【私達はロストナンバー…不完全体…不完全なものは破棄される…】

【…!!】

【オメガはレベル1ではなく、私達を使ってくれた…】

【レベル1?】

【機密。知らされる必要の無い事】

【なら、貴女達を保護します。ですから…】

【無駄。私達は破棄される時以外に、オメガから離れる事は無い…】

【…それは】

【それに、もう既に貴女の方が限界】


周りを見てみると、エスカロニアのガンポッドは残り1機まで減りこんでいました。

私は急いで意識を元の状態に戻します…

意識が浮上し、視界に映るヤガネのウィンドウが私に挨拶してきます。


『ルリ、おかえりなさい』

「ヤガネ、ご苦労様。待たせてすみません」

『いえ、こちらこそすみません…戦闘力が30%を切りました…』


私は周囲に無数のウィンドウを展開し、現状を把握します。

…予想以上に酷いですね。ガンポッドは使用不能といっても良いかもしれません…

最後のガンポッドは一発だけ弾が残っています。

グラビティブラストのチャージは終了していますが、もし外せばチャージに2分弱かかるでしょう…

そして、ヤンマ級と小型ジンタイプ…どちらを撃っても、その隙が致命的です。

私達は今、確実に追い詰められていました…





機動戦艦ナデシコ
〜光と闇に祝福を〜





第十一話「さらりと出来る『運命の選択』」その10


オメガの乗る青い小型ジンの前に、赤茶色の小型ジンが立ちはだかる。

…エネルギーのストックは、今し方2分を切った。

しかもさっきの狙撃の所為で、エグザの左足は悲鳴を上げている…繋がっているのが不思議なくらいだ。

無理に動かそうとするとバランスが崩れるので、高度な機動は難しくなっている…

やれば出来なくは無いだろうが…注意をそらす事ができなければ当てられないだろう。

―――最後の賭け、と言う奴かな……


『どうした、こないのか? …なら、行ってやれ』

『了解』

「…」


やはり有人機…しかも、子供を乗せているのか…

オメガの寿命はもう尽きている…

部下として“従順なマインドコントロール下にあるマシンチャイルド”を選んだのも、当然かも知れない。

だが…俺がそれを許す訳には行かない。


手札は一枚、伏せられる物でもない。

…ならば…


小型のジンは加速し、俺のほうに向かって突進して来ている。

周囲にバッタを数機従えているが、これは<いざという時の盾>にしようとしているのは今までから簡単に推察できた。

普通に行ったんじゃ、倒せた所でそれで終わり…

戦闘機動で一撃するより、弓の方がまだマシか…


ナデシコ周辺のジャミングはもう直ぐ晴れる。

もっとも、通信関係は封鎖されているだろうが…

それでも、オメガが通信を入れる気ならいつでも出来る状態にある、という事だ。

そういう意味で、奴が小型ジンにいるのはむしろ僥倖だろう…戦艦ほどの通信設備は無いからな…


「時間はあまり無い…エネルギー切れも近く、手札は見え見え…

 だが、やるしかないよな…カモにはカモの戦い方がある事を見せてやろう…!」

『…』


俺は矢を番えて弓を引き絞り、そのまま相手に接近する。

小型ジンもまた俺に対して肉薄し、手持ちのライフルで掃射してきた…

俺はエグザの軌道を整えつつ、何とか直撃を避ける――

しかし左足を庇いながらの機動では流石に躱し切れず、フィールドにいくらかの負荷が掛かった。

このエネルギー残量では、あと10秒持つかどうかだな…


「オオォォォォ!!」


十分に距離を詰めた俺は、雄叫びと共に弓を放つ――


『……!』


目の前の赤茶の小型ジンは至近距離で放たれた矢を、体を左にそらしながらどうにか避ける…

しかし矢が向かうその先には、本当のターゲット…オメガの乗る青い小型ジンがいた。


『そうだな、そうでなくては! だが遅い!』


奴は小型ジンの位置を少し変え、矢の軌道からずれようとする。

しかし、次の瞬間硬直した…

避けた先には、俺がディストーションアタックで突撃をかけていたからだ。


『クソ! この程度の事で!!』

「沈めえェェッ!!」


エグザの拳がディストーションフィールドを破り、拳を奴の機体に叩き込む…

しかし、ボディに拳が食い込む直前…エグザのバッテリー残量はゼロになった。

エグザの拳は徐々に下を向き、虚しく空を切る……

バッテリーの切れたエグザは唯の箱だ。

空に留まれる筈も無く、俺は墜落していく…


『奇跡はここまでが出納めだな…そろそろ止めと行くか…』

「なに!?」


墜落したエグザだが、損傷自体は大した事は無い。緊急用の推進剤で噴射したお陰だ…

だが、内外を繋ぐモニターは生きているものの、駆動系はエネルギー不足でダウン状態だ。

それでも、内蔵の非常用バッテリーでどうにか通信だけは繋がっているらしく、オメガは俺に話しかけてくる…


『キサマは悪運が強い。キサマとの戦い…正面決戦で何とかしようなどと、最初から思っていなかった。

 キサマが<どこまで逆転する>のか…それを確認したかったからこの場に出て来ただけだ。

 …だがそれも、これで最後だ!』


オメガはその言葉と共に俺に向かって接近、そしてライフルを向け俺に止めを刺しにかかって来た…

俺が、見つかるのを覚悟で機体から脱出するべきか、それともパーツの分離を行って少しでも逃げるべきか考えていた時――


『オメガ…急接近するミサイルが…』


突然…オメガの小型ジンのフィールドに、ミサイルがぶつかった。


ドォォォォン!!


『何!?』


オメガの青い小型ジンは咄嗟にディストーションフィールドを強化し、それを防ぐが…

ミサイルは何故か爆発もせずにオメガを押し込む。


『ク…ミサイルだと!? 何故爆発しない!? 信管を抜いているのか!?』


オメガはミサイルを後方に投げ飛ばし、体勢を整えようとする…

だが、オメガが戸惑っている内にもう一つ<何か>が接近していた。


『さあ、いってみよーかァ!!

 ガァイ! スゥーパァ〜! ナッパァーーッ!!』


ピンクの顔に青空色のフレーム――間違いない。ガイの奴 だ!

ガイはオメガの乗る小型ジンに向かって、拳を突き出しながら突進していく…

途中何度かバッタどもが割り込んでくるが、全て爆散。

ガイの突撃は僅かもスピードを落としていない…


『ッカ〜! 雑魚が幾ら寄ったってこのガイ様は止められないぜ!』


だが…赤茶色の小型ジンがガイの前に踊りだし、ガイに向かってディストーションフィールドを展開した。

ガイは構わず、力で押し込もうとする…

スピードが違う為、ガイが有利に見えたが…元々出力の違う2機がぶつかったのだ、徐々に不利になるのは目に見えていた。

実際ガイは押され始めている…


『ク、クソッ! 何てバカ力だ! このガイ様の必殺技を止めるとは…うおぁ!?』


結局ガイの空戦フレームは押し負けて、俺の機体の上空に飛ばされてきた。

ガイには悪いが、これは機体性能の問題だから仕方ない。

だが、ガイの奴…単身乗り込んできたというのか…


『おいアキト、手を貸せ! 血の通わないトカゲどもに俺達のゲキガン魂を 見せ付けてやるんだ!!』

「そうは言ってもな…エネルギー切れで動けないんだが…」

『おっと! そういや言ってなかったな…博士からの伝言だ! 弓のエネルギーパターンを伝達にしてみろってよ!』

「伝言?」


博士って、セイヤさんの事だよな…

弓のエネルギーパターン? 非常用バッテリーで心許ないが、IFSを起動して調べてみる…

すると<シュヴァルツ・リースリング>には、エネルギー供給に関して2系統のやり方がある事が分かった。

一つはエグザからの伝達…そしてもう一つは、アンテナを経由しての長距離伝達…

今まで放った矢をアンテナとして、重力波ビームを中継する事が出来るらしい。

俺は今までに十本近い矢を放っている…

一本ごとに20km程度重力波ビームを飛ばす事ができるらしいので、ナデシコ“の在った所”まで届いて当然なのだが…

ナデシコが動いているにも関わらず、それが届いていると言うのは…恐らくセイヤさんがアンテナを置いてきていると言う事か。

気を使わせているな…だが、教え忘れるなんてな…それとも…


『お! 起動しやがったな? このビデオレターは閲覧後、自動的に消滅するぞ! しかし、やはり役に立ったようだな〜

 これぞ、こんなこともあろうかと開発しておいた新型エネルギー供給システム!

 中継ポイントアローだ!


あう、何てネーミングセンス……ディストーションブロックの時の比じゃない(汗)

ビデオレターに突っ込んでもしょうがないので、俺は早速パターンの変更を行った。

重力波ビームがシュヴァルツ・リースリングを通してエグザに供給される…

エグザのエネルギーが回復してきた…モニターも徐々に展開し、左足を除いてほぼオールグリーンである事を告げている。


「よし、いける!」

『このダイゴウジ・ガイ様に感謝しろよ!』

「ああ、当然だガイ! ありがとう!」


まあ、言い忘れてたセイヤさんには少し腹が立たなくも無いが…緊急の事だ。仕方ないのだろう…

ガイはストレートに感謝された事が無いからか、照れている風だ。

…考えてみれば、俺はガイの事をそれほど知らない事に気付く。

ガイが死んだ時は俺が一番の親友で、何もかも分かっていると思っていたが…

しかしそれは、失った者特有の傲慢だったのだろう。

それに…俺はガイを<死の象徴>として、ある意味恐れてもいた。

セイヤさんとエステのガレキを作った時の様に、どこかでガイを偶像化していたのかもしれないな…


『それより、さっさとしろ! 俺達のゲキガンパワーを見せてやろうぜ!』

「やるのか!?(汗)」

『やらいでか!』

「いや、俺のエグザ、左足がやられて高速機動は無理があるんだが…」

『それくらい、気合根性で何とかなる!』

「…わかった」


そう言って、俺はガイの空戦の所までエグザを飛ばせる。

オメガの青い小型ジンはそんな俺たちを待ち構えるように、空中に浮いていた…

その手前には、赤茶色の小型ジン。

そして…バッタだけでなく、カトンボまでもが周囲に集まっている。

更に、後方ではヤンマがグラビティブラストのチャージを行っているのが見て取れた…


『忌々しいな…また<奇跡>でも起こすつもりか?』

『おう! 何度でも奇跡を起こす! それが主役ってもんだ!』

『主役…そうだな。確かに…さしずめ、俺は敵役か…だが!』


オメガの小型ジンが右手を下ろす仕草をすると、十数機のカトンボやヤンマから一斉にグラビティブラストが放たれた。

俺たちはそれを回避する為、ほぼ最高速で上空へと逃れる。

そして、グラビティブラストは嵐の様に空間を引き裂き、俺達の直ぐ下を通り過ぎた…

その威力は地面をうがった穴から推し量る事ができる…俺達がチリになってもおつりが来る事は確実だろう。


『ふう、やばかったな…』

「…だが、やるなら今だ」

『おっ、その気になったか! じゃあ…行くぜ!!

「ああ」


既に百機近いバッタが俺達に向かってきている。

しかし、ガイは喜び勇んでその中へと飛び込んでいく…


『じゃあ、俺から行くぜ! ゲキガンフレアー!』


ガイが突撃して直ぐに、十機単位でバッタが爆散する。

俺は呼吸をあわせるようにしながら、ガイの後を追いかけた…


「はあ…アメジストの奴、喜びそうだな…」


そんな事を呟き、俺はガイの空戦フレームの真後ろから更に加速――

ガイに重なるように機体の速度をあわせる…!


「貫け!」

『「ダブル! ゲキガンフレアー!!」』


俺達の機体は接触するぎりぎりの所で距離を維持しつつ速度を上げ、互いの拳にディストーションフィールドを集中する…

敵の状態に合わせて別々の敵に拳を繰り出したり、同じ所に攻撃を当てたりしつつオメガの周辺を駆逐しながら一巡した。

そして…オメガの小型ジンに向かって突撃をかけようとしたが―――

やはりまた、赤茶の小型ジンが立ちふさがる…


『さっきと同じと思うな! 俺達には、お前達には無い友情がある!』

「…」


いや、そんな事を恥ずかしげもなく叫ばれても…(汗)

俺は返答に困りつつも、同時に突撃した…

赤茶の小型ジンは前回と同様に食い止めにかかるが、今回は速度とパワーが違う。

徐々に押し込み、そしてディストーションフィールドを突き破った。

その勢いのまま小型ジンを弾き飛ばし、オメガへと向かう…


『アキト、止めを刺さなくてよかったのか?』

「ああ、アレさえ倒せば問題ない」

『よっしゃあ! じゃあこのまま行くぜ!』


俺達は一度落ちた速度を再び上げるため、加速に入る…

そして、ある程度速度のついてきた時を見計らい、再度突撃をかけようとしたその時――


『ククク…死ね』


奴の通信と共に、頭上から無数のグラビティブラストが降り注いでくる。


――不味い!


俺はガイを突き飛ばし、自分も反対側に逃げた。

しかし完全回避とは行かず、所々に損傷が出来る…

くそ、上空の艦隊を使ったのか…

ッ! ガイは!?


「ガイ! ガイ! 返事をしろ! ガイ!」

『うるせぇ! 生きてるよ…ガイ様は不死身だ! それに、死ぬ 時は仲間をかばってでないと格好がつかないしな…』


そう言っている所を見ると無事みたいだが…

粉塵の晴れた地面の上で、空戦フレームは半壊していた。

…第二射を受ければ確実に死ぬ…

俺は、ガイのコミュニケを切るとオメガとの通信を繋ぐ。


「オメガ…聞いているのだろう…? 俺と一騎打ちをする気は無いのか?」

『ククク…とうとう音をあげたか…だが、お前と一騎打ちをする事で俺に何のメリットがある?』

「お前の目的は俺に復讐する事じゃないのか? 無人兵器に撃たせて、それで満足か?」

『安い挑発だな…俺がもう一度上空の艦隊に命令を下せばそれで終わると言うのに、乗るとでも思ったか?』


そう、オメガは乗らないだろう…だが、俺は仲間を信じる…!

今はそれしかない…ガイを救う為に。

その為には、時間を稼がなければ…


「お前は何故、俺に復讐する?

 そんな事をするよりも、お前にはする事があったんじゃないのか?」

『どういうことだ…?』

「お前が俺に復讐をするのは“復讐をすべき理由”があったからだ」

『当然だ』

「今なら、その理由を助けられるんじゃないのか?」

『クククッ! 何を言うかと思えば! 俺がその事を考えなかったと思うのか!?』

「ならば、何故ここにいる?」

『必要なくなったからさ。あのお方は自力で助かる事だろうよ…

 それに、俺はこの時代の人間ではないからな…あの方の元には、既に“必要な人間”がいるのさ』

「そうか…」

『貴様こそそんなことを聞いてどうするつもりだ? 時間稼ぎか?

 だが、ナデシコは既に捕捉している。向こうは既に限界が近いようだぞ?

 それとも、エスカロニアか? あれも戦闘力が殆ど残っていない。今更どこに助けを求めるつもりだ?』

「それはな…」


俺がその一言を言い終わる前に、凄まじい光で全てがホワイトアウトする……



ゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォ!!!!!



凄まじい爆風と音が続いてやってきた。

俺は機体の体勢を維持できずに落下したが、何とか地面に激突する寸前で立て直す事に成功した。

取り敢えずソレが収まるまで地面に倒れこんだ為、何とか意識だけはもって行かれずにすんだ…

しかし爆風が去った後は、木星兵器群も軒並み地面に叩きつけられていた。

それだけではなく、電子機器を破損して動かなくなったのも多いらしい…バッタはほぼ全滅に近かった。

ガイは…砂に埋もれかけているが、問題は無さそうだな。

どうやら、囮の行動らしいが…無茶苦茶だ。

オメガは…俺は周辺を確認するが、どこにもいない。

…まさかと思いつつ、空中を見上げる。

すると…ヤンマ級やチューリップ以外は殆ど地面に引きずり落とされているにもかかわらず、それはなお空中に在った・・・















「あのぉ〜」

「なんだね、アオイ君」

「威力が……ありすぎだった気がするんですが(汗)」

「そうだな。だがまあ、起こってしまった事は仕方あるまい」

「そんな無責任な…」

「ふふふ…知らんのかね? 元々軍人なぞ、無責任なものだよ」

「そんなものでしょうか(汗)」


小型の輸送船に乗っている二人は反物質のあまりの威力にびっくりしてしまっていたが、それぞれ感想は違うようだ…

輸送船は現在アルカディアコロニーから遥かに離れ、ナデシコとの合流地点へと向かっていた。

しかし、合流地点には未だ誰も到着していない事はレーダーからも確認できる…


「ユリカ達…いえ、艦長達は大丈夫でしょうか?」

「既にやられていた場合はどうしようもないがね…相手が人間的思考をする場合、敵はこの後どうすると思うかね?」

「相手が人間の場合…これだけの規模の爆発です、まずは偵察機を出すのではないでしょうか?」

「第一次火星会戦以来、この星は偵察機で殆ど調べられていた筈だ。それでもかね?」

「あっ…! なら、爆発が起こった理由を調査する為に、偵察艦隊を組織する…それとも、逆に撤退するでしょうか?」

「まあ、相手の考えは解らんが…アレは“人間なら”欲しいと思う力の筈だ」

「そう、ですね…」


ジュンは自分がそう思っていた事を心の中で恥じ入る。

今まで思っていた軍の正義は<力の論理>でしかない事を…

昔から気付いてはいても、認められなかった<現実>というモノを…

先程の爆発の中で少し感じていた…


それでも、ナデシコは地球に返さなくてはならない。そのために自分達がこの場に来たのだから…

フクベ達はまともな戦力ともいえない状態ではあったが、戦果は確実に上がっていた。

この時をもって、オメガの戦術的優位は崩れ去ったのだから…














ナデシコ艦橋――こちらは現在、 戦闘がナデシコ周辺まで接近してきていた為、ナデシコが回避運動をするだけでも大変な状態である。

その艦を動かす彼女…ハルカ・ミナトはよくやっていた。

戦闘経験が無い民間人だったにもかかわらず、軍の操舵士すら足元にも及ばない細かい操舵で何度もピンチを切り抜けている…


「流石にこの距離だと、ちょっとキツいわね…艦長、何とかならない?」

「そうですね…相手にどいてもらうしか無いでしょう」

「艦長…ですから、そのどいてもらう方法をですね…」

「はい、その通りです。ルリちゃんとラピスちゃん、ナデシコの右脚部の人員の避難終了しましたか?」

「はい。右脚部、無人になりました」

「右脚部、ディストーションフィールド強化終了」

「じゃあメグちゃん、通達お願い!」

「はい。ナデシコ艦内の皆様、これよりナデシコは<格闘戦>を行います。

 今までに無い揺れに襲われると思いますので、必ず何かに掴るか、体を固定して置いてください!」

「じゃあ、ミナトさん…やっちゃってください!」

「ちょっと、艦長! 待って下さい!」

「はいは〜い♪ ナデシコアタック、いっちゃうわよ〜♪」

『え?』

『ちょっと待て!』

『コロスケ…殺す気? ククク


三人娘のエステバリスが大急ぎで逃げ出す中―――

ナデシコはディストーションフィールドを纏った右脚部を、赤茶色のロボットとその周辺のバッタに叩きつけた。

数十もいたバッタは一瞬で爆発四散し、残骸が落ちていく…

赤茶色のロボットは撃破こそされないものの…大きく吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。


『うっわ〜無茶する〜♪』

『まっ、まあ助かったぜ…』

『待って、もう1機いる…』

「え?」


見ると、もう一機の赤茶色のロボットはナデシコ直上に位置し、既にライフルを艦橋に向けている。

赤茶色のロボットがライフルのトリガーに指をかけて撃とうとした、その瞬間…


ゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォ!!!!!


目を開けていられないほどの光と共に、凄まじい音と地鳴りが襲い掛かってきた。

ナデシコの面々も一瞬躊躇するものの、直ぐに事態を察する…


「メグちゃん、エステバリス隊緊急回収お願いします!」

「はい、エステバリス隊の皆さん! 急いでナデシコに戻ってきてください! リョーコさん! ヒカルさん! イズミさん!」

『うっせえな! 分かってるよ! けど、この爆風の中でそう早く動けないっての!』

『わたしもうへろへろ〜』

『後家さんが 喉をつまらせ いなくなる

 う! ごけないから 後はよろしく ……いまいち

「ミナトさん、全速離脱です!」

「はいは〜い♪ でも、今回結構きついかも(汗)」

「データは組んでおいたよ」

「ラピちゃん、ありがと♪」

「ラピちゃん?」

「ルリルリと同じに二回言うのも芸がないじゃない? だからラピちゃん」

「…まぁいいけど」


ラピスは突然名づけられたあだ名に少し戸惑うが、まんざらでもないらしい…

ミナトはそんなラピスに微笑んでから、暴風の中でナデシコを操る。

全く予想しなかった出来事に、直上にいた筈の赤茶色のロボットも耐えられなかったらしく、落下していく姿がブリッジのウィンドウに映った。

ナデシコはこの隙に戦闘空域を脱出、エスカロニアとの合流ポイントへと急ぐのだった…












なかがき


いつまでも、なかがきな、かがきと…いつになったら後書きになるんです か!?

うっ、出だしを取るとはやるねルリちゃん。ウゴッ!!?

脳 みそ猿以下ですね、何度 も何度も同じ過ちを…貴方には私をそう呼ぶ権利はありません、良いですか! ルリちゃんといって良いのは私と親しい人だけです。

え? では毎度ぶっ飛ばされている私も親しいのでは?

原 作でです。

ガーン!!

アホですか、当たり前でしょう。高貴な る私と対等に張り合える存在だと本気で思っていたんですか…私はお姫様な んですよ。

ググ…そういえば…血筋的にはそうなるんだったね…

何ですその中途半端な言い方は…

だって、その話が出てきたの一話だけだったからね〜

何を言っているんですか、アレで十分皆さんに伝わっているからこそ、アキト さんが黒い王子で私は妖精なんです。釣り合いが取れているで しょう?

妖精は兎も角、姫の方は聞いたことが無い。

ほほう、やはり、バカは一度死なないと分らないようですね、一度ってきなさい…レ インボーブリッド・バースト!!

どばご ごーーん!!

グボラッ!!?

あ〜あ〜、可哀想に…

え? 何故? じゃあ…今あたったのは…アオイさん…?(汗)

そっ、今回のゲストの予定だったんだけど…ん? 何だ? ブロックサインか?

ボ・ク・ハ…ユリ・カ・ノ・タメ・ ニ・ガ・ン・バリ・タ・カ・ッ・タ・ダケ・ナ・ノニ…ナゼ?

すいませんアオイさん、少し手元が狂いました、でも大丈夫ですよ、どうせ十 一話が終わるまでは出番なんて無いですし。

ソン・ナ・マタ・ナ・ノ・カ…

うむ、良い感じに不幸だ…

そうですね、運命すら感じ ます。


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