に抱きとめる。

「黒……百合…………さん」

「よく耐えたなアティ。君の仲間ももうじき着くからもう大丈夫だ」

バイザーで隠されている表情こそわからないが、その声色は間違いなく他者を気遣う優しいもの。そして彼の言葉に続くようにカイル一家とキュウマと ヤッファが現れる。

またもう一方の腕の中にはアキトのストラによって回復したファリエルもいた。かなりの効力があったのか、あれほど苦しそうにしていた表情は実に穏や かになっている。

「総員、ビジュを援護!」

独断専行した挙げ句、軍人にとって恥ずべき行動を取った不心得者をどうして助けなければならないのかと、驚いてアズリアに向き直るギャレオ。

「不心得者であろうと、見殺しにするわけにもいくまい……行け、ギャレオ!

あいつにはこの手で懲罰を与えなくては気がすまぬからな。海賊どもを蹴散らしてあの愚か者めを私の目に連れてこい!!」

「任務、了解!!」

竜骨の断層は段になっているため、初めから陣を上の方にひいている帝国軍が地理的に有利だった。

だがこの戦闘ではその有利さなど無に等しかった。

「ぎゃあ!!」

「うわぁ!!」

「ひぃッ!!」

地の利を最も活かすことの出来る射手、敵の射程外から召喚術を使う召喚士、この二つが優先して倒されていっているのだ。

だが彼らとて訓練を積まれた軍人、仲間がやられてもここまで取り乱すことはまずあり得ない。

その彼らが取り乱している理由はたった一つ。

「次は……誰だ」

見えない敵によって一方的に狩られているからだった。決して表には出さなくともその内で静かに、そして激しく燃え上がる怒りの炎によって敵を焼き払 う漆黒の死神の手によって。

黒百合は――アキトは本気で怒っていた。無抵抗な者を平然と暴行できる軍の人間に。元から軍というものを嫌っていたアキトを怒らせるにはそれだけで 十分だった。

それに自分はいくら傷つけられても構わないと思っているが、他人が――とりわけ自分と親しい人が傷つくと烈火の如く怒る。

そのため多少は加減しているが意識を失うことを許さず、生きていることが苦痛と感じる痛みを与えているのだ。

「生と死の狭間で……懺悔するんだな。この黒百合が冥府まで道案内をしてやる、死の淵を見たいものから……来い」

無機質にして冷酷、烈火にして透水、夜の闇よりも深い漆黒を纏い、敵と認知したものを冥府へと誘う死神。霊界の護人、黒百合の恐怖が帝国軍に刻み込 まれた瞬間でもあった。

さらに前回のこともあってその恐怖は何倍にも増し、完全に浮き足立った軍人たちをカイルたちが掃討していく。

あれほど戦力差があったにも関わらず、残っているのはギャレオただ一人となっていた。ちなみにビジュは黒百合たちの手で生死の境を彷徨っている真っ 最中。

「ぬうぅぅん!!」

「くうぅ……っ」

一方、ギャレオと戦っているアティの状況は芳しくなかった。

ビジュのダメージもあるのだが元より体格差がありすぎる。それにアティは元々召喚術をメインとしているため肉弾戦は弱い。

(このままじゃあ押し負ける……っ)

そう判断してからのアティ行動は実に早かった。己の内に眠る剣を解放し、魔力によって強化された膂力で一気に押し返す!

「やあぁぁぁぁっ!!」

「ぐはあっ!?」

「その剣……そうか、貴様が!? どこまでも私の邪魔をするというのか貴様は……っ!」

憎々しく、吐き捨てるようにアティの持っている剣を見つめるアズリア。

彼女がこの地にいるのはそれの奪還のため、元は自分たちが運んでいた代物をアティが使っていることが彼女の中に黒い炎をわき上がらせる。

「聞いて、アズリア! そうじゃないの!!」

「総員、撤退せよ!」

「アズリア……」

「二度と、気安く私の名を呼ぶな!! 帝国軍人の威信にかけて、その剣は必ず取り返してみせる!!」

ボロ雑巾のようになったビジュ、剣に押し負けたギャレオを支えながら撤退していく軍人たち。最後にアズリアが言った言葉がアティの胸に深く突き刺 さったまま、今回の戦闘は幕を閉じた。

 

 

 

 

アティたっての願いで、アリーゼは彼女と二人きりで夕日の沈む空を見渡せる小さな丘に来ていた。

ここに来るまでずっと無言でいた二人。怒られることを覚悟していたアリーゼにアティが静かに口を開いた。

「でも、驚いちゃったな。あの時、貴方が召喚術を使ったこと……私が思っていたよりも貴方はずっと強くなっていたんだね」

彼女から出た言葉は怒りの言葉ではなく、純粋に生徒の成長を喜ぶものだった。それが辛くて、アリーゼは叫んだ。

「強くなんか……っ、私は、強くなんかありません……っ! 先生を、あの子たちにとられるのが怖くて、すねて、甘えて……追いかけて欲しくってあん な無茶をした…弱虫なんですっ! ちゃんと、言葉でイヤだって言えばよかったのに……っ。

こわかったの……自分の気持ちを口にすることで……嫌われるのがこわかった……だって……いい子にしていないと誰も、私のことを見てくれないか ら……ひとりぼっちはもうイヤだからっ! うっ、ううう……っ、うあぁぁぁ……っ」

「そっか…ずっと、そのことを気にしてたんだね?」

泣き続けるアリーゼの頭をそっと、優しく抱きかかえて震える背中をさするアティ。

初めて露になる少女の心を壊さないように、離れないようにしっかりと抱きしめる。

「う、ううう…」

「ごめんね? 不安にさせちゃって、だけど……私はなにがあろうと貴方の先生だからね?」

「うわあぁぁぁん! 先生……っ! せんせえぇぇぇっ!!」

 

 

 

 

 

 

あとがき〜

……いやここまで投稿遅れて申し訳ないです(汗)

ついナムカプにはまって……ゲフンゲフン……もとい、色々と忙しくてちょびちょびとしか書き上げれなくて。

おまけにサモンナイトの小説書いてるくせにストーリーをド忘れしてプレイしながら書いている状態であります。

それに、これから試験とかも入ってきますので、更新ペースはさらに落ちると思います。

それでも見捨てないでください。

以上、焔改め、火焔煉獄でした。



感想

焔さん五話終了♪ わたしゃまだこれからです…これからは追っかけていく事になりそうですね♪

アリーゼとベルフラウのキャラ分け凄いです♪ 蓮のネタ上手く使ってきていますね!

そして、一行紹介の悲しいイスラ…遭難だけじゃあ…海か山かも分らない(汗)

今回のアキトは戦闘のみっすね…ファリエルの活躍がいい感じです♪

私に対するコメントは無しですか!

いや、まあ…あはは…(汗)

出番は多かった筈で すよ!

うむ、印象に残った所か…そう言えば、戦いのシーンってまだ着物なんだろうか?

そんな事どうでもよろしい!!!

ごめんなさい…

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