夕暮れ、それは一日の間で数瞬しか見られない昼と夜の隙間。
世界の全てを紅蓮が包み込む、『紅の刻』。
人によってはこの瞬間こそが何よりも綺麗で尊いんだって叫ぶかもしれないけど、
俺は逆にこの時間が苦手だ。
嫌いだと言っても過言じゃないかもしれない。
だって、なぁ……。
目の前に広がる景色の全てが紅で染め上げられたその光景は、
まるで人の手によって放たれた炎が支配する戦場に似ているから。
その中にいると自分がまだその業火の只中にいるのではないかと錯覚してしまうから。
今も、そうだ。
窓から差し込む陽光は昼間のそれよりも濃く、鮮やかで。
それがセシリアと凰の顔を照らし出した時、俺はゾッとして座っていた丸椅子が
倒れるくらいの勢いで立ち上がった。
心臓が破裂するんじゃないかってくらい驚いて。
だって包帯やガーゼを巻かれて貼られた二人の顔が、まるで血で染まってしまった
かのように見えたから。
俺はセシリアと凰の顔に両手を添えてジッと覗き込む。
でも二人とも穏やかな寝息を立てていることを確認して、俺はその体勢のまま
グニャリとへたり込んだ。
そして改めて、二人の痛々しい姿を目に焼き付ける。
どうして……どうしてこんな事になっちまったんだ?
あの楽しい歓迎会を経て、俺たちは少なくとも仲良くはなれたはずじゃなかったのか?
なのに、なのに何で二人がこんなに傷つかなくちゃならないんだ?
……一体、お前に何があったっていうんだよ、ボーデヴィッヒ……。
◇
〜 三時間前、ラウラside 〜
「はあああっ!」
「ふっ、その程度ですの鈴さん!そんな単調な動きでは、とてもブルーティアーズの
奏でるワルツにはついてこれませんわよ!」
「何余裕こいてんのよ!接近戦に持ち込めればいくらアンタでも私の敵じゃないわ!
せいぜい私を近づかせないように撃ち続けることね!」
私のはるか上空数百メートルで互いに火花を散らすセシリアと鈴音。
目まぐるしく動き回る二筋の光を、私はアリーナの地面から眺めていた。
ここは一週間前打鉄の暴走事故があったために今日まで閉鎖されていた第二アリーナ。
時刻は少し日が傾いてきた午後二時過ぎ。
私は同じ教室の代表候補生セシリア・オルコットと、二組の代表候補生凰鈴音とともに
この場所に模擬戦に訪れていた。
とはいえ戦っているのはさっきからあの二人だけで、私といえば二人の戦闘が
決着を見るまで、ひたすら見学をしているだけなのだが。
そもそもあの二人とここに来たのは、月末に行われる学年別トーナメントに向けての特訓のためだ。
あの歓迎会を経て、私は同学年の皆と少しずつではあるが話をすることができるまでになっていた。
とりわけ同じ候補生という立場であるセシリア、鈴音、シャルルとは布仏と同じくらい
話をするようになっていた。
ただ同じ専用機持ちでも織斑一夏だけは、未だに抵抗感を持っていた。
奴は私の敬愛する教官が唯一にして最大の汚点を残すことになった遠因なのだから。
事実私はつい先日まで朦朧とする意識の中でも、奴のことだけは毛嫌いしていたのだから、
すぐに打ち解けられるはずもなかった。
でも、それでもこの嫌悪は大分薄まってきている。
だって奴も私を、祝ってくれたから。
私がこの学園に来て良かったと、私と出逢えて良かったと、そう言ってくれたから。
長年抱えていた恨みつらみがこんなことで流れるなんて…。
本当に私は弱くなってしまったのかもしれないと苦笑する。
そして、あの歓迎会以降私の中で最も印象が変わった男がいる。
それは……。
( シン・アスカ…… )
あの歓迎会の翌日、布仏から教えてもらった。
あの歓迎会を最初に計画し、そのために奔走していたのが奴であることを。
特に皆とほとんど交友のなかった私の歓迎会のために、皆に呼びかけをして
くれていたこと。
それを聞いたとき、私は驚愕のあまり動けなかった。
だって私は奴にたくさん暴力を振るったし、邪険にもした。
私に謝ろうと小さくなっている奴に、冷たく当たったりもした。
なのに何で奴が、私のために東奔西走する必要があるのだ?
疑問は浮かんでくるばかりで全く晴れることはなかった。
でも、何故かは分からないが、その時私の脳裏には奴のある言葉が思い浮かんでいた。
― お前がどれだけ苦しい目に遭っているんだとしても、ここにいる
皆がいれば、多分大丈夫だって………。
お前にもそう思って欲しいんだ。だってアンタは………俺に似ているから ―
そう言った時の奴の笑み。
それは私を哀れむでもなく励ますようでもなく、ただただ嬉しそうだった。
その何の含みもない喜色溢れる笑顔が、とてもこの身に心地良くて。
歓迎会が終わる頃には、今まで奴に抱いていたわだかまりが、すっかり消え去ってしまっていて。
そしてあの日以降、無意識の内に奴の姿を目で追っている私がいた。
奴が何気なく微笑んだり、かと思えば少し翳りのある憂いたような表情になる時もあって。
その一瞬ごとに変わっていく表情に、こちらも一喜一憂しながらも目を奪われて……って!
な、何を考えているんだ私は!?
こんな普通の女どもが考えそうな下らないこと、私には無縁のはずなのに!
この胸に滾る炎の如き感情は、一体何なのだ!?
日に日に大きくなる未知の感情に混乱する頭を、私は必死に振り乱して追い払った。と、
「うあああっ!!?」
「きゃああああ!!?」
頭上からセシリアと鈴音の悲鳴が聞こえてきたかと思うと、少し遅れてそれぞれのISが
アリーナの壁に激突して、轟音。そのまま動かなくなった。
…あの二人、まだ戦い続けていたのか。
まあこれだけの時間戦い続けていたのは、二人の実力が拮抗していたからだろうが…。
観客席に集まっていたギャラリーも歓声を上げながら拍手して盛り上がっている。
こいつらもISスーツを着ているところを見ると訓練に来ていたようだが、二人の戦闘に
すっかり見入っていたようだ。
代表候補生同士の戦いは確かに通常のそれよりもハイレベルなので、見ているだけでも
良い勉強になるのだろう。
私は実地訓練の方が身になるとは思うが。
と、さっきまでの白熱ぶりが嘘のように、二人ともスッキリとした様子で笑っていた。
夕方の河川敷で殴り合ったわけではないが、それぞれが互いの健闘ぶりを湛えるように
朗らかに微笑んでいる。
そしてそれが一区切りしたのか、同時に私の方を振り向いて、叫んできた。
「ふ、ふふ……、流石にやりますわね。
私のティアーズのオールレンジ攻撃を突破して接近するとは…。
伊達に候補生の肩書きを背負ってはいない、ということでしょうか」
「アンタこそやるじゃない…。組み付かれた瞬間腰だめのミサイルで自分もろとも爆発して、
きりもみ打つ体勢のままでビットを集結、一斉射撃してくるなんて…。
もしまともに喰らってたら危なかったわ。
……ふう、少し休もうよセシリア。ジュースでも飲んで一時休戦…って、そういえば
まだラウラと模擬戦してなかったっけ。
じゃあ今度は私たちのどちらかがラウラとやるってことで」
「ああ、そうですわね。
私たちだけで熱中してしまっていましたし…。
ラウラさ〜ん、少し休憩にしませんこと?
ISを解除してすぐにそちらに向かいますから、先に何かドリンクでも用意しておいて
くださいませんか〜?」
ドリンクだと?
まったく、私をほっぽって訓練していたくせに、パシリまでさせようとは何という女どもだ。
しかし…、溜息を吐いて私はアリーナの外の自販機へと足を向ける。
その足取りは自分でも驚くほどに軽快なものだった。
…シュヴァルツェ・ハーゼにいた時は『ドイツの冷水』と揶揄され、訓練も一切の馴れ合いも
妥協も介さないものだったし。
生まれてこの方初めてだったんだ、こんなにも和気藹々と訓練をするのは。
もちろん軍人としては「何て甘っちょろいことを」と思わないでもないのだが…。
不思議だな、一方で「こういう雰囲気も悪くはない」と思える自分がいるんだ。
だからだろうな、心がこうも躍って仕方ないのは…。
鈴音は次は私とどちらかが模擬戦と言ったな。
ふふ、確かに二人とも強かったが私から見ればまだ荒削りだ。
良い機会だから私の力を存分に見せておいてやるのも悪くは……。
『ただ見せるだけ?本当にそれで満足なの、お前様?』
「ヒッ――――――――――――――――!!!!????」
突如耳元に聞こえてきた神経に障る声。
反射的にその声の主を理解した私は、そこから飛びのいて距離をとりつつ振り向く。
そして、目を剥く。
私の目の前にいる奴は、何だ……!?
長い銀髪、左目に眼帯、小柄な体、着ている服はIS学園の制服ではなく、正規ドイツ軍の軍服。
その姿は紛れもない、私の姿そのもの。
唯一違っているのは、右手が果てしなく濁りきっていることか…。
だが一番驚いたのは、そこじゃない。
何故、奴が私の前にいる……!?
今まではどんなに酷くても頭の中に声が聞こえてくるだけだったのに…!
奴は私の目の前で、どうしようもない存在感を放ちながら、立っている!!
喉の奥からヒューヒューという音が漏れる。
まともに息ができない、苦しい……。
心臓が痛い。さっきからドクンドクンと鳴りっぱなし。
体の外にまで音が漏れてるんじゃないかと心配にすらなる。
私は目を見開いたまま、一歩ずつ後ずさる。
奴はそんな私を愉悦に歪んだ表情で見つめたまま、一歩ずつ詰め寄ってくる。
「あ、ああ………。どうして、そんな……。
出てこなかったのに、最近は……。いきなり、何で……!?」
『寂しいこと言わないでよお前様ぁ。私はお前様が私から目を背けてる間も、
ずっとお前様の傍にいたのだよ?
…アンタが友達のような何かと恥ずかしいメロドラマを繰り広げている間も、
アンタの中に潜んで、着々と力を蓄えつつ、ね。
そして、今日。ようやく下地ができた。舞台が整ったのだよ。
私の悲願・目的・存在理由……。それがやっと、成就される……。
今までアンタみたいな愚図の中で甘んじていたけど、それももうお終い……。
さあ、じゃあ最後の総仕上げといきましょうか、お前様?』
「そ、総仕上げ?一体、何の…」
私の体は恐怖で固まって動かない。
もう涙を止めることもできず、顔をグシャグシャに崩しながら、震える声で、そう問うた。
恐怖に駆られて、問わずにはいられなかった。
それがもう後戻りできない、絶望へのプレリュードであると本能で分かっていたはずなのに。
奴は私の問いを受けて、にんまり笑いながら、右手を私にかざす。
そして、簡潔にこう言った。
『こういうこと』
― バツンッ!!!!! ―
頭の中に電流のような何かが走ったかと思うと、次に目を開けた時、私は闇の中にいた。
右も左も上も下も、何もない無明の闇なのに、そこに漂う自分の姿だけははっきり見えて……って!!
な、何で裸になっているのだ私は!?
顔から火が噴出し、誰にも見られているわけではないが両手で慎ましやかな胸と恥部を隠す。
くっ、早くこの意味の分からない空間から抜け出さなければ、恥ずかしくて死んでしまう!!
私が恥を覚悟で両手をバタつかせると、意外とすいすい動くことが出来て。
先の見えない闇の中をひたすらに泳いでいく。ひたすら、ひたすらに………………っと。
ゴチンと額に何かがぶつかり、不思議に思って手を伸ばす。
するとそこにあった何かに触れた。
冷たくて、固くて、太い何か。
目を凝らして見て見ると、そこにあったのは……。
( 柱………? )
訳が分からず首を捻っていると、そのすぐ横にも同じ柱があることに気付く。
そしてそれが延々と連なっていることにも。
右にも、左にも、どこまでもずっとそれが続いていて。
少し恐怖を覚えて何気なく上を見上げる。
そして、気付く。
上にも同じような柱がズラッと並んでいることに。
ハッとして下を向く。
やはりというか、そこにも無数の柱が一定の間隔をもって並んでいて。
どこまでいっても、柱、柱、柱……………。
…いや、違う。
これは、ただの柱じゃない?
私を取り囲む無数の柱。
息が詰まりそうな重厚感を放つそれは、まさか……。
( 檻……なのか? )
『はぁい、大正解〜』
( ヒッ―――――――――!!?? )
空間全体に響いているのか頭の中に直接聞こえてくるのか分からないが、
その不愉快極まりない濁った声が私の全てを包み込む。
体を縮こませながら、私は両手で自分を抱き寄せる。
『ていうか気付くの遅いわよお前様ぁ。私はアンタが気付くのを今か今かって
待っててあげたのに。…まあ、いいわ。
お前様、そこは私が用意したアンタ専用の監獄。
アンタは私の意思なくしてはそこから出られない』
( なん……で、こんな!?貴様は私に、一体何を…… )
『言ったはずだよ、これから最後の総仕上げをすると。
まあ、見てなさい。すぐに面白いものが見れるから。
まずは、画面に注目してくれお前様 )
画面…?一体、どこに……。
と、今まで何もなかった空間に突如映像が映し出される。
漆黒の空間を明るく照らすそこに映し出されていたのは、さっきまで私のいた第二アリーナ。
そして共に訓練に来ていた友人たちの姿。
でも、おかしい。
セシリアと鈴音は画面を驚愕の目で見つめていて、必死に何かを叫んでいる。
良く見ればISはさっきよりも傷ついているし、地面も大きく抉られている。
と、訳も分からず画面を見つめていると、突如黒い影が画面を横切る。
一瞬何が起こったのか分からなかったが、直後二人が後方に吹き飛ばされるのを見て、状況を理解する。
( まさか攻撃を、受けている!? )
混乱する間にも黒い影は画面を縦横無尽に切り裂いていき、その度にセシリアと鈴音は
苦悶の表情を浮かべている。
私は込み上げてきた怒りのままに柱を掴み、力の限り揺さぶった。
だが、びくともしない。
その間にも二人は黒い影によって一方的に痛めつけられている。
何故か抵抗もせず、防戦一方で。
ただ画面に向かって、必死に何かを叫び続けて。
( やめろ……やめろぉぉ!!!
私の友人に何故こんな仕打ちを!?
貴様、これが『最後の総仕上げ』なのか!?
私の友人が嬲られる様をただ見せ付けるのが、貴様の言っていたそれなのか!!?
こんな、私の怒りを煽るだけの行為に、何の意味がある!!?? )
力の限り声を張り上げ、私は虚空を睨みつける。
奴の総仕上げとやらがこんなことだとは思いもしなかったが、こんなふざけた暴挙に出るなど
私にとっては逆効果だ!!
私は絶望するどころか、今も眼の前で暴虐を尽くす主を殺したくてウズウズしているのだから!!
しかし憤る私に冷水をぶっかけるように、奴は淡々と話しかけてくる。
ただ一言のみ、簡潔に。
『は?犯人はアンタなんだけど?』
( …………………………え? )
『…もうそろそろいいかな。
お前様、今からアンタをそこから出してあげる。
そして目の前にある現実を理解すること。だってそれは、全てアンタのせいで
引き起こされたことなのだから、ね』
奴の不気味な言葉に呆けていると、私を囲んでいた無骨な檻も、遥か先まで広がる漆黒も
音も無く消えていって。
再び目を開くとそこは第二アリーナで、目の前には呻きながら横たわる二人の姿があった。
私は今まで自分の身に起こっていた不可思議な出来事のことも忘れて、二人に駆け寄る。
二人とも私を見て僅かに身じろいだ。
ISがあるとはいえ、二人とも酷い傷だ。
くそっ……誰がこんなことを……!!
「セシリア、鈴音大丈夫か!?すぐに救急隊を呼んでやる!
おのれ……一体誰にやられた!?すぐに私が……!!」
「くっ……何を、言っていますの……?」
「あ、アンタが……やったんじゃ……ないのよ……」
は?
二人が途切れ途切れに漏らすその言葉に固まる。
何を言っている?意味が分からない。
私がやった?二人に手をかけたと?そんな事、私がするはずが……。
でも二人の目は雄弁に語っている、私がやったんだと。
「ふ、二人とも何を言っているのだ?
私がお前たちにそんな事するはずが……」
「……どういう、ことですの?」
「アンタがやってないって言うのなら……、その右手の武装は、なんなのよ……!」
ぶ、武装?一体、何の……………………………。
そして、気付いた。
私の右手に収まっている細身の黒刀。
教官がかつて纏っていた『白騎士』の武装に似せて造ってもらった近接武器『黒雪』。
それが私の右手にしっかりと握られていた。
そして先ほどまで私が漆黒の中で見ていた画面、そこに映っていた黒い影の正体に
気付いてしまった時、私の心にヒビが入る音がした。
「あ、ああぁ………ああああぁぁぁぁ………………」
私が、傷つけたのか?
二人を、教官の武器を模倣したそれで?
私が、二人を、こんな目に遭わせたというのか?
友達である二人を………、私の手で、自ら………?
周りを振り仰ぐ。
観客席には慌ただしく生徒が出入りしていて、その皆が一様に、犯罪者を見るような目で
私を凝視しているのだ。
このアリーナにいるセシリアと鈴音を除く全ての人が、私を視線で非難する。
そして傷つけてしまった二人は、悲しそうな目で、私を見ている。
その視線を受けて後ずさる私の目に、最も映ってほしくなかった人たちの姿が映り込む。
……教官、布仏、シン・アスカ、シャルル、箒、秋之桜……
「嫌………。違う、違うんだ………。
私は、何もしていない……。何かの間違いなんだ……。
こんな、こんな酷いこと……」
ゆっくり首を横に振りながら、何かに縋るように教官たちを見つめる。
その時私は何に期待したのだろう。
こんな状況で身の潔白など、信じてもらえるはずはないのに。
…私の視線を受けた皆の目に浮かぶ感情は、驚愕・とまどい・失望、様々だったが。
皆一様に浮かべていたその感情は、悲しみ。
それを確認した瞬間、目の前が真っ暗になった。
そして私は気付かず絶叫にも似た悲鳴を上げていて。
気が付いたら、自室の隅でうずくまっていた。
頭を抱えて、膝を丸めて、嗚咽を上げながら。
終わりだ……私はもう終わりだ……。
大切な友人に怪我を負わせた挙句、取り乱してそこから逃げ出してしまうなんて……。
最低だ、犬畜生にも劣る最低な女だ…。
私、私は………!
『そう、アンタは最低な女』
私の前に奴が現れる。
先ほどと同じ濁った目で、私を舐めるように見つめてくる。
でも私はもう、それに怯えることさえしなくなっていた。
私は、私に絶望し、打ちのめされていた。
『大切な友人を傷つけて、その罪から逃げ出して……、どうしようもなく、卑怯な女。
それに、私は知っている。
根っからの軍人であるアンタは、根本的にこの学園の生徒を見下していた。
「ISをファッションか何かと勘違いしている意識の低い女ども」。
選ばれた人間気取りで、人を高いところから見下して、どこまでも程度の低い女。
そんな女と友達ごっこをさせられている娘たちが、気の毒でならない。
お前は、最低の女だよ、お前様』
もはやほとんど動かない頭で、ぼんやり考える。
…そうだ、歓迎会を開いてまで私を暖かく迎え入れてくれた彼女らに対して、
仇で返すような真似をしてしまった私は、何て汚らわしい人間なんだろう。
やはり、私はこの学園に来ない方がよかった。
そうすれば私は皆を傷つけることもなく、嫌な思いをさせることもなかったのに……。
何が「友人」だ。
私に彼女らをそう呼ぶ資格などないのに。
何が「教官のような人間になりたい」だ。
こんな卑しい私が、光り輝くあの人のようになることなど、できるはずもないのに。
…シン・アスカ、すまない。
お前が苦心して走り回ってまで祝ってくれた女は、その恩人を傷つけてしまうような最低の女だったのだ。
こんな私など…………。
こんな、どうしようもない私など………………。
………………消えてしまえば、いいんだ…………………………
………ごめんなさい、教官、布仏、箒、セシリア、鈴音、秋之桜………
…………………すまない、シン・アスカ………………………
私はもう、立ち上がれない………………………………………………
「………………キャアーーーーーーーーーーーハハハハハハハハハ!!!!!
ついに、ついに入れ替わったぁ!!!
これで、私は自由の身だ!この体は私のものだ!!!
私が、私が、ラウラ・ボーデヴィッヒだぁぁ!!!!!!!!
キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!」
◇
翌日、昨日の衝撃的な事件から一夜明けて。
教室はまるで葬式会場のような沈んだ空気に包まれていた。
ボーデヴィッヒと親しくしていた娘たち、特に布仏さんの消沈ぶりは見るに耐えなかった。
……ボーデヴィッヒの突然の凶行。
第二アリーナにて一緒に訓練に来ていたセシリアと凰に、ISを展開して突如襲い掛かった。
二人は相手がボーデヴィッヒとあって防御に専念し必死にやめるよう叫び続けたが、
ボーデヴィッヒはその右手に展開した黒い刀を振るうのをやめようとせず。
二人はISのダメージ蓄積が甚大になるまでいたぶり続けられた。
そしてISが強制解除されようとする直前でボーデヴィッヒはまるで人が変わったように
攻撃を停止し、二人に駆け寄った。
しかし直後激しく取り乱し、自室へ逃走。
それから部屋からは出てきていない。
実は昨日ボーデヴィッヒが部屋に駆け込んだ後、織斑先生と俺でボーデヴィッヒの部屋まで向かった。
そして扉を叩いて必死に呼びかけて、一度だけドアチェーンをかけたまま彼女が顔を出したんだ。
でも、その時のアイツの言葉が………。
― ドンドンドンドンうるせぇんだよぉ糞野郎どもがぁ!!!
今度五月蝿くしやがったら、殺してやるから覚悟しておけよ!!! ―
というものだった。
その時のボーデヴィッヒの顔、今でも鮮明に脳裏に焼きついている。
その目はまるで人殺しのように狂気で染まっていて、顔もまるで別の怪物でも
見ているかのようだった。
俺は彼女が今まで俺が接していたボーデヴィッヒとは、どうしても思えなかった。
それは、昨日ボーデヴィッヒに嬲られ続けた二人にしても、同じだった。
俺はずっとつきっきりで二人の看病をしていた。
幸い二人は比較的早くに目覚めて、山田さんから月末のトーナメント出場停止を
告げられて大層悔しそうだった。
でも、それでも彼女らはそれよりも自分たちをいたぶったボーデヴィッヒの心配をしていた。
「……ラウラさん、まるで急に正気に戻ったように、私たちに駆け寄ってくれましたの。
その時の彼女の目、本気で私たちを心配し、労わっているように見えましたわ。
…私は、未だに信じられません。彼女があんな蛮行を働いた、なんて……」
「…私もだよ。何でラウラが豹変したのか分からなかったけど、あの時のアイツ、
まるで別人だった。それに私たちを攻撃しながら、アイツ呟いてたの。
『これで、これで私は一人の王になれる。私は、私だ』って。
その時はそれどころじゃなかったけど、今になって考えたらどういうことなんだろうって
気になったの。
…ねえ、シン。教室の皆に、ラウラのこと悪く言うなって言っておいてくれない?
私、もう一度ラウラと話したい。だって最後にあの娘、とっても悲しそうな顔、してたから…」
……俺も、同じ意見だ。
俺は歓迎会の時のボーデヴィッヒを見ている。
人前を気にせずあんなに泣きじゃくって、それでも微笑んで見せたアイツが、
何の理由もなく昨日のような酷いことをするはずがない。
それに、俺は何かが引っかかってるんだ。
いきなり豹変した人格。狂気に満ちた蛮行。
そして、ボーデヴィッヒの言っていた、『もう一人のボーデヴィッヒ』。
しかし俺たちがそう思っていても、ボーデヴィッヒの凶行が他のクラスメートに残した
爪跡はとても深くて。
誰もが何も言わずに沈黙する中、誰かがか細く呟いた。
「私たち、騙されてたのかなぁ………」
「っ!そんな事ないよ!ラウっちは……、ラウっちは………!う、うう………」
即座に反論する布仏さんの口調にも覇気はない。
その声は次第に小さくなり、最後はすすり泣きに変わる。
それを横目で見つつ、一夏もそれに助け舟を出す。
「俺ものほほんさんと同じ意見だ。昨日のラウラは異常だった。
何か原因があったはずなんだ。あんな事をしてしまった、原因が…」
「でも、昨日のラウラさん見たでしょ!?
私、あんなに楽しそうに人を嬲れる人って初めて見た……。
私は信じられない、あんな酷いことするラウラさんのこと……。
せっかく仲良くなり始めたばかりだったのに、裏切られた感じで……」
その言葉に賛同する声が次々と上がる。
やはり、とは思う。
普通はそうなのだ。ずっと前々から交流を深めていた友達ならともかく、わずか
数日前から好意的に接してきた人間のあの凶行を嘘だと信じるなど、できはしないってこと。
彼女らが「裏切られた」と思うのも無理はない。
やっと信じ始めていた人間が、あそこまで酷いことをするのを目の前で見てしまったら。
でも、それでも、俺は口を開く。
「皆がそう思うのも、分かるよ。普通はそう思うだろう。
でも、でもさ!皆見ただろ!?歓迎会の時、とまどいながらもあんなに嬉しそうに
笑うボーデヴィッヒを!
アイツ、最後泣いてたじゃないか!こんな暖かいパーティを開いてもらったのは
生まれて初めてだって!皆の前だってのに、声を上げて泣いてたじゃないか!
そんなアイツが、何の理由もなくあんなことするはずがないんだ!!
絶対に何かあるんだ!ボーデヴィッヒが凶行を起こしてしまった、理由が!!」
俺は肩で息をしつつ、叫び終える。
理屈なんか何にもない、ただの感情論。
取るに足らない子供じみた言葉だった。
でも、皆は顔を伏せて、何かを考えているようで。
そして、誰かが声を上げる。
「……うん、私も、そう思う。
私、少ししかラウラさんと話してないけど、とっても優しい人だって思ったもん。
彼女が歓迎会で泣いちゃった時、私も貰い泣きしちゃって。
その時ラウラさんがどれだけ嬉しかったのか、感じてた。
だからそんな人が、あんなこと、何の理由もなく起こすはずない。
きっと何かあるはず。私もそう思うよ。
皆も、そうだよね?だって皆もラウラさんと話すの、楽しみにしてたもんね」
俺は驚愕して皆を見る。
皆その言葉にとまどっていたけど、ゆっくりと頷いて。
そして口々に言う。「そうだ、ラウラさんがあんな事するはずがない」って。
多分、理屈じゃないんだ。
あの時皆の只中で泣きじゃくったボーデヴィッヒを見たとき、その内面を皆感じ取ったんだ。
ボーデヴィッヒは普段は近づきがたい、まるで冷水の如きオーラを纏っていたけど。
本当は寂しがり屋な、普通の女の子なんだって。
それを呆然と見ながら、思う。
( 見ろよ、ボーデヴィッヒ……。皆、お前のことをこんなに信頼してくれてるぜ。
やっぱりあの歓迎会をやって正解だったんだ。
ボーデヴィッヒ、俺はお前と話したい。お前に一体何があったんだ?
俺も、信じない。お前が訳なくあんな事をするなんて…… )
俺も、決意を固くする。
アイツはもう、俺の友達だ。俺の大切な仲間だ。
俺は仲間を裏切らない、絶対に。
仲間が苦しい時、絶対ソイツの前から逃げ出さない。
どんな理由があっても、理由も語らずに、逃げ出さない。
知ってるんだ、それがどれだけ残されたものの心に傷をつけるのか。
だから、俺はお前と話をする。
俺は、お前が……………。
「何かメロドラマってるところ悪いけど、そんな大層な理由なんかないぞ」
突如教室に響き渡る、聞きなれた凛とした声。
しかし、それを聞いたとき猛烈な違和感に襲われる。
この、声……。でも、彼女の声、こんなに濁っていたか……!?
その声の主はもちろんボーデヴィッヒ。
彼女は昨日あんな事件を起こしたにも関わらず不遜にも腕を組んで入り口の前で
仁王立ちしており、その表情はニタニタと醜く歪んでいて。
やはり、思う。
アイツは、一体、誰なんだ…………!!?
と、ボーデヴィッヒの姿を見とめた布仏さんが、勢いよく立ち上がって駆け寄る。
その目には涙が浮かんでいて、まるで体当たりのようにボーデヴィッヒに飛びつく。
そして髪を振り乱しながら彼女を見つめた。
しかしそんな布仏さんを見つめるボーデヴィッヒの目は、どこまでも冷たい。
まるで虫でも見るかのようなその視線に、教室内の皆が息を呑む。
でも、俺は違った。
俺の中で、直感だが、一つの仮説が着々と組み立てつつあった。
だって、『アイツ』のあの目、同じだから。
毎晩俺を見つめる、ヴェスティージのそれと。
「うざいんだよ、小娘。さっさとどけ」
「きゃっ………!ら、ラウっち……?え、どうして……?私たち、お友達………」
すげなく払われた布仏さんは、尚もボーデヴィッヒに縋りつく。
もはや際限なく流れ出す涙を、止めることもなく。
しかしボーデヴィッヒは今度は布仏さんの頬をはたき、床に倒れさせた。
近くにいた篠ノ之とデュノアが慌てて駆け寄るが、それを見てもボーデヴィッヒは
まるでゴミでも見るかのように、横目で彼女らを見つめる。
そして、唾を吐きかけ、言った。
「実際うざかったんだよなぁ。いっつもいっつものほほんとしてやがってよぉ。
何だそれ?キャラ付けか?気持ち悪いんだよぉ!!
そんなんで男が寄ってくるとでも思ってんのか!?
ああ、そりゃアンタ男受けする体してるもんなぁ!!
性格おっとりで肉付きの良い体!そりゃ男もほっとかないよなぁビッチがぁ!!
でもなぁ、私はうざったかったぜ、そんな小娘に懐かれてよぉ!!
本当はあの時、打鉄に押し潰されてりゃ良かったんだよテメェなんか!
何で助けちまったのかなぁ、理解に苦しむぜ。
……ん?何だその顔は?もしかして、悲しかったか?悲しかったのか?
なら、二度と私に近づくんじゃねぇよカスが。その方がせいせいするぜダボがぁ!!」
「ら、ラウ、ラウっち……………………」
思いつく限りの罵詈雑言がようやく止まる。
もはや布仏さんの目には光はなく、絶望に満ちた目でボーデヴィッヒを見つめる。
周りの皆も同様だ。小さく口々に「酷い……」「何てことを……」と呟いているけど。
でも、それ以上のことは皆言わない。
俺には、その理由がよく分かる。
きっと皆、信じられないんだ。実際に今の「ソイツ」を目の前にして。
いつも自分たちと接していたボーデヴィッヒと同一人物だなんて、信じられないんだ。
誰もが言葉を失う中、「ソイツ」はそんな皆を蚊でも見るかのように見て、ニンマリと笑った。
あの歓迎会でボーデヴィッヒが見せた笑顔とは、遠くかけ離れていた。
「ん?何だアンタら、その目は?
私が憎いか?アンタらの大事なクラスメートをボコボコに嬲って
今また心配したのほほん娘に厳しい大人の現実を突きつけた私が憎いか?
……だったら憎めばいい。むしろ望むところだ。どんどん憎みな?
陰口もいくらでも叩いたらいい。無視でもイジメでも望むところだ。
私に憎悪の感情を向け続けな?いつも、いつまでも……。
だってそれが…………」
「アンタの『力』になるからか?」
目の前の『ソイツ』の言葉を遮って、俺はそう言い放った。
『ソイツ』は驚愕の目で俺を見つめて、何故か得心したように笑みを作る。
皆は俺が言った意味が分からないのかただ俺と『ソイツ』を見ているけど。
俺は止まらない。
俺には確信があった。
証拠はない、でも俺は、目の前の『ソイツ』に良く似た奴を知っていたから。
寄生した俺の負の感情を糧として成長する悪魔。
そしてそいつが俺の体を欲していたこと。
また、ボーデヴィッヒが言っていた言葉。
俺の中で、それらは全て繋がった気がしていた。
『ソイツ』もそれが分かっているらしく、ニヤニヤしながら、俺に向き直った。
「貴様は確か、シン・アスカだな。
知ってるよ、アンタのことは。
アンタの経歴はこのIS学園に来るまでのことは、全く不明だってこと。
アンタが何故か男なのにISを扱えること。
……アンタがあの謎の正体不明の無人機相手に、何か分からない超人的な力を奮って
対抗したこと。
そして、今現在のアンタの状態のこと」
奴の一言一言が不気味に教室に響く。
だが、俺は恐れない。
それを上回る怒りが、俺の全てを塗りつぶしていくのが分かったから。
「アンタは本当に凄い男だよ。
今アンタ、立ってるのも辛いはずだろ?
私、分かるんだよ。アンタの体は恐ろしく疲弊している。
そしてそれ以上に、精神が磨耗している。
普通の人間ならとっくに廃人になってるか狂ってるかのどちらかだ。
もしくは死んでいるか、ね。
でもアンタは立っている。むしろ正気すら保ってる。
大したもんだよ、信じられない。アンタ一体なんなんだ?化け物か何かかい?」
「そんなことはどうでもいい。
……ボーデヴィッヒに何をした?
アンタ一体、何なんだ?ボーデヴィッヒじゃないだろ。
ボーデヴィッヒが言っていた『もう一人の自分』なんだろ?
分かるんだ、俺には」
俺と『ソイツ』の会話は、他の人間には分からない会話だ。
事実教室内の皆、訳が分からないといった感じで俺たちを見ている。
ただ一夏、秋之桜さん、そして篠ノ之とデュノアが何故か俺を心配そうに見つめていた。
でも、俺は止まらない。
目の前の『ソイツ』に、怒りに満ちた目を向けるのを、やめない。
それを心地良さそうに受けながら、『ソイツ』は尚も笑みを浮かべる。
「……それで?私を倒すかい?
そうだよね、アンタ分かってるようだ。私の『本質』を。
何でそれを知っているのかは知らないが、とにかくアンタは知っている。
私が何者かを。そして、直感で理解している。
私を倒さなければ『お前様』は戻ってこないと。
しかし、どうする?今のアンタに、私を倒せるのかい?」
「……………俺は」
「無理だねぇ、無理無理。アンタに私は倒せない。
私は知ってるよ、打鉄が暴走したあの時、アンタは自分のISすらまともに
扱えなかった。理由は簡単。体に残ったダメージが未だに大きすぎるから。
ISの通常運転すらまともに出来ないアンタが『私』に勝つなんて到底無理。
………諫言してあげるわ」
そこで言葉を切って、一拍置いて、宣言するように言った。
その顔には明確な侮蔑が含まれていた。
「アンタは私には勝てない。
私を倒すにはISバトルしかないと、アンタは理解しているよう。
だってアンタの鬼気迫る気迫を、今私は肌で感じているから。
それはとてもゾクゾクする、濡れてしまいそうだけど……。
今のアンタには、無理よ。
アンタは勝てない、誰も救えない、戦うだけ無駄なの。お分かり?」
俺は歯を噛み砕かんばかりに噛み締める。
なぜなら、奴が言っていることは全て事実だからだ。
ISを普通に動かすことすらできない俺は、奴には勝てない。
俺はボーデヴィッヒの強さを授業の模擬戦闘で見たことがある。
彼女は、強かった。おそらくセシリアや凰よりも。
今の、立っているのさえやっとの俺にはきっと、勝てない。
『ソイツ』は俺の態度を見て笑みを深くして、続けた。
「どうやら理解しているようね。ならいいわ。
私、自分の力量を把握している男は好きよ。
でも、アンタの闘志は全く衰えていないようね。
もし無謀にも私に挑んでくるのなら、好きにしたらいいわ。
その時は、ISの絶対防御すら突き破って、きっちり、殺してあげる。
ふふ、楽しみね。アンタがもがき苦しむ様、見てみたいわ。
……さて、私はそろそろ行くわ。授業なんてかったるいだけだし。
私の今一番の楽しみは月末の学年別トーナメント。
ふふ、初めて『完全体』で戦う戦闘、楽しみすぎて寝られない。
……じゃあね、糞ガキども。せいぜい私のことで悩んでもがくといいわ。
それも、私の力になるんだからね」
言いたいことだけ言って、『ソイツ』は去っていった。
皆が現状に追いつけず呆然とする中、俺は床に全力で拳を叩きつけた。
拳から血が噴出したが、気にならなかった。
許さない……。
せっかく皆と仲良くなったボーデヴィッヒを、こんな目に遭わせやがって……。
奴は、ボーデヴィッヒを蝕み続けたあの悪魔は俺が………。
俺が必ず、滅ぼしてやる!!!!!
憎悪に満ちた目で奴が出て行った扉を見つめる俺を、篠ノ之とデュノアが、
悲しそうに見つめていて。
そしてそっと、二人とも俺に寄り添ってくれたのだった。
次回、長々と語ってしまったデュノアとボーデヴィッヒの話に一区切りがつく。
月末、学年別トーナメントが始まる。
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