輝く鬼
三つ目…サタンの世界を出た一行。
新たにやってきた世界を調べるべく、三人は街中……ではなく山道だった。
「四つ目は”輝鬼の世界”…だな」
”KAGAYAKI”と記されたブランクカードを手に廻が呟く。
「鬼の仮面ライダー…音撃戦士みたいだから山の中にまで足を運んだけど」
「何にもないね」
と流姫と信彦が意見を出した。
「んで、流姫の服装は…」
現在、流姫は和風で動きやすそうな格好。ちょっと煤とかがついてるけど。
だが、どんな役割かを示すものが服の中にあったわけで。
「金槌やら何やら色々出てきた…」
「鍛冶屋だよね、この道具とかでたらもう」
服の中には鍛冶屋が刀などを鍛えるのに使ってそうな物が入っていた。
「とりあえず、輝鬼を捜すのが先決だ。流姫の服に関しては今回スルー」
「………」
それを聞いた流姫は少し寂しげな表情をしていた。
そこへ……。
『そこの方達』
『我らが子の為に尽くしてもらいます』
不気味な男と女の声が聞こえてきた。
世界の救済者、ディロード。九つの世界を巡り、その心は何を映す?
「童子と妖姫か…」
廻は魔化魍の養育係に当たる存在を確認して冷静に言葉を発っしてディロードライバーを装着。
「変身」
≪KAMEN RIDE…DEROAD≫
『!?、お前鬼か?』
童子が女声で語りかけてくる。
「仮面ライダーだ。……変身」
対するディロードは短く答えてカードを装填。
≪KAMEN RIDE…SATAN≫
フォトンストリームが複雑に発生して”Dサタン”に変身。
『変わった!?』
妖姫が男声で驚く。
「一々喧しい」
Dサタンはそう言って二体にかかっていく。
無論、敵もそれなりに抵抗はするが、サタンのパワーは彼らのそれを上回っていた。
「面倒だからとっとと決めるな」
≪FINAL ATTACKRIDE…SA・SA・SA・SATAN≫
Dサタンの足に”サタンポインター”が装備され、回し蹴りの要領で妖姫にターゲットサイトの光が彼女を拘束する。
「……ゼアァァァァ!」
ジャンプしてターゲットサイトに蹴りを入りこむような体勢で飛び込むと”デビルクラッシャー”が炸裂する。
すると、Dサタンはディロードの姿に戻った。
『くっ!覚えてろ!』
残った童子が逃げようとするが、
「覚えるきない、ここで倒す。」
≪FINAL ATTACKRIDE…DE・DE・DE・DEROAD≫
ライダーカードの電子ボイスが響くと、ディロードの眼前にはディメンションクラッシュと同じような並びでカードが出現。
ライドセイバーのセイバーモードの刃をゲート中央に構え、勢い良く突きを繰り出した。
『グアァァァァアァァァァ!!』
強力な斬撃波を打ち出すディロードの”ディメンションエクストラスラッシュ”は童子を完全に消滅させる。
その後、ディロードは暫しの沈黙を守っていたが…。
「……出て来いよ」
「「………」」
ディロードが誰に対した言葉を行ったのかを直感的に悟る二人。
「………やるね」
と言って出てきたのは、一人の鬼。
「覗いて悪かった、俺の名は裁鬼。君の力量を見たくて助けるのを忘れた」
「……俺の名は仮面ライダーディロード」
助けるのを忘れたという言葉に呆れながらも相手が名乗ったからか、ディロードも名乗った。
***
はてさて此処はと言うとサバキの家。事情説明のためにここに招待された三人だが、サバキが別の鬼達にまで招集を掛けたので会議のような状態となっている。自分たちの身の上を簡単に話した後に廻が輝鬼に会いたい等と口走ると他の鬼達はどよめいた。
「カガヤキとか…」
「あいつは、なあ…」
エイキとダンキと呼ばれる二人の青年は輝鬼との会合に渋ったかのような声を漏らす。
「それって、どういうこと?」
信彦がそう尋ねた。
すると、サバキが重々しい表情でこう答えた。
「あいつは、滅多に他の鬼と組もうとしない…」
「何で?」
サバキの返答に流姫は質問する。
今度はシュキと呼ばれた女が返答した。
「あ奴は我々より強力な力を秘めているからだ。それにあ奴自身が他人と群れたがらないからな」
「でも、流石に夏になれば手を組むがな」
シュキの言葉にサバキが追記する。
「成程、夏の魔化魍は人手を要するからな」
何時ものように成程と言って納得する廻。
確かに妖怪説の元になったと言われる怪人、魔化魍には夏になると体格が人間並みになる代わりに数が異常に増える上、太鼓の音撃でしか倒せない存在が現れる。というか、この世界の季節は既に夏に突入目前だが。
「カガヤキは色んな意味で規格外だからな…」
「同じ鬼の俺達でも近寄りがたいんだよ」
とダンキ、エイキが言った。
「…どうするの?廻」
「会うにきまってるだろ。じゃなきゃ役目を果たせん」
「やっぱりそうなるんだね」
三人は結果としてカガヤキのところに行くこととなった。
***
サバキ達から聞いた住所を元に三人はカガヤキの住家に向かっていた。
「…にしても、鬼だからってこんな山の中に住むなんて…」
流姫は足腰の疲れで愚痴を零し始める。
「頑張って、諦めたらそれで終っちゃうし」
信彦が宥めた。
「…………おい」
さっきから口を閉ざしていた廻が二人に呼びかけた。
すると…。
『フォオォ…』
『クウウゥゥ』
廻は面倒そうに頭を軽く掻くと、
「夏の魔化魍は面倒だな」
大量に現れている敵にそう呟く。実際には夏のモノではない者もいるが。
そこへ、
「トオォォォ!」
大きな声を出しながらこちらに近づく一人の戦士が現れた。
頭には四本の角、銀色に輝く猛々しい肉体、そして一番印象的なのは音撃武器と思われる物を後ろ腰や左腰、背中に持っていることだった。
「あれが……輝鬼」
廻は自分たちの目の前に現れた者が何なのかを冷静に判断する。
「鬼法術…別魅!」
輝鬼がそう言うと、彼は一気に三人に分身した。
「鬼のライダーが分身を!?」
流姫は今まで出会った鬼達には分身能力がなかったので、輝鬼の力に驚いた。
三人の輝鬼はそれぞれ、紫色をしているバチやトランペット、ギター型の武器を手にとって戦闘を開始する。
「僕たちは?」
「…あいつのお手並みを拝見するとしよう」
信彦は戦闘に加わるかどうかを問うが、廻は必要ないと踏んでそう言った。
などと喋っている内に輝鬼はあっという間に敵を残すところ三体にしていた。
「止めだ」
宣言と同時に分身を含めて、必殺技の準備を行う。
一人は”音撃棒・爆炎”と鎖で繋がっていた”音撃鼓・日輪”を外して魔化魍の身体に押し当て、
一人は音撃管と鎖で繋がっていた”音撃鳴・戦風”を”爆風”に合体させて鬼石を魔化魍に発射、
一人は音撃弦と鎖で繋がっていた”音撃震・稲妻”を”爆雷”に接続させる。
「音撃打!!音撃射!!音撃斬!!」
輝鬼三体はワンテンポずつタイミングをずらして技の種類を叫び、
「炎神焼華の型!」
「風神乱舞!」
「雷神迅電!」
技名を叫ぶと、一気に各々の音撃を奏で始めた。
♪??♪??♪??♪??!!
見事な演奏は終わりを迎え魔化魍は塵と消えた。
その一部始終を見た廻ははこう評価する。
「間違いなく強いな。途轍もなく」
この評価に他の二人も異存なく同意した。
「……お前ら、誰だ?」
輝鬼は魔化魍を見ても平然としていた廻らが気になって話しかけた。
「なーに、ちょいとお前に用があって来たまでのこと」
「俺に…?」
肯定に頷くと、廻は話をしようともちかけるも…。
「ハッ!!」
輝鬼は問答無用ばりに攻撃を仕掛けてくる。
「うおっ!?」
「ちょ!?何のつもり!」
上手く避けたとはいえ、流姫は輝鬼が廻に向けて攻撃したことにご立腹。
「あんな中で平静でいられたということは何かしらの力があるはず。戦ってみたい」
明快な答えを出した輝鬼に廻は、
「面白い、まだ使ってないカードもあったことだし。一丁やるか!…変身!!」
≪KAMEN RIDE…DEROAD≫
了承した上に変身する。
ここに次元戦士と音撃戦士の戦いが始まった。
次回、仮面ライダーディロード
「上には上がいるんだよ」
「俺は独りで十分だ」
「RX!メタルライダー!!」
”清めの音”
全てを救い、全てを砕け!
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