以心伝心

大量のドロタボウ共を殲滅した日の夜。
また魔化魍が現れた。今度はどうも”カシャ”と”ウワン”らしい。

≪KAMEN RIDE…≫

「「「変身ッ!」」」

≪DEROAD≫
≪DI‐GUIDE≫

「俺は月の寵児!仮面ライダー、SHADOW!RX!!」

当然の如く彼等も戦っていた。





世界の救済者、ディロード。九つの世界を巡り、その心は何を映す?





「ったく、昼間倒したってのに…!」
「普通、夏だとしても向こうさんはそんなにしょっちゅう来ないんだけど」
「異常の他ないね」

三人は背中を合わせながらそう言った。

「流姫、適当にばらまいてくれ。数が多すぎる」
「そうね、同感だわ」

≪KAMEN RIDE…KABUKI≫
≪KAMEN RIDE…TOUKI≫
≪KAMEN RIDE…HABATAKI≫
≪KAMEN RIDE…NISHIKI≫
≪KAMEN RIDE…KIRAMEKI≫

一気に五枚のカメンライドカードで五人の鬼ライダーを召喚した。
召喚されたライダー達は各々の音撃武器で魔化魍に攻撃を仕掛けていく。
召喚ライダーは次々と魔化魍を蹴散らしていく。

「俺達も絞めるか!」
「えぇ!」
「良し!」

≪ATTACK RIDE…CROSS ATTACK≫

ディガイドのカード装填で、召喚ライダー達は必殺音撃を叩きこむ。

音撃打(おんげきだ)業火絢爛(ごうかけんらん)!!」
音撃殴(おんげきおう)一撃怒涛(いちげきどとう)!!」
音撃奏(おんげきそう)旋風一閃(せんぷういっせん)!!」
音撃響(おんげききょう)偉羅射威(いらっしゃい)!!」
音撃拍(おんげきひょう)軽佻訃爆(けいちょうふばく)!!」

♪??♪??♪??♪??♪??

五人の音撃で魔化魍達は次々に粉々になっていく。

≪FINAL ATTACKRIDE…DE・DE・DE・DEROAD≫

ディロードの前方にターゲットサイトが出現。

「ゼァァァアァァァ!!」

ディメンションクラッシュによって多くの敵が散っていく。

「シャドーフラッシュ!」

SHADOWが放った閃光で敵は視覚器官に異常をきたして動きがぎこちなくなる。

「今だ、流姫」

ディガイドは頷いた。

≪FINAL ATTACKRIDE…DI・DI・DI・DI‐GUIDE≫

「フッ!」

――ズバァァァアァァァ!!――

ディメンションバーストによって残りの魔化魍も倒された。

「……ふ?、ようやく一息ついたな」
「そうね。…でも夏だからってあの数は…」
「もしかしたら……来るのかもね」

三人のライダーは嫌な予感を感じていた。



***

「いよいよ、オロチが来る…!」

カガヤキは自宅ではなく、山中のとある場所に佇んでいた。

「相も変わらず、俺も物好きだな。わざわざ孤独になってまでこんなことやるとは…」

目の前にある大きく平らな物を見ながら、カガヤキはそう呟いた。



***

夜が更け、一行は鬼達の集合所に来ていた。

「皆、今日わざわざ集まってもらったのはほかでもない」

廻は一番皆の視界に入る場所に座っている。

「…オロチが、動き出したかもしれん」

そう言った瞬間にあたりは騒がしいと思えるほどに声が響く。

「それは本当か!?」

サバキがそれを問うた。

「夏といえども異常としか言えない魔化魍達の数と出現頻度。オロチと考えるのが最適だろうな、これは」

オロチというのは魔化魍達が本来現れる季節や条件を無視して大量発生する現象のこと。

「オロチか…、伝説だけと思っていたが…」

シュキは眉間に皺を寄せている。

「オロチを止める方法は確か巨大な鬼石を太鼓として叩くことで土地を清める…だったよね」

信彦がオロチ対処方法を口にする。

「「「「………」」」」

なんでかダンキ、エイキ、シュキ、サバキがいきなり黙り込んだ。

「あの…どうしたの?」

流姫が少々覚束無い感じで聞くと。

「俺ら…その場所知らないんだ」
「は…?」

最悪だった。方法が分かっていると言うのに肝心な物がどこに置いてあるのかがわからないのだから。

「……聞くしかないな」
「誰に?」

廻の言葉に信彦はその対象に関して聞いてみる。

「決まってるだろ。まだ聞いてないやつがいる」
「まさか…」
「そう、カガヤキの野郎だ!」

その時、仮面からほんの僅かに垣間見えた彼の眼は希望を一片も失っていなかった。



***

ということでカガヤキのもとへ早速出発する三人。

「また、あそこに行くんだ…」

山道を歩くのがスンゴイ重労働になって来た流姫は顔から既に疲れが出ていた。

「まぁ…元気出して」

それに慰めを入れる信彦。

「とっとと終わらせて、この世界から出るか」

それに比べるとやる気満々な廻。
それぞれ違う心境にある中、それは聞こえてきた。

――ドンドドン!ドンドドドン!!――

どこからか太鼓の音が聞こえてきた。

「…近くだな…」

廻は突然走り出した。

「廻!」
「ホントに一人でズンズン行っちゃうんだから」

信彦と流姫は廻に追いつくために走る。
走っていく中で三人は視界の隅に幾つもの異形が素早く移動しているのを何度か見たが、今は音の発生源場所に行くのが最優先だった。
そうして山道を走り続けること十分。ようやくその場所にたどり着いた。

「…やはりお前だったか、輝鬼」

巨大な鬼石を爆炎で叩く輝鬼は一旦手を止めて、廻の方を睨む。

「何の用だ?もう清めは終わらせているが」

確かにこの辺りからは完全に邪気が消え失せているのが感じられる。
それに第一、輝鬼の周囲には彼の清めを止めようとした魔化魍達の破片があちこちに転がっている。

「…いや、俺がここに来たのはお前が止めたオロチ以外の”オロチ”のことでだ」
「何、どういうことだ?」

輝鬼が変身を解いた、不思議なことに衣服が消えていないのが印象的である。

「その内わかる」

そう言った矢先。

――ズガアアアアアァァァァァ!!――

地中から巨大魔化魍が姿を現した。
その姿はまるで大蛇(だいじゃ)……大蛇(オロチ)だった。

『魔王共、鬼と仲良く地獄に行くと良い』
『地獄の鬼さんによろしくな…♪』

スーパー童子とスーパー姫は大蛇(オロチ)に乗ってこちらを見ているが、すぐさまに降りて山の中へと雲隠れしてしまった。

「チッ!」

輝鬼は舌打ちすると、変身音叉を取り出して音が鳴るように自分の手首につけているブレスレットに軽く打ちつけた。

――キィーーーン!――

輝鬼は音叉を額に翳すと、額に鬼の紋章が現れた。
カガヤキの周囲には火炎の渦が巻き起こり、最後には雷が降って来た。

――ズギュウゥゥゥ!!――

火炎の渦は消え去り、そこには変身を終えた輝鬼の姿があった。
それを見た廻もディロードライバーを装着。

「変身!」

≪KAMEN RIDE…DEROAD≫

「言っておくが砕谷。俺の獲物だ」
「カッコつけるな。お前が孤独を選んでいたのは他人が気づ付かないようにするためじゃないのか?」
「!!!」

それを聞いた輝鬼はディロードの方に顔を向けた。

「わざと無愛想になって他人に嫌われるような言い方して、人から孤独になる代わりにお前はお前なりに、人を守りたかったんじゃないのか…?」
「ディロードよ…お前は何なんだ?」

敵意どころか親しみを持てる声音だった。

「…最強最悪の、仮面ライダーだ」
「一応、覚えておこう」

輝鬼がそう口にしたとき、ライドセイバーからブランクだったカードが力を取り戻して飛び出してきた。

「さてと、行くか!」

≪FINAL FORMRIDE…KA・KA・KA・KAGAYAKI≫

「堪えろよ」
「あ?…うお!?」

ディロードが輝鬼を触ると、彼の身体は変身音叉のような”カガヤキオンサ”に変形していった。

ディロードはそれを持つと、巨大な鬼石を使ってカガヤキオンサを軽く打ちつける。

――キイィィィーーーン!!――

穢れの一切ない透き通った綺麗な音がそこかしこに響いていく。
だが、

『グギャアァァァァアァァァァ!!!!』

大蛇(オロチ)は音を聞いた途端にこれでもかと言うほどに苦しみ出した。

「良し、今だ!」

≪FINAL ATTACKRIDE…KA・KA・KA・KAGAYAKI≫

カガヤキオンサは”鳴刀・音叉剣”のような巨大な刀に形を変えると、より一層清らかさな音を奏でていた。

「ゼアァァアァァ!!」

ディロードがカガヤキオンサを大蛇(オロチ)に振りおろすと、”ディロードショック”の力で、斬られた大蛇(オロチ)は輝く塵となって無に帰った。

ディロードはカガヤキオンサを投げると、それは輝鬼へと戻った。

「………」

沈黙に浸るディロード。まるで何かを待っているようだ。

「……ありがとよ、廻」

眼を少し背けながらも、輝鬼は確かにそう言った。

「どういたしまして♪」

そんな光景を見ていた信彦と流姫はお互い顔を見合せて笑っていた。



***

ことに収拾がつき、三人はいつもの帰る場所に居た。

「今度の写真はこんな感じか…」

手に持たれている写真には”独り、鬼の姿で佇む輝鬼の姿とほんの僅かに笑みを浮かべていたカガヤキの顔だった”。

「さて、次の世界はどうかな?」

と言っていると、

『仮面ラ?イダ共よ!』
「「「!!?」」」

外から聞こえてくる声、三人は急いで外に出た。
そこにいたのは鎧と兜で身を固めた五十代あたりの男だった。

「お前か、サタンの世界で怪人差し向けて邪魔したり、怪人達に俺が魔王だとか吹き込んでいるのは。…貴様は?」
「私の名はドクトルG(ゲー)。ラ?イダ共に死を与えるが組織の幹部である」

自らの素性を明かすドクトルG。

「組織だって?」
「ライダーに死を与える…」

彼の言葉に信彦や流姫は少し黙っていた。

「ディロード、お前は必ずや私が葬る。怪人達に…いや、組織にとって脅威となるお前を!」

と言い残してドクトルGは次元の壁に消えた。

「…廻」
「廻…」

二人は仲間を案じて声を掛けるが

「何が葬るだ。…葬られるのは奴らだぜ!」

全くと言っていいほど臆した様子を見せていなかった。

それを見て二人はホッとしたような複雑な気分になった。
と、そうこうしている間に現れた次元の壁は三人を家諸共、新たな世界に導いていた…。



次回、仮面ライダーディロード

「ワームってことは、こいつの世界か…」
「正義の味方…ねぇ」
「黒い…イナゴ?」
「悪に生きる道はないと思い知れ!」

”黒き蝗”

全てを救い、全てを砕け!

押して頂けると作者の励みになりますm(__)m


<<前話 目次 次話>>

作品を投稿する感想掲示板トップページに戻る

Copyright(c)2004 SILUFENIA All rights reserved.