機動戦艦ナデシコ 逆行のミナト
第十三話 『秘密』は一つじゃない 巻の四
《第三者(神)SIDE》
アキト達が街から帰ってくると、オモイカネが即座に出迎えた。
やはり寂しかったらしい。
さんざんルリたちに構ってもらった後、プロスに留守中にあった通信の事を報告する。
「連合軍からですか……。一体何があったんでしょうねぇ?」
プロスがいつもと変わらぬ表情のまま、呟く。
ちなみに軍からの橋渡し役であるアクア、カグヤ、そしてキノコはというとやっぱり艦を下りていたので連絡が着かなかったため、軍司令部は完全に無視される格好になったが……ナデシコを甘く見るからそうなるのである(笑)。
「ま、仕方ありませんな。お話を伺うとしましょうか」
そう言って通信室に向かうプロス。
なぜブリッジで通信しないかというと……目の前の光景が向こうに見られると面倒だと思ったからである。
その光景とは……。
クリスマスパーティーの準備をするナデシコクルーの姿(コスプレ有り)である。
タダでさえそういう事に五月蝿い軍人がそれを見るのはマズイというプロスの判断であった……。
『いいかね!? 補給が済み次第ナデシコは月に向かい、状況を確認するように!』
そう言って通信が切れたモニターを見つめるプロス。
「やれやれ……月の調査、ですか……。ご自分ですればいいのにこっちに回してくると言うことは……十中八九、嫌がらせでしょうなぁ」
指令とは『月との通信が二週間前から途絶えており、その原因を調査するように』というものであった。
通信が通じないなら直接向かえばいいのでは……と思うのが普通だが、現在木連艦隊と連合艦隊が月軌道上で小競り合いをしておりそれもかなわなかったのだ。
連合艦隊の戦力が開戦当初より上がっているとは言っても木連の戦艦が新しい武器を使用し始めたらしく、現状では拮抗していた。
地球側にとって幸いだったのは、なぜか木連は月面のコロニーに攻撃をする事が無かったことである。
ある者は『月を橋頭堡とするためだ』といい、またある者は『月に何か眠っているのかも知れない』という。
『木星蜥蜴』でない地球人にその理由は不明のまま……、ただ月面は危険が無い、ということで住民の疎開も無く一般人が生活しているのだった。
パーティーの買い出しに出ていた連中が帰還し、パーティーの準備は一気に進んでいく。
そんな中、ブリッジでは新たなクルーの紹介が始まっていた。
「イツキ・カザマ少尉です。よろしくお願いします!」
イツキとの再会である。
各々声をかけていくブリッジクルーたち。
そしてミナトの番になる。
「ほらね、また会えたでしょ?」
「そうですね。お久しぶりですハルカさん」
ピシッと折り目正しい敬礼するイツキに苦笑するミナト。
「ここじゃそんなのは意味無いわよ。フツーでいいんだから」
「は、はぁ……」
釈然としない表情のイツキだったが……それはすぐに理解する事になる。
クルーのほぼ全員が出席する事になったこのクリスマスパーティーは格納庫を使用してスペースを複数に分けていた。
ホウメイを中心に料理に自信のあるクルーが料理を用意した『料理スペース』、女性クルーを中心とした『ゲームスペース』、そしてウリバタケ率いる整備班が中心となったねる○んマシンなどを使った通称『色欲スペース』と言う具合である。
なお、ユリカが料理スペースに参加しようとしたがアキトやヤマダを中心とするクルーたちに阻止されたのは言うまでも無い。
「と言うわけで新しいパイロット、イツキ・カザマさんでーす! みんな仲良くしてあげてくださいね〜!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「は〜い!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
壇上からの開催の挨拶の前にイツキを紹介するユリカとそれに答えるクルーたち。
「ちょ、ちょっと艦長!? 転校生の紹介じゃないんですから!?」
そしてその紹介のされ方に焦るイツキ……。
早速、クリスマスパーティーに……いや、ナデシコの流儀に引きずり込まれるイツキだった……。
「しかし、あの時の娘がやってくるとはねぇ」
ウリバタケが鼻の下を伸ばしている。
「とりあえず『最初にエステで戦艦を落とした連中の操縦技術を学んでこい』と言われまして……」
少し照れながら言葉を返すイツキ。
「ハッハッハ! ま、これでアンタもこのナデシコの一員ってワケだ!」
「はい、よろしくお願いしますホウメイさん」
ホウメイとも以前に会っているため話が楽に進む事にイツキは安堵する。
それ以外のクルーとも話が進んでいき……次は同僚となるパイロットたちへの面通しとなった。
「さて、貴女の同僚となるパイロットの方たちは…と、……ああ、あそこにいました」
プロスの向ける視線の先に赤い制服の集団がいる事をイツキは確認した。
殆どがイツキの知らない顔だが、顔だけは一応知っている人物が二人いるのを見てパイロットの損耗があったのかと思いプロスに尋ねると、火星でブリッジクルーが一人死亡しただけでそれ以外のクルーに死者はいないと聞いたイツキは多いに驚いたのだった。
「え〜、パイロットの皆さん。少しよろしいでしょうか?」
「やあ、プロス君。どうしたんだい?」
アカツキが黄金色の泡の出る大人の飲み物を持って答える。
勿論それはアルコール飲料……ではない。パイロットは飲酒厳禁である。
中南米で作られるインカコーラに苦味を追加したビール風清涼飲料水であり、こういったパーティーでパイロットが飲める数少ない酒代わりの飲み物である。
「はい。カザマさんとの顔合わせをしておいて欲しいのです。他の部署の方々とは概ね終了しましたので」
「オッケーオッケー。大丈夫、僕に任せてくれれば怖い事なんて何にも無いか…ぐはっ!?」
「ドサクサ紛れになにやってんだよ、オメーは」
イツキの手を掴んで速攻で口説きにかかったアカツキだが、リョーコの踵落としで頭を抱えてうずくまる事になるのであった。
「スバルさんありがとうございます。ではお願いしてよろしいでしょうか?」
「ああ、任せときなって」
リョーコが請け負った事で安心したプロスは別の用事があると言う事でその場を離れるのだった。
「んじゃ、まずは自己紹介。オレがスバル・リョーコだ。乗機はあの赤い奴な」
「イツキ・カザマです。では貴女があの『紅の女獅子』でしたか……」
それは尊敬のまなざしだった。
「な、なんか照れるな……。んでもって、コイツがアマノ・ヒカル。あの黄色い奴な」
「よっろしくぅ〜!」
「こちらの方が……」
今度は逆に戸惑いのまなざしに気づいたヒカルがイツキに尋ねる。
「アタシにも何か二つ名があるの?」
「ええ、その……。『黄金の腐女子』と……」
「当たっているのは事実だけど……」
ヤバそうな話になるのを感じたリョーコが話を変えるべくイズミを引っ張ってきた。
「次! コイツがマキ・イズミ! 乗機はあの水色の奴!」
「イツキ・カザマです。あの……、不躾な質問なんですが、なんで『ブリザード・コメディアン』って呼ばれているんですか?」
知らない、と言うことは人を勇敢にさせるらしい。
「……フフフ……。それはね〜……」
「すっっっっっっっげぇ寒いギャグを吐くんだよ、コイツは」
何かを言おうとしたイズミのセリフを遮って答えるリョーコ。
まだ凍ってしまうワケにはいかないのだ。
リョーコは次にヤマダの前にイツキを連れて行く。
「よお。今度は敵同士にならずに済みそうだな」
「そうですね。え〜と確か……タナカ・サブロウさんでしたっけ?」
過去に顔を合わせている気安さから会話に入るも、いきなり名前を(それも本名を呼ぼうとして)間違われると言う珍しい体験をするヤマダ(笑)。
「違う!! 俺の名前は……!」
「あれ? お前ら知り合いか?」
二人の会話に突っ込むリョーコ。
「ええ。まだステーションさくらに配属されていた頃にナデシコの捕獲命令が出た事があって……その時に。私はサツキミドリまで同乗して降りたので」
その説め……げふんげふん、もとい話に頷いて納得するリョーコだった。
「そっか。俺やヒカルやイズミが乗ったのはサツキミドリからだからな。だがコイツは本名はヤマダ・ジロウだぜ? 芸名がダイゴウジ・ガイだ。先日ようやく一部の人間には芸名で呼んでもらえるようになった。乗機はあの悪趣味なカラーの奴な」
「ちょっと待てリョーコ! 俺の名前は芸名じゃない! 魂の名前だ!! それに悪趣味は無いだろう!」
「ヤマダ……というともしかしてあの『疫病神』ですか!?」
軍時代の噂を思い出すイツキ。
それほどまでにヤマダは問題児だったと言う事だろう……。
「否定できねぇな……」
当初のヤマダを思い出し、苦笑いで答えるリョーコだった。
「リョーコ! 嘘でもいいから否定しろよ!!」
「でもってコイツが知ってるかも知れないがテンカワ・アキト。この艦じゃあ、ヤマダに次いで古参のパイロットだ」
リョーコはヤマダの言葉を軽くスルーしてアキトを紹介に入る。
「よろしくね、カザマさん」
ここでも無自覚に発動するテンカワスマイルにイツキはちょっと頬が赤くなる。
「コックと兼任だから生活班の制服だがパイロットでもある。訓練や出撃は一緒だからな。ちなみにこの中で最初にエステで戦艦を墜としたのはコイツだ」
自慢げに語るリョーコ。アキトの肩を抱き、まるで我が事のように喜んでいるが……遠くからルリとラピスとキラが睨んでいることに気づいていないのは幸いなのかもしれない。
「コック……。じゃあまさか貴方が……?」
「……俺も何か変な二つ名があるの?」
イツキの驚愕の表情からかなり深刻な二つ名が付いているのではと不安になるアキト。
「その……軍内部じゃなくて、某準宗教団体の中でだけらしいんですが……。…………『ロリコック』とか『光源氏計画男』とか『幼女マニア』とか……」
ガン!!
躊躇いながら言われた言葉に、予想を斜め上に裏切られたアキトは思い切り壁に頭を打ちつけるのであった……。
そのアキトを横目に見ながらヤマダが尋ねる。
「なあ、その宗教団体って……」
「……『ヒンヌー教』と言うところです……。以前勧誘があったときにそんなことを言っておりまして……。『さあ! 貴女も我々の女神をあの犯罪者から救い出しましょう!!』なんてイッちゃった目で言ってきたんで、とりあえず縛り上げて警察に突き出してきたんですけど」
「さっきの連中かよ……」
……布教までやっているのか、ヒンヌー教は……。つーか軍人まで勧誘してるのか?
頭痛がしてきたリョーコは最後の一人を紹介する。
「で、最後にコイツが『アカツキ・ロン毛』こと『大関スケコマシ』だ」
「……大胆なお名前ですねぇ……」
「ちょっと待って!? っていうかなんで信じるの!?」
リョーコの話をあっさり信じるイツキに抗議するアカツキ。しかし……。
「「「「「普段が普段だし」」」」」
アカツキはイツキ以外の全パイロットから言われ、少々凹んでいた(笑)。
《ミナト SIDE》
始まるパーティー。
いつもの乱痴気騒ぎ。
それに突入していくクルーを見ながら、私はアクアちゃんとの話を思い出していた……。
━━━アクアちゃんがナデシコに着任した日の夜━━━
「で、話って?」
アクアちゃんに呼び出された私はついて来ようとするエリナを何とか押し止め……切れなかったので結構芸術的に縛り上げてからアクアちゃんの部屋に訪問した。勿論内容は記録しないようオモイカネには言っておいた。
「はい……。以前、お姉様に『知らなければいけない』と言われたことを調べてみたんです……」
「それで?」
俯いて話すアクアちゃんに先を促す。
「……お姉様は知ってらしたんですね……。クリムゾンが木連と裏取引していることを……」
「まあね……。このままだと貴女のお姉さんのシャロン・ウィードリンも木連に弄ばれるようになるわよ。なにせ野心だけで渡ってきたから、木連にとっては格好の道具ね」
「姉のこともご存知なんですね……」
「まあ、ね……」
言葉を濁す私。
未来でアキト君が死んでしまう直前の事件である以上、忘れるわけにはいかなかった。
「私はどうしたらいいんでしょう……?」
「その答えが欲しくてここに来た、ってことね」
「はい……」
私の言葉に小さく頷くアクアちゃんは俯いたままだった。
「貴女はどうしたいの?」
俯いたままのアクアちゃんに私は尋ねる。
「以前は……死にたいから戦争は好都合でした……。でも……今は誰にも死んで欲しくありません……。お姉様と別れたくないです……」
顔を上げたアクアちゃんのその瞳は以前のように壊れているわけではなく……真摯な眼差しであった。
「なら……頑張って戦争を停めるしかないでしょうね。一人に出来る事なんてタカが知れているけど……でも何もしないよりは遙かにマシよ。一人の行動を呼び水にして戦争を停めるようにしないと、ね?」
そう言って私はアクアちゃんにウィンクする。
「お姉様……」
アクアちゃんは泣きながら私に抱き付いてきた。
ここで終われば綺麗に終われたのだけれど……。
次の瞬間、アクアちゃんは私をベッドに押し倒したのだった……。
「ちょ、アクアちゃん!?」
「お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様おねえさまおねえさまおねえさまおねえさまオネエサマオネエサマオネエサマONESAMAONESAMAHHHHH!!」
だんだんと言葉が壊れながら胸に顔を埋め……というかグリグリしてくるアクアちゃんに、私はうっかり主導権を奪われてしまった。
「アクアちゃん、止め……!」
「お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様おねえさまおねえさっ、ごふぅっ!?」
色々と危うくなってきた瞬間、誰かがアクアちゃんを蹴り飛ばしたおかげで私はアクアちゃんのおっぱいホールドから開放された。
そして、目の前に伸びた足の先には……さっき縛り上げてきたはずのエリナがいつの間にかアクアちゃんの部屋に入ってきていた。……その身体に縄の跡を残した状態で、であるが。
「え、エリナ……。ありがと、助かっ……」
「ちょっとそこのアクア・クリムゾン! 貴女私のお姉様に何をしているのよ!?」
感謝の言葉を言おうとした私だったが、エリナの言葉に無言になる。
「いたた……。痛いじゃないですか!? 私とお姉様の逢瀬を邪魔しないでください!」
「はっ! 後から出てきた泥棒猫が何言ってるのよ! 私とお姉様との関係は貴女との関係よりずっと長いんですからね!」
言い合う二人。しかしそのセリフの内容は徐々に危険になっていく。
「じゃあ、飽きられたんでしょうね? 飽きていないならずっと貴女を可愛がってくれているはずでしょう?」
「私とお姉様の愛は不滅よ!! この間だって一晩中可愛がってくれたわ!!」
「でも最近はお見限り、と。で、相手にされなくて悔しいからお姉様をつけまわしていたわけですか。まるでストーカーですね?」
「ストーカーと一緒にしないでちょうだい! 私とお姉様の関係はそんな不純なものじゃないわ! ……貴女だってお姉様を押し倒さなければ相手をして貰えないんでしょう?」
「ふざけないでください! 私の愛は純粋にお姉様をお慕い申し上げるものであって、肉欲から発生する貴女のものとはまったくの別物です!」
私の目の前で発生した言い争いはさらに不毛な方向へ発展していく。
「…………! …………!」
「…………! …………!」
それが五分も続いたころ……よく語彙が尽きないなー、とか思いながら見ていた私も行動に移る。
「だから今後はお姉様に近づかなっ、きゃっ!?」
「きゃっ!?」
お互いしか見ていなかった二人を横からベッドの上に突き飛ばした私は、服を脱ぎ始めた。
「あ、あの……」
「お姉様、何を……」
いきなり服を脱ぎだした私に戸惑う二人だが、それを無視して二人の服に手を掛ける。
「貴女たち……どうして仲良く出来ないのかしら……?」
私は笑顔だった。それも最高とも言える笑顔であったことは間違い無く言える。
しかしその目は笑っていなかったことも自覚していた。
「お、お姉様……」
「わ、私はただお姉様のためを思って……」
ベッドの上で手を取りあって怯える子猫が二人……。
「そんなに仲良く出来ないっていうのなら……捨てちゃうわよ?」
その一言に二人は凄まじい反応を示した。
「わ、私は仲良くします! 出来ます!」
「私だって出来ますわ!」
何が何でも捨てられたくない。
そんな表情をした二人が必死に迫ってくる。
「じゃあ……証拠を見せてもらいましょうか?
「証拠……」
「ですか……?」
私の言葉に、きょとん、とする二人。
具体的に何をすればよいか判らないらしい。
そこで私は二人の服に掛けていた手を思いきり引っ張った。
当然服は破け、二人はベッドの上でさらにバランスを崩して転んでしまう。
「お、お姉様……」
「い、いったい何を……」
さっきまで喧嘩をしていた相手に、お互いに擦り寄って怯える二人の図は……何と言うか仲の良い姉妹の様だった。
「きまってるでしょ〜。三人で、な・か・よ・くするの(はぁと)」
そう言って……私は二人を同時に攻略にかかったのだった……。
結果だけ言えば、エリナとアクアちゃんの二人はとても仲良くなった。
その仲の良さは……二人っきりならまるで恋人同士のように見えるほどである(汗)。
やりすぎたかな〜、と思いつつも反省はしない。
これでネルガルとクリムゾンが仲良くなってくれればいいんだけど……。
「「お姉様〜、こっちで一緒に楽しみましょ〜!!」」
そんなことを考えていたら、二人から呼ばれた。
ちなみに二人の格好は……エリナが白猫レオタード、アクアちゃんが黒猫レオタードである。
二人とも私の「ネコ」であることを証明するためだ、なんて言ってるけど……私が一緒になりたいのは……あの人だけなのよね……。
何とかしないと駄目かぁ……。
そんなことを思いながら二人に手を引かれパーティーの輪の中へ連れていかれるのだった……。
《第三者(神)SIDE》
パーティーも終わり、日常に戻ったナデシコ。
月に向かうための準備に入っている艦内はいつにも増して騒々しい。
そして再開する、ルリ・ラピス・キラ・カグヤ・メグミ・サユリのアキトへのアタック。
ミナトは一歩引いているが最近ではエリナがアキトに迫っている。
……理由はボソンジャンプの実験体としてなのだが。
それを見たウリバタケが悪態をつく。
「くそ! なんだってテンカワの周りだけいつも桃色空間なんだ!?」
「本当にそうですよね! 巷じゃアイツのエステと同じピンクのエステのぬいぐるみが女の子に売れまくっているらしいし……。……桃色……?」
「どうした?」
いきなり考え込みだした整備班員Aにウリバタケが尋ねる。
「班長……まさかとは思うんですが……」
「なんだ?」
「アイツのエステがピンク色だから、ってことはないですよね?」
「………………………………………………そんなことあるわけないだろう……。ボケたこと言ってねぇでさっさと仕事しろ、仕事! おい! そこにあるペンキ持って来い!」
整備班員Aの言葉に思わず数瞬考え込んだウリバタケが周囲に檄を飛ばす。
「は、はい! でもこれ黒っすよ?」
持ってきたペンキの色がアキトの機体の色と違う事に気づいた整備班員Aがウリバタケに尋ねる。
「いいんだよ! とりあえずテンカワの機体のボディの剥げた色を塗りなおすぞ!」
「「「「「「「「「「おおっす!!」」」」」」」」」」
こうしてアキトのエステの色は黒く塗装されたのであった(笑)。
あとがき
ども、喜竹です。お待たせしました。
実に三ヶ月ぶりの本編更新……。
申し訳ありませんでした!orz
次作はもう少し早くなるようにしますのでどうかご勘弁を。
さて、アキトのエステが黒くなりました(笑)。
それがどんな影響をもたらすかは……次回以降と言う事で。
また『インカコーラ』とは中南米で発売されている金色のコーラの事です。
国立科学博物館で飲んでみましたがペプシより若干甘い感じがしました。
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