第118話『アラスカ逃避行』


何故ユーコン基地にて大規模テロが起きなかったのに、
ブルーフラッグ再開が遅れたかというと…

まず破壊による復興と再生、
既存権益を守りながらの発展…
どちらが早いかというと前者である。

リアルでいえば第二次世界直後からの日本及びドイツの復興、
またその前には東京湾大地震がある。

更にこの世界はBETA戦では死体が発見されないのが通例であり、
戦死者の内精々1%程度が身内に戻ってくるだけである。
つまり死体捜索の為に労力を割く余裕はなく、破壊された跡地などは、
生存者捜索後に遺体とともに除去、直ぐに再建にかかる。

遺体に対しては扱い軽いが、既存権益や生きている人命等は護る、いや保護する動きをする。

それはそうであろう…
ここに公共道路をつくるから、立ち退いてね…
の案件を例えると、
立ち退かないから住民ごと重機で潰したりはしない。

まずは交渉し、和解の方向を探り、
それが決裂して裁判等で命令や計画変更、
最後は強制執行で人命は保護しながら…
それでも代替権利を保障はしている。

それと同様に恭順派による破壊工作等を防ぐが為に…特に各国の最新鋭試作機を取り扱っている。
衛士の安全を確保するまで延長はさせていた。
つまらないトラブルでそのトップ技量を喪わせる訳にはいかない。


破壊と再生と既存保護の関係はもうわかっただろう。

そして、恭順派の潜伏化による陰湿化。

恭順派はこちらの施設を壊したり、
住民を殺害したりも躊躇はしない。

それである恭順派の例を上げるとすると、
恭順派が逮捕直前に仕掛けてあった時限爆弾を作動させ逃走してく。
爆弾はダイナマイト20本分であり、住民避難にあたる人員、解除を試みる人員に割かれ、
更に運良く逮捕できても…即自決し解除方法がわからずに、建物が破壊され…

つまり自分の命でさえ躊躇はしない。

更にスリーパー…潜伏者として一般市民の中や軍関係者の中に紛れこんでいる…
かなり厄介であった。

かといって無作為に証拠も無しにひったて自白剤投与し、
情報引き出す為に廃人同然にしなければならないが、
全く無関係な人物にする訳にもいかない…

自白剤投与しなければ強固な意志をもつ恭順派は情報を漏らさない…
恭順派は例えばBETAに殺された息子の元に行きたいが為に、BETAの進行を助け殉教しよう等の集団である。

そういったジレンマで証拠を自力で集めざるえなく、
捜査がなかなかすすまない。

そしてユーコン近郊のソ連のある施設で爆発がおき崩れおちた。

手を拱いているわけにもいかず無傷で記憶を探る方法をもつ…擬体治療技術がある異世界軍が協力要請、
捜査の手は進む…
だが逮捕した恭順派の記録を隅から隅まで映像として再生しなければならず、
見落とし箇所がないように観るが為に人手がやはり足りず、
その為にも時間がかかっていた…

やっとスリーパーが一掃し、安全宣言がだされた次第であった。


ユーコン基地から手を引いた恭順派残党はアメリカ本土へいったらしいが、
おいかける人手もたりないので異世界軍の関与は此処まで。
実動部隊、ミスリルチームは他のテロ組織潰すのに大忙しであった…

……

帝国時間25日1時、現地時間24日朝7時頃…アラスカの地。まだ太陽が昇らないが夜の闇がうすくなり…朝焼けが空を赤くする。
現地の空は快晴…前日まで続いていた吹雪は止んだ。

ユーコン基地ソ連区画ではまだ騒然としていた。

そのユーコンより約300km程離れた無人地帯…
かん高い音が段々と大きくなってくる。

かなりの音をたてて、川に波紋がおこり、そして波が…大波がおこる。
波や音が落ち着くと…あたりは静かになり何もなかったかのようになる。

いやその後何かの機械音はして何かが飛びさっていく音がした。


異世界軍横浜基地から派遣されたA-80改がECS状態のまま着水し、
ハッチから飛び立つECS仕様のフライングボードが、
T-850をのせ救助地点へと向かっていった…


……


異世界軍の男に保護を求めたユウヤ・ブリッジスら3名は、廃屋に潜伏していた。
距離にしてフォートユーコンより12kmの距離である。

灯台元暗し…

勿論捜索の手は潜伏場所までのびる。

捜索犬にとってはオゾン臭いとわかるが、
犬に覚えこませたのはあくまでも私物の匂いであった。

犬自身にとっては対象の匂いではなく、反対に強烈な匂いに消され反応せず。

捜索の手は明後日の方向へと…

「よしいった」

「いっちゃったね」

「ふぅ〜…」

構えていた拳銃をホルスターにしまうユウヤ。
もう一人は上半身裸のT-850。
それと微笑むイーニャ。

彼らは回収機を待っていた。

何故犬ばかりでなく人をごまかせたかというと、
携帯用ECS発生器にて廃屋、及び不知火弐型を視覚及び嗅覚から隠している。

使い捨ての携行性に優れた携帯用ECS発生器、
周囲の大気を湾曲させ、
有効範囲5m四方上方まで、作動時間1日。
不知火弐型及び廃屋に幾つも付けられその姿を隠していた。

勿論欠点もかなりある。
空中に散布するので強風時は露見、
正確なボタンの位置を覚えておかないと装置が止められない…

上記欠点については敵対者も無線マイクが強風の為使用しにくい、
弾が強風で曲がる、人が風で転がされる等悪条件重なる。
また先にT-850が探知し判断し処理するし、
敵対者が遭難と判断されるケースもあるだろう。
実際テントがはねとぶクラスの強風下で、
遭遇戦ならともかく対人侵攻戦はしたくもない筈だ。
戦車内や戦術機内ならともかく、
屋外においてはバッタリ敵兵に目前に遭遇もありえるだろう。

下記欠点については覚えていれば問題なく、
T-850がいる限りは…無問題であった。

いなければ?…
手探りで装置を探し、ボタンを押さなければならなく、時間がかかるだろう。


……

加害者側で居られる唯一の日系…いや日本人…
少なくともXFJ計画関係者で動けるのは自分だけ…

開き直るしかない、俺の思うままに行動するしかない…
立ち止まる事は許せないんだ。
無自覚な加害者でいるだけではない…
何かを選ぶ事、全てを取りにいく事…

「お願いユーヤ、クリスカを助けて!」

負けるとつよくないからクリスカが廃棄処分されると…

「ユーヤ、お願い、クリスカをたすけて…助けてよぅ」

……

「いなくなっちゃうの…こわれて…消えちゃうの」

「じゃあやっぱり…殺されるって事なんじゃねえのか」

「うん…そうだよ」

……

「私…もっと強くなるから…クリスカ…クリスカ…クリスカ…離れ離れになるなんていやだよぅぅぅ」

……

XFJ計画と不知火弐型に少しでも生き残る道を…

DIA、ウェラーからクリスカ達の救出の協力を申し出された…

だが前線の状態をみたいじょう…一概にソ連の非人道的政策を、切っては捨てられない。

国境越える話になり強奪しろと…
ウェラーの話は推測等も勿論含まれており、
非殺傷手段を用いて手筈を整えると誘われ、
ユウヤは決断した。

……

機体強奪はDIAの陽動、発煙筒の使用によりうまく進み…

施設に向かう最中に改めて、彼女らがオルタ3技術で作られた人工生命体を米ソ両方の立場から話をきいた。

サンダークの、より多くを救う道を選ぶ、
特別な能力を授け、作り出された生命兵器…

確かにそれは間違いとも言い切れない。
そして、ABSは施設外では作れない事実を知らされ…

サンダーク機中破後とった行動はイーニャを乗せ、
以前連絡とった者へ保護を求めた。

……

「あのプールで治療中って事か…」

(クリスカ…)

救助カプセル内には眠っているクリスカが入っている。
イーニャが思いっきり背伸びをしシールド内部を覗こうとしていたが…


投薬中止して8日から2週間が彼女らが生きられる期間、
そしてクリスカが投薬中止させられて既に5日目、
リカバーできる期間を過ぎていたと聞いたが、
助けを求めた相手の判断は間違えてはなかったと、
ユウヤは幸運に思っている。

……

渡されてた腕輪型通信機に出た男は、
合流後に判断するとして場所を指定した。
雪の中待っていた上半身裸の男と合流。

「このプールシステムに彼女を入れろ」

指示に従うと…

「喜べ、このプールで治療すれば助かるぞ」
と…

イーニャも治療の必要と判断されたが、猶予がある。

まだ入って眠りたくないと言われ、イーニャの意思を尊重し…

……

突如として、
「迎えがきた」

「はっ?何いってるんだ?」

回収機がくる事を聞いていたが、音すらしない。

「外に出るぞ」

「おいまてよ」

ユウヤの制止を意もしなく外に出てく男。

外にでていった男を追うと、
もう一人上半身裸の男がこちらに走って来る。

その男が近寄ってくると…
(ロープ?)
何かを引っ張っているように見える…

だがロープの先がない。
切っ先が空中に浮かんでいる。

(空に浮かぶロープ?)
軽い素材ででも出来てるのだろうか…

男は足をとめるとロープが自然と前に進み張り…
手繰りよせる動作すると…

でっかい平べったいものがロープの先に…いや繋がって姿を現した。

……

話を聞くとジェット推進音を出さない様に、
空中浮遊できる回収機だった、途中から引っ張ってきたと…

浮かぶのに音ださないか?には別原理らしい…

確かに誰も追跡者をみず、
その変わり、男の脚力の速度80kmまでしか出せないが…と。
(80kmで走れるならスゲーよ…)

……

「つまり…ここの範囲内までいけば、
視界は役にたたずレーダーも使用不可になると?」

合流後のミーティング。

巨大輸送艇が着水している周囲には遠隔用ECS空中散布器で、
半径800mの円状フィールドがつくられていて、
フィールド内に到達できればレーダー及び視覚は欺瞞できる。
音に関してもノイズを発生させれば反響するので正確な位置特定不能…
距離にして約300km先と説明を受ける。
推進剤も何とか足りる。
視界を完全に隠す装置がある…信用するしかない。

「ああ、そうだ」

そこまでの移動は最高速を出して、なるだけ早く移動せざるえない…
ECS仕様ならともかく、
通常移動物体には携帯用のは露見する為に使用できなく、
時速4kmあたり、人間の歩行での移動でなら露見はしないが、
出力時間切れで露見するし、
予備のECS発生器はもうないと聞く。
昨日の吹雪の際に予定数の3倍使用したのでその手は使えないと…。

いち早くそのエリアへと飛び込む必要があるわけであり…
幸いにしてクリスカ達はフライングボートなる回収機に乗せられる。
最高速度は不知火弐型より早く先行する。

問題は不知火弐型だ…

男達は対人格闘等個人戦闘技術、探知技術には優れているらしいが、
衛士ではなく不知火弐型の操縦はやれない事はないが難しい…

完全破壊し輸送機に同乗するか、
ユウヤが乗り指定エリアまていくか…

その二択…ユウヤは操縦し指定エリアまで向かう事を選ぶ…

……

潜伏場所から発進する両機、
フライングボートは先行していく。

もうECSは作動してなく、アクティブ・ステルスのみ。

暫くすると3機接近を探知。
迷いなく接近してくる。
(へっ…レーダーに察知されないのによ…)
識別信号は…

『おい、止まれユウヤッ!テメェ…何してんだよっ!』

(1番会いたくなかった奴らが来ちまったな)
アルゴス試験小隊の仲間達。

『…待てったら待てってばっ!理由を聞かせろよっ!!
ユウヤ!返事をしろ、コラーッ!!』

『無駄よユウヤッ!あなたの癖は見きってるわ!』

(振り切るには迎撃するしかないんか?)
最高速及び巡航距離はF-15ACTVが勝ってる。
2号機よりは改修で出力が若干勝るが、
ACTVからは逃走を続けても振り切れはしない。
距離にしてあと80km…

『ユウヤァァァ』

『投降しなさいっ!これ以上、唯依を悲しませないでっ!』

『頼む、ユウヤ!頼むから降参しろォ!
あたしらにおまえを撃たせるつもりかッッ!』

「撃てッ撃ってこい!
それ以外おまえ達の関与を証明する方法はないんだッ!」

『ッ?』

『ユウヤ?』

『熱に浮されてるようね。少し冷静になりなさい。
あなたの人生をすてることになるのよ?
開発衛士の地位も名誉も既に失ったのも同然…何もかも捨てて犯罪者になりたいの?
……投降しなさい…さもないと』

抜刀する。

『ユウヤ、おまえ…』
『な―っ!脳みそにボーフラでも湧いたのかよ!』

『交渉決裂なようね…』

戦闘回避できない…
しかし…新たに4機接近する機体が状況を変える。

『アルゴス試験小隊に告ぐ、私はソビエト陸軍のドミトリー・ガヴェーリン中尉だ。
貴隊の我が領内における戦闘行為は許可できない。直ちに国境外き退去されたし…繰り返す―』

『あ〜当方は国連軍ユーコン基地所属のアルゴス試験小隊だ。
逃亡機追跡の命令を受けて行動している。
ソ連領への進入については許可を得ている。
というわけで引っ込みな!これはあたしらの問題だ!』

『我々の行動は国連任務の一環ではない。自衛権の行使である。
命令に従わない場合は、実力で排除する』

『ふざけんなこのタコ!あたしらが作ったフェイズ3の情報を盗むつもりなんだろっ!?』

『ここは仕方ないソ連軍を優先して抑えるぞ』

『ほんと困ったものね…
これじゃ逃げられちゃうじゃない』

反転してく小隊各機。

(お前ら…)

ソ連機は抑えるからとっとこ逃げろと…

(ありがとう…生き残れよ)


……

SU-47が迫ってくる。
「クッ…マーティカか!」

アクティブステルスにより相手の射撃管制がきかない筈だが、
かなり正確な射撃だ。

「後は誰だ!?」
あの機体は二人乗りの筈…

『もう一人のイーニャなの!!未来が見えちゃうの!!』

「イーニャ?クリスカは?」

『安心しろ、輸送艇内に移した』

「そうか…イーニャ、未来が見えるのか?」

『うんっ!』

「何秒先だ?」

『えっとねぇ…2、3秒あたり』

「…チートじゃねぇか」

あのクラスの腕ならそれで十分だ。
2秒の未来が見えるなら対応できるだろう。

……

ビービービー
戦闘機動に切り替わり、推進剤不足警告音が鳴り響く。
(チッ…1戦したツケがきたか)

施設襲撃の際SU-37UB、サンダークともかなりやり合った。
その時点で推進剤をかなり使った。
戦闘機動は巡航に比べかなり燃費が悪くなる。
誰かを襲い推進剤をパクるべきだったなと今さらながら後悔した時…

『ユウヤ、相手の動きを封じる…
指定空域に突入しろ、1km圏内に空中散霧をしかける』

「わかったよ。オッサン」

新たに指定されたエリアへと逃走、SU-47が追撃をかけ…

ボンボン…

俺が突き抜けた直後に外部マイクから音をひろう。

空中に霧が発生し、SU-47がつつまれる。

暫くすると…SU-47の速度が…

『接着剤を空中散霧した。
間もなくあの機体は不時着せざるえなくなる』

「最後は機体性能で決着つけたかったがよ…」

こっちの推進剤を示すメーターもあと4分飛べるかどうか…

……

SU-47が雪で覆われた地面へと突っ込み、動かなくなる。
無理して飛ぼうとして、唐突にエンジンストールした主機の勢いが殺せなかった模様であった。

下手な角度で突っ込んだ為心配したが、雪で衝撃を吸収できたか爆発も起きず…
多分推進剤をパージした可能性もある。

「推進剤を拝借しないとな。パイロットの容態もみたい」

相手の機体のバイタルモニターは若干出血ありをしめしてはいる。

地面に墜落した機体から衛士を救出、プールの中にいれ…

「マーティカは?」

「……」

「なぁ、マーティカは?」

「来ないでっていってる」

「え?」

「どけ」

「ちょ、おっさん」

押し退けたおっさんが機体の中に入っていき…

「機体を回収しよう。それで彼女は助かる」

「ほんと?」

「…挟まってるかなんかか?」

「そういった様なもんだ。バッテリーが続く限りは生命維持装置が続く。
フライングボートに積載してくれ」

「ああ、わかった」

輸送機まで約40kmの距離。
中をみていた男はそう判断し、男は素手で何かを破壊させた。
多分位置情報装置なのであろう。

……

機体をフライングボートに引っ張りあげて乗せ、
推進剤を拝借し、

再び指定エリアに再び向かう…

心配した追撃部隊はもう見えずに…

突如として現れた巨大飛行艇、
そのハッチに機体を潜りこまし…

爆音が高まり…ユーコン川から離水するA-80改、
すぐさまECSが作動し…
アラスカ警戒網を悠々と突破してく…

……

午後横浜基地

タケルはシュミレーターの中にいた。
歓迎会を兼ねた1on1の対戦術機戦闘訓練をA-01部隊内で行っていた。

(腕は前回の世界よりか若干あがってる?位なのか…
けどハードに頼ってるよなこれは)

前周、A-01で対戦した事あるのが、伊隅、速瀬、風間、宗像、茜、柏木の6名であり、
他の者は前の世界では既に戦死や引退していた為判断には加えてない。

OSがあったとしてもハードがここまで発達してなければ、
戦死者でてもおかしくないな…と、
対BETA戦対ハイヴ戦に関してはタケルは判断していた。

ハード面の新型機体である魔不知火に関しては、
(身体にかかる負担もあんまりないし、機動も想うように動く!!
ストレス感じね〜!!)
タケルは湯水をえたごとくすぐに魔不知火に馴染み、
実機をテスト始動後、対人シュミレーターに入ってる。
OS自体も前に乗った時に既に慣れ、
XM3と比べれば入っていない機能もあるも難なく対人戦に入っている…
というわけであった。


武は前の世界において最終的には凄乃皇であ号撃破までいった。
また横浜基地防衛戦や佐渡島ハイヴ攻略戦等実戦を不知火でこなした。
実戦経験アドバンテージがある。

またシュミレーターにおいても僅かな期間ながら経験アドバンテージがある。

そのアドバンテージを駆使し対人戦で歴戦の部隊であるA-01の一人一人に勝ち続け…

伊隅隊長にも三次元機動を用いて勝ち、
速瀬とも良い勝負をしていた。

そして…
「よっしゃー!!」

『もうなんなのよ!!この変態機動!!』

見事にコクピットブロックに高周波ブレードを突き刺し、
スクランブルポット排出の判定を与えた。

『我が隊が事々くやられるとはな……白銀、しばらく休憩のち別の者と対戦だ』


「了解です」
(けど別の者??A-01の皆とはあたったよな…)


しばらくすると…
「白銀、出番だぞ」

「ういっす」

シュミレーターに乗り込み、起動する…

市街地戦…1on1…

(相手はまだ反応なしか…)

『ウォォォォン』

外部センサーが音を拾い、咄嗟に音の方向へと機体を向ける。

(な、何?今の狼のような叫び声は…)

機体レーダーに感。

(なっ…!!)

ターゲットは、物凄いスピードで地上を接近してくる。
隠れようともせずに…

(嘗めやがって!!一斉射で決めてやる!)

武の機体は、予測地点にむけ…
(今っ!)
マシンガンを斉射するも…
(ちぃっ)

相手の機体はビルを蹴り、影に隠れる。

(なろっ!!)
上空に踊りで三次元機動をかますも…

(なっ!どこだ?)

捕らえたはずの敵機がいなく…

ビィー

機体を滑らすか、接近警報がなり響くかどっちが早いか…

滑らしながら牽制しようとマシンガンを向け…

(撃震!いや四足?)

撃ち放つ。

撃震はまたもさけ…
更に接近し大きな口で噛み付いて…

『白銀機コクピットブロック損傷甚大、大破。状況終了』

「なんなんだよ!!あれ!」

思わず愚痴がこぼれでた…

「四足?いやゴリラか……こっちの反応速度遥かに上回りやがって」
シュミレーターから出てきて、
「白銀でも無理だったか…」

「隊長、あれなんすか?」

「魔撃震カオル仕様だそうだ…」

「お疲れ〜」
(あ、あのまりもちゃんの…)

「カオル殿、ありがとうございました」

「いやいや、結構楽しめたよ」

「カオルさん、一つ質問なんですが、あの機体は…」

「エヴァ仕様…生体駆動だね」

「!!…筋肉ついてるんすか?」

「あ、知ってるか…ま、中身はまるっきり違うね」

「乗せてもらえません?」

「コクピット改修とかしてないからGがなぁ…ハイヴ戦後ならいいよ」

「わかりました。そういえば、OS改修したのカオルと聞いたんですが、マジですか?」

「ああマジだよ」

(なら…先生に頼むよりリスクなさそうだな…)

「実は…」

コンボ、先行入力について提案してみて、
追加実装をお願いし、約束まで取り付ける。


……
カオル報告

コンボねぇ…セミオート、ショートカット…先行入力…フム…




寸劇風後書き

H24年6月11日改稿

ナギ大尉「完全に変わって来てるわね…」

作者「だなぁ…もとの部分が武ちゃんのシミュレーターしかないな…」

ナギ大尉「で、マーティカは?」

作者「えっと…後の話にもってきます。原作では悲しい結末でしたので…」

ナギ大尉「あと、もう一人のイーニャって?」

作者「……同じく後程で〜」

H25年7月再改稿
トータル描写投入



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