仮面ライダーブライ!

前回の三つの出来事は!


一つ!刃介は、仮面ライダーオーズこと火野映司と赤き鳥のグリード・アンクと邂逅!
二つ!鴻上光生とルナイトの口から、紫のコアメダルの素性が語られる!
そして三つ!紫の力によって、刃介と映司は、リュワドラコンボとプトティラコンボに変身した!
高校時代と思惑と連れ去り
三種の欲望が渦巻くこの運命大激動戦。
恐竜ヤミーと植物ヤミーの登場。火野映司と鋼刃介に入り込んだ紫のコアメダル。
そして、そのコアで変身する太古の暴君竜(プトティラコンボ)幻想の最強種(リュワドラコンボ)

それらへの初変身からまだ大して時を置かずに、また新たな戦いが始まりつつあった。



「ハァ!セィ!」
「オリャア!」

港で戦う二人の戦士と二体の異形。
それはバースとチェリオ。
それから新生プテラ♂と―――

「今度はなんの植物だ!?」

伊達は医者ではるが植物に興味があるわけではないので、ヤミーの正体が今一掴めない。

「多分、食虫植物のサラセニアじゃないでしょうか?」
「なんで知ってるんだよ?」
「危険な植物・・・・・というか、毒草をメインに色々なものを作っていた経緯がありますので、その過程で」

なんだか微妙に黒い過去を語るチェリオ。

そんな彼等を見守り、見物する者が二人いる。

「伊達さん、金女ちゃん・・・」

一人はセルメダルを弾丸とする強力銃、バースバスターをてにもつ後藤。
もう一人は、

「アンク、メダル!」
「またこのタイプか!」
「メンドくせぇなオイ!」
「兎に角やりましょう」

走ってきた映司・アンク・刃介・七実の姿を見て、

「来たね」

と呟く銀髪の青年、カザリ。

映司と刃介はドライバーを装着し、コアメダルをセット。
そしてスキャナーを手に取り―――

「おい止せ!暴走しちまうぞ!ここは俺たちに任せろ!」

プテラ♂に踏みつけられながらも、バースの警告を促す声。
しかし、

「その時は俺たちを攻撃して止めてください」
「つーか辛い体勢でいっても説得力ねぇんだよ」

二人はそれを敢て無視する。

「「変身!」」

≪RYU・ONI・TENBA≫
≪RI・O・TE!RIOTE!RI・O・TE!≫
≪TAKA・TORA・BATTA≫
≪TA・TO・BA!TATOBA!TA・TO・BA!≫

オーズとブライに変身した二人は一直線に敵へ向ってダッシュする。

(紫のコアの力を借りれば、俺の身体を取り戻せるかもしれない。その為には、映司をまたあのコンボに・・・・・・)

アンクはそう思った後に一瞬ブライに視線を向けるが、

(いや、無理か。あれは流石にパワーが強すぎる。右腕一本で如何にもならん)

と冷静に判断して、狙いを恐竜コアに絞った。
一方七実はというと、

(今度刃介さんが暴走するようなことがあれば、その時は私が)

アンクとは逆に刃介の身を案じるようなことを考えていた。

一方で四人がかりでヤミーを圧倒していたライダー達。
ブライは戦いを一気に進展させるべく、奥義の一つを開帳する。

≪SCANNING CHARGE≫

メダルのパワーを引き出すと、ブライはまず左手を前に突き出し、右手を勢い良く振り下ろすと同時に左手を腰元に持っていく。
そしてパワーを両腕に溜め込みながら、両手を胸の前に重ね合わせて力を高めていく。

「我刀流奥義」

ブライはエネルギーによって発光した両の拳を構えた。

星拳(せいけん)波動(はどう)っ!」

全力の勢いで突き出された両の拳からは、血錆色のエネルギーが飛んでいき、

『『うわあっ!!』』

二体のヤミーに直撃して吹っ飛んだ行く。
ただし、

『んんん・・・・・・!』
『嘗めたマネをッ』

それなりにダメージはあるが、致命傷にはならない。

「チッ。本来は右の拳だけで使うんだが、無理して両の拳でやれば威力も落ちるか」

などとブライがぼやいていると、

――ビュルルルルル!!――

サラセニアヤミーにドライバー部分を絡めとられ、エネルギーを吸い取られてしまい、

『フアッ!』
「うわあああ!!」

オーズはプテラ♂の波動を喰らって変身が解けてしまう。

「ッ!火野、鋼!」

後藤はバースバスターを持ってヤミーに威嚇攻撃しようとするが、

「退け!!」

アンクがそれを邪魔したのだ。

「何をする!?」
(出て来い、コアメダル)

後藤の言葉に耳さえ貸さずアンクは映司達から出てくるであろう力を待ちわびる。

『フゥアア!!』
『ヘェアア!!』

そして、二体のヤミーが襲い掛かった瞬間、

(今だ!)

――バッ!バッ!バッ!――

『『ウオアアアア!!?』』

映司と刃介から紫のコアが飛び出し、プテラ♂とサラセニアヤミーを吹っ飛ばした。
アンクは右腕という本体を、(いずみ)信吾(しんご)という依代から切り放し、一直線に恐竜コアを掴みに言った。

――ガシ!ガシッ!――

『うぅ・・・!』

最初にトリケラ・コアを掴み、今度はプテラとティラノのコアメダルを掴んだ。
しかし、その三枚を一気に掴もうとしたのが拙かった。
幾らグリードといえども、右腕一本だけの状態では本来の1/10以下のパワーしか出せない。

『ッ!うぁあああ!!』

結果として、コアに弾かれてしまい、メダルがオーズドライバーにセットされてしまったのだ。
刃介のほうも準備万端なようで、スキャナーで自動的に動き出す。

≪RYU・WYVERN・DRAGON≫
≪PTERA・TRICERA・TYRANNO≫
≪RYU・WA・DRAGON KNIGHT≫
≪PU・TO・TYRANNO SAURUS≫

「「ヴォォオオオオオ!!」」

プトティラコンボとリュワドラコンボ。
太古と幻想の力が今再び覚醒し、雄叫びを上げて敵へと突っ込んでいく。

一方アンクは、

「っ――くそ・・・・・・っ」

右腕を依代に戻して悔しそうに悪態をついた。

「「ヴォウ!!」」

――ザグッ!――

『『ぐあああああああ!!』』

オーズとブライの貫手はヤミーの腹部を貫き、二体は爆発を起こしてセルメダルへと還元される。

「「・・・・・・・・・!!」」

だがこの程度では二人の闘争本能は満腹になどなりはしない。
また新たな獲物を探して唸る。
七実はそんな二人――というか、ブライを見るとキョトウの姿に変貌する。

『刃介さんは私が抑えます』

とだけ言って、ブライに飛び掛って抱き付き、互いに身動きが取れないようにする。

「グルァアアアア!!」
『刃介さん・・・・・・』

まさに怪物と呼ぶに相応しい咆哮をするブライ。
キョトウはそんなブライを抱きしめ続けながら彼の心が鎮まるのを待った。

片やオーズという問題が残っているが故に、バースとチェリオもキョトウと同じく、二人がかりで無理矢理オーズを押さえ込もうとするが、

「ウゥゥゥ・・・・・・!!」
「クソッ、なんて馬鹿力だ!」
「これじゃ持ちませんよ!」

低く唸っているオーズは想像以上のパワーを出しているようで、チェリオとバースが二人がかりになってもギリギリで押さえ込めている状況だ。
後藤はその状況を見て何か良い手は無いかと考えていると、ふと目についたのは―――

「あいつは、カザリ・・・・・・よし」

敵の姿を確認した後藤は、バースバスターの銃口をオーズに向けて引き金を引く。

――ヴィンヴィン!!――

弾丸が二発ほど放たれ、オーズの背中に命中した。
当然オーズの注意は後藤に向く。

「火野!!」

後藤は大声を出しながら横へと小走りしながら発砲を続ける。

――ヴィンヴィン!!――

オーズは後藤と平行線を描くように横へと小走りする。
だが後藤が進む方向には、

「ん・・・?」

カザリがいた。
そして後藤はカザリの目の前にまできて足を止めると、オーズは後藤めがけて飛び掛るが、後藤は素早く前転をしてかわし、必然的にカザリは自分に向ってくるオーズと戦う為にグリード態となる。
ライオンの鬣を後頭部から生やし、虎のような鋭い爪を両前腕部に備え、その俊敏さはまるでチーターのようだ。黒い外装を上半身にしていながら下半身は焦茶色の素体が剥き出しな不完全セルメン

「おお!後藤ちゃんナイス!」
「考えましたね」

バースとチェリオの褒め言葉が跳んだ一瞬の間にも、カザリとオーズの肉弾戦が続く。

『フッ!ハッ!』
「ウォウ!ウァァ!」

腰を少し低く落とし、二人は睨み合う。
そこから、

「『ハァアアア!!』」

――ズドンッ!――

二人は一旦距離を置いてから一気に駆けて拳を繰り出して互いの胸に突き立てるが、パワーの差の所為か軽く吹っ飛ばされたのはカザリ。

『成る程、これはちょっと厄介かもね』

とだけいうと、カザリはさっさと撤退していった。
オーズはすぐさま後を追おうとしたが。

「うッ・・・・・・」

体力が底をついたらしく、地面に転がって倒れながら変身が解除された。
一方、刃介も・・・・・・

「大丈夫ですか?」
「ああ・・・・・・だが、かなり疲れた」

七実に肩を貸してもらうことで漸く立ち上がれている状態だ。
最初にリュワドラコンボへ変身したときに比べれば大分マシなほうかもしれない。

そして、彼等の戦いを眺めるものがまだいた。
一昔前のアナログな水色の車に乗る、後生大事そうな人形を持った眼鏡の男。
眼鏡の奥には不気味な紫の眼光を覗かせている。

「私とオーズ、そしてブライ。一体誰が終末を齎すに相応しいのですかね?」

元人間・真木清人――現在は紫を司るグリード。





*****

クスクシエの二階。
居候部屋の寝台で映司は寝かされていた。
因みに刃介は既に、サラセニアヤミーのセルメダルを吸収して体力を回復させている。
メダルさえあれば一発で回復できるのがグリードの利点である。

「火野、鋼。お前はもう戦うな。当分は俺と伊達さんと金女ちゃんで戦う」

紫のコンボを危惧した後藤がそういうも、納得しないものが二人。

「バカ言うな。人間がグリードに叶うわけ無いだろ」
「全くだ。ただでさえ厄介なのが増えつつあるんだぞ」

アンクと刃介だ。

「映司。お前もオーズなら、暴走しないでしっかり制御しろ。なっさけない」
「なんだよ!お前だって失敗したじゃないか!グリードなのに、メダルに弾かれて!なっっさけない!!」

ベッドで上体を起こしてそういった映司にアンクは、

「何だと・・・?お前になにが解る!!?」

当然の如く激昂するアンク。
映司も身を乗り出していこうとしたので、

「アンク止せ!」
「火野さん、頭を冷やしましょう」

刃介と七実が、

――ガッ!――

「「うッッ」」

二人の鳩尾に、ローブロウを一発叩き込んで黙らせた。
そこへ扉を開けてきたのが、

「映司くーん」

クスクシエ店主の白石知世子。

「あら、アンクちゃんと映司くん、どうかしたの?」

彼女が部屋に入って直ぐ眼にしたのは、ベッドで死んだように寝ている映司と、同じようにベッドに凭れ掛かって気絶しているアンク。

「御心配なく。疲れ果てて眠っているだけです。少し御休みしていれば眼を覚まします」

と、七実が最適な嘘をついて誤魔化す。

そんな二人を対して、比奈と伊達と後藤は、

(((この二人は怒らせないようにしよう)))

そう堅く誓っていた。

「それでどうした?まだ注文でもあるのか?」
「いやそうじゃなくて、映司くん宛ての招待状を預かったのよ」
「招待状?」

刃介は取り合えずその招待状を代わりに受け取ることにした。

「なんでも映司くんの高校時代の知り合いだて言ってたけど」
「ふーん」

刃介は話を聞きながら招待状を開ける。

「レジャーランドのチケットに、メッセージだけか」

そのメッセージとはこう書かれていた。

映司へ
高校時代の親友
     北村雄一より

「雄一、ねぇ・・・?」

旧友と同じ名を持つ人物に、刃介は興味を示した。
因みに招待状をチェックし終えた後。

「よし。じゃあ白石。また何か必要な材料やら道具やらが必要になったら俺の店を頼ってくれ」
「ええ、頼りにしてるわ。良い品を頼んだわよ」
「任せろ。うちの鋼雑貨店は俺自身が各方面を見て回って得てきた一品ばかりだからな」

などと、しっかりとクスクシエと鋼雑貨店の繋がりをつくり、自分がここにやってくる不自然さを完全払拭しておくのを忘れない刃介であった。





*****

映司とアンクが起きて直ぐ、刃介はさっさと映司からの許可を強制的に頂戴し、招待状にあるレジャーランドに赴く事にした。
人数はかなりの大所帯となっており――刃介、七実、金女、映司、アンク、比奈、後藤、伊達の合計で八人だ。

「ところで鋼さん」
「なんだ?」

強く希望して此処までやってきた刃介の心情に映司は興味が沸いたらしい。

「どうして俺たちと一緒に?」
「別に。ただ旧友と同じ名前した奴がどんなのかを見に来たってトコだな」

刃介は気負いせずにゆったりと答えた。

不堅(かたまらず)――今日くらいは仕事やら責務やらも忘れて、思い切り楽しみましょう?」

と、膝くらいの丈をした真っ青な浴衣を着ている金女が緊張を解すかのように言った。

「でもアンクまで来るなんて意外だな」

と映司が漏らすと、アンクは映司に近寄り、

――ガッ!――

「―――ッ!?」
「次にメダルが出たらしっかり掴んでやる・・・・・・!!」

映司の腹に右拳を入れて恨み言のように囁いた。

そんなのどか?な丘にあるコテージ場に、

「よう映司」

聞きなれない男の声。
とあるコテージに備え付けてある屋根付きの下にある木製のテーブルと椅子に座ってこちらへ呼びかけるのは、立派なスーツ姿で眼鏡をかけた男だ。

「なんだ憶えてないのか?冷たいな」

映司からの反応が無く、男がそういうと、

「す、すみません・・・」

映司は謝りながら男に近づく。

「まあ仕方ないか。俺映司の隣のクラスだったし、引き篭もってたし」
「引き篭もり?」
「ほら。よくノート、届けてくれただろ」
「え?・・・・・・あ、もしかして、北村くん?」

試しに呼んでみれば。

「ああ」
「久し振りぃ!」
「懐かしいな!」

見事にビンゴ。

(こいつが北村雄一か)

刃介は北村の事を値踏みするように見ている。

「ありがとう招待してくれて!」
「何言ってんだよ」

北村は当然だとでも言う風に笑ってみせた。
そしてテーブルの上にある大量の食材を指出して、

「これ、皆に差し入れ」
「「ごちそうさまでーす!」」
「ありがとうございます!」

食いついたのは意外なことに刃介だけでなく、伊達と比奈もだった。
七実はそれを乾いた眼差しでみつつ、北村に尋ねた。

「あの、思わず大人数で来させて頂きましたが、此処を貸し切るのに相当お金がかかったのでは?」

と、大人としての意見を述べると、北村はテーブルにおいてある雑誌を映司に見せた。
開かれたページには北村の写真と記事が掲載されている。

「”若きネットベンチャー・北村雄一”・・・・・・”大型レジャーランド経営に進出”――ってことは」

北村はレジャーランド一帯を見渡して、

「俺がここの、オーナーだ」
「「えぇぇっ!!?」」

伊達と比奈は大いに驚いた。

「火野。お前って自分を放置して他人のステータスを上げる体質なのか?」

さりげに映司のお人よしさをちらつかせる刃介であった。





*****

んでもって、「ゆめいろレジャーランド」の敷地内。
無論、客はここにいる一団のみだ。従業員の姿さえない。
殆どのアトラクションは全自動で動いてるらしい。

「高校時代の映司くんってどんな人だったんですか?」

比奈がそう訊くと、

「まあ、人気者かな?」
「ちょ、止めてよ!」
「いいだろ、ホントのことなんだから」

映司は気恥ずかしそうにするも、北村は続ける。

「面倒見がよくて、よく色んな問題に首突っ込んでたよな」
「へー。今と変わんない」
「クラスも違う俺を、引き篭もり生活から引っ張り出してくれた」
「だって放っとけなくて」

今昔に問わず、火野映司という人間の半分以上は善意で構築されているようだ。

「その時に俺に自分の夢語ってくれただんだよな」
「え、そうだったけ?」
「そのお陰で俺は立ち直れた。引き篭もりなんかしてちゃダメだ。夢に向って突き進まなきゃって」

北村が楽しい想い出を掘り起こしながら語っていると、

(夢、か・・・・・・)

刃介は一つの単語に内心で反応していた。

「・・・・・・なんだ?今は違うのか?」
「あ、いや、ちょっとね」

北村の質問に気まずそうにする映司。
しかし映司の過去を考えれば栓なき話だが。

だがそこで、

「よーし!なぁまず、このフィールドアスレチックってのに行こうぜ!後藤ちゃんCome on!!」

さっきから喋らずにパンフレットばかり眺めて歩いていた伊達が後藤と一緒に一っ走りしていった。

「あいつが一番童心に帰ってるな」
不帰(かえらず)――誰だって童心に帰りたくないなんて、思いませんよ兄さん」

「じゃあ、また後でな」
「うん。また。・・・アンク、行くぞ」

北村と一旦別れると一同はさっさと歩いていく。
だがしかし、先ほどから一切喋らずに最後尾を歩いていたアンクは感じ取っていた。

「・・・・・・・・・・・・」

自分と酷似しまくった気配を。





*****

同時刻。レジャーランド敷地外の高台。
そこにはカザリが木製の手すりに身を預け、ロストがちょっとした木に登っていた。

「さっさと右腕(アンク)を吸収できればいいんだけど、危ない事もしたくないしね」
「――――――」

カザリがそういっていると、ロストは木を降りて歩いていってしまう。

「バラバラに行動してくれないかな?ブライと新しいグリードも居るようだから、良い手がないと・・・・・・って、あれ?どこ行った?」

今更気付いたようだ。





*****

「「アホらしい」」
「申し訳ありませんが」
「私たちは止しておきます」

その一言の元、アンクと刃介はアスレチックを終始不参加を押し通していた。
理由はメンドくさい、参加したら結果が見え見えと言う納得感満載のものであった。

因みにアスレチックの数々はというと、

急な坂の脇にある金網を掴んで進んでいくモノ。
巨大なボールだらけで狭苦しい道を突き進んでいくモノ。
急な下り坂に設置された小さな足場を渡って行くモノ。

そして最後には、

「「「んんん〜〜!!」」」

中央の軸から太い丸太が幾つも伸びていて、その丸太を力いっぱい推す事で軸ごと回転して先へ進む道へいけるというものだ。
ただしこの場面ステージ、けっこう重くて辛い。
映司と伊達と後藤の三人が全力を押しても少しずつというにも関わらず、

「ふにゅ〜!」

稀代の怪力女、泉比奈はあっさりとそれをクリア。

「いっちばーん!!」

上機嫌で迷路コースに進んだ比奈だったが、快調はそこまでだ。
何故かって?

――バサッ!――

「ッ!キャアアア!!?」

いきなり網が比奈を捕えたからだ。

「今の声!?」

皆は逸早く迷路コースの入り口に急いだが、残っていたのは、

「これって比奈ちゃんの!?」

白いポシェットだけだった。

「アンク、ヤミーの気配は?」
「ヤミーの仕業じゃない」
「完全に人の手だなコレは」

アンクと刃介は一発で即答して見せた。

「兎に角手分けして探そう!!」

そうして、皆は一斉に敷地内で散らばり、比奈を探し始めた。
ただし、比奈の名前を叫びながら走る映司の姿を観察するものが一人居た。





*****

敷地内の高台。
そこには双眼鏡越しに映司を覗いている北村の姿が。

「・・・・・・よし、そろそろ―――」

移動しようとする北村だが、一つのイレギュラーによって足は止まる。
赤い服を着た少年が居たからだ。

「なんだ?迷子か?」

普通はそう思うだろうが、実際は全然違う。
少年は一枚のメダルを投げ、額に投入口が現れた北村に見事入ったのだ。

――チャリン――

それと同時に、赤い巨大な卵が出現し、それが勢い良く割れた。
中から産まれ出たのは、

――バァァァン!――

『うぅぅ・・・・・・』
「うわああああ!!?バッ、化物ぉぉ!?」
「あーあ。ヤミー生ませちゃったんだ」

恐怖と混乱でパニックになる北村をよそに、カザリが現れる。

「ヤミー?」

白ヤミーの誕生に拍手するロストとは裏腹に、カザリは興味深そうな顔をする。

「君の欲望、面白いね」
「よッ、欲望!?」
「ねぇ。僕の言うとおりにしてみない?」





*****

その頃、刃介はというと。

「ん、ヤミーか」
不計(はからず)――こんなタイミングで?」
「出ちまったもんは仕方が無いだろ」

刃介は隣で愚痴る金女を宥めつつ、懐から血錆色の缶を取り出し、プルタブスターターを開けて、カンモードからリュウメカモードに変形させる。

「奴さんを見つけて来い」
『リュリュー!』

リュウカンドロイドは一声鳴いて飛んでいった。





*****

植物園。
そこはありとあらゆる植物たちが取り揃えられた、まさに植物達にとっては楽園の園たる場所。
適切な環境と栄養が完備された此処で唯一、他の植物達と隔離された巨大な花があった。

それを目当てにやってきら一人の堕剣士は、花の部屋に入った。

「植物園だけあって、良い品揃えでござる」

堕剣士は世界一の大きさを誇る花の悪臭に眉を顰めつつも、セルメダルを指で掴む。

「この臭い、少しは役に立ちそうでござるな」

――チャリン――





*****

一方、七実はというと、

「ふむ。居ませんね泉さん」

レジャーランドの端っこの端っこに来てしまっていた。

「やっぱりこの方向音痴ぶりは直さないと駄目ですかね?」

格好悪いようだが、嘘をついても仕方ないのでハッキリ言う。
七実は今、迷子になっていた。比喩表現とか抜きでマジで迷子になっている。

「ロープウェイの上に行くつもりが、こんなところに来てしまいましたし・・・・・・」

七実は二十年間済んできた手狭な無人島においても、浜辺にいくつもりが山についてしまうほどの方向音痴だ。怪物(グリード)となったことで『病弱』という最大の弱点を克服した最強無敵の才女が最後に抱える唯一の弱点だろう。

しかしそれは、明確な目印が無い場合に限る。

「っ・・・・・・ヤミー」

気配を一発で感じ取った。





*****

片や、キャンピングカーが多く停車してある出入り口付近では、

「比奈ちゃん!比奈ちゃん!」

映司が必死になって比奈を探していた。

「映司、どうした?」

そこへ現れたのは、

「北村くん!」

ヤミーを生まされた北村だった。

「友達が一人、いなくなっちゃって!」
「それは大変だな。詳しく聞かせてくれないか?」

しかし、北村のこの態度―――ヤミー生成が行われた後にしては落ち着きすぎている。





*****

雑木林。
メダルタンクを持った伊達が、ゴリラカンドロイドのセンサーを頼りに走っていると、

『うあ、おぉぉ・・・・・・』

白ヤミーが鈍重な動きと呻きを見せていた。

「まだ育ちきってないが、しょうがないか」

伊達はベルトを装着し、セルメダルを装填する。

「変身」

――パカン!――

伊達は瞬く間にアーマーを装着し、バースに変身する。

「さあ、お仕事だ」

そう構えたときに、

『シェアアア!』

突然にも巨大な花を頭に乗せたようなヤミーが現れる。

「おお!厄介だけど育ったのが来たな」

バースは早速臨戦態勢に入ろうとするが、

「それは俺の獲物だ!変身!」

≪RYU・ONI・TENBA≫
≪RI・O・TE!RIOTE!RI・O・TE!≫

そこへ刃介が乱入してブライに変身。

「兄さん、頑張ってくださいね」

そこへ金女も現れるが、ベルトを装着しているだけでセルメダルを装填する気配が無い。
大方、白ヤミーがとっとと片付くから加勢は要らないと踏んだのだろうが、それは甘い見通しだ。





*****

その頃、映司たちは、

「そうか・・・・・・わかった。俺に手伝わせてくれないか?」
「え?」

説明を受けた北村は自分から協力を申し出てきた。

「ほら、ここのことなら誰よりも詳しい。仮に攫われたとしても、捕まってそうなところに心当たりがある。それに・・・・・・」

北村は一旦間をおいて、

「俺、お前の助けになりたいんだ」
「・・・・・・・・・」
「なあ、いいだろ?」

北村は映司の手を取って懇願する。

「あ、ああ。頼むよ」

そういわれた瞬間に、北村の心からは喜びが満ち、欲望が満ちていった。





*****

『うぅああ・・・・・・』

片や、バースは白ヤミーにキャメルクラッチをかけていたが、白ヤミーは突然にもパワーを増大させ、バースを持ち上げながら立ち上がったのだ。

そして、

「って、ちょちょちょっとちょっと!!?」

バースが驚くのもお構い無しに、白ヤミーは奇妙な光を纏い出し、それが晴れたときには、

『キシャア・・・・・・』

フクロウヤミーとして成長を遂げた。

「こいつは・・・・・・」
「鳥のヤミーか」
「となると、ロストが近くに?」

アンク、ブライ、金女がそう言ってると、

『キシャアアア!』

――バサっ、バサッ!――

フクロウヤミーは翼を大きく羽ばたかせて突風を巻き起こす。

「うわああああ!!」

バースは思い切り吹っ飛ばされ、強制的に変身が解ける。

「伊達さん!」

後藤が近寄ろうとしても、

『シェア!』
「くっそ、邪魔すんなこの巨大花(ラフレシア)が!」

ブライとヤミーの戦いのために近寄れない。
しかも、

――ブシュウゥゥ!!――

「ッッ!?なんだ、このヒデェ臭いは!?」

花部分からトンデモない悪臭ガスを放ってきたのだ。
その隙にフクロウヤミーは、

『キシャアアア!!』

なにやら黒い帯を伊達の体に巻きつけ、空の彼方へと飛び去ってしまったのだ。

「うあああああ!!」
「伊達さん!!」

後藤は叫ぶも、それは伊達に届いてもフクロウヤミーに届くことは無い。

『フン。シェェェ!!』

一方でラフレシアヤミーもどこかへ去っていってしまった。

ブライは漸く解放され、残されたベルトとメダルタンクを見て、

「チッ、面倒になってきたな」





*****

レジャーランドの端にあるゴミ置き場。
北村の案内でやってきた映司は実に真剣な表情で比奈を探す。

「比奈ちゃん!比奈ちゃん!」
「・・・・・・・・・・・・」

しかし、それを見つめる北村の顔が微妙な表情になっている。

「なぁ映司」
「どうした?」

不意に北村は、

「ウチの会社に来ないか?」
「・・・え?」

いきなりヘッドハンティングを仕掛けて来た。

「世界の子供たちを救う事業を立ち上げたって良い。ほら、高校時代からそれが夢だって言ってたろ?」
「ちょっと待ってよ、こんな時にどうしたんだよ?」

突然の物言いに流石の映司も困惑する。
北村はそんな映司に歩み寄る。

「お前の友達を悪く言うわけじゃないけど、あの変な髪型した金髪に利用されてんじゃないのか?」
「・・・なんでそう思うの?」
「兎に角俺は違うぞ。映司を利用するわけじゃない。映司がより映司らしくいられるよう、全力を尽くしたいだけだ!」

どんどん語りに熱が篭る北村。

「どうしてそこまで?」
「利害関係とかなしに何でもできるのが本当の親友だろ?」
「親友・・・・・・」

その単語に映司が口ごもる。

「高校のときのお前がそうだった。だから今の俺が在る。嘘じゃない」
「北村くん・・・・・・」
「彼女は、絶対に俺が見つけ出してみせる」
「――うん、ありがとう」

映司からの感謝の言葉に、北村は自然と嬉しそうな笑顔となる。
しかしそこで、

『キィーー!』

タカカンドロイドが空中で旋回している。

「ッ――ごめん、俺行かなきゃ!」
「え!?」





*****

映司は急いで下方へとおりていき、そこでバッタリ出くわしたのが、刃介とアンクと後藤と金女だ。

「火野。人探しの途中で悪いが、ヤミー退治だ」
「え?」
「伊達さんがヤミーに攫われた」
「そんな・・・・・・」

刃介と後藤の簡潔な説明に映司が意気消沈としていると、

「ついでに言っとくと、アンクの片割れたるロストが生み出したヤミーだ」
「ロストって、鳥のグリード?」
「そうだ、行くぞ」

アンクは映司の腕を引っ張るが映司はアンクの手を振り解く。

「それでも比奈ちゃんを助けるほうが先だっ!」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

アンクと映司は互いににらみ合い、

「―――勝手にしろ」

アンクが一人で探索に向ってしまった。

「おい、アンク!」

映司が引き止めても何の意味もなく、アンクは一人でズカズカと行ってしまった。
それを見た刃介は金女に耳打ちして話した。

「金女」
「なんです?」
「迷い子さがし」
「義姉さんを連れて来いってことですね」

金女は一発で意図を読み取った。

「俺は火野に同行して様子を見る」
不否(いなまず)





*****

アンクは別行動をとり、雑木林に来ていたが、機嫌は実に斜め一直線だ。

「映司の野郎・・・・・・」

アンクは映司の態度に苛立ち、木を殴った。

「クッ・・・・・・」

気が晴れぬまま林を歩いていると、

「お前・・・・・・」
「――――――」

木陰から北村が出てきたのだ。

「・・・・・・お前か。ヤミーの親は」

アンクは持ち前の探知能力で見破って見せた。

「映司の前から、消えてくれないか?」

だが北村はそんなものお構いなしで、嫌味な笑顔をしながらアンクに告げる。

「ハァ?」

アンクは言葉の真意がわからず、取り合えず歩いて前進するが、それとは対照的に北村は後退する。

「お前に映司の何が解る?」
「何バカなこと言ってんだ?」
「お前に映司を支える事ができるのか?」
「フッ――そんなことより、早くヤミーの居場所を教えろ」

アンクの高圧的態度にも北村は全く屈せずに、

「―――プッ」

寧ろ鼻で笑っていた。
アンクも最初はわからなかったが、今地面を踏む感触でなんとなく理解したが、気付いたときにはもう遅い。

――バァア!!――

「うぉああ!?」

木の枝に巻きつけられた四本の縄で支えられた網が、葉っぱと土で紛れ、アンクを宙に捕えるときまでなりを潜めていたのだ。

「おいコレは何のマネだ!?」
「お前ジャマなんだよ」
「オイ貴様ぁ待てぇ!!」

自分を網に閉じ込め、何処かへと行ってしまう北村にアンクの怒号が響いた。





*****

そして北村は見事に映司たちの前に現れる。

「映司ぃぃ!!」

北村の大声にみなが振り向く。

「比奈ちゃんの場所、大体見当がついた!」
「ホント?」
「行こう!」

一斉にそこへ向かうが、

(あいつ・・・・・・そういうことか)

ただ一人、刃介だけが見抜いていた。





*****

北村の案内でたどり着いたのは、”GAME FIELD2”などと銘うたれた場所。
恐らくアウドドアな遊びを主とした多目的空間と思われ、敷地内にはベニタ板やドラム缶などといった障害物のほか、かなり簡易な小屋なども建てられている。

「ここじゃないかと思う」

北村の言葉を契機に映司と後藤が走った。

「比奈ちゃん!」
「比奈ちゃん!」

構造上、確かに人一人を隠すくらいはできそうな場所だけに、捜査にも熱が入る。

「・・・・・・・・・」
「あれ?貴方はいかないんですか?」

北村はただ立ち呆けている刃介に話しかけるも、その結果は

「あとでヤミーの巣の在り処を聞きだしてやるから、覚悟しろ」
「――――ッ」

トンデモない言葉が飛び出してきた。

「な、なんで・・・・・・」
「俺もアンクと同類でな。泉を助けたらゆっくり話し合おう」

ポンポンと刃介が北村の肩を悪どい面構えで叩いていると、

「比奈ちゃんがいた!!」

映司が小屋の中で眠らされている比奈を見つけ出した。
小屋と外界を隔てる仕切りを開けるため、ドラム缶を退かして行っていると、

『キシャアア!』
『シュアア・・・!』

フクロウヤミーとラフレシアヤミーが現れたのだ。

「な、なんだこいつら!?」

北村はヤミーが成長することを知らないので、白ヤミーとは別の怪物と思って驚愕する。

「人の欲望から生まれた怪物なんだ!」
「欲望・・・?」

映司からの短絡的な説明の中に、カザリのそれと同じ単語が混じっているがゆえか、北村はそれを繰り返した。

「取り合えず、片付けちまおうぜ」

刃介はドライバーを装着し、コアメダルをセット。

「変身!」

≪RYU・TSUBA・TSUKA≫

ブライの亜種形態、リュウバカに変身。

「そっちの鳥は任すぜ」

とだけ言ってブライはラフレシアヤミーに突っ込んでいく。

『ジェェェ!』

ラフレシアヤミーは両腕からブライドライバーめがけて触手を伸ばすが、

「甘い!」

――ザシュ!!――

全てはヤイバスピナーの一刀のもとで斬り捨てられる。

「仏の顔も三度までってな!!」

――ドガッ――

ブライは遠慮会釈なく、ラフレシアヤミーを殴っていく。

一方で映司達は、

「ううううう!」
「くぅぅぅ・・・!」

後藤と二人がかりでフクロウヤミーを押さえ込んでいる。

「北村くん、今のうちに比奈ちゃんを!!」
「お、お前はどうするんだよ!?」
「こいつを何とかする!」
「無茶だ!怪我したらどうするんだよ!!」
「大丈夫。慣れてるから!」

此処まで言われたら北村といえど断るわけにはいかない。
一人で小屋の前にあるドラム缶を自力でどかし、小屋の中に入った。

「おい、大丈夫か?おい、おい!」

顔をペチペチと叩いて比奈を起こそうとする北村。

「火野、アンクはまだ来ないのか!?」
「ヤミーの気配なら、必ず拾って来るはずなんですけど・・・・・・」





*****

その頃アンクは。

「クッソォ!」

忌々しそうに網の中で暴れている。
しかし、その時だった。

――ビュン!――
――ドサッ!――

「おわッ!?」

突然縄が切れてアンクは落とされた。

不傷(きずつかず)――大した怪我はしてませんね」

それは金女の放った手裏剣だったのだ。

「どうやらそのようですね」

傍らには彼女に連れて来られた七実が居た。

「フン、礼なら言わないぞ」
「最初から期待していません」
「兎にも角にも、早く現場に向いましょう」





*****

GAME FIELD2

こちらではラフレシアヤミーとブライが戦っていたが、一方で映司と後藤はフクロウヤミー相手に生身で苦戦している状況だ。
コアを管理しているアンクが居ないのではタトバコンボは他のコンボも亜種形態も使えない。
フクロウヤミーと距離を離している二人は、様子見をしながら話し合う。

「後藤さん、俺やってみます」
「何を?」
「ピンチになれば、またこのコアメダルが―――」
「冗談はよせ!お前が暴走しても、俺一人では止められないんだぞ!」

唯一、この場でプトティラを止められそうなブライですらラフレシアヤミーとの戦いで手が塞がっている状況でプトティラコンボはあまりに危険過ぎる。

「じゃあ後藤さんがバースに!」
「ッ!?」

あまりに衝撃的な提案に後藤は絶句する。

「時間稼ぎます!」

映司はそういってフクロウヤミーに体当たりを行う。
後藤はその好きにメダルタンクと一緒にあるバースドライバーに手を伸ばす。

「俺がバースに・・・・・・いや、今の俺じゃ無理だ!」

後藤は懐から紫のカンドロイドを取り出し投げた、

『プテラ!』

プテラカンはフクロウヤミーの周囲を飛び回り、口から奇妙な波動を繰り出して足止めするが、

『キシャア!』

フクロウヤミーは手から黒い帯を放ち、プテラカンを捕縛してしまった。
さらに、

『キシャ!』
「うわッ!」
「後藤さん!!」

後藤とメダルタンクも黒い帯によって自由を奪われてしまう。
映司は完全に孤立無援で戦う状況になってしまう。
フクロウヤミーの魔の手から逃れようと、必死に体を後方に向けて転がしていると、

――バシュ!――

体からは三枚の恐竜コアが出現したのだ。

「―――――ッ」

映司の瞳は紫となり、糸で吊り上げられたかのように身体を起こした。

(まずい、プトティラコンボに・・・!)

ブライもこの状況に危機感を持ったその時、

「映司!!変身すんならコイツにしとけ!!」

アンクが右手で三枚の灰色のコアメダルをなげ、それらは紫のコアを押しのけてベルトに収まる。
コアが身体に戻ると映司は正気に戻り、

「―――ッ・・・・・アンク!」
「急げ!!」

アンクの言葉に頷いた映司はオースキャナーでコアメダルを読み取った。

「変身!」

≪SAI・GORILLA・ZOU≫
≪SAGOHZO・・・・・・SAGOHZO≫

サイの頭、ゴリラの腕、ゾウの脚。
重量系のサゴーゾコンボだ!

「うおおおおおおおおおお!!」

オーズは雄叫びをあげると、サゴーゾコンボの十八番である重力操作を利用し、フクロウヤミーを無理矢理地上に引き摺り下ろした。
そこへオーズはゴリラアームの腕力とゾウレッグの重厚さを利用したヘビー級の一撃を加えていく。

「フンッ!ハアッ!」

元々一対一の勝負には打って付けなスペックをしているサゴーゾコンボはこのような、特に飛行タイプの敵には格段的に有効なスタイルなのだ。

一方ブライは、

「刃介さん、これを!」
「やっと来たか!」

ブライは七実からコアメダルを投げ渡され、早速メダルチェンジを行う。

≪HAYABUSA・HOUOU・YATAGARASU≫
≪HAOURASU!≫

紅蓮の鳥類系・ハオウラスコンボとなる。

「ハァァ・・・・・・!!」

ホウオウウイングを広げると同時にラプトリアルフェザーを展開し、

「あらよっ!」

――バシュバシュバシュ!!――

『ンギャアアア!!』

次々と羽手裏剣を喰らい、吹っ飛ばされるラフレシアヤミー。
吹っ飛ばされた先にはオーズによって殴り飛ばされたフクロウヤミーもいた。

『グッ、ジュウェェエ!!』

ラフレシアヤミーは苦し紛れの煙幕代わりに悪臭ガスを噴射する。
しかもそれは自分たちの身を隠す為に広範囲で狙いをいとわないものと、

――ブシューーー!――

「うぅ、また・・・!ホントに、死ぬゥゥ・・・・・・」

好い加減かどうかはわからないが、悪臭ガスは不幸な事に再び金女に降り掛かったのだ。
常軌を逸したその臭さに、金女はあえなくバタンとぶっ倒れてしまった。

『キシャアアア!!』

そこへフクロウヤミーが黒い帯で金女を捕縛し、さらには後藤ごと連れ去ってしまう。
ラフレシアヤミーもそれに乗じて逃げてしまった。

「後藤さん!!」
「金女!!」

ブライはすぐに飛行して追いかけようとするが、

「う、あ・・・・・・」
「ってオイオイ」

体力が尽きたオーズがブライに寄り掛かる形で倒れてきたのだ。

「ったく」

チャンスを潰されたことにイラ付きながらも、ブライは変身をとき、オーズへの変身が解除されてしまった映司に呆れ返っていた。

「映司くん!」

そこへ眼を覚ました比奈が駆け寄ってくる。
一応北村も一緒である。

「大丈夫映司くん?」

心配する比奈と平行して北村が報告する。

「犯人の顔は見てないそうだ」
「捕まった瞬間に気絶しちゃって」
「そっか。でも良かった」

映司は両手両脚を地に付けていた状態から立ち上がる。

「お前いつもあんな無茶なことしてるのか!?危ない事しちゃダメだぞ!」
「オイ!」

そこへアンクが乱暴な声をあげた。
北村はアンクの姿を見た途端に、

「え・・・・・・ッ!?」

驚きを隠しきれないで居る。
アンクはそのまま歩いていき、何も言わずに北村の横を通り過ぎていった。
しかし、このまま何も起こらないはずが無い。

(あぁあぁ。ほとほと、面倒だな)

ただ一人、刃介だけは内心、溜息をついていた。
次回、仮面ライダーブライ!

繋がりとゼントウと生き損ないの本音


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