仮面ライダーブライ!
前回の三つの出来事は!
一つ!紫のコンボのパワーに手を焼く映司と刃介!
二つ!映司の高校時代の友人・北村から鳥のヤミーが誕生し、植物園ではラフレシアヤミーが誕生!
そして三つ!フクロウヤミーは、次々に人を連れ去ってしまった!
繋がりとゼントウと生き損ないの本音
一戦の後、映司は必死に走り回りながら伊達と後藤と金女を探していた。
一方、コテージに戻ったアンクたちは。
「おい、お前を攫った奴の顔、ホントに見なかったのか?」
「ネットを被せられて、すぐに気を失っちゃって・・・・・・」
「ハッ」
アンクの質問に対する比奈の返答に、刃介は短く吐き捨てる。
「おい、北村」
「おい!」
「比奈さん。お茶、淹れてくれないかな?」
「いいですよ。ちょっと待ってくださいね」
アンクと刃介に呼びかけられた北村は、比奈を一旦退場させる。
アンクと刃介は北村に歩み寄る。
「自作自演で想い出づくりとは、見下げた友情だな」
「な、何のこ「惚けなくていい。あのヤミーを生んだ欲望はなんだ?」
二人は徹底的になっている。
「俺の欲望・・・・・・」
「あのヤミーはお前の欲望を満たす為に動いている。自分の生んだ奴を巣に閉じ込めて、親鳥みたいに欲望を運ぶ」
「大方このレジャーランド自体が、巣ってことになるな」
北村はバシバシと突きつけられていく目の前の現実に絶句するほか無い。
「ま、言いたくないなら構わない。こっちで勝手に探すし、火野にも手伝わせる」
刃介がそういって北村に威圧感を加えると、当然のように北村は刃介を止めに掛かる。
「そ、それだけは止めてくれ!頼む!」
「なら教えろ」
頭を下げる北村に刃介が問い詰める。
「・・・・・・映司に頼られたかっただけだ。でも、まさかあんな化物が出てくるなんて・・・・・・」
あの時、ヤミーが生まれた際に北村はカザリにこういわれた。
――ヤミーは気味の手伝いをしてくれるよ。あいつと友達になりたいっていう君の欲望――
――俺の欲望ッ!?――
――あいつに頼られたいんだろ?だから女の子を攫って捜すつもりだった――
「あんな化物が次々に人を攫うなんて・・・・・・」
「それはそれは、餓えた奴にありがちな欲望だな。暗い青春時代は、厚き友情を求めるってか?」
「酔狂な欲望だなぁ」
「お前等だって映司の仲間だろ?」
「仲間というより、ただの腐れ縁だ」
刃介はバッサリと斬り捨てるように言い切った。
そこへ、
「どうかしたの?」
映司がやってきた。
「あ、いや、「映司、いいことを教えてやる」
アンクが戸惑う北村を押しのけて喋りだす。
「北村がヤミーの親だ。そして―――」
「言わないって約束だろ・・・・・・!?」
「あの女を攫ったのも、こいつだ」
北村の懇願も虚しく、アンクは全ての真実をぶちまけた。
「北村さんが、私を・・・?」
「北村くん・・・・・・」
その時、アンクはニヤっと嫌味な笑顔をした。
「映司ッ!違うんだ!」
北村は必死に取り繕うが、その必死さが逆に不自然さを醸し出してしまっている。
すると映司は、
「比奈ちゃん、ごめん!全部俺と北村で仕組んだことなんだ」
「え?」
「「はっ?」」
(火野さん・・・・・・)
突然、自分から泥を被った映司に、皆は素っ頓狂な声をだしてしまう。
「もう少し早くバラすつもりだったんだけど、ヤミーが出た所為で―――な?」
「映司・・・・・・」
北村も映司の行動に眼を疑ったが、同時に感動さえした。
「ごめんね、やりすぎた」
「あ、はぁ・・・・・・」
状況を今一飲み込めずにいるのか、比奈は上手く言葉が出ない。
「ホンットにごめん!」
映司は再三にわたって頭を下げた。
「北村、行こう。――あ、それから、あの三人は絶対に助け出すから!」
そういって北村の手を引いて行ってしまう映司。
「おい!」
「火野!」
「はあ、しょうがないですね」
そんな映司に、刃介とアンクと七実は追いかけていくしかなかった。
*****
一方、金女達はというと。
「あの、お二方、よろしいでしょうか?」
「「ん・・・・・・んぅぅ」」
呼びかけられ、眼を覚ます二人の男。
「不眠――漸く起きましたね」
「お、金女ちゃん!」
「ここは?」
「植物園です」
伊達と後藤は自分たちがいる場所に困惑する。
周囲は大量の藁でつくられた鳥の巣そのもので、四本の黒い帯が巣と建物のガラスに引っ付く事で、巣を宙に吊るしている。
「どうやらあのヤミーたちはここを拠点にしてるようですね」
「らしいな。でもあのニワトリには一杯食わされた」
「「あれはフクロウです」」
「あれ、そう?」
*****
その頃、映司達は。
「北村、あと行ってないトコは?」
「植物園と、観覧車だ」
「行こう!」
と、走り出した瞬間、
「おい映司!どういうつもりだ?」
「どういうつもりって・・・・・・」
「そいつ無茶苦茶だぞ。カザリに唆されて、俺まで捕まえやがった・・・!」
「え、アンク捕まったの?」
「―――うるさい」
アンクは不安を思い切りぶつけるも、映司は聞かない。
「今は北村に頼るしかないだろ。それに―――」
「なんだ?」
「北村がこんなことをしたのには、俺に責任がある」
((お人好しも此処まで来ると・・・・・・))
七実と刃介は心の中で溜息をつく。
「しかし友達になりたいとは、人間ってのは奇妙な欲望をもつな」
「北村とは、高校時代からの親友だよ」
と映司は迷い無く答えたが、その時に引っ掛かるものが浮かんだ。
「北村。昔こんな感じのレジャーランドに来たの憶えてる?」
「勿論だ」
「おい、そんなこと聞いてどうする?」
「だって、北村から生まれたヤミーだろ。親の影響を受けるんじゃないかと思って」
映司の的を射た発想に刃介は感心した。
「ほほぉ。お前も段々欲望のなんたるかがわかってきたみてぇだな」
「それで、何処が一番でしたか?」
七実が確認する為に聴くと、
「・・・・・・植物園!」
「きっとそこだ!行こう!」
*****
「そら、あともう少しです!」
金女たちは必死に身体を揺らし、それと連動させるようにして巣を揺れ動かしていた。
最初はゆっくりでも、徐々に大きくなっていけば、それが何度でも行われれば、如何にあの黒い帯といえども、
――ブチッ!――
何れは切れてしまう。
――ドシーン!――
結果として巣は大きな音を立てて地面に落ちた。
「・・・・・・すいません」
突然、後藤が謝った。
「なんだ?」
「伊達さんが攫われた後、ベルトが残ってて・・・・・・あの時、変身してれば今頃―――」
「できないと思ったからしなかった。・・・その判断は間違ってない。身の丈以上の力は、身を滅ぼすこともあるからな」
伊達はそう後藤に説いた。
「でも後藤さん。此の世の全てが努力で解決するわけじゃありません。でも、努力したからには其れ相応のモノが訪れる筈です」
「金女ちゃん・・・・・・」
「時は何時か来ますよ。後藤さんがバースたる力量をつけたら、ね?」
金女は知っている。誰もが努力して己を高めようとしても、全てが成功するわけではない。
それは裏社会で生きてきた金女ならではの意見。
しかし、そんな自分でも右衛門左衛門の下でしてきた修行の成果として此処にいるのだ。
「そうそう。俺達ぁ信頼してんだせ、後藤ちゃんのこと」
「兎に角、此処から早く出ましょう」
金女は浴衣の内に隠していた苦無で黒い帯を切り裂く。
どんな衣服だろうと、そこに隠せる要素さえあれば忍具を仕込むのが忍者というものだ。
「おお、金女ちゃんナイス!」
と、伊達が褒めた瞬間に、奴がやってきた。
「悪いが、今出られたら困るござる」
「ん?この緑川光ボイスは!?」
*****
「ん、この気配は・・・?」
「思った以上に面倒だな」
「どうしたんですか?」
植物園まえで奇妙な気配を察知した七実と刃介に映司が問う。
「グリードの気配だ」
「それも、今まで感じ無かった雰囲気だ」
「ッ!急ごう!」
*****
植物園内。
緑豊かな植物と、それにつられやってきた昆虫達で生い茂る空間で、
「おい!聞こえるかぁ!」
刃介が大声を出して呼びかける。
「ハリガネェ!こっちだぁ!」
「鋼だっつってんだろうが!!」
伊達の間違いに渾身のツッコミ。
だがお陰で場所がわかったので、行ってみると、
「――――――――――」
「金女?」
「なにがあったんですか?」
そこにはうつ伏せで気絶している金女が倒れていた。
「それが、俺達に巻きついてるコイツを斬ろうとしたとき、妙な侍がやってきて―――」
「そんで、金女ちゃんを一発で気絶させちまったんだ」
「侍、だと?」
「まあ兎に角、今は後藤さん達を!」
映司はクジャクカンドロイド羽部分の刃を使って、後藤の黒い帯を切った。
だがその時、
『『キシャアアアア!!』』
二体のヤミーが現れたのだ。
「チッ、こんな時に」
「刃介さん、これを」
七実は刃介に二枚のコアを投げ渡す。
「亜種形態か」
「アンク、こっちも!」
「受け取れ!」
一方でアンクも映司にメダルを投げ渡す。
「サイにウナギにバッタって、適当に投げたろ!?」
「さっさと変身しろ!」
二人がそういってる間に、刃介はブライドライバーを装着し、メダルを投入。
「変身!」
そしてスキャナーで読み取った。
≪RYU・MEGALODON・SMILODON≫
血錆色の龍の頭、蒼い古代鮫の腕、黄色いスミロドンの脚。
亜種形態が一つ、リュウメドン!
「先に行くぜ!」
ブライは一足先に戦闘に入った。
映司もドライバーを装着し、サイとバッタのメダルを投入し、最後にウナギを入れる直前―――
『キシャア!』
「うわぁぁ!?」
脚に帯を絡められ、体制を崩してしまってメダルを落としてしまったのだ。
映司は必死に手を伸ばすが、コアに手が届く直前で、フクロウヤミーが帯を引っ張って映司を引きずり込んでいく。
それを見た後藤は、
「伊達さん、待っててください」
「え、ちょ、後藤ちゃん!?」
後藤はさっきまで巣を吊るす役の一端をになっていた黒い帯を手に取る。
ダラリとはしているが、強度自体に問題は無さそうだ。
後藤は帯をロープ代わりにしっかりと掴み、助走をつけて思い切り跳んだ。
「ハァァァアア!!」
まるで野生児のようなアクロバティックな体制から蹴りをかまされ、フクロウヤミーはガラスを突き破って屋外へと吹っ飛ばされてしまった。
「後藤さん!」
「火野!戦え!」
映司が促されたまま、ウナギを拾ってバックルにいれ、スキャナーで三枚のメダルをスキャンする。
「変身!」
≪SAI・UNAGI・BATTA≫
サイの頭、電気鰻の腕、飛蝗の脚。
亜種形態のサウバである。
「よし、こっちもお外で遊ぶか」
ブライは目の前のラフレシアヤミーに向って、
「あーらよっ!」
――グサっ――
『じ、ジェアアアアア!!?』
水刀『鑓』の穂先を敵の腹部に刺したまま無理矢理屋外へ突入した。
*****
「フっ!ハっ!」
オーズが奮闘する中、フクロウヤミーは危険を感じたのか、空へ逃げようとするも、
「セィ!」
オーズは電撃が迸るウナギウィップを使ってフクロウヤミーの脚を捕えた。
そこからバッタレッグで跳躍し、
「ハァ!」
サイヘッドの角で頭突きをお見舞いする。
結果としてフクロウヤミーを地上に引き摺り下ろすことに成功したのだ。
「サイ・ウナギ・バッタって、適当じゃ無かった!」
「・・・・・・当たり前だ」
傍からアンクがオーズの発言に呆れながらも肯定している。
『フジャーーー!!』
片やラフレシアヤミーはお得意の悪臭ガスを放つ。
だが毎回それを喰らうブライではない。
「んなもん、焼き尽くす!」
――ヴォオオオオオァァァアアア!!――
口から龍之息吹を吐き出すことで、悪臭ガスと相殺させる。
「もう一丁!」
スミロドンレッグで高速走行した状態で、
――ザグっ!――
『ギジェエエエエ!!?』
『鑓』の穂先がラフレシアヤミーに深々と刺さった。
*****
一方後藤はというと、
「無茶しすぎだよ後藤ちゃん!」
「あれぐらいの勇気がないと、バースにはなれません」
後藤は返答しつつ、クジャクカンドロイドで黒い帯を切り裂く。
「よし、金女ちゃんも起きた事だし」
「我々も参加しましょう!」
「ええ!」
*****
植物園からさらに離れた場所へと戦闘中に移動したオーズとブライ。
戦いに集中する最中、
「火野!」
「兄さん!」
バースとチェリオが、跳び蹴りをヤミーにかましながら登場してきた。
だが次の瞬間、
「映司、後ろだ!」
「え?うあっ!?」
オーズを攻撃したのは、
「お前はカザリ!」
『フフ、僕が相手になるよ』
虎のような刃の爪を立てたカザリだった。
「いいのかよ?二対一だぞ」
とブライが言った瞬間に、その出来事は起こった。
『爆縮地』
――シュン――
それは本当に一瞬の出来事だった。
技名がどこかから呟かれた瞬間に、そいつは現れた。
「お前は・・・・・・?」
ブライは見たことも無いグリードの姿に戸惑った。
犬や狼を連想させる胴体や頭部、甲殻類を思わせる両腕と両肩、植物を彷彿とさせる両脚。
その全てが、長い間放置された刃のように錆び付いた色をしていた。
そして何より、そのグリードの特筆すべき点は―――
『か、完全体・・・だと・・・!?』
カザリは驚いた。
肉体の全ては勿論、腰のベルトさえ元の色を取り戻した上に、バックル部位には黄金の石が嵌っている。今現在で誰もがなっていないグリードにとっての究極の形態。
『ブライ、お主の相手は拙者が勤めるでござるよ』
「ござる?拙者?・・・・・・それに今使った技・・・・・・」
ブライは得られた情報から該当する人物を一人に絞った。
「錆白兵」
『御名答。もっとも今はゼントウと呼んで貰いたい』
状況は、新たなるグリードの出現により、一層緊迫したものとなった。
そんなとき、遠巻きからこちらを見ていた北村は、アンクを見て思い出した。
――あのアンクって奴が一番君の邪魔になる――
それはカザリの言葉。
――アンクって奴は悪い奴でね。君の友達を利用して、下手すれば死なせてしまうような奴なんだ――
「あいつが映司の側にいたら危険だ」
ふとそう思った。
しかしそれも、一種の欲望としてカテゴリーされる。
とどのつまり、
『キシャアアアア!!』
「ッ!こいつ!?」
フクロウヤミーがアンクを連れさるという意味だ。
「ッ――アンク!」
『隙有り!!』
カザリはオーズの動揺を見逃さず、空かさず爪で攻撃した。
結果として、オーズの変身が解け、コアメダルが地面に落ちてしまう。
そしてブライも・・・・・・。
「その刀、まさか『針』か?」
『無論』
ゼントウは自分が腰に差しているものの正体をあっさり明かした。
『試し切りに付き合ってもらうでござる』
「やなこった」
ブライは明らかな拒否の態度をとるが、
『速遅剣』
――閃ッ!――
「ッッ―――!?」
一瞬の出来事だ。
ゼントウが薄刀の切っ先を振るうようにして向けた瞬間、ブライの身体に刀傷が入った。
速遅剣とは、錆白兵の扱う技の一つ。
その内容は一言で言うと、刀の刃渡りを自由に変化させたような、遠距離・中距離攻撃が可能ということだ。
これによってブライの変身も解けてしまう。
「え、映司・・・・・・」
北村は思わず友の名を呼ぶが、そんなのこの場では何の意味も成さない。
カザリは転がってきたウナギのコアを拾い上げる。
『もーらった』
一方ゼントウも、宙を待ってはじけるメガロドンとスミロドンの二枚のコアをつかんだ。
『・・・・・・・・・』
ゼントウは黙ったままで動こうとしない。
と思われたが、
『これは戦利品代わりに、持って帰るでござる』
と言い残してどっかへと去ってしまった。
カザリは、映司に爪を付きたてようとするも、
『やめた。またあのコンボを出されたら叶わないからね。それに、物事には順番がある』
「順番?」
『僕の狙いは君達じゃない』
「え・・・・・・まさかアンクを!?」
そう、フクロウヤミーが出てきた以上、この近辺にはアンクを吸収せんとするロストがいるということでもある。
『またね〜』
「あ、待て!」
といってももう遅い。
カザリを人間を越えた身体能力で跳び去ってしまった。
当然、ヤミー達も―――。
「クッソ!コア二枚も持ってかれるとは・・・!」
「酷い結果ですね」
刃介が苛立ち、七実が呆れていると、
「早くアンクを追いかけないと!」
映司がそういった。
「・・・・・・コアのことは後回しだ。アンクを奪い返さんと拙い」
「下手を踏めばロストが完全体一歩手前ですからね」
そう判断してアンクの捜索に協力しようとした矢先に
「待てよ!」
「北村は安全な場所に居てくれ」
「いいじゃないか!この人たち助かったんだし!」
「北村・・・・・・」
このタイミングで北村が食い下がってきたのだ。
「あいつのせいで映司、酷い目に遭ってんだろ?戦って傷ついて死にそうになって・・・なんか昔の夢もなくなっちゃったみたいだしさ!そんなのお前らしくないって!」
「俺は何も変わってないよ!」
「変わったよ!そんなに眼の色変えてさ。ましてや、自分で戦うようなやつじゃなかったろ!?」
すると映司は、
「あの時も!」
「あの時?」
「北村の家に行ってたあの時と同じだよ!」
「映司・・・・・・」
「今は自分が出来る範囲で、今やるべきことをやるしかないんだ!」
映司は自分なりの意見と意思を精一杯伝える。
「ごめん、急ぐんだ」
そういって、他の皆と一緒に行ってしまった。
*****
その頃アンクはフクロウヤミーに連れ去られ、滝つぼ近くの林に連れて来られていた。
そしてそこへ現れたのは。
「ごきげんよう」
真木清人。
「・・・・・・おい待て。なんだこの気配?まさか、お前も体の中にあのメダルを?」
「まだ完全ではありませんが」
「バカな・・・・・・ブライでもない奴がグリードになるなんて―――」
「映司くんも同じはずですか」
相も変わらず他人と目をあわさず、腕に乗せた人形を見て話す真木。
そんな会話の最中に、
「―――――――」
人間体のロストが現れた。
*****
場面は一旦映司達のところに戻る。
他の面々とはバラバラにアンクを探していた映司と刃介と七実だが、その時、バッタカンドロイドから通信が入った。
『映司!映司!』
「アンク!無事か!?」
『早く助けに来い!!』
バッタカンを通してもわかる。
相当な焦りという感情が伝わってくる。
「おいアンクよ。どこに連れ去られた?特徴だけでもいい」
『滝があること以外は全然だ!!』
「一応確認しますが、行き方は御存知ないんですよね?」
『ああ』
アンクは即答する。
そこへ、
――ブプゥゥゥゥ!!――
自動車のクラクションの音が聞こえてきた。
それは黒い大型の車から発せられていたもの。
もちろんそれを運転していたのは、
「乗れ!」
「北村!」
「助かるぜ!」
「滝のある場所へお願いします!」
「わかった!しっかり捕まってろよ!」
思わぬところで北村の協力を得ることができた三人は、余すところなくその好意に甘えることにした。
刃介と七実が後部座席に乗ると、映司が助手席に乗ってシートベルトをつける。
猛スピードを出す車の中で、北村はハンドルを握りながら語りかける。
「俺さ、高校の時お前が家に来るのがイヤで堪らなかった」
「あ・・・お節介だった?」
「それ以上!屈託のない笑顔で夢を語るんだ。俺には眩し過ぎた。そん時だよ、俺が初めて他人に夢を話したのは。お前は嬉しそうに『絶対できる』って言ってくれた。なんの根拠もないクセに」
北村は北村なりの本音をぶつけた。
次は映司の番だ。
「俺、お前に謝らなきゃいけない」
「え?」
「昔の俺、自分の力で世界が変えられるって思ってた。皆を助けて幸せにできるって。でも、出来なかった」
*****
再び滝つぼ付近。
カザリの加わった状況により、アンクはまさに風前の灯火だ。
『フフフ、どんな気分代だい?』
「最悪だ!」
アンクは露骨に不機嫌な声音を出す。
すると、ロストは子供の姿から鳥類王の姿に変貌する、
『僕だ。――僕は、僕になる』
『もうすぐ、君は消えてなくなる』
「残念だったなぁ、残るのは俺の方だ」
とアンクは最後まで不屈の姿勢をとったのだ。
『強がりも言い収めだね』
カザリはそんなアンクの言葉を戯言のように受け止める。
『あぁぁぁ・・・・・・!』
ロストも身を屈めて、アンクに近寄った。
分かれてしまった一体と一本を、元の一つとするために。
*****
ところ戻って車の中。
「何故あの男を助ける?利用されてんじゃないのか?」
「・・・・・・誰かを助ける力が欲しいから、絶対に失いたくない。――利用してるのは俺の方なんだ!」
「・・・・・・トバすぞ!」
言葉どおり、北村はアクセルを思い切り踏んで車を加速させた。
「なあ、火野」
「なんですか?」
突然、刃介が映司に話しかけた。
「お前も、夢を失った一人だったんだな」
「え、鋼さん・・・・・・?」
意味深な言葉に映司は戸惑う。
だがこの言葉の意味は、刃介の過去を詳しくするモノならよく解るであろう。
だが映司はそれを全く知らない。
質問したくても、刃介がどれだけ重いものを背負ってるかすら知らない自分が踏み入れてよい領域でもないと判断したのか、映司は聞かない事にした。
そうしている間に、車は目的地の近くについたらしい。
「お二方、参りましょう」
「ああ」
「映司、鋼さん。ちょっと待て」
北村は二人を呼び止めると、ポケットからあるものを三枚取り出し、持ち主に返した。
それはサイとバッタのコアと、リュウのコアメダル。
あの時、北村は自分の近くに落ちていたそれを、ドサクサに紛れて回収していたのだ。
「お前たちにとって大事な物なんだろ?」
「ありがとう!」
「感謝するぜ!」
今度こそ車から降りた三人は、アンクの元に走っていった。
*****
『ぁぁぁぁぁ・・・・・・!』
「・・・・・・・・・」
超至近距離となり、目と鼻の先の状態な二人のアンク。
このまな二人が触れ合った瞬間、右腕は身体に吸収されそうなイメージさえある。
だがそこへ、
「「アンクー!!」」
「アンクさーん!」
例によって三人がやってきた。
「遅いんだよ!!」
本来なら感謝すべきだというのに、この台詞を吐くところは、流石アンクと言うべきだろうか?
『邪魔しないでくれない?いいところなんだからさ』
と、カザリが釘を刺すが、そこで退くような人格を彼等はしていない。
「アンク・・・・・・」
映司は全身を縛られ、腕一本も動かせないアンクを見る。
ウナギ・コアを盗られた今、映司が単独で変身できるコンボは、もはやアレだけしか残っていない。
「・・・・・・・・・」
刃介も映司の意思を汲み取ったのか、同じように胸に手を当てて意識を集中する。
『なに?』
カザリが問うも、
「出てきてくれ・・・・・・」
「頼む・・・・・・」
二人は自身の中に棲み付いた物を呼び起こそうとする。
それを見た真木はどこかへと歩み去ろうとしているではないか。
『あれ?どこ行くの?』
「火野映司が現れたのは想定外です。メダルが十枚集まるのは危険です」
『あぁそう』
などと軽く流すカザリ。
「映司!鋼!」
アンクは大声で二人の名を叫んだ。
「「出てきてくれ・・・・・・俺に力を貸してくれ!!」」
――バッ!バッ!バッ!――
宿主の求めに応じ、紫のコアメダルが飛び出してくる。
二人は瞳の色が紫となり、意識を力で飲まれそうになりながらも、宙に浮かぶコアを掴み取り、ドライバーに押し込んでバックルを傾ける。
そして自力でスキャナーを手にとって、こう叫んだ。
「「変身!!」」
≪RYU・WYVERN・DRAGON≫
≪PTERA・TRICERATOPS・TYRANNO≫
≪RYU・WA・DRAGON KNIGHT!≫
≪PU・TO・TYRANNO SAURUS!≫
解禁された太古の力と幻想の力。
それらはあまりに激しい波動を大地と空気に叩き込み、プトティラコンボとリュワドラコンボが今一度顕現した。
「「ヴォオオ!!」」
二人の狂戦士は雄叫びを上げながら敵へと突っ込んでいく。
そこには理性の一欠片も感じられない。
「アンクさん、大丈夫ですか?」
七実は黒い帯を手刀で切断する。
――斬ッ――
「もう少し早けりゃ、気分も爽快だったがな」
助けてもらってこの態度、やはり捻くれアンクとはこのことだ。
まあコッチの事はさておき、ブライたちの戦いに視線を戻そう。
「ヴアアアアアアア!!」
『ギギャアアア!!』
オーズはトリケラアームの腕力を駆使してフクロウヤミーをつかみ、強引に前進していき、遂にはドシンという音まで立つような勢いで樹木に叩き付けたのだ。
その衝撃でフクロウヤミーからはセルメダルが飛び出し、オーズはその内の一枚を拾って地面に手を突っ込み、メダガブリューを装備する。
一方でブライは・・・!
『ジェジェエエエェェェ!!』
「ヴゥゥ!!」
数多もの蔓をブライに絡ませながら、ラフレシアヤミーが登場してきた。
だが、幾ら鎖や枷をつけようと、今のブライには無用の長物である。
「ヴゥアアアアア!!」
――バリッ!――
力技で全ての蔓をもぎ取ったのだ。
『ジッ!?ジィィィイ!!』
ラフレシアヤミーはそれでもまだ蔓の触手をドライバーに伸ばし、エネルギーを吸い上げようとしたが、
――ゴクン、ゴクン、ゴクン、ゴグァアアアアアアア!!――
『ジェェェェェイアアアアアア!!!』
蔓はエネルギーの流れに耐え切れず、本体ごと小さな爆発を起こしてしまった。
幻想上最強の怪物のパワーは、最早一体のヤミーで収まりきる大きさではないのだ。
「ガァルゥゥ・・・!」
ブライは低く唸り、セルメダルを拾って空間を叩きわり、メダグラムを取り出す。
そして、
「「ヴォオ!!」」
そのままカザリとロストに向って行ったのだ。
オーズがカザリに、ブライがロストに攻撃を仕掛けていき、強大なパワーの赴くままに刃を振り回す。
この圧倒的な威圧感のせいか、カザリもロストも警戒して上手く全力を出せないで居るようだ。
しかし、そんな出し惜しみをしてると、
「グルァァ!!」
『ぐわああ!?』
オーズのメダガブリューの刃がカザリの身体に直撃し、数枚のセルメダルと共にチーター・コアが飛び出してきた。
アンクはすぐにそのメダルを掴み取る。
「フッ、ざまぁみろ」
そう吐き捨てるアンク。
その間にも激闘は続いている。
『くッ、このままじゃ拙いね』
『一緒にやろう!』
焦るカザリにロストが同時攻撃を提案する。
他に案も浮かばず、カザリとロストは前と後ろでオーズとブライを挟み込む陣形を取り、
『フゥッ!!』
『ハァァァァァアアアアア!!』
カザリの手からは本来ある風だけでなく、取り込んだ水棲系と重量系のコアによって水流と重力波までもを最大出力で放射する。
ロストも空中から勢いをつけ、赤熱するほどの威力を誇る両脚キックを喰らわせた。
――ドォォォォォン!!!――
激しい爆音が当たり一面に轟いた。
地面に草が燃える中には、倒れたブライとオーズがいる。
『やったか?』
カザリがそう呟くも、それは淡い希望に過ぎない。
――ガシッ――
オーズとブライは立ち上がった。
各々の武器を掴み取って、闘争本能に駆られて見事な雄姿を見せ付けている。
「「オオオオオオオオオオ!!!」」
二人は構わず特攻していき、ザシュザシュとカザリとロストに斬り込んでいく。
だがそこへ、
『キシャア!』
『ジュアア!』
フクロウヤミーとラフレシアヤミーが後方から覆いかぶさるようにしてオーズとブライの邪魔をする。
当然のように攻撃目標はそちらへと移り、激しい攻撃を執拗なまでに続けていく。
『ここまでか。行くよ』
『・・・・・・・・・』
カザリとロストはそうして退散していく。
ブライとオーズは武器にセルメダルを投入し、最後の仕上げを行わんとする。
≪≪GOKKUN≫≫
武器を構えたとき、二体のヤミーの運命は決まった。
≪RYU・WA・DRAGON HISSATSU!≫
≪PU・TO・TYRANNO HISSATSU!≫
無論、ヤミー達も空中や地中に逃れようとするが、全て無駄だ。
――バギュウウウゥゥゥゥン!!!――
ストレインドゥームとギガキリングスレイヤーの一撃により、フクロウヤミーもラフレシアヤミーも、大量のセルメダルとなって爆散した。
「「うぅぅぅぅぅ・・・・・・!!」」
獲物が消え失せた今、二人の狂戦士の闘争本能を大いに満足させてくれる相手。
それはいま、互いの直ぐ傍に居るではないか。
それを見たアンクと七実。
「刃介さん!こっちへ!」
「映司!こっちだ!」
七実とアンクは互いに逆方向へと走り、オーズとブライを引き離す。
勿論これは一人で凶暴化したライダーを相手にするという危険極まりないものだ。
まずはアンクとオーズから見てみよう。
「フアア!!フン!!」
「くぅ・・・・・・!」
メダガブリューを乱暴に、乱雑に振り回すオーズの凶刃を必死になって避けるアンク。
だがそれを何時までも繰り返していたら何れコッチが捕まる。
「ヴオォ!!」
アンクは刃をかわす為、後ろの岩へと飛び移る。
「・・・・・・映司!!」
アンクは呼びなれた名前を大声で叫んだ。
「俺はお前がどうなろうと構わない。だがな!俺は必ず完全に復活を遂げる!そのために、お前の力が必要だ!!だから、だから手伝え!!」
己の意志をぶつけにぶつけたアンクは、そのまま岩を蹴り、
「うおおおおおおおおおおお!!!!」
オーズに向って跳んだ!
「あ、こっちです!」
「火野!」
「アンコ!」
そして、伊達と後藤と金女、北村が眼にしたのは・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・ッッ!!」
「ぅぅぅぅぅ・・・・・・!!」
『右腕』の掌がメダガブリューの刃に食い込みながらも、必死にオーズを止めるアンク。
一種の膠着状態に等しいこの時間を突き破る為、アンクをさらに叫んだ。
「うおおおおおおおおおお!!!!」
――ドン!カシャ!――
「うおぁ・・・!?」
アンクが一気にオーズの懐に入り、オーズのバックルの傾きを直し、強制的に変身を解かせた。
オーズから火野映司に戻り、倒れるその身体を受け止める。
バックルに収まっていた三枚のコアが体内に戻ると、映司は眼を開ける。
「ッッ――お、お前なら、絶対、止められると思ってた・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
映司のかすれた声に、アンクはあえて無言で居る。
映司も答えには期待していなかったのか、そのまま眠りについてしまった。
そこには、人間と怪物を越えた見ざる鎖が存在し、二人をしっかりと繋ぎとめている。
「・・・・・・映司・・・・・・」
北村もそんな映司とアンクの奇妙な信頼関係を感じ取り、身を引いたことを表すように、其の場から立ち去った。
今度は七実とブライのそれを見てみよう。
「刃介さん・・・・・・」
「ア、あ・・・ぁ・・・・・・」
一言で言うと、七実はブライに抱きついていた、グリード化することもなく生身の状態で。
そんな七実に手を上げられず、ブライは途切れた声を出すばかり。
「刃介さん、私には何の願いもありませんし、貴方が望むことを私も望みます。だからこそ、貴方という所有者が必要なんです。貴方の傍いれて、貴方に愛して貰えるなら、私の全てを差し上げます!どんな血の道だって共に歩みます!」
七実は徐々に涙混じりの声を大きくしていき、本音を所有者の鼓膜に叩き付ける。
「こんな生き損ないを、真に愛して頂けるなら、私は・・・!だから、だから絶対!!」
父からも母からも、生まれてくるべきではないと蔑まれ続けた才能。
生き損ないと憐れみを受け続けた虚しくも哀しい身体。
そんな七実だからこそ、才能も運命も関係なく、自分を認めて愛してくれる存在が欲しかった。
唯一、自分を家族として認めてくれた鑢七花はこの世界には居ない。
故に、己を認めてくれる鋼刃介に愛して欲しくして仕方がない。
「な・・・・・・ナナミ」
ブライは、メダグラムを落とし、七実の身体を精一杯抱きしめようと腕を動かす。
今の自分が本気を出せば一発で折れるやもしれない、細い身体を、そっと抱き締める。
「七実」
「刃介さん」
気付いた時には、ブライとしての変身は解けていた。
そこには此の世でも得意な関係を気付き上げた男女が、互いを繋ぐ鎖を頑丈に強化するように、力一杯抱き締め合っていた。
その行為と光景は、此の世でも特に異様であり、そして美しかった。
「兄さん、義姉さん・・・・・・」
その光景を陰ながら見ていた金女。
だがそこへ、
「ふむふむ。中々いい雰囲気じゃねぇか」
「ッ!誰ですか貴方は?」
そこに突然現れたのは、編み笠を被った和装の男だった。
「安心しろ。今日は様子見と、ご褒美をやりに来ただけだ」
「褒美?」
「ほれ、渡してやってくれ」
謎の男は懐から金色のメダルを投げ渡す。
「これって、コアメダル?・・・貴方は一体!?」
「四季崎記紀」
――ビューーーン!!――
「ッッ!?」
名乗った直後、四季崎は凄まじいエネルギーの嵐を起こし、何処かへと消え去ってしまった。
「・・・・・・一体、何を企んで?」
金女は、渡された一枚のコアを見て呟いた。
これから起こりうる、大きな出来事を予感しながら。
*****
数時間後のクスクシエ
そこでは知世子が電話でなにやら話していた。
「今日はお休みを頂いてまして、すみません。また次の機会にお願いいたします」
どうやら予約願いのようだが、映司達が出払っているので、知世子はやんわり断っていた。
だがしかし、
「「「ただいまぁぁ!!」」」
「あ!たった今大丈夫になりました!――はい!お待ちしておりますぅ!」
グッドタイミングで映司たちが帰ってきたため、掌を返すように予約を承る。
「みんなー!丁度良いところに帰って来てくれたわ!実はこれから団体100人さんのパーティーなのよ!」
「え、すぐにですか?」
「そうよ。みんな手伝って!!」
それを皮切りに、
「じゃあ早速!」
「俺も手伝います!」
「なら俺もやります」
「ありがとう後藤君、うれしいわ!」
「だったら俺も、和洋中なんでもいきますよー!ギャラは一流ですけど」
「バイト代は弾むわ!皆で頑張りましょう!」
やたらと盛り上がる一同。
「アンクもよろしく!!」
「・・・・・・バカか?」
とアンクは右拳で左掌を殴るが、
「いって・・・・・・!!」
右手を怪我してることを忘れたままだったので、ストレス発散は逆効果になったのであった。
*****
鋼雑貨店の奥=鋼家
そこでは、とてもお子様の教育上、見せられない光景が広がっていた。
ピチャピチャクチャクチャと、淫靡な水の音が聞こえる上、なにやら暑い吐息も耳に入ってくる。
「七実・・・・・・//////」
「刃介さん//////」
もうわかると思うが、二人の距離はこの本件で一気に縮みまくったというわけで・・・・・・。
「ああ、いい香りだ」
「ちょ///そんなところに舌を這わせないでください///」
「いいだろ?折角布団しいたんだからよ」
この際隠すのも面倒だから暴露すると、刃介と七実は敷かれた布団の上で、深い接吻は勿論の事、互いに互いの身体をまさぐったり、舌で身体を舐めたりと、このうえなくアダルトなことをやっちゃっていたわけで・・・・・・。
まあ、二人は着崩していて上半身裸ではいるが、下半身には服を着ていて、最終的なことをしていないのがせめてもの救いかもしれないが、それは確実に時間の問題かもしれない。
だって・・・・・・・・・。
「ホントに柔らけぇ///」
「そ、そんなにお胸を・・・・・・されたら//////」
「じゃあ次は舐めるか」
――ピチャピチャ――
「あぁぁ///ですから、お胸は///」
「お前、けっこう感じやすいよな♪」
「刃介さんでなければ、こうはなりませんよ///」
「そいつは光栄だな」
どんどんどんどん桃色が濃くなった糖分ギッシリ空間を展開すると、ノクターン的なことになりかねないので、この辺で割合するが。コレだけはいえる・・・・・・。
「七実、愛してるぜ」
「私も貴方を、愛しております」
最早この二人の愛は止めようが無い。
しかしながら、刃介と七実には一つの疑問点があった。
何故、四季崎は自分からコアを?――という疑問が。
*****
はてさて、ラブラブムード一杯の空間とは一旦おさらばして、今度は冷たく暗い場面へと移ろう。
「どうだった白兵?」
『一応、二枚盗ってきたでござる』
ゼントウは奪ったコアメダルを見せた。
『そっちの首尾は?』
「ああ、一応あいつの妹に渡しておいた」
四季崎はゼントウの腰に差されてい薄刀『針』を見ながら返答する。
「どうだった?久々の使い心地は?」
『問題ないでござる』
ゼントウは一定温度のような平坦な返事をした。
四季崎はゼントウが取ってきたコアを掌に乗せてこういった。
「―――ヤツを復活させるには、最低でも後三枚は要る。次の機会にまた盗りにいくか」
謎に満ち満ちた欲望は、今尚夕闇の中で蠢いている。
その行く末はまだ、誰にもわからない。
次回、仮面ライダーブライ
夢の破壊者と泉信吾と伊達の異変
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