前回は一気にいろいろありすぎました。私もまだ混乱しています。多少は整理できましたけど・・・。
それと今、私達は格納庫にいます。マサキ君とマリさんが2人で大丈夫だから格納庫へ行くように言ったんです。あの2人の正体や目的も気になりますがまずは
アキトさんです。
もうすぐ入ってくるはずです。アキトさんとナオトさんが・・・。
機動戦艦ナデシコ
〜光明は遠い世界から〜
第4話 光明・・・か?後編
ブラックサレナのコックピットを抱えたエステバリスが格納庫へ入ってきた。そのエステバリスはブラックサレナのコックピットを下ろすと白い煙を出して動か
なくなった。
「「「「「「「「・・・。」」」」」」」」
格納庫にいる一同が見守る中ブラックサレナのコックピットと白い煙を出しているエステバリスのコックピットが内側から強制的に開かれた。ちょうどその時、
他の4機のエステバリスも格納庫へ帰還した。
「アキトさん!!」
アキトとナオトが同時に機体から降りるとルリはアキトの方へかけよろうとした。しかしその間にいたナオトがそっとルリを遮る。
「少し待っていてくれ。説明は後でする。」
「ナオトさん・・・?」
ナオトはそういうとアキトのほうへ近寄った。
「お前に質問がある。それに答えたらさっきの質問に答えてやる。」
「・・・別に必要ない。」
ナオトはアキトの言葉を無視して続けた。
「お前はユリカとルリちゃんを助けたいか?」
「助ける?・・・お前に答える必要はない。」
アキトは助けるという単語に疑問を持ったが、無愛想に突っぱねた。他のクルーは助けるという単語に加えユリカの事をユリカと呼んだことにも疑問をもったよ
うだ。一方ナオトはアキトの答えを聞き、油断なくアキトに近づくと・・・。
ドン!!
まるで巨大な爆発物が爆発したような、しかし非常に鈍い音が格納庫に響いた。そしてそれと同時にアキトは格納庫の壁に叩きつけられた。アキトは油断してい
たわけではない、ナオトが的確にアキトの弱いところをついたのだ。
「アキトさん!!」
ルリの悲鳴のような声が響く。他のクルーは唖然とすることしか出来ない。しかしナオトはルリの方を見ると、
「心配するな。あれくらいなら大丈夫だ。もう少し見ていてくれ。」
ルリは今にもアキトにかけよりたかった。しかしブリッジでの件で密かにこの件は事が終わるまで静観すると決めていたので動かなかった。そんなルリを見ると
ナオトは再びアキトを見た。
「ではもう一度聞こう。ユリカとルリちゃんを助けたいか?」
「お前に、答える必要はない・・・。」
「・・・。」
ナオトは無言で鋭い殺気をアキトに向けた。一方アキトは満身創痍といっていい状況だがナオトの殺気に屈せず睨み返している。
「・・・やはり答えないか・・・。この頃のお前なら答えないことはわかっていた。ではお前の質問に先に答えよう。」
アキトもナデシコのクルーも何も言わずにナオトを見ている。
「俺はお前だ。テンカワアキト。」
この言葉を聞いた時点では誰もナオトの言っていることを理解できなかった。しかしアキトは表情を変えない。
「くだらん、そんなことを信じると思ったか?」
「だろうな、だがいくらお前でも記憶を見せられれば信じるしかないだろう。」
記憶を見せる。そんなことが可能なのか?・・・実はISF所有者同士にかぎり可能なのである。ISFはもともとイメージを信号化して伝えるものである。そ
れをあわせることで記憶のイメージを相手に伝えることができる。もちろん望めば、だが。アキトもそのことを知っているので一瞬はっとしたが、すぐに表情を
戻すと言葉を紡いだ。
「だったら見せてみろ。貴様の虚偽を証明してやる。」
アキトは強がっているが、素直に記憶を見ることを認めたのは先ほどの1撃で抵抗することが出来ない、立つのでさえつらい状態にされてしまったのだ。一方ナ
オトはアキトの言葉を聞く前からの暗い表情のままだった。
「・・・信じるしかないさ。嫌でもな。」
というとナオトはアキトと自分のISFを合わせた。
先ほどの戦闘が見える。
だが先ほどのような乱入者はいない。戦闘は続いた。
40分ほどたった時、突然ブラックサレナが動かなくなる。アキトにナオトの感情がつたわる。困惑と焦りだ。同時にその空域に戦艦が現れた。ボソンジャンプ
ではない。どんな手品かはわからないが現れたのだ。
この状態は逃げるべきだと、ナオトは判断した。ジャンプで逃げるのだ。しかし出来ない。というより指1本動かないではないか。その時動かないのはブラック
サレナではなくナオトだと気が付いた。
だが気が付いた矢先、それが間違いだったと思わざるをえなかった。ブラックサレナが動き出す。間違いなくナオトの手で。だがナオトの意思ではない。向かう
先は現れた戦艦だった。そしてブラックサレナはその戦艦へ吸い込まれていく。
次に見えたのは実験室のようだ。
たまに意識とは無関係に動くだけでやはり身体は動かない。だが周りを見ることは出来るようだ。ナオトの視界に1人の少女と複数の研究員のような者が見え
る。少女は7歳程度だろうか。表情はなく黙々と作業を続けている。
実験は続く。火星の後継者の時のような薬やナノマシンの投与は無かったが気絶させられる程度のことは何度もあった。ナオトへの実験はまだ続く。
たまたま研究者の話し声がナオトの耳に入った。どうやら気絶したり寝ている時は操れないらしい。
この日も実験。カレンダーがあったのでここへ来てからもうすぐ8ヶ月であることがわかった。そしてその日も眠りについた。
景色が変わった。ナオトの目には知らない部屋が映っている。
突然後ろからよく知った声が聞こえた。ルリだ。そこはルリの部屋だった。ナオトは心のどこかでルリに会えたことに安らぎを感じていたが、同時にひどく嫌な
予感がしていた。
ルリが言う。生きていて良かった、と。涙を流しながら。
さらにルリが言う。これ以上家族を失うのは耐えられない、と。痛いほど強く抱きつきながら。
今度は表情が変わりルリは言葉を紡ぐ。もっと速く帰ってきてくれれば・・・。今度は消え入りそうな声で。
アキトにはナオトの困惑が伝わる。最初の言葉以外、胸に引っかかる。嫌な予感がさらに強くなる。
そして、
右手に冷たい物を感じた。
それはすでに深々とルリの胸に・・・。
赤い何かが吹き出る。
何かが倒れる音がする。
何が起きたか気付いた時にはナオトの視界は真っ白になった。
また違う場所だ。今度は病室のようだ。そこにはナオトとイネスしかいない。
イネスの話しによるとナオトはあの場で気を失いすぐに入って来たツキオミたちに助けられたそうだ。その後2週間近く眠っていたことも付け加えて言われる。
ナオトは呆然としている。何も考えられない。だがふとルリの最後の言葉が気にかかった。
それを整理する。すると1つの結論に達した。しかしナオトの頭が拒絶する。
声を出さずにはいられない。だからナオトはイネスに叫んだ。ユリカは今どうしている、と。
イネスは答えない。苦虫を噛み潰したような表情をして。一言、わからないと聞こえた。
ナオトはさらに問い詰める。わからないとはどういうことだ、と。渋々イネスが語りだす。
ユリカはわざとランダムジャンプをして消えた。イネスの簡単で誤解のしようのない言葉が聞こえる。
イネスの説明が続く。いつものような長さは無く、淡々として簡潔にまとめてあった。しかしナオトにはその中からつかめたものは、ユリカがランダムジャンプ
をしたのは自分のせいである、という部分だけだ。
ナオトの思考は完全に止まる。自殺願望とはまさにこれだとわかるものを感じる。この世の終わりが生ぬるいと感じるほどナオトの世界観が壊れていく。
その後、アキトはナオトの記憶の世界から現実世界に戻っていくのを感じた。
「・・・。」
ナオトがアキトから離れるがアキトは呆然として動けなかった。。
「終わった、の?」
クルーはナオトがアキトからはなれたのでことが終わった事がわかった。だがアキトの様子に戸惑いを感じたようだ。
「ああ。」
ナオトは短く答える。よく見るとナオトもつらそうな表情をしている。
「・・・アキトさんに見せた記憶を私達にも教えてもらえませんか?」
少し考えてルリはナオトに言葉をかけた。好奇心ではない。どこか思考よりもっと深いところから知らなければならないという強迫観念にかられたのだ。
「・・・確かにナデシコCのクルーには知る権利があるかも知れない。だが権利があるだけで知ることを勧めることは出来ない。」
「いや、そうはいかねぇ。さっきお前はルリルリと艦長を助けたいかって言ってたよな?それ、お前の記憶の中にある出来事に関係があるんだろ?そうとわかっ
たら知らないわけには行かねぇだろ。教えてくれ。」
ウリバタケと同様のことを考えていたもの、そのことに気づくウリバタケに感心するもの、そのほかにもクルーの中には様々な思いが渦巻いていたが、ナオトの
記憶を知りたいと言う点は一致していた。
「・・・わかった。では話そう。」
そしてゆっくりとナオトの重い口が開かれた。
静寂。ナオトの話しが終わって口を開けるものはだれ一人いなかった。
「・・・これがここのアキトに見せた全てだ。」
ナオトの呟きに反応するものはいなかった。しかし、話の前から呆然としていたアキトがふらふらと立ち上がった。
「なぜだ。」
アキトが消えそうな声で言う。しかし辺りの静寂がクルーとナオトにそれを聞くことを可能にした。視線がアキトに集まる。
「なぜお前がここにいる!?あそこからどうやって立ち直れる!?あそこから何が見出せるというんだ・・・。」
クルーの者達はアキトの叫びに驚いた。ナオトはそっとアキトに近づいていく。
「わからないか?ではもう一度聞こう。お前はユリカとルリちゃんを助けたいか?」
「当然だ!!そのためなら俺はなんでもする!絶対に助けたい!!!」
「・・・それが答えだ。もっともその答えは俺も人から与えられたものだがな。」
アキトははっとした。そして確信した。こいつは俺だ、と。
「・・・俺は何をしたらいいと思う?」
「本気で聞いているのか?」
「ふ、まさか。」
アキトはそういうと懐からCCを取り出した。しかしそれをナオトは止めた。
「待て。その前にすることがある。」
「何のことだ?」
「医務室へついて来い。お前の五感を治してやる。」
周囲の空気が止まった。その後それに最初に反応したのはやはりアキトだった。
「治るのか?・・・というよりなぜお前にそんなことが出来る?」
「俺も年月を無駄に過ごしたわけではない、ということだ。」
クルーは話についていけないと言うように唖然としている。ナオトは格納庫の出口へ足を向けた。・・・が振り返る。
「それと、ラピスにナデシコCに乗るようにリンクで説得してくれ。そろそろ危険な空域を抜けるはずだ。」
ナオトの言葉の真意をすぐにつかめた者はいなかったがそれが先ほどの話の戦艦が現れる空域から離れてたということをだんだん理解したようだ。アキトは急い
でラピスを説得するとナオトの後に続いた。
後書き
RYU ・・・こんにちは、(またはこんばんは)、今回も読んでいただいてうれしい限りです・・・。
ルリ どうしたんですか?いつになく暗いですね。
RYU 書きながら頭の中にそのシーンのヴィジョンが浮かんできてうつ病になりそう・・・。最初の頃に決めた設定だから仕方ないけど・・・。
ルリ そういえば死んでますね、私。
RYU そういえばって・・・(涙)。それが一番つらかったのに・・・。
ルリ そんな設定にするから悪いんです。
RYU いや、アキトが自分の罪を許すとか忘れるとか性格から言ってあんまり考えられないから、守るだったら帰るだろうなって思って出来た設定なんだ
けどね。特にこの場合自分しか出来ないし。
ルリ いえ!!私との愛のためなら何を差し置いても帰ってき
ます!!
RYU わかった、わかった。それと暗殺指令が出されたとかはもう10個以上見たことがあるから、変わったのがいいなっと思ってね。
ルリ ・・・今、私を軽くあしらいましたね(怒)。
RYU え・・・、気のせいじゃないかな(汗)。
ルリ 誤魔化せませんよ!あなたは今、宇宙において最大の真
理を否定したんですから(激怒)。
RYU どんな真理だよ!!というより否定してないよ?
ルリ 問答無用!!ザク!
RYU ぐあ、ひ、ひどすぎる・・・。
ルリ ふぅ、それでは今回も読んでいただきありがとうござい
ました。
RYU (終わり方にレパートリーが無い・・・)
後書き2
はい、ナオトはアキトでした(爆)意外でもなんでもないですね。多分前回が出る前から正解率70%超えてたと思います(前回が出たら多分100%)。それ
と今回謎を全て出すと言ってましたが多分半分以下しか出てません。続きは必ず次回で明らかになります。すみません。
さて今回のお話。・・・ナオトの世界のルリとユリカ殺してしまいました。自分で書いてても嫌です。一般的に見てそこまでダークではないかもしれませんが
(自分はダークぽかったら引き返すので良くわかりませんが)自分にはつらかったです。
でも実はこの設定はお話を書き始めるに3番目に決めた設定ですし、とりあえず設定はあまり変えないことにしてるので・・・。でここまでしてアキトを2人に
した理由は!物語的にもいろいろありますがそれはネタバレになるので秘密で、それ以外にもう1つあります。
ずばりナデシコには男が足りない(と思う)。暴露すればこの話はアキト(ナオト)×ルリ、アキト×ユリカ、ハーリー×ラピスなんです。ハーリー×ラピスは
今は影も形もありませんが、それ関係も次回(もしかしたらその次かも)出てきます。
実はアキト×(ルリ以外)は少しは大丈夫ですが、ルリ×(アキト以外)の作品だと貧血で倒れそうになるくらいアキト×ルリ派なのでルリ×ハーリーがありえ
ないので足りないのですが・・・。
それとだいたい今回の話でナオトの目的が見えたかもしれませんが、多分見えてないのがもう1つあると思います。一応伏線っぽいのは入れましたが・・・。
とりあえず次回から今までのギャグっぽい雰囲気に戻るはずです。(笑えるかは別ですが)
それでは次で会えることを願ってます。
感想
RYUさん三連続です! 駄目人間黒い鳩には眩しいです(泣)
むぅ、暗い過去を背負ってますね〜、でもまぁダーク系か? といわれると微妙ですが…
しかし、二人のアキト今後どうなっていくのか、気になる所です。
現行アキトは地球に帰り、ナオトなアキトとルリ嬢でラブラブ!!??
予想してなかったわけじゃないですけどね…最初から懐いてましたし…(爆)
穏便にアキトさん引継ぎと言う訳で
すね。人生経験三倍アキトさんといったところでしょうか?
この先、先ほど言っていた勢力の少女が現れるのでしょうけど…
敵対するのは私でしょうかね? でも二人のナオトさんの関係者は強力ですし…
私も要らないのでしょうか?(汗)
どうだろうね…でも、向こうのルリ嬢が死んだ所を見ると、やっぱりヒロインなんでないかな?
まあ確かにそうですね元々ヒロインは私しかいませんし気にする事もないですね。
どうなんだろ(汗)
この先の展開はまだまだ読めないし、期待大だね!
押して頂けると作者の励みになりますm(__)m
RYU
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