銀河英雄伝説 十字の紋章


第二十三話 十字、始まりを知る。






宇宙暦796年/帝国暦487年1月となった。

帝国軍の侵攻作戦の噂が既に広まっている。

原作において、アスターテ会戦が2月である事から、恐らくはそう大きな誤差はないのだろう。

フェザーンや地球教を叩けるだけ叩いているので、時期が変わってもおかしくはないのだが、帝国側は特に変化はないらしい。

結局、今に至るまで俺はラインハルトを捉える事が出来なかった。

結果としてラインハルトは上級大将となっており、恐らく今回の作戦指揮を執るのだろう。

予想通りとはいえ、頭のおかしな出世である事は否定できない。



昨年末、俺は第六艦隊司令官に任命された。

中将になったのは、昨年初めごろだったが……。

適当な艦隊がないと据え置かれていたがようやく望んだ地位に就く事ができた。

第六艦隊司令、つまりムーア中将とすげ替えられたというわけだ。

代わりにムーア中将はエルファシルの防衛につく、艦隊は増量し8000になっているが、左遷には違いない。

ロボス派の彼には随分と睨まれたが、まあ運が無かったと思ってもらうしかない。


因みに、パエッタがトリューニヒトのお気に入りである事はこの世界でも変わっていない。

だが、トリューニヒトが俺や十字教を支援団体に置いている事でトリューニヒト派は俺にでかい顔はできない。

つまり、付け入る隙があるということだ。


最初に行ったのは第二艦隊の参謀となっているヤンの引き抜き工作だが、パエッタからはなしのつぶて。

相性悪いだろうに、とはいえ判断は間違っていないかもしれんな、ヤンのおかげで彼は助かっている。

アスターテ会戦の同盟提督のうち唯一の生き残りだ。


次に所属している第六艦隊のジャン・ロベール・ラップ少佐。

彼の才能は未知数だ、恐らくだが比較対象がちょうどいいのがいない点も問題なんだが。

とりあえず、ヤンよりは下だろう。

進言を取り入れられればそれなりにラインハルトに対抗出来ていた可能性はあるので作戦能力がラインハルトより下かは保留。

だが、運がないという点ですでにラインハルトには負けている。

戦えばラインハルトに勝てるが状況で負け続けたヤンと比べても運がない。


こういう同盟士官は実は結構いるのかもしれないとも思う。

ともあれ、彼をバックアップすれば相応に化けるだろう。

何せアッテンボローにヤンよりも先に出世すると言われたくらいには才能がある。

まあ、ヤンは自ら進んで出世しようとしないのでその意味の皮肉でもあるんだろうが。

彼を出世させるだけでも、同盟の寿命は延びるかもしれない。


だが当然、それだけでは弱いし俺が今まで仕込んできた事の意味も薄くなる。

今回で出来る限りアドバンテージを稼いでおきたい。

勝利までは必須ではないが、艦隊保全は大前提だ、最低限被害は1個艦隊以下にしたい。



今回のアスターテ会戦、原作においては4万隻が1万隻前後になるまで削りきられたという話だ。

帝国軍の数は2万隻、それが1万2千隻の第四艦隊に最初に攻撃を行い、壊滅させた後第六艦隊へ。

次に1万3千隻の第六艦隊を壊滅させた後1万5千隻の第二艦隊へそして半壊させた後撤退。


この図式を見てわかるのは、いろいろおかしいという点だ。

先ず3つの艦隊の艦数がバラバラ。

同盟の艦隊は1万3千隻を持って1個艦隊とする、まあ厳密な規定があるわけではないので裁量で増やす事もできる。

だが、減った艦隊を補充せずに放置して出撃というのは滅多にない。

原作においては4万隻という数字を整えるために削られたのだろうが、流石にそれではいただけない。


しかも、その一番数の少ない艦隊が中央を行くだけでもおかしいのに3つの艦隊の陣形のトップをひた走っている。

包囲殲滅のために分離しているなら3つは同じ速度で相手に接敵しなければ意味がない。

また、連携を取る意味でも距離が開きすぎるのは好ましくない。


この戦法の元ネタは恐らくラインハルトがやった双頭の蛇と同じものだろう。

一方が攻撃されている間に側面、背面を突くというもの。

だが、この陣形ではそれが出来ない、ありていに言って包囲殲滅に失敗したら死に体になるしかない。

ラインハルトが笑うわけである。


ただ、おかしな点はまだまだある。

第一に、連携が出来ないという点、相手にばれないためにしているならステルスかなにかしろよと。

ラインハルトどころか敵の提督全員が同盟側の陣形もその数も把握しているというのは既に失敗しているのと同じだろう。


第二に、今回のアニメで通信妨害をされているシーンがあるが、元ネタではそれもなかったりする。

しかし、通信妨害というもの、広い宇宙においては逆に目立つ。

俺が艦隊を使ってチャフを撒いたりしているのでわかる人もいると思う、範囲が狭いのだ。

電波妨害を出来る範囲はせいぜい0.1光秒といったところだろう。

超高速通信はあるが、それの妨害電波があるならイゼルローン攻略戦であんなに死んだりしていない。

通信網を潰せるならイゼルローン攻略は数段難易度が下がるだろう。


つまり、包囲陣形としてもおかしいし、互いに連携の取れないどうしようもない陣形であるということだ。

恐らくリンパオの時代は、その陣形だから勝ったんじゃなく、状況がそうせざるを得なかったんだろう。

勝利のためにあえてタイミングをずらしたりして相手を謀るのはよくある手である。


ただ、帝国の提督のほとんどがあれには勝てないと踏んでいたのも理由はわかる。

あの状況で連携が出来ると判断されていたからだろう。

実際、リンパオの時代はやってみせたと考えればそうおかしな話ではない。

技術的ブレイクスルーあるいは、なんらかの意思疎通の手段を持っていたんじゃなかろうか?

先人の偉業を真似したいのは理解できるが、そのための状況解析はさらに重要といえる。

そのために俺は資料をひっくり返して勉強してみた。



「まあ結局、結論は同じか」



家やネット漁れる資料はだいたい読んだ。

やはり現状では超高速通信網による通信しか通らないだろう。

光秒単位で離れた味方と連携するのはほぼ不可能、集結点まで無事である事を祈るしかない。


となればだ、この案を採用するのはできれば避けたいが、同時にラインハルトの行動予測がつかなくなるのも痛い。

もう一つの問題は、フジリュー銀英伝に置いて言っていた手柄の独り占め問題だ。

3つの艦隊のうち活躍した艦隊の提督が大将になれるんだっけか?

うろ覚えなので違ってたら悪いのだが。


勝利が確定的だという点から上層部が言ったんだろうが、悪い方向へ働いている。

というか、ラインハルトを勝たせるための下準備なんだろうが……。

あまりに稚拙で杜撰な侵攻計画と言わざるを得ない。


そんな状況で俺は少なくとも生き残り、階級は上がらなくてもいいが下がるような事態にはなるわけにいかない。

最低でも痛み分けまでは持っていく必要がある。

だが、大元の計画までは変えられないだろうから、小細工をどれくらい仕込めるかが勝負だな……。














出撃が決まってから東奔西走して小細工を仕込んでいったが決め手と言えるものはまだ少ない。

生き残るだけなら、とっとと逃げてヤンに任せるのが一番だが、同時にジャン・ロベール・ラップ。

彼がどのくらい出来るのか試してみたくも成った。


幸い、出撃前訓練等もあったため、艦隊メンバーを集めてのブリーフィング等も行う事があり、一通り顔見せが終わった。

しかしラップを見る事はなかった。

もしかして、今回もシトレの陰謀で移動したのか?

彼の所属を調べた所、第六艦隊には所属しているようだった。


有り体に言えば、艦隊参謀は複数人いる。

主任参謀が少将か准将、次席は大佐か中佐、そしてその下に参謀団とでもいうか事務と作戦の詳細を詰める人間達がいるのだ。

だいたい10人前後旗艦に詰めている事が多いのだが、ラップはその中でも下っ端になるわけだ。

顔見せには主任参謀の准将と次席の大佐は来ていたがそれ以外は来ていなかったと言うだけのことだった。

少佐だもの、仕方ないわな。

むしろなんでムーアの近くで意見を言えていたのか良くわからない所である。


仕方ないので、訓練の後内密に呼び出してみた。

表立ってやると参謀達が煩く言ってきそうだったので……。



「お呼びにより参上しました! ジャン・ロベール・ラップ少佐であります!」

「まあ座ってくれ」

「はっ! ありがとうございます!」



まあそうなるわな、一介の少佐を艦隊司令の中将が呼び出すんだ、なんか問題でも起こったのかご機嫌を損ねたのかと気が気ではないだろう。

安心させてやりたい所だが、まだそこまで付き合いがあるわけじゃない、逆に緊張する可能性もあった。

仕方ないので、とりあえず話しかける事にする。



「ラップ少佐。君は大変優秀な参謀であると聞いている」

「過分なお言葉ありがとうございます! しかしながらまだ実績も無い若造でございますれば!」

「……はぁ。まあ階級の差を気にするなと言っても無駄だろうがこれから世話になる予定だからな。

 顔見せは早めにしておきたかったのだよ」

「はっ? あいえ、申し訳ありません!」



一度ぽかんとした顔をした後、ラップは取り繕って謝罪する。

ラップもユーモア等もあるが根は真面目だからな。

そのへんヤンとは対照的だ。



「ヤン君が言うには君のほうが才能があるそうだ」

「あ……あいつのせいですか……」

「ヤン君には色々世話になったからね、お陰でどうにか中将まで出世する事が出来たよ」

「いえ、ヤンの奴が会う前からナカムラ提督といえば英雄でありました。何れ元帥になられるお方だと思っております!」

「ぶっ」


俺が元帥か……、まあ不可能ではなく成ってきてるが。

実績では絶対無理だ。

トリューニヒトと薔薇の蕾と十字教と回帰教と財産をフル活用すればなんとかなるかもな、10年後くらいに。



「まっ、まあいい。実際俺は艦隊司令としてのセンスは大したことない」

「ナカムラ提督がでありますか?」

「ああ。はっきり言って俺が今までやってこれたには金持ちだからだ」

「へ?」



嘘は何も言っていない。

俺が今までやってこれたのは俺が大金持ちだからである。

出世街道に乗ったのも金の力であるし、戦闘に勝利し続けているのも金のお陰だ。

個人としては生き残る保険を多数用意しているし、武装を自前で用意出来なければ負けたであろう艦隊戦は多い。



「俺は命令通りに動いて死ぬくらいなら、グレーゾーンをひた走る人間だ。

 自前で武器を生産して艦隊で使うくらい毎度の事だし、買収だって敵国情報を知るためにスパイを送り込む事だってしている」

「なっ。なるほど」

「適切な軍略は適切な情報からがモットーであるし、敵の知らない武器を持つのも基本だ」

「確かに」



俺の言葉を聞いて、うなずいているという事は現状それほど忌避感を抱いていないという事か。

まあ、まだ金や権力の細かな使い方について言っていないからこの先はわからないが。

邪道な戦術に関しては忌避感が無いようで何より。



「ラップ少佐、君やヤン君は出された情報から状況を読み取り対応策を出す事に関しては一流だ」

「それは……ヤンと比べられると少し困りますが、相応に出来るものと自負しております」

「そして、俺は情報を探る事と悪あがきなんかはそこそこ出来る人間だと自負している」

「なるほど」

「大規模な戦いになればなるほど、対応策の出来もスピードも要求される。

 しかし、私にはその力はない。ラップ少佐、何が言いたいかわかるかね?」



ここで間を置く。

俺の代わりに策をたて、艦隊運用をしろと言っているのだ。

もちろん、現状では不可能だ。

色々小細工が必要になるだろう。



「報酬の前渡しと言ってはなんだが、中佐への推薦状を書いてある。

 一週間前後で君は中佐になるだろう。

 ポストは私の副官だ」

「なぜそこまで……」

「今回のアスターテ会戦、現状の策では負ける」

「……はい」



俺が何を言いたいのか察したのだろう。

とたんに表情が厳しくなる。



「私が各方面から調べた情報によると帝国の指揮官はラインハルト・フォン・ミューゼル上級大将。

 彼は確かに出世に関しては色々と黒い噂もあるが、実力は相応だ。

 そんな彼が、艦隊を連携出来ないほど分ける策に対し何の対策も取らないと思うかね?」

「いいえ」

「特に彼のような手柄を欲する人間は今回の戦いを好機と読むだろう。

 こちらの艦隊に対し高速戦を仕掛けるはず」

「連携の出来ないこちらに対しては最良の策と言えます」

「ああ、こちらは各個撃破されるだろうな」

「ならば今からでも作戦の見直しを行うべきでは?」

「それができれば良いんだがな。そっちには政治が絡んでくるんだ」

「政治ですか……」



嫌悪感を隠しきれていない様子のラップを見てやっぱリベラリストだなとは思うが……。

何れは理解してもらわないといけないんだがな。

彼には期待したいところだ。

ヤンよりはそのあたり真面目な分、理解も可能だろう。



「政治を軍に持ち込むなとでも考えている口か?」

「い……いえ」

「まあ、わからんでもないが。ただ、忘れちゃダメなのは戦争ってのはそもそも政治の一手段だってことだ」

「戦争が政治ですか?」

「そうだ、それも一番下手くそな政治だ」

「はあ」



この世界というか同盟と帝国は150年にもわたり戦争し続けている。

そのせいか、戦争があるのが当たり前になってしまって政治と戦争というものの認識がずれているようにも見える。

そもそも、帝国は同盟を公式には認めておらず反乱軍として処理しているし、同盟も侵略者として処理しているフシがある。

これじゃあ戦争政治がきちんと機能しないのもわからなくはない。



「本来、戦争ってのは国に利益を生むか不利益を被らないためにする政治活動だ。

 帝国との戦いは後者だな」

「なるほど、では帝国は逆に戦争で利益を?」

「元々はそのつもりだったんだろう、同盟を占領し、ペルセウス椀にも領土を拡大すれば当然利益があがる」

「なるほど」

「だが150年も戦っていれば損益分岐点を遥かに超えて損失がかさむばかりだろうがな」

「ではなぜ戦争を続けているのですか?」

「独裁政治の欠点だな。権力者が権力を維持するためには金と軍と人気が必要だ。

 特に人気が下がると軍も付いてこなくなるし、下手をすれば革命だ。

 そうならないために戦果が必要になる、結果として戦争を続けるしかないわけだ」

「なんですかそれは……」

「皇帝に不信任を突きつける事は出来ないからな。そうならざるを得なかったってことだ。

 逆に同盟は民が強い。だがそれは逆に民の声を揃えれば何でも出来る事をさす。

 同盟はフェザーン回廊とイゼルローン回廊を塞いで帝国と断絶する手もあったが現状に至っている。

 それはそんな消極的な手よりも圧政開放、打倒帝国等の聞こえが良い言葉のほうが気分がいいからだ」



実際、回廊内にある恒星等を爆発させればそういったことは可能だ。

完全に通れなくなるという確信があるわけではないが、少なくとも大規模な艦隊は航行不能になるだろう。

そうすれば戦争を続けていくことは難しくなる。



「断絶ですか……それは難しいのでは」

「ほう」

「フェザーンからの交易によって潤っている企業が多くあります。

 そして、フェザーンは帝国と同名を交易する事で成り立っている所ですから」

「……なるほど」



一概に間違ってはいないが。

背景事情までは知らないということか。

ヤンですら地球教を知ったのはトリューニヒトが憂国騎士団を解散させた後、新興宗教としてだ。

しかし、実際新興宗教のはずがないのだ。

フェザーンはそもそも地球教によって作られた自治都市であるし、浸透作戦はつまり100年以上も前から始まっていたのだから。

この世界では俺が地球教を表に引きずり出して叩いたからそうはなっていないものの、原作においては水面下で活動を続けていたのだろう。



「だが、フェザーンは帝国だぞ?」

「はあ……」

「フェザーンは中立でもなんでもないと言っているんだよ」

「えっ?」

「あまりにも長い間中立として扱ってきたんだ、そりゃそれが常識になっているのもわかるが」

「それは、はい」

「実際、フェザーンは帝国の自治領だし、同盟にはスパイを大量に派遣している。

 それに、今は綱引き状態になってはいるが、経済侵略も行っている。

 さらには一時期有名になったろ? 地球教」

「半ばテロリストのような存在だとか」

「ああ、はっきり言うが。あれの輸出元もフェザーンだ」

「なっ!? それは本当ですか!?」

「本当だよ」

「それは……」



ラップは考え込む。

全部を鵜呑みにする事は出来ないという事だろう。

それはそうだ、一般にはそういう情報は伝わっていないし、調べる手立ても皆無ではないがほぼない。

ネットで根気よく調べればある程度の概要はわかるだろうが。



「それが本当だとすれば、確かにフェザーンとは断交すべきでしょう」

「確信が持てないという表情だな。まあ、確かに証拠はそう多くない。

 出すことは可能だが、信頼してもらえる証拠というわけでもない。

 それでもいいなら、資料を出そう」

「お願いします」



ラップに手渡した資料は紙の資料ではあるが、調べたのは薔薇の蕾だ。

不正の経理的な証拠、事件との繋がり、地球教の洗脳の実態など。

フェザーンと地球教の繋がりやそもそもフェザーンは地球教が作ったものであるというもの。

その辺りに関する証拠書類のコピーだ。

流石に本物は持ち出せなかったので、資料は信頼性が微妙だったりするが多角的な視点から書かれている。

ラップほどの人材なら、恐らく読み解くのはたやすいだろう。



「つまり、地球教が全ての黒幕であると?」

「いいや、フェザーンの黒幕だが、帝国は帝国で故会って地球教を利用している」

「どちらが黒幕というわけではないと?」

「まあ、どちらもどちらで腹黒い事を考えている様だ」



まあ、帝国の場合は皇帝が破滅主義に囚われているからというのが大きいが。

貴族達の権力闘争を見て笑い、自分への復讐をしようとするラインハルトを見て笑い。

結局のところ、それに振り回される人々こそ哀れだ。

一番哀れなのは、その事に気付いてすらいない帝国や同盟の一般市民だろう。

ラインハルトは言わば帝国を滅ぼすための駒なのだ、だからこそ目をかけられ促成栽培された。

そうしてみると、やはり同盟が付き合わされる義理はないわけで……。

いずれはその辺の話もラップと出来ると良いんだが。



「今の俺は同盟内では有数の金持ちでもあるし、艦隊司令の地位も手に入れた。

 政治にも口出しできる程度の影響力も手に入れたし、独自の情報網をいくつか構築している。

 それらを駆使して、同盟に勝利をもたらしたい。

 しかし、作戦能力も指揮能力も平凡以下である俺には優秀なブレーンが必要だ」

「それがヤンであり私という事ですか」

「その通りだ、君の実力なら数年もあれば艦隊司令に上り詰めるだろうがその間だけでいい。

 俺のブレーンを務めてくれないか?」

「……わかりました。同盟の英雄であるジュージ・ナカムラ提督のブレーンに選ばれるとは光栄です!」



ラップが敬礼とともに言ってきたので敬礼で返す。

長い時間がかかった気がするが、ようやく俺にも数年限定とはいえ軍師がついたという事だ。

これからの数年が俺にとってネックとなる事は明々白々、軍師がつけば同盟を勝利させる事も不可能ではないだろう。

そのための今までの準備も無駄にならずに済むというものだ。



「それでは、このまま作戦を詰めても?」

「頼む」


その日、遅くまで俺とラップは話し合いを持った……。



さあ、歴史を乖離させる戦いの始まりだ。













あとがき


アスターテ会戦まで行くことができませんでした(汗

ラップとの話し合いが思った以上に長引いてしまい。

まあ、無駄な話を省けば多少は圧縮もできたかもしれませんが。

ノリで書いている関係上、無駄も割と許容しながら書いてるので、ご容赦ください。

次回は艦隊戦ですが、なんとなくそれほど長引かない気がします。

多くは原作で語られていますからね、今更描写する事も多くないですし。

主にジュージとラップの作戦がどの程度効力を発揮するかという感じかな。

次回もジュージは散財する予定(爆)



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