「MS隊は迎撃態勢に移れ、シャトルに近づけるな!」

  スペースシャトルの護衛艦〈ラマルク〉艦長 キレド・ドレンは咄嗟に命じた。ここまで来て地球連合と接触することに成ろうとは、運の悪いものだ。
だが相手は所詮パトロール部隊であり、MSの持たない部隊など赤子の手を捻るも同然。電子兵器もNジャマーで封じてある。
後はMS部隊が料理してくれるのを待っていればよい。中立連盟が来るまでには方は着く―――勿論、我らの勝利だ。

「艦長、シャトルは如何いたしますか」
「先行させるのは流石に不味い。離れるなと伝えておけ」
「ハッ」

護衛と言う任務さえなければ存分に戦いようはあるだろうが、そうもいかないの現状である。しかも代表議員の1人が乗っているのだから尚更だ。
攻撃されて死亡してしまった等という結果は、絶対に避けなければならない事態なのだ。そうなれば自分の進退にも関わる。そんな不安も混ざっていた。
  地球連合軍のパトロール隊との交戦距離まで、およそ10分後になる計算だ。MSは先行しているため、早くて5分後には接触するだろう。
レーダーにて確認できたのは、巡洋艦1隻に護衛艦が2隻のパトロール部隊だった。MAは概算で10機から12機前後とみて間違いない。
艦数ではこちらが不利だが、その前に自軍のMS隊がMA隊を蹴散らせれば問題は無い。後はMSの攻撃力と機動力で翻弄し、そこに我が艦が砲撃を加えてやる。
〈ラマルク〉を始めとするローラシア級護衛艦の火力は、連合軍のネルソン級宇宙戦艦に負けず劣らずの砲戦力を有しているのだ。
 対する相手は砲火力で〈ラマルク〉に及ばず、ミサイル系もNジャマーで脅威足り得ない。こちらの集中砲火で片付ければ脅威ではない、とドレンは分析する。
先日の敗北の知らせから気の晴らしようが無かったドレンは、この遭遇戦で鬱憤晴らしをするつもりであった。

「進路このまま、艦首を2時方向へ回頭。砲撃戦準備」
「ハッ。進路固定、艦首2時方向へ回頭」

慣性の力で〈ラマルク〉は右斜めに艦首を回頭しつつ、進行方向は変わらず直進する形で航行を続けた。

「掛ってくるがいい、ナチュラル。アフリカでの勝利がまぐれであったことを、思い知らせてくれる」

  意気込むドレンだったが、そこでレーダー手が咄嗟に声を上げた。

「艦長、12時方向より多数のミサイル群を補足、数48!」
「予測で撃っただけだ。本艦とシャトルに害を及ぼすものだけを狙い撃て」

Nジャマーが効いている以上、電波誘導式のミサイルでは効果はない。
  だが、広範囲にミサイルをばら撒かれると多少厄介になるのは先日の戦闘でも明らかだ。まして、まぐれ当たりでもシャトルにとっては致命的である。
〈ラマルク〉は全砲門を開いた。本艦とシャトルへの直撃コースのみを急ぎ選定し、砲手がミサイル群を照準に捉えると砲撃を開始した。
緑色に染まったビーム火線を始めとして、実弾であるレールガンも順次発砲して向かってくるミサイルの迎撃に努める。
  御世辞にも射撃性能は高いとは言えないが、それは連合軍側も同じだ。日頃からレーダー射撃に頼っていた分、光学測定によるアナログ射撃のレベルは低い。
やがて第29パトロール隊の放ったミサイル群は、砲撃によって少しづつ数を減らしつつも接近を続け、遂には交差した。
それを見計らったかのようにミサイルは次々と爆破、対象物を巻き込まんとする。明るく照らされる宙域に、ドレンは忌々しげな表情で見やった。

「小賢しい真似を‥‥‥! MS隊はまだか」
「2分後には接触します」

よし、後はMSがMAを駆逐してくれる。ドレンが信じて心内で呟いた。時代遅れのMAに負ける筈が無いと確信するドレンだった。
  しかし、まさに接触しようかと言うところで、予期せぬ事態が生じる。

「エネルギー反応、本艦より10時方向に感知!」

言うが早いか戦場の中心に一筋の光が走ったのだ。薄い緑色に輝く光線は、今まさに戦闘に入ろうとしたMS隊とMA隊の丁度中間の宙域を横断したのだった。
それに驚いたドレンは、オペレーターに急ぎ確認を求める。

「何だ、新手か!」
「Nジャマーの影響により、減退したレーダーに反応無!」

レーダーの有効範囲には艦艇らしい反応は無い。もっとも、Nジャマーの影響でレーダー範囲が激減したのが原因でもあるが。
確認の取れない状況下で動揺が広がる兵士達に、ドレンは叱咤して冷静さを取り戻すよう対応する。
  突然の攻撃に対して、勿論のこと地球連合軍側も対応を迫られた。探知外からの砲撃に、カーマイン・リード中佐は邪魔されたと喚きたてる。

「何処の馬鹿だ、撃ってきたのは!?」
「探知範囲外で確認は不可能‥‥‥いえ、急接近する物体を捉えました! MAと思しきものが16、さらに艦艇が15!」

光速とはいかぬが、艦艇としてはかなりの速度だ。連合でも、ザフトにもこれほどの速度を持つ艦艇は無い。となれば考えられることは1つである。
リードのみならずザフトのドレンも同じ考えに至った。その答えを出すかのように、両艦隊に対して通信が飛び込んでくる。

『こちらは国際中立連盟軍所属、日本宇宙軍第1艦隊副司令官の高杉栄馬(たかすぎ えいま)宙将である。双方に通達する、戦闘を直ちに停止せよ』
「‥‥‥チィッ、連盟の奴らめ、しゃしゃり出てきおったな!」

  割り込んできた停戦指示を聞いてリードが舌打ちする。彼らの間に割って入ってきたのは日本宇宙軍第1艦隊で、その全戦力の約半分だった。

『繰り返す、双方は直ちに戦闘態勢を解かれよ。プラントには会談の交渉人が乗っている。これ以上に続けるのであれば、こちらも実力を持って対応するまでだ』

その声は自信に満ちたような、力強い印象を与えた。中立連盟としては戦闘を避ける方針だが、これ以上に地球連合がでしゃばれば間違いなく攻撃してくる。
リード自身も傲慢とはいえ自軍との戦力差は、誰が見ても明らかであることを自覚していた。
確認できただけでも、空母1隻、戦艦3隻、巡洋艦4隻、駆逐艦8隻という偉容だ。正規艦隊の半数程度でしかないが、今のリードからすれば脅威でしかない。
  しかも彼らは巡洋艦1隻と護衛艦2隻、MA隊十数機のみで、太刀打ちできる訳がない。ザフトも護衛艦1隻にMS6機では、戦力不足感は否めない。
あの戦闘艦艇を相手にして、勝てると思う程にドレンも浅はかではないのだ。
  さらに今の攻撃も十分に威嚇たるものだった。レーダー範囲外とされたポイントから、両軍が衝突するであろう大凡の接触ポイント宙域を貫いたのである。
この事実を知った瞬間、リードもドレンはまたしても同じ結果を導き出す。

(Nジャマーに左右されない装置を持っているのか!?)

あながち間違ってはいない。しかし、これは決してハード面での技術とは言い難いものである。レーダーの妨害が激しい中において出来た砲撃。
97式空間測距儀と呼ばれる射撃用スコープや、射撃観測用光学機器による成果だ。宇宙海軍はこれを常備しており、レーダー連動射撃とは別の砲撃システムを持つ。
先年の日本海海戦や対馬沖海戦で日本海軍が見せたアナログ的砲撃と、殆ど同じと言っても良い。レーダーに頼り切らない正確な砲撃が彼らの特徴であった。
  地球連合とザフトの双方は、この介入者を前にして取った行動は1つ。戦力の撤収と戦闘の回避のみだ。リードとドレンの決断と対応は速く、迅速に動いた。
まずドレンは、速やかにNジャマーを解除して通信状態の回復を図り、いち早いMSの撤収を命じる。

「止むを得ん、MS隊は直ちに戻れ。シャトルの周辺護衛に回るのだ。それとNジャマーを解除しろ」
「敵も引き上げていきます」

奴らも、そこまで馬鹿じゃないだろうからな。ドレンは晴らすべき鬱憤の矛先を失ってしまい、寧ろ鬱憤を溜めることになった。
戦場となり損ねた宙域には、日本艦隊が放った航空隊16機が旋回し悠々と飛んでいる。攻撃してきたらすぐに反撃してくる構えだ。
暴発しやすいと見られる地球連合軍も、渋々と言った呈で引き上げていくのが確認できる。
  その一連の様子を日本艦隊は見守っていたが、やがて旗艦 長門型〈陸奥(ムツ)のレーダー、光学測定機器からも、両艦艇が安全圏まで下がっていくのが確認できた。
41歳の堅物を思わせる男性―――幕僚 邑井良則(むらい よしのり)二等宙佐が口を開く。

「提督、どちらも引き下がってくれたようです」
「そのようだ」

安堵から、思わず冷や汗をかいた額を拭う54歳の軍人。第1艦隊副司令官/第3戦隊司令 高杉栄馬宙将。沖田の後輩で信任ある良将として名の上がる人物だ。

「司令部に打電。戦闘を回避せり、これよりプラントを護衛の任に付く―――と」
「ハッ!」

  通信士が復唱し、急ぎ日本軍司令部へと通信を送る作業を始めた。Nジャマーによる妨害行為も解除されたことで、通信は難なく行われる。
航空隊に対しては、そのままの飛行を続行させてプラントのシャトル護衛に就くように命じた。一応の備えである。
  一方でプラントのシャトルとザフト艦〈ラマルク〉にも、護衛をする旨を記した通信を送った。返事はまず〈ラマルク〉のドレンから来た。

『小官は、プラント所属 ザフト宇宙軍の護衛艦〈ラマルク〉艦長、ギルド・ドレンです』
「日本宇宙軍第1艦隊副司令官 高杉宙将です」

通信回線を繋ぐことによって、相手側の指揮官が通信画面に表示された。初対面の自己紹介から、ドレンには見えざる不満の色が表情の中に混ぜ込まれていることに、対面した高杉は気が付いたが、それについて特に口を出すことは無かった。
  ドレンが再び口を開く。

『‥‥‥先ほどは、危機に掛け付けて頂き感謝いたします』

その声には温情や感謝が含まれてはいない。寧ろ形だけであることは、高杉だけでなく邑井や他のクルーにも解った。邪魔されたのが余程気に入らなかったらしい。
ザフトとやらも、案外連合軍と似たり寄ったりなのかもしれん‥‥‥と、いうのはあくまで表面上の感想である。
  ザフトの全ての兵士が戦闘狂ではあるまいし、連合にしても常識的な軍人はいるのだ。沖田提督と戦ったという、アンドロポフ提督はどうしているのか。
一瞬はそんな考えが廻ったが、高杉は直ぐに思考を切り替えて返答する。

「大事にならなくて良かった。これより、我が艦隊はシャトルの護衛任務に就く」
『了解しました』

通信が切れると、高杉は邑井に向けて言った。

「余程、我々の介入が気に入らなんだ」
「構いますまい。あの指揮官がどう思うとも、シャトルに乗られている御仁が死亡してしまっては、元も子もありません」
「その通りだ。憎まれようとも、大切な交渉人を失ってはならんからな」

ドレンの不満を意に介するまでもなく、2人は護衛任務を続行することとした。
  だが、次にシャトル側からも連絡が入った。再び通信画面が開いた時、そこに映っていたのは女性―――アイリーン・カナーバである。
女性の議員が使節団として乗り組んでいたのか。高杉は多少の驚きを禁じ得なかったが、別に女性の活躍自体が珍しい訳でもないし、己の勝手な想像でしかない。

『プラント代表議員のアイリーン・カナーバです。高杉提督、危ういところを救って頂き、ありがとうございます』

こちらはドレンと違って、素直な感謝の意を伝えてくるのが分かる。高杉も名を名乗り返し、無事であったことに喜びの言葉を携えた。

「カナーバ議員が御無事で何よりです。何しろ、急な妨害電波と爆発による熱源反応がありましたから、急いで駆け付けてきた次第です」
『迅速な判断に感謝いたします』
「礼には及びません。では、先ほどお伝えしました通り、我が艦隊は護衛に就きますので、ご安心ください」
『分かりました。よろしくお願いします』

切れた通信画面をしばらく眺めやり、高杉は独り言ちる。

「さて、地球連合軍はどう言い訳をするつもりかな?」

地球へ降り立ったのは、それから約1時間後のことであった。






「プラント議員のシャトルが攻撃を受けただと!?」


  攻撃を受けたという一報は、国際中立連盟に激しい嵐をもたらした。日本閣僚議会場および軍中央司令部にも、嵐が吹き荒れるような慌てぶりだったと言えよう。
閣僚達は驚き、声を上げずにはいられなかった。

「連合の奴らめ、議員を消そうとするとは‥‥‥!」
「情報は厳重にされていた筈だ。それなのに、どうしてこうなったのだ?」
「内通者がいるとでも言うのかね」
「偶発性という事も有り得るぞ」

閣僚議会の場のみならず、様々なところで紛糾している。情報漏れと言う可能性があったのではないか、という指摘も出てきており、それは同時に疑心を招く。
内通者と言うのもあり得ない話ではないが、偶然に発見されたと言う可能性も捨てることはできない。
何よりも接触したという連合の艦隊は、パトロールが目的の小部隊であることが、その偶発的な可能性を秘めていると言っても過言ではなかった。

「もし内通で情報漏れが出ていたとしたら、この様なケチ(・・)な戦力で襲い掛かるものか?」

  そう評したのは官房長官の海原である。情報漏れがあって、それに基づいて攻撃してくるのであれば、余裕を持った戦力で叩き潰しにかかるだろう。
相手に勝る兵力で戦うことは、兵法の基本でもあるのだ。とはいえ、MSという機動兵器が台頭を始めたこの時代において、単なる倍の戦力では力不足になっているが。
それはさておき、この会談の交渉人への抹殺とも取れる連合側の行動。これに対して掣肘しておかねばならないのは、議会場において全員が一致した。
無論、他の連盟加盟国も大半が同意していた。重要な会談への妨害、プラント要人の抹殺未遂、はたまた軍部の暴動だとすれば、その監督責任も追及すべきだ。
  行政長官を務める藤堂は事態を重く受け止めると、海原官房長官を通じて直ちに会見を開いた。全世界へも訴えを発信することとなったのである。

「本日未明、プラントが派遣された代表議員の乗ったシャトルが、地球連合軍の攻撃を受けましたことは、事実であると判明いたしました」

記者一同はカメラやらを回して、彼の発言を記録し発信する。

「幸い、我が日本宇宙艦隊の救援により、事無きを得ました。この行為は誠に遺憾であり、国際中立連盟としては断固として抗議をする次第であります」

抗議の声明を記者の一同に対して言い放った。ここは連合に対して相当の釘を刺しておかねばなるまい、という処置も含まれていた。
それに独断専行が過ぎるとはいえ、自分らにも不手際があったのを認めざるえない部分もある。正式に会談をすることを発表すべきだったのかもしれない。
  だが、それはそれで恐れている可能性もあった。連合軍が、それこそ望んでアイリーン議員の乗ったシャトルを攻撃しに来るのではないか、というものだった。
知らせたら知らせたで、知らせないなら知らせないで、どちらを選んでも結果は悪い方向へ転んでいたのではないか。
政府高官達の中にはそんな結末が見えてしまったものである。

「議員が無事でよかった、と言いたいところだが‥‥‥連合はどう出るだろうか?」
「内部事情が漏れていたにしても、あの遭遇戦は偶然性が高い。恐らくはシラ(・・)を切るだろう」

  執務室の一室で考えに深け入る沖田と土方の姿があった。今回の一見は、確かに遭遇戦には違いないだろうが、沖田の心は釈然としなかった。
何やら裏めいた力があるのではないか―――と警戒している。別に確証があるわけでもないうえに、単なる世迷言の類だと受け取られるのが落ちだ。
しかし、この勘が実は的を得ていたことに気づくことは、相当後の事であった。

「会談はもうすぐ開かれるのだったな」

室内時計を見て土方が呟いた。予定では14時丁度に開かれることとなっている。どの様な内容の会談となるかは、その時になってみなければ分からない。
  また、先の様な事件があっただけに、警備体制は厳重を極めている。議会場も出入りが厳しくチェックが執り行われ、殺傷力のある危険物の摘発をしている。
もしや日本国内に潜り込んでいるスパイや工作員がいるとは思いたくはないが、それでもコペルニクス事件があったことを思い返すと安心もできなかった。
結局はお蔵入り、もとい迷宮入りしてしまったようなものだが、犯人は不明のままなのだ。連合軍が自作自演の為にやったことか、本当にプラントが仕掛けたことか。
あるいは第三者が仕掛けたことかもしれない。この第三者という可能性は、先の裏で糸を引いている連中がいるかもしれない、という考えと同じものである。
  そういう考えを持っている所以は、このような戦争の世界では必ず得をする者がいる、というのを知っているからだ。
その象徴とされるのが軍需産業に他ならない。戦場で兵器を損失すればする程、受注が入り儲けが出る。中には儲ける為に戦争を起こすような場合もあった。
前に所属した国連では少なくともそういった事はなかった。あくまでも国連の組織内部の一部腐敗が原因で、火星移住者こと火星政府が決起したものである。

「後は政治家に任せるしかあるまい」
「あぁ‥‥‥」
「どうした、沖田。不安があるのか」

  考え込む親友を、土方は見やった。

「いや、なに。ここまでの出来事を思い返していたんだ」
「お前の考えていることは、大体は察しが付く」
「流石だな」
「いったい何年、お前と友人付き合いをしていると思っているのだ」

隠し事、というつもりはないが、この親友であり戦友でもある土方には隠し通すことなど不可能だろう。沖田は常々そう思うのである。
沖田の考えていること、それは先ほどの黒幕―――もとい第三者の存在のことだった。どうも考えすぎなのだろうか、と土方に打ち明ける。

「この世界にも、軍需産業で得をする連中はいるだろう。俺も聞いたが、大西洋連邦、ユーラシア連邦、東アジア共和国の3ヶ国で、それぞれ共通した兵器の開発配備を行っているらしい。やはりとは言うべきか、大西洋連邦は特に軍需産業は盛んなようだな」

  C.E世界における軍需産業は、幾つもの名が上がってくる。例えば大西洋連邦においては、あのアズラエルが理事を務める国防産業連合というものがある。
加盟している会社は、アズラエルが経営者として運営するジェネラル・アズライール社を筆頭に、PMP社、アドヴェンスト・スペース・インダストリー社がある。
片やユーラシア連邦には、アドゥガーフ・メカインダストリー社、ザスタバ社、ロムテクニカ社が存在する。東アジア共和国ではフジヤマ社が有名らしい。
  他にも有名企業と言えば、オーブ連合首長国のモルゲン・レーテ社がある。どれもこれも、所属国や地球連合へ戦力強化の役目を担っているようだ。
中には民間軍需企業アクタイオン・インダストリー社と言うものもある。これは地球連合軍のみならず、プラント(ザフト)にも製品を売買しているとの事だ。

「利益の為に戦争を起こす‥‥‥利権屋共の考えそうなことだ。だが、それ以外の可能性があると言いたのだろう」
「そうだ。特にナチュラルとコーディネイターという、人と人の摩擦が激しい世界だからな。利益とは無関係に、何かとは上手く言えんが‥‥‥」
「利益でなければ何の為に、国連首脳部を爆破したのか‥‥‥。思想の為とも言えんこともないが、他となっては俺でも分からん」

実際、第三者の存在自体については見事に的を得ていた。しかし、その存在がどんな目的で動いているかまでは、名将とはいえ察せるものではなかったであろう。
  一方で、軍務局長たる芹沢は、この件で早々と情報部の伊東を呼び出していた。

「聞いただろう、プラント議員のシャトルが運悪く(・・・)も攻撃されかけたことを」
「えぇ、聞きました。とんだ災難(・・)でしたね、彼らは」

災難で済むものか、と芹沢は不機嫌さに水を増していく。

「本当に偶発性か、これは」
「一見すれば偶発性ですが、それはあくまで現場の人間からすればでしょうな」

彼が言いたいのは、偶発に見せかけた張本人がいてもおかしくはないだろう、というものだ。つまりは情報漏れがあったことを示唆している。
例えば連合軍上層部の一部がその秘密を知っていて、それとなく差し向けられるように現地部隊に対して、パトロール部隊を派遣させるというものだ。
確かにこれであれば、現場の人間は命令を守っていただけであると言い切れるだろう。ともなれば、それを裏で操った者は相当な狐だと言える。
  一瞬だけだが、例のオーブの要注意人物であるサハクを思い浮かべたが、諜報員からは、その様な話は入ってはこない。
上手く誤魔化しているのかもしれないが、コーディネイターを受け入れている国で、そんな大それたことをするとも思えない―――今のところは。

「何を考えているのか、分からない女だが‥‥‥引き続き、そちらは監視を続けろ。それと、情報漏れの疑いがないか、詳しく調査しろ」
「承知しています。それと、新たに情報が入りました」
「なんだ」

芹沢の目が細くなった。

「我が方の情報管理のデータバンクに侵入を謀った形跡が発見されたとのことです」
「‥‥‥何だと?」

彼の表情に険しさが増したのが分かる。日本の軍部等の情報は、厳重に管理運営されている。並のハッカーでさえ突破できる代物ではない。
  だが伊東によると、ハッキングを仕掛けてきたハッカーは並以上のプロであったと言う。急ぎ立ち回りをしてシステムの強化と変更等をしなければならない程に。
芹沢もどこか油断していた節があったと言われると、否定できないないところがある。実際に日本軍は圧倒した軍事力を有していることが証明された故であろう。
ふとした油断が命とりであることを、彼は心に戒めておかねばならないと感じた。

「その様な重大なことは、すぐに言いたまえ!」
「申し訳ありません。数分前のことでしたので」

  本当に遂今しがたではないか、と怒気を含めながらも叱咤するものの、このタイミングでハッキングとなると確実なことが分かってくる。
ハッキングしてきた相手が何処の人間か知れたものではないが、少なくとも会談の情報をハッキングしたとは考えにくい。
それならば先日にハッキングを受けてしかるべきだ。という事は、今回のハッキングと会談情報漏れ事件は別々なものと言えるだろう。

「相手も巧妙で、足跡を残しませんでした」
「手掛かりも掴めずじまいか‥‥‥あまり儂を失望させんで欲しいな」

何事も完璧などあり得ないと言う教訓ですよ、とは勿論言わなかった。取り逃がしたのは事実なのだから仕方がない。
それでも何を狙おうとしていたのかぐらいは分かっていた。データの形跡によると、ハッカーの狙い目は兵器等のデータ管理であったという。
  兵器技術の提供は、連盟加盟国に対してのみ行われているが、そうであったとしても完全に提供している訳ではない。
日本側としてもある程度の保険は欲しいところで、情報や技術の提供は一定に抑えられているのが実情であった。
光学兵器やレーザー兵器、ミサイル兵器、機関技術、装甲技術、航空機技術、レーダー技術、通信技術等様々な分野において、日本は完全に公開している訳ではない。
特に次世代型戦闘艦に採用された幾つかの新技術や、改良型システムといった、現時点における最高技術の公開は厳禁とされている。
  もしも、そのハッカーがそういった技術関連の情報を盗んだとすれば一大事だ。何処に流出するか分かったものではない。
如何に技術差がある世界とはいえ、その向上ぶりは未知数である。デッドコピーが、いつかは本物と同等になっていることだって有り得るのだ。

「それで、そのハッカーが何を閲覧していたのかさえ不明なのか」
「いえ。現在進行中の新造艦に関するデータをあさっていたようです」
「他にはないんだな?」
「はい。その頃には、こちらも逆ハッキングとファイアウォールの強化によって防ぎました」

とはいえ如何なテストペットとしての新造艦情報とはいえ、見られてしまったのは痛手であろう。

「盗み見られたのは、その建造図面を中心としたものです」

中身も丸裸にされてしまったということだ。が、かといって設計図や図面には、各技術や兵器の製造方法や工程が記されている訳ではない。
幸いと言うべきだろうか。ともかく、新造艦計画が漏れてしまった。一刻も早い対策を練らねばならない。芹沢はしかめっ面をしながら立ち上がった。

「直ぐに対策を協議する。流れたのが新造艦の図面や設計図とはいえ、それが何処に流れるか分からんし、もしや地球連合が真似てくるかもしれん」

真似てくるとは思わないが、何かしらの対応策を打ってくるだろう。それに、あまり自分ら日本の優位さに酔っていると、足を掬われてしまう。
急ぎ足で出ていく芹沢の背中を、伊東は肩をすくめて見つめていただけであった。
  思わぬハッキングにあった日本だったが、その仕掛けた側の張本人もまた、思わぬ反撃に対して衝撃を受けていた。
何処と知れぬ一室で、ハッキングした中年男性はパソコンのモニターを前にして腕を組んでいる。

「俺のハッキングに感づかれるとはな。どこも所詮は人の作ったプログラムだと思っていたが‥‥‥」

自信の高さを伺わせる言葉である。彼はこうして情報を盗んでは多方面に拡散させ、それに世界の目を向けさせようとする。
世界が情報によって突き動かされる。そして、その世界を動かしていくのが自分である、という考えを持っていた。

「しかも図面しか見れなかったとは、日本とやら言うのも侮れんな」

  だが情報は情報だ。しかも極秘ファイルの中にあった代物である。

「日本軍の戦艦か‥‥‥対艦巨砲主義など、大昔の話なんだよ。どんな時代だって、情報が全てを握るんだからな」

時代遅れであると酷評するが、それは情報に固執する人間だからこそ言えるセリフでもあろう。実際に戦うのは彼ではない、前線で戦う兵士なのだから。
彼ら兵士からすれば、時代遅れと言われようが、強力な兵器があってこそ戦えることもある。前線の兵士にとって情報は役に立たない。彼らは戦うのみだ。
  そんなことは彼の思うところではないが、ともかくは手に入れた情報を何処に売ってやるかが問題なのだ。
小さな冷蔵ボックスから冷え切った菓子―――ポッキーの箱を1箱だけ取り出すと、箱の封を切って中に入っているポッキーの入った袋を開けて数本取り出した。
冷えたポッキーを数本纏めて口に放り込みながらも、情報を教える相手をしばし考え込むのであった。





  プラントのシャトル襲撃事件について、これに関わった関係各国の反応は大凡予想通りの物であったと言えよう。
地球連合自体は、大西洋連邦大統領チェスター・アーヴィングは記者会見でこう述べた。

「我ら地球連合軍は、日々の平和維持のために、パトロールをしていたに過ぎない。連盟の言う様に、議員の暗殺を謀ったものではない、単なる偶然に過ぎない」

また、ユーラシア連邦側もアレクセイ・モロコフ首相が反発の声を上げた。

「全く持って根拠のない非難である。我らは大義の為に日夜戦っているのだ。それが、暗殺等と言う姑息な真似をしたと言われる筋合いはない!」

要するに、そんな宙域を航行していたプラントが悪いのだ、ということだろう。同時に日本に対して重要な会談の情報をひた隠していたのも原因だと言い放つ。
これに対して、大した詭弁だと連盟各国の政府は思ったものだ。核兵器の持ち込みを防ぐこともできなかった地球連合には、説得力の欠片もなかった。
  結局は地球連合側の謝罪は無きに等しく、適当に反論したのみである。謝罪の姿勢一つ見せない地球連合に対して、プラントも怒り甚だしい様子だった。

「ナチュラルは、やはり野蛮な種族だ。謝罪も出来ぬ愚かな民族だ!」

プラントの各市代表議員や市民達の怒りは、もはやエスカレートする一方である。先日の敗北が反動となって「連合軍討つべし!」と声を上げて始めていた。
最高評議会の面々にしても連合側に会談の日程等を知らせなかった非は、多少あるだろう感じていた。ほんの少しだけ、であるが。
  プラント内でこうも主戦的な勢いが増してくると、それを糧とした急進派が勢いづくのも当然と言えた。穏健派のクラインとしては苦しい状況にある。

「議長、もはや会談などに(うつつ)をぬかしている場合ではありませんぞ」

急進派のジェレミー・マクスウェル議員が、如何にも挑戦的な目つきで訴えてくる。彼の目には、もはやナチュラル殲滅すべし、との考えしかないのが分かった。
他の急進派寄りの議員達もまた、地球連合のしでかした行為に立腹している。こうなれば例の計画を早期に実行すべきではないか、との声もあるくらいだ。
Nジャマーを地球へばら撒き、地球上の原子力を無効化と同時にレーダー等の電波兵器をも無力化するという作戦。
  効果は絶大であろうが、同時に懸念されるのは非戦闘員への被害拡大である。結局は、自分らも地球連合と同じ事をするのではないか。
そう言って躊躇う穏健派や中立派の議員も未だに多い。

「国防委員長、もはや連盟などと言う奴らに構っているより、こちらから先に仕掛けてしまうべきではないのですか!」

他にも急進派のタッド・エルスマン議員もまた、作戦の実行を望みパトリック・ザラへ具申する。
ザラ本人にしても、今回の遭遇戦と地球連合の対応から怒りを覚えない筈が無かった。作戦実行には一定の猶予を、と思ってはいたが、もはや躊躇う要素は無い。

「実行するべきだろうな」
「待ちたまえ、国防委員長」

  シーゲル・クラインが待ったをかける。どの道、作戦の決行には彼ら最高評議会での可決が必要になるが、下手をすると本当に実行に移すことになりかねない。
それにクラインとしては、この作戦を実施させたくはなかった。比較的に広い視野の持ち主であれば、直ぐにわかる筈だ。
この作戦は軍事的大成功を収めるが、政治的・政略的大敗北を招く。つまり、地球連合軍に対して大打撃を与えうるならまだしも、軍ではない非戦闘員である市民の方が数十万人、或いは数百万もの命を落としたらどうなるか―――である。
これだけの犠牲者が出れば、地球連合の反プラント思想並びに反コーディネイター思想は一気に開花して絶頂期となるだろう。
つまるところ、泥沼の戦争へ本格的に突入する事を意味している。
  となれば独立の地位を手に入れるどころの話ではない。それこそ互いが全滅するまで、悲惨な戦いを続けることになってしまうのだ。
その点について、クラインは指摘した。さらに改めて言っておかねばなるまいとして、今度はカシム議員が発言する。

「議長の仰るように、講和の道が完全に閉ざされることを考慮すべきではいのか」
「講和だと? 講話など生ぬるい。いっそ全滅させてしまった方が、コーディネイターの為になるぞ」
「馬鹿な! それでは、マクスウェル議員は、我々に地球連合と同等の行為をしろと言うのか」

マクスウェル議員の過激な発言に、パーネル・ジェセック議員は反発する。中立派とはいえ、このような野蛮な行為には賛同できる筈も無い。
ジェセック議員の、地球連合と同レベルの行為である―――この発言に、たじろぐ者も少なくなかった。
  だが、エザリア・ジュール議員はそれを一喝した。

「何故、ナチュラルに気遣う必要があるのです? 彼らには相応以上の償いをさせて然るべきではありませんか」
「償いは軍に対してやればよかろう。何も一般市民に向けてはならない!」

すると別の男性議員―――ユーリ・アマルフィが耐えかねて反論した。彼は工学エンジニアとしての専門家であり、MSの設計局やら武器等の工場が集中するマイウス市の代表に選ばれている彼は、穏健派に属する人間であった。
反発が反発の声を呼び、議会に終わりは見えない。さらに急進派で人文学博士 ヘルマン・グールド議員が主戦的な意見を述べる。

「奴らに対して、人道的な考慮などしてやる必要などないじゃないか。ジュール議員が言った通り、ナチュラルには報いを受ける義務がある」
「義務!? その様な考えを持っていたら、何時まで経っても争いは終わらん。何よりも貴方は、その様な泥沼の戦争によって、プラント市民に負担を掛けようと言うのか!」

犠牲を厭わないとも執れる内容に、アリー・カシム議員は激昂した。クラインにしても、市民にまで負担を強いらせるようなことはさせたくはない。
  しかし、市民への負担の話を持ち込むと、今度はまたしても先の持論が展開される。つまりは、敵に如何なる事情があろうとも、たった一撃による徹底的打撃を加えてやれば地球連合とて戦争継続は断念し、こちらの講和に応じるであろう―――というものだった。
繰り返される内容に、穏健派は国際中立連盟のことを持ちだした。この連盟の意向を無視して作戦を決行すれば、後々に厄介なことになると。
それにNジャマーの散布を所構わず行えば、日本もとい中立連盟も例外なく巻き込まれるのだが、日本に限って言えば左程深刻になることでもない。
  と言うのも、レーダー機器の類は障害を受けるだろう。しかし、生活に欠かせない電気エネルギーについては、風力、太陽光、波力、地熱、といった自然エネルギーや火力発電所以外にも、核融合炉システムによる発電方法を採用しているのだ。
それに引き替えて、連合や他の連盟国らは通常の核分裂式原子力発電を使用している。ともなれば、日本国内に置けるエネルギー不足は問題になる訳ではない。

「彼ら連盟を巻き込んでみろ、プラントへ反発する事は必須だぞ!」
「では、地球連合の領土内にだけ落とせば良かろう」
「そんな単純な話ではない。連盟は非戦闘員への軍事的圧力には否定的だ。ともなれば、彼らはNジャマーによる攻撃で大勢の非戦闘員が命を落としたら‥‥‥!」

  それを口実に介入してくるのではないか。穏健派の懸念するところであるが、急進派には作戦の実行に賛同的である事には変わりなかった。
クラインは重苦しい気分で、日本へ派遣したカナーバの事を持ちだして牽制する。

「‥‥‥作戦実行はともかく、今はカナーバ議員の会談の成果を待ってからでも良いのではないかね?」
「その通り。せめて核兵器の使用を固く禁じさせ、連合軍の牽制とすべきでしょう」

カシム議員も援護射撃をするが、結局、作戦実行は避けられぬ事態であることは明白な事実と言えよう。議席も半数以上が賛同するのは目に見えている。
それに牽制と言う意味でNジャマーを数カ所に散布すると言う手も、まだ残されている。間違っても地球表面上の全てにばら撒くわけにはいかない。
対するザラも、今回の所はそれでよかろう、と会談の切り上げを進言したことによって、その日の会議は終了となった。
  もはや覆されることの無い、Nジャマー散布による地球連合へのけん制。作戦名『オペレーション:ウロボロス』は確実に実行に移される。
それを聞いて冷笑を浮かべる人間が居た。顔の半分をマスクで隠したザフトの美青年―――ラウ・ル・クルーゼだ。
世界樹攻防で功績を上げ、ザフト内部でも脚光を浴びつつある英雄。連合に対しても、ある意味で良い宣伝であり、プラントに対しても士気を上げるものだった。
マスコミから英雄扱いされる当人は、喜ぶわけでもなく、ただ冷笑していただけである。表情こそ見えないが、それは見下しているようにも思えた。

(ウロボロスが実行される‥‥‥大いに結構なことだ)

  それは、狂気を感じさせるような空気だった。大量に人が命を落とすかもしれない作戦に、クルーゼは寧ろ喜びを持って迎えている。

(作戦決行が下されるだけでいい。内容がどうであろうと、それは関係ないさ。何せ‥‥‥作戦を実行する(・・・・)のは議会の連中じゃないからな)

自分の望んでいる未来―――それは、決して華々しいもはでなく、そして輝かしさとも無縁であり、幸せ等とも遠い想像図だった。
彼はこの世界に対して、深く憎んでいるのである。その由縁は、決して他の者が知る筈も無い。いや、ほんの一握りだけが知っている。
  クルーゼの出生や過去の経歴には、不明な部分が多かった。しかし、そんな不明な過去よりも、今の輝かしい戦果にこそ、周りの眼は集まるものだ。
だが、そんな周りの人間達ことコーディネイターにしても、ナチュラルにしても、彼は関係なく憎しみを抱けている。
彼は表情には決して出さないが、その内側はどす黒い憎しみの塊が沈んでいるのだ。それに築けるものなどいないだろう。
  人知れず作戦の決行に内なる喜びを持ったクルーゼだが、突然、その表情は苦痛に染まった。

(‥‥‥また、か!)

汗が滲み出る。彼は苦痛に耐えつつも、箱を取り出した。その中には、幾つかの薬が収まっている。この苦痛は彼の出生に際して及ぼした原因だ。
同時にこの痛みと苦しみが、世界への憎しみや復讐の根源でもあった。

(全部‥‥‥全部、壊してやる)

クルーゼは苦痛に飲まれながらも、己の目的を刻み付けるように、呪詛のように繰り返した。




〜〜あとがき〜〜
長くお待たせしました。ようやく15話です。
話が進むにつれてややこしさが増してしまったような気がします。何分、SEEDは多数のメディアがあるものなので‥‥‥。
裏方で暗躍する人達も相当数いる中で、どう動かうべきか迷ってします。ヤマト側にしても、実際に登場する高官系のキャラがかなり少ないので、動かしにくいと言いますか。
ともかく、次は会談の内容やらを考えなくては‥‥‥。実験艦隊こと第3艦隊も早く動かしたいところです。

以下、私ごと―――

目の前に迫りました、宇宙戦艦ヤマト2199の総集編公開日。描き切れなかった絵コンテを追加し、古代進の視点で物語は進展するとの事です。
新規のカットを幾つか拝見しましたが、どうやら七色星団が中心の模様。勿論、そのほかにも色々と新規カットをいれているのだと思いますので、楽しみです。
‥‥‥とはいえ、そんな楽しみな気分を害してくれるのが、未だに根強いオリジナル主義の人達ですね。
確かに100%完璧とはいえない出来でしたが、それでも7〜8割の人達は満足している訳ですから、良作である事はまず間違いないです。
しかし、そんなオリジナル主義の人は、女子が多くなっただの、水着シーンはいらないだの、デスラーが小物だの、尻がどうだの、と文句しか言えません。

・別に女子が多くなってもいいじゃない、現実にも女性軍人は結構いるんだし。
・水着のシーンだって、乗組員の長旅の疲労を和らげるためで、心身共にリフレッシュが目的。しかもスターシャ女王の[b]裁可が下りない限り[/b]帰ることもできない。
・尻がどうのって、オリジナルはモロにパンチラとかしてた(しかも雪自身が沖田の前でスカートを捲っている!)。文句言う奴ほど尻に興味があるのかと逆に言いたい。
・デスラー=紳士&武人という位置づけは、間違いなく過去の全シリーズをごちゃ混ぜにしている証拠。
 そもそも、民族のためとか言いつつも、ド派手に本土決戦している時点で、オリジナルのデスラー総統は矛盾がある。
 しかも、本土決戦のような『背水の陣』で敗北した前例がありました。冥王星のシュルツしかり、バラン星のドメルしかり‥‥‥前例から何も学んでないデスラー総統。

といったように、でもこれだけのツッコミどころがあるわけです。それにとあるレビューでは、『糞アニメ』だとか言って品位を下げる下品な連中も多いもので‥‥‥。
これは殆ど感情論でしかないですね。100人には100人の『俺ヤマト』があって当然ですが、新しい風を取り入れるくらいの器の広さを持ってもらいたいものです。



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