オーディンの遊戯とディロードの全力
オーディンのディロード=廻を招待するために行った一時的電波ジャックのせいで、全てのテレビ局ではオーディンとディロードに関することが話されるようになった。
オーディンは以前自分を抹殺しようとした天使教と呼ばれる宗教団体のトップと戦った際、それがテレビで生放送されたこともあったので世間でも名が知れていたが、ディロードを知る者はこの世界では数えられるものしかいない。当然のことだが…。
故にテレビではディロードの話題となれば、推測のみで話が進んでいた。
尚言うまでもないが、オーディンが指定した巨大ドームではテレビ局関係者が生放送を行うために機材を設置したり、一般人がドームへ行こうとまでする始末。
***
指定日。
この日、廃棄された巨大ドーム内部では、まるで今でも運営されているかのような盛り上がりだった。
かつてこのドームは野球やサッカーなどスポーツに使われていたので、観客席も4〜5万人程は座れる数はあった。
無論、テレビの前で今や遅しと正午を待つ視聴者もいる。
残り時間は、あと一時間。
世界の救済者、ディロード。幾つもの世界を巡り、その心は何を映す?
ミラーワールド。
「オーディン様…」
「ん?なんですかマリア」
オーディンの傍らに身を置く者。その名はマリア・ジャガルディ。
ジャガーと植物の力を併せ持った改造人間。かつては景綱を倒すために現れたが、失敗して返り討ちにあうもオーディンの力によって蘇生し、今では彼の従者となっている。
「ホントにやるの?」
「勿論です。でなければ、あんな大っぴらに姿を晒したりはしませんよ」
オーディンは胸を張って答える。
そんな時、彼の目の前に次元の壁が、
オーディンがそこへ入ろうとすると、マリアが手を掴んだ。
「マリア…」
「オーディン様…」
心から慕っているオーディン。マリアにとってオーディンは掛け替えのない存在だった。
「大人しく良い子にして待ってるんですよ?」
オーディンは優しくそう言うと、マリアの手を振りほどき、次元の壁に入った。
***
次元の挟間。
「オーディン。随分とまあ好き勝手やっているな。私の言ったことなどまるで聞いていない」
「鳴滝さん、僕はあなたの指図は受けませんよ。それにディロード達に関する頼みは遂行中です」
「あれのどこがだ!?私はディロード達がディケイド共とこれ以上接触しないようにしろと言ったんだぞ!!」
鳴滝は普段は出さない大声を出す。
「問題ありません。過激ですか、彼は必ず食いつきます。…要は彼らがディケイド達と違う旅路を行けば良いのでしょう?」
すると、鳴滝の後方に幾つもの影が現れる。
「なら、こいつらを使って、ディロードをあるべき道へと」
「…わかってますよ」
***
指定時刻、三十分前。
巨大ドームには765プロや対策室メンバーだけでなく、数多くのライダー達が訪れていた。
「オーディン…彼は何故こんなことを…」
「…先生」
片倉夫婦は何度も自分たちを救ってくれたオーディンの大胆な行動にやりきれない気持ちになる。
夏海はせめてもと思い、景綱を小柄な身体で抱きしめた。
「夏海…」
「心配ないよ、先生。廻さんなら大丈夫♪」
景綱は今ほど夏海の存在を…妻の温もりを感謝したことはなかった。
***
正午。
ドーム内部は緊迫しきっていた。
テレビの生放送でレポーターもカメラに向かって現状を話し続ける。
――ブウゥゥゥゥゥン!ブウウウゥゥゥゥゥゥゥゥン!!――
バイクのエンジン音が場の静寂を掻き乱す。
『!!!!』
ドームに身を置く者、テレビを見る者。
それらの視線は全て、ドーム中に作られた唯一の入り口に向けられた。
その眼にはマシンディローダーを颯爽と駆け、客席の段差を飛び越え、グラウンドに降り立つディロードの姿。
『オオオオオォォォォォォォォォォォォ!!』
観客達は一斉に立ち上がり歓声を上げる。
「…目障りなヤジ馬どもが…」
ディロードは歓声を上げる一般人に鬱陶しさを感じた。
「来ましたね、ディロード…!」
其の時、オーディンの声が轟き、観客達は静まり返る。
壊れた電光掲示板を鏡代わりに仮面ライダーオーディンが姿を現す。
「貴様!俺の仲間はどうした!?」
「慌てないで下さい」
オーディンは指を鳴らす。するとゴルトフェニックスによってディガイド達がミラーワールドから運び出された。
「さあ、ゲームの時間だ」
「…ゲームだと?」
オーディンの言葉にディロードが疑問する。
「なに、貴方にはこれから倒すべき敵達がいます。それらを貴方一人で全滅させるのです」
やることが確定したかのように説明するオーディン。
「俺は今猛烈に機嫌が悪い。さっさとケリつけてテメーを殴る!」
「ならば、早く始めるとしましょう」
そういうと、ディロードの目の前に次元の壁が現れ、そこからバットファンガイアが現れる。
「こいつは…」
「最初の敵はそいつです」
オーディンはどうやら一体ずつ強力な怪人をディロードにぶつける気らしい。
≪FINAL KAMENRIDE…KI・KI・KI・KIVA≫
ディロードは迷わず、黄金のキバの異名を冠するエンペラーフォームとなる。
観客達はそれに驚いたが、最も驚いていたのは…。
「にゃにゃにゃー!あいつ黄金のキバになっちゃった!?」
「やるわね、あのこ…」
「あれが、ディロード…」
仮面ライダーキバ・高杉 晋作。そして将来を誓い合ったミルフィーユ・キャットゥン(愛称はミルちゃん)とその母親ナディア・キャットゥンはディロードのエンペラーフォームへの変化に驚いた。
「一気に飛ばすぞ。オーディン…お前を早く殴りたいからな」
そう言うと、Dエンペラーは華麗な足技を余すことなくフルに使い、バットファンガイアに反撃させる暇さえ与えなかった。その動きが余りに見事すぎたせいか、一種の旋律を覚える。
≪ATTACK RIDE…ZANBAT SWORD≫
ザンバットソードを呼び出したDエンペラーはバトルスタイルを急変させて剣技をありったけバットファンガイアにぶつける。そして、上空へと蹴り飛ばしたあと、ザンバットソードの魔皇力の衝撃波でさらに上空へ飛ばす。
Dエンペラーはザンバットソードを破棄する。
≪FINAL ATTACKRIDE…KI・KI・KI・KIVA≫
両手を構え、扇状に開いて行く。
「ハアァァァ…!」
Dエンペラーは深く構え、空高くジャンプする。
そうして、バットファンガイアの真上となる高度にまで来ると、
「エンペラームーンブレイクーーー!!」
技名を叫び、両足に魔皇力の刃を展開して一気にキックを決めた。
それによって地面へと一気に落ち、それと同時にバットファンガイアはガラス状に砕け散る。
Dエンペラーもディロードに戻った。
「次です」
オーディンがそう言うと、今度はデスイマジンが現れる。
≪FINAL KAMENRIDE…DE・DE・DE・DEN‐O≫
続けざまにDライナーフォームとなるディロードはデンカメンソードを手にデスイマジンに向かっていく。
「へ〜、俺と同じ電王か」
仮面ライダー電王・ウイングフォーム=河上彦斎。
仮面ライダーの力で暗殺業を営む稀代の殺人鬼。
見た目は女物の着物や化粧のせいで美女にも見えるが、実際は列記とした男。
仮面ライダーサソードたる天川メグミを恋人として迎えている。
「強いね〜♪戦ってみたいな」
仮面ライダーNEW電王こと青島みゆき。
強者たるライダーと戦うために異世界からやってきた。
元居た世界ではNEW電王が最強だったので、数々のライダー集まるこの世界に身を置き、強いライダーと戦うことを望んでいる。
と、解説している間にもDライナーは剣を巧に操る。
本来デンカメンソードのようなサイズの剣を最大限に使うとなると、構えた状態で一気に斬りこんでいくのが良しとされるが、Dライナーは的確かつ重い一撃を確実に当てる為、ダンスを踊るかのようにしてデスイマジンを翻弄し、チャンスあれば力のこもった剣撃を叩きこんだ。
≪FINAL ATTACKRIDE…DE・DE・DE・DEN‐O≫
デンカメンソードの先端からデンレールが伸びて行き、Dライナーがそれに乗ると、デンライナー・ゴウカ・イスルギ・レッコウ・イカズチのオーラを纏いながら急速でデスイマジンに迫っていく。
「電車斬り!!」
両手で構えたデンカメンソードを横薙ぎに振り、Dライナーはデスイマジンを消滅させる。
「…センスねぇ…」
「ホントですね」
フルスロットルブレイクを決めた後、ディロードの独り言にオーディンは勝手に受け答えすると、グリラスワームを出現させる。
「十秒と経たずにぶっ潰す…!」
≪FINAL KAMENRIDE…KA・KA・KA・KABUTO≫
「麻里奈!あれ!!」
「カブト!?」
仮面ライダーカブトに守護されし二人の少女。
高橋知華と千葉麻里奈は自分たちを守ってくれるカブトの強化形態となったディロードに驚く。
そして、
「………」
クロックアップ世界からそれを見る仮面ライダーカブトは、無口なままそれを眺めていた。
≪ATTACK RIDE…HYPER CLOCKUP≫
カブトテクターが展開されると、Dハイパーはクロックアップをも超越する高速世界へ入り込む。
常人…いや、クロックアップしている者にすら視認できるかどうかさえわからない速度で動き続けるDハイパーは通常時間における二秒ほどの間にグリラスをタコ殴りにする。
≪ATTACK RIDE…PERFECT ZECTER≫
Dハイパーはパーフェクトゼクター・パーフェクトモードを呼び出し、ガンモードにした直後、グリラスを上空に殴ると、直下に移動して狙いをつける。
≪FINAL ATTACKRIDE…KA・KA・KA・KABUTO≫
「マキシマムハイパーサイクロン」
パーフェクトゼクターとカブトテクタ−にタキオン粒子エネルギーが送られていく。
引き金を引くと、パーフェクトゼクターからは竜巻状のエネルギー光線、マキシマムハイパーサイクロンが発射され、グリラスを細胞一つ残らず消滅させた。ただ、その上にあったドームの天井までも破壊しているのも事実である。
通常時間にして約五秒。宣言した秒数の半分で決着がついた。
ディロードの姿に戻ったことで観客達は天井にあいている大穴に気付いて驚き始める。
「…昔のボクでも、手に入れたいと思ったとしても手に入らないね」
「お前には、俺がいる」
「わかってるよ♪隆信♪」
仮面ライダードレイク、霧島アスカ。
その恋人である仮面ライダーレイ、さらにはギルスでもある龍造寺隆信とはディロードの強さに驚きながらもイチャついていた。
「今度のは大きいですよ」
現れたのは大蛇。
≪FINAL KAMENRIDE…HI・HI・HI・HIBIKI≫
炎を纏い、豪快に振り払うとD装甲響鬼となる。
『キシャァァァァァァァァ!!』
大蛇は鳴き声を上げながら尻尾を振って攻撃してくる。
「デヤアァァァァァ!!」
D装甲響鬼は装甲声刃を縦一文字に振り、大蛇の尻尾を切断。
≪FINAL ATTACKRIDE…HI・HI・HI・HIBIKI≫
装甲声刃に清めの音の力を与え・増幅するため、D装甲響鬼は唸り声を発する。
「鬼神覚声…!」
迷いなく振られた太刀筋からは音撃刃・鬼神覚声が放たれ、大蛇に直撃する。
大蛇は石化していき、D装甲響鬼が後ろへ振り向くと同時に砕け散った。
「お次はかなり荒っぽいですよ」
オーディンがそういうと、次元の壁より”死神””五十三番目”と忌み嫌われるジョーカーが現れる。
ディロードはライドセイバーよりカードを取り出す。
≪FINAL KAMENRIDE…B・B・B・BLADE≫
その瞬間、バックルからオリハルコンエレメントが射出され、走りかけてくるジョーカーを弾く。
ディロードはエレメントを走って潜り、Dキングフォームとなった。
「ジョーカー対キングフォーム…か」
「総司お兄ちゃんのと同じ…」
仮面ライダーブレイド、沖田総司。
かつて自分の世界を壊そうと反逆した結果追われる身となり、この世界にやって来た。キングフォームの影響で人間からジョーカー化した存在でもある。
そして、彼の妹のような恋人のようなキャットゥン族の少女、沖田結衣。
総司は何か忌々しそうな過去を思い出してしまったのか、嫌悪感漂う表情をし、結衣は純粋にディロードに対して驚いていた。
「ウラァ!」
重醒剣キングラウザーを振り回してジョーカーの大鎌と張り合う。
お互いにスペック的には互角に等しいので斬り合いは暫しの間続いた。
だが、廻は仮面ライダーとして数多の死地を生き延び、その都度に強くなっていった男。
戦闘経験は超一流の戦士並。つまりは…。
――ガギイィィィィィン!!――
大鎌の砕ける音。
Dキングの方がうわてだった。
≪FINAL ATTACKRIDE…B・B・B・BLADE≫
目の前にオリハルコンエレメント程の大きさの五枚連なるラウズカードが現れる。
Dキングはそれを走って潜り抜けていく。
「ロイヤルストレートフラッシューーー!!」
潜り抜けた先にいたジョーカーにロイヤルストレートフラッシュの剣撃を決めると、ジョーカーは跡形もなく、激しい衝撃波を巻き起こしながら消滅した。
観客達は巻き起こる衝撃波に身体を倒されてしまう。
そして間髪をいれずにアークオルフェノクが出てくる。
≪FORM RIDE…FAIZ AXEL≫
銀色のフォトンストリームが駆け巡り、Dアクセルフォームとなる。
「あれはアクセルフォーム!」
「ファイズの力もあそこまで使えるなんて!」
神楽と黄泉は心底驚かされる。
≪START UP≫
ファイズアクセルのスイッチを押すと、時刻表示が消えて”10”と示されると、それはカウントダウンを始める。Dアクセルはカウントダウン直後に千倍のスピードで動き、アークオルフェノクの直上に来ると、右脚にセットされていたファイズポインターをアークオルフェノクに向け、光が放たれるとターゲットサイトが発生。それを何度も繰り返し、何度もそこへキックした。
「テヤアァァァ!」
アクセルクリムゾンスマッシュの連撃を喰らうアークオルフェノク。
≪THREE TWO ONE…≫
そして、最後にターゲットサイト。
「トドメエェェェ!!」
しかし、
『フンッ!』
アークオルフェノクはそれを弾いたのだ。先程から行った攻撃も殴られた程度のダメージにしかなっていないようだ。
「何!?」
≪TIME OUT≫
アクセルモードの制限時間によって自動的にディロードに戻ってしまう。
「こいつは正しく、骨のある奴だ」
≪FINAL KAMENRIDE…FA・FA・FA・FAIZ≫
速攻でDブラスターフォームへと変身。
そこからは圧倒的にファイズの優勢だった。
アークオルフェノクは必死に格闘術やエネルギー球をぶつけたりしたが、Dブラスターがファイズブラスター・フォトンブレイカーモードとフォトンバスターモードを使ってことごとく返り討ちにしたので、効果を成さない。
≪FINAL ATTACKRIDE…FA・FA・FA・FAIZ≫
最後にDブラスターは右脚のファイズポインターにフォトンストリームを経由することなくフォトンブラッドエネルギーを送り込む。
「ブラスタァー!クリムゾンスマッシュ!!」
足を思いっきり突き出し、真紅の閃光とともにアークオルフェノクに突っ込んだ。
その際、青い爆炎が発生し、観客席にまで火の気が移り掛けた。
爆炎が晴れると、そこにはディロードがいた。
もはや歓声を上げる者はいない。ただただディロードの神業ともいえる強さに魅入るのみ。
「次は…」
オーディンがそう言うと、今度の相手はガルドサンダー、ガルドストーム、ガルドミラージュが出てきた。
「三匹纏めて焼却してやる…」
≪FINAL KAMENRIDE…RYU・RYU・RYU・RYUKI≫
烈火が辺りを包みこみ、燃え上がるディロードはD龍騎サバイブとなる。
≪ATTACK RIDE…STRANGE VENT≫
すると、ストレンジベントのカードは別のカードとなってディロードライバーから飛び出す。
その上でカードを装填。
≪ATTACK RIDE…TRICK VENT≫
トリックベント・シャドーイリュージョンが発動し、D龍騎サバイブが三人となる。
≪ATTACK RIDE…SWORD VENT≫
ドラグバイザーツバイはドラグブレードとなる火炎の刃、バーニングセイバーを三体のミラーモンスターに喰らわせて、元の一体に戻り、ディロードに戻った。
「凄い…あたし以上に龍騎の力使いこなしてるかも…」
仮面ライダー龍騎こと朱染心愛。
OREジャーナルの記者。かつて仮面ライダーZXとライダートーナメントで激戦を繰り広げた経緯がある。
そんな彼女はカメラのシャッターを押して、ディロードの戦いの記録を一枚一枚の写真に納めていく。
「やりますね…でも、次も三体ですよ」
オーディンは次元の壁の力で、水のエル・風のエル・地のエルを呼び出す。
≪FORM RIDE…AGITO TRINITY≫
オルタフォースの光がディロードを覆うと、”三位一体の戦士”たるアギト・トリニティフォームとなる。
「俺のアギトにもなるなんて…やっぱり廻さんは凄い!」
翔一は相変わらずの能天気さで、ディロードに感心していた。
ストームハルバードとフレイムセイバーを両手に構えると、二つの武器は力を開放した状態となり、Dトリニティは一気にダッシュして風のエルの懐に入ると、薙刀と刀剣で斬りつける”ファイヤーストーム・アタック”を喰らわせ、風のエルは爆散。
≪FORM RIDE…AGITO BURNING≫
灼熱の赤に染まった上半身。そこからは時折本当の炎が噴き出していた”燃え盛る業炎の戦士”Dバーニングフォームとなる。
≪ATTACK RIDE…SHINING CALIBER≫
バックルからシャイニングカリバー・シングルモードが出現し、Dバーニングはそれを装備。
――ガギィン!ギギィン!!――
水のエルと交戦を開始すると、Dバーニングは業炎を纏ったシャイニングカリバーのバーニングボンバーで一閃、水のエルがよろめいている間に、拳を前に突き出し、ゆっくりと胸へと引いて行く。そして…。
「ハアッッ!!」
全力で放つバーニングライダーパンチをお見舞いした。
立て続けに二つの技を喰らったことで、水のエルはダメージに耐えかねて爆発。
直後に、最後の一体である地のエルが攻撃を仕掛ける。
Dバーニングはかすり傷を負うも、直ぐ様カード装填。
≪FINAL KAMENRIDE…A・A・A・AGITO≫
Dシャイニングフォームへと変身し、蹴りも拳も交えずさらにカードを装填。
≪FINAL ATTACKRIDE…A・A・A・AGITO≫
「シャイニングライダーキック…!!」
Dシャイニングは両手を左右に広げると、身体を左側に向けて構えを取った。
すると、前方にアギトの紋章型のエネルギーが一つや二つではなく、全部で六つ現れ、Dシャイニングはそれに向かって走り、跳んだ。
「ハアァァァァァッ!!」
超強化型のシャイニングライダーキックを喰らった地のエルは、暫しの間は耐えたが、それさえも虚しいと思わせるほどの爆発を起こして消えた。
「最後です。かなり、手強いですよ」
オーディンが最後に出してきたのは…。
凄まじき戦士…アルティメットクウガと同等とされ、究極の闇を齎す者…ン・ダグバ・ゼバ。
それを見たDシャイニングはディロードに戻り、手中にコールドライバーを出した。
≪FINAL KAMENRIDE…KU・KU・KU・KUUGA≫
召喚されたのはダグバと等しい力を持つ凄まじき戦士。
「まさか、俺のクウガ…それも凄まじき戦士を召喚するとは…!」
十兵衛はクウガであるが故にディロードがアルティメットクウガを召喚したことに驚愕する。
「堪えろよ」
≪FINAL FORMRIDE…KU・KU・KU・KUUGA≫
ズギュンと発砲すると、アルティメットクウガはライジングビートゴウラムの姿を模した”アルティメットゴウラム”として超絶変形する。
この光景には全ての観客が度肝を抜かされた。
ディロードはアルティメットゴウラムに乗ると、ダグバに向かって走っていく。
ダグバは超自然発火能力でディロードのアーマーを燃やそうとするが、当人はそれにきにすることもなく、アルティメットゴウラムの巨大な角でダグバを吹っ飛ばした。
「これで、終わりだ」
≪FINAL ATTACKRIDE…KU・KU・KU・KUUGA≫
アルティメットゴウラムの角に莫大な封印エネルギーが発生する。
「ディロードライジング!」
技名を口にすると、ディロードはアルティメットゴウラムを全速で走らせた。
ダグバは無論、技を不発させる為に超自然発火能力を最大限に使ってディロードを灰燼に帰そうとする。だが、ディロードは発火起こった直後にコールドライバーの銃撃をダグバの腕に叩きこんで腕を潰した。
――ドガアァァァァァァァ!!――
けたたましい音がすると、ダグバは天井にまで吹っ飛ばされ、埋もれていた。
胸部や胴体にかけてまで刻印された”封印”を司るリント文字。
ディロードの技によって叩き込まれた莫大な封印エネルギーはダグバのベルトと霊石に流れ込み。
大爆発を起こした。
「…どこが手強いんだよ…?」
一人グラウンドに佇むディロードは静かにそう言った。
九体とはいえ、その全てが最強形態にも匹敵する能力を持った怪人ばかりであったのは事実。
しかし、ディロードはその九体全てを倒しても尚、余力を残していたのだ。
「あれが、ディロードの力…!」
観客席に座る景綱は思った。
あれほどの強さは、見ることができるかどうかもわからないと。
そして、自分があのような領域に到達することはできないだろうと。
――パチパチパチパチパチパチ!!――
静寂に包まれた中、オーディンは拍手していた。
「素晴らしい!」
「ならば、戦え…!」
「えぇ。言われずともそうするつもりですよ」
オーディンはディロードの眼前に立った。
とうとう、この時がきた。
その場の空気は重々しい緊迫感で包まれる。
「おい!観客連中に忠告しておくぞ!!」
いきなりディロードは観客達に語りかける。
「これから俺達は互いの必殺技をぶつけあう。その時に生じた膨大極まるエネルギーによってこのドームはどんな末路をたどるかはわかったものではない。…だから」
ディロードは一呼吸おき…。
「逃げろ。お陀仏になりたくなかったらな」
一時の間、ドーム内の空間はシーンとなると、
「「「「「ウワァァァァァァアァァァァァァアァァァァァァ!!!!」」」」」
観客達は一斉に恐怖に満ちた悲鳴を上げて出入り口へと駆けていく。
「おーい。景綱、夏海。俺の仲間ついでに運んでおいてくれ」
ディロードは二人に頼んだが、流石に二人ではディガイド・SHADOW RX・G4・ネガ電王を運び出すのは無理があったので十兵衛や翔一の手を借りたのは公然の秘密。
そしてとうとう、ドーム内にいるのはオーディンとディロードのみ。
「やっと二人っきりになれましたね」
「…これで…」
「「気兼ねなく殺れるッ!!」」
ディロードは一枚のカードを装填。
≪FINAL KAMEN FORMRIDE…KUUGA RISING ULTIMATE≫
ディロードは強大にも程のあるエネルギーにその身に纏うと、究極の闇を越えた”禁断の闇”と呼ばれる”ライジングアルティメット”となったのである。
≪FINAL VENT≫
オーディンはカードをベントイン。
ゴルトフェニックスが降臨し、オーディンは空中に浮かびあがる。
≪FINAL ATTACKRIDE…KU・KU・KU・KUUGA≫
禁断の闇(ライジングアルティメット)も天井ギリギリの高さにまで跳躍して、右足を突き出した。
***
其の日、ドームに来ていた者達は、この日を決して忘れないだろう。
なぜなら、本当に巨大ドームが二大ライダーの激突によって…消え去ったのだから。
大量の瓦礫の中から出てきた二人は、今だに闘志宿る肉体を動かす。
「オォーディィィィィィン!!」
「ディロードォォォォォ!!」
大声で叫びながら、二人はお互いめがけて走り…。
――バギィイイイ…!!――
クロスカウンターが決まった。
――……バタッ……!!――
二人は倒れた、同時に。
と思われたが、
「なッ!?」
それを見たものはただただ驚くのみ…二人は立ち上がったのだ。
其の時…。
「「!!?」」
二人の前に次元の壁が現れた。
「オーディン、やはり君では無理な用だね」
鳴滝だった。
「すいませんね、お役に立てなくて」
オーディンは皮肉気に言った。
「…やはり、無理矢理にでもディロードにはあるべき道に居てもらおう」
そういうと、鳴滝の背後に幾つもの次元の壁が出現し、無量大数の怪人たちが現れる。
「どうかな?」
こんな危機的状況においてもディロードは臆さなかった。
「オーディンは確かに腹の立つことこの上ない奴だが、ちょっちは人間臭いところのある奴だ」
「何…?」
「……」
ディロードの言葉に鳴滝は疑問し、オーディンは黙っている。
「必殺技をぶつけ合った時、冗談抜きで俺はオーディンに勝つことができたろう。…邪魔が入らなければな…」
***
「「ウオオオォォォォォォォォォォォ!!!!」」
エターナルカオスとライジングアルティメットマイティキックの激突。
それによって生じた衝撃とエネルギーによって、ドーム内は常人では決して立つこともまま成らぬ状態だった。
そんなドームの中に侵入し、あまつさえ激突中の必殺技の嵐の中へと飛び込む者が居た。
「オーディン様ーーーーー!!」
マリア・ジャガルディであった。
彼女は主に勝機を見出させるべく、ディロードに向かって攻撃しようとした。
だが、巻き起こる凄まじいエネルギー波で、全て無意味となる。
「マリア!!貴女は下がっていなさい!!」
オーディンは怒鳴った。
「嫌です!私は…私はオーディン様の負けるところなんて見たくないんです!!」
「…だからと言って、貴女が傷つくところはみたくありませんよ!!」
「…ッ!!」
***
話を戻す。
「あの女は今、ミラーワールドに引っ込ませてこっちを見てるだけだ。
でもオーディンが言ったあの言葉……こいつにも誰かを想う心が絆がある。そう思った!!」
叫ぶディロードに人々は熱い何かを感じた。
「ディロード……もう容赦はしないぞ。そこまで言うなら、君もディケイド同様に…!」
この時、鳴滝はディロードを”世界の救済者”ではなく…かつての”世界の終焉者”として認識した。
しかしこの時、ライドセイバーから幾枚ものカードが飛び出してくる。
「……成程」
≪FINAL FORMRIDE…O・O・O・ODIN≫
「堪えろよ」
「はい?……ッうわあぁぁぁ!?」
ディロードはオーディンの鎧に触ると、彼の身体は超絶変形を起こして黄金の不死鳥型契約モンスター・ゴルトフェニックスを模した”オーディンゴルトフェニックス”となる。
その黄金に輝く美しい煌めきに殆どの人間が目を奪われる。
「行くぜ…!」
『えぇ…!』
≪FINAL ATTACKRIDE…O・O・O・ODIN≫
其の時、オーディンゴルトフェニックスとディロードから放たれる黄金の閃光に、誰も眼をあけることはできなかった。
そして、眼をあけることができたその時には全てに決着がついていた。
二人の合体技…”ディロードゴッド”によって…。
次回、仮面ライダーディロード
「俺達がライブ!?」
「久しぶりだな、廻」
「ディルードだと…!?」
「さようなら、廻さん」
「また会おう、ボクの愛する人」
”再会と別れ”
全てを救い、全てを砕け!
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