視点:ルルーシュ


腹に剣を突き刺されて死んだと思ったが、気がつくと見知らぬ荒野におり、盗賊に襲われ、そこを助けてくれたのが趙雲と戯志才と程立、さらに今ここに向かって来ているのがこの辺りを統治している、曹操の一団・・・まとめてみると随分と荒唐無稽な話に思えるな。

駆けつけてきた一団がすぐさま俺達の周囲を取り囲む。

その中から、他の者とは格好の違う黒髪の女が進み出てきた。
随分と大きな剣を背負っているな。

「貴様等何者だ!ここで何をしている!」
「私達は旅の者です、各地を見て回っていてこれから河南へ向かうところです」

大剣の女の問に戯志才が答える。
威圧してくる相手に堂々としたものだ・・

「旅の者か、・・・ふむ、報告にあった者達とは違うようだな。・・・お前達この辺りで三人組の盗賊を見なかったか、三人とも中年の男らしいのだが」
「ああ〜、それならあちらの方へ行きましたよー」

先ほど盗賊達が逃げて行った方を指差す程立。

「うむ、馬で走って行ったから急がねば追いつけぬぞ」
「そうか!協力感謝する、いくぞお前達!」

趙雲の言葉に急いで駆けようとする大剣の女だったが。

「待ちなさい!春蘭」
「うがぁ」

長い黒髪を引っ張って止められる。
それを行ったのは、紺と紫の鎧を着た、金髪縦ロールの女だった。

「華琳さまぁ痛いですよ〜」
「貴方が馬鹿なまねしてるからでしょ。・・秋蘭」
「はっ、・・・そこのお前達!盗賊が向かったというほうへ向かい調査しろ」
「「「了解しました」」」

大剣の女と色違いの格好をして弓矢を携えた女が命令を出し、数人の兵が駆けていった。

「華琳様、何故全員で行かないのです?」
「この者達に聞きたい事があるからよ・・・あなたはなんとも思わないわけ?」
「??・・・盗賊ではないようですし、ただの旅の者なのでは?」
「確かにその三人は旅の者で問題ないけど」

縦ロールの女が鋭い目つきで俺の方を見てくる。

「そこの男は違うわ。あれほどの衣装は王族でもなければ持っていない、そんな格好で歩いて旅をしているなんてありえないわ・・・それに顔を見るにこの大陸の者でもなさそうだしね」
「おお〜!、言われてみれば!」
「はぁ〜、言われなくてもそれぐらい気づけ姉者」

弓矢の女が頭を押さえる。
色違いの格好をしているが顔の作りはよく似ている・・・姉妹か。

「見逃してはくれないみたいですねー」
「確かにあの服は目立つからな」

目立って当然だろうな、世界を征服した皇帝の正装なのだから。

「この方は」
「何か事情があるなら直接その男から聞きたいわ、それとも言葉が通じないのかしら?」

口調は普通だが、有無を言わさぬ圧力があるな。
役人が関われば面倒事になるのは容易に想像できる、上手くやり過ごせるならと、口を出さなかったが指名されては仕方ないか。

「いや、言葉は通じている、君はこの辺りの統治者かな」
「ええ、陳留の刺史 曹孟徳よ」

やはりこの者が曹孟徳か、・・・また女だな。

「俺は名はルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、ご察しの通りこの大陸の者ではない」
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア・・ね、西の方から来たのかしら?」
「・・・おそらく違うのだろうな」

西の方というのがどこを指しているのかはわからいが、それが俺のいた場所である可能性は皆無だろう。

「おそらく?・・・どうゆう意味かしら?」
「一から説明すると長くなるのだが」
「そう・・なら詳しい話は街で聞くわ、一緒に来てくれるわね」

拒否権など有りはしないのだろうな。

「ああ・・・・だが、この三人とはさっき出会ったばかりで俺とは関係無い者達だ」
「関係無いとは冷たいですな」

出来れば巻き込みたくないと思い言ったのだが、まぁ確かに助けられておいて関係無いは冷たいか。

「風達も同行させてもらってよろしいですかー。このままお兄さんを見捨てては夜も眠れませんしー・・・・・・ぐぅ〜」
「「寝るなっ!!」」
「・・おおっ・・・夜眠れないなら今寝とこうかと」

・・・頭に人形乗せてるだけあって、かなり変わった女のようだな。

「元からあなた達にも同行してもらうつもりよ、安心なさい別に罪人として捕らえるつもりはないわ。・・・いまのところはね」
「・・・・・わかりました、私達も同行させていただきます。」

今ある情報だけではろくな推測もたたないが、・・・すくなくとも住むところと働き口を確保する必要があるだろう・・・・・フム・・・条件をクリアするためには曹孟徳がどういう人物か見極わめないとな。






「ぜぇ〜はぁ〜、ぜぇ〜はぁ〜」

「早速話を聞いていきたいのだけど・・・あなた、大丈夫かしら?」

曹操の一団につれられて街に着いた俺達は大きな屋敷の一室へと通されたのだが。
・・遠い、しかも歩くペースが速かった・・

「ぜぇ〜・・はぁ〜、大丈・夫だ、・・長い距離を・・歩いた・から、少し・・疲れただけだ」
「少しには見えないのだけど・・そんなに遠かったかしら?」
「いえ、せいぜい十里程かと」
「体力が無いにもほどがあるだろう」

・・確かに、一緒に歩いてきた趙雲達は少しも息をきらせていない。・・・だがそれは俺の体力が無いのではなく、ここの者達が有りすぎるのだ。

「まぁ大丈夫というならいいわ・・・改めて名乗らせてもらいましょう。私の名は曹操、字は孟徳、陳留の刺史をしているわ、彼女たちは夏侯惇と夏侯淵、私の側近よ」
「夏侯惇、字は元譲だ」
「夏侯淵、字は妙才」

あの二人が夏侯惇と夏侯淵か、・・・やはり女なのだな。

「では、私も名乗らせて頂こう、性は趙、名は雲、字は子龍。諸侯を旅し、我が槍を預けるにたる主を探している」

確かにあの槍捌きは見事なものだった、歴史に名を残した趙子龍だけのことはある。しかし趙子龍といえば劉備の家臣だったはず・・・

「私も名乗らせて頂きます。・・・ルルーシュ殿申し訳ございません、先ほど名乗った戯志才というのは偽名、旅の間念のため使っていたものです。性は郭、名は嘉、字は奉考、それが私の本当の名前です」

郭奉考・・・確か曹操に仕えた軍師だったはすだ。

「見聞を広めるため諸侯を旅し。私もまた軍師として、仕える主を探しているところです」

そう言って郭嘉は曹操の目を真っ直ぐ見据える。

「風の性は程、名は立、字は仲徳。ですが今から名をcと改名するのです」
「いきなりだな、風」

本当にいきなりだな。

「びびっ、ときたのですよー」

程cは曹操を見た後俺の方を見る。

「風もまた仕えるべき御方を探して旅をしてきたのです」

程仲徳もまた曹操に仕えた軍師と記憶している。

「なるほどね、・・・でもあの辺りにいて私のもとを訪れなかったということは、私は仕える値しないということかしら?」
「なんだと!貴様ら華琳様を」
「待て姉者!まだ何も言ってないだろう」

曹操が侮辱されたと思ったのか、三人にくってかかろうとする夏侯惇。
随分と頭に血が上りやすいのだな、妹の夏侯淵が抑え役か。

「いえ、むしろ私は噂さに名高い曹操殿なら主に相応しいだろうと思っていました」
「でも、曹操さんのところに行くとそのまま仕官しちゃいそうなので後回しにしたんですよー」
「もう少し旅を続けたかったですからな」
「仕官出来ないとは考えないのね」
「自信がなければ旅などしておらぬよ」
「右に同じです」
「さらに右に同じですねー」
「ふふっ、なるほどね」

曹操は不敵な笑みを浮かべて三人を見つめる。

「いいわ、次は貴方ね」

そう言って曹操はこちらを見る

「名はルルーシュ・ヴィ・ブリタニア・・・率直言うと気がついたらあの荒野にいたのだ」
「気がついたら?」
「そうだ、それより前は日本いう国にいたのだが知っているか?」
「日本?・・・いいえ、知らないわ。聞いたことある者いるかしら?」

全員が首を横に振る。
・・・そうだろうな。

「俺はその国で・・・ある宴に向かう最中だったのだが、その道中テロリストに襲われた」
「テロリスト?・・とはなにかしら?」

・・・伝わらない言葉もあるのか。

「まぁ、賊のようなモノだ。その賊によって気を失わされ、気がついたらあの荒野にいたということだ」
「では、その賊によってあの荒野の連れて来られ、置き去りにされたということ」
「いや、その可能性は無い」
「・・・何故そう断言できるのかしら?」
「・・・ここからは推測になるのだが・・・しかもかなり荒唐無稽な話だ」

俺はこれまでの情報から立てた推測を話た。
ここが俺がいた時代から2000年以上前の過去の世界である可能性が高いこと。
曹孟徳等を歴史上の人物として知っていること。
俺が知っている曹孟徳等は男であるため、ただの過去の世界ではないこと。
何故、どうやって、過去に来たのかはわからないこと。
それらを話し、また証拠として携帯電話で歌を流してみたり、写真を撮ったりしてみせた。



「・・・秋蘭、どう思う?」
「・・・にわかには信じがたい話ですが、この携帯電話?というのが私達の常識では考えれない程のからくり技術で出来ていることは確かかと」
「そうね・・春蘭はどう思う」
「・・・・・話の内容はいまいち理解出来ませんでしてが、・・嘘は言ってないかと」

内容を理解してないのに嘘かどうかわかるのか!?

「内容を理解してないのに嘘か真かわかるのですか?」

どうやら郭嘉も同じ事を思ったようだ、顔を見るに趙雲と程cも同じだろう。

「それはもちろん、・・・勘だ!」
「「「「・・・・・・・」」」」
「なんだその呆れてものも言えないといったような顔は!!」

ようなではなくその通りなのだが・・・

「春蘭に理論的な解釈なんか始めから求めていないわ」
「華琳さまぁ、ひどいですよ〜」
「なら勘以外で説明できるのかしら?」
「そ、それは、あ〜〜、ん〜〜、え〜〜っと、おお!そうだ! 嘘を吐くならもう少しマシな嘘を吐くのではないかと」
「あら!、以外とまともなこと言うじゃない」
「姉じゃ、熱でもあるのではないか!?」
「秋蘭まで〜」

主と妹からの酷い扱いにいじける夏侯惇

「荒唐無稽ではあるけど、証拠や話を聞くにまるっきりの嘘だとも思えない、・・・・別の世界から・・ね」
「つまりこのお兄さんは天の御遣いなのですよー」
「天の御遣いだと!?」

天の御遣い・・・先ほどもそんなことを言っていたな。

「管輅の占いね」
「そうです、風達は流れ星が落ちるのを見てあそこへ行き、お兄さんに会ったのですよー」
「だが、それはただの占いなのだろう。俺自身そんな怪しげなモノになったのつもりはないぞ」
「未来から来た、なんてのも十分怪しいけどね」

・・・確かに。

「ただの占いが大陸中に広がるほど、世が乱れているときに、星の落ちた場所に別の世界の人間が現れた。偶然とは思えません」
「天の御遣い・・・面白いわね」
「華琳様?」

何かを思いついたのか曹操が俺の方を見つめる。

「あなたが本当に未来から来たかは置いておくとして、この大陸の者でないことは確か。でもどうやって来たか解らないということは、当然帰り方も解らないということよね」
「・・その通りだ」

・・・もし帰る方法が解っていたとしてもとしても・・・・あそこにはもう俺の居場所はないのだがな。

「なら私の所で働きなさい、天の御遣いとしてね」

・・・どうやって切り出そうかと思っていたが、向こうから言ってくれるとはな・・・天の御遣いとしてか。

「・・・なるほど、天の御遣いを抱え込むことで曹孟徳が天の意を得たと噂を流し、民衆の支持を得ようと言うわけか」
「話が早くて助かるは、その服と貴方の容姿なら信じる者も多いでしょう、頭も回るようだしね・・・それに他に行こうにもその格好では襲ってくれと言っているようなものよ、私の元にいれば身の安全と衣食住は保障するわ」

・・・俺なら天の御遣いを演じることも可能だろう、了承すれば条件はクリアされるが・・・相手が曹孟徳であるなら聞かねばならぬだろう。

「質問があるのだがいいだろうか?」
「ええ、何かしら?」

「曹孟徳よ、何を目指す?何を望む?」




視点:曹操


「曹孟徳よ、何を目指す?何を望む?」
「「「「「!!」」」」」

ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの雰囲気が一変した。
これは覇気!?・・・・それにしてもこれほどのものは・・・
深い紫色の瞳が私を写す。
明らかに上からの問、いつもなら春蘭が黙っていないがこの覇気に呑まれて何も言えないでいる、秋蘭も他の三人も同様・・・いえ、それも当然か・・・これは王への問。

「漢は・・この国は腐っているわ。天子の威光は地に落ち、官僚は汚職にまみれ、そして大陸中には盗賊がはびこっている。民衆は高い税ために飢え、毎日を盗賊に怯えて暮らしている。」

答えれるのは王のみ。

「私はこんな国は認めない!」

なら答えてあげましょう。私は・・


 「私はこの国を壊し!


 そして新たに強い国を創る!  


 それが私の歩む覇道よ!!」


だから


「私には力が必要なの、敵を倒し民を守る力が!・・私に力を貸しなさい、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア!」




視点:ルルーシュ


「私には力が必要なの、敵を倒し民を守る力が!・・私に力を貸しなさい、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア!」

・・・・・これがこの世界の曹孟徳か・・・ふふっ なるほどな。


「いいだろう! 結ぶぞ、その契約!!」



もし俺がこの世界に来た理由があるのだとしたら、それは・・この者に俺と同じ道を歩ませないためかもしれない。



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