他の組の対戦が終わり、アスランとラウラ、一夏と箒のチームの対戦となった。
千冬はピット内で一夏と箒にアドバイスをしていた。
「いいか、織斑、篠ノ之。相手は学園最強の一角のザラと多分代表候補生で最強のボーデヴィッヒだ。間違いなく優勝候補筆頭だ。更にザラはオールラウンダーだが接近戦が得意、ボーデヴィッヒは中距離戦と組み合わせの愛称もいい。お前らの勝敗は相手の連携をいかに分断できるかに掛かっている」
そのアドバイスに頷きながらカタパルトに歩み寄る一夏。
「織斑 一夏、白式、行くぜ!!」
一夏はそう言うとカタパルトに押し出され飛び立つ。
一夏を見送った後、箒も打鉄をカタパルトまで歩ませる。
箒の打鉄がカタパルトに固定される。
(私も発進の時、言うべきかな……)
発進の許可が下りた。
箒は躊躇いながらも言う
「……篠ノ之 箒、打鉄、出る!!」
そう宣言するとカタパルトから飛び出す箒。
鮮やかに舞いながら地上に降り立つ。
アスランとラウラは反対側のピットのカタパルトで会話を交わす。
「ラウラ、一夏の相手はお前に任せる。因縁があるんだろ?」
その言葉にラウラは言う。
「いいのか? 誤って殺すかもしれんぞ?」
「その時は俺が止めるさ。だから、思いっきりやれ」
その言葉にラウラは頷く。
アスランはジャスティスをカタパルトまで歩ませると足をカタパルトに固定させ発進シーケンスに入る。
「アスラン・ザラ、ジャスティス、出る!!」
そう言うとアスランは空へと飛び立った。
ラウラはアスランが飛び立った後、シュヴァルツェアレーゲンをカタパルトまで歩ませ、足を固定させる。
(嫁と同じ様に飛び立つのも悪くは無いな……)
そう思ったラウラは目を閉じ大きく息を吸い込み、そして吐き出すと発進する。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ、シュヴァルツェアレーゲン、出撃する!!」
お互いの機体が地上に着地し、向かい合う。
『それでは1年ブロック、第3試合、アスラン・ザラ、ラウラ・ボーデヴィッヒ対織斑 一夏、篠ノ之 箒の試合を開始します』
そのアナウンスと共に生徒だけでなく各国の代表も熱い視線を注ぐ。
アスランはジャスティスのビームサーベルをアンビデクストラスハルバードモードにし構える。
ラウラはアハトアハトを展開する。
一夏は雪片弐型のビーム刀を展開し、箒は打鉄の刀を構えた。
『始めてください』
その瞬間、先制攻撃で先に動いたのはラウラだった。
ラウラはアハトアハトを一夏と箒の合間に撃ち込む。
「チッ!」
「クッ!」
一夏と箒はそれぞれ別方向に回避した。
その瞬間、アスランは箒に接近しながらハイパーフォルティスを牽制射撃で叩き込む。
ソレをマトモに喰らった箒はシールドエネルギーを消費し体勢を崩した。
「箒!?」
叫びながら箒の援護に向かおうとした時、赤いビームと緑のビームがソレを阻む。
「お前の相手は私だ」
ラウラだ。
「クッ! 邪魔をするな!!」
そう言いながら一夏は直線的に突撃し、ラウラに切り掛かる。
しかし、ラウラはAICを展開し一夏の突撃を阻む。
「馬鹿が付く程の直線的な攻撃だな。それでよくもあの人の弟を名乗れたものだ」
そう言いながらラウラは一斉砲撃で一夏を撃ち落そうとするが、一夏とて伊達にキラ達の訓練を受けてはいない。
イグニッションブーストでラウラの一斉発射を回避した。
「何!?」
驚きの声を上げるラウラ。
まさか一夏がここまでするとは想像も出来なかったのだろう。
その侮りが油断となって現れてしまった。
一夏はラウラの後ろを取るとラウラの背中を蹴り、イグニッションブーストを発動し、アスランと箒の間に割って入る。
「私を踏み台にした!?」
ラウラは衝撃を殺しながら体勢を立て直す。
「私を踏み台にした報い、払ってもらうぞ!!」
そう言いながらラウラはアハトアハトを構えるが撃てなかった。
「クッ! こうもアスランに近づかれては誤射してしまう」
そう言いながらラウラは空へ飛び立ち一夏を追う。
アスランは箒に切り掛かろうとした時、一夏の接近に気づきビームサーベルを左手に持ち替え、右手でビームライフルを掴み撃ち込む。
「クッ、おおおおおおおおおおおお!!」
一夏はそれに構わず雪片弐型をアスランに振り下ろす。
アスランはソレを回避しながらガラ空きになった一夏にビームライフルを叩き込もうとするがソレを体勢を立て直した箒が阻む。
「させるかあああああああああああああ!!」
箒の斬撃をビームサーベルで受け止めながらアスランは再び一夏にライフルを撃ち込もうとするが体勢を立て直した一夏がイグニッションブーストで再度接近を試みる。
「勇敢だな。だが、あと一人を忘れているぞ?」
その言葉と共にラウラが一夏に迫る。
一夏はイグニッションブーストを止めずにアスランに挑むがラウラがソレを阻む。
「させない!!」
そう言いながらラウラは3連装ビーム砲と背部バラエーナ改2連装ビーム砲で壁を作り一夏を遮断する。
一夏は慌ててイグニッションブーストを逆使用し回避する。
一夏はイグニッションブーストをカットするがソレが不味かった。
ラウラはソレを見越してビーム爪を展開、一夏に切り掛かった。
一夏はソレを雪片弐型で受け止めた。
激しい鍔迫り合いが展開し観客は沸きあがる。
「なるほど、アスランの訓練を受けているだけの事はある。いい判断と剣技だ。だが、甘い!」
そう言うとラウラはAICを展開した後、連装砲を一夏に向けるとソレを一斉発射した。
爆煙と爆風が一夏を包み込むが一夏はそれにめげる事無くラウラに接近する。
「馬鹿の一つ覚えが! 私の制止結界は抜けられない!」
そう言うとラウラはAICを展開するが、一夏が突如として目の前から消えた。
「何!? 見失った!?」
そう、一夏はAICを展開する直前でイグニッションブーストを展開したのだ。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「クッ!?」
(静止結界が間に合わない!? なら!!)
一夏は後方からの奇襲に対応が遅れるラウラ。
ラウラはビーム爪を展開し一夏の直進を阻む。
突き出されるラウラのビーム爪。
しかし、一夏はソレを掻い潜りすれ違い様にラウラを切り裂いた。
「悪いな……千冬姉の名は汚させない! 俺はもっと強くなる!」
その言葉を聞いたラウラは笑みを浮かべる。
「良いだろう……私に勝ったのだ。ソレを言う資格はある。一応は認めてやる。織斑 一夏」
アスランは箒と空中で斬り合っていた。
箒は素早い太刀捌きでアスランに攻撃を仕掛けるがアスランはそのことごとくを退ける。
「クッ!?」
焦る箒にアスランはアンビデクストラスハルバードモードを解除し二刀流で箒を攻撃する。
「相変わらず攻め手に欠くと焦って剣技が疎かになるな。箒」
そう言うとアスランはグリフォンビームブレードを展開し箒の左足を蹴り斬る。
「きゃああああああああああ!?」
箒は悲鳴を上げながらバランスを崩し落下する。
「箒!? クソ!! これ以上、やらせるか!!」
一夏はそう叫びながらアスランに斬り掛かるが、アスランはその超絶的な技量で回避して見せた。
「おおおお!!」
そう叫びながら体勢を立て直した箒がアスランに一太刀浴びせようと迫る。
しかし、アスランは右手のビームサーベルで一夏をあしらいながら左手のビームサーベルで箒の相手をしていた。
2対1の圧倒的優位の筈が一夏と箒からは余裕が感じられない。
(クソ!! マジかよ……機体の出力や武装面で制約を受けていてもこの実力かよ! 実質2対1だぞ!?)
一夏は内心焦りながら距離を取る。
箒もまた距離を取る。
この試合を見ていた観客、来賓は唖然とする。
アスランの余りの太刀捌きの冴えとIS操縦技術に。
正直、1年にしては余りにも強すぎるのだ。正式な代表としても通用するレベルの太刀筋に唖然としながら見ていた。
観客は兎も角、来賓は男がISを操縦できると言う物珍しさからこの試合を見ていただけに過ぎない。
しかし、蓋を開けて見ればアスランの化け物ぶりに恐れを抱いた。
(残りシールドエネルギーの残量も400を切った。このままダラダラ戦ってたらコッチが先にエネルギー切れで負けちまう……なら!)
一夏は此の侭では埒が明かないと思い、勝負に出た。
イグニッションブーストを最大にし、アスランに急速接近した。
「一夏、お前は焦ると博打に出たがる。悪い癖だ」
アスランの冷静な声と共に桃色の斬撃が無数に一夏を襲った。
「な!? ぐわあああああああああ!?」
一夏からすれば何が起こったか理解できないが簡単な事だ。
アスランはビームサーベルをアンビデクストラスハルバードモードにすると、一夏の雪片弐型のビーム発生デバイスを切断、そして、右腕、右足、左足、右腕を切り裂き、更に擦れ違い様に一夏の背部スラスターを切り刻んだのだ。
しかし、その速度が尋常では無い。
イグニッションブーストを超える反応速度と斬撃速度で切り裂いたのだ。
斬られた事を一夏が理解したのは白式の警告画面が現れた時だった。
一夏は重力に引っ張られ地上に落下す。
しかし、アスランは落下する一夏を踏み台にし、箒に高速機動で迫った。
箒はそれに反応できずアスランの斬撃をマトモに喰らう。
右腕を破壊され、今まで蓄積されたシールドエネルギー消費によりシールドエネルギーが空になる。
こうしてアスランとラウラ、一夏と箒の試合はアスラン達の勝利で幕を閉じたのだった。
あとがき
アスランがチートすぎる気がする……
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