オリキャラ紹介
鉄和雄/仮面ライダーG4
リュ−ドの世界でG4システム装着員を務めていた青年。23歳。
廻達異世界人の存在を知って以降、それらの事柄に興味を持ち、廻達がリュ−ドの世界を去る直前に仲間となって旅に同行する。
上司である塚田から瞬時にG4に変身する為のベルトを授かっている。
時峰劉子/仮面ライダーネガ電王
ネガの世界の住人で、生き残る数少ない人間。年齢は22歳。
怪人たちによって人間が駆逐され始めたころにライダーパスを偶然手に入れたことによって仮面ライダーとなり、ダークライダーの仲間として生き延びていた。だが、ディロード=廻の実力を試すように命令されて戦った際、その強さを身をもって知ることとなった。さらに、廻の仮面を偶発的に外したことで彼の素顔を目撃し、一目惚れ。ダークライダーを裏切って旅の仲間となった。
優しさと己の意思
ローチ達を一掃して変身を解いた廻・士・流姫・劉子は一方的にディエンドへ攻撃するランスを目にする。ディエンドは攻撃を受け続けた結果、とうとう変身が解けてしまう。
「海東…」
「何やってんだ、あの馬鹿は…」
士は心配そうに声を漏らし、廻はランスの猪突猛進ぶりに呆れている。
「…」
「この野郎ォオオオ!!」
「やめて!」
変身が解けた海東にランスはとどめの一撃を喰らわせようとしたが、ラルクが割って入り、ランスラウザーを受け止める。
「春香!?」
「やめて!」
ランスは何を思ったのか武器を地面に叩きつけ、ミスリルゲートを閉じて変身を解く。それはラルクも同じだった。
「何故止めた春香?」
「それは…」
「…そいつのせいで純一は!!」
慎は近くのガードレールに拳を置いた。海東も顔を俯かせている。
「あいつは最高のライダーだった」
――行くぞ!慎、春香!――
――変身ッ!――
≪OPEN UP≫
――この世界に自由を取り戻してみせる、必ずっ!――
かつての純一を思い出した慎。その表情は本当に悔しそうだった。
「…世界を正すために戦っていた。…あの純一が…いまやフォーティーンの手先になっている」
「……」
「……」
「そんなことが…」
「洗脳…か」
四人は慎の言葉に耳を傾けていたが。
「おぉ!いたぞ!」
村人達に見つかった。
「クソォ!」
慎と春香は悪くなっていく状況に苛立ち、
「ほら」
士も海東の頭を小突き、逃げることを促す。
「クソッ!」
しかし、海東からは後悔と怒りに満ちた言葉。
「見ろよ、皆フォーティーンの手先になってる。純一と同じように…全てお前の責任だよ」
慎はそう海東に言うと、春香共々逃げていく。
村人たちは猟銃で攻撃してくるが、
「うざい」
と声を漏らした廻が、威嚇としてコールドライバーを村人たちの足元に発砲。その隙に全員は逃げ押せた。
世界の救済者、ディロード。幾つもの世界を巡り、その心は何を映す?
慎達とは別ルートで逃げた一行は森林地帯の入り口辺りにまで来ていた。
道路に出ようとすると、夏海と信彦が駆けてきた。
「ナツミカン」
「信彦」
「士君、大変です。ユウスケがさらわれました!」
「廻、和雄も」
「「何…まさか!?」」
二人は確定的なことを想像した。
「恐らく二人は、フォーティーンの意のままになるよう処置される」
廻と士はバツの悪そうな顔をした。
そんな中、一台の白い車が近くに止まり、後部座席ドアから海東 純一が出てきた。
「…兄さん!?」
「会いたかったよ、大樹」
いつも通りと言う言葉が通じそうな、変化性の無い笑顔で純一はそう言った。
***
片や、
「おい春香!お前何考えてんだよ?大樹を庇うなんて」
「あの人は、昔の海東 大樹じゃない。彼が純一を戻したいと言うなら、その気持に賭けてみたいの!」
川の流れ通りに歩きながら会話が交わされる。
「それに、」
「それに、?なんだよ?」
「…あの人の眼、似てるの。純一に」
「またそれか!兄弟ならそんなの当たり前だろアホ女!」
***
「可笑しなものだね。昔は立場が逆だった」
純一はゆっくりと歩み寄る。
「お前はフォーティーン様の下でローチとして働いていたのに」
大樹と純一はかつての自分たちを思い出す。
***
「仮面ライダー発見!至急応援頼む!」
かつてエリア管理委員で働いていた頃の海東大樹。
車に乗って、前方をバイクで走るグレイブ・ラルク・ランスを追跡する。
しかし、ライダー三人は車では通れない道を通って、逃げきってしまう。
「……クソ…」
車から出て、逃げて行った仮面ライダー達に悪態をつく大樹。
再び車に乗ろうとするが、その時に一人の男を見た。
「兄さん。こんなところでなにしてるんだい?」
そう、仮面ライダーグレイブとして戦っていた頃の海東純一。
黒い帽子に黒い服。まさしく黒一色の服装だ。
「別に。お前はまた仮面ライダー狩りか?」
「あぁ。奴らはこの世界の秩序を乱そうとしている。危険な存在は、一刻も早く消さないとね」
「本当にそうかな?」
大樹が語る中、純一はそう口にした。
「何が言いたいんだい?」
「この世界の平和はフォーティーン率いるローチ達が創ったものだ。お前は本当にそれでいいのか?」
「違うよ兄さん。僕は奴らの力を利用しているんだ。それでこの世界の秩序が保たれているならいいじゃないか。それに、ローチ達は人々を傷つけている訳じゃない。あくまでも管理しているだけだ。少しでも犯罪傾向のある者を捕まえて、特別施設でしっかり立ち直らせる。そう、僕の作った、教育プログラムで…!できれば兄さんにも協力してほしいんだ。仮面ライダーを捕まえる為にね」
熱を持って語る大樹に、無言で純一は立ち去ってしまう。
***
「兄さん…。今の兄さんは本当の兄さんじゃない。あの日以来…」
再び回想。
***
「ようやく見つけた。仮面ライダー共のアジトを!…行け!」
車から降りた大樹は喜々とした顔でローチ達に命令する。
そうして多数のローチが建物へと押し入ろうとすると、グレイブ・ラルク・ランスが建物内部から飛び出し、ローチ達と格闘戦となる。
序盤こそは対等に渡り合ったが、何せローチの数が数だけに時間経過とともに苦戦していく。
そして、とうとうグレイブがダメージを受けて変身が解除された。
それを見た大樹は、驚愕を味う。
「…兄さん、まさか…兄さんがライダーだったなんて…!?」
「に、逃げろ!慎!春香!逃げるんだ!」
変身が解かれローチ達に捕まった絶望的状況でも仲間を助けようと声を張り上げて純一は撤退を促す。
残った二人は、表現できない感情に絡め取られながらも、純一の願いどおりに逃げて行った。
***
「まさかお前の兄が仮面ライダーとは」
「…僕も今でも信じられません」
屋敷にてフォーティーンと話す大樹。
「ですが、僕の教育プログラムを受ければ、きっと兄も立ち直れます」
「おまえは、忠実な部下だ。…そろそろ本当のことを知ってもいいだろう」
大樹の話に間髪入れずフォーティーンが切り出す。
「本当のこと?」
フォーティーンは携帯電話の液晶画面にあるものを映した状態で大樹に渡した。
「やめろ!何するんだ!?」
そこには台の上に縛りつけられ、必死に足掻く兄(じゅんいち)の姿。
「これは…?」
「特別施設などというものは存在していない。そう、お前の教育プログラムは機能していないと言うことだ」
「やめろ!…う、あぁぁぁ!」
兄の頭に何かが投薬されるのを見て、大樹は青ざめる。
「お前の兄は私の意のままになる」
「そんな…嘘だ!やめろ!やめてくれ!」
駆け寄る大樹にフォーティーンは手から何かしらの力を発して大樹に衝撃を与え、小さく吹き飛ばした。大樹はその場から逃げるように去っていく。
***
「私はお前に感謝している。私は、お前のお蔭で真っ当な人間になれた。今度は私がお前を救ってあげよう。聞くところによると、お前も仮面ライダーの力を手に入れたらしいね…試してあげよう。お前の力をね」
大樹に歩み寄る純一は、
≪OPEN UP≫
いつの間にか装着していたグレイブバックルとカードの力でグレイブに変身。
直後に大樹の腹を殴った。
「海東!」
「来るな!…君には関係無い」
(意地張りやがって)
廻はそう、心の中で大樹に頑固さにメンドくささを感じる。
「どうした、変身しないのか?」
「僕の力は、兄さんと戦うためにあるんじゃない。兄さんを救うためだ!」
「良い台詞だ。感動的だな。だが無意味だ」
グレイブがそう言うと、拉致されたユウスケと和雄が気絶した状態で連れて来られ、ローチ達も多数現れる。
「ユウスケ!」
「和雄」
「ユウスケ!」
「貴方達も彼らと同じ運命を辿ることになります」
「誰がだ?そんな雑魚共でどうにかなる俺たちじゃない。変身!」
≪KAMEN RIDE…DEROAD≫
≪KAMEN RIDE…DI‐GUIDE≫
≪NEGA FORM≫
「俺は月の超子!仮面ライダーSHADOW RX!」
四人が変身すると、
「変身」
≪KAMEN RIDE…DECADE≫
「変身」
≪KAMEN RIDE…DI‐END≫
士らも変身して応戦する。
グレイブは戦う他のライダー達に構わず、ローチが気絶させた夏海を連れ去ろうとする。
「ナツミカン!」
「ハッ!」
グレイブはディケイドが声を出した直後に手を構えてライダー達の目前に爆発を起こし、上手く逃げ去った。無論、夏海にも例の処置を施すため。
***
その夜、光写真館。
『どうしたの〜?今日のユウスケとっても優しいわ〜』
「何言ってるんだ?僕はいつだって優しいよ♪」
士らの巡ったキバの世界のキバットバット三世の妹・キバーラは、ユウスケの変わりように困惑する。ついでに、前話で廻らは光写真館に赴いたが、そのさいキバーラの存在自体にも気付かなかったことをあさり暴露すると、えらく機嫌を悪くしたのは余談である。
というか、ユウスケの一人称が変わっている。
そして…。
「和雄…。もういいから」
「何言ってるんですか?日頃のお礼なんですから気にせずに♪」
廻は和雄からマッサージを受けていた。
「夏海がさらわれたって!?こ、これはいったい、ど、どうしたら良いんだよ!?」
栄次郎はパニック状態に陥っている。
「安心しろ。俺が何とかする」
「た…頼んだよ!」
「あぁ…、必ず」
***
「まさか海東大樹を取り逃がすとは。仮面ライダーの力を手に入れた奴は、お前の手には余ると言うことか?」
フォーティーンは目の前に佇む純一に質問する。
「いえ、実は妙なライダー共の邪魔が入りまして」
「何者だ?」
「わかりません。恐らくは大樹の友かと?」
「友?…私の知る海東大樹は、友を作るタイプではなかったはず」
フォーティーンは純一にアイコンタクトを送り、純一は軽く頭を下げた。
***
「俺達もついに指名手配か」
「なんで俺と士だけなんだ?追加は」
士と廻の視線先の看板には緊急指名手配として、大樹・士・廻の顔写真が。
「しかし、廻が居るとはいえ、海東の奴と一緒とはな…。気に食わん」
「それは僕の言うセリフだ」
そこへ大樹が登場。
「…今まではお前のことを噂通りの怪盗と思っていたが、昔は信ずるに値するものがあった。…その思いこそは打ち砕かられたようだがな」
「何が言いたいんだい?」
「お前は、宝を見つけ、手に入れた時の幸福感や満足感で紛らわせていたんだ。…自分自身すらも信じられない不抜けた自分を」
――ガシャアァーーーーーン!!――
廻が語る間に大樹は歩き、足で工事などに使う仕切りを蹴とばした。
「わかったような口を利かないでくれるか!?少なくともあってまだ日の浅い君に僕の何がわかるんって言うんだ!?」
廻は一息おいて、こう続ける。
「お前のことなどどうでもいい。しかし、自分すらも信じられずに生きていく。そんな不抜けた生き方な、イラっとすんだよ。…自分から眼を背けんな」
それはかつて、ライダー達を破壊した自分の過去を見るような目だった。
「大樹。お前は兄貴を助けることで己を取り返そうとしている。士も仲間を助けたい。…俺は兎も角、士とお前が共闘する理由はなんとか立つと思うがな」
ここで、初めて廻は海東のことを下の名前で呼んだ。
「断る!僕の問題は、僕の力で解決する」
あくまで共闘を認めない大樹。
廻はそんな大樹に蹴りをお見舞いした。
「グッ…!?」
「お、おい!?」
流石に士もこの行為に驚く。
「お前は仮面ライダーだ。しかし、ライダーでも一人では限界がある。…僕一人の力?舐めてんのかテメー?…俺達一人一人は所詮ただの人間だ。しかし、それゆえに人は助け合い、お互いを補完しあえる。それこそが人間の不完全と完全さの象徴だ」
胸倉を掴みながら、廻は大樹に論ずる。
「……廻」
「……」
士も大樹も廻の言葉に聞き入っていた。
「さっきから黙って聞いてれば…、あたし達も手を貸すわ」
そこへ春香と慎が出てきた。
「あー、しかたね!遥かに免じて、一度だけお前を信じてやるよ」
「迷惑だ。やめてくれないか」
そう言って大樹は廻から離れた。
「何よ!?私達全員の力を合わせれば、フォーティーンを倒せるかもしれないじゃない!今、多くの人たちがフォーティーンに操られてる。…フォーティーンさえ倒せば、きっと皆元に戻るわ」
直後に大樹は春香と慎の腹に肘打ちを決めると、回し蹴りを行う。
さらには士と廻にもやろうとしたが、廻に受け止められて、逆に捕まる形となる。
「お前…」
「どうして…?」
二人はそう言って気絶する。
「海東。俺達はお前を信じている。それは、お前の弱さを知ったからだ。俺達が手を組めば、お前をお前自身を信じることができる。その気持ちは…お前の好きなお宝だ」
士はそう言うと、自分と廻・大樹の手が組むような状態にした。
***
「例の正体不明のライダー達から連絡が入りました。我々が捕獲いたしました、夏海という女と、大樹を交換したいと。しかも、フォーティーン様の立ち合いを要求しています」
「…成程、面白い」
「罠です」
取引が正当に行われることは絶対にないと確信する純一はそう発言する。
「だから面白いのだ」
***
交渉を行うと言う連絡が入ったので、廻と士はロープで縛られた状態の大樹を連れて、村外れの平地に来ていた。
「ロープは緩く縛ってある。夏海と交換したら、俺達三人でフォーティーンとかいう奴ををぶっ飛ばす。…いいな?」
「だから、そんな単純な作戦何度も言わなくてもわかるから」
「しかし、向こうさんもこっちの考えに気づいている筈…、光の洗脳も完了していると考えておけ、変身を邪魔する可能性もある」
「だから、もういいってそれは」
三人は作戦についてそのように話し合っていた。
「…ところで、聞きたいことがある」
「何だ?」
「お前の過去は大体わかった。次は俺の番だ。…以前、俺の過去を知ってるようなことを言ったな?…教えろ」
「…俺も興味があるな。士の過去」
「………いいだろう。…君は」
言いかけた時、大樹は気づき、ほかの二人も気づいた。
「士さ〜ん」
まるで状況をはき違えているかのような笑顔で士を呼ぶ夏海。
しかも、”士君”と呼んでいたのが、今では”士さん”である。
(やられてんな)
廻は一発で見抜いた。
「ナツミカン!」
「…大樹を渡していただきましょうか?」
「いいだろう」
そう受け答えする間に白いスーツの男…フォーティーンが現れる。
純一に促され、夏海が士らに向かって歩くと、士も大樹に行くよう促す。
そして、二人が歩いて行っていくなか、見守る純一とフォーティーンを見た士は表情を険しくする。
そして、夏海とすれ違った大樹は緩いロープを自力で解いてディエンドライバーをスタンバイ。
「変身!」
――ガバッ!――
直後に夏海が無表情になって大樹を取り押さえる。
「やっぱりな」
「お察しの通り、その女性は…フォーティーン様の意のままです」
純一の説明に耳を貸すこともなく、大樹は夏海を振り払う。
「変身…!」
≪KAMEN RIDE…DI‐END≫
ディエンドの変身を見て残った二人も変身しようとするが。
「大樹ィイイイ!!テメー折角信じてやってんのに仲間外れにしてんじゃねえよ!!」
「「変身!!」」
≪OPEN UP≫
≪OPEN UP≫
そこへ慎と春香が現れて変身する。
「「変身」」
≪KAMEN RIDE…DECADE≫
≪KAMEN RIDE…DEROAD≫
「ケリをつけてあげましょう。大樹」
迫るライダー達にも臆することなく余裕の笑顔でいる純一はカードをグレイブバックルを準備。
「変身」
≪OPEN UP≫
グレイブの変身と同時にローチ達が行く手を阻むように出現。
走り駆けていく五人のライダーの内、ディエンドはローチなど相手にすることもなく一直線にフォーティーンのところへ行こうとするが、グレイブがそれを防ぐために戦闘に持ち込むが、ディケイドが代わりにグレイブと戦う。ランスとラルク、ディロードはローチ達の相手をしていたが、殆どの相手をディロードが余裕で相手をしていたので、完全善戦という言葉が似合う状態だった。
「行け!海東!」
「兄さん。待ってて、今すぐ元に戻すから!」
グレイブを足止めするディケイドの言葉にディエンドはグレイブを兄を助けるためにフォーティーンへと走っていく。
「ハアァァァァァ!!」
掛け声をあげて走るディエンド。
フォーティーンは眼鏡を外すと、身体から禍々しい瘴気のようなものを現していき、ディエンドの銃撃にも構うこと無く、四本の腕・トランプにおける四スートの紋章・足の無い巨大で長い尻尾・鎧を纏ったかのような金色と白色を基調とする外観。”巨大邪神14”となったのである。
14はその尻尾を使って、ディエンドとディケイドを吹っ飛ばした。
「フォーティーン様!!」
主の真の姿を見た為か、それとも別の理由かは知らないが、グレイブは14に向かって声を張り上げる。
「何だ!?」
「何なの…!?」
「やはり、あれが正体か。…かつて巡った世界の者とは胸のところが違うな」
そう、かつて廻が巡った世界での14は胸部にその力を我が物としたアルビノジョーカーが一体化していたのだ。しかし、今日において見る14にはそれはがなかった。
とは言え、古代のバトルファイトにおいて覇者に贈られた偉大な力と称された14と同等な存在だけに、その能力は侮りがたいものがある。
「行くぞ!」
「…俺も行くか」
ディケイドがディエンドに声を掛けると同時に、あらかた片づけていたローチ達の残りの始末はラルクとランスに任せると、ディロードは素早くディケイド達に加勢する。
14が片方の右腕で剣を振るうと、ディケイドはジャンプし斬撃を与えようとするも、もう片方の右腕によって振り払われた。ディケイドが振り落とされた直ぐ後にディエンドは銃撃を行うも、40mを越える巨体を持つ14には全く意味をなさない。
≪ATTACK RIDE…EXTRA BLAST≫
ディロードはベルトのサイドにぶら下がっていたコールドライバーを手に取り、ディロードエクストラブラストによって14の眼を狙って、時間稼ぎする。
ディケイドとディエンドの状態が良しと言える体勢になるのを見ると、銃撃をやめた。
だが、それを見越していたかのように14は口からエネルギーの火球を飛ばし始める。
『愚かな人間ども。私は、この世界に平和を齎してやったのに…!』
14は飛行と攻撃、会話を同時に行う。
「…押しつけた善意など悪意となんら変わらない。優しさは、平和は、誰かが強制して決めつけたルールでは成り立たない。人々が己の意思で他人と想い合うことでこそ、現実のものとなる」
「お前が創ったのは、地獄だ」
「その通りだ。…お前は人間の眼を閉じ、耳を塞ぎ、心を消した!人は自分の意思で生きなければならない。どんな世界でも、その意思は枯れない!」
ディケイドはケータッチにコンプリートカードを挿入。
≪KUUGA・AGITO・RYUKI・FAIZ・BLADE・HIBIKI・KABUTO・DEN‐O・KIVA≫
≪FINAL KAMENRIDE…DECADE≫
コンプリートフォームに強化変身。
ディロードもコールドライバーとカードを構えて14にこう言った。
「フォーティーン…俺の切り札達、見せてやるよ」
低い声でそう言ったディロードはカードを装填。
≪KANEN RIDE…FOURTEEN≫
引き金を引いて召喚されたのは、赤い複眼に一本角を生やし、白を基調とする重厚で鎧武者のようなアーマーを身に着け、胸部にはラウズカードの裏側と同じ紋章が刻まれていて、右肩にスペード・左肩にクラブ・右膝にハート・左膝にダイヤのマーク。
以前、廻の巡った世界で巨大邪神14を封印したラウズカードとオープンアップ式のベルト、”フォーティーンバックル”で変身していたライダー。その力は強大でディロードでもかなり手こずった程。その仮面ライダーの名は…14。
『今更何をしようと無駄だ』
「今のうちさ」
≪ATTACK RIDE…CROSS ATTACK≫
仮面ライダー14は四人へと分身すると、巨大邪神14の四本腕にそれぞれ、ライトニングソニック・スピニングダンス・バーニングディバイド・ブリザードクラッシュを同時に喰らわせる”ワイルドレイヴ”を放ったのだ。
必殺技を決めた直後に仮面ライダー14は消え去った。
しかし、巨大邪神14は全部の腕を潰されたことで悲痛なことこの上ない悲鳴を上げる。
悪あがきに尻尾を使って攻撃しようとするが、キレのない動きだったので三人は余裕で避けた。
「行くぜ、士」
「おぉ…!」
≪HIBIKI・KAMEN RIDE・ARMED≫
≪FINAL KAMENRIDE…B・B・B・BLADE≫
ヒストリーオーナメントのカードが変化してディケイドの隣には装甲響鬼。ディロードの前方にはブレイド・キングフォーム。
≪FINAL FORMRIDE…B・B・B・BLADE≫
「堪えろよ」
ディロードはキングフォームを撃ち抜くと、キングフォームは重醒剣・キングラウザーを模した”キングブレード”へと超絶変形する。
14は火球を連発するが、全て…。
「「ハアッ!!」」
ディロード・ディケイド・装甲響鬼によって斬られる。
そこへカード装填。
≪FINAL ATTACKRIDE…HI・HI・HI・HIBIKI≫
ディケイドと装甲響鬼が構えると、ライドブッカー・ソードモードと装甲声刃からは炎の巨大な刃が灯り、勢いよく14を斬りつける鬼神覚声を決める。
≪FINAL ATTACKRIDE…B・B・B・BLADE≫
さらにそこへディロードはキングブレードを手に携え、高くジャンプ。
14を見下ろせられるほどの高さにまで来ると、五枚の巨大なラウズカードが前方に並び、ディロードは自由落下によってそれを潜り抜けると同時に剣を振って強力なエネルギーを放出して攻撃を14に浴びせた。
「ディロードポーカー!!」
『グガアァァァァァァァ!!』
二大必殺技を受けて、14は激しい爆発を起こした。
巨大邪神14の消滅と共にローチ達も消え、夏海達の洗脳も解けた。
「あれ?私、どうしてこんなところに?」
洗脳されていた間の記憶がないのか。夏海は困惑する。
「やった!フォーティーンの呪縛が解けた!」
ランスは自分たちの勝利に喜び震える。
「………!!」
「…兄さん」
しかし、何故かグレイブからは妙な雰囲気が漂い。ディエンドはグレイブに声を掛ける。
「純一ッ!」
「純一!!」
ラルクとランスは仲間が元に戻ったと思い、駆け寄る。
しかし…。
――ザシュッ!!――
グレイブは突然グレイブラウザーの斬撃で二人に斬りかかった。
「そんな!?」
「やっぱりな」
「ようやく本音を出したな」
「馬鹿め。俺は自分の意思で動いていた。昔からお前と同じだった…自分の意思でフォーティーンの下で働いていた」
ディエンドを一瞬見ながら、グレイブは己の策略を暴露していく。
「どういうことなの純一?貴方はあたし達の仲間だったじゃない!」
「確かにな。だが、それは反乱分子を誘き出すための、作戦に過ぎなかった」
「作戦!?どういうことだ!?」
「仮面ライダーに味方をするものがあれば…、そいつはこの世界の反乱分子と言うことになる。俺は、そんな奴らをおびき寄せる為の…正に餌を演じていたんだよ」
「そんな…!?兄さんが…!?」
ディエンドは兄から語られる衝撃の真実に我が耳を疑う。
「この俺が、第二の14となり…この世界を支配する!」
力強く語るグレイブ。
「嘘だ……嘘だッ!」
「クソォー!」
「…!」
「やめろ」
「いらぬ邪魔立てだ」
ラルクとランスはディエンドがグレイブに向かって行ったと同時に、向かおうとするが、ディケイドとディロードに止められる。
「やめろ離せよ!!」
「これはあいつら二人だけの戦いだ…!」
「それに何故気付かん!」
ディエンドはグレイブに突っ込んでいく。
「兄さん!眼を醒まして!!」
必死になって兄を取り戻そうとするディエンド。しかし、無情にも兄は正気。
これほど悲しい戦いもないだろう。
戦いの中で、一度ディエンドは確実にグレイブへダメージを与えるチャンスを得たものの見す見すそれを逃してしまう。だが、それはグレイブも同じであった。
***
戦いが終わり、全員が変身を解いていた。
「甘いな、大樹。…何故攻撃を止めた?」
「…兄さんだって」
「…後悔するぞ。俺を倒さなかったことを」
いつもの笑顔の消えた顔で純一は大樹と会話する。
「お前は14にはなれない。…海東大樹は今、自分を信じ。自分の意思で動いている。そんな弟をお前は倒せなかった。それは…お前が人間の中の自由の意思を認めているからだ」
士の言葉に、純一は弟(だいき)を見つめなおすと…そのまま何処かへ立ち去ってしまう。
一瞬だけ立ち止まり、後ろにいる者を見て、また歩き出した。
その後ろ姿を大樹を始め、春香や慎、士は見ていた。
「……兄さん……」
「…お前は一番大事なお宝をこの世界で手に入れた。…もう盗みをしなくても済むだろう」
「やめてくれないか。そういうそれっぽいこというの」
そして大樹も何処かへ去ろうとする。
「おい!何所に行く?」
「決まってるさ。新しいお宝を探しに♪」
微笑みながらそう大樹は答えた。指鉄砲でなにかを撃つ、彼お気に入りのサインをして。
「あいつ、本当に泥棒だな。…そう思うだろ廻……おい、廻!何所行った!?おい!?」
その場に砕谷廻の姿はなかった。
***
「そう、兄弟と言えども見えぬ物有りってことなのね」
「兄弟…か」
流姫と信彦は廻から事の全てを聞き、そう言った。
「にしても、洗脳されていたなんて…今でも気分が悪いですよ」
「それは君の不注意が招いた結果。自己責任だよ」
和雄は劉子にそのようなことを言われていた。
「………なあ、家にこんなモンあったか?」
廻が唐突に指さして言ったのは、光写真館にあったものよりは小さいが。
それはどこをどう見ても、背景ロール。
「「「「さぁ?」」」」
四人は口をそろえてそう言った。
――パララララ!…ピカーン!――
突如、背景ロールに一枚の絵が光と共に現れた。
「こいつは…!?」
それは…不死鳥の紋章を背景に白・青・黒の閃光と赤・黄の閃光が激突している絵だった。
新たなる世界…その世界の名は…。
次回、仮面ライダーディロード
『この世界は異質以外にない』
「ファイズと別の世界が混ざり、異界の仮面ライダー達の集まる世界か」
「あんなバカップルが仮面ライダーデルタとは…!」
「…貴方達は、僕の邪魔なんですよ」
「オーディン!?」
”特異世界・デルタと黄金の不死鳥”
全てを救い、全てを砕け!
押して頂けると作者の励みになりますm(__)m