サイド1の1バンチであるシャングリラの中は今混沌としていた。

暴動を起こした人間達、止めようとする機動隊、そして逃げ惑う市民である。

ギレンはいくつものコロニーにスパイを送り込み思想誘導を行ってきていた。

税が高いのは連邦が悪い、治安が悪いのは連邦が悪い、景気が悪いのは連邦が悪いといった具合に。


因みに、税が高いのは兎も角、治安が悪い事や景気が悪い事に対してはジオンも一役買っている。

スパイが破壊工作やハッキング等を仕掛け世情不安を引き起こしているからだ。

つまり半分はマッチポンプだった。


それに対するシャングリラの市民感情は実の所安定していない、情報が錯綜していて何が本当か分からないからだ。

政府支持の極右やジオンが裏で支援している極左といった一部を除けば市民の行動は大まかに2つに分かれた。

治安の悪化に伴い家を出る事を自粛するもの、情報を求めて聞き込みに回るもの。

多数派は引きこもりを決め込み、一部の活動的な人間が情報を求めて動き回った。


そうした一部の人間が入港した連邦の艦の話を聞いた。

それに対する反応も様々で実の所、自分達がどう行動していいものかはわからなかった。

だが、その中で勇気ある一人が動く事を決めた。


「俺が行こう」

「ジャック……。分かった。俺も同行する」

「いや、オリバー。お前はここのまとめ役だろ? 俺一人で行くさ。

 大丈夫、連邦は今ジオンと戦争しているって話だ。

 俺らの事まで敵に回したくはないはずだ」

「……それもそうだな、頼む」


そう言ってオリバーと言われた茶髪の男は、ジャックと言われた癖ッ毛の黒髪の男に頭を下げる。

それに対しジャックは片手をあげて答え、そのままビルを出て行った。


「全く、あいつはいつも熱い奴だな」

「何を言ってるんだか、あんたもそんなのの親友やってるんだから似たようなもんでしょ。

 学生時代は……」

「ちょっ、待ってくれよ! これでも今は区長やってるんだからな。

 それにあいつは、まだこっちに来て数年程度だろ?」

「まあね。彼の奥さん出稼ぎだし年に数回しか返ってこないから、

 男で一人で子供2人の世話しながら養ってるみたいだし、大変だと思うんだけどね」

「ジュドー君にリィナちゃんだったな。兄貴はうちの息子と喧嘩友達って感じだが元気のいい子だ。

 妹のほうはまだ1歳だったか?」

「2歳じゃなかったかしら?」

「あのくらいの年代の子は成長早いからなー」

「あら、老け込んでる暇はないと思うけど?」

「はいはい秘書官殿には頭が上がらんよ」


シャングリラ港地区の区長であるオリバー・オーレグはだんだん話が脱線していったのを窘められる。

港区は政庁や商業区に次ぐ程度に大きな街区であり、40になってもいない彼は若すぎるくらいだ。

山の手と言われる政庁に近い区域と違い、港区は外からの人の流入も多く景気はいいが治安は悪くなりがちだ。

なので、実力がものをいう街区でありオリバーは港区の荒くれ共の長的な存在だった。

もっとも、学生時代のやんちゃ時代の伝手で顔が利くせいという部分が大きいのだが。

彼が大人になる頃には仲間が軒並み社長だのなんだの出世していたと言うのが大きい。

あれよあれよと押し上げられ、いまや港区区長。


そんな彼と仲良くなったのがジャックと呼んでいた彼だ。

彼ははっきり言えば行動派という奴だろう、何かあるたびに突っ走る傾向があり危なっかしい。

だが、筋は通っているし人脈も持っている、そんな彼だから周囲とはあっという間になじんだ。

有言実行を自認しており、責任は必ず果たす今時珍しい人間だ。

なのでそれはオリバーの耳にとまる事となり、仕事関係で出会ってそのまま意気投合したのだ。

今ではすっかり港区の庁舎に入り浸っている。

商売は規模の大きさもあり数日泊まり込みで行って戻ってきたら家に帰るような生活をしているらしい。

彼の奥さんも同様で、遠征で遠くに行くことが多いらしい。


「全く、変わったやつだよ」


オリバーの彼に対する総評はそれに尽きた。



機動戦士ガンダム〜転生者のコロニー戦記〜





第二十一話 艦隊戦



とりあえず、第一目標であった宇宙要塞らを無力化出来た事は行幸だ。

と言っても、ぱっと見では全てが破壊されたのかどうかなんてわからない。

見た目は残骸っぽくても基地能力がまだあるものもあるだろう。

ただ、砲台等は大部分使い物にならなくなったはずだ。

ついでに艦隊にも多少被害を与えた様だが、これでドズルがぽっくり行ってくれると助かるんだがね……。

流石にそれは期待のし過ぎだな、少なくとも艦隊の大部分は残っている様だ。


「残存敵艦隊、集結を始めます」

「そうか、ならば我らのやる事は一つだ、距離を詰めつつ主砲三連斉射開始!」

「は! 各艦へ通達! 目標を射程に捉え次第斉射3連!」

「そのまま、セイバーブースター部展開開開始!」

「セイバーブースター順次発進開始!」

「セイバーブースター発進終わり次第、ボール改部隊を艦隊周辺に展開、弾幕を張る様に!」

「は、セイバーブースター部隊発進終了次第、ボール改部隊の展開急ぎます」


とにかく用心しなければ、向こうにはこちらの防衛部隊を抜いてくる様なトップエースがごろごろいるんだから。

言っている間にも、敵のザクが展開されたのがわかる、小粒なのでどれが誰かなんぞ分からないが。

バーニアの光を見る限り千を軽く超える数が動き出したようだ、セイバーブースター部隊が被害を受けない様にしないと。


「セイバーブースターが一撃を入れ離脱体制に入ってから射撃準備に入れ。

 彼らは撤退時には下方大回りする様に作戦として伝えてある。

 射角に存在しなくなったらボール改も含めて再度斉射開始だ!」

「はっ! セイバーブースター部隊!一撃を入れた後は下方離脱、繰り返す!」


オベレーターは聞いた事を繰り返した。

まあ、既に作戦で決定されていても個々人で理解していない可能性はゼロでもないか。


ともあれ、セイバーブースター部隊は要塞の残骸が散乱する敵陣手前まで近づき目に付く限りの敵にビームを撃ち放った。

それにより、敵のMS部隊に被害を出す事には成功したようだが思わぬ事態が発生した。


「なんだ!?」

「あれはミサイル……いえ、MSと思われます!」


光学映像の拡大は可能背あるのが幸いした、これはツダ! あれお蔵入りになってないのか!?

いや、ジオンも今は必死なはずだからあるものは全て出してきたと見るべきか。

あれは長い間は戦えない、しかし、シャアザク並の動きが出来ると考えておいた方がいいだろう。

警戒しておいて損はない、ならば……。


「ガン・フォートレスを出せ!」

「あれをですか?」

「他のでは追いつけん。あれしかないんだ」

「わかりました! ガン・フォートレス部隊エース部隊と思われる敵を蹴散らしてください」


ガン・フォートレス。名前はZZのGフォートレスから。

機体そのものは前から言っていた連邦製MAの事だ見た目は腕のついたGアーマーといった所。

ガンダムMAモードの様に上半身があるわけではなく、単に腕が翼の前についているだけではある。

ただし、後方の可変式バーニアを6つに増加し、全体に20以上のバーニアを持つこれはありていに言って化け物だ。

AMBAC効果も人型ほどではないがついており補助機構として制御システムに取り込んである。

速度も旋回性もセイバー・ブースターの倍はある上に腕には武装を持たせる事が出来る。


核融合炉も3基を標準装備しており、メガ粒子を貯蔵だけでなく精製する事も可能だ。

背部のメガ粒子砲は一本に減ったが火力は高くサイドワインダーも可能な長時間のメガ粒子放出量を誇る。

腕の可動域もかなり広くなっており射撃武器どころか近接武器を持たせる事も可能だ。

腕をビグロのように巨大な爪にする事も出来るが、あまり人気は無い様だった。

そして、今回どうにか間に合わせたビームシールド発生装置までついている。

恐らくだが、原作のビグロよりも強いのではないだろうか?


兎も角、原作におけるGファイターよりは火力があると言える。

それを地球から来たエースチームに与えてある。

訓練期間は十分とは言えないが、向こう側のエースに簡単に負けないでくれよ……。


「ガン・フォートレス、全機発進しました!

 あっ、一機吐出します! フォートレス03! 応答してください!」

『あぁッ? こちとら訓練漬けを開けてようやくの実戦だ。詰まらん話ならぶっ飛ばすぞ?』

「吐出し過ぎです! それでは戦線を形成できません!」

『戦線だぁ? 向こうが一機駆けしてんだからこっちも対応しねぇと間に合わねぇだろ?』

「ケーシー君、変わってくれるかね?」

「はっ!? はい」

「いいかな、ヤザン中尉。やるなら構わん。ただし必ず倒せ。

 その上で後続も来るだろうから対応しろよ? 一機駆けは安くないぞ」

『はっ、上等だ!』

「それから、情報によるとあの鼠色MSはスピードは速いがコンペに敗れた欠陥機らしい。

 速度を上げ過ぎると爆発するそうだから間合いに気をつけろよ」

『そんなのに引っかかってやるほど安くはない!

 俺の尻を拝んでるうちに敵はいなくなってるだろうぜ?

 じゃあな、フォートレス03ヤザン・ゲーブル突貫するッ!!』


流石はヤザン、OT最強パイロット談義で大抵最初に名前が上がるだけはある。

ただ、敵にはも必ず名前が上がる3人のうちもう一人、ガトーがいる。

当然、シャアもいるはずで簡単に勝たせてはくれんだろうが。


因みに最後の一人はランバ・ラル、取り込んだおかげで気にする必要が無いのはありがたい。

それでも、黒い三連星だの赤い稲妻だの白狼だのエースがわんさかいるのがジオンだから油断できないが。

ガン・フォートレスの速度はヅダと張り合っても余裕があるくらいには強力だ。

エンジン出力が違う、だが、旋回性能では相手が上になるだろうから連携も気にしてほしい所だが。


「ん? ヤザンが抜かれたッ!?」


ヤザンは上手く相手を懐に入らせず戦い最終的にはヅダを撃破した、しかしその隙を縫う様に複数のヅダが現れる。

しかし、ヤザンはGフォートレスのミサイルを展開し、更に2機程落とした。

だが残り2機が抜けてきており、さらにヅダの後ろには赤い機体が控えているのがわかる。


「また来たか……」


だがどうやらシャアの機体に角が無い。C型しかなかったんだろう。

これは行幸かもしれない、畳みかける様に指示を出す。


「残る全てのGフォートレス、ヅダ及びその背後の赤い機体の迎撃を開始しろ

『『『『『『了解!』』』』』』


ユウ・カジマに不死身の第四小隊、ホワイト・ディンゴ隊、ブラン・ブルダークにベン・ウッダー。

テリー・サンダース・ジュニアやスレッガー・ロウ等も含めたエース部隊にそれを頼む。

もしかしたら、原作の時代になるより前に死ぬかもしれない。

だが、それでも俺は自分のエゴを押し通す。

ジオン残党がいつまでも残る世界等というものは残してはならないんだ。


Gフォートレスの編隊はヤザンが撃ち漏らしたヅダを瞬く間に屠っていく。

流石、全員エースか準エースのみの部隊だけはある。

だが、流石にシャアを倒すとはいかず一進一退を繰り返している。

10機以上のガン・フォートレスが振り回されているのを見て頭が痛くなる。

まだこの頃はシャアもニュータイプではなかったはずなのに……。

しかも、攻撃を食らったのだろう何度かビームシールドが発動して攻撃を防ぐ場面があった。

だが、多対一では流石のシャアザクも弾薬が尽きたのだろう撤退行動に入った。

ガン・フォートレスらは追撃をかけようとするが、体制を立て直した敵艦隊から雲霞のごときザクの群れが放たれた。

恐らく数は1000を優に超える数になるだろう1500くらいか? これは不味い。


「ガン・フォートレスを射角外へ! 艦隊主砲斉射5連及びボール改弾幕展開!」

「はっ! フォートレス部隊は危険域から急速離脱を!

 艦隊主砲斉射5連! ボール改も各自弾幕展開してください!」


MS部隊に対し可能な限りの火力を叩きこんでみたが、実際の所削れたのは3割前後。

まだ1000近いザクがこちらに近づいている。

更に連射するか? 先ほどの連射で砲身が熱を持っている様だ、エネルギーが枯渇しつつもある。

核融合炉なので数分もあれば回復するだろうが、致命的だ。

後退するか?

……いや、この状況で下がるわけにはいかない。

再集結の終わった敵艦隊も動き出す、8割以上健在のようだ。

流石に要塞は使い物にならないのか動く様子はない。


「となれば、切り札を切るしかないか」

「切り札と言いますと」

「ミサイルだ、と言っても我々に核は配備されてないからな、あれだよアレ」

「艦長?」

「ふむ、ヤシマ少将。あれを使うので?」

「ああ、君なら分かるだろ」

「あれ、というとミノフスキー粒子ミサイルとかいう効果の良くわからないミサイルですか?」

「その通り」


ミノフスキー粒子ミサイル、はっきり言えば単にミノフスキー粒子をばらまくだけのミサイルである。

最近ミノフスキー博士に粒子についていろいろ聞いた結果、案外行けるのではないかと考えたのだ。

このミサイル、ぱっと見は既に戦闘濃度に粒子展開されているこの場にふさわしくないように見える。

だが、割と致命的なミサイルになりうるのだ。


「ありったけ、あのザクの群れにぶち込んでくれ」

「はあ、あのミサイル。誘導装置が無いというか、単なるロケットというか。

 誘導どころか近接信管も無線による爆破も出来ないので、

 最初から爆発する場所を決めて速度から逆算した長さの導火線を付けておくしか無いのですが?」

「多少ずれてもいい。決して味方がが効果範囲に入らない様にだけは気を付けてくれ」

「はあ、では準備させます」


準備に5分ほどかかった、その結果1000近いザクの群れは敵艦隊とこちらの艦隊の中間あたりに位置している。

発射前に導火線を微調整して、群れの中央に向けて発射する。

こちらの艦隊の持つミノフスキーミサイルは全部で30ほど。

どの程度の効果があるのか検証すらしていないが、恐らく十分以上に効果はあるはず。


「ミノフスキーミサイル効果範囲直前で的前衛に半数撃墜されました。

 残り15機が効果範囲に突入、敵部隊接触前に全滅です」

「ああ、問題ない」

「どういう意味ですか?」

「あれは、導火線がついていて爆発するわけだが、別に爆発経緯は何でもいい。

 効果範囲内に入ったやつらは……」

「え? あれ? 敵MS前衛部隊何か動きが鈍くなってきたような?

 あ、加速が切れてる」


俺はニヤリと笑う。

そう、これは単にミノフスキー粒子を濃くするだけのミサイル。

ただし、ミノフスキー粒子ってやつは便利なだけじゃない。

濃度が高くなるとその範囲に入るだけでえらい目に合うんだ。


「多分、ブースターを制御してる集積回路がいかれたんだろ」

「は? 集積回路がですか?」

「そう、保護はしてあるだろうが。濃度が戦闘濃度くらいならいいが危険域になれば集積回路が壊れる。

 MSに限った事ではないが、バーニア等の推進剤を放出する部分が必ずある。

 それに、集積回路を冷やすために真空に置いている場合もかなりある。

 そこに危険濃度に達したミノフスキー粒子が入り込めば集積回路は停止し、身動きが取れなくなると言うわけだ」 

「はぁ……、本当なんですか?」

「実際戦闘濃度のミノフスキー粒子ですら保護装置の無いむき出しの集積回路なら止めてしまうからな。

 ミサイルが当たらなくなるのはそのためだ」

「集積回路の保護装置というのをミサイルに積めばいいのでは?」

「サイズ的に無理らしい」


トンデモ話ではあるが、実際ミノフスキー粒子の濃度が上がればビームを偏向させる事すら可能だしな。

ビームサーベルなんてあの形にミノフスキー粒子を展開する事が前提だから。

ミノフスキー粒子でビームが通らない膜を作る事も出来る。

なら、集積回路保護装置を突破できる濃度にすればいいじゃないという理屈で作ったのがあのミサイルだ。

本来ミノフスキー粒子に質量は無いんだが、あまりに詰め込み過ぎて固形物になっている意味不明な代物なのだ。

ミノフスキー粒子が100kmの範囲までは広がらず数十km前後で減衰する点が無ければ危なくて使えない。

濃密すぎるミノフスキー粒子によってバーニアが使い物にならなくなれば、管制の法則に従うしかない。

AMBACがあろうとその場でくるくる回るのが関の山。

つまり……。



「今だ! 艦隊全砲門斉射! 可能な限りザクを潰せ! 決して近寄ろうとするなよ!!」


ま、集積回路の保護装置は日進月歩だったようだからこの先使えなくなるだろうが。

大半が旧ザクで構成された現行のMS群ならこれで何とかなるだろうと踏んでいたのだ。

もっとも、核融合炉の保護装置のほうは流石に抜けなかった様だが。

あれが抜けていたら、恐らく核の連鎖爆発でMS部隊は完全に消滅していただろう。


「頂点方向より敵MS群! 隕石の破片の影を伝って移動してきたようです!!

 その数、おおよそ300!!」

「ちぃっ!!」


艦隊は既に射撃体勢に入っており今更天頂方向に向き直っても遅い。

しかもこの迂回部隊恐らく主力部隊を集めたものだろう、機体は一回り大きいザクUがメインだ。

間に合えッ!


「天頂方向に向けてバリア艦によるビームシールド展開!!」


ビームシールドを展開できる艦は全てビームシールドの展開を行った、とはいえ全ての艦が持っているわけではない。

シールドの範囲は広範囲に及ぶものの、かなりの数がその範囲から出てしまっている。

そして、ザクUからの核バズーカによる攻撃が一斉とはいかないものの、各自連続して放たれた。

周囲が音を伝えないとはいえ、ビームシールドからの衝撃が爆音や地響きの様に連邦艦隊を錐もみさせる。


「がぁぁあ!?」


当然この艦も衝撃で流され艦隊は真ん中を開ける様に散らばっていく。

そして椅子のシートベルトのおかげで放り出される事こそなかったが、何度も打ち付けられる羽目になった。

だが、どうやら俺はまだ死んでいないらしい……。


「ひっ……被害状況知らせ……」

「はっ、はい!」


ブリッジは死者は出ていないようだが骨折等によって運び出されて交代要員と変わる所もある。

俺はブリッジを離れるか聞かれたが、現状それは出来ないためその場で治療を受ける事になった。

正直、迂回に回せる戦力があるとは思っていなかっただけに半ば茫然としていたが首を振って考える。

先ずドズルと参謀たちは生きているだろう、そして正面のMS部隊を囮に迂回挟撃を仕掛けてきた。

だが、正面戦力が削られた事を考慮し核による奇襲に切り替えたという所か……。


幸い、あの核バズーカという奴は複数弾頭を込められるようには出来ていない。

それに、あんな弾頭をジョイントしたり手持ちしたりしていないだろう事はわかる。

一度艦隊に戻るまでは連射はしてこないだろう。


「被害確認完了しました! 轟沈したのはマゼラン12隻、サラミス233隻、コロンブス2隻です!

 中破及び大破はマゼラン31隻、サラミス183隻、コロンブス6隻! 

 ボール改の方はまだ被害確定はしていませんがおおよそ3割が壊滅したとの事です。

 艦隊のおおよそ4割が戦闘不能!」

「……なん、だと!?」


バリア艦やマゼランはビームシールドを展開して防いだのもいるという事だろうがサラミスの被害が大きすぎる。

コロンブスの被害は艦載機の帰還できるポイントを失った事で補給が出遅れる事を指す。

幸い、セイバーブースターは帰還途中であったため被害はないが……。


「天頂方向のザク群、武装を切り替えて接近してきます!」


俺は一瞬、目の前が真っ白になるのを感じた。











あとがき


艦隊戦と言えばだましあいによる戦術優位の取り合いというイメージがありまして。

ちょっとガンダムっぽくはないですが(汗)

元よりこの作品はガンダムどころかザニーすら間に合ってないのでこうならざるを得ないんですがね。


次回、ヤザン達エースやシャアとかの戦いの部分書いた方がいいでしょうか?

もしも見たい人がいるなら書いてみるつもりですが。

まあ書いたからと言って流れが変わるわけじゃないのでこのままいくのも手ですけどね。


さて、ようやく戦いがまともに動き出しました。

まだ山場に来たわけでもないのでもう数話続く予定です。

ジオンも動ける主力はだいたい回してると言う点もありまして、初戦にして天王山という有様ですが(汗)



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