ふう、前回はひどい目に会いました。まさかアキトさんがイネスさんに汚染されてるなんて・・・。
まぁ、アキトさんの場合詳しく説明するように頼まなければ大丈夫なようなのが唯一の救いですが。
それは置いておいて今、私の部屋にアキトさんと向かっています。理由はもちろん愛を深めるため・・・じゃなくてまだわかっていないことを聞くためです。
でも気絶してる間にアキトさん・・・。確かに紛らわしいですね。やっぱりどちらかの呼び方を変えなくてはいけないようです。
いっその事『アキトさんを両方ゲット作戦』でも展開しますか。・・・ふふ、冗談ですよ。
機動戦艦ナデシコ
〜光明は遠い世界から〜
第6話 とりあえず一件落着?
「さぁ中へどうぞ。」
ルリはナオトを自室の艦長室につれていき中へ入るように勧めた。
「へぇ、案外きれいだね。」
「汚いと思っていたんですか(怒)?」
「い、いや、そんなことはないよ。」
ナオトが言うようにルリの部屋はきれいに整頓されていた。もっともただ荷物が少ないだけでもあるが。ひとまずルリとナオトはソファーに座った。
「で、俺に聞きたいことって?いっぱいあるだろうけど。」
「ええ、たくさんありますが、まずはアキトさんのもう1つの目的が聞きたいですね。」
「え?言ってなかった?」
ナオトは意外そうに聞き返す。ルリはふぅとため息をつくと、
「そうですよ。それを話す前にあの長ーーーい説明でみんな気絶しちゃいましたから。」
ルリの見えない重圧にナオトはあははと笑うしかない。
「で、どうなんですか?」
「・・・あの話の中の彼女を救うことさ。」
ナオトは寂しそうにいった。一方ルリは意外そうにする素振りも見せず話を続けた。
「なんとなくそうだと思ってました。アキトさんですからね。でもどうしてそうしようと思ったんですか?取りようによれば仇の1人ですよ?」
「話の時も言ったけど彼女は利用されていただけだ。それに・・・いろいろあってね。」
ナオトはさらに暗くなる。しばらくの沈黙の後、会話を再開したのはルリだった。
「まぁ時が来れば話してくれると信じてます。今はまだつらいんですね。」
「つらい、と言うのもあるかもしれないけど、約束なんだ。ごめんね、本当は手伝ってくれるんだから全部話さなくちゃいけないんだけど・・・。」
「いえ、どんな約束かはわかりませんが約束ならしょうが無いです。私は秘密があってもアキトさんを信じますから心配も要りません。」
「ありがとう、ルリちゃん。話せるようになったら絶対話すから。」
ナオトの表情が幾分か明るくなった。ルリはそれに安心したように話を続ける。
「いえいえ、それより次の質問をしても良いですか?」
「もちろん。あれ以外なら多分何でも話せるから。」
「そうですか、ではマリさんとマサキ君の正体について聞きたいですね。予想はしていますけど。」
ルリの言葉を聞くと一瞬でナオトの表情が強張った。
「そ、それは本人に聞いて欲しいな。俺の一存で話すといろいろ危険が・・・。」
「大丈夫です。ばれないためにここへ連れてきたんですから。」
ルリはナオトにかまわず続きを促す。
「うーん、わかったよ。予想通りだろうけどマリは俺のいた世界のラピス、マサキはハーリー君だ。」
「ええ、それはほぼ確信を持っていました。でもなんであの時はマリさんは止めたんですか?」
ルリが不思議そうにナオトを眺める。ナオトは落ち着かない様子で辺りを見ている。
「それは2人の目的に関係があるんだ。」
「目的?2人の目的はアキトさんと同じじゃないんですか?」
「2人は手伝ってくれるだけで本当の目的は違うんだ。」
ナオトの声の音量がだんだん落ちてくる。
「で、その目的は何なんですか?」
「・・・ラピスとハーリー君を結婚させること・・・。」
「え?」
ナオトの答えにルリは驚愕で固まってしまった。
「ど、どういうことですか!!説・・・じゃなくて解説してください!」
我に返ったルリは今度は慌てだした。
「まぁ、簡単にいうと俺のいた世界で2人は結婚したんだ、いろいろあって。で、俺の計画を手伝ってくれることになったときにマリが『異世界でも私がハー
リー以外、ハーリーが私以外と結婚するのはヤダ。』って言い出して。さらにマリには俺の手伝いはするけど目的はこっちだとか言われちゃったし・・・。」
「・・・えらく個人的な理由ですね。でも確かにあの場ではいえませんか、目的のために動きにくくなりますから。」
、
ナオトがさらに辺りを気にしつつ話を続ける。
「実は、もう1つあるんだ。こっちはばれるとかなりやばい。ここ、本当に大丈夫?」
「大丈夫ですって、ここはナデシコCで1番セキュリティーが高い場所なんですから。」
ルリの言葉に半信半疑ながらナオトが続ける。
「あの2人は前の世界で夫婦だったんだから当然付き合ってるんだけど・・・。」
「まぁ当然ですね。でもそれくらいなら兄弟でも義理なんですから問題ないんじゃないんですか?」
「それが、そのことは2人が偽装したことで本当はこの世界では正真正銘の兄弟なんだ・・・。」
時間が止まった。凛と張り詰めた空気の中に固まっている者と辺りを気にしている者。そして時間が動き出す。
「え、ええぇぇーーーーー!!!」
今、ルリの声で確かにナデシコCは揺れた。
「そ、それは本当にやばくないですか?」
「マリ曰く、愛があればなんの問題もないらしい。現に2人は人前じゃなければ気にせずべたべたしてるし・・・。」
はぁ、とナオトがため息をつく。一方ルリは愛があればというところに共感を覚えたいた。
『確かに愛があれば問題ないですね。・・・だって私の方はもう少しでアキトさんと親子になる所だったんですから。うふふ、そうでう!愛!愛!愛は地球を救
います!!』
「ふふ、うらやましいですか、アキトさん?大丈夫ですよ、私がいますから(赤)」
ルリは自分で言いながら真っ赤になった。一世一代の告白に出たつもりらしい。だがナオトは・・・
「?ありがとうルリちゃん。こんなになっても家族だと認めてくれるんだね?」
「ええ、もちろん大切な家ぞ・・・。アキトさん、私の言葉をどう受け取りましたか(怒)?」
さっきまで真っ赤だったルリに怒りが満ちてくる。それにナオトはまだ気付いてない。
「え、今も家族だと思ってるって事じゃなかったの?」
ぷちーん。どこかで何かが切れた音がした気がした。ルリはなわなわと立ち上がる。
「鈍いです、鈍すぎます!!ここまで鈍い人間がこの世にいるわけがありません!さてはわざとですね!もう怒りました。立ってください!!」
ナオトは突然のルリの豹変におろおろしながら立ち上がった。
「に、鈍いって何のこと?」
「それが鈍いって言うんです!もういいですからそこで動かないでください!!」
「は、はい!」
ルリの気迫にナオトは素直に従うしかなかった。ルリは大きく息を吸い込むと・・・。
「は!」
「ぐぉ!!」
大きく息を吸い込んだルリは1歩踏み出すとナオトの腹に重い一撃を食らわした。
「まったく、元々はユリカさんを待たせたこっちの世界のアキトさん用に木連式・柔をツキオミさんから習ったんですが、こんなところで使うことになるなん
て・・・。聞いてますかアキトさ・・・。って大丈夫ですか!?アキトさん。」
ルリにな売り飛ばされたナオトは壁に叩きつけられ血を吐いている。
「み、見事だ・・・。」
「それはキャラが違う、じゃなくて。・・・頭をお腹にひどい傷がありますね。内蔵を傷つけたかもしれない。頭を打っているので下手に動かすのも良くないは
ずです。誰ですかこんなひどいことをしたのは!!」
ルリは自分がやった割にテキパキと対応する。最後には誰かに責任転嫁したようだ。この後ナオトは医務室に運ばれたが、ルリの証言から浮かびあがった犯人、
某オペレーターはその後プロスとゴートに尋問されたようだ。
「困りますねぇ。あなたがいくらルリさんに好意をお持ちでも部屋に入っただけであんな凶行に出られては・・・。」
「僕じゃありませんって!信じてください。」
「嘘をつくな!証言は取れている。おとなしく白状しろ。」
某オペレーターの受難は続く・・・。
なんだかんだでナデシコCは1週間かけて地球に帰還した。ルリの情報操作は見事に成功して地球では『極悪テロリストの最後!ホシノ少佐お手柄!』などなど
報道が好き勝手なことを言っている。ナデシコCのクルーはもちろんそれを良くは思わなかったがそれでアキトが帰れるなら気にしなかった。ルリの作業が全て
終わると主要クルーとナオトたち3人でユリカのお見舞いに行くことになった。
「いいよ〜!はいって!」
お見舞いの面々がユリカの病室に着くとユリカは昔以上に元気よく対応した。
「みんな、ありがとう。おかげでアキトが帰って着てくれたんだもんね。アキトには私がよーく叱っといたから!」
「ユリカさんがアキトさんをきつくしかれたら苦労しませんよ・・・。そうそう、それとこれからアキトさんは便宜上お父さんと呼びますのでお願いします。ユ
リカさんとの婚姻届を出したら事実になりますから問題ありませんよね?」
ルリはユリカの言葉を軽く流すと部屋の隅にいたアキトに言った。
「ああ、好きに呼ぶといい。」
「と言う事は、私はお母さんって呼んでくれるんだよね?嬉しいな〜。」
「いえ、ユリカさんはユリカさんのままです。言ったでしょう?お父さんと呼ぶのは便宜上です。」
ユリカはルリの言葉に『何でよ〜。』とほほを膨らましたが、すぐに何かに気付いたようにニヤリと笑うと・・・。
「ふふ、わかったよ。じゃぁルリちゃんのお父さんは2人だね(ニヤリ)」
「?なんでですか?」
ルリはわからないという顔をする。一方ユリカはナオトのほうを向きまた怪しげに笑った。
「だってアキトに聞いたよ。実はナオトさんもアキトだったんでしょ?2人アキトがいるんだから2人とも私のだもんね!だからルリちゃんのお父さんも2人だ
よ(ニヤリ)」
「だ、ダメです!欲張りすぎです!!こっちのアキトさんをお父さんと呼ぶのはナオトさんの方のアキトさんをアキトさんと呼ぶからで、だから、その・・・。
とにかくダメです!!」
「なんでダメなのかな〜?」
ルリが慌てだすとアキトとナオト以外の者もユリカのようにニヤニヤと怪しく笑い出した。もちろんアキトとナオトは話についていけないようで不思議そうな顔
をしている。ルリは話を逸らそうと辺りを見回し、ユリカがさっきからずっとお腹をさすっているのに気が付いた。
「あれ、ユリカさんお腹でも悪いんですか?」
ルリは何気ない質問をしたがユリカは突然慌てだした。
「な、な、何言ってるのルリちゃん。そんな1週間で赤ちゃんが出来るわけないでしょ、あは、あははは。」
瞬間ルリから表情が消える。アキトとユリカ以外はこの1年でそれが何を意味するかを知っていた。
「・・・お父さん・・・。ユリカさんはまだ退院してませんよね・・・。」
「問題ない。」
『『『『『『『いや、あるだろ』』』』』』』
ルリ、アキト、ユリカを除く全員が心で突っ込んだ。しかしアキトの方も余裕のように見えて背中にはびっしり汗をかいている。
「ふふふ、おしおきです。」
ルリの言葉にアキトとユリカはきょとんとする。ルリのおしおきの怖さを知らないのだ。3人を除く全員はもう病室を出始めている。
「ふふ、お手柔らかにね、ルリちゃん。」
「いや、どうせなら一番きついのにしてもらおうか。」
「ええ、地獄を見せて上げますよ・・・。」
一方アキトとユリカを見捨てて逃げてきた者は病院の売店で飲み物を買ってソファーに座っていた。
「残念ね。惜しい人を亡くしたわ。」
最後のやり取りが聞こえたミナトがそう呟くと全員がコクコクとうなずいた。
某黒い人曰く、火星の後継者のラボの方が人道的だったとかじゃなかったとか・・・。
第一章 完
後書き
RYU こんにちは、(またはこんばんは)、今回も読んでいただいてうれしい限りです。
ルリ やっと1章が終わりですか。こんな調子で終わるんです
か?
RYU まあ2章は1章よりだいぶ長い予定だしね。外伝も書きたいし。
ルリ 本編でさえこんなのなんですから、外伝書いたって誰も
読みませんよ。
RYU う、1章と2章の間に入る外伝を少なくても3つは予定してるんだけど・・・。
ルリ まあ、本編の設定ではここから半年とちょっと後から始
まる予定だから外伝になる話ぐらいいくらでもあるでしょうからね。
RYU お、なんだか初めてフォローしてもらった気がする。
ルリ 一応1章が終わった記念ですからね。さぁ記念ついでに
大きく跳びますか。
RYU え、記念だから飛ばさないんじゃないの?
ルリ あなたは飛んでこそ価値があるんです。それでも二束三
文ですが。
RYU ・・・。
ルリ 覚悟は出来ましたか・・・って逃げましたね。今から追
いかけますのでお別れです。今回も読んでいただきありがとうございました。
RYU (実は近くに隠れてたりして)
後書き2
こんにちはRYUです。目標通り夏休み中に第1章を終わらせることが出来ました。ここで今までを読んでみると・・・ぐは(切腹)。自己採点で第3希望の足
切り点を下回った気分です。
まぁ1章(特に後半)は説明ばっかりだったので動きがないのも原因かも・・・。2章は説明も要りますが基本的にドンパチなのでまだましかな・・・。あ戦闘
シーンの描写を練習しないと・・・。
外伝は予告通りのルリとツキオミの話とアキトとナオトのお話で2つ、もう1つ例の彼女で1つ書く予定です。出来ればルリがナオトを外出に誘う話も書きたい
のですが・・・それはまだ未定です。誰かに書いてといわれたら書きますけどね。
ここで第2章の予告でもやりますか。
ついにナオトが持ってきたデータでニューウエポンが完成!
だかそれの完成と同時に何者かに盗まれる。
なんとそれでナオトをつれてルリが愛の逃避行へ・・・。
次回第2章第1話 兵器の中心で愛を叫ぶ。みんなで見よう!
はい嘘です。第2章は結構真面目だったりします。(もちろんギャグも入りますが)
最後の後書き1がネタ切れ気味、このままではM○Gネタに走りそうです。しかしこのネタは多分ここでは自分しかわからないと思うので・・・。後書き1につ
いて何かあればお願いします。(Mt○ネタが聞きたい人がいれば大きく展開しますが・・・)
それでは次で会えることを願ってます。
感想
RYUさん第一部完結おめでとうございます!
うむぅ、第一部としても、シルフェニア初の長編完結作品ですね〜♪
賞品は無いけど祝わせていただきます!
第二部も楽しみにしております♪
アキトさん増殖計画成功ですね!
私にとってみればアキトさんは多いほうがいいですから♪
ブッ(汗) それは…もしかして…
アキトさんハーレムの第一段階です♪
100人のアキトさんに囲まれる私…
ああ、幸せ♥
いや、正直不気味だと思う…(汗)
おんなじ顔の人間に囲まれるのは…
ふっふっふ! 甘い! 甘々です!!
私が、そんな事を考えているとでも思っているのですか!!
平行世界の住人は、同一人物で居られない為変質する…
確か、『破壊魔○光』の設定でしたね…いえ、どうでもいいんですが…
兎に角、平行世界の人間が同じ世界にやってくるとき、
同一人物と認識されれば世界から排除される、ということだそうです。
それでも、強引に居ようとするものは、別の存在に変質するそうです。
はっまさか!!?
そう! 多種多様なアキトさんに囲まれて幸せ
一杯のハーレムを作る事が出来ます♪
しかも、もう一度やり直したいと思っているアキトさんを中心にしておけば、問題もおきにくいでしょうし…
それはどうだろう(汗)
何か文句でも?(怒)
いえ、めっそうもない(泣)
押して頂けると作者の励みになりますm(__)m
RYU
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