二人が対談するように向かい合わせに会話をしていた。

プロスは、艦長でなく副官と今後のことで交渉をユリカは、バクバクとケーキを食べていく。太るんではないかと思ってしまうがその栄養が胸にいくのだろう何 も考えずにただ食べていった。

「アカリ君。君の話は、おじい様からよく聞かされたよ。」

「そうですか。おじい様は、私の事を何と?」

「とても可憐なお嬢さんだと。」

「そうですか・・・。」


「そんな!バカな・・・なんで貴方が生きてるのよ!?」

「どうしたのですか?そんなに慌てて義手程度別に不思議な事・・・。」

確かに戦争で腕や足など四肢を失い車椅子や義手なんぞ珍しくもなんともない。今では、ナノマシーンを応用した新型の機械の腕が出回っている時代ですらあ る。

「違う、違うのよ!あいつの腕は、義手なんてもんじゃないのよ!思い出しただけでゾッとする。アイツは、火星で・・・。」

マントを翻し両腕に脈のように白い光が輝かせながら近づいてきた。一斉に銃を構える兵士を見てアキトは、兵隊をカウントしていった。

「1人、2人・・・5人、6人。ふん、ちょうどいい・・・メンテしたばかりで試し運転してない。試させてもらう・・・。」

両腕を広げモーター音が響かせる。その瞬間に手の甲には、普通のI.F.Sとは、違う紋章が浮かび上がった。

「手加減できるほど余裕もあまさもないぞ?」

それだけ言うと銃を構えた兵隊の群れに飛び掛っていった。


機動戦艦ナデシコ〜MACHINERY/DARKNESS
第6話『守る価値に守られる価値』


トビウメの艦長室では、他愛もない会話が花を咲かしていた。例えば噂やゴシックなどの世間一般での話しや家族の話。

娘(ユリカ)の話になるとコウイチロウは、鼻の下を伸ばしながら娘自慢の話を聞きながらアカリは、微笑み返しながらアカリが口を開いた。

「そんなに娘さんが大事なら私なんかよりも艦長の所に行ったらどうですか?ミスマル様?」

その言葉にコウイチロウは、真剣な表情になり咳払いをした。

「私も自分の娘が気になりますが私も軍人です。公私の分け方くらいは、つけられております。」

「そうですか。」

彼女は、興味なさそうにつぶやく。それは、これからの本題に入る内容の事を考えていたからだ。

「さて、本題に入りましょう。ナノマシーンの研究の第一人者であり火星繁栄のために尽力を尽くし火星に富を与えた火星の貢献者にして火星の指導者である。 つまりは、貴女のおじい様であるヒヅキ・アキオさんのことについてです。」

「・・・・・。」

無表情でテーブルの上の紅茶のカップに手をやり口元に持っていき啜ると浩一郎の顔を見る。

「それで、おじい様がどうかいたしましたか?」

「貴女のおじい様は、ナノマシーンを実用化させ火星や地球上での活躍をさせました。ネルガルでのエステバリスなどのシステムにさえ貢献され医療用ナノマ シーンなどでは、数々の病を治すなど人類にとても貢献していました。」

「存じております。私のおじい様ですからですから。」

「そうですか・・・なら・・・。」

コウイチロウの眼は、より鋭くなり彼女に向け核心の一言を言った。

「初期オペレートナノマシーンは、一体どこにありますかな?」


艦内は、静かだった。だから自分の走る音と息遣いがよく聞こえた。軽く汗をかきながら休まずにブリッジを目指していた。

「はぁ、はぁ・・・。」

日ごろの運動不足に続き小さい体の中には、ブリッジまで全力疾走する体力はなかった。

しかも、いたる所の隔壁が下ろされていて遠回りしながらでヘトヘトになりながら走っていた。

「もう少し・・・。もう少し。」

息を切らしながら「もう少し」と呟きながら走っていく。

「あった、あの角を曲がれば。」

角を曲がりブリッジに入ろうとすると大きな音が聞こえブッリジの外に男が吹き飛ばされ壁にぶつかりズルズルと座る形で男は、気絶していた。

「なに?」

突然の事にルリは、息のんだ。それでいて静まり返っているブリッジの様子を見る。そこには、倒れている軍人と息を切らしながらアキトを睨み付ける2人とム ネタケ。

「さすがに正規の軍人だな。ただ、対人戦闘のスキルでは、ネルガルSSに遠くおよばんだろう。」

「くっ。」

銃を構えるがさっきまでの戦闘でわかっていた。奴は、銃弾を避けず受けずに捌く。それは、普通の人間にはない両腕を持っているからだ弾の軌道を読める眼と 鋼鉄の腕は、銃を単なる玩具としか見ないのであった。

それに対抗するには、接近戦しかない。残る3人で攻撃すれば両腕を防ぎ」相手の生身の部分を攻めようと考えたのだ。

それぞれがサバイバルナイフを抜き取り刃先をアキトにむけると呆れた表情をしながら彼らを見た。

「俺と格闘戦をするつもりか?そんな愚考が通じる相手だと思ったか?滑稽だな・・・。」

「黙れ!行くぞ。」

「「おうっ!!」

3人が連帯を組みながら左右に分かれアキトの両腕を封じようとし最後の一人が仕留める形になった。

普通なら誰でも思いつける作戦だろう。それにアキトが愚考といったソレを実行したのだ。ならば、ソレに対する何かをするものだがアキトは、彼らの作戦に受 けたのだった。

振るわれたナイフを両腕で押さえ無防備になった腹部に向かってナイフを突き刺そうとする。

だが、そのナイフの前方にアキトの右膝が前にあった。彼は、何も考えずにナイフを突き出した。右膝に遮られたとしても相手の機動力を奪える。なんというこ とを考えていたのだろう。

しかし、それが命取りになった。

「はぁっ!!」

刃先が膝にぶつかる男は、やったと思う。だが、アキトがニッと笑った途端にナイフがポロリと地面に落ち男の手がナイフの柄を放してしまい手の痺れを感じ た。

「ま、まさか足まで・・・。」

「ああ、足も機械だ。残念だったな。フッ!!」

男は、一瞬体に痛みを覚えた。右足の爪先が目の前にいた男を持ち上げ高々と飛び上がった。

飛び上がった兵士を見上げ隙だらけなことにアキトは、笑うと左右の男の持つナイフを弾き飛ばした。
「しまっ・・・。」

「フッ!!」

胸板に掌をぶつけると左右の男たちは吹き飛び目の前の男は、頭から地面に落下し3人全員を気絶させた。

殺してはいない彼にとって大切な人が乗る船を血に染めるのは、してはいけないことだった。

「あとは、お前だけだ・・・ムネタケ。」

「ひっ!!」

物陰に隠れていたムネタケがアキトを見て怯え始めた。確かにこの現象を見れば誰でも怯えるだろうがムネタケの表情は、それ以上だった。

「貴様には、同情する。あの時も貴様は、そうだったな・・・いや、あの時と決定的に違うのは、部下が最後まで戦ったことだな。」

「ええ、そうね。でも、それがこいつ等の役目よ!上官を守るって言う役目をね!!」

「腐ったなムネタケ・・・確かに火星では、悲惨だったからな。だが、同情する必要はない。」

両腕を広げ指と指の間から電気が放電した。だが、ムネタケの目は、死んでいなかった。

「確かに最後まで逃げずにコイツ等は、戦ったわ。だからね・・・私も上官らしく意地を見せてあげるわ!!」

懐から銃を取り出しアキトに向ける。

「アキトさん!!」

そのことにルリは、飛び出した。だが、アキトは、ムネタケの前から消えムネタケの後ろにつくとルリは、驚いたように瞼を大きく開ける。

「ひっっ!!」

「最後の悪あがきを見させてもらった。それに免じて強烈な一撃ではなく一瞬で意識を飛ばしてやろう。」

3本の薬指、中指、人差し指がムネタケのコメカミ辺りにそっと触れる。

「   式:紫電。」

バチィィィ!!

彼が言霊のように呪を発すると一瞬ムネタケの周りに稲妻のような光が見え左右の指を離すとムネタケは、両膝をガックリと落とし気を絶たれた。

「殺し・・・たんですか?」

おそる、おそるアキトに近づくと首を横に振った。

「殺してはいない。ただ、脳が送っている信号を書き換える。それで、急に意識を絶たせたというわけだ。」

「そんな事・・・可能なんですか?」

「・・・俺ならな。」

少し歪んだ笑みを見せたと同時に他の搭乗員が入ってきた。

「さて、これから忙しくなる。」

その時は、遠くに見えるチューリップが言葉通りにしようと怪しい動きを感じ取ったのは、もう少ししてからだった。


「教えできません。」

その言葉でコウイチロウの言葉を遮る。しかし、コウイチロウは、執拗に何度も尋ねてくる。

「あのナノマシンは、人類にとって戦争に勝つための人類最後の遺産なのです。あれがあれば木星の無人兵器に「勝てると思っているんですか?」むっ。」

彼女の言葉にコウイチロウは、表情を歪ませた。

「あんな物を手に入れたとしても地球軍は、勝てませんよ。民間の戦艦を奪ったりなんてする常に劣勢である地球軍が勝てるとは思えません。」

「耳が痛いですな。」

「それに・・・。」

「ん?」

悲しそうにする彼女の顔を不思議に見つめると紅茶を飲み干しカップをテーブルの上に置く。

「あれは、人が使ってはいけない代物ですよ・・・。」

「それは・・・『ズズズズ!!』何事だ!!」

椅子から立ち上がるとモニターが開かれる。

「いったいどうしたというんだ!!」

「は、はい!現在機能を停止していたチューリップが再活動しました。」

「な、なにっ!!」

事態は、急変していた。

それは、ナデシコでも同じであった。

「敵チューリップ活動を再開しました。」

「嘘っ!」

「ど、どうするんですか!?」

マスターキーのない今のナデシコは、逃げることも応戦することもできなく無防備な赤ん坊の状態であった。

「慌てるな。こんな時のために色々しておいた。」

「色々だと・・・どういうことだナナシ?」

軍人を縛り上げアキトの隣にゴートが来るアキトは、笑みを見せた。

「そういえば説明してなかったな。ホシノあれを準備してくれ。」

「はい。」

「あれ?」

コミュニケとオモイカネの端末と繋げると両手をかざすとモニターから『簡易』の文字が浮かび上がった。

「これは・・・。」

「マスターキーよりは、弱いが俺が作った簡易バージョンのスペアキーといった所だ。これで、通信、移動という機能は、回復したはずだ。」

「へぇ、やるー。」

「褒めても何もでないぞ。」

ゆっくりと腰を上げブリッジから出て行こうとする。

「あれ?貴方どこに行くの?」

「俺は、パイロットだ。パイロットが戦場に行かなくてどうするというんだ?それに俺のことは、ナナシと呼べ。」

それだけ言って出て行こうとするアキトにルリは、大切なことを言った。

「もう、パイロットは、出ています。アキトさんは、これからの指示を」

「なにっ!?」

メインモニターに目を移すと海を渡る飛び魚のようにエステが泳いでいた。

「なんだか・・・。」

「間抜け・・・。」

「バカ?」

「大馬鹿だ!くっ、仕方ない此れからの事を指示する!ナデシコをトビウメに近づけろ。艦長とプロス・・・お嬢様を助け出す。あと、ヤマダに連絡しろ!!テ ンカワのために空戦ユニットを届けろってな!!ったく自分の尻ぐらい自分で拭けっていうんだ。」

「う〜ん、ナナシさん?」

「なんだ!!」

「それってセクハラ。」

「・・・・・。」

「アハー。」


「とりゃ!」

ピンク色のエステがどうにかして脱出しようとしていた。

「くそぉ、なんで飛べないんだよ。っと!はっ、ほっ!」

悪戦苦闘しているカイトは、上空のチューリップが触手を伸ばしてきた。

「いい!!」

海面をぶっつけながら触手がエステを沈めようと動いてくる。それを避けながらカイトは、必死に操縦していた。

「くそ!って危なっ!」

触手が迫ってくる。だが、その時後方から紫色の機体が上空を飛翔し触手を切り裂いた。

「えっ。」

突然のことに驚きの声を上げる。触手がスパスパと切り裂かれ海の中に落ちていく。

「・・・・・。」

何も言えず見ていることしかできなかった。

「テンカワ・・・。」

「(ビクッ!)」

男の声にカイトは、体を震わせる。だが、いきなりアキトの声は、怒り交じりの声で彼に言った。

「癪だが今ナデシコを守れるのは、貴様しかいない。俺は、艦長たちを連れ戻す。お前は、艦を頼む。」

まさかと思いながら上を見るともうアシビの姿はない。だが、カイトは、頭の中でアキトの言葉を思い出していた。

「あの人・・・俺に頼むって言った。頼むって・・・。」
その言葉をかみ締めると手に力が入った。

「やってやる。」

そんなことを呟いた。

ドォシーン!!

トビウメの艦内にアシビは、突入すると警戒アラームが響き渡る。こんなに危険な行為をするとは、アキト自身も驚いていた。

「まさかこんなことをするなんて・・・それだけ・・・。」

何かを言おうとすると周りが慌しくなってきたのに気づきアキトは、銃に手をやった。

「さて、仕事だ。」


テーブルの前でミスマルコウイチロウとヒヅキアカリは、未だに話をしていた。

「それで、貴女は、教えてくれないと?」

「ええ、返事は変わりません。」

疲れた表情をしながらコウイチロウは、椅子にドスッと音を立てながら座った。

「それでは、仕方ありません。貴女の身柄を拘束していただくことになります。貴女は、私たちの知らない機密まで知っていますからね。」

「そうですか・・・。」

そっと後ろを振り向きため息をついたがアカリは、誰かが来るのしっかりとした目で待っていた。

そしてこちらでは・・・。

「艦長急いでください!」

「あぁ〜ん。ちょっとプロスさん待って〜。」

二人が走っていく。チューリップに襲われたと同時にプロスは、格納庫に向かっていた。

 それにしてもおかしいですね?幾らなんでも人に一人も会わないことなんてどうなんでしょうか?

「ぐはぁ!」

声が聞こえると軍人が一人吹き飛んできた。

「おやおや、そう言う事だったんですか。」

「ほぇ?」

ニコニコと笑うプロスにユリカは、不思議な顔をしながら加太から現れる人物の顔を見て大声出した。

数分後・・・コウイチロウとアカリは、静かに時が過ぎるのを待っていた。いや、というかコウイチロウがグズグズと涙を流しているのをアカリが慰めていた。

「ユリカァ〜、ユリカァ〜。」

「あははは(汗)。」

いきなりユリカがナデシコへ戻ってしまったことにコウイチロウは、涙を流していた。さすがにアカリは、笑うしかなかった。

「えっと、元気出してください。」

「すまない、すまないねぇ。娘が成長するのは嬉しいが・・・ううっ。」

どうしていいか分からず辺りを見渡すといきなり手がアカリの口元を覆った。

「むーむー!!」

「ユリカーーーー!!」

そんなに気づかずにアカリが扉から出て行く。コウイチロウは、延々と泣き続ける。いつまで続くのだろうか・・・。


そして、アカリは、ブスッとした顔でシートに座っていた。

「申し訳ございません。お嬢様・・・こうするしか・・・。」

「別にいいですよ〜。アキトにとって私は、お荷物当然なのね?あんな、犯罪者みたいなやり方するなんてさ〜。」

「す、すみません。」

アキトのオドオドした表情にアカリは、プッと空気をもらす。

「お嬢様?」

「もぉ、アキトは、真面目だな。大丈夫だよアキトの事を信じてたよ。やり方は、もう少し丁寧にしてくれたら満点なんだけど。」

「・・・善処します。」

「うん!」

トビウメから抜け出すとグラビティーブラストの光が戦場を包んだ。

「さ、行こうか。私たちの新しい居場所へ。」

「はっ、了解しました。」

アシビのブーストがより火を上げ紫色の機体は、ナデシコに戻っていった。


あとがき
・・・・この世界では、ナノマシーン技術が特化しています。ということ
で(どういうこと?)新パソのおかげで気分は、上々です。ちょっと微妙かな〜って部分が多々
りますが頑張ります。それでは・・・。




感想

NEOさんPCご復帰です! 掲載も再会されて一安心ですね♪

アカリ嬢が何者であるのかが判明しましたね〜ナノマシン技術の事でもアキトと関係のある様子。

まあ、ナノマシン技術のレベル云々もありますが、実の所火星のナノマシンは古代火星人の使っていたもの(遺伝データ?)であるため、

A級ジャンパーを作り出したのは結局火星のナノマシンということになる筈なんですよね。

三十一歳になった人。それは感想に なってませんよ。

はう〜そのとおり…私は三十一歳になりやんしたよ…(泣)

皆さんとの歳がまた一つ離れてしまった…

それよりも感想はどうしました?

ああ、そうだったね。今回はアキトの強さとムネタケの卑怯さが目立つ所だったね。

後半は、アカリ嬢の秘密に迫っていた訳だけど、アキト…あんたいつの間に駆けつけたんだ(汗)

アキトは相変わらずアカリ嬢に弱いですね〜

はあ、確かにこの世界では私も望み 薄みたいですね…

次回も二人の活躍に期待しましょう!



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