第13話『初異世界からの帰還』


2001年5月16日
== 副司令執務室 ==

夕呼はかなりイラついていた。
日付みればわかる通り、約束した日時になっても、カオルが帰還してないからである。

ある事をしようと決めていたが、わたしの時間がとられるなんて!!とかなりのイラつきぶり。

その間、ピアティフ中尉はおろか、あの霞までが近寄らなくなってしまったのを付け加えておこう…

執務室の中央に変化が現れた…そう6日前に消えた世界扉が現れたのである。

それをみると用意してたレンガを両手にもつと…

夕呼は待ち構えていた。


「ただ…イタ!」
…自動的に展開するATフィールドが突破される程の怒りの一撃!!
(つぁ〜…レンガ??)

「あでっ!いで!?
…や、やめて下さいよ!!ATフィールド最大出力!!」

無駄な労力をついやし、波紋に弾かれてやっと止まるレンガ攻撃。

「な、なにすんすか〜いきなり…」

「なにすんすか〜じゃないわよ!!いったいどんだけまたせるのよ!!」

「え??え〜と……」

「約束よりも3日よ!!3日!!どんだけまたせるのよ!!」

「あ……すんません」

「たく、…で、成果は?約束時間よりオーバーして成果ないは認めないわよ」

「あ、はい。えっとまずは強靭な装甲をもつ、マジンガーZの世界と、
パーソナルトルーパーやアーマードモジュール等多様な形態ロボット系統をもつ、
スーパーロボットOGの世界にいってきました」

「あら?主機の問題だけでなかったの?」

「えっと…?」
説明した記憶がない。

「伊隅から聞いてるわよ」

「ああ、なる程…主機の話をした後に装甲に不安思えたので、追加で先によったわけです」

「一つの別世界ばかりか二つねぇ…」

「いくらでも行けそうですね…
あとこれは意外でしたが取り付いたものがコピーで作成できますね。
同じくらいの資材が必要になるのと時間も必要ですが」
バルディエル万歳といったところだろう。

「じゃあその…マジンガーZやスーパーロボット大戦OGとやらが作れちゃうの?」

「スーパーロボット大戦OGはその世界の名称ですが、
マジンガーZは機体の名前で作れますが…問題も勿論ありますね」

「問題?…動力源安定性?」

「そんなのとかまぁ…マジンガー系統自身の問題も…」

「はっきりといいなさい」

「と、マジンガーZ系統はエネルギーの累積被曝時間48時間と死にいたるので、
完全に遮断する機体の外に操縦席をつくらないと駄目なんですよね…」

「遮断?…なら遮断層を厚くすればいいじゃない」

「内部の動力系統もですし、でっぷり太った機体になりそうでごわす」

「太ったねぇ…ま、いいわ。成果報告まってるから…他にはないの?」

「ん〜主機と装甲いがいは…とりあえずは報告書にまとめる程度ですね」

「じゃあ、わたしからね…こっちに来なさい」

いままで通った事のない扉の方へ案内された。

「こ、ここは…?」
すこし暗い部屋だが目の前にシリンダーがあり、脳髄らしいのがある…

「この部屋の主は彼女よ」
と、シリンダーをさす…

「それと、彼女が社 霞」
可愛らしくカチューシャからのびている耳らしきもので挨拶してくる。
(手〜だしそう…自重自重)
手を出すと犯罪になりそうな年齢にみえ、彼女の制服は年齢に合わせた特注品だろう。
他の人には見られない服装をしている。
ゴスロリチックともいえる、黒い基調の前が短いチュニック、
黒いロングスカートという出で立ちだった。
「よろしくね」

挨拶をすまし、シリンダーに視線を向けると…
「彼女ですか…」
液体の中に裸の脳と脳髄と脊髄神経のみの状態であり、心臓すらない。

「……この状態で生きているんです??」

「ええ、彼女はBETAに捕われ只一人生きている、元捕虜よ…」

「捕虜…」
その言葉に愕然とした…肉体の無い脳だけが…しかし、
(LCLだろうか?)
脳を生かしているその液体に少し興味がいった。
「すみません、その脳の保護液LCLです?」

「LCL?いえODLよ」

「それって何処で作られてます?」

「それって重要??」

「ええ、かなり…」

「ふん……わかったわ。ついてらっしゃい…霞あとでね」
霞ちゃんが耳をお辞儀させる。


== 地下最下層 ==

「ここの反応炉で作られているのよ…満足?」

「副司令…反応炉とはあれですか?」

仏像の台座のような蓮の上に南国フルーツのバンレイシ…
わからないようならパイナップルの皮部分のみがのっている。
蓮からは下方に管が多数はえている。
パイナップルの皮部分から青い光がはっしていて…

「BETAのエネルギー源よ…もっとも…詳しくはわかってないわ…
それを研究、利用するのがこの横浜白凌基地の役目なの」
BETAの何かの生産物で安全が確認できていたから研究対象になった。

「少し試してみたいのですがよろしいです?」
カオルはBETAの新種かと思い試してみようと思いはじめ…

「なにを?……いえあなたは規格外ね……壊さなきゃいいわよ…」

反応炉にふれ、
「イロウル!!」

(思った通りだ生体コンピューターでもある。この反応炉…情報が瞬くまに流れてくる。
ん?逆ハッキングか??…小癪な…)

乗っ取りかけたところでSOSらしいのを発信しかけたので阻害し…更に解析。

「何かわかった?」

「解析中です…面白い事わかりそうですよ」

(上位存在の確認、ほうき型、更に上位者、スパイ行為…ふむ…こんなものかついでに)

「バルディエル」

……


「副司令…」

「なんかわかった?」

「これ…何なのかわかっていて、基地のエネルギー源にしてました?」

「それを研究してたんじゃない」

「こいつは当ハイヴの、最重要なBETAです」

「え??これがBETA?攻撃してもこないのに?」

「ええ、しかも、それを統括する上位存在が認められますね。地図があれば…」

「甲1号の事ね…」

「で、ついさっきまでこのBETAから上位存在に情報つつぬけでしたが、
ダミーをおいて、そこで上位存在と通信、
このBETAはある意味コンピューターだったので、
完全に乗っ取り自分の指揮下におさえました」

「ODLもひょっとして…」

「はい、交換で情報つつぬけでしたが、もう安心ですよ。
ま、こいつが軍でいえば基地司令官兼食堂のおばちゃんというところですか…」

「食堂のおばちゃんねぇ」

「これが居ないとBETAはエネルギー切れで餓死しますから…
あと…光線級ですが…最初は居ませんでしたよね??」

「ええ…そうよ…」

「原種はいましたが、今の光線級は人類の航空爆撃に対抗して作られたクラスだそうです」

「やっぱり…」

「過剰な大量な強力な兵器は、BETAにおける上位存在が感知すると、
それに対抗した戦力を精製する…の流れですね」

「……」

「スーパーロボット大戦世界のレーザーや光線兵器は多分発展を促す可能性もあります。
高周波ブレード程度は大丈夫ですね。
俺単体+A-01位の数なら問題なさそうですが、軍隊レベルで新兵器更新すると、
対抗手段がでそうな気がします。

幸い前回は殲滅できたので、情報を持ち替えった可能性はないですが…
今、上位存在との確認でも認められてません」

「他には?」

「また上位存在を集中とするほうき型の司令系統と確認できました。
地球上ではその上位存在を消滅させればBETAの発展もない事も…
ただその際には他の星から、この場合近場なら月でしょうか?…期間ははっきりしませんが、
あらたな上位存在が撃ち込まれてくるそうです」

「他には?」

「あとは他ハイヴの構造、BETAの生産データー…位ですね」

「それ何処かに表示できる?」

「執務室のPCにデーター表示させる事可能ですよ。
あとはないですね。ところで提案なんですが」

「何?」

「ダミーから上位存在へスパイをやりたいんですが」

「あなたがいればできるのね?」

「はい」

「わかったわ、やりなさい、けど必ず成果は報告する事」

「はい」

「他にはないわね?じゃあ戻るわよ…」

戻りながら考え…

「副司令」

「なに?」

「ハイヴ攻略戦の際の状況等教えてくれます?」

「このハイヴ攻略の?」

「ええ」

「記録みるんでしょ?執務室でね」

「はい」

side〜夕呼〜

(まさかまさかまさか…こんな棚から牡丹餅って…ありえない!!
なんなのよ…苦労しっぱなしだったのに…
でも…凄い情報…これで人類は…
けど、とりあえず諜報員に関してはこいつがいるけど、
計画中の凄乃皇操縦に関しては…やっぱり00ユニットは必要ね)

side〜夕呼end〜

== 副司令執務室 ==

「このPCにDownloadすればいいっすね?」

「ええ………あちょ「イロウル」まったぁ」
夕呼博士は考えごとをしてて、やばいPCを選択してしまったようだ。

「へ?……あ………」

「あんた、まさかみたの?」

「あ、オルタネ「プロテクトの意味もないのね」……みたいですね」

「はぁ…みてのとーりよ。開示義務レベルもあったもんじゃないわね…」
(オルタネイティヴ4…対BETAに対する諜報員育成計画、
量子脳搭載の00ユニットによる情報入手を主目的としている。

オルタネイティヴ5…アメリカ主体の他星系脱出移住計画、
+G弾集中投下によるハイヴ殲滅作戦通称、作戦名バビロン計画。

A-01に関する裏情報…00ユニット素体適応者。

00ユニット…機械の体に人間の魂を宿らせた
オルタネイティヴ4の中核となる存在。
生物根拠0生体反応0、量子電導脳搭載…
沢山入ってくるな…)

「そ、この当基地はオルタネイティヴ4の達成を主目的とした、
わたし香月夕呼の為の基地といっても過言ではないわ…
あんたそこまでみたからにはただでは帰さないからね…覚悟しなさい。
でなんか助言はあるの?異能力者さん」

「と…まずは、オルタネイティヴ5によるG弾での殲滅ですか…失敗しますね」

「対抗手段ができるのね?」

「はい、過去の作戦でG弾使いましたよね?
それでBETA側での警戒ランクというのがあがってますね…
多分もう2、3回で対抗手段を作る…まできてます」

「良いカードかもしれないけど、人類にとっては最悪ね…」

「あと、BETAは10の37乗の上位存在がありますので、他星系いっても…無事ではすまないでしょう」

「その数なら…でしょうね」


「G弾使う位なら防ぎようがない質量兵器…
小惑星は…オーバーキルで被害が…ですが、
その方が良いっすよ…」
(ATフィールドつかってのサンダルフォン攻撃かな??)

「そうねぇ…」

「オルタネイティヴ4に関しては…00ユニットは…
ん〜現時点ではわかりません…
AIという存在ならある事はあるのですが…」

「それでも、このハイヴ内部情報やら、BETAに関してなどや、
スパイ行為でかなりの達成度があがるわよ。
これだけでも良いカードになるわ」

「まぁ…正直オルタネイティヴ5の地球に残った人々…は、
G弾による住めなくなった環境下の元、最後の一兵まで…
ていうのは賛成できませんので、改めて香月 夕呼副司令、協力いたします」

「わかったわ、せいぜい働いて頂戴ね」

「はい」

よりよき未来へ…異邦者と、魔女が真に手を組んだ瞬間であった……

== B55ハンガー内 ==

副司令執務室から、いの1番でまずはハンガーにきた。

取り込んだ残骸から再生改造整理等をするために…

「こうしてみると……自重忘れた??」

虚数空間にしまい込んだ機械獣の残骸、
破壊された機体、車両、
瓦礫の数々でただのハンガーでしかないB55エリアはうめつくされた。

不知火や撃震がハンガーの片隅にある状態である。

「… とまずは…」

先にやり残していた、74式近接戦闘長刀→高周波ブレード化への改造。

電源…バッテリーカートリッジ式、メガビームライフルの技術から、カートリッジを流用。

多分連続使用可予定…連続運転テストに…放置で行う。

カートリッジ自体の充電器も再生。
普通のコンセントプラグを付けてみたが電圧が200V専用…
ハンガー内探し回って、カートリッジの予備充電体制を整える。

(うんでっと…)

上半身だけである持ち込み撃震をいじり始める。
下半身とくっつけて…駆動方式をエヴァ仕様の生体筋肉に変換。
装甲材を超合金Zに変更しはじめるが、
……

(うっへ〜時間がかかるな…)

超合金zに組成変換しはじめたが、3時間たってもおわらなかった。
既にハンガーの外は夜間照明にかわっていた。
……

更に3時間後…

「おわったぁぁぁ…ふう」

20m級の撃震変換にじつに6時間かかっての装甲変換であった。


(後は機体作成か…航空機と戦車はいいや…マジンガーは弱点がヤバすぎだから…
ただまぁ…どっか感覚を保存しておきはしたいけど)

人間忘れるもんである…それを懸念はしてるが、
(副司令のが最新版ってたなぁ…)

アクセスしたPCのスペックだが、サイロン…SAIROMというCPUの300MHzクロック。
カオルの知ってるメーカーではない。
(確か…プレイステーション2で128ビットだったと思うが…)
リアル世界2001年頃の爆発的人気ゲーム機プレイステーション2。
それよりも確実に性能は下であり…
データベースと使用するには不安に思える。

(ま、明日だな…先に作業に戻ろう)
作ろうとした機体は量産型ゲシュペンストmk2及びリオン。

量産型ゲシュペンストmk2、一般機であるがこの世界においては高性能機と言えよう…
(じゃ、まずは原型機かな…)

廃材の山に向かう。

山から廃材をうつして別山に積み上げ、30m程の山をつくると、
バルディエルの力で山と同化する。

すると…廃材が熔けだして結合し液状球体化し始めた。
液状球体はうねり…段々と人の形になりつつ…輪郭がはっきりし始めた。

量産型ゲシュペンストmk2の外見になってきて…出来上がる。
ものの15分もたってはない…

量産型ゲシュペンストmk2、
核融合炉搭載の対エアロゲイター戦に投与された主力機がここに完成した。

武装はジェットマグナム、
M950マシンガン、
スラッシュリッパー、
スプリットミサイルを装備。
メガビームライフルはオミット、
装甲は未改造のままだ。

(燃料燃料?っと…タル一つ分でどれ程もつかな?)
こればっかりは稼動させてみないとわからない…

燃料タンクにヘリウム3、重水素をいれ主機に火を入れる。
機体が機動し始め自己診断プログラムがはしり…
TC-OSがスタンバイの表示を無人のコクピットに写しだす。
(OKだね)
機体を操りハンガーデッキに機体をいれ主機の火を消し…
機体から離脱し廃材の山へ向かう。


(さてあとは…)
ゲシュペンストmk2の方でコクピットシートが2つある機体情報も取得していた。
初心者マークの教習機だろう。
それも同様につくり…

2機体をつくりあげたところで…

……

ハンガー内部で床に倒れているカオルが残っていた。
顔には寝不足のクマができていた。




後書き

H24年4月7日改稿

作者「と、言うことで…改訂版の後書きになります〜」

ナギ中尉「作者お疲れ様〜」


作者「ナギ中尉、時系列的にまだでちゃ駄目、後少尉だろ!!バシルーア」

ナギ中尉「あ、れ〜〜〜」

作者「え〜……ま、相方は今回はいません。
今回はマジンガーZと、スーパーロボット大戦OGにいった後の話になります。

この次は修正前にはガンダムの機体群や残骸をみたタバタやイッシー、
速瀬中尉があれこれする話になってましたが、
今回は機械獣やエアロゲイター残骸や鉄筋残骸がメインになってます。
さてさて…」
H24年12月再改稿



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