第46話『メデューシンの世界からの帰還…だけでは終わらない 20010703』


2001年7月3日

[マスター大丈夫?]
地面に転がっているカオル。

「あ、ああ」
カオルは立ち上がると手で払う。

[今回早いね〜スカウトは?]
25号が寄ってきた。

「今回はしてないな…まぁもう一回いく時かなぁ?」

彼女らは基本は死ぬ描写は少ない。
が撤退時の誤射で看護婦を含む18名、
またメデューシン撃沈で、重要人物含む多分少なくない数が死ぬ…との事だった。

「早めにもどったから…こっちの事すすめるとするか…」

[マスター、明日A-01用の9機は納品予定だよ]

「あとはホバージープはどう?」

[満足いく性能だね]

「じゃあ、中隊単位で増産よろしく」

[了解マスター…マスター緊急!]
突如緊急の文字がでかく表示される。

「ん?緊急?」

[H21に向け2師団規模総計約4万体のBETAの増援が接近中、到着予定約3日後]

H21…佐渡島ハイヴ、先の5月にBETAの飽和による侵攻戦があり、
それを受け間引き作戦をしたばかりであった。
本来であれば上陸侵攻戦含めて約43000の余裕があり、
約3箇月は飽和見込みがない筈であり…
「はぁ?ふざけんなよぅ…」
とカオルは緊急内容を聞き、
思わずぐちってしまう。
少なくとも前回帝国軍とともに削減した総数同等が佐渡島ハイヴへと増援でくる…
「11号そんな数どっから?」

[H20から出発してるよ]

H20…朝鮮半島鉄原に97年に作られた、フェイズ4規模相当のハイヴ。
今のところ最新情報by地下スパイからは約29万の餌供給ができ…
それが飽和したから別の場所へと移動を開始した模様であった。

「まずいな…帝国は?」

[とりあえず情報室へ]

「ああ」

(2個師団規模とは厄介だな…旅団規模でも奇襲で半壊してるのに…)

== 情報室 ==

ハッキングした各国の衛星からデーターが入ってきている。
自前の衛星もついこの間上げていた。
映像は海中に入り進み始めたBETA群を写している。

「佐渡島増援は間違いないだろうなぁ」
地下のスパイからの確実な情報に思わずぼやいてしまう…

飽和すると旅団から軍団規模、下手すると7個軍団規模…約20万のBETA群を出す。
つまり間引きでは飽和する前に旅団から軍団規模のBETAを間引く話だ。

だが間引きでは、あくまでも海峡という天然の城壁に守られた佐渡島ハイヴ間引きに関してだが、
遠距離攻撃に参加した部隊が弾薬面に関して全滅相当…
要は補充が無いと、砲身交換しないと戦えませんの状態になり、
更に予定数が削れず上陸削減の段階になると戦術機部隊が文字通り半壊になる。

海峡等利用できなければ…以前の横浜ハイヴの状態や現在のアラビア、また世界各地の海岸から内陸へ進まざるえないハイヴ、
リヨン、ボパール、アンバール、ブラゴエスチェンスク等々では、
刺激されたBETAにより自走砲や戦車部隊含め装備人材面で、文字通り半壊以上になるだろう。
命がけの間引きである。


そして…この移動群が佐渡島ハイヴに来てそのまま間引き無しに放置する状態だと…

飽和群があふれ帝国領新潟上陸は容易に想像され、首都帝都を襲う事や、
下手したら秋田県沿岸に上陸して東北地方の生産拠点や人民が住んでいる都市を襲うだろう。

上陸防衛阻止戦が始まる。
そうなればまた文字通り人員、装備が飛んでいき、全滅したあげく更に生産拠点が破壊され生産力がロスされる。
戦闘部隊の装備面回復力がなくなるわけだ…

一方要塞ラインで防衛戦を重視しているスエズやクラに関しては少し事情が違い、
間引きで刺激はせずに飽和で発生した軍団規模を陸を好む習性を利用し、
陸峡ともよべる狭い陸地に追い込み火力を集中させて弾幕で殲滅させる。
集中火力が勝れば殲滅できるが、点あたりの突進力が勝れば戦線が崩壊する。
が、それはあくまでも集中させる事ができる特殊な地形を利用した例であり、

佐渡島ハイヴに関しては、否応なしに資源や人材を消費し間引き作戦を継続しなければならない…

ただしこの増援群を撃破すればH20はフェイズ4規模、
3ヶ月は増援が来ない限り飽和の見込みはないだろう。

「帝国さんは?」

[この間の一連ので、第13師団の小国は5月に8割損失で補充中…1月頃と見ているね。
第15師団の長野も4割損失補充中こっちは10月目処…情報渡したら大慌て中みたい。
現状当たれるのが第12師団及び、
間にあい展開できそうなのが第14師団、第21師団、首都第1師団]
スクリーンに次々表示される…

日本帝国が重点的に防衛線を布陣しているのは、
九州北岸、新潟沿岸、南樺太の三箇所。
それ以外に北海道西岸、東北西岸、北陸西岸、京都地域、西日本北岸と、
万が一の渡航に関して警戒している。
約14個師団が即応体制に備えていて、
その他帝都、九州南部と四国と近畿、
中部および関東、東北東岸、
北海道全般であわせて計15個師団が即応守備体制、
その他海軍は第1艦隊、第6艦隊が太平洋側、
第2〜第5艦隊が日本海側全般を担当しているが、
戦艦が属しているのが第1〜第3のみで、
間引きに参加するのは第2、第3のみともいえた。

本来であるなら陸海宙軍の整備兵含め約350万を必要定数としていたらしいが、
充足中の約16個師団が未だ回復に至らずの状態であり、約151万となっていた。
勿論最優先で衛士、戦車兵、特科兵…自走砲取り扱う兵種の回復がはかられている。
戦車、自走砲、対空戦車等の護衛をする歩兵種も疎かにはできない。

平和な世であったら陸海宙軍で25万ってところであろう。
だが98年の一連ので熟練な後方要員、
整備兵や陸上兵器自走砲等を大量に失ったのが痛い。
98年ので一番被害が少ないのが事故で死亡する可能性の宙軍、次に基本遠距離攻撃主体の海軍であり…
陸軍は、西部方面軍、中部方面軍に属していたのは軒並み壊滅、東部方面軍はざっと見8割壊滅、
北部と東北は戦闘ないものの引き抜きに次ぐ引き抜きで…だ。
それの回復が追いついていない状態で今にいたる。

「で、こっちの戦力って…」

[現状異世界軍は、スフィンクス217機、G6ライノ82両、魔ゲシュペンストmk2が10機…
防衛戦だと戦力分散してきついね]

「弾薬は?」

[240時間フル射撃分揃えてる]

「なら…防衛でなく…間引きの様に討ってでるか?」

[増援群のみ対応でスフィンクスで1:185の比率だよ?
ハイヴ全体からみると増援群足して1:1152になるよ?]

「現状ヤドカリと燃料さえ確保すればなんとか再生可能だろうし、
お前達増やしてスフィンクスの生産速度上げて、
後戦場を限定すればさ。増援分だけをけずれば良いわけだし」

空間スクリーンに佐渡島の地形を映しだす。

「ほらここの部分だが…」
カオルが佐渡島のある部分を指す。その地名は…
[羽茂港?]

「そこから…」
北西に指をずらし…
[素浜海水浴場?]

「この6kmラインを戦線としてまず西側を制圧して、火力戦を行うと…」

[火力砲撃戦か…弾薬携行量はどうするの?]

「異世界軍にはあれがあるじゃん」

[あっチューリップ?]

「そうそう」

[あ〜……成る程ね…けど…上陸は?]

「まぁ…今回は虚数空間に収納かな…」

[あっ……成る程ね〜…
マスターがまず制圧しつつだすの?]

「合金Zなら小型級は勿論として戦車級も無視はできるだろ?」

[無視できるかなぁ……?]

「まぁ…万が一機体に取り付かれたとしても、脱出は容易だろうし」

[うん。そういったつくりだし逃げ出すのは得意だし〜]

「それに…なるだけ取り付かれない様にはする火力と高機動及び踏み潰しだろ?」

[うん。だね]

「あとは…G6ライノの展開だが、新潟沿岸からの長距離砲撃をおこなってもらう」
新潟沿岸から佐渡島まで最短約32km。十分に射程圏内であり…
「あとは数しだいってとこか…」

[ん〜スフィンクスなら僕らが10人辺りで1日あたり1機製造できるから…ライノは2人で1両ね。ホバージープも2人で1両]

「とりあえずお前達も増やさなきゃいけんし、
ヤドカリも増やさなきゃいけないし…」

ヤドカリやコバッタの頭脳調整に約8分はかかる。
つまり合わせて一日最大調整して180人まで増やせる。
分裂したら能力半減以下になる為…
24時間フルに働いてで…最大増やせて180人。
ターミネーターは生産には関わらない方がよいだろう。

[今生活ラインや情報やらに配属されている100人は外せないよね?]

「だろうな」

[コロニー建造チームも必要最小限のこして、
一回機体組み立てチームに回るから…]
軌道維持等に10人が残る。

[現時点で僕ら721人いるから…]
コバッタ達は721号、ヤドカリ達が315号ま現時点いる。

[じゃ…機体組み立てチームに610人回るね]

「で増産につぐ増産でスフィンクスふやすと…」

[マスターは僕らの仲間ふやしてね〜]

「ああ、さってと作業開始しますか…あ、あと帝国さんに通達しといてくれ。独自の間引き作戦行うと…
あとは帝国さんから紀伊型のデーターもらえればなぁ」

[了解〜で、出撃予定は4日後?]
(BETA到着、補給済ませての状態か)
奇襲を受けず、飽和前のタイミングでもある。

「ああ…だな」

さて…200対40000…更にハイヴ全体を見れば200対25万。
常識的に考えれば…駄目だろう。
陣地要塞すらもない。

今回の場合は間引きの上陸削減でのガチンコのぶつかり合いだ。
ガチンコのぶつかり合いの場合どのような編成によるが、戦術機甲編成全機不知火一般練度で、
集団戦で被害なしと予測できるのが大隊規模36機で計算すると、BETA戦力1080相当まで。

1機あたり30の割合で、もちろん闘士級等小型級含む数で計算だ。
BETAの数があがると光線級が固まってくるため更に割合比率は下がってくる。
少なくなれば光線級比率がなくなる為余裕ではあるが…
基本光線級次第であろう。

それ以上の割合比率は人員損失を覚悟すべきであり、
勿論支援砲撃やらで予測割合をあげる事はできるが…だ。

更にそれ以上の場合は基本戦術機は囮に徹し戦闘を行わず、
誘引し火力にまさる砲撃戦等で沈めるのが好ましい。
その場合でなら1:100まではいけるだろう。
それも光線級等次第だが…

だが…それでもカオルは強襲上陸をやる算段でいた…
黙々と作業、帰ってきたコバッタ達が組み立て作業に向かう。

翌4日

[帝国からの問い合わせがきたけど…間引き作戦共同で参加しますけどって]

「今回は、いつもと違う戦法で共同作戦はとりにくいので、
こちらが全滅したらにして下さいと伝えといてくれ。
もっともその気はないけどな」

[イエスマイロード]

[マスター魔不知火仕上がったよ〜]
25号。

「じゃあ納品に行くか。マニュアルと」

== A-01ハンガー ==

「ちわぁ〜納品にきましたぁ〜」

コバッタ取り付きの魔改造不知火を連れてハンガーにきました。

「ほう…これですか」

「で、これマニュアルです。新型水素エンジン仕様になってます。
あとこちらからコバッタをつけますので、
わからない点ありましたら質問して下さい」

[よろしくお願いします♪]

「わかりました。おい!機体入れ替えるぞ!」

入れ替え作業中シュワ07がいたので近況を聞いてみる。
異常はなくここ専属らしい。

入れ替え作業終わったら取り付いてるコバッタ達に戻るように命令を伝える。
整備士待機室の方に何気なく歩いていく…

ボードには色々かいてある…

新型不知火萌え〜

未知の領域!!

管制ユニットシート部分オークション予定明日!!

イッ〇ーは俺の嫁!

ふざけんな俺のだ!

シートビニールは剥ぐな。はいだやつ副司令逝き。

(そういえばシートビニールつけてないなぁ)
新車等は作業員の着衣からの汚れを防ぐ為につけるが、
コバッタ達はシート着座無しの理由でつけてない。

「ちょっと誰がはいだのよ!」

(ありゃ)
見ると副司令が騒いでた。

「副司令〜ここで作ったのでつけてないんすよ〜」
とカオルは呼びかける。

「…あ、あたしの楽しみを」

(無限プチプチや無限枝豆好きな人いたなぁ…同類か)
「…なんだったら無制限にビニール剥ぎます?」

「ほんとなの?」

「ええ、できますよ〜」

「今すぐ!」

「わかりました、B55におこしを」

それからというもの、定期的にビニールを剥ぎにきて新品のシートを、20個並ばせる副司令がくるようになった。

もちろん再生してます。資源は大切にね。

== B55ハンガー ==

「ふーすっきりした」

黙々と増産している横で、累計100席剥ぎしてすっきり顔の副司令がいた…

「あ、そうそう。あんた今度の間引き単独で大丈夫なの?」

「あ〜まぁ大丈夫っすよ」

「A-01連れていきなさいよ」

「いや、今度の間引きは反対に連れてくとやばいので」

「?なにする気なの?」

「まぁお楽しみ…って事で」

「まぁいいわ…A-01は本当にいいのね?」

「ええ、慣熟でもさせといて下さい」

「わかったわ。じゃあね」

3時間後あたり…

石橋がきた。
「ねぇカオル」
コバッタの調整作業してる横から声かけてくる。

「ん?」

「カオル、2個連隊で2個師団規模とやり合うの?」

「ああ、耳にはいったん?」

「大丈夫なの?」

「多分な」

「多分じゃ駄目よ…絶対じゃなきゃ」

「絶対は、ないもんだよ」

「駄目、絶対に帰ってくるじゃなきゃ駄目」

「帰ってくる事は帰ってくるからさ…心配すんな」

「本当に?」

「ああ、大丈夫。約束な」

「うん。約束ね」

そのまま作業を見続ける石橋…

柱からは…
「石橋ちゃんかぁ…あの子苦手なのよね」

ビダンさんが覗いている。

2001年7月5日

黙々とコバッタやヤドカリを増産する日々。
弾も次回に向けフルバースト60時間分増やしている。

製造に使う資材はまだたんまりある。メタルマックスで回収したのがまだ残っていて、
ドックで次々解体されている。
またターミネーター…
以後T2B、ターミネーター2歴史改変前の世界の意味で使わせてもらうが、
で回収した残骸もまだまだ解体中。

燃料もとりあえず水素はほぼ無尽蔵に生産され…貯蓄も大丈夫だ。

「カオルさん」

「あ、まりもさん」

「明日出撃なんですね」

「ええ、まぁ」

「無事に帰ってくるのをお待ちしています」

「ありがとうございます」

「本当は…この…ま」

「ん?本当は?」

「あ、いえ…ではこれから教練ありますので」

「頑張って訓練分隊を鍛えて下さいね」

「はい」

夜…

昼間にタバタやら河田さんが来襲してきたが、
コバッタを増やしたかいがあったようだ。
既に1000を超えていた。

この三日間で…
スフィンクスが190機増産され合計407機。
G6ライノも160両完成してた。
ホバージープも定数をみたしていた。

「さってといよいよ明日か」

[だね…アメリカも注目してるし]

「あ、そうなん?」

[スパイ衛星が佐渡島ラインに集中してるんだよね]

「ふ〜ん……まぁ明日は頑張るか」

[あ、紀伊型データーもらえたよ〜鯖にはいってる]

「お!じゃあ、出撃した後でになるがー」

[でも今は建造ドックの空きが3つだけね]

「そうか、じゃあ…紀伊型2隻とこんごう型明日建造よろしく。設計は…」

鯖データーから…両方

鋼鉄の咆哮はこの後いく予定でその部分も考え…

こんごう型を選択し水素無限システム…
いわゆる海水から水素を精製し、それを水素エンジンで動力をえる。
魔こんごう型の試作艦を…

[了解〜武装は艦体ができあがってからでも間に合うからね〜]
紀伊型も同様に艦体を注文しておく。

「さて…後は明日か…」

2001年7月6日

出撃の日。

今回は移動手段がない状態の強襲総力戦の為、
虚数空間に異世界軍の各機をヤドカリ君を搭乗状態で引き込み、
出した瞬間に戦闘可能なように準備を整えていた。
機械は疲労を覚えない…臨戦体制を維持したままでいられるのも強みだろう。

「11号留守よろしくな計画通りに」

[イエスマイロード]

地上にでるエレベーターにのると、途中で石橋が乗り込んできた。

「カオル出撃なの?」

「ああ」

「単独で?」

「あ、今回は虚数空間に入れて強襲するつもり…だから単独でないよ」

「あ、そうなんだ…絶対に帰ってきてよ」

「ああ、俺の力、わかってるだろ?」

「…うん」

地上エリアに着きカオルは外にでる通過に向かう。
ついてくる石橋…

ゲート外にでると…
「じゃあちょくら行ってくるわ」

飛び出すカオル。

石橋、無言でカオルを目で追う…

カオルが見えなくなった先を見つづける。


== 横浜白陵基地司令部 ==

異世界軍の出撃との為に結構な数の要員が司令部に詰めている。
報告では、いつのまにか1個連隊強になってるから出撃管制等必要になるだろうと…

が…

「はぁ??出撃したぁ??」
内線先が11号らしい。

「あ〜皆、なんか特殊能力で運ぶから今回は出撃管制は無しだって。
お疲れ…通常勤務体制に戻って」

ご愁傷様です。


……

カオル報告

出撃中なのでまとめられません。




寸劇風後書き

作者「久々にマブラヴでの戦闘パートになるなぁ…」

伊隅「………むぅ…見送ろうと、隊員達と待ってたのに、こういったわけか」

作者「あ、隊長…後書き初出演すね」

伊隅「まぁな…けど作者、私達の出番が」

作者「………すみません」

伊隅「絡みにいかないと駄目なのか……」

作者「多分そうですね…」

伊隅「して、作者。勝算はあるのか?」

作者「それは次回、第何次?佐渡島間引き作戦200107をお楽しみに!!」

ナギ大尉「第何次って…」

作者「多分7か6?帝国さん含めたらだし…」

H24年4月14日改稿

H25年2月再改稿



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