新ツール紹介
コールドライバー
ネガの世界においてケータッチ同様に宝として保管されていた召喚銃。
外観は黄色と黒で彩られたディエンドライバーと言える。
FKRによる最強形態の仮面ライダー達を含んだ召喚が可能で、攻撃性能もディエンドライバーを遥かに凌ぐ。だが、余りに強すぎる力を秘めているため、通常のライダーでは使いこなすことは不可能に近い。故に同じように強大な力を秘めているディロードにしか扱えない。普段はベルトの左サイド部にぶら下げられている。
怪盗・ディエンドの世界
ネガの世界でコールドライバーを手に入れた廻。
さらには世界の破壊者と異名される仮面ライダーディケイド。門矢 士とも接触。
そして新たな仲間、ネガ電王・時峰 劉子を加えて、次の世界へと。
「さ〜て………」
廻は黙り果てた、何故ならつい先ほど知り合ったばかりの男が眼鏡にスーツ姿にて小屋の隣にある”光写真館”とやらから出てきて鉢合わせしたのだから。
「………」
「………」
「あれ？どうしたんだ士？」
「そ、その人…」
士が黙っているのに気になったのか。仮面ライダークウガ＝小野寺 ユウスケが話しかける。
近くにいる夏海はあまりに早い廻との再会に驚く。
「どうかした、廻？」
「何、怪人？」
「のどかだな〜」
「田舎そのものですね」
後から四人も出てきた。
世界の救済者、ディロード。幾つもの世界を巡り、その心は何を映す？
ディケイド一行とディロード一行はそろって歩いていた。
時折、地元住民がご丁寧に挨拶してくるのに、廻は変な感じを覚えたが。
さらには家一軒一軒、人々がよく利用しそうなところのすぐ近くににバス停が設けられていた。
「まかさ、俺達や海東さんのほかに世界を巡ってるライダー達がいたなんて…」
ユウスケがそういうと、廻は。
「当たり前だ。世界はお前達の認識通り無数存在する。自分たちだけが特別と思うな」
「……厳しいですね。砕谷さん」
「お前等が甘いだけだ」
いつもの超冷静な受け答えをする。
「ほ〜、意見が合うな」
「お前もか」
しかし、士とはウマが合いそうな廻だった。
「にしても…このあちらこちらに立ててある看板からするとやっぱり…」
「ディエンドの世界だね」
信彦と流姫はそういった。
「あの、貴方達は廻さんの仲間なんですよね？」
「そうよ、廻とは同じ世界の出身だから」
「僕は二年前から一緒にいるよ」
夏海の質問にそう答えた二人。
「それじゃあ、後のお二人は…？」
「ボクはネガの世界から一緒にいるよ」
「私はリュ−ドの世界からです」
「俺達より遥かに先輩だな…」
ユウスケは廻・流姫・信彦の三人の旅経験の深さに感服する。
「でも、リュ−ドの世界って？というか劉子さんネガの世界からって行ってませんでしたか！？」
(うるせえなぁ…)
騒ぐユウスケに廻は鬱陶しさを感じていた。
そして、謎の存在から託された使命で巡ってきた九つの世界のこと、和雄と劉子が何故仲間になったかを話した。
「成程。俺達の知らないライダーたちか…」
士はそう言った。
さらには…。
「にしても、お前モテるんだな」
劉子が仲間になった理由までも聞いていたので、そう士は口走る。
すると、それを誇示する為か劉子は廻の腕に組みつき、それに対抗して流姫も腕に組みついて痴話喧嘩を始めた。
数分後、喧嘩も収まり、士もサラリーマンとしての役割で勤めることになった会社へと赴くことになった。ちなみに流姫の服装は未だに変化がなかった。恐らく九つの世界でのみ、服装と職業が変化するようになっていたようである。
そして…。
「美味しいよぉおおお！！幸せぇえええ！！」
ユウスケと夏海はユウスケが空腹に堪えかねているところへ現れ、弁当を差し出してきた子供の昼御飯を”優しさ”として堪能していた。
それを見ていた廻は「下らん」と一言漏らした。
＊＊＊
その頃、ディエンド＝海東は一人この世界にある、現在廻達がいる村を上から見渡せるほどの高地で、
「遂に戻って来たか。僕の世界に」
と言った。
そしてどこかを歩もうとすると、自分の指名手配書をふんずけてしまい、それをきっかけに多数設置してある手配書付き看板を発見する。
「やはり、こういうことになっていたか」
「海東 大樹〜〜〜！」
「大樹ー！」
そこへ温厚なはずの村人たちが農具を手に、眼には殺気を宿して海東に近づいてくる。
海東はディエンドライバーを構えて発砲する。
＊＊＊
ここは士の役割サラリーマンとしての勤め先”山田商店”。
廻は士と行動を共にすることに…なるはずだったが、「廻さんと一緒が良い！」と劉子が駄々をこねた結果、士を行動を共にすることになったのは廻だけでなく劉子。さらには流姫まで来る始末。
でも、流石に社員でもない人間が山田商店の中に入るのはまずいので外で待っていたが。
しかしながら、窓から中の様子を観察してみれば、過剰といえるまでに社員達は士を歓迎していた。
それを見た三人は「「「…ありえない」」」と言ったとか。
さらには、士が営業で向かった田中家では、
「これが我社が新しく開発した…、スーパー電動歯ブラシ！一日一回使うだけで、お口の中が、キレイサッパリ…！」
白い電動歯ブラシと、手書きで書いたかのような、っていうか手書きの宣伝チラシを客に見せた。
「売れないって、いくらなんでも」
「一本二本買えば上々じゃないの？」
「…無理だな」
三人は山田商店の商品に酷な評価を下していた。
「もちろん買わせていただきます」
「「「え…！？」」」
客の女性の言葉に三人は間抜けな声を出した。
「そうね〜…とりあえず、五十本程」
それを聞いた士は少々驚き、こっちは…。
「「えぇぇぇ…」」
「一つの家に五十本。どんだけ歯ブラシ必要なんだよ。……というかディケイドのやつなんで飯食わせてもらってんだ！？」
三人は陰で客のありえない注文量と、士への大歓迎ぶりに訳が分からなかった。
＊＊＊
一方、”西のたんぼ”では。
信彦・和雄・ユウスケ・夏海が歩いていた。
尚、ここでも通りかかる住民たちの挨拶の対応に追われたが。
「それにしても夏海ちゃん、どうするんだ、俺達これから？」
「警察署に行きましょう」
「警察？」
「…ディエンドについて、情報を得るってこと？」
「そうです。ここは海東さんの故郷ですし、何かわかると思って」
「警察か…私の世界が懐かしいですね。離れてまだ半年も経ってませんけど」
リュ−ドの世界で警察官兼G4装着員をしていた和雄は警察というフレーズに懐かしむ。
「でも、警察署って？」
ユウスケが迷っていると、二人の村人が現れた。
「警察署ですか？ご案内しましょう！」
村人二人は背中の荷をおろしていく…。
結果…。
現在地”東のたんぼ”で夏海とユウスケは村人二人の木の枝を集める背負いものに乗せられる形で運ばれていた。。和雄と信彦は歩いている。村人は仲間を呼んで数を合わせようとしたが、いくらなんでもやりすぎだと二人に止められ、村人は渋々ながらも了承した。
しかし、村人の渋った様子を見て信彦と和雄はなにか変な感じを覚えた。
「あの、ありがとうございます。本当に皆さん優しいんですね」
「何言ってるんですか？人が人に優しくするのはあたりまえのことですよ」
「ですよねー！」
完全にユウスケはこの世界のペースに乗せられている。
そして、このディエンドの世界に満足している彼に村人は「良かった良かった」といっていたが、和雄・信彦は違和感を感じたままだった。
＊＊＊
「お買い上げ、ありがとうございました」
現在地、斉藤さんち。
「また売れた。…営業の仕事もなかなか楽しいな！」
「もう突っ込むのも面倒だな」
「「うん」」
とんとん拍子で次々と商品の売り上げを伸ばしていくことに楽しみを感じる士に対して、三人は一々過剰な住民の優しさとありえない注文数に陰から突っ込みを入れたせいで疲弊感たっぷりだった。
そこへ、一人の学生が自転車で走って来たことで士は鞄を落としてしまった。
「おい！どこ見てる!?」
「すみませーん！寝坊しちゃってー！遅刻しそうなんですー！」
学生の弁解を聞いて、士は仕方なくといった感じで鞄を拾う。
「あぁぁぁーーー！！」
次の営業先に向かおうとしたとき、先程の少年学生の悲鳴が聞こえてきた。
『忘れたのか？この世界のルールを』
黒いゴキブリのような怪人”ダークローチ”は学生の首を掴んで問いただすと、放り投げた。
そこへ、一人の青年がダークローチに体当たりを仕掛ける。そこへ仲間と思われる女性も現れた。
『何だお前ら？』
「この世界のルールならあたし達が変えてみせる！」
女はダークローチの問いにそう答えると、青年と共にWAのラウズカードとランスバックル・ラルクバックルを取り出して装着する。
そして、ミスリルゲートを開けてこう言った。
「「変身！」」
≪≪OPEN UP≫≫
ケルベロスのとAの文字が刻印されたオリハルコンエレメントがバックルから飛び出し、二人の身体を自動的に通過すると”仮面ライダーランス”と”仮面ライダーラルク”に変身する。
「行くわよ慎」
「おっしゃァァァ！」
すぐさま戦闘が開始された。
格闘戦によってダークローチを翻弄する二人のライダーに、他のダークローチ達が現れた。
ランスとラルクは武器を取り出し、一気にけりをつけようとする。
だがそこへ、廻たちがやってきた。
「誰なの？」
ラルクは突然現れた者達に疑念する。
「「「「変身」」」」
≪KAMEN RIDE…DECADE≫
≪KAMEN RIDE…DEROAD≫
≪KAMEN RIDE…DI‐GUIDE≫
≪NEGA FORM≫
四人は各々のライダーに変身。
「「！！？」」
自分たちの知らないライダー達の登場にラルクとランスは驚く。
だが、四人はそんなことお構いなしにダークローチ達に攻撃していく。
≪ATTACK RIDE…EXTRA BLAST≫
≪FINAL ATTACKRIDE…DI・DI・DI・DI‐GUIDE≫
≪FULL CHARGE≫
ディロードはコールドライバーによる新技”ディロードエクストラブラスト”の超々的高速射撃。
ディガイドはディメンションバースト。
ネガ電王はネガワイルドショットで、一体を残してダークローチ達を殲滅する。
≪≪MIGHTY≫≫
好機と思ったのか、ランス・ラルクはカードをラウザーに通して”インパクトスタッブ”・”レイバレット”の二連撃で倒した。
「誰だ、お前ら？」
「通りすがりの仮面ライダーだ」
「最強最悪の仮面ライダーだ」
ランスの質問に二人はそう返答する。
その直後、村人たちが殺気だって現れてくる。
「仮面ライダーだ」
「社会の敵だ」
「敵だ、敵だ！」
「敵？どういうことだ？」
「おい春香、逃げるぞ！」
ディケイドの疑問とは裏腹にランスとラルクは退散してしまう。
「追いかけるぞ、情報を聞き出す」
ディロードがそういったことで一行は二人の逃げた方向へ行くこととなった。
＊＊＊
村外れの神社。
「一体どうなっている？せっかく人を助けたのに、敵扱いだ」
「その前に聞かせて。貴方達何者？」
「最強最悪の仮面ライダーと…」
「通りすがりの「だったらさっさと通り過ぎろ」
士の台詞の途中で慎がそういった。
「なにしろ俺達仮面ライダーは、社会の敵ってことになってるからな」
「…ボクのいたネガの世界のライダーバージョンだね」
劉子は排除されるべき者が存在すると言う共通点故にネガの世界とこの世界を比べた。
「この世界の人たちって…」
流姫がそう言った途端、しつこく追って来た村人たちがすぐ近くにまで来ていた。
無論、慎と春香は逃げたが。
其の時、残った一行は気配を感じて後ろを振り返る。
石の階段の上から見下ろす男…鳴滝だった。
「鳴滝」
「…ディロード、ディガイド。いつまでその悪魔にくっついている気だ？」
士の言葉を無視して、鳴滝は廻と流姫に呼びかける。
「お前には関係無い」
「アタシ達はアタシ達の道を行くまでよ」
二人はそう答え、鳴滝はこう言う。
「まあ良い。いずれわかる時が来る。だが、この世界は君達にとって過酷なものだ。君達の敵は社会全体だ。この世界は仮面ライダーを抹殺する」
壮言って鳴滝は去っていく。
「お前ら…鳴滝とは一体？」
「「………」」
士は鳴滝が二人を案じるような素振りを見せたことに疑念を抱くが、二人は口を閉ざしている。
「…ちょっと皆、早く逃げなきゃボクら捕まるよ」
劉子の言葉で一行はすぐさまその場を退散する。
＊＊＊
警察署で…ではなく、駐在所にいる四人。
どうやらここで話を聞くようである。警官が丁寧にも程のある歓迎をしているのは言うまでもない。
さらにはカツ丼を四人に御馳走しているほどだ。
「あの〜、それでご用件は？」
「あの実は、海東 大樹さんのことで」
「海東？…あの海東！？」
それを聞いた途端に警官や周りにいた村人たちは騒ぎ始める。
「貴方達、知り合いなんですか!?」
「はい…」
「大変だァ！」
警官は駐在所手前に停めてある白バイに乗って行ってしまう。
「その海東さんって一体何なの？」
「私達は顔すら見てませんから知りませんよ」
海東を知らない和雄と信彦はユウスケと夏海に質問する。
「俺達と同じライダーで、いろんな世界のお宝を探して旅をしてるんだって」
ユウスケは飯を食いながら答えた。
＊＊＊
光写真館。
「で、どうした？」
「…とにかく、私達の知ってる海東さんの情報を詳しく知りたいって言うから、なんか…偉い人と会う約束になっちゃって」
「けど…海東さん何したんだろ？」
士、夏海、ユウスケはそう話し合っている。
「噂によると、ディエンドはあちこちの世界で、仮面ライダー達にとっては高い価値のある物を持ち去ると聞いたが」
そこへ士の向こう側に立っている廻が言った。
なお、廻だけではなくほかの仲間も一緒に居た。
「そう、あいつは根っからの泥棒野郎だからな」
「…いくら集めたところで、ディエンドじゃ他のライダー達のツールでパワーアップできる訳じゃないのにどうして…？」
流姫は海東の盗みの動機を疑念する。
そこへ、夏海の祖母。
光 栄次郎が士の撮った写真を持ってきた。
「写真か…」
廻は九つの世界で得てきた写真を懐から出した。
「なんですか？その写真」
「お前が撮ったのか？」
「俺のと似てるな…」
三人は九枚の写真を手にとって眺めた。
「それぞれの世界の役目を終えたら出てきた」
真実をそのまま語る廻。
「ほ〜…皆良い表情してるじゃないか」
栄次郎もその写真を眺め出した。
「各々のライダー達が掴み取った何か…。これはそれを現してるのかもな」
廻はそう小さく呟く。
「旅に得たものは、旅をした者にしかわからない…なんてね♪」
栄次郎は突然そう言いだす。
「…爺さんの言う通りかもしれんな。…踏み出した歩み、それを実感できるのは、ほかならぬ己自身…そのものだ」
誰もが心射抜かれそうな哀愁漂う表情で廻がそういうと、信彦と流姫と栄次郎を除く全員は固まった。
「廻さんって、結構渋いですね」(夏海・小声)
「長い旅すると、人ってあんな風になるのかな…？」(ユウスケ・小声)
「いや、元からって可能性もある」(士・小声)
「流石、ボクを惚れさせた人♪」(劉子・小声)
「今さらですけど、廻さんって素顔とんでもなくイケメンじゃないですか」(和雄・小声)
五人は廻に関してそんな風に囁いていた。
＊＊＊
さて、ここはこの世界での警察署。
といっても、大自然な風景に都会的イメージな高層ビル造りの警察署はアンバランスなものを感じさせてくれた。さらには警察署内部の構造はかなり豪華なものだった。
といっても、一行が約束の為にいるのはまるで大金持ちが住んでいそうな建物の中。
「お偉方と会うのに何でプール何だ？」
「もしかして、裸の付き合いがしたいんじゃ」
「ベタですね」
ディケイド一行はそう言った。
ディロード一行はプールを見ながら、
「金持と来たら室内プールですか」
「ありきたりな考え」
和雄と信彦はあきれた表情で感想を述べる。
「ねぇ、廻さん。いっそのこと此処の人の許可とって一緒に泳がない？」
「何故そうなる。俺達は遊びに来たわけではない」
「そうよ」
劉子は泳ぎたいようだが、二人が止める。
「フッ…」
「な、なによ？」
不敵に笑った劉子に流姫は問う。
「どうせ、スタイルに自信ないんでしょ」
「なんですって!?一回どっちが立場上か白黒つける！？」
「望むところよ！」
「お前らやめろ！…というか二人共、滅多に見つからない程スタイル良いぞ」
廻はその場を鎮める為に双方ともに褒める言葉をかけてなんとか騒ぎを起こさずにすませた。
そうしている間に、そのお偉いさんがプールで泳いでいる状態で出てきた。
というか一行が来る前から泳いでいたようである。
お偉いさんがプールから出て、服を着てくるまでの間、一行は応接用のソファーに座ってゆったりして時間を潰していると、そのお偉いさんが来た。いかにも高い階級にいるものが身につけていそうな制服を着ている。
「では、貴方様方は、海東大樹といっしょに様々な世界を旅してきたと言うことですね」
「別に仲良しと言う訳じゃない。だが、あいつが俺達の周りをウロチョロしていたのは確かだ。まあ、コソ泥だからな」
「コソ泥、ですか？あいつらしい」
士の海東に対する評価を聞く。
「あの、大樹さんはこの世界で何をしたんですか？指名手配って、相当のことですよね」
「あいつは、この世界を壊そうとしました。言わば…反逆です」
にこやかに答えた。とてもそんな風に答える話題ではないが。
「こんな素晴らしい世界を？あいつなんて奴だ」
ユウスケはこの世界を気に入っていたので海東の腹を立て始める。
「大体わかった。で、あんたは一体何者なんだ？」
「海東大樹のこと随分と知っているようだな。いや、それだけじゃない」
士と廻は目の前にいるお偉いさんに問う。
「申し遅れました。私はエリア管理委員会次官。海東 純一と申します」
海東純一は名刺入れから名刺を取り出して一行に渡した。
「海東？」
「大樹は、私の弟です」
「兄弟の割には似てませんね」
「うん。性格からして丸っきし違う」
和雄、劉子はそう言った。
「…それで、大樹と接触しましたら、私達の方に連絡をよろしくお願いします」
純一は頭を下げてそう言った。
しかし、廻と士は未だに表情を一定させたままだった。
＊＊＊
片や、こちらでは慎と春香が川岸にある岩などを利用して身を隠していた。
「しっかし、あの仮面ライダー達。一体何者だったんだ？」
慎は戦いの手助けをしたディロード達のことを思い出していた。
「…マゼンタとイエローの人の眼、何となく似てた。純一に」
「何言ってんだ！？全然違うタイプだろ！…ま、あの通りすがりの方だと…俺の方が似てるだろ？」
「全然」
そう返されると慎は別の話題を振って来る。
「…わかってる。お前が純一のことを忘れられないってことくらいな…」
「……あなただってそうでしょう？」
それを聞くと慎はやりきれない表情をする。
「あたし達は三人で一つだった。そんな、大切な仲間なんだから」
――行くぞ！慎！春香！――
――変身ッ!!――
慎の脳裏にはかつて仮面ライダーグレイブとして共に戦ってきた純一との記憶がよぎる。
「俺は必ず純一を取り戻す。…奴は最高だったよ。…それなのに、大樹のせいで」
慎は近くの岩を軽く叩きながらそういう。
その直後。
『見つけたぞ。仮面ライダー』
二人の周りに爆発が起こり、ダークローチ達が迫って来る。
二人は変身のスタンバイを完了させて。
「変身！」
「変身ッ！」
≪≪OPEN UP≫≫
仮面ライダーへと変身して、敵へと突っ込んでいく。
しかし、相手の数が多いために苦戦してしまう。
そこへ、
――バアァァァン！――
ランスの相手をしていたダークローチ二体が誰かの銃撃を受けた。
「お前は…！」
「変身！」
≪KAMEN RIDE…DI‐END≫
海東 大樹＝仮面ライダーディエンド。
「大樹…お前！」
「話は後だ！」
ランスの怒りこもった言葉にディエンドは後回しする言葉を掛け、ダークローチとの戦闘に入る。
二人がかりでも苦戦したダークローチ達をディエンドは一人で翻弄し、カードをホルダーから取り出す。さらにジャンプしてダークローチ達全てがおおまかに一直線に並んでいるところへ銃口を向ける。
≪FINAL ATTACKRIDE…DI・DI・DI・DI‐END≫
ディメンションシュートでダークローチ達をあっと言う間に倒してしまう。
「貴方…、いつのまに、ライダーの力を」
「そんなことはどうでも良い！大樹…お前だけは許せない！」
ランスはディエンドに近付いて戦いを仕掛けようとする。
「君達との戦いなんて望んでない。僕は兄さんを助けに…元に戻すために来たんだ！」
「うるせェエエエ！」
聞く耳持たずのランスにラルクが仲裁に入ろうとした瞬間にまた爆発が起こった。
新たなダークローチ達が現れ、三人は身構えるが。
――ガギイィィィン！！――
――ドガアァァァン！！――
ダークローチ達は突然攻撃を受けて爆発する。
その原因はディケイド・ディロード。ほかにもディロードの仲間であるディガイドとネガ電王もいた。
「話を聞かせてもらおうか」
「ま、何となく想像はつくがな」
＊＊＊
「一つだけ教えてくれ。兄さんは今どこで何をしているんだ？」
「それはこっちの台詞だ！」
逃げおおせた一行。
大樹は純一に関する情報を慎達から聞き出そうとするが、慎が逆に大樹に掴みかかる。
「意外だな。お前にも、兄弟の情らしきものがあったんだな」
「君には関係無いだろ！引っ込んでてくれないか！」
士の発言に大樹は大声で返答する。
「俺達はあったぜ。お前の兄貴である海東 純一にな」
廻がそう言うと、
「え？あったの？」
春香は廻の言葉をにわかに信じられないと言った表情いた。
「うん。エリア委員会次官としてディエンドを捕まえたがってたね」
次に劉子が告げる。
「貴方…昔この世界で何があったの？」
さらには流姫が問うた。
「じゃあ…やっぱり兄さんは…」
「あぁ！純一は今ローチの手先になってる。お前のせいでな…！」
大樹は兄の現状況を知って沈黙する。
「…ローチってなんだ？」
「さっき相手した敵のことよ」
ディエンドの世界ではダークローチは単にローチと呼称されるらしい。
「…なぁ、お前ら何だんだ？」
「そいつらは、この世界の住人じゃない。だから何も知らないんだ」
大樹は廻らのことを簡単に話す。
「この社会はローチによって支配されているの。あいつらのせいで、人間達は飼いならされた羊のように生きている。優しさのルールを強いられて」
「道理で。無償で飯を食わせたり、大した意味もないものを大量に注文するわけ無いからな」
「少しでもルールに反したものは処罰される。エリア管理委員に連行され、自分の意思を奪われるの」
春香はこのディエンドの世界のことをわかりやすく話した。
「意思を奪われる？」
士はそのフレーズに疑問を感じた。
「そうか、海東 純一も…か」
廻はそうひとり呟いていたが、大樹・慎・春香は黙り込んでいた。
＊＊＊
「は〜、空気が澄んでるな〜♪」
こちらではユウスケが村の道で空気をたっぷり吸いこんでいた。
その横を歩いていた夏海と信彦は、
「おばあちゃん！」
「僕等も手伝います」
と、荷物を背負って前を歩いていた老婆を助ける。
「偉いな〜、二人とも」
「本当に」
能天気なことを言っているユウスケと和雄。
『お前等の優しさはどうした？』
そこへタイミングを見計らったかのようにローチが現れる。
「「！！？」」
ローチは二人が驚いている間に拳を腹部に叩きつけて両肩を使って背負う。
「ユウスケ！？」
「和雄！？」
『こいつらは頂いて行く』
＊＊＊
「そして、自分の意思を奪われた人間は、フォーティーンによって操り人形にされてしまうの」
「14…か」
「なんだ、そのフォーティーンっていうのは？」
「ローチのトップ。事実上、この社会を支配しているものさ」
＊＊＊
その頃、フォーティーンと呼ばれる、白スーツに眼鏡をかけた男がソファーに座り、テーブルに乗せられたモニターを見た。
「奴か。よその世界から来た人間と言うのは」
「はい。もうすぐこの世界に適合できる人間になるでしょう」
モニターには手術台のようなものの上で身体の自由を拘束された形で寝かされたユウスケと和雄が映っていた。
「貴方様の意思のままに動く人間に」
純一は一礼すると、その場から歩き去った。
「離せ！何するつもりだ？折角この世界が好きになったところなのに！」
「ちょ、待って…。なんだそれ？」
和雄とユウスケを囲む医師達の手には何か薬剤を注射するような感じではあるが、見た感じヤバそうな器具らしきものが…。
「な、何するんですか！？やめてください！」
「アァァ！なんか！何がか頭の中にィイイイ！」
＊＊＊
「大体わかった。この世界のことがな…。だが海東、お前一体何をしたんだ？何故お前の兄貴は、ローチの手先になっている？」
「言ったはずだ。君には関係無い」
「そいつは昔…ローチの仲間だったんだ」
士→大樹→慎の順に会話が進んだ。
直後に…。
――バアァァァン!!――
一行に近くに銃弾が。
振り返ると、猟銃やら鎌やらを持ちだした村人たちが…。
「あれが良い例ってことか」
「二度も見ると、より実感が湧くわ」
「あれがフォーティーンの操り人形化した人間」
「そうだ！観察してないで逃げるぞ！」
三人は全く臆すこと無く村人たちの置かれた状況を理解するが、慎が肯定とツッコミの言葉を口に出す。そして逃げようとするが、そこには多数のローチとそれを率いる行動隊長で、コーカサスオオカブトムシの始祖たるボスローチがいた。
ボスローチの外見はスペードのカテゴリーK（キング）のコーカサスビートルアンデッドの身体が黒ずんだ状態と言ってよかった。
アンデッドバックルが備わっているところから見ると、正式な不死生物であることがわかる。
「「「「「「「変身!!」」」」」」
≪KAMEN RIDE…DEROAD≫
≪KAMEN RIDE…DI‐GUIDE≫
≪NEGA FORM≫
≪KAMEN RIDE…DECADE≫
≪KAMEN RIDE…DI‐END≫
≪≪OPEN UP≫≫
一斉に変身する。
各々のライダーはそれぞれの敵を相手に善戦する。
ディロードはローチだけでなくボスローチまで相手にしているようだが。
≪FULL CAHRGE≫
ネガ電王はデンガッシャ−・アックスモードにフリーエネルギーをチャージして、周囲を屯するローチ達を、自らの身体を一回転させ、”ネガダイナミックチョップ”で倒した。
≪KAMEN RIDE…RIOTROOPER Ver.2≫
≪KAMEN RIDE…ALTERNATIVE≫
ディガイドはカードをディガイドライバーにセット、ライオトルーパーVer.2を召喚。
さらには擬似ライダーであるオルタナティブまで召喚した。
双方とも、なかなかの高スペックを誇っていたので、アクセレイガンとスラッシュダガーでローチ達を片づけてしまった。
≪≪MIGHTY≫≫
ランスはカードをランスラウザーにラウズしてインパクトスタッブを発動。
五、六体のローチを倒す。
ランスに負けず、ラルクもカードをラルクラウザーにラウズしてレイバレットを発動。
三体のローチを撃ち抜く。
ディエンドは、
「兵隊さん、いってらっしゃい」
≪KAMEN RIDE…RIOTROOPER≫
三体のライオトルーパーを召喚。
結果として、ローチ達はライオトルーパー達のアクセレイガンの斬撃で爆散し、ライオトルーパーも役目を終えて消えた。
「大樹」
そこへランスとラルクが来た。
「やっぱり信用出来ねえなー、お前のこと」
「……」
「俺達を売ったんじゃねえのかよ！！」
「違う！」
ランスは長槍を用いてディエンドに攻撃を仕掛けていく。
一方、ディケイドはケータッチを取り出してカードを挿入。
≪KUUGA・AGITO・RYUKI・FAIZ・BLADE・HIBIKI・KABUTO・DEN‐O・KIVA≫
≪FINAL KAMENRIDE…DECADE≫
コンプリートフォームにフォームチェンジ。
ローチ達は構わず突っ込んでいくが、ライドブッカー・ソードモードによってあしらわれる。
コンプリートフォームはケータッチを手にとって紋章をタッチ。
≪KIVA・KAMEN RIDE・EMPEROR≫
ヒストリーオーナメントのカードが変化し、傍らにはザンバットソードを持つキバ・エンペラーフォームが召喚される。
コンプリートフォームはカードをサイド部に映ったバックルにセット。
≪FINAL ATTACKRIDE…KI・KI・KI・KIVA≫
ソードモード、ザンバットソードの刃は光を帯び始め、同時に”ファイナルザンバット斬”で攻撃してローチ達を一掃する。
そして、ディロードは。
≪FINAL KAMENRIDE…KI・KI・KI・KIVA≫
コールドライバーの力でキバ・エンペラーフォームが召喚される。
≪FINAL FORMRIDE…KI・KI・KI・KIVA≫
「堪えろ」
エンペラーフォームに向かって発砲すると、超絶変形をおこして、タツロットを模した外観、矢としてザンバットソードを用いている”エンペラーボウガン”となる。
≪FINAL ATTACKRIDE…KI・KI・KI・KIVA≫
ディロードはエンペラーボウガンを手に持ち、魔皇力によって赤く染まっていく矢（ザンバットソード）の向いている方向をボスローチへ。
「ディロードワイルド!!」
――バシュウゥゥゥン！――
魔皇力のエネルギーが発射され、ボスローチはもちろん、他のローチ達も全滅する。
＊＊＊
だが、未だにランスの一方的な攻撃をディエンドは避け続ける。
「やめろ！」
「お前の罪を、あの世で償え！」
「グアァ！」
ランスの槍撃はディエンドにダメージを与えた…。
次回、仮面ライダーディエンド
「お前はフォーティーン様の下で、ローチとして働いていたのに」
「僕の力は兄さんと戦うためにあるんじゃない。兄さんを、救うためだ！」
「フォーティーン…俺の切り札達、見せてやるよ」
”優しさと己の意思”
全てを救い、全てを砕け！
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